JP2019101433A - ミラーディスプレイシステム - Google Patents

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敬介 村田
Keisuke Murata
敬介 村田
忍 荒田
Shinobu Arata
忍 荒田
史人 小林
Fumito Kobayashi
史人 小林
郁哉 橋本
Ikuya HASHIMOTO
郁哉 橋本
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Abstract

【課題】新たな構造のミラーディスプレイシステムを提供する。【解決手段】ミラーディスプレイシステム1であって、プロジェクー3と、可視光透過性を有する鏡像形成層21、可視光透過性と可視光散乱性とを有する光散乱層22と、を有する板状ミラーディスプレイ2とを備え、板状ミラーディスプレイ2は、ユーザー4と、プロジェクター3との間に配置され、光散乱層22は、プロジェクター3と、鏡像形成層21との間に配置され、プロジェクター3は光散乱層22側から映像コンテンツを投影し、光散乱層22は映像コンテンツの投影像を形成し、鏡像形成層21はユーザー4の鏡像を形成し、投影像は、鏡像形成層21を透過して、ユーザー4に対して、ユーザー4の鏡像と、投影像とを表示する。【選択図】図1

Description

本発明は、新規のミラーディスプレイシステム、及びそのための板状ミラーディスプレイに関する。
鏡と表示装置を組み合わせて、映像が鏡の中から浮かんで見えるように演出できるミラーディスプレイシステムが、新しい空間サイネージシステムとして提案されてきている。前記表示装置として、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイが使用され、例えば、特許文献1等のような、化粧室の鏡上の液晶ディスプレイにて、一般的な鏡と同様にユーザー自身や周囲の鏡像を映しながら、同時に情報、通信、娯楽等のコンテンツを表示するミラーディスプレイが提案されている。
近年の、透明な有機ELディスプレイの開発の進展や、プロジェクターからの投影映像を表示し、且つ可視光透過できる光散乱層を備える物品(例えば、特許文献2;当該物品は透明ディスプレイスクリーンとして応用されている)や、合せガラスの中間層に光透過拡散反射層を設けた、ミラースクリーン(例えば、特許文献3)などの提案は、ミラーディスプレイシステムのさらなる発展を期待させるものである。特にミラーディスプレイにプロジェクター投影を行う方式であれば、プロジェクター側のオンオフによって、ディスプレイとしての使用と通常の鏡としての使用とを切り替えることができる。また、投影光を拡大率の高いレンズで広げることで、ミラーディスプレイの大面積化が容易に可能となる。
特表2007−507782号公報 特開2017−21155号公報 特開2017−83743号公報
前記光散乱層を備える物品は、光散乱性(表示映像の鮮鋭性)と可視光透過性(ディスプレイの背部の透視性)の相反する物性を両立するために、前記光散乱層内に、プロジェクターからの光の透過する方向への光散乱が強い、前方散乱性の光散乱性粒子が分散されている。そのため、前記光散乱層に投影された映像コンテンツは、プロジェクターからの光が該層を透過した側からの観察に適したものである。
本発明では、一般的な鏡と同様の鏡像を表示し、さらに光散乱層での前方散乱による映像を、鏡像形成層を通じてユーザーが認識することができる、新たな構造のミラーディスプレイシステムを提供することを課題とする。
本発明のミラーディスプレイシステムは、プロジェクター;と、
可視光透過性を有する鏡像形成層と、可視光透過性と可視光散乱性とを有する光散乱層と、を有する板状ミラーディスプレイ;とを備え、
前記板状ミラーディスプレイは、ユーザーと、前記プロジェクターとの間に配置され、
前記光散乱層は、前記プロジェクターと、前記鏡像形成層との間に配置され、
前記プロジェクターは前記光散乱層側から映像コンテンツを投影し、
前記光散乱層は前記映像コンテンツの投影像を形成し、
前記鏡像形成層は前記ユーザーの鏡像を形成し、
前記投影像は、前記鏡像形成層を透過して、前記ユーザーに対して、前記ユーザーの鏡像と、前記投影像とを表示することを特徴とするものである。
前記プロジェクターから投射された映像コンテンツは、前記光散乱層に投影され、前記光散乱層内に映像コンテンツの投影像を形成する。そして、その投影像が前記鏡像形成層を透過し、ユーザーには、その透過した投影像を映像コンテンツとして認識せしめる。本発明のシステムでは、前記ユーザーに対して、前記ユーザーの鏡像と、前記鏡像形成層を透過した投影像とを表示するので、前記光散乱層での前方散乱を活用したミラーシステムとすることができる。
また、本発明は、前記ミラーディスプレイシステムに使用される板状ミラーディスプレイであって、可視光透過性を有する鏡像形成層と、可視光透過性と可視光散乱性とを有する光散乱層と、を有するものである。
本発明のミラーディスプレイシステムは、前記光散乱層での前方散乱による映像を、鏡像形成層を通じてユーザーが認識することができるので、光散乱層での前方散乱による映像表示機能と、鏡としての機能を両立させることができる。
本発明のミラーディスプレイシステムを模式的に説明する図である。 本発明のミラーディスプレイの活用時における、ユーザー、ユーザーの鏡像、光散乱層内に生じた映像コンテンツの投影像との関係を模式的に説明する図である。 本発明の実施例で測定した、板状ミラーディスプレイの輝度Y及びYを説明する図である。
本発明のミラーディスプレイシステムを、図面を用いて説明する。図1は、本発明のミラーディスプレイシステムを模式的に説明する図、図2は、本発明のミラーディスプレイの活用時における、ユーザー、ユーザーの鏡像、光散乱層内に生じた映像コンテンツの投影像との関係を模式的に説明する図である。なお、本明細書では、板状ミラーディスプレイ2の面のうち、プロジェクター3が映像コンテンツを投影する面及びユーザー4と対向する面を「主面」と記載することがある。また、各層の「主表面」とは、各層の面のうち、上記主面と対向する面や平行する面を指すものとする。
図1に図示したように、本発明のミラーディスプレイシステム1は、プロジェクター3と、板状ミラーディスプレイ2とを備えるものである。板状ミラーディスプレイ2は、プロジェクター3と、ユーザー4との間となるような配置となる。プロジェクター3は、映像コンテンツを光散乱層22に投影できるような位置、例えば、板状ミラーディスプレイ2に対して斜め方向となるように配置される。プロジェクター3、光散乱層22、鏡像形成層21の順となる配置関係で、且つ、光散乱層22に対して斜めの方向から、プロジェクター3から映像コンテンツを投影する。プロジェクター3から投影されたコンテンツは、図2に示すように、光散乱層22内に投影像51a、b、cを形成する。そして、投影像51a、b、cは、鏡像形成層21を透過して、ユーザー4に視認される。同時に、一般的な使用環境では、鏡像形成層21により、ユーザー4の鏡像41が虚像として形成され、鏡像41がユーザー4に視認される。
以上が、本発明のミラーディスプレイシステムの発明原理である。以下に、本発明の要部である、板状ミラーディスプレイ2の各構成を詳述する。
前記板状ミラーディスプレイ2は、可視光透過性を有する鏡像形成層21と、可視光透過性と可視光散乱性とを有する光散乱層22とを有する板状ミラーディスプレイである。前記光散乱層22に投影された映像コンテンツを、前記鏡像形成層21を通じてユーザー4に視認させるために、前記板状ミラーディスプレイ2は、前記鏡像形成層21と、前記光散乱層22との間には、可視光透過を阻害する層を備えない。通常の鏡では、鏡像形成層21は、基材と面する側とは反対側面には、防錆顔料等を含んだ不透明な防錆塗料などの防食層を備えているので、通常の鏡をベースにしてミラーディスプレイの構築を検討したとしても、本発明のミラーディスプレイシステム1を着想に至らないことに注意されなければならない。
前記板状ミラーディスプレイ2は、前記鏡像形成層21と、前記光散乱層22との間に、別の層を備えていてもよいが、その場合、ユーザー4が映像コンテンツを視認したときに、光散乱層22に投影された映像コンテンツの鮮鋭性を維持できるような、可視光透過性の層を設ける必要がある。そのような層の例としては、1mm〜100mmの厚みの空気層、可視光透過性の基材、誘電体薄膜、ポリビニルブチラールやエチレンビニルアセテートなどの樹脂中間膜等があげられる。また、前記投影像の鮮鋭性の維持という観点からは、前記光散乱層22は、前記鏡像形成層21上に形成されたものとしてもよい。この場合、前記光散乱層22と、前記鏡像形成層21との間には、両層の結合を強化するためのプライマー層が設けられていてもよい。前記プライマー層の例としては、各種シランカップリング剤などがあげられる。
前記板状ミラーディスプレイ2は、可視光透過性の基材23を含んでいてもよい。また、鏡像形成層21は、基材23上に形成されていてもよい。前記鏡像形成層21により、鏡としての鏡像形成能を活用しながら、同時に、前記光散乱層22により、映像コンテンツを表示することができる。前記光散乱層22は、可視光透明な分散媒体中に光散乱体を分散させた層である。可視光透過性の分散媒体に適切に分散された光散乱体が、プロジェクターからの投影光を広い角度で散乱することで、可視光透過性と可視光散乱性とを両立する光散乱層とせしめたものである。前記ミラーディスプレイのサイズは、0.05m〜100mとしてもよい。
前記板状ミラーディスプレイ2の可視光反射率は、形成される鏡像の鮮明性の観点から、70%以上であることが好ましい。70%未満となると、一般的なミラーと比較された場合に異なるものであると目視ですぐに判別されやすくなる。そうするとディスプレイ機能が加わったミラーディスプレイである意義、つまり一般的に映像が表示されることがないと知られているものへの映像の表示による驚きが薄れる可能性がある。言い換えると、通常のミラーと液晶ディスプレイなどの一般的な(不透明な)ディスプレイとを組み合わせたものとの違いが小さくなる。その観点から、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上としてもよい。上限側は特に制限されるものではないが、99%以下としてもよい。尚、本発明での可視光反射率は、JIS R3106:1998に基づいて求められたものである。
また、板状ミラーディスプレイ2の全光線透過率は、0.01%〜15%であってもよい。この全光線透過率が、0.01%未満の場合、表示される映像コンテンツが不鮮明になる傾向となる。他方で、全光線透過率が15%超の場合、板状ミラーディスプレイ2の背部(プロジェクター3が配置された側)が透けて見える可能性がある。これらを考慮すると、板状ミラーディスプレイ2の全光線透過率は、さらには0.1%〜15%、またはさらには、1%〜10%としてもよい。尚、本発明での全光線透過率は、JIS K7361−1:1997に基づいて求められたものである。
前記板状ミラーディスプレイ2において、前記板状ミラーディスプレイ2の主面の法線方向から45度の角度で入射した入射光に対して、該入射光が透過する透過側の主面の法線方向の輝度Yが0.4以上であることが好ましい。ミラーとしての機能から、ユーザー4は板状ミラーディスプレイ2と正対して使用することが多くなる。そのため、前記板状ミラーディスプレイ2の主面の法線方向の輝度Yが0.4未満の場合、映像コンテンツの投影光の光量が低下し、映像コンテンツの視認に問題が生じることがある。その観点から、さらには1.5以上、さらに好ましくは2.0以上としてもよい。
また、前記板状ミラーディスプレイ2において、前記板状ミラーディスプレイ2の主面の法線方向から45度の角度で入射した光に対して、該入射光が透過する透過側の主面の法線方向から−45°ずれた角度における輝度Yが50未満であることが好ましい。このような範囲のYとすることで、投影型のスクリーンで一般的に知られるホットスポット(板状ミラーディスプレイ2越しに視認されるプロジェクタレンズ部の輝点)が認識しにくくできる。
本発明のミラーディスプレイシステム1では、プロジェクター3は前記板状ミラーディスプレイに対して斜め方向から映像コンテンツを投影することが好ましい。尚、プロジェクター3としては、市販のものを使用でき、カラー映像を投影できるものであれば、その種類は特には問わないが、短焦点型のプロジェクターを用いると、板状ミラーディスプレイ2の背部のスペースを小さくできる利点がある。
以下に、板状ミラーディスプレイ2の要部である、鏡像形成層21、光散乱層22を詳述する。
前記鏡像形成層21は、鏡像を形成するための可視光反射性と、投影像51a、b、cを透過させるための可視光透過性とを有している必要があり、所謂マジックミラーとしての作用するものが好ましい。前記板状ミラーディスプレイに表示された映像コンテンツを鮮明なものとするためには、前記鏡像形成層21の可視光透過率は、0.01%〜15%、好ましくは0.1%〜15%、より好ましくは1%〜10%としてもよい。尚、本発明での可視光透過率は、JIS R3106:1998に基づいて求められたものである。
前記光散乱層22は、前記光散乱層の主表面への入射角度45度の入射光に対する、入射光側の法線方向の輝度Yと、入射光が透過した側の法線方向の輝度Yとの比Y/Yが1未満であることが好ましい。
ミラーとしての機能から、ミラーディスプレイシステム1では、ユーザー4は板状ミラーディスプレイ2と正対して使用することが多くなる。ユーザー4が板状ミラーディスプレイ2を使用して、自身や周辺の鏡像を認識しようとすると、環境としては通常は照明が供されることになる。しかし、前記Yが大きすぎると、環境によっては前記鏡像形成層を透過した照明光による散乱が認識でき、鏡像および映像が白っぽくなったりする場合がある。一方で、光散乱層の散乱能が低いと、光散乱層にて散乱されたプロジェクターの投影光が、鏡像形成層を透過するときに減衰してしまい、結果として映像コンテンツの鮮明性が下がることに直結することがある。そのため、前記Yは十分な大きさとすることが好ましい。これは、言い換えると、光散乱層の前方散乱性を高めることが好ましいということである。これらを考慮すると、前記比Y/Yは、さらには0.4未満、さらには0.1未満としてもよい。下限は特に限定するものではないが、0.9以上としてもよい。
また、前記光散乱層22は、ヘーズが45%〜100%であることが好ましい。映像コンテンツの投影像は、光散乱層とユーザーとの間に設けられる鏡像形成層による減衰を受けるため、十分に高い光散乱性が求められる。このヘーズが45%未満の場合、映像コンテンツが不鮮明となりやすい。これらを考慮すると、光散乱層22のヘーズはさらには55%〜100%、またはさらには70%〜100%としてもよい。尚、本発明でのヘーズは、JIS K7136:2000に基づいて求められたものである。
前記光散乱層22の厚みは、0.1μm〜200μmであることが好ましい。前記厚みが0.1μm未満の場合、可視光透過性と可視光散乱性とを満たす光散乱層22の製造がしづらいものとなる。他方で、前記厚みが200μmより大きい場合、映像コンテンツの鏡像52a、b、cの映像がにじみ、映像コンテンツを視認する上での良好な鮮明性が得られないことがある。また、前記光散乱層22は、無色のものとしてもよい。
上記の光散乱層22の厚みは、小さいほど映像コンテンツを鮮明とすることが可能である。一方で、厚みがあるとプロジェクターのホットスポット(板状ミラーディスプレイ2越しにプロジェクターを覗き込んだ場合にレンズが眩しく見える箇所)を視認されにくくすることが可能である。例えば、前記厚みが150μmより大きい場合、映像コンテンツの鏡像52a、b、cの映像がにじんだ像として、ユーザー4に視認されることがあるが、40μm〜200μm以下の範囲内であれば、厚みが150μm以下の光散乱層22ほどでなくとも、映像コンテンツを視認する上での良好な鮮明性を保ちながら、上記ホットスポットが視認されるのを抑制することが可能となる。これらを考慮すると、映像コンテンツの鮮鋭性を向上させたい場合は、前記光散乱層の厚みを、0.1〜150μmとするのがより好ましい。また、さらに好ましくは、0.1μm〜100μm、0.2μm〜30μm、0.5μm〜20μmとしてもよい。また、プロジェクターのホットスポットを視認しにくくする場合は、厚みを40μm以上、200μm以下とするのがより好ましい。さらに好ましくは40μm〜150μmとしてもよい。
次に光散乱層22の材質、形成方法について説明する。光散乱層22は、可視光透明な分散媒体と、前記分散媒体中に分散した光散乱体とから形成される。前記分散媒体の例としては、有機高分子や無機高分子等が挙げられる。有機高分子としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアセチルセルロース樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等があげられる。また、無機高分子としては、ケイ素や、チタン、ジルコニウム、鉄、亜鉛、錫、ハフニウム、タングステンなどの原子を中心として、酸素原子を介して、網目状に高分子化した無機酸化物高分子であり、例えば、シリカ等のケイ素酸化物や、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ハフニウム、酸化タングステンなどの原料又は出発材料を挙げることができ、またこれらを混合して用いることもできる。
本発明において、「無機酸化物高分子」、「シリカ」としては、「中心原子が全て酸素と結合した純粋な酸化物(例えばSiOで表される網目状の高分子)」に限定されず、「中心元素の一部が、別の置換基と結合した化学種」も使用可能である。むしろ後者(中心元素の一部が、別の置換基と結合した化学種」)の方が、0.1〜100μmといった厚みの光散乱層を形成するには適していることが多い。
具体的には、シリカを例にとると、該無機酸化物高分子を形成するための「前駆体」としては、R1 4-a―Si−Xa(但し、R1は、水素原子、または、C原子で中心のSi原子と結合する1価の有機基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基又はハロゲン、aは1〜4の整数)から選ぶことができる。それらは次の(a)(b)、2つのタイプに分類できる。
(a)タイプ:上記「前駆体」の化学式において、aが4である場合。この場合、Siの4つの結合手の全てが加水分解を受けて「OH基」に変換する。具体的には、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラクロロシランが挙げられる。
(b)タイプ:上記「前駆体」の化学式において、aが1、2、または3である場合。この場合、Siの4つの結合手の一部のみが加水分解を受けて「OH基」に変換する。残るR基は不変のままである。具体的には、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリメトキシシラン、トリクロロシラン、モノメチルトリクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジクロロシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランは、加水分解処理を行うと、3つのメトキシ基は全て加水分解され、Si−O−Siの網目構造に取り込まれるが、「3−グリシジルオキシプロピル基」だけは反応せず、Si−O−Si結合による網目構造とは別の「側鎖」として、「無機酸化物高分子」中に残り続ける。このような「側鎖」を部分的に残す高分子も、本発明の「無機酸化物高分子」媒体として有効に機能することから、本発明では、こうしたものも「無機酸化物高分子」、「シリカ」の概念に含めることとする。
前記光散乱体の例としては、中空シリカビーズ、中空樹脂ビーズなどの低屈折率粒子や、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化すず、チタン酸バリウム、ダイヤモンドなどの高屈折率粒子等があげられる。このなかでは、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子やダイヤモンド粒子が、屈折率が高く光散乱性が強いため、光散乱層22の可視光透過性と、光散乱性を両立させた上で、映像コンテンツの鮮鋭性を向上せしめる。前記光散乱体の平均粒径は、前述した光散乱層22の前方散乱性を高める観点から、0.1〜1μmが好ましく、0.2〜0.8μmがさらに好ましい。該平均粒径が0.1μmより小さいと、光散乱層22の光散乱性を向上させにくい。一方、該平均粒径が0.8μmより大きいと、前記光散乱体を含む光散乱層22の外観が、白濁等の不良を生じやすくなる。なお、ここで平均粒径とは、動的光散乱法にて水中での強度分布を測定して得られた粒度分布におけるD50値(累積50%粒径)として定義される。
前記光散乱層22は、コーティングからなることが好ましい。前記分散媒体や前記分散媒体の前駆体と、前記光散乱体とを含む塗布液(光散乱層形成塗布液)を、可視光透過性の基材、又は、鏡像形成層に対して、例えば、スピンコート法、バーコート法、リバースロールコート法、その他のロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ノズルコート法、ディスペンサーコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の公知の方法で、基材や、鏡像形成層21に塗膜を形成することで、コーティングからなる光散乱層22を形成することができる。前記光散乱層形成塗布液は、前記分散媒体や前記分散媒体の前駆体と、前記光散乱体と、好ましくは水やメタノール、エタノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのケトン等の溶媒とを混合して調製することができる。
なお、光散乱層22の厚みを40μm〜200μmとし、プロジェクターのホットスポットを視認されにくくする場合は、光路長を十分長くとることが可能であるため、前述した高屈折率の光散乱体として、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク等の粒子等を用いることも可能である。当該光散乱層22は、前述したように各種コーティングによって形成してもよく、前記の分散媒体と前記光散乱体を予め混合して、上記の厚みになるようにフィルム形状や板形状等に成型し、基材や鏡像形成層21と一体化させてもよい。
次に鏡像形成層21の材質、形成方法について説明する。鏡像形成層21は、鏡像形成能の観点からは金属からなる層が好ましいが、波長633nmにおいて屈折率が2以上の高い屈折率を有する誘電体からなる層であってもよく、単層であってもよいし、多層であってもよい。基材23の主面に、蒸着プロセスなどによって形成されたコーティングを使用してもよい。基材23に金属コーティングが形成された場合は、所謂、表面鏡を活用したものとなり、表面鏡上に、前記光散乱層22を配置して、板状ミラーディスプレイ2を形成することとなる。また、前記光散乱層22上に、蒸着プロセスや、銀鏡反応などのめっきプロセスにて、表面鏡形成用の金属のコーティングを形成してもよい。前記金属の例としては、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、白金、金、これらの金属の合金、ステンレス鋼などが挙げられる。前記誘電体の例として、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。
前記鏡像形成層21の厚さは、1nm〜100nmとしてもよい。金属薄膜は一般的に表皮厚さを超えた厚さとなると、電磁波を透過しなくなってしまい不透明となるため、それよりも薄くする必要がある。また、薄過ぎると透過性が高く、反射率が低くなり、鮮明な鏡像が得られなくなるため、これらを考慮すると、前記鏡像形成層21の厚さは、さらには10nm〜90nm、またさらには20nm〜80nmとしてもよい。
化粧台や建築部材として用いられる典型的なミラーは、銀鏡反応などのめっきプロセスによる、高い反射率をもつ銀がガラス上に形成されたものが使用されることが多い。このような銀めっきミラーは古くから広く知られているため、ミラーディスプレイシステムを用いた場合の鏡像についても、銀めっきミラーと比較して違和感がないことが好ましい。銀めっきミラーは一般的に可視光に対して不透明である、と通常は考えられてはいるが、本発明のミラーディスプレイシステムでは、銀めっきミラーでも、鏡像形成層21での明瞭な鏡像表示と、光散乱層22での鮮鋭な投影像の表示とを両立することができる。
前記光散乱層22と前記鏡像形成層21との両層間に中間層を設けてもよい。中間層としては、光散乱層と鏡像形成層の密着性を改善するためのプライマーや、板状ミラーディスプレイの安全性を高めるための、ポリビニルブチラール、エチレンビニルアセテートに代表される樹脂中間層があげられる。さらには、板状ミラーディスプレイ2に表示される映像コンテンツの色調を補正するための層を形成してもよい。例えば、鏡像形成層の材料として銀を用いた場合、透過色が青みがかることが多いため、酸化チタンの薄膜などを積層させることで透過スペクトルをフラットに近づけられる。これらの材質や膜厚などの層構成は、既存の薄膜干渉の計算シミュレーションを用いて適宜調整できる。
前記可視光透過性の基材23の例としては、耐候性などの耐久性などの性質を有するものであれば、特に限定されることなく、各種基材を使用することができる。典型的には、ガラス基材であるが、ガラス材料としては、強化ガラスや、フィルム付着ガラス、合わせガラスなどが挙げられ、材質からは、ソーダ石灰ガラスやアルミノシリケイトガラス、硼珪酸ガラス、無アルカリガラスなど、各種のガラス材料を板状にして使用することができる。その他の基材としては、プラスチック製の樹脂板やフィルム基材、例えば、ポリカーボネート樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリアミド樹脂、その他のプラスチック製の透明基材を使用することできる。耐候性などの耐久性の点からは、プラスチック製の透明基材よりも、ガラス等の金属酸化物の透明基材が好ましい。また、用途によっては、強化ガラス、耐熱強化ガラス、防犯ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、低放射膜つきガラス、低反射ガラス、防眩ガラス、合わせガラスを用いてもよい。
本発明に用いられる可視光透過性の基材の大きさは、用途に応じて、適宜決められるものである。また、板厚は、用途に応じて、例えば、使用される態様において必要とされる強度などに応じて通常設定される。具体的には、通常0.1mm〜30mmの板厚のものが用いられる。表面が平坦な基材だけでなく、表面に凹凸がある基材やパターンを形成した基材でも良い。表面に凹凸がある基材やパターンを形成した基材では、光散乱性に加えて表面の凹凸やパターンによる光学反射の効果も得られ、表面が平坦な基材とは異なる外観を得ることが出来る。
可視光透過性の基材の形状は、平板状でも、曲面形状でも良い。曲面形状の基材とは、三次元的に予め曲げられた凸面側と凹面側を有する基材であり、その曲率半径は0.5m〜3mのものを用いてもよい。また、その曲率半径としては、好ましくは0.9m〜2.6mとしてもよい。可視光透過性の基材としてガラス基材を用いる場合は、光散乱層との密着性を確保するために、酸化セリウム等で予め充分に研磨し、表面の汚れ等を丁寧に除去しておくことが好ましい。
また、板状ミラーディスプレイ2の端面部は各層が露出しているため、塗料を塗布する等を施し、端面部からの劣化を防ぎ、耐久性をあげることもできる。
以下の実施例、比較例に示した、各種板状ミラーディスプレイ2を用いて、図1に示すようなミラーディスプレイシステム1を組み、板状ミラーディスプレイ2に現れる、映像コンテンツの見え方を評価した。具体的には、本実施例では、以下の項目の評価が行われた。尚、本実施例でのミラーディスプレイシステム1では、板状ミラーディスプレイ2が市販のプロジェクター3とユーザー4との間に配置され、前記板状ミラーディスプレイ2は、プロジェクター3側から、光散乱層22、鏡像形成層21、可視光透過性の基材23の順で積層されている。また、前記プロジェクター3は、板状ミラーディスプレイ2の中心部に対して、入射光角度45°からの投影となるように配置された。
[鏡像形成層21の可視光透過率]
鏡像形成層21と、可視光透過性基材23とからなる積層体に対して、JIS R3106:1998に準拠し、自記分光光度計(日立ハイテクノロジーズ製、U−4000)を用いて測定し、得られた可視光透過率スペクトルから、可視光透過率を算出した。
[板状ミラーディスプレイ2の可視光反射率]
板状ミラーディスプレイ2に対して、JIS R3106:1998に準拠し、自記分光光度計(日立ハイテクノロジーズ、U−4000)を用いて測定し、得られた可視光反射率スペクトルから、可視光反射率を算出した。なお可視光反射率スペクトルは、入射方向から見て可視光反射層21が手前側、光散乱層22が奥側となるように反射測定用アタッチメント(入射角度8°)に固定して測定した。
[板状ミラーディスプレイ2の全光線透過率]
板状ミラーディスプレイ2に対して、ヘーズメーター(スガ試験機製、HZ−T)を用いて測定し、JIS K7361(1997年)に従って得られた値を、板状ミラーディスプレイ2の全光線透過率とした。
[光散乱層22のヘーズ]
光散乱層22と、可視光透過性基材23とからなる積層体に対して、ヘーズメーター(スガ試験機製、HZ−T)を用いて測定し、JIS K7136(2000年)に従って得られた値を、光散乱層22のヘーズとした。尚、本実施例では、可視光透過性基材は、ヘーズ値が無視できる程に小さなクリア系のフロートガラス板が使用された。
[鏡像形成層21、光散乱層22の厚み]
鏡像形成層21、光散乱層22を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、S−5400)で撮影し、各層の厚みを測定した。
[板状ミラーディスプレイ2の輝度Y、Y
板状ミラーディスプレイ2に対して、分光変角色差計(日本電色工業製、GC5000)を用いて測定した。まず、付属の標準白色板を用いて校正し、板状ミラーディスプレイ2の光散乱層22側を光源方向、鏡像形成層21側を検出器方向とした。入射光の光源をD65光源、入射角度を45°として透過測定を行い、図3に示したように、板状ミラーディスプレイ2の透過側の主面の法線方向における輝度Yを得た。同時に、該透過側の主面の法線方向から−45°ずれた方向における輝度Yを得た。
[光散乱層22の輝度比Y/Y
光散乱層22に対して、分光変角色差計(日本電色工業製、GC5000)を用いて測定した。まず、付属の標準白色板を用いて校正し、入射光の光源をD65光源、入射角度を45°として反射測定を行い、入射角度に対して45°ずれた角度(光散乱層22に対する法線方向の反射側)での輝度Yを得た。続けて、付属の標準白色板を用いて校正し、入射光の光源は反射測定と同様として透過測定を行い、入射角度に対して225°ずれた角度(光散乱層22に対する法線方向の透過側)での輝度Yを得た。得られた値を用いて、比Y/Yを算出した。
[板状ミラーディスプレイ2での映像コンテンツの見え方の官能評価]
板状ミラーディスプレイ2に正対したユーザー4の目視にて下の官能評価を行った。
1:投影された映像が極めて鮮明に視認できる
2:投影された映像が鮮明に視認できる
3:投影された映像が視認できる
4:投影された映像が薄く、視認しにくい
5:映像が見えない
評価1、2、3を合格とした。
[ユーザーの鏡像の鮮鋭性]
1:ユーザーの顔が極めてはっきりと見える
2:ユーザーの顔がはっきりと見える
3:ユーザーの顔が見える
4:ユーザーの顔は見えるが薄く、一般的なミラーとは異なることがすぐに分かる
5:ユーザーの顔が見えない
評価1、2、3、4を合格とした。
[実施例1]
(基材23の準備)
300mm角で板厚4mmのクリア系のフロートガラス板(表1内ではFL4と表記)の表面を酸化セリウムで研磨した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥させて基材23とした。
(基材上への鏡像形成層21の形成)
得られた基材23に対して、銀鏡反応を利用して銀層(表1内では、Ag層と表記)からなる鏡像形成層21を形成した。イオン交換水50gに塩化スズ(II)0.05gを溶かし濃塩酸を加えて、pH2.0とされた「めっき増感処理液」とした。次に、硝酸銀0.5gをイオン交換水50gに溶かし、更にアンモニア水を液が透明になるまで滴下し、「銀めっき液」とした。さらに、グルコノラクトース0.1gをイオン交換水50gに溶かし、更に水酸化ナトリウムを0.4g加えたものを「還元液」とした。
そして、基材23上に前記めっき増感処理液をキャストし、10秒後に水洗、乾燥することで、増感処理した。そして、前記銀めっき液と前記還元液とを等量で混合して混合液とし、速やかに、増感処理された基材23上に前記混合液をキャストした。10秒後に水洗、風乾し、200℃で保持した電気炉に投入し、5分後に取り出すことで、基材上に40nmの均一な銀層を形成し、これを鏡像形成層21とした。
(光散乱層形成塗布液の調製)
ガラス容器に、光散乱体として平均粒子径250nmのダイヤモンド粒子(1.88g)、イオン交換水(27.19g)を添加し、超音波洗浄槽にて25℃で60分間超音波分散した後に、ポリビニルピロリドン(0.94g)を添加し、1晩攪拌して、ダイヤモンド粒子分散液(ダイヤモンド粒子濃度:6.25質量%)とした。
次に、ガラス容器に、エタノール(66.90g)、イオン交換水(0.13g)、テトラエトキシシラン(TEOS、5.42g)、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS、1.54g)、1規定硝酸(0.42g)を添加し、更に、上記ダイヤモンド粒子分散液(25.60g)を添加して、室温(20℃)で2時間攪拌して、光散乱層形成塗布液(全固形分濃度5.0質量%、全固形分中のダイヤモンド粒子濃度32.0質量%)を得た。
なお、ここで、全固形分とは、(1)ダイヤモンド粒子+(2)TEOSのうちSiO換算分+(3)GPTMSのうちR−SiO3/2換算分(Rは、3−グリシジルオキシプロピル基)+(4)ポリビニルピロリドン、として計算したものである。
(光散乱層22の形成)
前記基材23上の鏡像形成層21表面に、前記光散乱層形成塗布液をスピンコーターにて塗布した後、250℃の電気炉内で10分間焼成し、板状ミラーディスプレイ2を作製した。
上述のようにして得られた板状ミラーディスプレイ2に対して、前記した、光散乱層の厚み、可視光反射率を評価し、さらに、板状ミラーディスプレイ2を用いて、図1に示すようなミラーディスプレイシステム1を組み、前記した板状ミラーディスプレイ2での映像コンテンツの見え方の官能評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の光散乱層の形成において、光散乱層形成塗布液の調合量を、エタノールを70.64g、イオン交換水を1.09g、TEOSを6.67g、GPTMSを1.89g、1規定硝酸を0.51g、ダイヤモンド粒子分散液を19.20gとすることで、光散乱層形成塗布液の全固形分濃度を5.0質量%、全固形分中のダイヤモンド粒子濃度24.0質量%とした。それ以外は実施例1と同様の方法で板状ミラーディスプレイ2を作製した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の光散乱層の形成において、光散乱層形成塗布液の調合量を、エタノールを69.64g、イオン交換水を6.79g、TEOSを7.92g、GPTMSを2.25g、1規定硝酸を0.61g、ダイヤモンド粒子分散液を12.80gとすることで、光散乱層形成塗布液の全固形分濃度を5.0質量%、全固形分中のダイヤモンド粒子濃度16.0質量%とした。それ以外は実施例1と同様の方法で板状ミラーディスプレイ2を作製した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の光散乱層の形成において、光散乱層形成塗布液の調合量を、エタノールを68.88g、イオン交換水を11.07g、TEOSを8.85g、GPTMSを2.51g、1規定硝酸を0.68g、ダイヤモンド粒子分散液を8.00gとすることで、光散乱層形成塗布液の全固形分濃度を5.0質量%、全固形分中のダイヤモンド粒子濃度10.0質量%とした。それ以外は実施例1と同様の方法で板状ミラーディスプレイ2を作製した。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1の鏡像形成層21の形成において、「銀めっき液」を等量のイオン交換水で希釈した「銀めっき液2」、「還元液」を等量のイオン交換水で希釈した「還元液2」を用意した。前記銀めっき液2と前記還元液2とを等量で混合して混合液2とし、速やかに、実施例1にて得られた銀層に対して、混合液2をキャストした。10秒後に水洗、風乾し、200℃で保持した電気炉に投入し、5分後に取り出すことで、基材上に53nmの均一な銀層を形成し、これを鏡像形成層21とした以外は、実施例1と同様の方法で板状ミラーディスプレイ2を作製した。また、板状ミラーディスプレイ2越しにわずかに視認されるプロジェクタレンズ部の輝点(ホットスポットとして知られる)が認識されなくなるという、副次的な効果が確認された。
[実施例6]
実施例1の鏡像形成層21の形成において、「銀めっき液」の代わりに、銀めっき液を等量のイオン交換水で希釈した「銀めっき液2」とし、「還元液」の代わりに、還元液を等量のイオン交換水で希釈した「還元液2」とすることで、基材上に24nmの均一な銀層を形成し、これを鏡像形成層21とした以外は、実施例1と同様の方法で板状ミラーディスプレイ2を作製した。
[実施例7]
実施例1の光散乱層の形成において、鏡像形成層21表面に光散乱層を形成する代わりに、基材23上に光散乱層22を形成し、光散乱層と基材からなる積層体Aを得た。また、実施例1の鏡像形成層21が形成された基材を用いて積層体Bとした。積層体Aと積層体Bとを用い、以下の手順で板状ミラーディスプレイ2を作製した。
手順1:積層体Aの主面のうち、光散乱層22の形成された主面と、積層体Bの主面のうち、鏡像形成層21の形成された主面との間に、樹脂中間膜(ポリビニルブチラール;表1中ではPVBと表記、厚さ0.76mm、積水化学工業社製)を挟み込み、合わせガラスを作製した。
手順2:手順1で作製した合わせガラスを真空袋に入れて、チューブで真空袋につながれている真空ポンプを用いて、真空袋内を排気した。
手順3:前記排気した真空袋をオートクレーブ内に置き、30分間、90℃に加熱し、加圧脱気して合わせ処理した。
手順4:オートクレーブ内を大気圧、常温に戻し、オートクレーブ内から真空袋を取出し、真空袋の中を大気圧に戻して、真空袋から合わせガラスを取出した。
手順5:この合わせガラスを再度、オートクレーブ内に置き、30分間、130℃で加熱・加圧処理した。
手順6:オートクレーブ内を大気圧、常温に戻し、オートクレーブ内から、板状ミラーディスプレイ2を取出した。
本実施例の評価結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例2の積層体Bの作製において、基材上に銀層を形成するところまでは同様とし、さらに銀層上に酸化チタン層(厚さ55nm)をスパッタリングで形成することで、銀層/酸化チタン層からなる鏡像形成層を形成し、積層体Bとした以外は、実施例2と同様の方法で板状ミラーディスプレイ2を作製した。
本実施例の評価結果を表1に示す。また、銀層/酸化チタン層の薄膜の干渉により、映像コンテンツの色調が改善され、良好な映像視認性を示した。
[実施例9]
実施例8の積層体Bの作製において、銀層の形成を行わずに積層体Bとし、鏡像形成層を酸化チタン薄膜(厚さ55nm)からなるものとした以外は、実施例8と同様にした。本実施例の評価結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例7の作製において、基材23を用いて積層体Aとした。また、スパッタリングにて別の基材23上に順に「酸化亜鉛アルミニウム(9nm)/銀(40nm)/酸化亜鉛スズ(40nm)/酸化チタン(20nm)」となるように鏡像形成層21を形成し、積層体Bとした。加えて、樹脂中間膜を市販の半透明白色ポリビニルブチラール(積水化学製#1001)とした。なお、半透明白色ポリビニルブチラールは、厚さ約300μmの透明なポリビニルブチラール層、炭酸カルシウム粒子(平均粒径3μm)を含む厚さ約100μmのポリビニルブチラール層(光散乱層)、厚さ約300μmの透明なポリビニルブチラール層の3層が順に積層された構造である。それら以外は実施例7と同様に合わせガラスを作製し、板状ミラーディスプレイ2とした。本実施例の評価結果を表1に示す。また、板状ミラーディスプレイ2越しにわずかに視認されるホットスポットが認識されなくなるという、副次的な効果が確認された。
[比較例1]
光散乱層22を設けない以外は、実施例1と同様にした。本比較例では、ユーザー4の鏡像41ははっきりと視認できたが、プロジェクター3からの映像コンテンツはまったく確認できなかった。
[比較例2]
鏡像形成層21の形成において、前記混合液のキャストを3回繰り返すことで、基材上に115nmの均一な銀層を形成し、光散乱層22に形成された投影像の透過性を備えないものとした以外は、実施例1と同様にした。本比較例では、ユーザー4の鏡像41は極めてはっきりと視認できたが、プロジェクター3からの映像コンテンツはまったく確認できなかった。
[比較例3]
ミラーディスプレイシステム1において、ユーザー4の配置をプロジェクター3と同じ側とした、すなわち、ユーザー4およびプロジェクター3側からみて、光散乱層22、鏡像形成層21、基材23の配置とした以外は、実施例1と同様とした。本比較例では、映像評価は「1」、ユーザーの鏡像評価が「5」となった。
[比較例4]
ミラーディスプレイシステム1において、ユーザー4の配置をプロジェクター3と同じ側とした、すなわち、ユーザー4およびプロジェクター3側からみて、光散乱層22、鏡像形成層21、基材23の配置とした以外は、実施例4と同様とした。本比較例では、映像評価は「1」、ユーザーの鏡像評価が「5」となった。
Figure 2019101433
1 ミラーディスプレイシステム
2 板状ミラーディスプレイ
21 鏡像形成層
22 光散乱層
23 可視光透過性の基材
3 プロジェクター
4 ユーザー
41 ユーザーの鏡像
51 光散乱層内に生じた映像コンテンツの投影像

Claims (13)

  1. ミラーディスプレイシステムであって、
    プロジェクター;と、
    可視光透過性を有する鏡像形成層と、可視光透過性と可視光散乱性とを有する光散乱層と、を有する板状ミラーディスプレイ;とを備え、
    前記板状ミラーディスプレイは、ユーザーと、前記プロジェクターとの間に配置され、
    前記光散乱層は、前記プロジェクターと、前記鏡像形成層との間に配置され、
    前記プロジェクターは前記光散乱層側から映像コンテンツを投影し、
    前記光散乱層は前記映像コンテンツの投影像を形成し、
    前記鏡像形成層は前記ユーザーの鏡像を形成し、
    前記投影像は、前記鏡像形成層を透過して、
    前記ユーザーに対して、前記ユーザーの鏡像と、前記投影像とを表示することを特徴とするミラーディスプレイシステム。
  2. 前記板状ミラーディスプレイの可視光反射率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載のミラーディスプレイシステム。
  3. 前記鏡像形成層の可視光透過率が0.01%〜15%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のミラーディスプレイシステム。
  4. 前記光散乱層の、ヘーズが45%〜100%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミラーディスプレイシステム。
  5. 前記光散乱層の主表面への入射角度45度の入射光に対する、入射光側の法線方向の輝度Yと、入射光が透過した側の法線方向の輝度Yとの比Y/Yが1未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のミラーディスプレイシステム。
  6. 前記鏡像形成層が金属からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミラーディスプレイシステム。
  7. 前記光散乱層が、コーティングからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のミラーディスプレイシステム。
  8. 前記板状ミラーディスプレイは、該板状ミラーディスプレイの主面の法線方向から45度の角度で入射した入射光に対して、該入射光が透過する透過側の主面の法線方向から−45°ずれた角度における輝度Yが、50未満であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載のミラーディスプレイシステム。
  9. 前記光散乱層が、前記鏡像形成層上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のミラーディスプレイシステム。
  10. 前記鏡像形成層が、コーティングからなることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のミラーディスプレイシステム。
  11. 前記板状ミラーディスプレイが、可視光透過性の基材を備え、前記鏡像形成層が前記基材上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のミラーディスプレイシステム。
  12. 前記光散乱層が、前記鏡像形成層上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のミラーディスプレイシステム。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載のミラーディスプレイシステムに使用される板状ミラーディスプレイであって、
    可視光透過性を有する鏡像形成層と、可視光透過性と可視光散乱性とを有する光散乱層と、
    を有することを特徴とする、板状ミラーディスプレイ。
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