JP2019101164A - 定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製品寿命を通して、支持部材とフィルムの摺動抵抗を小さくでき、記録材の搬送不良やトナー画像の不良のない加熱定着装置を提供する。【解決手段】 筒状のフィルムと、フィルムの内周面と接触し、フィルムを支持する支持体と、フィルムを介して支持体でニップ部を形成する、周囲に弾性層を有するローラと、ローラの表面を加熱するヒータと、を備え、トナー像が担持された記録材がニップ部に挿入され、加熱・加圧されることのよりトナー像を記録材に定着する定着装置において、支持体は、ニップ部を形成する領域における表面粗さがフィルムの移動方向の上流側に比べ、下流側の方が大きいことを特徴とする。【選択図】 図4
Description
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ等の画像形成装置に用いられる定着装置に関する。
従来から電子写真複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真プロセスを利用した機器においては、像加熱装置(定着装置)が使用されている。この定着装置の方式の一つとして、ローラ部材と、ローラ部材に無端状のベルト部材を介して圧接するバックアップ部材(支持部材)と、で定着ニップ部を形成し、定着ニップ部で、記録材を搬送しながら記録材上のトナーを記録材上に加熱定着する方式がある。ベルト部材は、ベルト部材の内周面でバックアップ部材と摺擦しながら、ローラ部材に追従して回転する。ベルト部材を使用することで、定着装置の熱容量を小さくし、少ないエネルギーでの定着を可能としている。
このような定着装置の課題の一つとして、ベルト部材とバックアップ部材の摩擦、ベルト回転時の摺動抵抗がある。バックアップ部材の表面とベルト部材が密着すると、ベルト部材回転時の摺動抵抗が高くなる。また、潤滑剤としてのグリスがバックアップ部材の表面に保持されないと、グリスが潤滑剤として機能しなくなる。摺動抵抗が大きいと、駆動するために大きな力が必要となり、駆動装置や消費電力が大きくなる他、ベルトが安定して回転できなくなる。ベルト部材とバックアップ部材の摩擦、摺動抵抗を小さくするためにバックアップ部材に凹凸をつけ、ベルト部材とバックアップ部材との間に、グリスを介在させる対策が行われている(特許文献1)。
しかしながら、バックアップ部材に凹凸をつけると、ベルト部材とバックアップ部材の摩耗が課題となる。ベルト内面やバックアップ部材の表面が摩耗すると、摩耗によって発生した粉によってグリスの潤滑性能が低下し、摺動抵抗が大きくなり、ベルトの破損や記録材の搬送不良、記録材上のトナー像の乱れが生じる恐れがあった。本発明の目的は、製品寿命を通して、バックアップ部材(支持部材)とベルト(フィルム)の摺動抵抗を小さくでき、記録材の搬送不良やトナー画像の不良のない加熱定着装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本出願に係る定着装置は、筒状のフィルムと、フィルムの内周面と接触し、フィルムを支持する支持体と、フィルムを介して支持体とでニップ部を形成する、周囲に弾性層を有するローラと、ローラの表面を加熱するヒータと、を備え、トナー像が担持された記録材がニップ部に挿入され、加熱・加圧されることのよりトナー像を記録材に定着する定着装置において、支持体は、ニップ部を形成する領域における表面粗さがフィルムの移動方向の上流側に比べ、下流側の方が大きいことを特徴とする。
上記目的を達成するため、本出願に係る他の定着装置は、筒状のフィルムと、フィルムの内周面と接触し、フィルムを支持する支持体と、フィルムを介して支持体とでニップ部を形成する、周囲に弾性層を有するローラと、フィルムを加熱するヒータと、を備え、ヒータで熱せられたフィルムがニップ部に移動し、トナー像が担持された記録材がニップ部に挿入され、加熱・加圧されることのよりトナー像を記録材に定着する定着装置において、支持体は、ニップ部を形成する領域における表面粗さがフィルムの移動方向の上流側に比べ、下流側の方が大きいことを特徴とする。
本発明によれば、製品寿命を通して、支持部材とフィルムの摺動抵抗を小さくでき、記録材の搬送不良やトナー画像の不良のない加熱定着装置を提供することができる。
〔実施例1〕
(1)画像形成装置
図1として、本実施例にて用いた画像形成装置Pを示す。画像形成装置Pは、記録材Sの搬送経路Gと、この搬送経路3に対して略鉛直方向へ略直線状に配列された4つの画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kと、を備えている。4つの画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kのうち、3Yはイエロー(以下、Yと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。3Mはマゼンタ(以下、Mと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。3Cはシアン(以下、Cと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。3Kはブラック(以下、Kと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。
(1)画像形成装置
図1として、本実施例にて用いた画像形成装置Pを示す。画像形成装置Pは、記録材Sの搬送経路Gと、この搬送経路3に対して略鉛直方向へ略直線状に配列された4つの画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kと、を備えている。4つの画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kのうち、3Yはイエロー(以下、Yと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。3Mはマゼンタ(以下、Mと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。3Cはシアン(以下、Cと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。3Kはブラック(以下、Kと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。
各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kは、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光体ドラム)4Y,4M,4C,4Kと、帯電手段としての帯電ローラ5Y,5M,5C,5Kを有している。また、各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kは、露光手段としての露光装置6と、現像手段としての現像装置7Y,7M,7C,7Kと、クリーニング手段としてのクリーニング装置8Y,8M,8C,8Kを有している。ビデオコントローラ300は、ホストコンピュータなどの外部装置(不図示)から画像情報を受信すると、制御手段31にプリント信号を送信し、画像形成動作が開始する。画像形成に際し、画像形成ステーション3Yでは感光体ドラム4Yが矢印方向R1に回転される。まず感光体ドラム4Yの外周面(表面)は帯電ローラ5Yにより一様に帯電され、その感光体ドラム4Yの表面の帯電面に露光装置6により画像データに応じたレーザ光が照射されることによって露光され静電潜像が形成される。その潜像は現像装置7Yによりイエロートナーを用いて顕像化されイエロートナー像となる。これにより、感光体ドラム4Yの表面にイエロートナー像が形成される。画像形成ステーション3M,3C,3Kにおいても同様の画像形成プロセスが行なわれる。これにより、感光体ドラム4Mの表面にマゼンタトナー像が、感光体ドラム4Cの表面にシアントナー像が、感光体ドラム4Kの表面にブラックトナー像が、それぞれ形成される。
画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kの配列方向に沿って設けられているエンドレスの中間転写ベルト9は、駆動ローラ9aと、従動ローラ9bと、従動ローラ9cとに張架されている。駆動ローラ9aは、図1中矢印方向R2に回転する。これにより、中間転写ベルト9は、各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kに沿って100mm/secのスピードで回転移動される。中間転写ベルト9を挟んで感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kと対向配置されている一次転写手段10Y,10M,10C,10Kにより、この中間転写ベルト9の外周面(表面)には、各色のトナー像が順次重ね転写される。これによって、中間転写ベルト9の表面に4色のフルカラートナー像が形成される。
一次転写後に感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kの表面に残った転写残トナーは、クリーニング装置8Y,8M,8C,8Kに設けられている不図示のクリーニングブレードにより除去される。これにより感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kは次の画像形成に備える。
一方、画像形成装置Pの下部に設けられた給送カセット11に積載収納されている記録材Sは、給送ローラ12によって給送カセット11から一枚ずつ分離給送され、レジストローラ対13に給送される。レジストローラ対13は、給送された記録材Sを、中間転写ベルト9と二次転写ローラ14との間の転写ニップ部に送り出す。二次転写ローラ14は、中間転写ベルト9を挟んで従動ローラ9bと対向するように配置される。二次転写ローラ14には、記録材Sが転写ニップ部を通過する際に不図示の高圧電源からバイアスが印加される。これにより転写ニップ部を通過する記録材Sに中間転写ベルト9の表面からフルカラーのトナー像が二次転写される。そのトナーを担持した記録材Sは定着装置Fに搬送される。その記録材Sは、定着装置Fを通過することにより加熱及び加圧され、そのトナー像が記録材S上に加熱定着される。そしてその記録材Sは、定着装置Fから画像形成装置(プリンタ)P外部の排出トレイ25へ排出される。
二次転写後に中間転写ベルト9の表面に残った転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置26により除去される。これにより中間転写ベルト9は次の画像形成に備える。
(2)定着装置
トナー像の定着手段としての定着装置について述べる。図2は、本実施例に係る定着装置Fの断面構成を模式的に表す図である。図3は、セラミックヒータ15と通電制御系とを表す説明図である。この定着装置Fは外部加熱方式の定着装置である。
トナー像の定着手段としての定着装置について述べる。図2は、本実施例に係る定着装置Fの断面構成を模式的に表す図である。図3は、セラミックヒータ15と通電制御系とを表す説明図である。この定着装置Fは外部加熱方式の定着装置である。
本実施例に示す定着装置Fは、定着回転体としての定着ローラ(ローラ)30と、加熱手段としての加熱ユニット1と、定着ローラ30と圧接して、定着ニップ部N1を形成する加圧ユニット50などを有している。定着ローラ30は長手方向に長い部材である。
定着ローラ30は、鉄、SUS、アルミニウム等の金属材料からなる丸軸状の芯金30Aを有している。そしてこの芯金30Aの周囲にシリコーンゴムなどを主成分とする弾性層30Bが形成され、この弾性層30Bの外周面上に離型層30Cが形成されている。なお離型層30Cは、主成分がPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)又はFEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などで構成されている。
加圧ユニット50は、筒状のフィルムからなる加圧ベルト51と、加圧ベルト51を周方向へ移動可能に支持する支持部材としての加圧ベルトガイド52(支持体)を有している。加圧ベルトガイド52は、所定の耐熱性材料を用いて横断面略凹字形状に形成されたフレーム52a(支持部)と、定着ローラ30に当接する加圧ベルト51を支持し、加圧ベルト51と定着ローラ30の間に定着ニップ部N1を形成させる加圧摺動部53を有している。
加圧ベルト51は、加圧ベルト51の内周長が加圧ベルトガイド52の外周長より所定長だけ長くなるように形成され、加圧ベルトガイド52に対して張力が掛ることなく、ルーズに加圧ベルトガイド52の周りを囲むように配置されている。加圧ベルト51は、ポリイミドを主成分とする無端帯状のベルト基層の外周面を、無端帯状の表面層により被覆した二層構造とされている。表面層は、PTFE、PFA、FEPなどのフッ素樹脂を主成分としたものが用いられている。加圧ベルト基層は、上記の他に、PAI(ポリアミドイミド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などを主成分とする樹脂、あるいは、SUSなどの金属を主成分とするものであってもよい。
図4に、加圧摺動部53の模式図を示す。加圧摺動部53は、アルミニウムA1050からなる金属板で、加圧ベルト51の回転方向A(加圧ベルト51の表面の移動方向)における下流側53Bにのみブラスト処理を行う。これにより、回転方向Aにおける上流側53Aと下流側53Bで表面粗さを変えており、上流側53Aよりも下流側53Bの表面粗さを大きくしている。回転方向上流側の領域の表面粗さRaは、極力小さいことが望ましく、好ましくは0.5μm未満である。回転方向下流側の領域の表面粗さRaは、上流側よりも大きければ良い。好ましくは0.5μm以上である。例えば、回転方向上流側の表面粗さRaは、0.1μmであり、ブラスト処理後の回転方向下流側の表面粗さRaは、1.5μmである。表面粗さRaは、算術平均粗さで、接触式表面粗さ測定器、サーフコム1500(東京精密製)を用いて測定した。主な測定条件は、測定長4.0mm、測定速度0.15mm/秒、カットオフ(λC)0.8mmである。
加圧摺動部53は、耐熱性があり、上流側と下流側で表面粗さを変えることができる部材であれば良い。このため加圧摺動部53は、主成分がアルミニウム、SUS、鉄などの金属や、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、LCP(液晶ポリマー)などの樹脂、またセラミックやガラスであってもよい。また、上記実施例では加圧摺動部53における上流側領域と下流側領域、2つの領域に分け、上流側領域を下流側領域に比べ表面粗さが小さい領域とした。しかしながら、加圧摺動部53の加圧ベルト51との摺擦領域は、2以上の複数の領域にする他、上流側から下流側へ向かうにつれて表面粗さが連続的、または段階的に大きくなるようにしてもよい。加えて、加圧ベルト51の回転方向上流と下流の表面粗さを変えることができればどのような手段でもよい。このため、加圧摺動部53の表面粗さを変える手段は、研磨や、プレスなどの機械的処理、あるいはアルマイト処理などの化学的処理であってもよく、またコーティングなどでもよい。
加圧ベルト51と加圧摺動部53の間には、潤滑剤としてのグリスが塗布されている。例えば、フッ素オイルやシリコーンオイルを主成分としたグリスである。
そして加圧ベルトガイド52の長手方向両端部を加圧バネ(不図示)によって定着ローラ30の母線方向と直交する方向へ付勢する。これにより、加圧ベルトガイド52のフレーム52aに支持された加圧摺動部53の平坦面53Cで加圧ベルト51を定着ローラ30の表面に押し付けるようにして接触(当接)させている。この結果、定着ローラ30の弾性層30Bが加圧摺動部53の平坦面と対応する位置で潰れて弾性変形し、定着ローラ30の表面と加圧ベルト51の外周面(表面)とで所定幅だけ接触する接触部である定着ニップ部N1が形成される。従って定着ローラ30は加圧ベルト51と共に定着ニップ部N1を形成する。
加熱ユニット1は、加熱源としてのセラミックヒータ(以下、ヒータ)15と、加熱部材としての筒状のフィルムからなる加熱ベルト16と、加熱部材用の回転保持部材としての加熱ベルトガイド19などを有している。加熱ベルトガイド19は、所定の耐熱性材料を用いて横断面略凹字形状に形成されている。
ヒータ15は加熱ベルトガイド19の長手方向に沿って加熱ベルトガイド19の平坦面に設けられた溝19Aに支持され、ヒータ15を支持させた加熱ベルトガイド19に加熱ベルト16をルーズに外嵌させている。ヒータ15と、加熱ベルト16と、加熱ベルトガイド19は、何れも長手方向に長い部材である。
ヒータ15は、アルミナ、窒化アルミ等のセラミックを主成分とする薄板状のヒータ基板15Aを有している。このヒータ基板15Aの加熱ベルト16側の基板面には、銀、パラジウム等を主成分とした通電発熱抵抗体15Bがヒータ基板15Aの長手方向に沿って設けられている(図3)。またこの基板面には、ガラス又はフッ素樹脂、ポリイミド等の耐熱樹脂を主成分とする保護層15Cが通電発熱抵抗体15Bを覆うように設けられている。
加熱ベルト16は、加熱ベルト16の内周長が加熱ベルトガイド19の外周長より所定長だけ長くなるように形成され、加熱ベルトガイド19に対して張力が掛ることなく、ルーズに加熱ベルトガイド19の周りを囲むように配置されている。加熱ベルト16の層構成として、ポリイミドを主成分とする無端帯状のベルト基層の外周面を、PFAを主成分とする無端帯状の表面層により被覆するという二層構造が採用されている。この加熱ユニット1は、定着ローラ30の図2における上方において、定着ローラ30の軸線方向に沿って配置されている。
加熱ベルトガイド19は、長手方向両端部を加圧バネ(不図示)によって定着ローラ30の母線方向と直交する方向へ付勢され、ヒータ15と加熱ベルトガイド19で加熱ベルト16を定着ローラ30の外周面(表面)に加圧した状態で接触(当接)させている。定着ローラ30は加熱ベルトガイド19およびヒータ15と共に加熱ベルト16を挟んで加熱ニップ部N2を形成する。
図2及び図3を参照して、定着装置Fの加熱定着動作を説明する。制御手段(不図示)は、プリント指令に応じて実行される画像形成シーケンスに従い駆動源としての駆動モータ(不図示)を回転駆動する。この駆動モータの出力軸の回転は所定のギア列(不図示)を介して定着ローラ30の芯金30Aに伝達される。これにより定着ローラ30は、矢印方向へ所定の周速度(プロセススピード)で回転する。定着ローラ30の回転力は、定着ニップ部N1において定着ローラ30の表面と加圧ベルト51の表面との摩擦力によって加圧ベルト51に伝わる。これにより加圧ベルト51は加圧ベルト51の内周面(内面)が加圧摺動部53の平坦面と摺擦しながら定着ローラ30の回転に追従する。また定着ローラ30の回転力は、加熱ニップ部N2において定着ローラ30の表面と加熱ベルト16の表面との摩擦力によって加熱ベルト16に伝わる。これにより加熱ベルト16は、加熱ベルト16の内周面(内面)がヒータ15の外表面と接触しながら定着ローラ30の回転に追従して矢印方向へ回転する。
またCPU23は、画像形成シーケンスに従い通電制御部としてのトライアック20をオンにする。トライアック20はAC電源21から印加される電力を制御し、ヒータ15の通電発熱抵抗体15Bへの通電を開始する。この通電により通電発熱抵抗体15Bが発熱してヒータ15は急速に昇温し加熱ベルト16を加熱する。ヒータ15の温度はヒータ基板15Aに設けられた温度検知部材としてのサーミスタ18により検知される。CPU23は、サーミスタ18からの出力信号(温度検知信号)をA/D変換回路22を介して取り込み、この出力信号に基づいてヒータ15を所定の定着温度(目標温度)に維持するようにトライアック20を制御する。これによりヒータ15は所定の温度に温調される。
回転動作している定着ローラ30の表面は、加熱ニップ部N2でヒータ15上の通電発熱体15Bにより加熱ベルト16を介して加熱される。これにより定着ローラ30の表面には記録材Sが担持する未定着のトナー像Tを定着ニップ部N1で加熱定着するために必要十分な熱量が与えられる。駆動モータを回転駆動し、かつヒータ15を温調している状態において、未定着のトナー像Tを担持した記録材Sのトナー像担持面が鉛直上方を向くようにして定着ニップ部N1に挿入される。記録材Sは、定着ニップ部N1で定着ローラ30の表面と加圧ベルト51の表面とにより挟持されその状態に搬送(挟持搬送)される。この搬送過程においてトナー像Tが定着ローラ30の表面で加熱されて溶融すると共にこの溶融したトナー像Tに定着ニップ部N1によるニップ圧が印加され、これによりトナー像Tは記録材Sの面上に加熱定着される。
本実施例における定着装置Fは、記録材S上のトナーを加熱定着する定着ニップ部N1以外の領域に主要な加熱源を備えた外部加熱定着方式である。外部加熱方式の定着装置では、定着ニップ部N1における定着ローラ30の表面温度を、定着ローラ30の回転方向上流側で最も高く、下流側で低くできる。加熱ニップ部N2で、加熱ユニット1によって加熱された定着ローラ30は、定着ローラ30の回転に伴い、定着ニップ部N1に到達し、定着ニップ部N1で記録材Sおよび加圧ベルト51に蓄熱した熱を受け渡す。図5は、定着ニップ部N1における定着ローラ30の表面の温度分布の一例を示したグラフである。横軸は定着ニップ部N1の入り口からの位置であり、縦軸は部材の温度である。定着ニップ部N1における定着ローラ30の表面温度は、定着ローラ30の回転方向上流側で最も高く、下流側で温度が低くなる。このような温度分布によって、定着ニップ部N1の上流側の温度の高い領域で、記録材S上のトナー像を溶融させ、下流側の温度の低い領域で、トナー像を記録材S上に固着させることができる。この結果、定着ニップ部N1の出口で定着ローラ30と記録材S上のトナー像が分離する際に、トナーの溶けすぎによる分離不良や画像不良を出すことなく、良好なトナー画像を得ることができる。
本実施例における定着装置Fは、記録材S上のトナーを加熱定着する定着ニップ部N1以外の領域に加熱源を備えた外部加熱定着方式とし、加圧ベルト51の回転方向において加圧摺動部53の表面粗さを下流側に比べ上流側を小さくするように異ならせている。
摺擦する部材の温度が高いほど、部材の弾性率が低下し、部材間の密着性が増す他、摩耗が促進される上、潤滑剤としてのグリスが分解、劣化する。摩耗により粉が発生してしまい、グリスに摩耗によって生じた粉が混じると、グリスの粘度があがり、加圧ベルト51と加圧摺動部53との摺動抵抗が大きくなるとした課題があった。
そこで本実施例では、温度が高く、摩耗が促進される定着ニップ部N1の上流領域の加圧摺動部53の表面粗さを小さくすることで、加圧ベルト51および加圧摺動部53の摩耗を少なくしている。
また、定着ニップ部N1の下流領域では、加圧摺動部53の表面粗さを大きくすることで、下流領域で加圧摺動部53上にグリスを保持しやすくしている。加圧ベルト51と加圧摺動部53の間に介在しているグリスは、加圧ベルト51の回転に伴って下流側に移動する。グリスが定着ニップ部N1から押し出されてしまうと、潤滑剤として機能しなくなり、摺動抵抗が大きくなってしまう。しかしながら本実施例では、下流側でグリスを保持することができるようにし、摺動抵抗が大きくなることが抑制されている。なお、定着ニップ部N1の下流領域においては、定着ニップ部N1の上流領域の温度に比べて低い。このため、部材の弾性率が低下することを抑制でき、加圧摺動部53の表面粗さを大きくした場合であっても摩耗により粉が発生し難くすることができる他、潤滑剤としてのグリスの分解、劣化を抑制することができる。さらには、定着ニップ部N1内で表面の粗い領域を作ることも相まって、加圧ベルト51と加圧摺動部53が密着しすぎるのを防ぐことができる。
このように定着ニップ部N1の下流領域においては、温度が低くなるようにするとともに、加圧摺動部53の表面粗さを大きくすることで、加圧ベルト51および加圧摺動部53の摩耗を少なくしている。
以上のように定着ニップ部N1の下流領域では、加圧摺動部53の表面粗さを大きくすることにより、加圧ベルト51および加圧摺動部53の摩耗、削れを抑制し、長期に渡りグリスによる摺擦抵抗の増加を抑制できる構成とすることができる。
(実験)
本実施例における定着装置Fで、本実施例の加圧摺動部53の効果を確認する実験を行った。
本実施例における定着装置Fで、本実施例の加圧摺動部53の効果を確認する実験を行った。
実施例及び比較例に係る定着装置Fでは、φ14mmの鉄製の芯金上に厚み3tのシリコーンゴムからなる弾性層、最外層に厚み15μmのPFAからなる表層を形成した外径φ20mmの定着ローラ30を用いた。また定着ローラ30は、ローラ状態での硬度が45°(高分子計器製アスカーC硬度計、600g荷重測定)としている。定着ローラ30を、加圧力20kgfで、加圧ベルト51を介して、加圧摺動部53に当接し、幅7.0mmの定着ニップ部N1を形成している。
加圧ベルト51と加圧摺動部53との間には、フッ素オイルを主成分とするグリスを400mg塗布している。実験に用いた画像形成装置のプロセススピードは100mm/sで、先行する記録材Sと次の記録材Sの間隔(紙間)は30mmである。なお、加熱ユニット1内のヒータ15の温調温度は200℃とした。
実施例及び比較例に係る定着装置Fでは、ポリイミドを主成分とした厚み80μmの基層と、PFAを主材料とした厚み20μmの表層からなり、外径が20mmの加圧ベルト51を用いた。また実施例及び比較例では、加圧摺動部53としてアルミニウムA1050からなる厚み1mm、短手幅10mmの金属板を用いた。本実施例においては、加圧摺動部53の加圧ベルト51との接触面において、加圧ベルト51の回転方向下流側5mmの領域にのみブラスト処理を行い、下流側と上流側の表面粗さを変えた構成としている(図4)。具体的には本実施例では、加圧摺動部53の加圧ベルト51の回転方向上流側と下流側の表面粗さを変え、上流側の表面粗さを下流側よりも小さくしている。
一方、比較例として、加圧摺動部53の加圧ベルト51との接触面における表面粗さを実施例と異ならせた3つの構成を挙げ、本実施例の効果を検証した。具体的には、比較例1ではブラスト処理なしで全面の表面粗さを小さくした加圧摺動部53を、比較例2ではブラスト処理を用いて上流側のみ表面粗さを大きくした加圧摺動部53を、そして比較例3では全面の表面粗さを大きくした加圧摺動部53を用いた。実験に使用した加圧摺動部53の平均表面粗さを表1に示す。
加圧摺動部53と加圧ベルト51との摺動抵抗の違いを確認するために、実施例及び比較例に係る新品時の定着装置Fにおける駆動トルクを測定した。具体的には定着装置Fの定着ローラ30を回転駆動させながら、目標温調温度まで立ち上げ、記録材Sの加熱定着動作を行う際の、定着ローラ30の駆動モータのトルクをトルクメータで測定した。
次に、実施例及び比較例1〜3の定着装置Fをそれぞれ備えた画像形成装置で、LBP印刷用紙に文字を印字率5%で形成した画像を2枚連続でプリントを行った後、15秒休止を繰り返す、耐久試験を3万枚行った。記録材Sは、一般的なLBP印刷用紙、坪量80g/m2、A4(幅210mm縦297mm)サイズ紙を用いた。耐久試験後、それぞれの画像形成装置の定着装置Fのトルクを測定した。表2にそれぞれの定着装置Fの新品時の駆動トルクと、3万枚の耐久試験後の駆動トルク測定結果を示す。
新品時の駆動トルクにおいては、実施例及び比較例2、3に比べて、比較例1が大きくなった。比較例1は、加圧摺動部53の加圧ベルト51と対向する全面で表面粗さが小さいため、加圧ベルト51と加圧摺動部53との密着性が高くなり、駆動トルクが大きくなったものと考えられる。一方、比較例3は、実施例及び比較例1、2に比べ、駆動トルクが小さくなった。比較例3は、加圧摺動部53の加圧ベルト51と対向する全面で表面粗さが大きいため、加圧ベルト51と加圧摺動部53の間に多くのグリスが介在することによって摺擦抵抗を小さくすることができ、駆動トルクが小さくできたものと考えられる。また、実施例が比較例2に比べて駆動トルクが小さくなった。加圧ベルト51の加圧摺動部53と摺擦する内面のうち、加圧ベルト51の回転方向上流側は下流側に比べ、高温となる。このため、加圧摺動部53の回転方向上流側の表面粗さが大きくされた実施例2は、加圧摺動部53の回転方向下流側の表面粗さが大きくされた実施例に比べ、多くのグリスが高温に晒され、グリスが劣化して潤滑性能が低下したため、と考えられる。
耐久試験後の駆動トルクにおいては、比較例1の耐久後の駆動トルクは、新品時よりは小さくなった。比較例1を分解し、加圧摺動部53の表面粗さを測定したところ、新品時にRz0.1μmだった加圧摺動部53の表面粗さは、やや大きくなり、Rz0.2μmとなっていた。耐久試験によって加圧摺動部53の表面がわずかながら摩耗したため、加圧ベルト51との密着性が低くなって、摺動抵抗が多少減少したものと考えられる。しかしながら、回転に要する駆動トルクが新品時に比べ低下したものの、新品時の駆動トルクが大きく、依然として加圧ベルト51を回転させるには大きなトルクを要する。
一方、比較例3では、耐久試験後の駆動トルクが大幅に大きくなった。比較例3に係る定着装置Fを分解し、加圧ベルト51の内面と、加圧摺動部53を観察した。加圧ベルト51の内面と加圧摺動部53の表面には摩耗による傷が入り、加圧摺動部53の表面にはグリスと摩耗粉が混じったものが付着していることがわかった。加圧部材51の内面と加圧摺動部53が摺擦し、摩耗粉が発生し、グリスに混ざることにより、グリスの粘度が高まり、摺擦抵抗が大きくなり、回転に要する駆動トルクが大きくなったものと考えられる。
実施例は、比較例2及び3に比べ、耐久後の駆動トルクの増加量を低減することはできた。実施例に係る定着装置Fと比較例2に係る定着装置Fを分解し、加圧ベルト51の内面と、加圧摺動部53を観察した。加圧ベルト51の内面と加圧摺動部53の表面には摩耗による傷が入り、加圧摺動部53の表面にはグリスと摩耗粉が混じったものが付着していることがわかった。実施例3同様、加圧ベルト51の内面と加圧摺動部53が摺擦し、摩耗粉が発生し、グリスに混ざることにより、グリスの粘度が高まり、摺擦抵抗が大きくなり、回転に要する駆動トルクが大きくなったものと考えられる。しかしながら実施例と比較例2は、実施例3に比べ、加圧摺動部53の表面粗さが大きい面積を小さくした。これにより、加圧ベルト51と加圧摺動部53の摩耗で生じる摩耗粉の発生が少なくグリスの粘度が高くなることが抑制され、摺擦抵抗、ひいては回転に要する駆動トルクの増加を抑制できたものと考えられる。
ここで加圧ベルト51の加圧摺動部53と摺擦する内面のうち、加圧ベルト51の回転方向上流側は下流側に比べ、高温となる。つまり、樹脂で形成された加圧ベルト51は、回転方向上流側は下流側に比べて柔らかくなる。そこで本実施例では、実施例2のように回転方向上流側の表面粗さが大きくされた加圧摺動部53を用いず、回転方向下流側の表面粗さが大きくされた加圧摺動部53を用い、加圧ベルト51と加圧摺動部53の摩耗で生じる摩耗粉の発生を抑制している。また本実施例では、回転方向下流側の表面粗さが大きくされた加圧摺動部53を用い、加圧摺動部53の回転方向下流側で多くのグリスを保持可能としている。これにより本実施例では、比較例2に比べ、グリスの潤滑性能を低下させることなく、グリスの劣化を抑制し、摺擦抵抗、ひいては回転に要する駆動トルクの増加を抑制している。
以上により加圧ベルト51の回転方向において、加圧摺動部53の上流側の表面粗さを下流側よりも小さくした実施例に係る定着装置Fは、新品時から耐久後まで、駆動トルクを小さく維持することができることを確認することができた。言い換えると、加圧摺動部53の表面粗さを下流側よりも上流側を小さくすることによって、耐摩耗性と低摺動抵抗を両立できることを確認することができた。
なお本実施例では、加熱ユニット1は、加熱源としてのヒータ15と、加熱ベルト16を有する加熱ベルト構成とした。しかしながら、定着ニップ部N1において、ローラ部材とベルト部材で、挟持搬送しながら加熱定着する加熱定着装置であって、定着ニップ部N1以外で定着部材を加熱する構成であればよい。例えば、加熱ユニットは、加熱ローラ構成でも良い。図6に示す本実施例の変形例1の定着装置Fのように、中空の金属円筒61の内部に、ハロゲンヒータ62などの加熱源を備えた加熱ローラ60を、加熱ニップ部N2で定着ローラ30に当接し、加熱する構成としてもよい。この他、定着ローラ30の表面を誘導加熱などによって非接触で加熱する非接触加熱構成でも良い。
さらに図7に示す本実施例の変形例2の定着装置Fのように、芯金30Aの外側に、弾性層30B、その外側にNiなどからなる金属発熱層30D、そして最表面に表層30Cを備えた定着ローラ30を用いてもよい。この場合、磁場によって定着ローラ30の発熱層30Dに渦電流を発生させ、発熱させる誘導加熱装置90を備え、誘導加熱部領域N3において、定着ローラ30を加熱する。
他には、本実施例では定着ローラ30は、内部に加熱源を持たない構成としたが、内部に加熱源を持った構成でも良い。
図8に示す本実施例の変形例3の定着装置Fのように、定着ローラ30は中空の芯金30Aの外側に、弾性層30Bと表層30Cを備え、中空芯金内部に、補助ヒータとなるハロゲンヒータ30Eを備える構成としてもよい。この場合、定着ローラ30は、表面に当接された加熱ユニット1によって加熱されるが、中空芯金内部に備えた補助ヒータとなるハロゲンヒータ30Eで定着ローラ30の温度上昇を助ける構成とする。
以上のように、いずれの変形例における定着装置Fでも、定着ニップ部N1において、上流側の温度は、下流側の温度よりも高くなるようにされるものであり、このような構成となるものであれば、他の構成であっても本実施例と同様の効果を得ることができる。
以上、説明したように、本発明における定着装置では、加圧ベルト51の回転方向において加圧摺動部53の表面粗さを下流側に比べ上流側を小さくするように異ならせている。これにより、新品時から製品寿命を通して、加圧摺動部53と加圧ベルト51の摺動抵抗を小さく維持することができ、記録材の搬送不良やトナー画像の不良のない加熱定着装置を提供することができる。
〔実施例2〕
以下では、本発明の実施例2に係る構成について、図9を用いて説明を行う。実施例1と同様の構成には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。実施例1では、単一の加圧摺動部53において、加圧ベルト51との接触面に部分的なブラスト処理を行い、下流側と上流側の表面粗さを変えた構成としている。しかしこれに限らず、加圧摺動部として複数の部材を用いてもよい。本実施例では、定着ローラ30と対向し、加圧ベルト51内面と摺動するバックアップ部材を、表面粗さの異なる複数の部材で構成する。
以下では、本発明の実施例2に係る構成について、図9を用いて説明を行う。実施例1と同様の構成には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。実施例1では、単一の加圧摺動部53において、加圧ベルト51との接触面に部分的なブラスト処理を行い、下流側と上流側の表面粗さを変えた構成としている。しかしこれに限らず、加圧摺動部として複数の部材を用いてもよい。本実施例では、定着ローラ30と対向し、加圧ベルト51内面と摺動するバックアップ部材を、表面粗さの異なる複数の部材で構成する。
図9に本実施例における定着装置Fおよび加圧ユニット50の模式図を示す。加圧ユニット50は、加圧ベルト51に加え、加圧ベルト51を介して定着ローラ30に当接する加圧摺動部53C、53D、上記二つの加圧摺動部を支持するフレーム52aを備えた加圧ベルトガイド52を有する。加圧ベルト51の回転方向上流側には加圧摺動部53Cが、また加圧ベルト51の回転方向下流側に加圧摺動部53Dを配置した構成としている。本実施例では加圧摺動部53Cは、アルミニウムA1050を圧延して得られた金属板を用い、加圧ベルト51内面と当接する表面の表面粗さRaを0.01μmとした。また加圧摺動部53Dは、LCP樹脂を射出成型した樹脂部材を用い、型の表面状態や成型条件を調整し、加圧ベルト51内面と当接する表面の表面粗さRaは1.0μmとしている。
加圧摺動部53Cは、加圧摺動部53Dに比べて表面粗さが小さくできる材料であれば良いが、より好ましくは、アルミニウム、SUS、鉄などを主成分とする金属、あるいは、セラミック、ガラスなど耐熱性と耐摩耗性に優れた材料である。
加圧摺動部53Dは、加圧摺動部53Cに比べて表面粗さが大きくできる材料であれば良いが、より好ましくは、加圧ベルト51内面に対して密着性が小さく、グリスを保持しやすい多孔質や、網目形状、凹凸形状を形成した樹脂部材やセラミックである。
このような構成とすることにより、実施例1同様、新品時から耐久後まで、定着装置Fの駆動トルクを小さく維持することができ、耐摩耗性と低摺動抵抗を両立することができる。特に本実施例では、加圧摺動部を表面粗さの異なる複数の部材で構成することで、加圧摺動部53に特別な表面処理をすることなく容易に定着装置を製造することが可能となる。また上流側には、耐摩耗性、耐熱性に優れた材料を用い、下流側には表面形状の自由度に優れた材料を用いることができ、より求められる機能に応じた材料を選択することができ、機能や耐久性を向上させることができる。
なお本実施例では、バックアップ部材として表面粗さの異なる複数の加圧摺動部を加圧ベルトガイド52のフレーム52a上に並べて配置したが、一方の加圧摺動部を加圧ベルトガイド52のフレーム52aが兼ねた構成としても良い。
本実施例の変形例に係る定着装置Fの概略断面図を図10に示す。本変形例に係る加圧ベルトガイド52は、実施例2における加圧ベルトガイド52のフレーム52aが加圧摺動部52Dを兼ねた構成とされている。具体的には、加圧摺動部53Cを支持しつつ、定着ニップ部N1の下流側で加圧ベルト51を介して、定着ローラ30と当接する摺動領域を備えた構成とされている。本変形例での加圧ベルトガイド52は、例えばLCP樹脂を射出成型した樹脂部材であり、加圧ベルトガイド52のフレーム52aにおける加圧ベルト51との摺動領域の表面粗さRaは、1.0μmとしている。
本変形例における定着装置Fとした場合であっても、実施例2と同様の作用効果を得ることができる上、実施例2に比べ、部品点数を削減しつつ、簡便に作成可能とすることができる。
〔実施例3〕
以下では、本発明の実施例3に係る構成について、図11を用いて説明を行う。実施例1と同様の構成には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。実施例1では、セラミックヒータ15で加熱された加熱ベルト16を有する加熱ユニット1を用い、定着ローラ30の表面を加熱する構成とした。しかしながら、これに限らず、定着ベルト80の表面を加熱し、定着ベルト80と加圧ローラ70の間に形成した定着ニップ部N1において、記録材S上のトナー像を加熱定着する構成としてもよい。
以下では、本発明の実施例3に係る構成について、図11を用いて説明を行う。実施例1と同様の構成には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。実施例1では、セラミックヒータ15で加熱された加熱ベルト16を有する加熱ユニット1を用い、定着ローラ30の表面を加熱する構成とした。しかしながら、これに限らず、定着ベルト80の表面を加熱し、定着ベルト80と加圧ローラ70の間に形成した定着ニップ部N1において、記録材S上のトナー像を加熱定着する構成としてもよい。
図11に本実施例における定着装置Fの横断面模型図を示す。定着装置Fは、加圧ローラ70と定着ベルト80、加圧摺動部53、を備え、加圧ローラ70と、定着ベルト80を介して、バックアップ部材としての加圧摺動部53と所定の加圧力で当接し、定着ニップ部N1を形成する。この定着装置Fは、加圧ローラ70を回転駆動し定着ベルト80を加圧ローラ70の搬送力により回転させ、定着ニップ部N1において、記録材Sを挟持搬送しながら加熱定着するベルト加熱方式、加圧ローラ駆動方式である。
定着ベルト80は、例えばNi金属を主成分とする厚み30μmの基層80Aの外側に、厚み200μmのシリコーンゴムからなる弾性層80B、最外層にフッ素樹脂からなる厚み15μmの離形層80Cからなる。誘導加熱領域N3には、定着ベルト80の外側に、非接触で誘導加熱装置90が配置される。また、定着ベルト80の表面温度を非接触で測定する非図示の温度検知素子91と、誘導加熱装置90が発生する磁界の強さを制御する非図示の制御部92を備え、非図示のCPUにて制御される。
加圧ローラ70は、芯金70Aの外層にシリコーンゴムからなる弾性層70Bを備え、最表層にフッ素樹脂からなる表層70Cを備え、非図示の駆動手段によって回転駆動可能である。定着ベルト80を介して加圧摺動部53に押圧され、弾性層70Bが変形して、定着ニップ部N1を形成する。
画像形成装置の画像形成や、記録材Sの定着前後の動作は、実施例1と同様である。本実施例の定着装置Fでは、加圧ローラ70が回転駆動され、加圧ローラ70に追従して、定着ベルト80が回転する。誘導加熱装置90によって、定着ベルト80は加熱され、非接触温度検知素子にて、定着ベルト80の表面温度が所定の温度になるように誘導加熱装置90の出力が調整される。
加圧摺動部53は、実施例1の定着装置Fの加圧摺動部53と同様に、アルミニウムA1050からなる金属板で、定着ベルト80の回転方向下流側53Bにのみブラスト処理を行い、回転方向上流側53Aと下流側53Bで表面粗さを変えている。本実施例では、回転方向上流側の表面粗さRaを平均0.1μmとし、回転方向下流側の表面粗さRaを平均1.5μmとした。
実施例1に対し、本実施例に係る定着装置では、記録材Sの加熱源がローラ部材からベルト部材に入れ替わっている。しかしながら、本実施例の定着装置Fにおいても、定着ベルト80内面と加圧摺動部53の摩耗や、摺動抵抗が課題となる。さらに定着ベルト80は、定着ニップ部N1以外の位置で外部加熱されており、定着ニップ部N1において定着ベルト80の回転方向上流側の温度が下流側の温度よりも高くなるため、実施例1と同様のメカニズムにより実施例1同様の作用・効果を得ることができる。すなわち本実施例においても加圧摺動部53における定着ベルト80の回転方向上流側の表面粗さを下流側の表面粗さよりも小さくすることで新品時から製品寿命を通して加圧摺動部53と加圧ベルト51の摺動抵抗を小さく維持することができる。ひいては、記録材の搬送不良やトナー画像の不良のない加熱定着装置を提供することができる。
なお本実施例では、定着ベルト80を加熱する加熱源として誘導加熱装置90を用いたが、例えばハロゲンヒータであっても良い。本実施例の変形例1に係る定着装置Fの概略模式図を図12に示す。本変形例では、定着ベルト80の外側にハロゲンヒータ62と、反射鏡65を備える。ハロゲンヒータ62から発生する輻射熱、あるいは反射鏡65によって反射した輻射熱は、加熱域N4において、定着ベルト80の表面を加熱する。このような定着装置Fにおいても加圧摺動部53の表面粗さを、定着ベルト80の回転方向下流側よりも上流側を小さくすることによって、耐摩耗性と低摺動抵抗を両立できる。
なお本実施例の変形例1に限らず、図13に概略模式図を示した本実施例の変形例2の定着装置Fのように、定着ベルト80を内部から加熱する構成でも良い。この場合にあっては、定着ベルト80の内側に、ハロゲンヒータ62と、反射鏡65を備える。ハロゲンヒータ62から発生する輻射熱、あるいは反射鏡65によって反射した輻射熱は、加熱域N4において、定着ベルト80の基層80Aを加熱する。このような定着装置Fにおいても本実施例の変形例1同様、耐摩耗性と低摺動抵抗を両立できる。
このように定着ニップ部N1において、ローラ部材とベルト部材で、挟持搬送しながら加熱定着する加熱定着装置であって、定着ニップ部N1以外で定着部材を加熱する構成であれば、本発明の効果を得ることができ、本発明の範囲において種々の変更が可能である。
3Y,3M,3C,3K 画像形成ステーション
4Y,4M,4C,4K 電子写真感光体(感光体ドラム)
5Y,5M,5C,5K 帯電ローラ
6 露光装置
7Y,7M,7C,7K 現像装置
8Y,8M,8C,8K クリーニング装置
9 中間転写ベルト
10Y,10M,10C,10K 一次転写手段
50 加圧ユニット
51 加圧ベルト
52 加圧ベルトガイド52(支持体)
53 加圧摺動部
1 加熱ユニット
15 セラミックヒータ(ヒータ)
16 加熱ベルト
19 加熱ベルトガイド
30 定着ローラ
P 画像形成装置
F 定着装置
S 記録材
N1 定着ニップ部
N2 加熱ニップ部
4Y,4M,4C,4K 電子写真感光体(感光体ドラム)
5Y,5M,5C,5K 帯電ローラ
6 露光装置
7Y,7M,7C,7K 現像装置
8Y,8M,8C,8K クリーニング装置
9 中間転写ベルト
10Y,10M,10C,10K 一次転写手段
50 加圧ユニット
51 加圧ベルト
52 加圧ベルトガイド52(支持体)
53 加圧摺動部
1 加熱ユニット
15 セラミックヒータ(ヒータ)
16 加熱ベルト
19 加熱ベルトガイド
30 定着ローラ
P 画像形成装置
F 定着装置
S 記録材
N1 定着ニップ部
N2 加熱ニップ部
Claims (12)
- 筒状のフィルムと、
前記フィルムの内周面と接触し、前記フィルムを支持する支持体と、
前記フィルムを介して前記支持体とでニップ部を形成する、周囲に弾性層を有するローラと、
前記ローラの表面を加熱するヒータと、
を備え、トナー像が担持された記録材が前記ニップ部に挿入され、加熱・加圧されることのより前記トナー像を前記記録材に定着する定着装置において、
前記支持体は、前記ニップ部を形成する領域における表面粗さが前記フィルムの移動方向の上流側に比べ、下流側の方が大きいことを特徴とする定着装置。 - 前記支持体は、前記フィルムを支持する支持部と、前記支持部に支持され、前記フィルムと、接触する摺動部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記支持部は、表面粗さの異なる複数の領域を有することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記支持体は、表面粗さの異なる複数の摺動部を備えることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記支持部は、前記ニップ部を形成する摺動領域を有し、前記摺動部と異なる表面粗さを有することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記支持体は、前記ニップ部を形成する領域における表面粗さが前記フィルムの移動方向の上流側の領域では表面粗さRaが0.5μm未満であり、下流側の領域では表面粗さRaが0.5μm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置。
- 筒状のフィルムと、
前記フィルムの内周面と接触し、前記フィルムを支持する支持体と、
前記フィルムを介して前記支持体とでニップ部を形成する、周囲に弾性層を有するローラと、
前記フィルムを加熱するヒータと、
を備え、前記ヒータで熱せられた前記フィルムが前記ニップ部に移動し、トナー像が担持された記録材が前記ニップ部に挿入され、加熱・加圧されることのより前記トナー像を前記記録材に定着する定着装置において、
前記支持体は、前記ニップ部を形成する領域における表面粗さが前記フィルムの移動方向の上流側に比べ、下流側の方が大きいことを特徴とする定着装置。 - 前記支持体は、前記フィルムを支持する支持部と、前記支持部に支持され、前記フィルムと、接触する摺動部と、
を有することを特徴とする請求項7に記載の定着装置。 - 前記支持部は、表面粗さの異なる複数の領域を有することを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
- 前記支持体は、表面粗さの異なる複数の摺動部を備えることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
- 前記支持部は、前記ニップ部を形成する摺動領域を有し、前記摺動部と異なる表面粗さを有することを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
- 前記支持体は、前記ニップ部を形成する領域における表面粗さが前記フィルムの移動方向の上流側の領域では表面粗さRaが0.5μm未満であり、下流側の領域では表面粗さRaが0.5μm以上であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の定着装置。
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