JP2019101040A - 硝酸イオン濃度非破壊計測方法、硝酸イオン濃度非破壊計測装置、及び硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム - Google Patents

硝酸イオン濃度非破壊計測方法、硝酸イオン濃度非破壊計測装置、及び硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】野菜中の硝酸イオン濃度を非破壊計測する場合に、測定精度を向上させることが可能な硝酸イオン濃度非破壊計測方法、硝酸イオン濃度非破壊計測装置、及び硝酸イオン濃度非破壊計測プログラムを提供すること。【解決手段】本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測方法は、光源光を測定対象の野菜に照射し、その反射光を検出して紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得する分光吸光スペクトル取得工程と、前記分光吸光スペクトル取得工程で取得した前記紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して多変量解析を行うことで推定モデルを作成する推定モデル作成工程と、を備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、硝酸イオン濃度非破壊計測方法、硝酸イオン濃度非破壊計測装置、及び硝酸イオン濃度非破壊計測プログラムに関する。
硝酸イオンは、肥料であり植物体に吸収される。近時、メトヘモグロビン血症等発生との関連が議論されてきており、野菜中の硝酸イオンはヒトが摂取する硝酸イオンの50〜90%を占め、葉菜類で濃度が高い。EUでは野菜の硝酸イオン濃度に関して上限値が設定されている。野菜ではイネのように非破壊測定した葉色から窒素栄養状態を評価できない。
他方、分光法を用いる非破壊計測法は低コストでメンテナンスが容易、無侵襲計測により選果ラインに組み込みやすい等の長所がある。
近時、可視・近赤外分光法を用いる硝酸イオンの非破壊計測法が提案されている。しかしながら、可視・近赤外分光法を用いる硝酸イオンの非破壊計測法では、例えば、秋から冬に収穫される葉柄中硝酸イオン濃度が数百ppm程度と最も低いチンゲンサイでは、非破壊計測値が実際の濃度よりも高くて大きな誤差(3000ppm以上)が発生するという問題がある。赤外分光法では、硝酸カリ水溶液で吸収帯が認められるが、水により赤外線が強く吸収されるため、園芸農作物等の多水分の野菜では感度が低くなり、利用しにくい。また、可視・近赤外分光法では硝酸イオンの吸収帯が分かりにくい。
特開2000−206039号公報 特表2012−526289号公報 特開2003−023890号公報 国際公開第2005/111583号
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本発明は、上記に鑑みてなされたもので、野菜中の硝酸イオン濃度を非破壊計測する場合に、測定精度を向上させることが可能な硝酸イオン濃度非破壊計測方法、硝酸イオン濃度非破壊計測装置、及び硝酸イオン濃度非破壊計測プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、野菜中の硝酸イオン濃度を計測する硝酸イオン濃度非破壊計測方法であって、光源光を測定対象の野菜に照射し、その反射光を検出して紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得する分光吸光スペクトル取得工程と、前記分光吸光スペクトル取得工程で取得した前記紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して多変量解析を行うことで推定モデルを作成する推定モデル作成工程と、を含むことを特徴とする。
また、本実施の形態によれば、前記推定モデル作成工程では、前記多変量解析としてPLS回帰分析又は重回帰分析を行って、前記推定モデルとして回帰式を作成することが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記回帰式を作成する場合に、測定対象として異なる温度の野菜を使用することが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記回帰式は、X:Y=1:1であることが望ましい。
また、本実施の形態によれば、さらに、前記分光吸光スペクトルに対して、中心化、標準化、規格化、微分、ベースライン補正、及び平滑化のうちの1又は複数の処理を行うデータ前処理工程を含むことが望ましい。
また、本実施の形態によれば、さらに、前記分光吸光スペクトル取得工程で取得した前記吸光度スペクトルを前記回帰式に適用して前記測定対象の野菜中の硝酸イオン濃度を推定する硝酸イオン濃度推定工程を含むことが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記野菜は、チンゲンサイ、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウであることが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記分光吸光スペクトル取得工程では、前記野菜がチンゲンサイの場合は、波長300〜400nmの分光吸光スペクトルを取得し、前記野菜がパプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウの場合は、波長200〜400nmの分光吸光スペクトルを取得することが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記測定対象の野菜をセットする水平面に対してその法線方向を0°とした場合、光の入射角度を0°及び検出角度を45°、又は光の入射角度を45°及び検出角度を45°とすることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記分光吸光スペクトル取得工程では、拡散反射測定用プローブを使用して、光源光を測定対象の野菜に照射し、その反射光を検出することが望ましい。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、野菜中の硝酸イオン濃度を計測する硝酸イオン濃度非破壊計測装置であって、光源装置から照射される光に対する測定対象である野菜からの反射光を検出して紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得する分光吸光スペクトル取得手段と、前記分光吸光スペクトル手段で取得した前記紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して多変量解析を行うことで推定モデルを作成する推定モデル作成手段と、を含むことを特徴とする。
また、本実施の形態によれば、前記推定モデル作成手段は、前記多変量解析としてPLS回帰分析又は重回帰分析を行って、前記推定モデルとして回帰式を作成することが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記回帰式を作成する場合に、測定対象として異なる温度の野菜を使用することが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記回帰式は、X:Y=1:1であることが望ましい。
また、本実施の形態によれば、さらに、前記分光吸光スペクトルに対して、中心化、標準化、規格化、微分、ベースライン補正、及び平滑化のうちの1又は複数の処理を行うデータ前処理手段を含むことが望ましい。
また、本実施の形態によれば、さらに、前記分光吸光スペクトル取得手段で取得した前記紫外光波長域の分光吸光スペクトルを前記回帰式に適用して前記測定対象の野菜中の硝酸イオン濃度を推定する硝酸イオン濃度推定手段を含むことが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記野菜は、チンゲンサイ、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウであることが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記分光吸光スペクトル取得手段は、前記野菜がチンゲンサイの場合は、波長300〜400nmの分光吸光スペクトルを取得し、前記野菜がパプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウの場合は、波長200〜400nmの分光吸光スペクトルを取得することが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記測定対象の野菜をセットするための測定用治具を備え、前記測定用治具は、前記野菜をセットする水平面に対してその法線方向を0°とした場合、光の入射角度を0°及び検出角度を45°、又は光の入射角度を45°及び検出角度を45°とするように構成されていることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記分光吸光スペクトル取得工程では、拡散反射測定用プローブを使用して、光源光を測定対象の野菜に照射し、その反射光を検出することが望ましい。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、コンピュータで実行される硝酸イオン濃度非破壊計測プログラムであって、光源装置から照射される光に対する測定対象である野菜からの反射光を検出して紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得する分光吸光スペクトル取得工程と、前記分光吸光スペクトル取得工程で取得した前記紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して多変量解析を行うことで推定モデルを作成する推定モデル作成工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本実施の形態によれば、前記推定モデル作成工程では、前記多変量解析としてPLS回帰分析又は重回帰分析を行って、前記推定モデルとして回帰式を作成することが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記回帰式を作成する場合に、測定対象として異なる温度の野菜を使用することが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記回帰式は、X:Y=1:1であることが望ましい。
また、本実施の形態によれば、さらに、前記分光吸光スペクトルに対して、中心化、標準化、規格化、微分、ベースライン補正、及び平滑化のうちの1又は複数の処理を行うデータ前処理工程を含むことが望ましい。
また、本実施の形態によれば、さらに、前記分光吸光スペクトル取得工程で取得した前記紫外光波長域の分光吸光スペクトルを前記推定モデルに適用して前記測定対象の野菜中の硝酸イオン濃度を推定する硝酸イオン濃度推定工程を含むことが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記野菜は、チンゲンサイ、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウであることが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記分光吸光スペクトル取得工程では、前記野菜がチンゲンサイの場合は、波長300〜400nmの分光吸光スペクトルを取得し、前記野菜がパプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウの場合は、波長200〜400nmの分光吸光スペクトルを取得することが望ましい。
また、本実施の形態によれば、前記測定対象の野菜をセットする水平面に対してその法線方向を0°とした場合、光の入射角度を0°及び検出角度を45°、又は光の入射角度を45°及び検出角度を45°とすることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記分光吸光スペクトル取得工程では、拡散反射測定用プローブを使用して、光源光を測定対象の野菜に照射し、その反射光を検出することが望ましい。
この発明によれば、野菜中の硝酸イオン濃度を非破壊計測する場合に、測定精度を向上させることが可能になるという効果を奏する。
図1は、本発明の概略を説明するための説明図である。 図2は、本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測方法を説明するためのフローチャートである。 図3は、本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測装置の外観構成例を示す図である。 図4は、本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測装置の構成の一例を示すブロック図である。 図5は、測定用治具のタイプ1を説明するための図である。 図6は、測定用治具のタイプ2を説明するための図である。 図7は、測定用治具に測定対象物(試料)を水平にセットした状態を説明するための図である。 図8は、供与試料のチンゲンサイの一部の特性を示す図である。 図9は、チンゲンサイの供試試料数及びその硝酸イオン濃度の範囲(ppm)を示す図である。 図10は、チンゲイサイ葉柄の分光吸光スペクトルを示す図である。 図11は、チンゲンサイ葉柄における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(PLS回帰分析)を示す図である。 図12は、PLS回帰分析時の説明変数重要度指標variable importance for projection(VIP)値を示す図である。 図13は、硝酸カリ粉末の分光吸光スペクトルを示す図である。 図14は、試料の供試試料数と硝酸イオン濃度の実測範囲(ppm)を示す図である。 図15は、コマツナ葉柄(左:試料の置き方による比較、右:0°入射45°検出)の分光吸光スペクトルを示す図である。 図16は、カブ(左:0°入射45°検出、右:45°入射45°検出)の分光吸光スペクトルを示す図である。 図17は、パプリカ・ピーマン(左:0°入射45°検出、右:45°入射45°検出)の分光吸光スペクトルを示す図である。 図18は、コマツナ葉柄の断面を逆V字型に置いた場合を説明するための説明図である。 図19は、コマツナ葉柄(0°入射45°検出)における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(重回帰分析)を示す図である。 図20は、カブ(左:0°入射45°検出、右:45°入射45°検出)における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(重回帰分析)を示す図である。 図21は、パプリカ・ピーマン(左:0°入射45°検出、右:45°入射45°検出)における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(重回帰分析)を示す図である。 図22は、パプリカ・ピーマンの45°入射45°検出において、平滑化後のパプリカ・ピーマンの紫外分光吸光スペクトル(左)と硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(右)を示す図である。 図23は、コマツナ葉柄における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(PLS回帰分析)を示す図である。 図24は、コマツナ葉柄のPLS回帰分析時の説明変数重要度指標SR値を示す図である。 図25は、コマツナ及びホウレンソウの供試試料数及びその硝酸イオン濃度の範囲(ppm)を示す図である。 図26は、拡散反射測定用プローブを説明するための図である。 図27は、コマツナ葉柄の分光吸光スペクトルを示す図である。 図28は、ホウレンソウ葉柄の分光吸光スペクトルを示す図である。 図29は、コマツナ葉柄における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(重回帰分析)を示す図である。 図30は、ホウレンソウ葉柄における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(重回帰分析)を示す図である。
以下に、本発明に係る硝酸イオン濃度非破壊計測方法、硝酸イオン濃度非破壊計測装置、及びコンピュータが実行可能なプログラムの好適な実施の形態の例を、図1〜図30を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[本発明の概略]
まず、図1を参照して、本発明の概略を説明する。図1は、本発明の概略を説明するための説明図である。
本発明では、可視光が主である蛍光灯の室内環境では、紫外波長域の吸収スペクトルから実用的に野菜の硝酸イオン濃度を非破壊計測できる可能性がある点に着目した。より具体的には、本発明では、硝酸イオンは紫外光の吸収帯が存在することに着目した。すなわち、200nm付近及び300nm付近に強い硝酸イオン吸収帯がある。
本発明では、200nm付近及び300nm付近の硝酸イオン吸収帯に注目した紫外分光法を用いて、外光除去や暗箱を使用しない環境(通常の室内環境)でも野菜に含まれる硝酸イオン濃度を高精度に検出することが可能な非破壊計測方法を提案する。
本発明では、野菜中の硝酸イオン濃度を高精度に計測するために、測定対象の野菜に対して、紫外分光法により紫外光波長域の分光吸光スペクトルを測定し、測定した紫外光波長域の分光吸光スペクトルに基づいて、野菜中の硝酸イオン濃度を推定(非破壊計測)している。
本発明で計測可能な野菜は、葉菜類、根菜類、及び果菜類等の各種野菜である。以下の説明では、葉菜類としてチンゲンサイ、コマツナ、及びホウレンソウ、根菜類としてカブ、果菜類としてパプリカ・ピーマンをそれぞれ一例に挙げて説明する。
本発明は、対象の野菜の紫外光波長域の分光吸光スペクトルから硝酸イオン濃度を推定するための推定モデルを作成する推定モデル作成工程(S1)と、測定対象の野菜の紫外光波長域の分光吸光スペクトルを測定し、測定した紫外光波長域の分光吸光スペクトルを推定モデルに適用して硝酸イオン濃度を推定する計測工程(S2)とを備える。
推定モデル作成工程(S1)では、対象の野菜の紫外光波長域の分光吸光スペクトルを測定して、測定した紫外光波長域の分光吸光スペクトルを多変量解析して野菜中の硝酸イオン濃度を推定するための推定モデルを作成する。測定した分光吸光スペクトルに対しては必要によりデータ前処理を行う。多変量解析では、硝酸イオン濃度が既知の野菜に対して紫外光波長域の分光吸光スペクトルを測定し、測定した紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して多変量解析を行うことで推定モデルを作成する。
硝酸イオン濃度の計測工程(S2)では、硝酸イオン濃度を計測したい野菜について紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得する。取得した紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対しては、必要によりデータ前処理を行う。取得した紫外光波長域の分光吸光スペクトルを推定モデルに適用して、硝酸イオン濃度を推定する。このように、一旦、推定モデルを作成すると、測定対象の野菜の紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得するだけで、その硝酸イオン濃度を高精度に推定(計測)することが可能となる。
[野菜中硝酸イオン濃度の非破壊計測方法]
図2を参照し、本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測方法について説明する。図2は、本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測方法を説明するためのフローチャートである。
図2に示すように、本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測方法は、対象の野菜の紫外光波長域の分光吸光スペクトルを多変量解析して、硝酸イオン濃度を推定するための推定モデルを作成する推定モデル作成工程(S1)と、測定対象の野菜の紫外光波長域の分光吸光スペクトルを測定し、測定した紫外光波長域の分光吸光スペクトルを推定モデルに適用して硝酸イオン濃度を推定する計測工程(S2)とに大別される。
多変量解析には、回帰分析等がある。回帰分析は、特定の数値を推定する回帰式(検量線)を作成するものであり、硝酸イオン濃度を推定するのに使用することができる。回帰分析には、PLS回帰分析や重回帰分析などがあり、硝酸イオン濃度の数値を推定するのに使用することができる。本実施の形態の多変量解析では、回帰分析を使用した場合について説明するが、本発明はこれに限られず、判別分析、主成分分析、クラスター分析等を使用してもよい。
測定対象の野菜は、例えば、チンゲンサイ、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、及びホウレンソウ等の野菜である。本発明において、測定対象の野菜は、これらに限定されず他の野菜であってもよい。
推定モデル作成工程では、まず、推定モデルを作成するために、測定対象の野菜を準備する(ステップS11)。測定用治具に測定対象の野菜をセットし、光源から野菜に光を照射し、その反射光を検出して、紫外光波長域の分光吸光スペクトルを分光検出装置で取得する(ステップS13)。ここで、反射光は、試料表面で反射する光及び試料内部で拡散反射する光の両方を含むものである。なお、測定用治具の代わりに拡散反射測定用プローブを使用してもよい。また、透過光や拡散反射・透過光を測定しても良い。
つぎに、取得した紫外光波長域の分光吸収スペクトルに対して、必要によりデータ前処理を実行する(ステップS14)。データ前処理では、例えば、中心化、標準化、規格化、2次微分、ベースライン補正、及び平滑化等の1つ又は組み合わせて信号処理演算を行う。
他方、測定対象の野菜について硝酸イオン濃度の実測値を取得する(ステップS12)。ステップS15では、データ前処理が行われた紫外光波長域の分光吸収スペクトルを多変量解析して野菜中の硝酸イオン濃度を推定するための推定モデルを作成する。
多変量解析として回帰分析を使用する場合は、例えば、分光吸光スペクトルから硝酸イオン濃度の数値を推定するための回帰式(検量線)を推定モデルとして作成する。回帰分析としては、例えば、PLS回帰分析や重回帰分析を使用することができる。
なお、回帰式を作成する場合に、測定対象として異なる温度の野菜を使用してもよい。また、回帰式は、X:Y=1:1としてもよい。チンゲンサイの場合は、波長300〜400nmの分光吸光スペクトルを取得し、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、及びホウレンソウの場合は、波長200〜400nmの分光吸光スペクトルを取得してもよい。
また、測定対象の野菜をセットする水平面に対してその法線方向を0°とした場合、光の入射角度を0°及び検出角度を45°、又は光の入射角度を45°及び検出角度を45°としてもよい。
つぎに、計測工程では、硝酸イオン濃度を推定したい野菜(測定対象物)を準備する(ステップS21)。測定用治具に測定対象の野菜をセットし、光源から野菜に光を照射し、紫外光波長域の分光吸光スペクトルを分光検出装置で測定して取得する(ステップS22)。なお、測定用治具の代わりに拡散反射測定用プローブを使用してもよい。
つぎに、取得した紫外光波長域の分光吸収スペクトルに対して、必要によりデータ前処理を実行する(ステップS23)。データ前処理は、S14と同様である。データ前処理が行われた紫外光波長域の分光吸収スペクトルを推定モデルに適用して硝酸イオン濃度を推定する(ステップS24)。
[硝酸イオン濃度非破壊計測装置]
次に、本発明の硝酸イオン濃度非破壊計測装置の構成について図3及び図4を参照し実施形態を例に挙げて説明する。なお、本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測装置は、前述の硝酸イオン濃度非破壊計測方法に好適に使用できるものであるが、本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測方法に用いる装置はこれに限定されるものではない。
ここで、図3は、本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測装置の外観構成例を示す図である。図4は、本実施の形態に係る硝酸イオン濃度非破壊計測装置の構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
図5は、測定用治具のタイプ1を説明するための図、図6は、測定用治具のタイプ2を説明するための図である。図7は、測定用治具に測定対象物(試料)を水平にセットした状態を説明するための図である。
図3及び図4に示すように、硝酸イオン濃度非破壊計測装置1は、分光吸光スペクトル取得装置10と、データ処理装置20とを備えている。分光吸光スペクトル取得装置10は、分光吸光スペクトルを取得する装置であり、光源装置11、分光検出装置12、測定用治具13を備えている。また、データ処理装置20は、分光吸光スペクトル取得装置10で取得した分光吸光スペクトルから、測定対象の野菜(測定対象物)16の硝酸イオン濃度を計測する装置である。データ処理装置20は、メモリ21、制御部23、計算処理部24を備えており、測定者はキーボード・マウス22により、データ処理装置20に測定条件等を入力する。
分光吸光スペクトル取得装置10は、光源装置11、分光検出装置12、測定用治具13を備えている。光源装置11は、光ファイバー14を介して測定用治具13の入射側に接続されている。光源装置11は、光ファイバー14及び測定用治具13を介して測定対象の野菜に所定の波長の光を照射する装置である。光源装置11としては、例えば、重水素光源、キセノン光源、及びLED光源等を使用することができる。
分光検出装置12は、光ファイバー15を介して測定用治具13の検出側に接続されている。分光検出装置12は、測定用治具13及び光ファイバー14を介して入力される測定対象の野菜の反射光を受光して分光吸光スペクトルを取得し、データ処理装置20に送信する装置である。なお、ここでは、光ファイバー14,15を使用して測定しているが、本発明はこれに限られるものではなく、光ファイバーを使用しないで測定することも可能である。
測定用治具13は、測定対象の野菜に対して、所定の入射角で光を照射し、その反射光を所定の角度で検出するための治具である。測定用治具13は、略円筒形状を呈し、治具台19の上に載置される。測定用治具13の測定用窓13cの上に測定対象物(野菜)16をセットする。測定用治具13では、光源装置11から光ファイバー14を介して所定角度で入射される光が測定用窓13cを介して測定対象物16に照射され、所定の検出角度の反射光が光ファイバー15を介して分光検出装置12に出力される。なお、測定対象物16を測定する前に、測定用治具13の測定用窓13cにリファレンス光測定用白色板をセットして、分光検出装置12の校正を行ってもよい。また、白色板の代わりに、鏡((鏡板や曲面鏡等を含む)や遮光板(例えば、NDフィルタ)を使用して校正を行ってもよい。
測定用治具13は、例えば、2つのタイプのものを使用することができる。図5は、タイプ1の測定用治具13を説明するための図であり、(A)は概略の側面構成、(B)は概略の断面構成を示す図である。タイプ1は、入射角度が0度、検出角度が45度で2方向の検出が可能な構成となっている。タイプ1の測定用治具13は、図5に示すように、治具本体部13aと、治具本体部13aに着脱可能に構成された試料台部13bとを備えている。治具本体部13aには、法線方向(Z軸方向)に略平行に下側に設けられ、入射側の光ファイバー14を装着するための入射側受部13dと、入射側受部13dを跨いで、法線方向と直交する水平方向(X軸方向)に対して略45°に設けられ、検出側の光ファイバー15を装着するための一対の検出側受部13eとが設けられている。試料台部13bには、測定用窓13cが設けられており、この測定用窓13c(水平面XY面)に測定対象の野菜を水平に置いて測定を行う(図7参照)。
タイプ1の測定用治具13では、水平面(XY面)に対する法線方向(Z軸方向)を0°とすると、光源装置11から光ファイバー14を介した光が、0°の入射角で一定の角度で円状に測定対象物に照射され、測定対象物からの拡散反射光が45°の検出角で光ファイバー15を介して分光検出装置12で検出される。以降、タイプ1の測定用治具13を使用した測定を、「0°入射、45°検出」と称する場合がある。
図6は、タイプ2の測定用治具13を説明するための図であり、(A)は概略の側面構成、(B)は概略の断面構成を示す図である。タイプ1と同等の部分の説明を省略し、異なる部位に関して説明する。タイプ2は、入射角度が45°、検出角度が45°で検出が可能な構成となっている。図6において、タイプ2の測定用治具13は、タイプ1(図5)の検出側受部13eの一方を入射側受部13fとして使用する。タイプ2の測定用治具13では、水平面(X軸方向)に対する法線方向(Z軸方向)を0°とすると、光源装置11から光ファイバー14を介した光が、45°の入射角で一定の角度で円状に測定対象物に照射され、測定対象物からの拡散反射光が45°の検出角で光ファイバー15を介して分光検出装置12で検出される。以降、タイプ2の測定用治具13を使用した測定を、「45°入射、45°検出」と称する場合がある。
タイプ1及びタイプ2の測定用治具13は、集光効率がよく、弱い光源を使用した場合でも分光吸光スペクトルの取得が可能である。なお、本発明で使用可能な測定用治具は、これらに限られるものではなく、例えば、市販されているオーシャンオプティクス社製のISP−Rシリーズ反射測定積分球や同社製のRシリーズ標準反射測定用プローブ等を使用してもよい。また、測定用治具13の代わりに拡散反射測定用プローブを使用してもよい(実施例3参照)。
図3及び図4に戻り、データ処理装置20は、例えば、パーソナルコンピュータ等で構成することができ、メモリ21、制御部23、及び計算処理部24を備えており、キーボード・マウス22、I/Oポート(例えば、USBポート等)26、及びディスプレイ30等が接続されている。
メモリ21は、分光検出装置12からデータ処理装置20へ転送され、計算処理部24の分光吸光スペクトル取得部24−1により取得された分光吸光スペクトルや、計算処理部24の推定モデル作成部24−2で推定モデルを作成する際に使用する野菜の硝酸イオン濃度の実測値や作成した推定モデル27等を格納する。推定モデル27を作成する際に使用する野菜の硝酸イオン濃度の実測値は、キーボード・マウス22やI/Oポート26から入力することができる。
制御部23は、オペレータのキーボード・マウス22の操作に応じて、光源装置11に対する光の照射のON/OFFの指示や分光検出装置12のスペクトル検出の開始指示等の制御を行うことができ、また、計算処理部24に処理を行うよう命令することができる。
分光吸光スペクトル取得装置10から転送された野菜の分光吸光スペクトルは、データ処理装置20のメモリ21に格納される。測定者がキーボード・マウス22を通じて、計算処理部24に対して処理を行うよう命令すると、まず、計算処理部24の分光吸光スペクトル取得部24−1が、メモリ21に格納された分光吸光スペクトルから、データ前処理により解析に必要な紫外光波長域の分光吸光スペクトルを抽出する。
計算処理部24の推定モデル作成部24−2は、抽出された紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して多変量解析を行い、推定モデルを作成する。本実施形態において、計算処理部24の推定モデル作成部24−2は、例えば、多変量解析としてPLS回帰分析や重回帰分析で作成した回帰式(検量線)を推定モデルとして作成してもよい。
計算処理部24の推定モデル作成部24−2は、多変量解析の結果(推定モデル27)を、メモリ21に格納してもよく、ディスプレイ30上に出力してもよく、また、プリンタ(図示せず)を介して印刷してもよい。
計算処理部24の硝酸イオン濃度推定部24−3は、メモリ21に格納された推定モデル27に抽出された紫外光波長域の分光吸光スペクトルを適用して、野菜中の硝酸イオン濃度を推定する。なお、メモリ21には、複数の種類の野菜の推定モデル27を格納しておくことで、1台の硝酸イオン濃度非破壊計測装置1で、複数の種類の野菜の硝酸イオン濃度を計測することが可能となる。
[実施例1]
図8〜図12を参照して実施例1を説明する。本実施例1において、供試試料(測定対象物)としてチンゲンサイを用いた。実施例1では、チンゲンサイの302nm付近の硝酸イオン吸収帯に注目した。かかる吸収帯は分子電子遷移の1つであるπ←n遷移による吸収帯である。測定用治具13としてタイプ1(0°入射、45°検出)を使用した。そして、分光吸光スペクトル取得部24−1の処理によりチンゲンサイの紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得した。そして、推定モデル作成部24−2の処理により、チンゲンサイの紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対してPLS回帰分析を行うことで、「硝酸イオン濃度」を推定するための回帰式を作成した。さらに、硝酸イオン濃度推定部24−3により、作成した回帰式を使用して、チンゲンサイの紫外光波長域の分光吸光スペクトルから「硝酸イオン濃度」を推定した。
本発明は、チンゲンサイの紫外光波長域の分光吸光スペクトルを使用して、硝酸イオン濃度を高精度に計測可能とするものであるが、その優位性を証明するために、750〜980nm(近赤外光短波長域)の分光吸光スペクトルを使用して硝酸イオン濃度を推定する場合についても比較して説明する。
(1−1.測定対象物の準備)
試料として、チンゲンサイ(Brassica chinensis)葉柄を供試し、実験時の室温は23℃に設定した。図8は、供与試料のチンゲンサイの一部の特性を示す図である。図8において、チンゲンサイの測定日、産地、重さ(g)、試料温度(℃):低温、中温(室温)、高温、L値(L表色系)、硝酸イオン(ppm:分光吸光スペクトル取得後に測定部位について実測したもの)が示されている。図9は、チンゲンサイの供試試料数及びその硝酸イオン濃度の範囲(ppm)を示す図である。
図9に示すように、チンゲンサイの供試試料数(n)を108とし、硝酸イオン濃度範囲が300〜6800ppmのものを使用した。
各試料の温度は、冷蔵(4℃)とインキュベータ(東京理化、FLI−2000、23または35℃・相対湿度90%設定、インキュベーションは30分以上)を用いてそれぞれ低・中(室)・高温の3段階に設定した。チンゲンサイ1個体あたり各試料温度で葉柄を2か所測定した。L値(L表色系)は、試料温度が中温の試料において色彩色差計(日本電色製NR3000)を用いて測定した。
(1−2.分光吸光スペクトルの取得)
つづいて、準備した各測定対象物を測定用治具13にセットし、分光吸光スペクトル取得部24−1の処理によりチンゲンサイの分光吸光スペクトルを取得した。ここで、測定条件は以下の通りである。
光源装置11として、浜松ホトニクス(株)製高出力UV−VISファイバー光源ユニットL10290を用いた。出射波長範囲は200〜1100nm、重水素ランプは30W相当、タングステンハロゲンランプは9Wであり、ハイパスフィルタ(オーシャンオプティクス製OF2−WG305)を装備しておよそ300nm未満の光を除去した。
分光検出装置12として、(株)スペクトラ・コープ製Solid Lambda CCD UV−NIRを用いた。分光器として、Carl Zeiss製MCS−CCD分光器を内蔵しており、検出可能波長範囲200−980nm、ブレーズ波長(最も感度の高い波長)250nm、波長分解能3〜4nm、S/N 10000:1、A/D15bit相当、光センサは浜松ホトニクス製の裏面入射2次元CCDアレイ(S7031−1006)である。
本分光検出装置12を用いる分光吸収スぺクトルの測定およびデータ前処理には、(株)スペクトラ・コープ製ソフトウエアWave viewer ver.1.70.1を用いた。測定用治具13として、タイプ1のものを使用し、(株)スペクトラ・コープ製(0度入射45度検出、試料測定部直径12mm)を用いた。
光源装置11からタイプ1の測定用治具13に接続する光ファイバー14はスペクトラ・コープ社製SBLUV(コア径600μm、NA0.22、長さ1m)、測定用治具13から分光検出装置12に接続する光ファイバー15として、2分岐光ファイバーを使用し、オーシャンオプティクス製 BIF600−UV/VIS(コア径600μm、NA0.22、長さ2m)を用いた。
リファレンス光測定用白色板は、Labsphere製SRS−99−020を用いた。窓のブラインドを下ろした外光が直接入射しない実験室内で、測定時間700ms、平均回数5の条件でダーク、リファレンス光およびチンゲンサイ葉柄の分光吸収スペクトルを測定後、ファイルを保存した。
(1−3.硝酸イオン濃度(目的変数)の実測値の計測)
分光吸光スペクトル測定後、直径11mmのコルクボーラーでチンゲンサイ葉柄の測定部位を切り抜き、プラスティック製卓上おろし(ブラシ付)(貝印(株)製FG−0507)を用いてすりおろした。得られた汁液はメンブランフィルター(東洋濾紙(株)、Advantec 13CP045AN、孔径0.45μm、材質セルロースアセテート、直径13mm)を用いてろ過し、得られたろ液を100倍希釈後、小型反射式光度計(Merck製RQflex2、試験紙は同社製Reflectoquant Nitrate test(硝酸イオン濃度として5−225ppmの範囲の測定))を用いて硝酸イオン濃度を測定した(図8及び図9参照)。なお、5ppm未満の測定値は「Lo」として表示されるため3ppmとした。
(1−4.推定モデルの作成)
保存された試料の分光吸収スペクトルのデータ前処理は、平滑化ポイント数25、多項式の次数は2、補間無(波長の小数点第1位を四捨五入)とした。データ前処理を行った分光吸光スペクトルに対して、PLS回帰分析を適用して、回帰式(推定モデル)を作成した。
具体的には、硝酸イオン濃度の実測値を目的変数、各波長における試料の吸光度を説明変数としてPLS回帰分析を行った。クロスバリデーション(交差検証)はVenetian blinds法を適用した。なお、今回設定した吸光度測定系は上述したように、外光除去機能が無いことや暗箱を使用しないことから、チンゲンサイ葉柄の分光吸収スペクトル測定時に実験室の室内灯由来の可視光が検出される可能性が考えられる。そこで、可視域の400〜750nm未満は説明変数として採用せず、300〜400nm未満(紫外光波長域)または750〜980nm(近赤外光短波長域)の吸光度を説明変数として検討した。なお、光を用いて非破壊計測する場合に、光の入射と検出は光ファイバーを用いて設計することが多いが、およそ300nm未満の紫外光は多成分ガラス製光ファイバーに透過率低下をもたらす「ソラリゼーション」が問題となる場合がある。300nm以上の硝酸イオンの吸収帯に注目すると、吸収が弱いため、広い濃度範囲における非破壊計測が期待され、ソラリゼーション対策を施した高価な石英製の光ファイバーを使用しなくて済む場合がある。
(1−4−1.有意差検定)
実測値と非破壊計測値の有意差検定はt検定を行った。
(1−4−2.硝酸イオンの吸収帯の確認)
チンゲンサイ葉柄を非破壊計測した測定系を用いて硝酸カリウム(和光純薬工業製特級)粉末の分光吸光スペクトルを測定し、硝酸イオンの吸収帯を確認した。粉末試料測定用セルは、NIRSystems製6500近赤外分光光度計に付属した粉末用セルの窓板をピアーオプティクス製FQ54−3石英板に交換後使用した。
(1−4−3.チンゲンサイ葉柄の紫外・可視・近赤外スペクトル)
図10は、チンゲイサイ葉柄の分光吸光スペクトルを示す図である。図10において、横軸は波長(nm)、縦軸は吸光度を示している。図10に示すように、320nm付近には相対的に最も強い吸収がある。400〜650nmの間では実験室蛍光灯の輝線の影響により吸光度が低くなったと思われる波長域(545、610nm付近等)がある。そこで、可視光である400〜750nm未満の可視波長域は、回帰分析時の説明変数として採用しなかった。680nm付近はクロロフィルの吸収帯である。750〜980nmの近赤外光短波長域は他の波長域と比べて吸光度が低く、970nm付近は水の吸収帯である。使用した分光検出装置12は、ブレーズ波長が250nmであるので長波長側ほど感度が低くなる。
(1−4−4.PLS回帰分析)
図11は、チンゲンサイ葉柄における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値(推定値)の相関(PLS回帰分析)を示す図である。図11において、横軸は、硝酸イオン濃度の実測値[ppm]、縦軸は、300〜400nmの分光吸光スペクトルによる[硝酸イオン濃度]の非破壊計測値[ppm]を示している。回帰式は、X:Y=1:1のラインとなっている。同図において、供試した試料(n=108)においてPLS回帰分析を実施した結果、紫外光波長域(300〜400nm)では相関係数(Rcal)=0.90、近赤外光短波長域ではRcal=0.65であり、紫外光波長域の方が非破壊計測精度が良いことが確認できた。
クロスバリデーションの結果、相関係数(Rval)は0.87であり良好な結果を得た。硝酸イオン濃度300ppmのチンゲンサイ葉柄試料では(硝酸イオン濃度が数百ppm程度と最も低いチンゲンサイでも)、可視・近赤外分光法のように非破壊計測値と実測値との差が3000ppmを超えるような大きな誤差は発生せず、高精度な計測が可能である(図11参照)。
(1−4−5.PLS回帰式の説明変数の考察)
図12は、PLS回帰分析時の説明変数重要度指標variable importance for projection(VIP)値を示す図である。同図において、横軸は波長(nm)、縦軸はVIP値を示している。図12において、VIP値が1.0を超えると特に重要であるとみなされ、VIP値が高いほど重要な説明変数である。300nmの吸光度のVIP値が最も高いため、硝酸イオンの吸収帯が非破壊計測時に最も貢献することが示されている。
図13は、硝酸カリ粉末の分光吸光スペクトルを示す図である。同図において、横軸は波長(nm)、縦軸は吸光度を示している。硝酸イオンを含む無機物の水溶液の分光吸光スペクトルを測定した論文は多数あるため、チンゲンサイ葉柄を非破壊計測した測定系で硝酸カリ粉末のスペクトルを測定した。その結果、302nmを吸収極大とする吸収帯を確認することができた。また、今回の測定では可視光や近赤外光短波長域において吸収帯が認められないことから、硝酸イオンの非破壊計測には吸収帯が存在する紫外波長域を適用することが好適である。
(1−4−6.試料温度の影響)
野菜は流通中に冷蔵や室温など様々な環境温度に遭遇するため、実用場面では温度の異なる試料を非破壊計測することが想定される。一方、硝酸カリ水溶液で吸光度を測定すると温度の影響を受ける。そこで、上述したように試料温度を3段階で測定したチンゲンサイ葉柄の分光吸光スペクトルを併合してPLS回帰分析を行った結果、温度別の非破壊計測値は、実測値とのt検定の結果、有意差は認められなかった(図11参照)。このため、紫外分光法を用いるチンゲンサイ葉柄中硝酸イオンの非破壊計測においては、温度の異なる試料において回帰式のX:Y=1:1のラインを共通して利用できる。これにより、試料温度別に回帰式の切片を設定する必要が無いため、簡易に硝酸イオン濃度を推定することができる。
(1−5.実施例1のまとめ)
硝酸イオンの302〜332nm(吸収極大302nm)における吸収帯に着目し、紫外分光法を用いるチンゲンサイ葉柄中硝酸イオンの非破壊計測を行った。供試試料(n=108)において紫外光波長域(300〜400nm)は近赤外短波長域(750〜980nm)よりも非破壊計測精度が高く、PLS回帰分析時の相関係数は0.90**であり、試料温度が異なっても検量線(回帰式)のX:Y=1:1のラインを共用可能である。また、PLS回帰分析時の説明変数は、硝酸イオンの吸収帯である300nmが最も重要であることを示した。
以上説明したように、本実施例1により、PLS回帰分析により、チンゲンサイの紫外光波長域(300〜400nm)の分光吸光スペクトルから「硝酸イオン濃度」を高精度に推定可能であることが示された。
[実施例2]
図14〜図24を参照して実施例2を説明する。本実施例2において、供試試料(測定対象物)として、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナを用いた。そして、分光吸光スペクトル取得部24−1の処理によりパプリカ・ピーマン、カブ、コマツナの分光吸光スペクトルをそれぞれ取得した。そして、推定モデル作成部24−2の処理により、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナの紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して重回帰分析を行うことで、「硝酸イオン濃度」を推定するための回帰式をそれぞれ作成した。さらに、硝酸イオン濃度推定部24−3により、作成した回帰式を使用して、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナの紫外光波長域の分光吸光スペクトルから「硝酸イオン濃度」を推定した。
(2−1.測定対象物の準備)
図14は、試料の供試試料数と硝酸イオン濃度の実測範囲(ppm)を示している。図14において、コマツナ葉柄は、供与試料数(n)を24とし、硝酸イオン濃度は5700−10100(ppm)の範囲のものを使用した。カブは、供与試料数(n)を16とし、硝酸イオン濃度は300−3200(ppm)の範囲のものを使用した。パプリカ・ピーマンは、供与試料数(n)を10とし、硝酸イオン濃度は3−49(ppm)の範囲のものを使用した。実験時の室温は23℃に設定した。
各試料の温度は、冷蔵(6℃)と室温によりそれぞれ低・室温の2段階に設定した。パプリカ・ピーマンでは各試料温度で下部を1か所、カブでは各試料温度で赤道部および下部の2か所、コマツナでは各試料温度で個葉の葉柄1か所(幅約12mm)を測定した。
(2−2.分光吸光スペクトルの取得)
つづいて、準備した各測定対象物を測定用治具13にセットし、分光吸光スペクトル取得部24−1の処理により、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナの分光吸光スペクトルを取得した。ここで、測定条件は以下の通りである。
光源装置11は、浜松ホトニクス(株)製高出力UV−VISファイバー光源ユニットL10290を用いた。出射波長範囲は200〜1100nm、重水素ランプは30W相当、タングステンハロゲンランプは9Wである。分光検出装置12は、(株)スペクトラ・コープ製Solid Lambda CCD UV−NIRを用いた。その分光器はCarl Zeiss製MCS−CCD分光器を内蔵しており、検出可能波長範囲200−980nm、ブレーズ波長(最も感度の高い波長)250nm、波長分解能3〜4nm、S/N 10000:1、A/D15bit相当、光センサは浜松ホトニクス製の裏面入射2次元CCDアレイ(S7031−1006)である。
本分光検出装置12を用いる分光吸光スペクトルの測定およびデータ前処理には、(株)スペクトラ・コープ製ソフトウエアWave viewer ver.1.70.1を用いた。測定用治具13は、実施例1と同様なタイプ1と、タイプ2を使用した。
光源装置11からタイプ1の測定用治具13の入力側に接続する光ファイバー14はスペクトラ・コープ社製SBLUV(コア径600μm、NA0.22、長さ1m)、測定用治具13から分光検出装置12に接続する2分岐の光ファイバー15はオーシャンオプティクス製BIF600−UV/VIS(コア径600μm、NA0.22、長さ2 m)を用いた。測定用治具13は、(株)スペクトラ・コープ製(45度検出、試料測定部直径11mm)を用いた。リファレンス光測定用白色板はLabsphere製SRS−99−020を用いた。光源装置11に装着したロングパスフィルタを除いた以外は、実施例1と同様である。
タイプ2の測定用治具13の検出側の光ファイバー15は、入射側の光ファイバー14と同じものを使用した。リファレンス板はオーシャンオプティクス製STAN−SSH高反射用鏡面板を用いた。
タイプ1の測定用治具13を使用して、パプリカ・ピーマン(果菜類)、カブ(根菜類)、コマツナ(葉菜類)の分光吸光スペクトルを測定した。さらに、タイプ2の測定用治具13を使用して、パプリカ・ピーマンおよびカブの分光吸光スペクトルを測定した。
窓のブラインドを下ろした外光が直接入射しない実験室内で、タイプ1の測定用治具13を使用して、測定時間1000ms、平均回数1の条件でダーク、リファレンス光および試料の分光吸光スペクトルを測定後、ファイルを保存した。また、タイプ2の測定用治具13は、測定時間を70msとした以外は、タイプ1と同じ測定条件である。
(2−3.硝酸イオン濃度(目的変数)の実測値の計測)
分光吸光スペクトル測定後、直径11mmのコルクボーラーで試料の非破壊測定部位(カブでは表面から深さ5mm、パプリカ・ピーマンでは果肉)を切り抜き、PCミニおろし器(パール金属(株)製C−4597)、コマツナ葉柄ではプラスティック製卓上おろし(ブラシ付)(貝印(株)製FG−0507)を用いてすりおろした。得られたカブおよびコマツナ葉柄汁液は100倍希釈後、パプリカおよびピーマン汁液では希釈せずに小型反射式光度計(Merck製RQflex2、試験紙は同社製Reflectoquant Nitrate test(硝酸イオン濃度として5−225ppm)を用いて硝酸イオン濃度を測定した(図14参照)。なお、5ppm未満の測定値は「Lo」として表示されるため3ppmとした。得られた野菜汁液の濾過を省略した以外は、実施例1と同じである。
(2−4.推定モデルの作成)
分光吸光スペクトルのデータ前処理の効果を確認するために、最も非破壊測定精度が低かったパプリカ・ピーマンをタイプ2の測定用治具13(45°入射45°検出)で非破壊測定した分光吸光スペクトルは、平滑化ポイント数25、多項式の次数は2で平滑化した。その他の試料のデータ前処理は無しとした。硝酸イオン濃度の実測値を目的変数、各波長における試料の吸光度を説明変数として重回帰分析を行った。PLS回帰分析を重回帰分析に変更し、説明変数を紫外光波長域(200−400nm)のみとした以外は実施例1と同様である。例えば、重回帰分析は、測定した全波長域を使うPLS回帰分析と比べて説明変数の数を少なくできるので特定波長の光を出射するLED光源を組み合わせて低コスト機器を開発することができる。コマツナ葉柄では、紫外光波長域の有効性と各データ前処理の有効性を確認するためにPLS回帰分析を実施した。
(2−4−1.有意差検定)
実測値(参照値)と非破壊測定値(推定値)の有意差検定はt検定を行った。
(2−4−2.分光吸光スペクトル)
図15は、コマツナ葉柄(左:試料の置き方による比較、右:0°入射45°検出)の分光吸光スペクトルを示す図である。図16は、カブ(左:0°入射45°検出、右:45°入射45°検出)の分光吸光スペクトルを示す図である。図17は、パプリカ・ピーマン(左:0°入射45°検出、右:45°入射45°検出)の分光吸光スペクトルを示す図である。図15〜図17において、横軸は波長(nm)、縦軸は吸光度を示している。
図15の左側のグラフに示すように、コマツナ葉柄の0°入射、45°検出に関しては、コマツナ葉柄の断面を測定用治具13の測定用窓13cに対して逆V字型に置いて計測した方が、水平に置いて計測した場合(図7参照)よりも集光効率が良かった(すなわち、吸光度が低くなった)。図18は、コマツナ葉柄の断面を逆V字型に置いた場合を説明するための説明図である。
そこで、コマツナ葉柄ではこの集光性の良いこの測定法を採用した。図15及び図16の左側のグラフに示すように、コマツナ葉柄およびカブでは290nm付近に相対的に最も強い吸収がありその後は長波長側に向かって吸光度が低くなる。図17の左側のグラフに示すように、パプリカ・ピーマンでは316〜350nm付近の吸光度が最も高い。
図16及び図17の右側のグラフに示すように、45°入射45°検出のカブおよびパプリカ・ピーマンでは全体的に吸光度が高く、216nm付近に相対的に最も強い吸収があり、0°入射、45°検出の時と同様に290nm付近に吸収ピークが観察できる。カブでは長波長側に向かって吸光度が低くなるが、色素を含むパプリカ・ピーマンでは325nm付近から長波長側に向かって吸光度がやや高くなる。
(2−4−3.重回帰分析)
図19は、コマツナ葉柄(0°入射45°検出)における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(重回帰分析)を示す図である。図20は、カブ(左:0°入射45°検出、右:45°入射45°検出)における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(重回帰分析)を示す図である。図21は、パプリカ・ピーマン(左:0°入射45°検出、右:45°入射45°検出)における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(重回帰分析)を示す図である。
まず、0°入射45°検出について説明する。図19に示すように、コマツナ葉柄(n=24)において重回帰分析を実施した結果、説明変数に200、292、316、348、398nmの吸光度を説明変数に採用した時に相関係数は0.84であり非破壊計測精度は良かった。その重回帰式を以下に示す。非破壊計測値(ppm)=10669+6306×A200−30507×A292+54325×A316−47418×A348+20741×A398
図20の左側のグラフに示すように、カブ(n=16)において重回帰分析を実施した結果、説明変数に200、292、316、360、398nmの吸光度を説明変数に採用した時に相関係数は0.91であり非破壊計測精度は良かった。その重回帰式を以下に示す。非破壊計測値(ppm)=−4651+14402×A200−18029×A292+19238×A316−19381×A360+14091×A398
図21の左側のグラフに示すように、パプリカ・ピーマン(n=10)において重回帰分析を実施した結果、説明変数に316、398nmの吸光度を説明変数に採用した時に相関係数は0.86であり非破壊計測精度は良かった。その重回帰式を以下に示す。非破壊計測値(ppm)=68.3+149.9×A316−208.2×A398
つぎに、45°入射45°検出について説明する。図20の右側のグラフに示すように、カブ(n=16)において重回帰分析を実施した結果、説明変数に299、316、375、398nmの吸光度を説明変数に採用した時に相関係数は0.81であり非破壊計測精度は良かった。その重回帰式を以下に示す。非破壊計測値(ppm)=−4380+73899×A299−52008×A316−31111×A375+11774×A398
図21の右側のグラフに示すように、パプリカ・ピーマン(n=10)において重回帰分析を実施した結果、説明変数に300、316、398nmの吸光度を説明変数に採用した時に相関係数は0.79であり非破壊計測精度は良かった。その重回帰式を下記に示す。非破壊計測値(ppm)=−373+2723×A300−1322.5×A316−1137.6×A398
(2−4−4.スペクトル前処理の効果)
目的変数と得られた重回帰式により算出された非破壊計測値との相関係数は、パプリカ・ピーマンの45°入射45°検出で5%水準で有意であるが、その他はいずれも1%水準で有意な相関係数を得た。図22は、パプリカ・ピーマンの45°入射45°検出において、平滑化後のパプリカ・ピーマンの紫外分光吸光スペクトル(左)と硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(右)を示す図である。
パプリカ・ピーマンの45°入射45°検出において、平滑化によりスペクトルを前処理後(図22(左))、重回帰分析を実施した結果、説明変数に300、398nmの吸光度を説明変数に採用した時に相関係数は0.96であり非破壊計測精度は良かった(図22(右))。その重回帰式を以下に示す。非破壊計測値(ppm)=−460.1+2457.9×A300−2102.5×A398
(2−4−5.重回帰式の説明変数の考察)
得られた重回帰式では、いずれの式においても300〜316nm付近の吸光度が正の係数とともに説明変数に含まれたため、硝酸イオンの分子電子遷移の1つであるπ←n遷移による吸収帯が野菜中硝酸イオンの非破壊測定の際に利用できる。また、0°入射45°検出では、200nm付近のπ←π遷移による吸収帯も野菜中硝酸イオンの非破壊計測の際に利用できる。野菜には様々な成分が含まれるため非破壊計測の際には硝酸イオンの吸収帯のみの測定では高い精度が得られず、硝酸イオンの吸収帯を含む紫外光波長域(200〜400nm)の他の波長の吸光度も説明変数として利用することにより非破壊計測精度が向上可能である。
(2−4−6.コマツナ葉柄のPLS回帰分析および試料温度の影響)
野菜は流通中に冷蔵や室温など様々な環境温度に遭遇するため、実用場面では温度の異なる試料を非破壊計測することが想定される。一方、硝酸カリ水溶液で吸光度を測定すると温度の影響を受ける。そこで、上述したように試料温度2段階で測定したコマツナ葉柄の分光吸光スペクトルでPLS回帰分析を行った結果、非破壊計測精度が一番目と二番目に良かったのは200〜400nmの吸光度を前処理した時であった。このように、300〜400nmの紫外光域のみならず200〜400nmの吸光度と複数のデータ前処理の有効性を具体的に以下に示す。
図23は、コマツナ葉柄における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値の相関(PLS回帰分析)を示す図である。図23において、一例として、200〜400nmのスペクトルをSNV(標準正規確率変量)、平滑化、Auto−scaling(標準化)のデータ前処理を実施した時の試料温度別(低温試料、室温試料)の非破壊計測値は、実測値とのt検定の結果、有意差はそれぞれ認められなかった。
実施例1では、紫外分光法(300〜400nm)をチンゲンサイ葉柄中の硝酸イオンの非破壊計測時に、温度の異なる試料において回帰式のX:Y=1:1のラインを共通して利用できることを示したが、紫外分光法(200〜400nm)を用いるコマツナ葉柄中硝酸イオンの非破壊計測においても同様に温度の異なる試料において回帰式のX:Y=1:1のラインを共通して利用することができる。実施例1と同様に、試料温度別に回帰式の切片を設定する必要が無いため、非破壊計測を簡易に行うことが可能となる。
図24は、コマツナ葉柄のPLS回帰分析時の説明変数重要度指標SR値を示す図である。同図において、横軸は波長(nm)、縦軸はSR値を示している。図24において、重回帰式に採用した硝酸イオンの吸収帯である200nmや316nm付近は他の波長よりもSR値が高く、スペクトルの前処理と組み合わせたPLS回帰分析結果においてもこれら硝酸イオンの吸収帯が説明変数として有効であることを示している。
(2−5.実施例2のまとめ)
重回帰分析時の説明変数には、硝酸イオンの吸収帯である200nmや300nm付近の吸光度が利用できる。野菜を非破壊測定したスペクトルを前処理することにより重回帰分析時に1%水準で有意な相関係数を得ることができる事例もあった。また、紫外光波長域の200〜400nmの吸光度は野菜中硝酸イオン濃度を非破壊計測する際に有用であり試料温度が異なっていても回帰式のX:Y=1:1のラインを共用可能である。
本実施例2によれば、重回帰分析により、パプリカ・ピーマン(果菜類)、カブ(根菜類)、コマツナ(葉菜類)の紫外光波長域(200〜400nm)の分光吸光スペクトルから「硝酸イオン濃度」を高精度に推定可能であることが示された。
以上説明したように、本実施の形態によれば、光源光を測定対象の野菜に照射し、その反射光を検出して紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得し、取得した紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して多変量解析を行うことで推定モデルを作成することとしたので、測定精度を向上させることが可能となる。付言すると、紫外分光法を使用しているので、可視光の影響を受けにくく、暗箱等を使用しないでも通常の室内環境で高精度に測定することが可能となる。
また、多変量解析としてPLS回帰分析又は重回帰分析を行って、推定モデルとして回帰式を作成することとしたので、高精度な推定モデルを作成することが可能となる。
また、前記回帰式を作成する場合に、測定対象として異なる温度の野菜を使用することとしたので、温度の異なる野菜を使用した場合でも硝酸イオン濃度を高精度に測定することが可能となる。
また、回帰式は、X:Y=1:1であることとしたので、回帰式の切片を設定する必要が無いため、測定を簡易に行うことが可能となる。
また、取得した分光吸光スペクトルに対して、中心化、標準化、規格化、微分、ベースライン補正、及び平滑化のうちの1又は複数の処理を行うデータ前処理を行うこととしたので、測定精度をより向上させることが可能となる。
また、取得した分光吸光スペクトルを回帰式に適用して測定対象の野菜中の硝酸イオン濃度を推定することとしたので、分光吸光スペクトルを取得するだけで簡易に硝酸イオン濃度を推定することが可能となる。
また、チンゲンサイの場合は、波長300〜400nmの分光吸光スペクトルを取得し、パプリカ・ピーマン、カブ、又はコマツナの場合は、波長200〜400nmの分光吸光スペクトルを取得することとしたので、野菜の種類に応じて好適な測定を行うことが可能となる。
また、測定対象の野菜をセットするための測定用治具を備え、測定用治具は、野菜をセットする水平面に対してその法線方向を0°とした場合、光の入射角度を0°及び検出角度を45°、又は光の入射角度を45°及び検出角度を45°とするように構成されているので、分光吸光スペクトルを取得する際の集光効率を向上させることが可能となる。
[実施例3]
図25〜図30を参照して実施例3を説明する。実施例3では、供試試料(測定対象物)としてコマツナ及びホウレンソウを用いた。また、測定用治具13の替わりに拡散反射測定用プローブを使用した。そして、分光吸光スペクトル取得部24−1の処理によりコマツナ及びホウレンソウの紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得した。そして、推定モデル作成部24−2の処理により、コマツナ及びホウレンソウの紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して重回帰分析を行うことで、「硝酸イオン濃度」を推定するための回帰式を作成した。さらに、硝酸イオン濃度推定部24−3により、作成した回帰式を使用して、コマツナ及びホウレンソウの紫外光波長域の分光吸光スペクトルから「硝酸イオン濃度」を推定した。
(3−1.測定対象物の準備)
試料として、コマツナおよびホウレンソウ(葉菜類)を供試し、実験時の室温は23℃に設定した。図25は、コマツナ及びホウレンソウの供試試料数(n)及びその硝酸イオン濃度の範囲(ppm)を示す図である。
図25に示すように、コマツナの供試試料数(n)を8とし、硝酸イオン濃度範囲が2000〜11429ppmのものを使用した。また、ホウレンソウの供試試料数(n)を8とし、硝酸イオン濃度範囲が9000〜17571ppmのものを使用した。各試料の温度は冷蔵(6℃)後、個体の葉柄1か所を分光非破壊測定した。
(3−2.分光吸光スペクトルの取得)
つづいて、拡散反射測定用プローブを使用して、準備した各測定対象物について、分光吸光スペクトル取得部24−1の処理によりコマツナ及びホウレンソウの分光吸光スペクトルを取得した。ここで、測定条件は以下の通りである。
光源装置11として、浜松ホトニクス(株)製高出力UV−VISファイバー光源ユニットL10290を用いた。出射波長範囲は200〜1100nm、重水素ランプは30W相当、タングステンハロゲンランプは9Wである。光源装置11に装着したロングパスフィルタを除いた以外は、実施例1と同様である。
分光検出装置12として、(株)スペクトラ・コープ製Solid Lambda C
CD UV−NIRを用いた。分光器として、Carl Zeiss製MCS−CCD分光器を内蔵しており、検出可能波長範囲200−980nm、ブレーズ波長(最も感度の高い波長)250nm、波長分解能3〜4nm、S/N 10000:1、A/D15bit相当、光センサは浜松ホトニクス製の裏面入射2次元CCDアレイ(S7031−1006)である。
本分光検出装置12を用いる分光吸収スペクトルの測定およびデータ前処理には、(株)スペクトラ・コープ製ソフトウエアWave viewer ver.1.70.1を用いた。
拡散反射測定用プローブとしては、Ocean optics製R600−7−SR−125F(外径3.18 mm)を使用した。Ocean optics製R600−7−SR−125F(外径3.18 mm)は7本の光ファイバーがステンレスプローブ内にバンドルされており,中心の1本は受光用の光ファイバーであり、分光検出装置12に接続し、周りの6本は照射用の光ファイバーであり、光源装置11に接続する。
プローブ先端は直径6mmの金属製の円筒状の筒に挿入して試料と非接触で測定した。図26は、拡散反射測定用プローブを説明するための図であり、(A)は、拡散反射測定用プローブのプローブ先端を示しており、(B)は、コマツナ葉柄を測定している状態を示している(光スポットが照射光を示している)。
リファレンス光測定用白色板は、Labsphere製SRS−99−020を用いた。窓のブラインドを下ろした外光が直接入射しない実験室内で、測定時間32ms、平均回数1の条件でダーク、リファレンス光および試料(個体)の分光吸収スペクトルを測定後、ファイルを保存した。
(3−3.硝酸イオン濃度の実測値(目的変数)の計測)
分光吸光スペクトル測定後、コマツナおよびホウレンソウ葉柄ではEppendorfタイプの1.5mL容量のチューブ(ART.00298−00,Kartell,Italy)に非破壊測定部位の長さ3mmの葉柄を入れ、金属製の棒((株)エイト製六角棒スパナ ネオボールポイント,NEO BNM 2.5CH)で破砕し汁液を得た。得られたコマツナおよびホウレンソウ葉柄汁液は7μL採取後、993μLの蒸留水を加えて希釈後、小型反射式光度計(Merck製RQflexplus,試験紙は同社製Reflectoquant Nitrate test(硝酸イオン濃度として5−225 ppm)を用いて硝酸イオン濃度を測定した(図25参照)。得られた野菜汁液の濾過を省略した以外は、実施例1と同様である。
(3−4.推定モデルの作成)
保存された試料の分光吸光スペクトル前処理は行わず、硝酸イオン濃度の実測値を目的変数、各波長における試料の吸光度を説明変数として重回帰分析を行って、回帰式(推定モデル)を作成した。PLS回帰分析を重回帰分析に変更し、説明変数を紫外光(200−400nm)のみとした以外は実施例1と同様である。
(3−4−1.コマツナおよびホウレンソウ葉柄の紫外スペクトル)
図27は、コマツナ葉柄の分光吸光スペクトルを示す図である。図28は、ホウレンソウ葉柄の分光吸光スペクトルを示す図である。図27及び図28において、横軸は波長(nm)、縦軸は吸光度を示している。
図27及び図28に示すように、コマツナおよびホウレンソウ葉柄では230,285,330nm付近に吸収ピークが観察できる。コマツナ葉柄の吸光度はホウレンソウ葉柄の吸光度よりも広い範囲に分布している。
(3−4−2.重回帰分析)
図29は、コマツナ葉柄(n=8)における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値(推定値)の相関(重回帰分析)を示す図である。図30は、ホウレンソウ葉柄(n=8)における硝酸イオン濃度の実測値と非破壊計測値(推定値)の相関(重回帰分析)を示す図である。図29及び図30において、横軸は、硝酸イオン濃度の実測値[ppm]、縦軸は、200〜400nmの分光吸光スペクトルによる[硝酸イオン濃度]の非破壊計測値[ppm]を示している。
図29において、コマツナ葉柄(n=8)において重回帰分析を実施した結果、説明変数に200,205,302,310nmの吸光度を説明変数に採用した時に相関係数は0.93であり、非破壊計測精度が良いことが確認できた。この重回帰式(1)を以下に示す。
非破壊計測値(ppm)=20947+337424×A200−398003×A205+174713×A302−119186×A310・・・(1)
図30において、ホウレンソウ葉柄(n=8)において重回帰分析を実施した結果,説明変数に260,300,310 nmの吸光度を説明変数に採用した時に相関係数は0.92であり非破壊計測精度が良いことが確認できた。この重回帰式(2)を以下に示す。
非破壊計測値(ppm)=3846−41643×A260+154416×A300−105565×A310・・・(2)
(3−4−3.重回帰式の説明変数の考察)
重回帰式(1)、(2)は、いずれも300nm付近の吸光度が正の係数とともに説明変数に含まれたため、硝酸イオンの分子電子遷移の1つであるπ←n遷移による吸収帯が野菜中硝酸イオンの非破壊測定の際に利用できる。また、コマツナでは200nm付近のπ←π遷移による吸収帯も硝酸イオンの非破壊計測の際に利用できる。野菜には様々な成分が含まれるため非破壊計測の際には硝酸イオンの吸収帯のみの測定では高い精度が得られず,硝酸イオンの吸収帯を含む紫外光波長域(200〜400nm)の他の波長の吸光度も説明変数として利用することにより非破壊計測精度の向上が可能である。
(3−5.実施例3のまとめ)
重回帰分析時の説明変数には、硝酸イオンの吸収帯である200や300nm付近の吸光度が利用できる。また、紫外光域の200〜400nmの吸光度は野菜中硝酸イオンを非破壊計測する際に有用である。また、測定用治具の代わりに拡散反射測定用プローブを使用しても、硝酸イオン濃度を高精度に非破壊計測可能であることが示された。
以上説明したように、本実施例3により、重回帰分析により、コマツナ及びホウレンソウの紫外光波長域(200〜400nm)の分光吸光スペクトルから「硝酸イオン濃度」を高精度に推定可能であることが示された。
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、硝酸イオン濃度非破壊計測装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
例えば、硝酸イオン濃度非破壊計測装置1の各装置が備える処理機能、特に計算処理部24にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)及び当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて野菜の硝酸イオン濃度非破壊計測装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDなどのメモリ21などは、OS(Operating System)として協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
また、このコンピュータプログラムは、硝酸イオン濃度非破壊計測装置1に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD、及び、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
メモリ21に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラムやテーブルやデータベースやウェブページ用ファイル等を格納する。
また、硝酸イオン濃度非破壊計測装置1は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、硝酸イオン濃度非破壊計測装置1は、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
1 硝酸イオン濃度非破壊計測装置
10 分光吸光スペクトル取得装置
11 光源装置
12 分光検出装置
13 測定用治具
14,15 光ファイバー
16 測定対象物
20 データ処理装置
21 メモリ
22 キーボード・マウス
23 制御部
24 計算処理部
24−1 分光吸光スペクトル取得部
24−2 推定モデル作成部
24−3 硝酸イオン濃度推定部
26 I/Oポート
27 推定モデル
30 ディスプレイ

Claims (30)

  1. 野菜中の硝酸イオン濃度を計測する硝酸イオン濃度非破壊計測方法であって、
    光源光を測定対象の野菜に照射し、その反射光を検出して紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得する分光吸光スペクトル取得工程と、
    前記分光吸光スペクトル取得工程で取得した前記紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して多変量解析を行うことで推定モデルを作成する推定モデル作成工程と、
    を含むことを特徴とする硝酸イオン濃度非破壊計測方法。
  2. 前記推定モデル作成工程では、前記多変量解析としてPLS回帰分析又は重回帰分析を行って、前記推定モデルとして回帰式を作成することを特徴とする請求項1に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測方法。
  3. 前記回帰式を作成する場合に、測定対象として異なる温度の野菜を使用することを特徴とする請求項2に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測方法。
  4. 前記回帰式は、X:Y=1:1であることを特徴とする請求項2又は3に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測方法。
  5. さらに、前記分光吸光スペクトルに対して、中心化、標準化、規格化、微分、ベースライン補正、及び平滑化のうちの1又は複数の処理を行うデータ前処理工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測方法。
  6. さらに、前記分光吸光スペクトル取得工程で取得した前記紫外光波長域の分光吸光スペクトルを前記推定モデルに適用して前記測定対象の野菜中の硝酸イオン濃度を推定する硝酸イオン濃度推定工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測方法。
  7. 前記野菜は、チンゲンサイ、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測方法。
  8. 前記分光吸光スペクトル取得工程では、
    前記野菜がチンゲンサイの場合は、波長300〜400nmの分光吸光スペクトルを取得し、
    前記野菜がパプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウの場合は、波長200〜400nmの分光吸光スペクトルを取得することを特徴とする請求項7に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測方法。
  9. 前記測定対象の野菜をセットする水平面に対してその法線方向を0°とした場合、光の入射角度を0°及び検出角度を45°、又は光の入射角度を45°及び検出角度を45°としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測方法。
  10. 前記分光吸光スペクトル取得工程では、拡散反射測定用プローブを使用して、光源光を測定対象の野菜に照射し、その反射光を検出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測方法。
  11. 野菜中の硝酸イオン濃度を計測する硝酸イオン濃度非破壊計測装置であって、
    光源装置から照射される光に対する測定対象である野菜からの反射光を検出して紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得する分光吸光スペクトル取得手段と、
    前記分光吸光スペクトル取得手段で取得した前記紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して多変量解析を行うことで推定モデルを作成する推定モデル作成手段と、
    を含むことを特徴とする硝酸イオン濃度非破壊計測装置。
  12. 前記推定モデル作成手段は、前記多変量解析としてPLS回帰分析又は重回帰分析を行って、前記推定モデルとして回帰式を作成することを特徴とする請求項11に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測装置。
  13. 前記回帰式を作成する場合に、測定対象として異なる温度の野菜を使用することを特徴とする請求項12に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測装置。
  14. 前記回帰式は、X:Y=1:1であることを特徴とする請求項12又は13に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測装置。
  15. さらに、前記分光吸光スペクトルに対して、中心化、標準化、規格化、微分、ベースライン補正、及び平滑化のうちの1又は複数の処理を行うデータ前処理手段を含むことを特徴とする請求項12〜14のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測装置。
  16. さらに、前記分光吸光スペクトル取得手段で取得した前記分光吸光スペクトルを前記推定モデルに適用して前記測定対象の野菜中の硝酸イオン濃度を推定する硝酸イオン濃度推定手段を含むことを特徴とする請求項11〜15のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測装置。
  17. 前記野菜は、チンゲンサイ、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウであることを特徴とする請求項11〜16のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測装置。
  18. 前記分光吸光スペクトル取得手段は、
    前記野菜がチンゲンサイの場合は、波長300〜400nmの分光吸光スペクトルを取得し、
    前記野菜がパプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウの場合は、波長200〜400nmの分光吸光スペクトルを取得することを特徴とする請求項17に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測装置。
  19. 前記測定対象の野菜をセットするための測定用治具を備え、
    前記測定用治具は、前記野菜をセットする水平面に対してその法線方向を0°とした場合、光の入射角度を0°及び検出角度を45°、又は光の入射角度を45°及び検出角度を45°とするように構成されていることを特徴とする請求項11〜18のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測装置。
  20. 前記分光吸光スペクトル取得手段は、前記光源装置からの光を測定対象である野菜に照射して、反射光を検出する拡散反射測定用プローブを含むことを特徴とする請求項12〜18のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測装置。
  21. コンピュータで実行される硝酸イオン濃度非破壊計測プログラムであって、
    光源装置から照射される光に対する測定対象である野菜からの反射光を検出して紫外光波長域の分光吸光スペクトルを取得する分光吸光スペクトル取得工程と、
    前記分光吸光スペクトル取得工程で取得した前記紫外光波長域の分光吸光スペクトルに対して多変量解析を行うことで推定モデルを作成する推定モデル作成工程と、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム。
  22. 前記推定モデル作成工程では、前記多変量解析としてPLS回帰分析又は重回帰分析を行って、前記推定モデルとして回帰式を作成することを特徴とする請求項21に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム。
  23. 前記回帰式を作成する場合に、測定対象として異なる温度の野菜を使用することを特徴とする請求項22に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム。
  24. 前記回帰式は、X:Y=1:1であることを特徴とする請求項22又は23に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム。
  25. さらに、前記分光吸光スペクトルに対して、中心化、標準化、規格化、微分、ベースライン補正、及び平滑化のうちの1又は複数の処理を行うデータ前処理工程を含むことを特徴とする請求項21〜24のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム。
  26. さらに、前記分光吸光スペクトル取得工程で取得した前記分光吸光スペクトルを前記推定モデルに適用して前記測定対象の野菜中の硝酸イオン濃度を推定する硝酸イオン濃度推定工程を含むことを特徴とする請求項21〜25のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム。
  27. 前記野菜は、チンゲンサイ、パプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウであることを特徴とする請求項21〜25のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム。
  28. 前記分光吸光スペクトル取得工程では、
    前記野菜がチンゲンサイの場合は、波長300〜400nmの分光吸光スペクトルを取得し、
    前記野菜がパプリカ・ピーマン、カブ、コマツナ、又はホウレンソウの場合は、波長200〜400nmの分光吸光スペクトルを取得することを特徴とする請求項27に記載の硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム。
  29. 前記測定対象の野菜をセットする水平面に対してその法線方向を0°とした場合、光の入射角度を0°及び検出角度を45°、又は光の入射角度を45°及び検出角度を45°としたことを特徴とする請求項21〜28のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム。
  30. 前記分光吸光スペクトル取得工程では、拡散反射測定用プローブを使用して、光源光を測定対象の野菜に照射し、その反射光を検出することを特徴とする請求項21〜28のいずれか1つに記載の硝酸イオン濃度非破壊計測プログラム。
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