JP2007171085A - 硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度測定用試薬とそれを使用する硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水試料中の硝酸性窒素濃度、または硝酸性窒素および亜硝酸窒素の和の濃度を測定する新しい技術を提供する。
【解決手段】 硫酸水溶液、塩化物イオン水溶液およびm−メトキシフェノール水溶液から成る、硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度測定試験による。水試料(被測定サンプル)に上記測定試薬を添加して506nm近傍における吸光度を測定することにより硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度を測定することができる。被測定サンプルを予め酸化分解に供して硝酸イオンを生じさせる工程を更に含むことにより全窒素を測定することもできる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、全窒素の測定を主眼とした新規の硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の和の濃度測定用試薬とそれを使用する硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の和の濃度測定方法に関する。
硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度は、環境基本法、上水水試験法により10μg/ml以下に規制されている。また、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度を測定することを測定原理に応用している全窒素は、全りんとともに、環境水域の富栄養化の原因物質である。それらの測定において、水質の環境汚染と汚濁を推定することは、衛生対策,環境対策として、産業対策上重要である。
現在、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の定量に、イオンクロマトグラフ法,銅カドミウム還元法等が、硝酸性窒素の定量にサリチル酸ナトリウムによる吸光光度法等が,上水試験法において採用されている(日本水道協会編「上水試験方法1993年版」p194(1993):非特許文献1)。工業排水における全窒素測定に加熱分解後の硝酸性窒素を測定する紫外線吸収法等が採用されている(日本規格協会編「JISK0102,1998年版」p1221(1998):非特許文献2)。しかし、その中でサリチル酸ナトリウム法はフェノールのオルト位にニトロソ化ならびにニトロ化に対して不活性化を起こすカルボキシル基が導入されていて感度が概して良くない。また全窒素の定量に際しては、排水のような塩濃度の高い試料へのイオンクロマトグラフ法の適用は、カラム内のイオン交換樹脂の交換容量に限界があるために困難である。無論、銅カドミウム還元法は、社会環境に、有毒物質カドミウムを汚染する問題をはらんでいる。
そこで、クロマトグラフ法が適用困難な塩濃度の高い試料の全窒素測定にも適用できる手法として紫外線吸光光度法といった吸光光度法が以前より存在しており、公定法として、JISK0102に採用されている。このJISの全窒素測定は、すべての窒素化合物をアルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウムでオートクレーブ中酸化分解して硝酸性窒素とした後、この溶液のpHを2〜3に調製し、硝酸イオンの吸収に対応する紫外波長220nmにおける吸光度を測定して全窒素濃度を求めるものである。しかし、この方法は紫外部領域の吸収に基づくものであり、未分解の有機物とか鉄,クロムなどの金属による紫外部領域における吸収が正の妨害となりえることが指摘されており、紫外波長240nmで修正して測定する方法もあり(北村秀樹,永井寛治,松下千明,山田康正:水処理技術26,19(1985):非特許文献3)、しかし、その測定結果を視覚的に確認できないことが難点である。
硝酸イオン、全窒素の測定には、この他、塩化バナジウム還元を用いるジアゾ化カップリング反応に基づく方法なども案出されているが(T.A.Doane. W.R.Horwath, Analytical Letters, 36, 2713(2003):非特許文献4)、測定に要する反応時間が長いことや温度の制御に問題がある。
Velgheらは、吸光光度法の一つとして、硫酸酸性下、硝酸イオン、塩化物イオンおよびフェノールから、p−ニトロソフェノールと平衡関係にあるp−ベンゾキノンモノオキシムが生成する反応に基づく硝酸イオンの定量法を案出した(N.Velghe and Claeys:Analyst (London),
106, 1018(1983):非特許文献5)。この方法では、塩化物イオンが硝酸イオンから亜硝酸イオンへの還元剤として利用され、亜硝酸イオンから生じた塩化ニトロシルがフェノールと反応して、このp−ニトロソフェノールと平衡関係にあるp−ベンゾキノンモノオキシムが生じて、帯黄色が可視スペクトル部位では極大吸収波長として380nmに観測される。この方法は、カドミウムなどの金属系還元剤を使用することがないことに加え、安価で入手の容易なフェノールを用いる感度の良い硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の測定法として注目された。本発明者もこの方法を天然水中の硝酸性窒素の定量に応用した(郷康弘、Bunseki Kagaku, Vol.49,
No.4, 261(2000):非特許文献6)またこの方法を下水中の全窒素の定量にも応用した(郷康弘、Bunseki Kagaku, Vol.50, No.7, 481(2001):非特許文献7)
その後、Serratらは、Velgheらの方法において、フェノールの代わりに、フェノールのメタ位にもう一つ水酸基が付加されフェノールの活性オルト・パラ配向性が増強した構造のレゾルシノールを用いる硝酸イオンの定量法を提案した(F.B. Serrat, Quimic
Analitica, 17, 121(1998):非特許文献8)。
日本水道協会編「上水試験方法1993年版」p194(1993) 日本規格協会編「JISK0102,1998年版」p1221(1998) 北村秀樹,永井寛治,松下千明,山田康正:水処理技術26,19(1985) T.A. Doane.W.R. Horwath, Analytical Letters, 36, 2713(2003) N.Velghe and Claeys:Analyst (London), 106, 1018(1983) 郷康弘、Bunseki Kagaku, Vol.49, No.4, 261(2000) 郷康弘、Bunseki Kagaku, Vol.50, No.7, 481(2001) F.B. Serrat, Quimic Analitica, 17, 121(1998)
本発明の目的は、ただ単に漠然とした硝酸イオンの測定だけでなく,環境基本法、飲料水試験法により10μg/ml以下に規制されている水試料中の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度定量にその測定技術を、また排水中のクロマトグラフ法が適用困難な試料の全窒素測定も可能とし目視で半定量を行うこともできる硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の測定を原理に応用している全窒素測定技術を提供することにある。
本発明者は、如上の目的を達成するために研究を重ねた結果、硫酸酸性下、塩化物イオンの存在する水系において、フェノールのメタ位に活性水酸基より少しオルト・パラ配向性があるメトキシ基を導入した構造のm−メトキシフェノールを用いることにより硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の定量にまた硝酸イオン(硝酸性窒素)を相関係数といった観点から精度良く測定することができることを見出し本発明を導き出した。
かくして、本発明は、硫酸水溶液、塩化物イオン水溶液およびm−メトキシフェノール水溶液から成ることを特徴とする硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度定量、そして硝酸性窒素の定量、そしてそれらを測定することを原理に応用している全窒素の定量試薬を提供するものである。
さらに、本発明は、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度定量、そして硝酸性窒素の定量、そしてそれらを測定することを原理に応用している全窒素を定量すべき水試料(被測定サンプル)に、上記の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素、または硝酸イオン定量試薬を添加して506nm近傍における吸光度を測定する工程を含むことを特徴とする硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度測定方法ならびに硝酸イオン濃度測定法を提供する。
後述の実施例からも明らかなように本発明は以下のような効果を有する。
本発明の試薬を用いる全窒素測定において、硝酸イオンが公定法の紫外線吸収法と違って、視覚で確認できて事故への対応が事前に予測でき、しかも、公定法の紫外線吸収法よりも、感度が1.5倍程良い。
既述の塩化バナジウムを用いる方法における反応時間が60℃で2時間であるのに対して、本発明の従う硝酸イオン測定に要する反応時間は、常温で45分程度ときわめて短い。
本発明に従う硝酸イオン測定方法は、既述のレゾルシノール法のように干渉を抑えるためにリン酸を用いることを必要とせず簡易であり、しかも、既述のフェノール法よりも感度が2倍程高い。
本発明の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の定量用試薬は、硫酸水溶液、塩化物イオン水溶液およびm−メトキシフェノール水溶液として供される。当該試薬を構成する各溶液濃度は、水試料の種類に応じて適宜調製することができるが、一般的には、硫酸水溶液は85〜95%、塩化物イオン水溶液は4.5〜23%、m−メトキシフェノール水溶液は0.5〜1.5%の範囲の濃度とすることが好ましい。
塩化物イオンの供給源としては、一般に、塩化ナトリウムまたは塩酸が用いられるが、塩酸には発煙性や毒性があることが指摘されており、より安全な塩化ナトリウムが特に好ましい。
塩化物イオンの供給源として塩化ナトリウムを用いる場合、本発明に従う硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の測定は図1式の(I)〜式(III)で表される反応機構に従うものと考えられる。すなわち、濃硫酸の存在下、塩化物イオンが、還元剤として、硝酸イオンと反応して亜硝酸イオンを経由して〔式(I)〕、塩化ニトロシルを生じ〔式(II)〕、ニトロシルカチオン(NO+)を遊離するこの塩化ニトロシルがm−メトキシフェノールと反応して、2,4−ジニトロソー5−メトキシフェノールを生じる〔式(III)〕ものと考えられる。2,4−ジニトロソ−5−メトキシフェノールは可視領域の506nm付近において吸収極大波長を有する。なお、塩化物イオン供給源として塩酸を用いる場合には、図1の最下段の式(IV)に示されるように、ニトロソ化を起こす塩化ニトロシルが亜硝酸イオンを経由することなく直接生じるものと考えられる。かくして、本発明に従えば、全窒素を測定すべき被測定サンプルに、本発明の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度定量試薬を添加して506nmまたはその近傍における吸光度を測定することにより、水試料中において、塩化ナトリウム溶液を用いた場合、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度が、または、塩酸を用いた場合、硝酸イオン(硝酸性窒素)の濃度が求めることができる。
測定に当たっては、予め既知の硝酸性窒素(硝酸イオン)濃度の標準溶液を調製して検量線を作成しておく。如上の本発明の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度定量試薬を用いる本発明の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度定量方法に従えば、一般に、硝酸性窒素として、0.5〜3.0μg/mlの濃度範囲のサンプルを精度よく測定することができる。また、本発明に従えば、被測定サンプルに硝酸性窒素および亜硝酸性窒素測定用試薬を添加し反応が開始してから40〜45分程度で、濃硫酸溶液添加に伴う熱も室温に戻るので、測定時間が短い。
本発明の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度定量方法においては、必要に応じて、被測定サンプルを予め酸化分解に供して硝酸イオンを生じさせる工程を付加することにより、主眼の目的である全窒素を測定することができる。この酸化分解工程は、一般に、よく知られているように、すべての窒素含有有機化合物をアルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウムでオートクレーブ中酸化分解して硝酸イオンとすることによって行われ、この工程の後に、上記の本発明に伴う506nmにおける吸光度を測定して全窒素濃度(窒素含有量)を求める。
さらに、本発明に従う硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度定量方法は、水系の溶液反応に基づくので、フローインジェクション分析(FIA)として実施し、自動分析装置に応用することも容易である。なお、フローインジェクション法に応用すれば、もっと感度が向上し、測定時間も短縮化,試薬,試料の低減化が図られる。
以下、本発明の特徴や効果をさらに具体的に示すために、河川水中の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の和の濃度定量そして下水中の全窒素測定に本発明を適用した実施例、ならびに、レゾルシノールを用いた場合の参考例を記すが、本発明はこれらの例示によって制限されるものではない。
硝酸性窒素標準溶液:硝酸性窒素標準液(1000mg/l、和光純薬製)を希釈して使用した。ちなみに、硝酸イオンの濃度(μg/ml)は硝酸性窒素の濃度(μg/ml)に62/14といった定数を乗じればよい(N=14,O=16)。
m−メトキシフェノール1%(w/v)溶液:m−メトキシフェノール(一般、純度95.0%以上、和光純薬製)1gをスターラーで攪拌しながら、水に溶かして100mlとした。
レゾルシノール1%(w/v)溶液:レゾルシノール(特級、純度99.0%以上、和光純薬製)1gを水に溶かして100mlとした。
塩化ナトリウム6.9%(w/v)溶液:塩化ナトリウム(特級、純度99.0%以上、和光純薬製)を水に溶解して調製した。
90%硫酸溶液:硫酸(特級、純度95.0%以上、和光純薬製)500mlを水55mlにかき混ぜながら溶かした。
塩酸(1+15):塩酸特級、和光純薬製)10mlを水150mlに溶かした。
分光光度計(V−550:日本分光製):506nmの吸光度を測定する場合に、ガラスセルを用いた。
分解ビン:容量約70mlのスクリューキャップ付きの耐圧性ガラスビンを加熱分解に用いた。
オートクレーブ(HA−24C:平山工業):全窒素測定に際して、加熱分解する際に用いた。
栓付き試験管:25mlまでの目盛り付きで、容量が30mlぐらいの共栓付き試験管
栓付き比色管:50mlまでの目盛り付きで、容量が80mlぐらいの共栓付き比色管
試料水10.0mlを栓付き試験管等に取り,6.9%塩化ナトリウム溶液0.5mlと1.0%m−メトキシフェノール液1.0ml、更に90%硫酸溶液10mlを加えて、熱を冷ますために反応後45分放冷して、506nmにおける吸光度を測定した。その際、対照溶液として、水を使用した。地下水、河川水中の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度測定する場合は事前にメンブランフィルターでろ過した。
0.0,0.5,1.0,1.5,2.0μg/mlの硝酸性窒素溶液10.0mlを用いて検量線を作成した。硝酸性窒素(X:μg/ml)と506nmの吸光度(Y)の間には、Y=0.3443X+0.0072の関係式が成り立ち、相関係数は3つの検量線作成に関して0.998、0.9999、0.999だった。
2005年8月、海水が満潮時に上流に逆流してこない河川を中心に熊本市内の河川のある地点から採水した。イオンクロマトグラフ法(日本水道協会編:上水試験法1993年版,p194(1993))と本発明の方法で測定して比較した。亜硝酸性窒素はいずれの検水にも含まれていなかった。13検水で測定してみた結果を表1に示す。
検水は検量線内に入るように、7ml、5mlまたは3mlを10ml水で希釈して本発明の方法で測定した。この13検水について、イオンクロマトグラフ法で測定した値をX軸に取り、提案した方法で測定した値をY軸に取ると、Y=1.1199X−0.0176の関係式が成り立ち、相関係数は0.9978であり、両方法に良好な相関係数があることが分かった。
Figure 2007171085
2005年4月と6月熊本市の下水処理場の最終沈殿槽から場所を変えて9検体を採水した。全窒素を測定するため、オートクレーブを用いる前段酸化を組み合わせる方法を用いた。すなわち、試料10.0mlを分解ビンに入れて水で50mlとした後、アルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を10.0ml添加し、続いてオートクレーブで120℃、30分加熱分解した。分解溶液中から、1ml、2ml、5ml、10mlを栓付き試験管に取り、水で10.0mlとした後、前記標準定量操作に従い定量した。
また、比較のため、公定法である紫外線吸収法(日本工業規格:JISK0102,1998年版,p1221(1998))による測定も行った。すなわち、試料60.0mlから30.0mlを50mlの比色管に取り、塩酸(1+15)溶液でpH調製を行い、水で50mlとして、その一部を石英セルに取り出し、対照セルに水を用いて220nmにおける吸光度を測定した。ここで用いる検量線は0、1.5、3.0、6.0μg/mlの各硝酸性窒素濃度溶液のpHを2〜3に調製して最終的に50.0mlになるようにした後、同様に220nmにおける吸光度を測定した。2つの方法で定量した結果を表2に示す。
本発明に従う方法の見かけの吸光係数は約345cm−1(g/l)であるのに対し、紫外線吸収法の見かけの吸光係数は約240cm−1(g/l)で、本発明の感度は紫外線吸収法よりも高い。ちなみにフェノールを用いる方法の見かけの吸光係数は約120cm−1(g/l)であった。
Figure 2007171085
既述のSerratによって提案されたレゾルシノールを用いて硝酸性窒素における発色試験を行った。ただし、Sarratが提案した方法手順でなく、本発明のm−メトキシフェノール法の標準定量操作と同様に行った。すなわち、試料10mlに11.5%塩化ナトリウム溶液0.5mlと1.0%レゾルシノール溶液1.0mlを加えて最後に90%硫酸10mlを加えると、発熱を伴い発色するので、45分後に最大極大波長502nmにおける吸光度を測定した。硝酸性窒素1.0μg/mlまで測定が可能であったが、相関係数は期待したように良くなく、0.984という値だった。従って、m−メトキシフェノールの場合よりも精度が悪かった。
この原因は、図2に示すような強酸条件下の電子状態から次のように推察される。
レゾルシノールの場合〔図2の(A)〕、カルバニオンが各水酸基のパラ位の位置に対して同じ確率で存在して、即ち1/2の確率のために優劣性がつけられずに、順序よくパラ位での反応が起こらないために相関係数が悪いと考えられる。すなわち、共鳴的に対立したキノイド骨格が成り立つために相関関係が悪いと考えられる。一方、m−メトキシフェノールの場合〔図2の(B)〕、キノイド構造が、攻撃するニトロシルカチオン(NO+)に対してレゾルシノールより連続して成り立ち易く、最初、水酸基のパラ位のカルバニオンにニトロソ化が起こり、次にメトキシ基のパラ位のカルバニオンにニトロソ化が生じると考えられる。レゾルシノールの2つの水酸基同様に同じ強さの活性でないために順序良く各キノイド構造において、ニトロソ化反応が起こり精度上相関係数は良いと考えられる。
本発明は、上水、河川水中の硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の和の濃度定量がまた下水などの産業排水における全窒素の定量が具体化し易く、さらには、大気中の窒素酸化物の測定、食品内の添加物としての硝酸イオンにも、当産業上の広範囲な分野で硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度定量ならびに硝酸イオン濃度測定に利用されうる。
本発明に従う硝酸イオンの測定の反応機構を示す。 硝酸イオンに関与するニトロソ化反応における反応性の違いを推測するためにレゾルシノールおよびm−メトキシフェノールの強酸酸性条件における有機電子論機構を示す。

Claims (4)

  1. 硫酸水溶液、塩化物イオン水溶液およびm−メトキシフェノール水溶液から成ることを特徴とする硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度測定試薬。
  2. 塩化物イオンの供給源として塩化ナトリウムを用いることを特徴とする請求項1の硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度測定試薬。
  3. 硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度を測定すべき被測定サンプルに、請求項1または請求項2に記載の硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度測定試薬を添加して506nm近傍における吸光度を測定する工程を含むことを特徴とする硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度測定方法。
  4. 被測定サンプルを予め酸化分解に供して硝酸イオンを生じさせる工程を更に含むことを特徴とする請求項3の硝酸性窒素濃度または硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の和の濃度測定方法。
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CN113686823A (zh) * 2021-08-27 2021-11-23 西安石油大学 基于透射光谱和PLS-Elman神经网络的水体亚硝酸盐含量估算方法
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