(本開示の基礎となった知見)
従来の空調制御システムでは、深部体温の変化をサポートするために、睡眠中に暖房の設定温度を上げることにより、空調制御システムから出る動作音や気流の刺激で就寝者が覚醒し、快適な睡眠が得られないということがある。
例えば、特許文献1に開示されている空調制御システムでは、レム睡眠時には人の体温調節機能が働きにくいことが知られているため、レム睡眠時に設定温度を上昇させている。したがって、動作音や気流の刺激の影響を受けやすい浅い睡眠時に設定温度を上げることとなり、動作音や気流によって就寝者を覚醒させてしまい、快適な睡眠を継続できなくなるという課題がある。
また、特許文献2に開示されている布団用送風機では、レム睡眠とノンレム睡眠とからなる睡眠の周期が約90分であることを利用し、就寝開始の時刻からノンレム睡眠状態の時間帯を推定して送風運転モードを動作させるように制御している。しかしながら、睡眠周期は常に90分であることはなく、また、就寝者の生理量を計測することにより睡眠状態を判定していない。このため、レム睡眠時に送風運転モードを動作させてしまう場合があり、動作音や気流によって就寝者を覚醒させてしまい、快適な睡眠を継続できなくなるという課題がある。
そこで、本願発明者らは、人の快適な起床をサポートすることと、人が起床前に覚醒することを抑制することとを如何にして両立させるかについて鋭意検討を行った結果、本開示を完成したものである。
本開示の一態様に係る空調制御方法は、プロセッサを用いて、空調対象の空間を空調する空調部を制御する方法であって、前記空間に存在する人の生体情報を計測部から取得し、前記生体情報を用いて前記人の状態を判定し、前記人の起床時刻を示す起床時刻情報を取得し、前記起床時刻情報が示す起床時刻より前の所定期間において、前記人の状態が、睡眠の深さが所定の閾値よりも深い第1の睡眠状態になったことに応じて、前記空調部の設定温度を上げる。
このような構成により、空間に存在する人の生体情報を計測部から取得し、取得した生体情報を用いて人の状態を判定する。また、人の起床時刻を示す起床時刻情報を取得し、起床時刻情報が示す起床時刻より前の所定期間において、人の状態が、睡眠の深さが所定の閾値よりも深い第1の睡眠状態になったことに応じて、空調部の設定温度を上げる。
したがって、人の生体情報を用いて、深い睡眠状態になっている起床時刻より前の期間を正確に判定することができるので、動作音や気流の刺激の影響を受けにくい深い睡眠状態になっている期間に、空調部が温度を上げる動作を行うことができる。この結果、人の快適な起床をサポートすることと、人が起床前に覚醒することを抑制することとを両立することができる。
前記空調部の設定温度を上げることは、前記起床時刻情報が示す起床時刻より前の所定期間において、前記人の状態が前記第1の睡眠状態になる度に、前記空調部の設定温度を上げることにより、前記起床時刻における目標設定温度に基づいて前記空調部の設定温度を段階的に設定する、ことを含むようにしてもよい。
このような構成により、起床時刻情報が示す起床時刻より前の所定期間において、人の睡眠の深さが第1の睡眠状態になる度に、空調部の設定温度を上げることにより、起床時刻における目標設定温度に基づいて空調部の設定温度を段階的に設定する。したがって、動作音や気流の刺激の影響を受けにくい深い睡眠状態になる度に、目標設定温度まで空調部の設定温度を段階的に上げることができる。この結果、起床時刻より前の空間の温度と目標設定温度との差が大きい場合でも、人の快適な起床をサポートすることと、人が起床前に覚醒することを抑制することとを両立することができる。
前記空調制御方法はさらに、前記空調部の設定温度を上げた後の所定期間において取得された前記生体情報を用いて判定された前記人の状態が、前記第1の睡眠状態より浅い第2の睡眠状態になったことに応じて、前記空調部の設定温度を下げる、又は前記空調部を停止することを含むようにしてもよい。
このような構成により、空調部の設定温度を上げた後の所定期間において取得された生体情報を用いて判定された人の状態が、第1の睡眠状態より浅い第2の睡眠状態になったことに応じて、空調部の設定温度を下げる、又は空調部を停止する。したがって、動作音や気流の刺激の影響を受けやすい浅い睡眠状態のときには、空調部の動作音を低減できるとともに、気流の刺激を抑制することができるので、人が起床前に覚醒することを確実に抑制することができる。
前記空調部の設定温度を下げることは、上げる前の設定温度よりも高い設定温度に下げることであってもよい。
このような構成により、空調部の設定温度を下げるとき、上げる前の設定温度よりも高い設定温度に下げる。したがって、空調部の動作音を必要最低限に低減し、且つ気流の刺激を必要最低限に抑制しながら、起床時刻には空間の温度を目標設定温度まで上げることができる。
前記空調制御方法はさらに、前記人の状態が睡眠状態になったことに応じて、前記空調部の設定温度を、前記空調部が停止された場合の前記空間の温度よりも高い温度まで下げる、ことを含むようにしてもよい。
このような構成により、人の状態が睡眠状態になったことに応じて、空調部の設定温度を、空調部が停止された場合の空間の温度よりも高い温度まで下げる。したがって、就寝中の空間の温度が過度に低下することがなくなるので、就寝中の空間の温度と起床時刻の目標設定温度との差を小さくすることができる。この結果、空調部の動作音を低減し、且つ気流の刺激を抑制しながら、起床時刻に就寝中の空間の温度を目標設定温度まで確実に上げることができる。
前記生体情報は、前記人の体動、心拍、呼吸、筋電位及び脳波の少なくとも1つの情報を含むようにしてもよい。
このような構成により、生体情報として、人の体動、心拍、呼吸、筋電位及び脳波の少なくとも1つの情報を取得するので、人の睡眠の深さを正確に判定することができる。
また、本開示は、以上のような特徴的な処理を実行する空調制御方法として実現することができるだけでなく、空調制御方法が実行する特徴的な処理に対応する特徴的な構成を備える空調制御システムなどとして実現することもできる。したがって、以下の他の態様でも、上記の空調制御方法と同様の効果を奏することができる。
本開示の他の態様に係る空調制御システムは、空調対象の空間を空調する空調部と、前記空間に存在する人の生体情報を計測する計測部と、前記生体情報を用いて前記人の状態を判定する判定部と、前記人の起床時刻を示す起床時刻情報を取得し、前記起床時刻情報が示す起床時刻より前の所定期間において、前記人の状態が、睡眠の深さが所定の閾値よりも深い第1の睡眠状態になったことに応じて、前記空調部の設定温度を上げる制御部と、を備える。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における空調制御システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示す空調制御システムは、生体情報計測部101、睡眠状態判定部102、空調制御部103、室内空調部104、及び記憶部105を備える。
図1に示されるように、例えば、ユーザHBが睡眠する部屋に、ベッドB1が設置され、ベッドB1の上に敷き寝具B2が敷かれ、その上に掛け寝具B3が敷かれている。ユーザHBは、敷き寝具B2と掛け寝具B3とを用いて睡眠する。
図1に示す空調制御システムでは、生体情報計測部101は、ユーザHB(就寝者)の生体情報を計測し、睡眠状態判定部102は、計測された生体情報を基にユーザHBの状態を判定する。空調制御部103は、起床前の時間帯において、判定された状態が深い睡眠であれば、室内空調部104の設定温度を上げ、浅い睡眠であれば、動作音や気流の刺激で覚醒させる可能性があるため、室内空調部104の設定温度を変えない。
具体的には、室内空調部104は、例えば、エアコン等から構成され、空調対象の空間を空調する。室内空調部104は、空調対象の空間、例えば、寝室の一つの壁の上方に取り付けられている。室内空調部104は、少なくとも暖房運転を行うことができ、暖房モードにおいて設定温度等に応じて空調対象の空間の温度を調整する。なお、室内空調部104は、上記の例に特に限定されない。空調対象の空間を暖房することができれば、例えば、ヒーター等の他の暖房機器を用いてもよい。
生体情報計測部101は、ユーザHBの生体情報を計測する。生体情報計測部101は、有線通信又は無線通信等を利用して、睡眠状態判定部102に接続され、生体情報を睡眠状態判定部102に出力する。生体情報は、人の体動、心拍、呼吸、筋電位及び脳波の少なくとも1つの情報を含む。
例えば、生体情報として、体動データを計測する場合、生体情報計測部101は、加速度センサ又はジャイロセンサ等を有する体動センサから構成され、敷き寝具B2内の所定位置、例えば、ユーザHBの腰部付近に取り付けられる。生体情報計測部101は、睡眠中のユーザHBの動きを表す体動データ(例えば、寝返りの多さ)を生体情報として測定する。
また、例えば、生体情報として、心拍を計測する場合、生体情報計測部101は、ユーザHBの心拍(心拍信号)を非接触で測定する電波センサ等の心拍センサから構成される。また、例えば、生体情報として、呼吸を計測する場合、生体情報計測部101は、ユーザHBの呼吸(呼吸信号)を非接触で測定する電波センサ等の呼吸センサから構成される。なお、生体情報計測部101は、上記の例に特に限定されない。例えば、他の生体情報を計測する生体センサ等を用いたり、複数のセンサを組み合わせて用いたりしてもよい。
睡眠状態判定部102、空調制御部103、及び記憶部105は、空調対象の空間、例えば、寝室の所定位置に設置される。空調制御部103は、有線又は無線のネットワーク、若しくは赤外線等を利用して、睡眠状態判定部102、室内空調部104、及び記憶部105と通信可能に接続されている。睡眠状態判定部102及び空調制御部103は、プロセッサ等から構成され、内部のメモリ等に記憶された所定のプログラムを実行し、睡眠状態判定部102及び空調制御部103の機能を実行する。
睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報を用いてユーザHBの状態を判定し、判定結果を空調制御部103に出力する。具体的には、睡眠状態判定部102は、生体情報に基づいてユーザHBの状態が、睡眠の深さが所定の閾値よりも深い第1の睡眠状態(以下、「深い睡眠状態」という)であるか否か、又は、第1の睡眠状態より浅い第2の睡眠状態(以下、「浅い睡眠状態」という)であるか否かを判定する。
例えば、「道盛章弘、外2名、「心拍変動解析による睡眠モニタリングシステム」、松下電工技報、82、2003年、p29−33」では、人の睡眠状態は、睡眠の深さに応じて、覚醒状態と、REM睡眠状態と、睡眠ステージ1、2、3、4で表されるノンレム睡眠状態とに区分されている。本実施の形態では、睡眠状態判定部102は、上記刊行物に記載の心拍変動解析等を用いて、睡眠の深さが所定の閾値よりも深い睡眠ステージ3、4を深い睡眠状態と判定し、睡眠ステージ1、2を浅い睡眠状態と判定する。
なお、第1及び第2の睡眠状態としては、上記の例に特に限定されない。例えば、ノンレム睡眠を深い睡眠状態、レム睡眠を浅い睡眠状態と判定したり、上記の睡眠ステージ4のみを深い睡眠状態、上記の睡眠ステージ1のみを浅い睡眠状態と判定したりする等の種々の変更が可能である。
また、睡眠状態の判定方法は、上記刊行物記載の方法に特に限定されず、種々の公知の方法を用いることができる。例えば、「岡田志麻、他4名、「マイクロ波を用いた睡眠深度のセンシング」、生体医工学、54(3)、2016年、p139−144」に記載される判定方法を用いてもよい。また、睡眠状態の判定方法として、生体情報と閾値との比較、生体情報の特徴量と所定の特徴量との比較、又は状態判定を行う機械学習モデルへ生体情報を入力して得られる出力などの種々の方法を採用することができる。
記憶部105は、外部記憶装置等のメモリから構成され、ユーザHBの起床時刻を示す起床時刻情報を予め記憶している。なお、記憶部105の構成は、上記の例に特に限定されない。例えば、空調制御部103の内部にメモリを設け、このメモリを記憶部105として用いる等の種々の変更が可能である。また、起床時刻情報の取得方法は、上記の例に特に限定されない。例えば、ユーザHBがスマートフォン等の携帯端末を用いて自身の起床時刻情報を記憶部105又は空調制御部103に送信してもよい。
空調制御部103は、記憶部105から起床時刻情報を取得し、起床時刻情報が示す起床時刻より前の所定期間において、ユーザHBが、睡眠の深さが所定の閾値よりも深い第1の睡眠状態になったことに応じて、室内空調部104の設定温度を上げる。
図2は、図1に示す空調制御部103により決定される設定温度の一例を示す図である。図2に示す例では、空調制御部103は、起床前から2段階で室内空調部104の設定温度を上昇させる。
具体的には、起床前の第1の設定時刻T1(例えば、起床時刻RBの2時間前)を過ぎて、睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報から睡眠状態を判定する。空調制御部103は、判定された睡眠状態が深い睡眠状態(第1の睡眠状態)であれば、室内空調部104の設定温度を第1の設定温度A1から第2の設定温度A2に変更し、室内空調部104の設定温度を上昇する。ここで、第2の設定温度A2は、深い睡眠と判定した時刻における第1の設定温度A1と、起床時刻RBの第3の設定温度A3(目標設定温度)との中間の値である。
次に、第2の設定時刻T2(例えば、起床時刻RBの1時間前)を過ぎて、睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報から睡眠状態を判定する。空調制御部103は、判定された睡眠状態が深い睡眠状態(第1の睡眠状態)であれば、室内空調部104の設定温度を第2の設定温度A2から起床時刻RBの第3の設定温度A3に変更し、室内空調部104の設定温度を上昇する。
また、空調制御部103は、第2の設定時刻T2までに深い睡眠状態になっていない場合は、第2の設定時刻T2に室内空調部104の設定温度を第1の設定温度A1から第2の設定温度A2に変更する。また、空調制御部103は、第3の設定時刻T3(例えば、起床時刻RBの20分前)までに深い睡眠状態になっていない場合は、第3の設定時刻T3に室内空調部104の設定温度を第2の設定温度A2から第3の設定温度A3に変更する。
上記のように、空調制御部103は、起床時刻情報が示す起床時刻より前の所定期間において、ユーザHBの状態が第1の睡眠状態になる度に、室内空調部104の設定温度を上げることにより、起床時刻における目標設定温度に基づいて室内空調部104の設定温度を段階的に設定する。
したがって、睡眠状態判定部102が浅い睡眠(第2の睡眠)又はレム睡眠であると判定した場合、空調制御部103は、室内空調部104の設定温度を変更しない。一般的に、深い睡眠の時は、動作音や気流などの刺激によって覚醒することは少なく、逆に浅い睡眠やレム睡眠の時には刺激の影響を受けることが比較的多く、動作音や気流の刺激によって覚醒することがあると考えられている。このように、本実施の形態では、深い睡眠と判定されたときに室内空調部104の設定温度を上昇しているので、室内空調部104の動作音や気流の刺激により覚醒することを抑制することが可能となる。
なお、設定温度の上げ方は、上記の例に特に限定されない。例えば、動作音や気流の刺激の影響を考慮し、第1の設定温度A1と第3の設定温度A3との差分に応じて、3段階以上で室内空調部104の設定温度を上昇させるようにしてもよい。この場合、一度に上昇すべき温度を小さくすることができるので、動作音や気流の刺激を十分に低減することができ、人が起床前に覚醒することを確実に防止することができる。
図3は、図1に示す空調制御システムにより設定温度を決定する空調制御処理の一例を示すフローチャートである。ここで、空調制御部103は、本空調制御処理の実行前に、記憶部105から取得した起床時刻情報が示す起床時刻から所定時間(例えば、2時間)前の時刻を第1の設定時刻T1として決定し、起床時刻から所定時間(例えば、1時間)前の時刻を第2の設定時刻T2として決定し、起床時刻から所定時間(例えば、20分)前の時刻を第3の設定時刻T3として決定しておく。
まず、空調制御部103は、現在時刻が第1の設定時刻T1であるか否かを判定し(ステップS11)、現在時刻が第1の設定時刻T1でない場合(ステップS11でNO)、ステップS11の処理を繰り返す。
一方、現在時刻が第1の設定時刻T1である場合(ステップS11でYES)、空調制御部103は、睡眠状態判定部102を介してユーザHBの生体情報の計測を生体情報計測部101に要求し、生体情報計測部101は、ユーザHBの生体情報を計測して睡眠状態判定部102に出力する(ステップS12)。
次に、睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報を用いてユーザHBの睡眠状態を判定し、判定結果を空調制御部103に出力する(ステップS13)。なお、ステップS12、S13の処理は、上記のタイミングに特に限定されない。例えば、ユーザHBの就寝中に常時実行してもよい。
次に、空調制御部103は、睡眠状態判定部102の判定結果が深い睡眠状態(第1の睡眠状態)であるか否かを判定し(ステップS14)、判定結果が深い睡眠状態である場合(ステップS14でYES)、処理をステップS15に移行する。
一方、判定結果が深い睡眠状態でない場合(ステップS14でNO)、空調制御部103は、現在時刻が第2の設定時刻T2であるか否かを判定し(ステップS16)、現在時刻が第2の設定時刻T2でない場合(ステップS16でNO)、ステップS12以降の処理を繰り返す。
次に、判定結果が深い睡眠状態である場合(ステップS14でYES)、又は現在時刻が第2の設定時刻T2である場合(ステップS16でYES)、空調制御部103は、室内空調部104の設定温度を第1の設定温度A1から第2の設定温度A2に変更し、設定温度を上げる。
次に、空調制御部103は、現在時刻が第2の設定時刻T2であるか否かを判定し(ステップS17)、現在時刻が第2の設定時刻T2でない場合(ステップS17でNO)、ステップS17の処理を繰り返す。
一方、現在時刻が第2の設定時刻T2である場合(ステップS17でYES)、空調制御部103は、睡眠状態判定部102を介してユーザHBの生体情報の計測を生体情報計測部101に要求し、生体情報計測部101は、ユーザHBの生体情報を計測して睡眠状態判定部102に出力する(ステップS18)。
次に、睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報を用いてユーザHBの睡眠状態を判定し、判定結果を空調制御部103に出力する(ステップS19)。なお、ステップS18、S19の処理は、上記のタイミングに特に限定されない。例えば、ユーザHBの就寝中に常時実行してもよい。
次に、空調制御部103は、睡眠状態判定部102の判定結果が深い睡眠状態(第1の睡眠状態)であるか否かを判定し(ステップS20)、判定結果が深い睡眠状態である場合(ステップS20でYES)、処理をステップS21に移行する。
一方、判定結果が深い睡眠状態でない場合(ステップS20でNO)、空調制御部103は、現在時刻が第3の設定時刻T3であるか否かを判定し(ステップS22)、現在時刻が第3の設定時刻T3でない場合(ステップS22でNO)、ステップS18以降の処理を繰り返す。
次に、判定結果が深い睡眠状態である場合(ステップS20でYES)、又は現在時刻が第3の設定時刻T3である場合(ステップS22でYES)、空調制御部103は、室内空調部104の設定温度を第2の設定温度A2から第3の設定温度A3に変更し、室内空調部104の設定温度を上げ(ステップS21)、処理を終了する。
上記の処理により、本実施の形態では、ユーザHBの生体情報を生体情報計測部101から取得し、取得した生体情報を用いてユーザHBの状態を判定する。また、ユーザHBの起床時刻を示す起床時刻情報を記憶部105から取得し、取得した起床時刻情報が示す起床時刻より前の所定期間において、ユーザHBの状態が、睡眠の深さが所定の閾値よりも深い第1の睡眠状態になったことに応じて、室内空調部104の設定温度を上げる。
したがって、ユーザHBの生体情報を用いて、深い睡眠状態になっている起床時刻より前の期間を正確に判定することができるので、動作音や気流の刺激の影響を受けにくい深い睡眠状態になっている期間に、室内空調部104が温度を上げる動作を行うことができる。この結果、ユーザHBの快適な起床をサポートすることと、ユーザHBが起床前に覚醒することを抑制することとを両立することができる。
(実施の形態2)
上記の実施の形態1では、ユーザHBが睡眠する部屋内に空調制御部103等を設置する例について説明したが、インターネット等のネットワークを介して接続されるクラウドサーバ等が空調制御部103等の機能を代行してもよい。本実施の形態では、ネットワークを介して接続されるサーバを用いた空調制御システムについて説明する。
図4は、本開示の実施の形態2における空調制御システムの構成の一例を示す図である。図4に示す空調制御システムは、生体情報計測部101N、睡眠状態判定部102N、サーバ103N、室内空調部104N、及び記憶部105Nを備える。なお、図4では、1台の室内空調部104N等がネットワーク106を介してサーバ103Nに接続されている例を図示しているが、この例に特に限定されない。例えば、複数台の室内空調部104N等をネットワーク接続し、これらの機器をサーバ103Nが制御するようにしてもよい。また、サーバ103Nが睡眠状態判定部102Nの機能を実行する場合、睡眠状態判定部102Nを省略し、生体情報計測部101Nがネットワーク106を介して生体情報をサーバ103Nに送信するようにしてもよい。
生体情報計測部101N、睡眠状態判定部102N、サーバ103N、室内空調部104N、及び記憶部105Nは、図1に示す生体情報計測部101、睡眠状態判定部102、空調制御部103、室内空調部104、及び記憶部105と同様に構成される。
睡眠状態判定部102N、サーバ103N、室内空調部104N、及び記憶部105Nは、ネットワーク接続するための通信部(図示省略)を内部に備える。睡眠状態判定部102N、室内空調部104N、及び記憶部105Nは、内部の通信部を用いて、ネットワーク106を介してサーバ103Nに通信可能に接続されている。なお、通信部の構成は、上記の例に特に限定されない。例えば、睡眠状態判定部102N、室内空調部104N、及び記憶部105Nを、ブロードバンドルータ等の通信装置を介してネットワーク106に接続する等の種々の変更が可能である。
本実施の形態でも、図3に示す空調制御処理と同様の空調制御処理が実行されるので、図示を省略して、図3を用いて、本実施の形態の空調制御処理について、以下に説明する。
ここで、実施の形態1と同様に、サーバ103Nは、本空調制御処理の実行前に、ネットワーク106を介して記憶部105Nから取得した起床時刻情報が示す起床時刻から所定時間(例えば、2時間)前の時刻を第1の設定時刻T1として決定し、起床時刻から所定時間(例えば、1時間)前の時刻を第2の設定時刻T2として決定し、起床時刻から所定時間(例えば、20分)前の時刻を第3の設定時刻T3として決定しておく。
まず、サーバ103Nは、現在時刻が第1の設定時刻T1であるか否かを判定し(ステップS11)、現在時刻が第1の設定時刻T1でない場合(ステップS11でNO)、ステップS11の処理を繰り返す。
一方、現在時刻が第1の設定時刻T1である場合(ステップS11でYES)、サーバ103Nは、睡眠状態判定部102Nを介してユーザHBの生体情報の計測を生体情報計測部101Nに要求し、生体情報計測部101Nは、ユーザHBの生体情報を計測して睡眠状態判定部102Nに出力する(ステップS12)。
次に、睡眠状態判定部102Nは、生体情報計測部101Nにより計測された生体情報を用いてユーザHBの睡眠状態を判定し、判定結果をサーバ103Nに出力する(ステップS13)。なお、ステップS12、S13の処理は、上記のタイミングに特に限定されない。例えば、ユーザHBの就寝中に常時実行してもよい。
次に、サーバ103Nは、睡眠状態判定部102Nの判定結果が深い睡眠状態(第1の睡眠状態)であるか否かを判定し(ステップS14)、判定結果が深い睡眠状態である場合(ステップS14でYES)、処理をステップS15に移行する。
一方、判定結果が深い睡眠状態でない場合(ステップS14でNO)、サーバ103Nは、現在時刻が第2の設定時刻T2であるか否かを判定し(ステップS16)、現在時刻が第2の設定時刻T2でない場合(ステップS16でNO)、ステップS12以降の処理を繰り返す。
次に、判定結果が深い睡眠状態である場合(ステップS14でYES)、又は現在時刻が第2の設定時刻T2である場合(ステップS16でYES)、サーバ103Nは、室内空調部104Nの設定温度を第1の設定温度A1から第2の設定温度A2に変更し、設定温度を上げる。
次に、サーバ103Nは、現在時刻が第2の設定時刻T2であるか否かを判定し(ステップS17)、現在時刻が第2の設定時刻T2でない場合(ステップS17でNO)、ステップS17の処理を繰り返す。
一方、現在時刻が第2の設定時刻T2である場合(ステップS17でYES)、サーバ103Nは、睡眠状態判定部102Nを介してユーザHBの生体情報の計測を生体情報計測部101Nに要求し、生体情報計測部101Nは、ユーザHBの生体情報を計測して睡眠状態判定部102Nに出力する(ステップS18)。
次に、睡眠状態判定部102Nは、生体情報計測部101Nにより計測された生体情報を用いてユーザHBの睡眠状態を判定し、判定結果をサーバ103Nに出力する(ステップS19)。なお、ステップS18、S19の処理は、上記のタイミングに特に限定されない。例えば、ユーザHBの就寝中に常時実行してもよい。
次に、サーバ103Nは、睡眠状態判定部102Nの判定結果が深い睡眠状態(第1の睡眠状態)であるか否かを判定し(ステップS20)、判定結果が深い睡眠状態である場合(ステップS20でYES)、処理をステップS21に移行する。
一方、判定結果が深い睡眠状態でない場合(ステップS20でNO)、サーバ103Nは、現在時刻が第3の設定時刻T3であるか否かを判定し(ステップS22)、現在時刻が第3の設定時刻T3でない場合(ステップS22でNO)、ステップS18以降の処理を繰り返す。
次に、判定結果が深い睡眠状態である場合(ステップS20でYES)、又は現在時刻が第3の設定時刻T3である場合(ステップS22でYES)、サーバ103Nは、室内空調部104Nの設定温度を第2の設定温度A2から第3の設定温度A3に変更し、室内空調部104Nの設定温度を上げ(ステップS21)、処理を終了する。
上記の処理により、本実施の形態でも、ユーザHBの生体情報を生体情報計測部101Nから取得し、取得した生体情報を用いてユーザHBの状態を判定する。また、ユーザHBの起床時刻を示す起床時刻情報を記憶部105Nから取得し、取得した起床時刻情報が示す起床時刻より前の所定期間において、ユーザHBの状態が、睡眠の深さが所定の閾値よりも深い第1の睡眠状態になったことに応じて、室内空調部104Nの設定温度を上げる。
したがって、ユーザHBの生体情報を用いて、深い睡眠状態になっている起床時刻より前の期間を正確に判定することができるので、動作音や気流の刺激の影響を受けにくい深い睡眠状態になっている期間に、室内空調部104Nが温度を上げる動作を行うことができる。この結果、ユーザHBの快適な起床をサポートすることと、ユーザHBが起床前に覚醒することを抑制することとを両立することができる。
なお、本実施の形態では、実施の形態1の空調制御部103に代えて、サーバ103Nを用いる例について説明したが、この例に特に限定されない。例えば、後述する他の空調制御部に代えて、サーバを用いてもよく、同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態の空調制御システムでは、深い睡眠であると判定して設定温度を上げて暖房の動作を実行している間に、睡眠状態が浅くなった場合、設定温度の上昇による動作音又は気流による影響であると判定し、設定温度を一旦下げる。なお、本実施の形態の空調制御システムの構成は、図1に示す空調制御システムと同様であるので、図示を省略し、図1を用いて、実施の形態1と異なる点についてのみ詳細に説明する。
図5は、本開示の実施の形態3における設定温度の一例を示す図である。図5に示す例では、空調制御部103は、室内空調部104の設定温度を上げた後の所定期間において取得された生体情報を用いて判定されたユーザHBの状態が、第1の睡眠状態より浅い第2の睡眠状態になったことに応じて、室内空調部104の設定温度を下げる、又は室内空調部104を停止する。
具体的には、実施の形態1と同様に、起床前の第1の設定時刻T1(例えば、起床時刻RBの2時間前)を過ぎて、睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報から睡眠状態を判定する。空調制御部103は、判定された睡眠状態が深い睡眠状態(第1の睡眠状態)であれば、室内空調部104の設定温度を第1の設定温度A1から第2の設定温度A2に変更し、室内空調部104の設定温度を上昇する。
次に、睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報から睡眠状態を判定する。空調制御部103は、判定された睡眠状態が浅い睡眠状態(第2の睡眠状態、例えば、上記の睡眠ステージ1、2)であれば、室内空調部104の設定温度を第2の設定温度A2から第4の設定温度A4に変更し、室内空調部104の設定温度を下げる。このように、空調制御部103は、室内空調部104の設定温度を下げる場合、上げる前の設定温度(第1の設定温度A1)よりも高い設定温度に下げている。
ここで、第4の設定温度A4は、既に設定温度を第2の設定温度A2に上げていた間に室温が上昇しているため、第2の設定温度A2より若干下げるレベル、例えば、第1の設定温度A1と第2の設定温度A2との差分の3分の1だけ第2の設定温度A2から下げた温度を用いている。なお、第4の設定温度A4は、上記の例に特に限定されない。例えば、第1の設定温度A1と第2の設定温度A2との中間の値等を用いてもよい。
その後、睡眠状態判定部102は、継続して睡眠状態を判定し、空調制御部103は、判定された睡眠状態が再度深い睡眠状態と判定されたならば、室内空調部104の設定温度を第4の設定温度A4から第5の設定温度A5に変更し、室内空調部104の設定温度を上昇する。ここで、第5の設定温度A5は、例えば、第4の設定温度A4と、起床時の第3の設定温度A3(目標設定温度)との中間の値である。
次に、第2の設定時刻T2(例えば、起床時刻RBの1時間前)を過ぎて、睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報から睡眠状態を判定する。空調制御部103は、深い睡眠状態(第1の睡眠状態)であれば、室内空調部104の設定温度を第5の設定温度A5から起床時刻RBの第3の設定温度A3に変更する。
また、空調制御部103は、第2の設定時刻T2までに深い睡眠状態になっていない場合は、第2の設定時刻T2に室内空調部104の設定温度を第1の設定温度A1から第2の設定温度A2に変更する。また、空調制御部103は、第2の設定時刻T2までに再度深い睡眠状態になっていない場合は、第2の設定時刻T2に室内空調部104の設定温度を第4の設定温度A4から第5の設定温度A5に変更する。また、空調制御部103は、第3の設定時刻T3(例えば、起床時刻RBの20分前)までに深い睡眠状態になっていない場合は、第3の設定時刻T3に室内空調部104の設定温度を第2の設定温度A2から第3の設定温度A3に変更する。
上記のように、空調制御部103は、設定温度を上げた直後の睡眠状態から、設定温度を上げたことによる影響があると判定した場合、設定温度を一旦下げているので、室内空調部104の動作音や気流の刺激により覚醒することを抑制することが可能となる。
図6は、本開示の実施の形態3における空調制御システムにより設定温度を決定する空調制御処理の一例を示すフローチャートであり、図7は、図6に示す設定温度減増処理の一例を示すフローチャートである。なお、図6では、図3に示す処理と同一の処理については、同一符号を付し、以下、異なる処理について詳細に説明する。
図6に示すステップS11〜S22の各処理は、図3に示すステップS11〜S22の各処理と同様であり、図6に示す空調制御処理では、図3に示すステップS15の処理とステップS17の処理との間に、ステップS30の設定温度減増処理が追加され、図7に示す設定温度減増処理が実行される。
すなわち、ステップS15の処理後に、空調制御部103は、睡眠状態判定部102を介してユーザHBの生体情報の計測を生体情報計測部101に要求し、生体情報計測部101は、ユーザHBの生体情報を計測して睡眠状態判定部102に出力する(ステップS31)。
次に、睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報を用いてユーザHBの睡眠状態を判定し、判定結果を空調制御部103に出力する(ステップS32)。
次に、空調制御部103は、睡眠状態判定部102の判定結果が浅い睡眠状態(第2の睡眠状態)であるか否かを判定する(ステップS33)。
判定結果が浅い睡眠状態でない場合(ステップS33でNO)、空調制御部103は、現在時刻が第2の設定時刻T2であるか否かを判定する(ステップS35)。
現在時刻が第2の設定時刻T2でない場合(ステップS35でNO)、ステップS31以降の処理を繰り返し、現在時刻が第2の設定時刻T2である場合(ステップS35でYES)、図6に示すステップS17に移行し、以降の処理を実行する。
一方、判定結果が浅い睡眠状態である場合(ステップS33でYES)、空調制御部103は、室内空調部104の設定温度を第2の設定温度A2から第4の設定温度A4に変更し、室内空調部104の設定温度を下げる(ステップS34)。
次に、空調制御部103は、睡眠状態判定部102を介してユーザHBの生体情報の計測を生体情報計測部101に要求し、生体情報計測部101は、ユーザHBの生体情報を計測して睡眠状態判定部102に出力する(ステップS36)。
次に、睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報を用いてユーザHBの睡眠状態を判定し、判定結果を空調制御部103に出力する(ステップS37)。
次に、空調制御部103は、睡眠状態判定部102の判定結果が深い睡眠状態(第1の睡眠状態)であるか否かを判定する(ステップS38)。判定結果が深い睡眠状態である場合(ステップS38でYES)、処理をステップS39に移行する。
一方、判定結果が深い睡眠状態でない場合(ステップS38でNO)、空調制御部103は、現在時刻が第2の設定時刻T2であるか否かを判定する(ステップS40)。現在時刻が第2の設定時刻T2でない場合(ステップS40でNO)、ステップS36の処理に移行し、以降の処理を繰り返す。
次に、判定結果が深い睡眠状態である場合(ステップS38でYES)、又は現在時刻が第2の設定時刻T2である場合(ステップS40でYES)、空調制御部103は、室内空調部104の設定温度を第4の設定温度A4から第5の設定温度A5に変更し、室内空調部104の設定温度を上げる(ステップS39)。その後、図6に示すステップS17に移行し、以降の処理を実行する。
上記の処理により、本実施の形態では、室内空調部104の設定温度を上げた後の所定期間において取得された生体情報を用いて判定されたユーザHBの状態が、第1の睡眠状態より浅い第2の睡眠状態になったことに応じて、室内空調部104の設定温度を下げる、又は室内空調部104を停止する。したがって、動作音や気流の刺激の影響を受けやすい浅い睡眠状態のときには、室内空調部104の動作音を低減できるとともに、気流の刺激を抑制することができるので、ユーザHBが起床前に覚醒することを確実に抑制することができる。
なお、本実施の形態では、設定時刻T1と設定時刻T2との間の期間に設定温度減増処理を実行しているが、この例に特に限定されない。例えば、設定時刻T2と設定時刻T3との間の期間に設定温度減増処理を実行したり、3段階以上の多段階で設定温度を上昇する場合に各段階で設定温度減増処理を実行したりする等の種々の変更が可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態の空調制御システムでは、ユーザの状態が睡眠状態になったとき、すなわち、ユーザが入眠したとき、室内空調部の設定温度を、室内空調部が停止された場合の空調対象の空間の温度よりも高い温度まで下げ、その後、実施の形態1と同様に空調制御処理を実行する。なお、本実施の形態の空調制御システムの構成は、図1に示す空調制御システムと同様であるので、図示を省略し、図1を用いて、実施の形態1と異なる点についてのみ詳細に説明する。
図8は、本開示の実施の形態4における設定温度の一例を示す図である。図8に示す例では、空調制御部103は、ユーザHBの状態が覚醒状態から睡眠状態になったとき、すなわち入眠時刻ISにユーザHBが入眠したと判定する。空調制御部103は、ユーザHBの状態が睡眠状態になったことに応じて、室内空調部104の設定温度を、入眠前の設定温度A0から第1の設定温度A1まで下げる。ここで、入眠前の設定温度A0は、例えば、22〜23℃であり、第1の設定温度A1は、室内空調部104が停止された場合の空調対象の空間の温度、例えば、10℃よりも高い設定温度、例えば、15〜20℃である。
特許文献1のように、入眠判定後に空調制御システムの運転を停止すると、冬季では、空調対象の室温が10℃以下になる場合も多い。一方、敷き寝具B2と掛け寝具B3との間の寝床内温度は、通常33℃±1℃である。したがって、トイレのためなどに離床したときに、寝床内温度と室温との温度差が大きくなり、ヒートショックを起こすことが考えられる。ここで、ヒートショックとは、急激な温度変化により、血圧が大きく変動することであり、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを起こすことである。このため、本実施の形態では、入眠後に、室内空調部104の設定温度を15〜20℃の第1の設定温度A1に設定することにより、ヒートショックを起こすリスクを軽減することができる。
また、本実施の形態では、実施の形態1と同様に起床前から2段階で室内空調部104の設定温度を上昇させている。このとき、起床前の設定時刻T1までの第1の設定温度A1と起床時刻RBの第3の設定温度A3との差は、運転停止によって10℃以下になっている場合の起床前の設定時刻T1までの室温と起床時刻RBの第3の設定温度A3との差と比較して小さい。したがって、本実施の形態では、第1の設定温度A1と第2の設定温度A2との差分、及び第2の設定温度A2と第3の設定温度A3との差分が小さくなり、室内空調部104の動作音や気流の刺激を軽減することが可能となる。
図9は、本開示の実施の形態4における空調制御システムにより設定温度を決定する空調制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、図9では、図3に示す処理と同一の処理については、同一符号を付し、以下、異なる処理について詳細に説明する。
まず、ユーザHBが入眠する前、空調制御部103は、睡眠状態判定部102を介してユーザHBの生体情報の計測を生体情報計測部101に要求し、生体情報計測部101は、ユーザHBの生体情報を計測して睡眠状態判定部102に出力する(ステップS51)。
次に、睡眠状態判定部102は、生体情報計測部101により計測された生体情報を用いてユーザHBの睡眠状態を判定し、判定結果を空調制御部103に出力する(ステップS52)。
次に、空調制御部103は、睡眠状態判定部102の判定結果が睡眠状態すなわちユーザHBが入眠した状態(睡眠状態)であるか否かを判定し(ステップS53)、判定結果が入眠した状態でない場合すなわち覚醒状態である場合(ステップS53でNO)、ステップS51以降の処理を繰り返す。
一方、判定結果が入眠した状態を示す場合(ステップS53でYES)、空調制御部103は、室内空調部104の設定温度を、入眠前の設定温度A0から室内空調部104が停止された場合の空調対象の空間の温度よりも高い第1の設定温度A1に変更し、設定温度を下げる(ステップS54)。その後、実施の形態1と同様に、ステップS11〜S22の各処理が実行される。
上記の処理により、本実施の形態では、ユーザHBの状態が睡眠状態になったことに応じて、室内空調部104の設定温度を、室内空調部104が停止された場合の空間の温度よりも高い温度まで下げる。したがって、就寝中の空間の温度が過度に低下することがなくなるので、就寝中の空間の温度である第1の設定温度A1と起床時刻の目標設定温度である第3の設定温度A3との差を小さくすることができる。この結果、一度に上昇すべき温度を小さくすることができるので、室内空調部104の動作音を低減し、且つ気流の刺激を抑制しながら、起床時刻に就寝中の空間の温度を目標設定温度まで確実に上げることができる。