JP2019100444A - すべり支承免震装置および免震建物 - Google Patents

すべり支承免震装置および免震建物 Download PDF

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芳人 齊藤
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弘明 龍神
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Abstract

【課題】免震建物におけるすべり支承免震装置の鉛直剛性を所期の鉛直剛性に調整可能な技術を提供する。【解決手段】すべり支承免震装置は、すべり支承と鉛直剛性調整部を備え、鉛直剛性調整部は、上側プレート部と、下側プレート部と、下側プレート部上に設置される支持ゴム体と、上側プレート部および下側プレート部の何れか一方から突設され支持ゴム体の周りを囲うリング部を有する。リング部は、上部構造物の荷重が作用する前の状態における支持ゴム体の側面との間に側方クリアランスが形成される内径を有すると共に、上部構造物の荷重が作用して鉛直方向に収縮した状態における支持ゴム体の側面がリング部の内周面に当接することで支持ゴム体の変形を拘束するように形成され、支持ゴム体は、リング部によって変形が拘束された際に所期の鉛直剛性が発揮される。【選択図】図3

Description

本発明は、すべり支承免震装置および免震建物に関する。
マンションやビル等の建物に対する地震等による地盤振動の影響を低減するための免震装置が知られている。免震装置は、建物の免震対象となる上部構造と、基礎等の下部構造との間に設置し、地震によって下部構造が振動した際に、上部構造への振動の伝達を低減すると共に、伝達された振動を減衰させる装置である。
このような免震装置として、例えば上端部および下端部の各々を上部構造および下部構造に固定して用いられる積層ゴム支承免震装置と、上端部および下端部のいずれか一方を上部構造及び下部構造のいずれか一方に固定し、他方を上部構造および下部構造のいずれか他方に対して滑るようにして用いられるすべり支承免震装置とを混在させたものが知られている。
積層ゴム支承免震装置は、一般に、上部構造および下部構造の各々に一体的に取り付けられる上ベースプレートおよび下ベースプレートと、これら各ベースプレートの間に設けられ、薄い鋼板等の剛性層とゴム板等の弾性層とが鉛直方向に交互に積層された積層ゴム体とで構成されている。
すべり支承免震装置は、上ベースプレートおよび下ベースプレートと、これら各ベースプレートのいずれか一方に設けられたすべり板と、各ベースプレートの何れか他方にすべり材を含み、地震時にすべり材とすべり板との摺動が生じることで上部構造への地震の揺れの伝達を低減すると共に、すべり材とすべり板との摺動時に発生する摩擦力によって熱エネルギに変換して空気中へ放出することにより、地震力を減少させるようにしている。
特開2016−75367号公報
積層ゴムを有する積層ゴム支承免震装置は、すべり支承免震装置に比べて鉛直剛性が相対的に小さい。つまり、鉛直荷重を受けている状態での支承の沈み込み量が相違する。従って、免震建物において積層ゴム支承免震装置とすべり支承免震装置が混在する場合、建物の沈下量が不均一となり、建物に悪影響を及ぼす虞がある。これに起因して、例えば、積層ゴム支承免震装置およびすべり支承免震装置が支持する柱同士を接続する梁に加わる力が大きくなり、その設計が難しくなる場合がある。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、免震建物におけるすべり支承免震装置の鉛直剛性を所期の鉛直剛性に調整可能な技術を提供することにある。
本発明に係るすべり支承免震装置は、すべり支承と、前記すべり支承の上部に鉛直方向に重ねて設けられる鉛直剛性調整部と、を備え、前記鉛直剛性調整部は、上部構造物に接合される上側プレート部と、前記すべり支承に接合される下側プレート部と、前記上側プ
レート部および下側プレート部の間に挟まれた状態で配置されて、前記上部構造物の荷重が作用する支持ゴム体と、前記上側プレート部および前記下側プレート部の何れか一方から突設され、前記支持ゴム体の周りを囲うリング部と、を有し、前記リング部は、前記上部構造物の荷重が作用する前の状態における前記支持ゴム体の側面との間に側方クリアランスが形成される内径を有すると共に、前記上部構造物の荷重が作用して鉛直方向に収縮した状態における前記支持ゴム体の側面が当該リング部の内周面に当接することで前記支持ゴム体の変形を拘束するように形成され、前記支持ゴム体は、前記リング部との当接によって変形が拘束された際に所期の鉛直剛性が発揮されることを特徴とする。上記構成を採用することで、鉛直剛性を所期の鉛直剛性に調整可能なすべり支承免震装置を提供することができる。
また、本発明に係るすべり支承免震装置は、前記上側プレート部および前記下側プレート部の何れか他方が前記リング部に嵌合された状態で設けられることで、前記上側プレート部と前記下側プレート部とにおける水平方向の相対移動が規制されるように構成されていてもよい。
また、本発明は、免震建物として特定することもできる。すなわち、本発明に係る免震建物は、上部構造物と、下部構造物と、前記上部構造物と前記下部構造物との間に設けられた免震層とを備え、前記免震層は、積層ゴム支承免震装置と、上述したすべり支承免震装置と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、免震建物におけるすべり支承免震装置の鉛直剛性を所期の鉛直剛性に調整可能な技術を提供することができる。
図1は、実施形態1に係る免震建物を示す立面図である。 図2は、実施形態1に係る積層ゴム支承免震装置を示す立断面図である。 図3は、実施形態1に係るすべり支承免震装置を示す立断面図である。 図4は、実施形態1において上部構造物の荷重を支持ゴム体に導入する前のすべり支承免震装置の状態を説明する図である。 図5は、実施形態2に係るすべり支承免震装置を示す立断面図である。 図6は、実施形態2において上部構造物の荷重を支持ゴム体に導入する前のすべり支承免震装置の状態を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る免震建物100を示す立面図である。この図に示すように、免震建物100は、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等の上部構造物120と、基礎や地下又は地上の躯体等の下部構造物140と、これらの間に設けられた免震層200とを備えている。免震層200には、積層ゴム支承免震装置22と、すべり支承免震装置30とが備えられており、これらが上部構造物120に適したバランスで配置されている。
図2は、実施形態1に係る積層ゴム支承免震装置22を示す立断面図である。この図に示すように、積層ゴム支承免震装置22は、上ベースプレート22Aと、下ベースプレート22Bと、積層ゴム22Cを含んで構成されている。上ベースプレート22Aは、上部構造物120の免震基礎120Aにベースプレート15を介してアンカーボルト17によ
り固定されている。下ベースプレート22Bは、下部構造物140の免震層床140Aにベースプレート16を介してアンカーボルト18により固定されている。積層ゴム22Cは、上ベースプレート22Aおよび下ベースプレート22Bの間に配置されている。積層ゴム22Cは、上面が上ベースプレート22Aに固定されると共に、下面が下ベースプレート22Bに固定されており、円板状のゴムと円板状の鋼材が交互に積層されている。
図3は、実施形態1に係るすべり支承免震装置30を示す立断面図である。この図に示すように、すべり支承免震装置30は、上下のベースプレート15、16の間に配されたすべり支承40および鉛直剛性調整機構50を備えている。すべり支承40は、ベースプレート16を介してアンカーボルト18により免震層床140Aに固定され、鉛直剛性調整機構50は、ベースプレート15を介してアンカーボルト17により免震基礎120Aに固定されている。また、鉛直剛性調整機構50とすべり支承40とは上下方向に重ねて配され互いに結合されている。
すべり支承40は、ベースプレート16を介してアンカーボルト18により免震層床140Aに固定されたすべり板41と、すべり板41上に摺動可能に配されたすべり材42と、すべり材42が下面に固定されたすべり支承本体部43と、すべり支承本体部43の上面に固定されたベースプレート44とを備えている。すべり板41は、ベースプレート16と同形状、同面積のステンレス板等の低摩擦性の板であり、ベースプレート16と重ね合わされた状態でアンカーボルト18により免震層床14Aに固定されている。すべり支承40は、地震時にすべり材42とすべり板41との摺動が生じることで上部構造物120への地震の揺れの伝達を低減すると共に、すべり材42とすべり板41との摺動時に発生する摩擦力によって振動エネルギを熱エネルギに変換して空気中へ放出することにより、地震力を減少させる。
すべり材42は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)板等の低摩擦性の円板である。このすべり材42は、すべり板41に比して小面積であり、すべり板41の中央部に載置されている。すべり支承本体部43は、例えば、すべり材42と同径の鋼製円柱体である。ベースプレート44は、すべり支承本体部43よりも大径の円形状の鋼板であり、すべり支承本体部43と同軸に配置されている。なお、ベースプレート44およびすべり支承本体部43は、別々に製作された後に溶接などによって一体に接合されてもよい。
鉛直剛性調整機構50は、上側部51と、下側部52とを含んで構成されている。上側部51は、上側プレート部511とリング部512とを備えている。上側プレート部511は、ベースプレート15と同径の円形状の鋼板であり、ベースプレート15と重ね合わされた状態でアンカーボルト17により免震基礎120Aに固定されている。また、リング部512は、円筒状の鋼材であり、上側プレート部511と一体で形成されており、上側プレート部511の下面511aから下方に向けて垂直に突設されている。図3に示すように、リング部512の外径は、上側プレート部511より小径となっている。
下側部52は、すべり支承40のベースプレート44と一体に接合される下側プレート部521と、下側プレート部521の上面521aに配置される支持ゴム体522とを備えている。下側プレート部521は、ベースプレート44より若干小径の円形状の鋼板であり、例えば溶接やボルト接合等によって一体に接合されている。但し、下側プレート部521は、ベースプレート44と同径の円形状の鋼板としてもよい。また、下側プレート部521は、ベースプレート44と一部材として形成されていてもよい。また、下側プレート部521は、上側部51におけるリング部512の内径よりも僅かに小径、又はリング部512の内径と同径である。
上記のように構成されるすべり支承免震装置30は、すべり支承40の上部に鉛直剛性調整機構50が鉛直方向に重ねて設けられており、下側プレート部521の上面521a上に載置された支持ゴム体522は、下側プレート部521と上側プレート部511とに挟まれた状態で配置され、上部構造物120の荷重が作用することで、上下に圧縮されて潰された状態となっている。また、本実施形態において、支持ゴム体522は、塊状のゴム単体である。ここで、図3に示す支持ゴム体522の状態を、「積載荷重導入済み状態」という。積載荷重導入済み状態における支持ゴム体522の上下方向の高さ寸法を「荷重導入後高さ」と呼び、同状態における支持ゴム体52Bの直径を「荷重導入後直径」と呼ぶ。
図4は、実施形態1において上部構造物120の荷重を支持ゴム体522に導入する前のすべり支承免震装置30の状態を説明する図である。図4には、原形状態における支持ゴム体522が示されている。また、図4において、上側部51における上側プレート部511とリング部512を破線で示している。本実施形態において、支持ゴム体522は、原形状態において円柱形状を有しており、上面522a、下面522b、および側面522cによって外形が画定されている。ここで、原形状態における支持ゴム体522の上下方向の高さ寸法を「荷重導入前高さ」と呼び、同状態における支持ゴム体522の直径を「荷重導入前直径」と呼ぶ。
図4に示されるように、原形状態における支持ゴム体522の荷重導入前直径は、上側部51におけるリング部512の内径よりも小さく、支持ゴム体522の側面522cとリング部512の内周面512aとの間には隙間(以下、「側方クリアランス」という)Cが形成されている。そして、原形状態における支持ゴム体522に対して、上側部51の上側プレート部511を介して上部構造物120の荷重が導入されると、図3に示すように、支持ゴム体522が鉛直方向に収縮する一方、側方に膨張変形する(すなわち、側方に向かってはらむ)。本実施形態に係るすべり支承免震装置30は、上部構造物120の荷重を支持ゴム体522に作用させた際、支持ゴム体522の側面522cがリング部512の内周面512aに当接することで、それ以上の支持ゴム体522の側方へのハラミ出し(側方への膨張変形)が拘束(抑制)され、その結果、鉛直方向へのそれ以上の収縮変形が抑制される。
つまり、支持ゴム体522における荷重導入後直径は、荷重導入前直径よりも大きく、リング部512の内径と実質的に等しくなる一方、荷重導入前高さに比べて荷重導入後高さが小さくなる。そして、本実施形態におけるすべり支承免震装置30は、上部構造物120の荷重導入時に支持ゴム体522の変形が下側プレート部521、上側プレート部511、およびリング部512によって拘束された際に所期の鉛直剛性を発揮するように支持ゴム体522が形成されている。ここでいう、所期の鉛直剛性とは、すべり支承免震装置30に要求される鉛直剛性であって、上部構造物120の自重や積層ゴム支承免震装置22の鉛直剛性との関係を考慮して設定されてもよい。
以上のように、本実施形態におけるすべり支承免震装置30によれば、所期の鉛直剛性を発揮することができるため、すべり支承免震装置30の鉛直剛性を積層ゴム支承免震装置22の鉛直剛性と等価にすることができる。これにより、免震建物10において、すべり支承免震装置30および積層ゴム支承免震装置22の各支承において鉛直荷重を受けている状態での沈み込み量を均一にすることができる。従って、免震建物10の沈下量が不均一となることに起因して、積層ゴム支承免震装置22およびすべり支承免震装置30が支持する柱同士を接続する梁に加わる力が大きくなることを抑制することができ、当該梁の設計が困難になることも抑制することが可能となる。
また、本実施形態におけるすべり支承免震装置30の鉛直剛性調整機構50によれば、
上側部51のリング部512の内側に下側部52の下側プレート部521が嵌合されている。ここで、下側部52の下側プレート部521の外径と、リング部512の内径との寸法差をすきまばめとして設定することにより、リング部512と下側プレート部521との鉛直方向の相対変位が許容されている。一方、上側部51のリング部512と下側部52の下側プレート部521とに許容される水平方向の相対変位(以下、「許容相対水平変位」という)は、リング部512の内周面512aと下側プレート部521の側面との隙間の分だけに制限され、上記許容相対水平変位は、支持ゴム体522の荷重導入前直径に比べて顕著に小さな寸法に設定されている。これによれば、地震時に、すべり支承40のすべり材42がすべり板41上で摺動する際においても、支持ゴム体522が水平方向に弾性変形することを抑制することができ、すべり支承免震装置30の鉛直剛性の変化を抑制することができる。
また、本実施形態におけるすべり支承免震装置30においては、鉛直剛性調整機構50の支持ゴム体522を塊状のゴム体として形成したので、支持ゴム体522を円板状のゴム緒円板状の鋼材とを交互に積層させた積層ゴムとする場合に比べて、鉛直剛性を小さくすることができる。これによれば、上部構造物120の荷重を支持ゴム体522に作用させた際、支持ゴム体522の水平方向への膨張変形量を十分に確保することができる。これにより、リング部512によって支持ゴム体522の水平方向への膨張変形をより確実に拘束することができ、すべり支承免震装置30全体の鉛直剛性の調整を精度よく容易に行うことが可能となる。但し、支持ゴム体522を積層ゴムによって形成することは阻害されない。上部構造物120の荷重を支持ゴム体522に作用させた際に、側方に膨張変形させた支持ゴム体522の側面522cをリング部512の内周面512aに当接させてそれ以上のゴム体522の側方への膨張変形を拘束することで鉛直剛性調整機構50の鉛直剛性を所期の合成に調整する限りにおいて、支持ゴム体522は塊状のゴム体であってもよいし、積層ゴムであってもよい。
なお、本実施形態における鉛直剛性調整機構50において、上部構造物120の荷重を支持ゴム体522に作用させることで支持ゴム体522が鉛直方向(上下方向)に収縮した際に、リング部512の下端が免震層床140A(すべり板41)に接触しないようにリング部512の下端と免震層床140A(すべり板41)との間の隙間は十分に確保されている。また、上記実施形態では、下側プレート部521の上面521a上に支持ゴム体522を独立して設置する例を説明したが、支持ゴム体522を予め下側プレート部521の上面521aと一体に取り付けておいても良い。また、支持ゴム体522を上側プレート部511の下面511aと一体に取り付けておき、支持ゴム体522を上側プレート部511と下側プレート部521に挟まれた状態で配置しても良い。支持ゴム体522を上側プレート部511の下面511a、又は、下側プレート部521の上面521aに予め固定しておく場合、下面511a又は上面521aの中央位置に支持ゴム体522を取り付けておくことが好ましい。
<実施形態2>
図5は、実施形態2に係るすべり支承免震装置30Aを示す立断面図である。以下、実施形態2に係るすべり支承免震装置30Aにおいて、実施形態1に係るすべり支承免震装置30と同一の構成部材については同一の符号を付すと共にその詳しい説明は割愛する。
すべり支承免震装置30Aは、すべり支承40と、すべり支承40上に設けられた鉛直剛性調整機構50Aを備えている。鉛直剛性調整機構50Aは、実施形態1における鉛直剛性調整機構50と同様、上側部51および下側部52とを含んで構成されているが、リング部が上側部51ではなく下側部52に形成されている点が実施形態1と相違する。すなわち、上側部51は、上側プレート部511を備えている。上側プレート部511は、ベースプレート15と同径の円形状の鋼板であり、ベースプレート15と重ね合わされた
状態でアンカーボルト17により免震基礎120Aに固定されるプレート部511Aと、プレート部511Aの下方に設けられる押圧部511Bとを含んでいる。上側プレート部511の押圧部511Bは、プレート部511Aよりも小径の円形状の鋼板であり、プレート部511Aの下方に重ねられて同軸に設けられている。
また、鉛直剛性調整機構50Aにおける下側部52は、下側プレート部521と、下側プレート部521の上面521aに配置される支持ゴム体522と、リング部523を備えている。リング部523は円筒状の鋼材であり、下側プレート部521の上面521aから上方に向けて垂直に突設されている。ここで、上側プレート部511における押圧部511Bの外径は、下側部52におけるリング部523の内径よりも僅かに小径、又はリング部512の内径と同径である。
本実施形態におけるすべり支承免震装置30Aにおいて、下側プレート部521の上面521a上に載置された支持ゴム体522は、下側プレート部521と上側プレート部511の押圧部511Bに挟まれた状態で上部構造物120の荷重が作用することで、上下に圧縮されて潰された状態となっている。また、図6は、実施形態2において上部構造物120の荷重を支持ゴム体522に導入する前のすべり支承免震装置30Aの状態を説明する図であり、図6には原形状態における支持ゴム体522が示されている。また、図6において、上側部51における上側プレート部511を破線で示している。
図6に示されるように、原形状態における支持ゴム体522の荷重導入前直径は、下側部52におけるリング部523の内径よりも小さく、支持ゴム体522の側面522cとリング部523の内周面523aとの間には側方クリアランスCが形成されている。そして、実施形態1と同様、原形状態における支持ゴム体522に対して、上側部51の上側プレート部511の押圧部511Bを介して上部構造物120の荷重が導入されると、支持ゴム体522が鉛直方向に収縮する一方、側方に膨張する(すなわち、側方に向かってはらむ)。その際、支持ゴム体522の側面522cがリング部523の内周面523aに当接することで、それ以上の支持ゴム体522の側方へのハラミ出し(側方への膨張変形)が拘束(抑制)される結果、鉛直方向へのそれ以上の収縮変形が抑制される。
本実施形態のすべり支承免震装置30Aは、上部構造物120の荷重導入時に支持ゴム体522の変形が下側プレート部521、上側プレート部511の押圧部511B、およびリング部523によって拘束された際に所期の鉛直剛性を発揮するように支持ゴム体522が形成されている。これにより、すべり支承免震装置30Aの鉛直剛性を積層ゴム支承免震装置22の鉛直剛性と等価にすることができる。その結果、免震建物10において、すべり支承免震装置30Aおよび積層ゴム支承免震装置22の各支承における沈み込み量が不均一になることを好適に抑制できる。
また、本実施形態におけるすべり支承免震装置30Aの鉛直剛性調整機構50Aによれば、下側部52のリング部523の内側に上側プレート部511の押圧部511Bが嵌合されている。ここで、上側プレート部511における押圧部511Bの外径と、リング部523の内径との寸法差をすきまばめとして設定することにより、リング部523と上側プレート部511における押圧部511Bとの鉛直方向の相対変位が許容されている。一方、下側部52のリング部523と上側プレート部511における押圧部511Bとに許容される水平方向の許容相対水平変位は、リング部523の内周面523aと上側プレート部511における押圧部511Bの側面との隙間の分だけに制限され、上記許容相対水平変位は、支持ゴム体522の荷重導入前直径に比べて顕著に小さな寸法に設定されている。これにより、地震時に、すべり支承免震装置30Aにおけるすべり支承40のすべり材42がすべり板41上で摺動する際においても、支持ゴム体522が水平方向に弾性変形することを抑制することができ、すべり支承免震装置30Aの鉛直剛性の変化を抑制す
ることができる。
なお、本実施形態における鉛直剛性調整機構50Aにおいて、上部構造物120の荷重を支持ゴム体522に作用させることで支持ゴム体522が鉛直方向(上下方向)に収縮した際に、リング部523の上端が上側プレート部511のプレート部511Aに接触しないように、リング部523の上端とプレート部511Aとの間の隙間は十分に確保されている。また、上記実施形態では、下側プレート部521の上面521a上に支持ゴム体522を独立して設置する例を説明したが、支持ゴム体522を予め下側プレート部521の上面521aと一体に取り付けておいても良い。また、支持ゴム体522を上側プレート部511の押圧部511Bと一体に取り付けておき、支持ゴム体522を上側プレート部511と下側プレート部521に挟まれた状態で配置しても良い。支持ゴム体522を上側プレート部511の押圧部511B、又は、下側プレート部521の上面521aに予め固定しておく場合、押圧部511B又は上面521aの中央位置に支持ゴム体522を取り付けておくことが好ましい。
なお、上述までの実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
30・・・すべり支承免震装置
40・・・すべり支承
41・・・すべり板
42・・・すべり材
43・・・すべり支承本体部
50・・・鉛直剛性調整機構
51・・・上側部
52・・・下側部
100・・・免震建物
120・・・上部構造物
140・・・下部構造物
511・・・上側プレート部
512・・・リング部
521・・・下側プレート部
522・・・支持ゴム体

Claims (3)

  1. すべり支承と、
    前記すべり支承の上部に鉛直方向に重ねて設けられる鉛直剛性調整部と、
    を備え、
    前記鉛直剛性調整部は、
    上部構造物に接合される上側プレート部と、
    前記すべり支承に接合される下側プレート部と、
    前記上側プレート部および下側プレート部の間に挟まれた状態で配置されて、前記上部構造物の荷重が作用する支持ゴム体と、
    前記上側プレート部および前記下側プレート部の何れか一方から突設され、前記支持ゴム体の周りを囲うリング部と、
    を有し、
    前記リング部は、前記上部構造物の荷重が作用する前の状態における前記支持ゴム体の側面との間に側方クリアランスが形成される内径を有すると共に、前記上部構造物の荷重が作用して鉛直方向に収縮した状態における前記支持ゴム体の側面が当該リング部の内周面に当接することで前記支持ゴム体の変形を拘束するように形成され、
    前記支持ゴム体は、前記リング部との当接によって変形が拘束された際に所期の鉛直剛性が発揮される、
    すべり支承免震装置。
  2. 前記上側プレート部および前記下側プレート部の何れか他方が前記リング部に嵌合された状態で設けられることで、前記上側プレート部と前記下側プレート部とにおける水平方向の相対移動が規制される、
    請求項1に記載のすべり支承免震装置。
  3. 上部構造物と、下部構造物と、前記上部構造物と前記下部構造物との間に設けられた免震層とを備え、
    前記免震層は、積層ゴム支承免震装置と、請求項1又は2に記載のすべり支承免震装置と、を備える、
    免震建物。
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