JP2019099684A - ゴム組成物および該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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和孝 土田
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Abstract

【課題】低発熱性、耐摩耗性、耐破壊特性を高度に両立するゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。【解決手段】シス−1,4結合含量が90%以上、かつ、変性率が40%以上である共役系変性基を有するブタジエン系重合体を含むゴム成分と、水素放出率が、0.3質量%を超えるカーボンブラックと、を含むゴム組成物、及び、これを用いた空気入りタイヤである。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物および該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
タイヤに用いるゴム組成物には、タイヤ寿命の長期化のための良好な耐摩耗性、自動車の低燃費化のための低発熱性、高速での旋回等のためのグリップ性能等の様々な性能が求められる。
一般に、タイヤに用いるゴム組成物は、重合体からなるゴム成分に加えて、補強性、耐摩耗性等を向上させる目的で、カーボンブラック、シリカ等の充填剤を含む。
充填剤は、ゴム組成物の補強性を高め、その耐摩耗性を向上させる性質を有するものの、一般に、ゴム組成物との親和性は十分ではない。
最近、特定の官能基により官能化した重合体を用いることによって、ゴム組成物と充填剤との親和性を高め、ゴム組成物の耐摩耗性を更に向上させる手法が知られている。
例えば、特許文献1には、発熱性及び耐摩耗性を改良するために、置換アミノ基、及び、環状アミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基、及び、カップリング剤((R3)aZXb)を用いて形成させる、少なくとも1つのスズ−炭素結合又はケイ素−炭素結合を有する共役ジエン系重合体である変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、カーボンブラックからなる充填剤と、を含むゴム組成物が記載されている。
このゴム組成物によれば、重合体とカーボンブラックとの相互作用の高まりにより、良好な耐摩耗性を有すると共に、特に優れた低発熱性を有するゴム組成物を提供することができる。
しかしながら、上記従来のゴム組成物は、良好な耐摩耗性、低発熱性を有するものの、耐破壊特性の向上の余地を有していた。
国際公開第2004/087802号
本発明は、低発熱性、耐摩耗性、耐破壊特性を高度に両立するゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを課題とするものである。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、低発熱性、耐摩耗性、耐破壊特性を高度に両立するために、変性ハイシスブタジエン系重合体の特定の変性率とカーボンブラックの特定の表面活性を組み合わせることにより、低発熱性、耐摩耗性、耐破壊特性を高度に両立するゴム組成物が得られることを見出した。発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1] シス−1,4結合含量が90%以上、かつ、変性率が40%以上である共役系変性基を有するブタジエン系重合体を含むゴム成分と、
水素放出率が、0.3質量%を超えるカーボンブラックと、を含む、ゴム組成物、
〔2〕上記〔1〕項に記載のゴム組成物を用いた、空気入りタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、低発熱性、耐摩耗性、耐破壊特性を高度に両立するゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明に関する一実施態様の末端リビング率を算出するための検量線の図である。
[ゴム組成物]
以下、本発明の実施形態に係るゴム組成物について、詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るゴム組成物は、シス−1,4結合含量が90%以上、かつ、変性率が40%以上である共役系変性基を有するブタジエン系重合体を含むゴム成分と、水素放出率が0.3質量%を超えるカーボンブラックと、を含むゴム組成物である。
本実施の形態のゴム組成物は、シス−1,4結合含量が90%以上、かつ、変性率が40%以上である共役系変性基を有するブタジエン系重合体(以下、「変性ハイシスブタジエン系重合体」ともいう)と、水素放出率の高いカーボンブラックを配合することで、変性ハイシスブタジエン系重合体に対して、カーボンブラックを偏在、分散させることができ、その結果、得られたゴム組成物は、耐摩耗性、低発熱性が向上する。
また、シス−1,4結合含量の高いブタジエン系重合体を用いることで、破壊特性も向上させることができる。
ここで、従来のシス−1,4結合含量が90%未満のブタジエン系重合体(たとえば、アニオン重合で重合されたブタジエン系重合体)は、破壊特性が不十分なため、十分な量配合することができず、結果、満足する耐摩耗性を得ることができなかった。
以下、各成分について詳細に説明する。
[ブタジエン系重合体]
本発明の空気入りタイヤのゴム組成物には、ゴム成分として、シス−1,4結合含量(1,4−シス結合含量)が90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上である、共役系変性基を有するブタジエン系重合体(以下、「変性ハイシスブタジエン系重合体」ともいう)を用いる。シス−1,4結合含量が90%未満では、本発明の効果が発現しにくい傾向となり、上記範囲内であると、伸張結晶性の増加により、優れた耐摩耗性を発揮することが可能となる。なお、シス−1,4結合含量とは、ブタジエン系重合体中のブタジエン化合物単位における1,4−シス結合の割合を意味する。
上記ブタジエン系重合体は、1,3−ブタジエン単量体からなるのが好ましく、1,3−ブタジエン単量体のみからなるのが特に好ましく、いわゆるポリブタジエンゴム(BR)であるのが望ましい。なお、1,3−ブタジエン単量体単位が80〜100質量%で、1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体単位が20〜0質量%であるのが好ましい。重合体中の1,3−ブタジエン単量体単位含量が80質量%未満では、重合体全体に対する1,4−シス結合含量が低下するため、本発明の効果が発現しにくくなる。
ここで、1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体としては、例えば、炭素数5〜8の共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体等が挙げられ、これらの中でも、炭素数5〜8の共役ジエン単量体が好ましい。上記炭素数5〜8の共役ジエン単量体としては、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。上記芳香族ビニル単量体としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
なお、上記ブタジエン系重合体のビニル含量(1,2−ビニル結合含量)は、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.0%以下である。ビニル含量が上記範囲外であると、重合体の結晶性が低下するおそれがあり、好ましくない。ここで、ビニル含量とは、ブタジエン系重合体中のブタジエン化合物単位における1,2−ビニル結合の割合を意味する。
さらに、上記共役系変性基を有するブタジエン系重合体(変性ハイシスブタジエン系重合体)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.0〜3.5、好ましくは1.3〜3.0である。ここで、MnおよびMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンを標準物質として求められる値を意味する。
本発明で用いる共役系変性基を有するブタジエン系重合体(変性ハイシスブタジエン系重合体)は、以下に詳述する(A)成分、(B)成分および(C)成分からなる触媒系の存在下、25℃以下の温度で少なくとも1,3−ブタジエンのようなジエン系単量体を含む単量体を重合させることで得られる変性前のブタジエン系重合体を用いる。ここで、単量体としては、例えば1,3−ブタジエンの他、上述した1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体などが挙げられる。
上記変性前のブタジエン系重合体の製造に使用する触媒系の(A)成分は、周期律表の原子番号57〜71の希土類元素を含有する化合物、又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物である。ここで、原子番号57〜71の希土類元素の中でも、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウム等、又はこれらの混合物が好ましく、ネオジムが特に好ましい。
上記希土類元素含有化合物としては、炭化水素溶媒に可溶な塩が好ましく、具体的には、上記希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩が挙げられ、これらの中でも、カルボン酸塩及びリン酸塩が好ましく、カルボン酸塩が特に好ましい。ここで、炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
上記希土類元素のカルボン酸塩としては、下記一般式(VII):
(R−COM ・・・ (VII)
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基で、Mは周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。ここで、Rは、飽和又は不飽和でもよく、アルキル基及びアルケニル基が好ましく、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。また、カルボキシル基は、1級、2級又は3級の炭素原子に結合している。該カルボン酸塩として、具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸]等の塩が挙げられ、これらの中でも、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、バーサチック酸の塩が好ましい。
上記希土類元素のアルコキサイドとしては、下記一般式(VIII):
(RO)M ・・・ (VIII)
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基で、Mは周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。ROで表されるアルコキシ基としては、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基、フェノキシ基、ベンジルアルコキシ基等が挙げられる。これらの中でも、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、ベンジルアルコキシ基が好ましい。
上記希土類元素のβ−ジケトン錯体としては、上記希土類元素のアセチルアセトン錯体、ベンゾイルアセトン錯体、プロピオニトリルアセトン錯体、バレリルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体等が挙げられる。これらの中でも、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体が好ましい。
上記希土類元素のリン酸塩及び亜リン酸塩としては、上記希土類元素と、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸等との塩が挙げられ、これらの中でも、上記希土類元素と、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸との塩が好ましい。
上記希土類元素含有化合物の中でも、ネオジムのリン酸塩、及びネオジムのカルボン酸塩が更に好ましく、特にネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、ネオジムのネオデカン酸塩、ネオジムのバーサチック酸塩等のネオジムの分岐カルボン酸塩が最も好ましい。
また、(A)成分は、上記希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物でもよい。該反応物は、ルイス塩基によって、希土類元素含有化合物の溶剤への溶解性が向上しており、また、長期間安定に貯蔵することができる。上記希土類元素含有化合物を溶剤に容易に可溶化させるため、また、長期間安定に貯蔵するために用いられるルイス塩基は、希土類元素1モル当り0〜30モル、好ましくは1〜10モルの割合で、両者の混合物として、又は予め両者を反応させた生成物として用いられる。ここで、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコールが挙げられる。
以上に述べた(A)成分としての希土類元素含有化合物又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
上記変性前のブタジエン系重合体の製造に使用する触媒系の(B)成分は、下記一般式(IX):
AlR ・・・ (IX)
(式中、R及びRは同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、Rは上記R又はRと同一又は異なっていてもよい)で表される有機アルミニウム化合物である。式(IX)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(B)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
上記変性前のブタジエン系重合体の製造に使用する触媒系の(C)成分は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物からなる群から選択される少なくとも一種のハロゲン化合物である。
上記ルイス酸は、ルイス酸性を有し、炭化水素に可溶である。具体的には、二臭化メチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、二臭化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二臭化ブチルアルミニウム、二塩化ブチルアルミニウム、臭化ジメチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジブチルアルミニウム、塩化ジブチルアルミニウム、セスキ臭化メチルアルミニウム、セスキ塩化メチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化ジブチルスズ、三臭化アルミニウム、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化スズ、四塩化ケイ素等が例示できる。これらの中でも、塩化ジエチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、及び二臭化エチルアルミニウムが好ましい。また、トリエチルアルミニウムと臭素の反応生成物のようなアルキルアルミニウムとハロゲンの反応生成物を用いることもできる。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、重合体中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
上記変性前のブタジエン系重合体の製造に使用する触媒系には、上記(A)〜(C)成分の他に、更に(D)成分として、有機アルミニウムオキシ化合物、所謂アルミノキサンを添加するのが好ましい。ここで、該アルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、クロロアルミノキサン等が挙げられる。(D)成分としてアルミノキサンを加えることで、分子量分布がシャープになり、触媒としての活性も向上する。
本発明で使用する触媒系の各成分の量又は組成比は、その目的又は必要性に応じて適宜選択される。このうち、(A)成分は、例えば1,3−ブタジエン 100gに対し、0.00001〜1.0ミリモル用いるのが好ましく、0.0001〜0.5ミリモル用いるのが更に好ましい。(A)成分の使用量が0.00001ミリモル未満では、重合活性が低くなり、1.0ミリモルを超えると、触媒濃度が高くなり、脱灰工程が必要となる。また、(A)成分と(B)成分の割合は、モル比で、(A)成分:(B)成分が1:1〜1:700、好ましくは1:3〜1:500である。更に、(A)成分と(C)成分中のハロゲンの割合は、モル比で、1:0.1〜1:30、好ましくは1:0.2〜1:15、更に好ましくは1:2.0〜1:5.0である。また、(D)成分中のアルミニウムと(A)成分との割合は、モル比で、1:1〜700:1、好ましくは3:1〜500:1である。これらの触媒量または構成成分比の範囲外では、高活性な触媒として作用せず、または、触媒残渣を除去する工程が必要になるため好ましくない。また、上記の(A)〜(C)成分以外に、重合体の分子量を調節する目的で、水素ガスを共存させて重合反応を行ってもよい。
触媒成分として、上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分以外に、必要に応じて、1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体を少量、具体的には、(A)成分の化合物1モル当り0〜1000モルの割合で用いてもよい。触媒成分としての1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体は必須ではないが、これを併用すると、触媒活性が一段と向上する利点がある。
上記触媒の製造は、例えば、溶媒に(A)成分〜(C)成分を溶解させ、さらに必要に応じて、1,3−ブタジエン等の単量体を反応させることによる。その際、各成分の添加順序は、特に限定されず、更に(D)成分としてアルミノキサンを添加してもよい。重合活性の向上、重合開始誘導期間の短縮の観点からは、これら各成分を、予め混合して、反応させ、熟成させることが好ましい。ここで、熟成温度は、0〜100℃であり、20〜80℃が好ましい。0℃未満では、充分に熟成が行われず、100℃を超えると、触媒活性の低下や、分子量分布の広がりが起こる。また、熟成時間は、特に制限なく、重合反応槽に添加する前にライン中で接触させることでも熟成でき、通常は、0.5分以上あれば充分であり、数日間は安定である。
上記変性前のブタジエン系重合体の製造は、溶液重合で行うことが好ましい。ここで、溶液重合の場合、重合溶媒としては、不活性の有機溶媒を用いる。不活性の有機溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜6の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が特に好ましい。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上記変性前のブタジエン系重合体の製造は、80℃以下の重合温度で行う必要があり、10〜80℃で行うのが好ましい。重合温度が80℃を超えると、重合反応を充分に制御することができず、生成したブタジエン系重合体のシス−1,4結合含量が低下し、ビニル結合含量が上昇してしまう。また、重合温度が−78℃未満では、溶媒の凝固点を下まわってしまうため、重合を行うことができない。
上記変性前のブタジエン系重合体の製造は、回分式及び連続式のいずれで行ってもよい。また、上記ブタジエン系重合体の製造において、上記希土類元素化合物系触媒及び重合体を失活させないために、重合の反応系内に酸素、水、炭酸ガス等の失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。
上記共役系変性基を有するブタジエン系重合体(以下「変性ハイシスブタジエン系重合体」ともいう)は、後述する特定の変性剤で上記変性前のブタジエン系重合体が変性されてなる重合体であって、共役系変性基を有する。ここで共役系変性基とは、共役する官能基を意味し、該変性基を介して変性基および該変性基を有する重合体の少なくとも一部が共役することとなる。このような共役系変性基を有するブタジエン系共重合体であると、該重合体に存在する非局在化した電子が作用して、カーボンブラックに対する親和性をより向上させることができ、これら充填剤を極めて効果的に分散させることが可能となって、より優れた低発熱性を実現できる。
本発明で用いる上記変性ハイシスブタジエン系重合体を製造する際には、末端リビング率が5%以上、好ましくは15%以上である上記変性前のブタジエン系重合体を用いる。そして、このような末端リビング率を有する変性前のブタジエン系重合体に、以下に示す変性剤を投入することにより、上記変性ハイシスブタジエン系重合体を得る。
なお、ここで「末端リビング率」とは、重合反応後の重合体末端における反応性を意味し、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを以下のような条件で反応させ、得られた重合体のUV吸収を測定および定量することにより求めることができる。
上記末端リビング率について、図1に基づいて具体的に説明する。
縦軸は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって得られたUV/RIの値を示す。UVは重合体と反応した変性剤に起因するUV吸光度から得られるピーク面積値を示し、RIは重合体そのものの示差屈折率(RI)から得られるピーク面積値を示す。
横軸は(1/Mn)×10の値を示し、Mnは絶対分子量(数平均分子量)である。図1においてLowCisBRはLi系触媒によるアニオン重合によって重合され、変性剤4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンによって変性されたものであり、数分子量Mnが異なった3種類のUV/RIの値がプロットされ、直線として近似することができる。アニオン重合の場合は100%変性されることから、LowCisBRのUV/RIを100%として、次式のようにAで表す。
UV(Li−Br)/RI(Li−Br)=A
一方、配位重合である本発明におけるランタン系列希土類元素(Nd)含有化合物を含む触媒を用い、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンで変性したHighCisBRについても数分子量Mnが異なった5種類のUV/RIの値がプロットされ、上記同様に直線として近似することができる。配位重合の場合は、重合中にリビングでなくなる部分があり、100%変性することは難しい。
HighCisBRのUV/RIを次式で示すようにBで表したとき、
UV(Nd−Br)/RI(Nd−Br)=B
本発明における末端リビング率を以下のように定義する。
末端リビング率=B/A×100(%)
なお、末端リビング率はHighCisBRと同じ絶対分子量(数平均分子量)のLowCisBRを用いて得られたA値およびB値から本発明における末端リビング率が算出される。
さらに、イソプロパノールと反応させた無変性の重合体の末端リビング率を0%として、図1に示す無変性のラインの値を差し引いたUV/RIの値を真値として用いる。A値およびB値についても図1に示す。
図1に示す3本の直線は検量線として用いることができ、例えば、HighCisBRの絶対分子量Mn(数平均)がわかれば本発明における末端リビング率を算出することができる。
なお、図1からわかるように、絶対分子量Mn(数平均)が大きくなるに従い、末端リビング率が小さくなり、変性剤による変性が困難になることがわかる。
また、変性剤が変われば、その都度検量線を作成する必要がある。
本実施の形態の共役系変性基を有するブタジエン系重合体(以下「変性ハイシスブタジエン系重合体」ともいう)は、変性率が40%以上、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下である。
上記変性率にすることにより、ブタジエン相へのカーボンブラックの偏在率を好適にすることができるようになる。
このような共役系変性基を導入し得る変性剤は、後述するカーボンブラックとの親和性向上に寄与し得る共役系変性基を導入するものであり、ニトリル化合物が好ましく、下記式(I)または式(II)で表される複素環式ニトリル化合物がより好ましい。
θ−C≡N ・・・(I)
θ−R−C≡N ・・・(II)
上記式(I)および(II)中、θは複素環基を示す。Rは2価の炭化水素基を示す。さらにθが窒素原子を含む複素環基であるのが好ましく、また酸素原子を含む複素環基、硫黄原子を含む複素環基、2以上のヘテロ原子を含む複素環基、および1以上のシアノ基を含む複素環基からなる群より選ばれる少なくとも1種の複素環基であるのが好ましい。さらに、チオフェン、ピリジン、フラン、ピペリジン、ジオキサンなどの複素芳香環基または複素非芳香環基であってもよく、さらに単環式、二環式、三環式、または多環式の複素環基であってもよい。
従来、ブタジエン系重合体に導入し得る変性基は−CN、−SiCl、−SiOR、C=Oのような特定の基に限られていたが、本発明では、より優れた低発熱性の実現化という観点から、さらに好適な共役系変性基を導入することができる。このような共役系変性基は、より確実にブタジエン系共重合体等を共役させることができ、カーボンブラックに対する親和性の向上に寄与することとなる。
このようなθとして具体的には、例えば、窒素原子を含む複素環基として、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピラジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、N−メチル−2−ピロリル、N−メチル−3−ピロリル、N−メチル−2−イミダゾリル、N−メチル−4−イミダゾリル、N−メチル−5−イミダゾリル、N−メチル−3−ピラゾリル、N−メチル−4−ピラゾリル、N−メチル−5−ピラゾリル、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−5−イル、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−イル、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−5−イル、1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イル、1,2,4−トリアジン−6−イル、1,3,5−トリアジニル、N−メチル−2−ピロリン−2−イル、N−メチル−2−ピロリン−3−イル、N−メチル−2−ピロリン−4−イル、N−メチル−2−ピロリン−5−イル、N−メチル−3−ピロリン−2−イル、N−メチル−3−ピロリン−3−イル、N−メチル−2−イミダゾリン−2−イル、N−メチル−2−イミダゾリン−4−イル、N−メチル−2−イミダゾリン−5−イル、N−メチル−2−ピラゾリン−3−イル、N−メチル−2−ピラゾリン−4−イル、N−メチル−2−ピラゾリン−5−イル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、N−メチルインドール−2−イル、N−メチルインドール−3−イル、N−メチルイソインドール−1−イル、N−メチルイソインドール−3−イル、1−インドリジニル、2−インドリジニル、3−インドリジニル、1−フタラジニル、2−キナゾリニル、4−キナゾリニル、2−キノキサリニル、3−シンノリニル、4−シンノリニル、1−メチルインダゾール−3−イン、1,5−ナフチリジン−2−イル、1,5−ナフチリジン−3−イル、1,5−ナフチリジン−4−イル、1,8−ナフチリジン−2−イル、1,8−ナフチリジン−3−イル、1,8−ナフチリジン−4−イル、2−プテリジニル、4−プテリジニル、6−プテリジニル、7−プテリジニル、1−メチルベンズイミダゾール−2−イル、6−フェナンスリジニル、N−メチル−2−プリニル、N−メチル−6−プリニル、N−メチル−8−プリニル、N−メチル−β−カルボリン−1−イル、N−メチル−β−カルボリン−3−イル、N−メチル−β−カルボリン−4−イル、9−アクリジニル、1,7−フェナントロリン−2−イル、1,7−フェナントロリン−3−イル、1,7−フェナントロリン−4−イル、1,10−フェナントロリン−2−イル、1,10−フェナントロリン−3−イル、1,10−フェナントロリン−4−イル、4,7−フェナントロリン−1−イル、4,7−フェナントロリン−2−イル、4,7−フェナントロリン−3−イル、1−フェナジニル、2−フェナジニル、ピロリジノ、ピペリジノが挙げられる。
酸素原子を含む複素環基として、2−フリル、3−フリル、2−ベンゾ[b]フリル、3−ベンゾ[b]フリル、1−イソベンゾ[b]フリル、3−イソベンゾ[b]フリル、2−ナフト[2,3−b]フリル、3−ナフト[2,3−b]フリルが挙げられる。
硫黄原子を含む複素環基として、2−チエニル、3−チエニル、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル、1−イソベンゾ[b]チエニル、3−イソベンゾ[b]チエニル、2−ナフト[2,3−b]チエニル、3−ナフト[2,3−b]チエニルが挙げられる。
2以上のヘテロ原子を含む複素環基として、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−イル、1,2,3−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−イル、1,2,3−チアジアゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、2−オキサゾリン−2−イル、2−オキサゾリン−4−イル、2−オキサゾリン−5−イル、3−イソオキサゾリニル、4−イソオキサゾリニル、5−イソオキサゾリニル、2−チアゾリン−2−イル、2−チアゾリン−4−イル、2−チアゾリン−5−イル、3−イソチアゾリニル、4−イソチアゾリニル、5−イソチアゾリニル、2−ベンゾチアゾリル、モルホリノが挙げられる。
これらのなかでも、θは窒素原子を含む複素環基であるのが好ましく、特に2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルであるのが好ましい。
上記式(I)および(II)中、Rは2価の炭化水素基を示し、後述する複素環式ニトリル化合物に対応したアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基などに相当する。
このような複素環式ニトリル化合物としては、具体的には、例えば、窒素原子を含む複素環基を有する化合物として、2−ピリジンカルボニトリル、3−ピリジンカルボニトリル、4−ピリジンカルボニトリル、ピラジンカルボニトリル、2−ピリミジンカルボニトリル、4−ピリミジンカルボニトリル、5−ピリミジンカルボニトリル、3−ピリダジンカルボニトリル、4−ピリダジンカルボニトリル、N−メチル−2−ピロールカルボニトリル、N−メチル−3−ピロールカルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾールカルボニトリル、N−メチル−4−イミダゾールカルボニトリル、N−メチル−5−イミダゾールカルボニトリル、N−メチル−3−ピラゾールカルボニトリル、N−メチル−4−ピラゾールカルボニトリル、N−メチル−5−ピラゾールカルボニトリル、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニトリル、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−5−カルボニトリル、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−カルボニトリル、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−5−カルボニトリル、1,2,4−トリアジン−3−カルボニトリル、1,2,4−トリアジン−5−カルボニトリル、1,2,4−トリアジン−6−カルボニトリル、1,3,5−トリアジンカルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−2−カルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−3−カルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−4−カルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−5−カルボニトリル、N−メチル−3−ピロリン−2−カルボニトリル、N−メチル−3−ピロリン−3−カルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾリン−2−カルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾリン−4−カルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾリン−5−カルボニトリル、N−メチル−2−ピラゾリン−3−カルボニトリル、N−メチル−2−ピラゾリン−4−カルボニトリル、N−メチル−2−ピラゾリン−5−カルボニトリル、2−キノリンカルボニトリル、3−キノリンカルボニトリル、4−キノリンカルボニトリル、1−イソキノリンカルボニトリル、3−イソキノリンカルボニトリル、4−イソキノリンカルボニトリル、N−メチルインドール−2−カルボニトリル、N−メチルインドール−3−カルボニトリル、N−メチルイソインドール−1−カルボニトリル、N−メチルイソインドール−3−カルボニトリル、1−インドリジンカルボニトリル、2−インドリジンカルボニトリル、3−インドリジンカルボニトリル、1−フタラジンカルボニトリル、2−キナゾリンカルボニトリル、4−キナゾリンカルボニトリル、2−キノキサリンカルボニトリル、3−シンノリンカルボニトリル、4−シンノリンカルボニトリル、1−メチルインダゾール−3−カルボニトリル、1,5−ナフチリジン−2−カルボニトリル、1,5−ナフチリジン−3−カルボニトリル、1,5−ナフチリジン−4−カルボニトリル、1,8−ナフチリジン−2−カルボニトリル、1,8−ナフチリジン−3−カルボニトリル、1,8−ナフチリジン−4−カルボニトリル、2−プテリジンカルボニトリル、4−プテリジンカルボニトリル、6−プテリジンカルボニトリル、7−プテリジンカルボニトリル、1−メチルベンズイミダゾール−2−カルボニトリル、フェナントリジン−6−カルボニトリル、N−メチル−2−プリンカルボニトリル、N−メチル−6−プリンカルボニトリル、N−メチル−8−プリンカルボニトリル、N−メチル−β−カルボリン−1−カルボニトリル、N−メチル−β−カルボリン−3−カルボニトリル、N−メチル−β−カルボリン−4−カルボニトリル、9−アクリジンカルボニトリル、1,7−フェナントロリン−2−カルボニトリル、1,7−フェナントロリン−3−カルボニトリル、1,7−フェナントロリン−4−カルボニトリル、1,10−フェナントロリン−2−カルボニトリル、1,10−フェナントロリン−3−カルボニトリル、1,10−フェナントロリン−4−カルボニトリル、4,7−フェナントロリン−1−カルボニトリル、4,7−フェナントロリン−2−カルボニトリル、4,7−フェナントロリン−3−カルボニトリル、1−フェナジンカルボニトリル、2−フェナジンカルボニトリル、1−ピロリジンカルボニトリル、1−ピペリジンカルボニトリルが挙げられる。
酸素原子を含む複素環基を有する化合物としては、2−フロニトリル、3−フロニトリル、2−ベンゾ[b]フランカルボニトリル、3−ベンゾ[b]フランカルボニトリル、イソベンゾ[b]フラン−1−カルボニトリル、イソベンゾ[b]フラン−3−カルボニトリル、ナフト[2,3−b]フラン−2−カルボニトリル、ナフト[2,3−b]フラン−3−カルボニトリルが挙げられる。
硫黄原子を含む複素環基を有する化合物として、2−チオフェンカルボニトリル、3−チオフェンカルボニトリル、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニトリル、ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボニトリル、イソベンゾ[b]チオフェン−1−カルボニトリル、イソベンゾ[b]チオフェン−3−カルボニトリル、ナフト[2,3−b]チオフェン−2−カルボニトリル、ナフト[2,3−b]チオフェン−3−カルボニトリルが挙げられる。
2以上のヘテロ原子を含む複素環基を有する化合物として、2−オキサゾールカルボニトリル、4−オキサゾールカルボニトリル、5−オキサゾールカルボニトリル、3−イソオキサゾールカルボニトリル、4−イソオキサゾールカルボニトリル、5−イソオキサゾールカルボニトリル、2−チアゾールカルボニトリル、4−チアゾールカルボニトリル、5−チアゾールカルボニトリル、3−イソチアゾールカルボニトリル、4−イソチアゾールカルボニトリル、5−イソチアゾールカルボニトリル、1,2,3−オキサゾール−4−カルボニトリル、1,2,3−オキサゾール−5−カルボニトリル、1,3,4−オキサゾール−2−カルボニトリル、1,2,3−チアゾール−4−カルボニトリル、1,2,3−チアゾール−5−カルボニトリル、1,3,4−チアゾール−2−カルボニトリル、2−オキサゾリン−2−カルボニトリル、2−オキサゾリン−4−カルボニトリル、2−オキサゾリン−5−カルボニトリル、3−イソオキサゾリンカルボニトリル、4−イソオキサゾリンカルボニトリル、5−イソオキサゾリンカルボニトリル、2−チアゾリン−2−カルボニトリル、2−チアゾリン−4−カルボニトリル、2−チアゾリン−5−カルボニトリル、3−イソチアゾリンカルボニトリル、4−イソチアゾリンカルボニトリル、5−イソチアゾリンカルボニトリル、ベンゾチアゾール−2−カルボニトリル、4−モルホリンカルボニトリルが挙げられる。
2以上のシアノ基を有する化合物として、2,3−ピリジンジカルボニトリル、2,4−ピリジンジカルボニトリル、2,5−ピリジンジカルボニトリル、2,6−ピリジンジカルボニトリル、3,4−ピリジンジカルボニトリル、2,4−ピリミジンジカルボニトリル、2,5−ピリミジンジカルボニトリル、4,5−ピリミジンジカルボニトリル、4,6−ピリミジンジカルボニトリル、2,3−ピラジンジカルボニトリル、2,5−ピラジンジカルボニトリル、2,6−ピラジンジカルボニトリル、2,3−フランジカルボニトリル、2,4−フランジカルボニトリル、2,5−フランジカルボニトリル、2,3−チオフェンジカルボニトリル、2,4−チオフェンジカルボニトリル、2,5−チオフェンジカルボニトリル、N−メチル−2,3−ピロールジカルボニトリル、N−メチル−2,4−ピロールジカルボニトリル、N−メチル−2,5−ピロールジカルボニトリル、1,3,5−トリアジン−2,4−ジカルボニトリル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジカルボニトリル、3,2,4−トリアジン−3,6−ジカルボニトリル、2,3,4−ピリジントリカルボニトリル、2,3,5−ピリジントリカルボニトリル、2,3,6−ピリジントリカルボニトリル、2,4,5−ピリジントリカルボニトリル、2,4,6−ピリジントリカルボニトリル、3,4,5−ピリジントリカルボニトリル、2,4,5−ピリミジントリカルボニトリル、2,4,6−ピリミジントリカルボニトリル、4,5,6−ピリミジントリカルボニトリル、ピラジントリカルボニトリル、2,3,4−フラントリカルボニトリル、2,3,5−フラントリカルボニトリル、2,3,4−チオフェントリカルボニトリル、2,3,5−チオフェントリカルボニトリル、N−メチル−2,3,4−ピロールトリカルボニトリル、N−メチル−2,3,5−ピロールトリカルボニトリル、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリカルボニトリル、1,2,4−トリアジン−3,5,6−トリカルボニトリルが挙げられる。
これらのなかでも、2−シアノピリジン(2−ピリジンカルボニトリル)、3−シアノピリジン(3−ピリジンカルボニトリル)、4−シアノピリジン(4−ピリジンカルボニトリル)が好適なものとして挙げられる。
上記のようにブタジエン系重合体を複素環式ニトリル化合物で変性する方法としては、重合体と複素環式ニトリル化合物を反応させればよく、例えば、1,3−ブタジエン単量体を、必要に応じてその他の単量体を加えて触媒または開始剤ともに混合および反応させることで重合混合物を得て、これに複素環式ニトリル化合物を添加する方法が挙げられる。また、活性化された重合混合物に複素環式ニトリル化合物を添加してもよく、1,3−ブタジエン単量体を重合させて形成した反応性重合体と複素環式ニトリル化合物とを反応させてもよい。さらに、活性化された重合混合物に複素環式ニトリル化合物を添加し、これに官能化剤を添加してもよい。
このようにして得られた重合混合物を冷却し、通常の方法を用いて脱溶媒および乾燥を経ることにより、変性されたブタジエン系重合体(「変性ハイシスブタジエン系重合体」ともいう)を得る。例えば、重合体セメントから回収した重合体を溶媒に流し込み、次いで得られた重合体をドラムドライヤー等の乾燥機を用いて乾燥する。このとき、ドラムドライヤーで乾燥した重合体セメントから直接重合体を回収してもよい。得られた乾燥重合体中の揮発性物質は1重量%以下となる。
得られる変性ハイシスブタジエン系重合体の構造は、例えば触媒や開始剤の種類や添加量のように反応性重合体を調整するのに用いた条件や、複素環式ニトリル化合物の種類や配合量のように反応性重合体と複素環式ニトリル化合物とを反応させるのに用いた条件に左右される。
上記変性ハイシスブタジエン系重合体は、下記式(X)または(Y)のような構造を有するものと推定される。

式(X)および(Y)中のAは水素原子または金属原子を示し、金属原子は上記触媒に起因するものである。上述したように、θは複素環基を示す。Rは2価の炭化水素基を示す。Bは単結合またはRを示し、θ’はθから1つの原子が脱離した2価の置換基を示す。ただし、θ’はθが有するヘテロ原子にさらに水素原子などが付加した場合も含む。π1およびπ2はともにブタジエン系重合体のポリマー鎖を示す。
そして、上記のような構造を有する変性ハイシスブタジエン系重合体が水蒸気等にさらされると、加水分解して下記式(X’)または(Y’)のようなケトン系構造に変換されるものと考えられる。

式(X’)および(Y’)中のB、θ、およびθ’は、上記式(X)および(Y)と同義である。π1およびπ2はともにブタジエン系重合体のポリマー鎖を示す。
上記変性ハイシスブタジエン系重合体がこのような構造をとり得るため、カーボンブラック等の充填剤との相溶性をより向上させる要因となって、さらに優れた低発熱性を実現できるものと推定される。
上記変性ハイシスブタジエン系重合体は、天然ゴムおよびイソプレンゴムを配合することが好ましい。天然ゴムおよびイソプレンゴムを配合することで、耐亀裂成長性を向上させることができる。
また、変性ハイシスブタジエン系重合体と、天然ゴム(NR)/ポリイソプレンゴム(IR)の配合比率は、好ましくは25:75〜50:50、より好ましくは30:70〜45:55である。上記配合比率にすることで、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性を高度に両立することが可能となる。
なお、上記特性を損なわない範囲内で、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)のような芳香族ビニル−共役ジエン系共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等を含むことができ、これらのゴム成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
[カーボンブラック]
本実施の形態のゴム組成物には、充填剤として、水素放出率が、0.3質量%を超えるカーボンブラックを含む。カーボンブラックのCTAB比表面積は、30〜280m/gであることが好ましく、カーボンブラックのDBP吸油量は、80〜280ml/100gであることが好ましい。
上記特定の水素放出率を有するカーボンブラックは、変性ハイシスブタジエン系重合体への親和性が増すため、変性ハイシスブタジエン系重合体相へのカーボンブラックが偏在、分散するため、低ロス性及び耐摩耗性が向上する。
上記カーボンブラックは、本発明の空気入りタイヤのゴム組成物のゴム成分100質量部に対し、10質量部以上、好ましくは20質量部以上の量で含まれる。上限値については特に限定されないが、通常100質量部以下の量で配合される。
上記水素放出率は、105℃の恒温乾燥器中で1時間乾燥したカーボンブラックをデシケータ中で室温まで冷却した後、スズ性のチューブ状のサンプル容器に入れて圧着、密閉し、水素分析装置でアルゴン気流下、2000℃で15分加熱した時の水素ガス発生量を測定し、質量分率で表したものである。水素放出量が多い程耐摩耗性が向上する。
後述する空気入りタイヤ、特に大型タイヤのトレッドに適用する場合、上記変性ハイシスブタジエン系重合体の変性ハイシスブタジエン系重合体相に、水素放出率が0.3質量%を超えるカーボンブラック(以下「高活性カーボンブラック」ともいう)を、30〜50%で偏在することが好ましい。これにより、このゴム組成物を用いて得られる空気入りタイヤの破壊特性、耐摩耗性が良好になる。
[他の成分]
その他の充填剤として無機充填剤を用いてもよい。無機充填剤としては、シリカを添加してもよい。シリカを添加することで、低発熱性や耐亀裂成長性が向上する。
本発明で使用するシリカはとくに制限されず、通常タイヤ用ゴム組成物に配合されるシリカを使用することができ、またシリカとしては市販のあらゆるものが使用できる。
本発明で使用するシリカは、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。かかるシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられ、なかでも湿式シリカが好ましい。
シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)は40〜350m/gであるのが好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80〜350m/gの範囲にあるシリカがより好ましく、BET比表面積が130m/gを超え、350m/g以下であるシリカが更に好ましく、BET比表面積が135〜350m/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積 =205m/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積=240m/g)、デグッサ社製、商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積=175m/g)等の市販品を用いることができる。
シリカの配合量は、ゴム組成物の補強性向上の観点から、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、30〜100質量部であることが好ましい。また、シリカの配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、100質量部以下であれば、転がり抵抗低減の観点から好ましい。
また、本発明の特性を損なわない範囲で、例えば、タルク、水酸化アルミニウム等を含んでもよく、これら充填剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
[ゴム組成物]
本発明の空気入りタイヤのゴム組成物には、上記変性ハイシスブタジエン系重合体を含むゴム成分、カーボンブラックの他、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、シランカップリング剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択し配合することができる。これら配合剤は、市販品を好適に使用することができる。なお、上記ゴム組成物は、ゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
[タイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、上述したゴム組成物をタイヤのいずれかの部材に用いることができ、耐摩耗性、低転がり抵抗(低発熱性)に優れる効果を有する。上記タイヤは、上記ゴム組成物を何れかの部材に用いる限り特に制限はなく、該部材としては、トレッド部、サイドウォール部等が挙げられ、通常の方法で製造することができる。特に、上記ゴム組成物をトレッド部、より好ましくはトレッドゴムに用いると、上記効果を充分有効に発揮させることのできる高性能なタイヤを得ることが可能となる。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、ブタジエン系重合体の各物性は、以下の方法に従って測定した。
《ミクロ構造[シス−1,4結合含量(%),1,2−ビニル結合含量(%)]》
フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−4100、日本分光社製)を使用し、赤外法(モレロ法)によって測定した。
《変性前ブタジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)》
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(商品名「HLC−8120GPC」、東ソー社製)を使用し、検知器として示差屈折計を用いて、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した。
カラム;ポリスチレン系カラムである、商品名「TSKgel GMHXL」(東ソー社製) 1本
カラム温度;40℃
移動相;テトラヒドロフラン
流速;1.0mL/min
サンプル濃度;10mg/20mL
《変性後の変性ハイシスブタジエン系重合体のシリカ系カラムを使用したGPCを用いた測定条件》
THFを溶離液として用い、試料200μLを装置に注入して測定した(サンプル濃度;10mg/20mLになるように調整した)。カラムは、ガードカラム:DIOL 4.6×12.5mm 5micron、カラム:Zorbax PSM−1000Sを使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分で、東ソー社製 HL8320を用いて測定し、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。
《変性ハイシスブタジエン系重合体の変性率の計算方法》
ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
次に、各重合体の製造方法を述べる。
[製造例1]
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン2.4kg、1,3−ブタジエン300gを仕込んだ。該オートクレーブに、触媒成分としてバーサチック酸ネオジム(0.09mmol)のシクロヘキサン溶液、メチルアルミノキサン(2.5mmol)のトルエン溶液、水素化ジイソブチルアルミニウム(6.0mmol)およびジエチルアルミニウムクロリド(0.18mmol)のトルエン溶液と、1,3−ブタジエン(4.5mmol)とを40℃で30分間反応熟成させて予備調製した触媒組成物を仕込み、60℃で60分間重合を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。さらにこの溶液に2−シアノピリジン(2mmol)を加え、さらに60℃で30分間反応を行った。この重合体溶液200gを、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.2gを含むメタノール溶液に抜き取り、重合停止させた後、さらに,常法に従い乾燥することにより重合体Aを得た。
得られた重合体Aのシス−1,4結合含量は95.8%であり、1,2−ビニル結合含量は0.73%、Mw/Mn=1.8、変性率は45%であった。
[製造例2]
製造例1の重合条件を、メチルアルミノキサンを9mmol、水素化ジイソブチルアルミニウムを1.9mmol、ジエチルアルミニウムクロリドを0.36mmolとした以外は、同条件で反応を行った。
得られた重合体Bのシス−1,4結合量は95.2%であり、1,2−ビニル結合量は0.7%、Mw/Mnは2.0、変性率は53%であった。
[製造例3]
製造例1の重合条件を、2−シアノピリジンを0.5mmolとした以外は同条件で反応を行った。
得られた重合体Cのシス−1,4結合量は96.3%であり、1,2−ビニル結合量は0.63%、Mw/Mnは1.8、変性率は35%であった。
[製造例4]
乾燥し、窒素置換された内容積約900mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー50g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.0057mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.57mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。
この重合系にさらに、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応停止をおこない、さらに,常法に従い乾燥することにより重合体Dを得た。ブタジエン部のビニル結合量14%、変性率は0%であった。シス−1,4結合含量は30%であった。
[製造例5]
乾燥し、窒素置換された内容積約900mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー50g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.0057mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.57mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。さらにこの溶液に2−シアノピリジン(0.23mmol)を加えさらに60℃で30分間反応を行った。
この重合系にさらに、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応停止をおこない、さらに,常法に従い乾燥することにより重合体Eを得た。ブタジエン部のビニル結合量14%、変性率は35%であった。シス−1,4結合含量は30%であった。
[製造例6]
乾燥し、窒素置換された内容積約900mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー50g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.0057mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.57mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。さらにこの溶液に2−シアノピリジン(0.34mmol)を加えさらに60℃で30分間反応を行った。
この重合系にさらに、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応停止をおこない、さらに,常法に従い乾燥することにより重合体Fを得た。ブタジエン部のビニル結合量14%、変性率は45%であった。シス−1,4結合含量は30%であった。
カーボンブラックの他の特性について、下記の方法により測定した。
《CTAB吸着比表面積》
CTAB吸着比表面積は、JIS K6217−3に準拠して、測定する。
《DBP吸収量》
DBP吸収量は、JIS K6217−4吸油量A法に準拠して、測定する。
[比較例1〜12、実施例1〜9]
表2に示す配合処方のゴム組成物を調製し、145℃で33分間加硫して加硫ゴムを得るとともに、供試タイヤを成型し、下記の方法に従って耐摩耗性および低発熱性を測定した。結果を表3〜4に示す。
《低発熱性(3%tanδ)》
動的せん断粘弾性測定装置(米国レオメトリックス社製)を使用し、動歪3%、周波数15Hz、50℃の条件で加硫ゴムを測定した。表3では、無変性の重合体Dを配合した比較例1を100として指数表示した。また、表4では、無変性の重合体Dを配合した比較例7を100として指数表示した。指数値が小さい程、低発熱性(低ロス性)に優れることを示す。
《耐摩耗性》
195/60R15のサイズの供試タイヤを、内圧を196kPaとして、車輌に装着し、4万km走行した時点での溝の減量を測定した。表3では、無変性の重合体Dを配合した比較例1を100として指数表示した。また、表4では、無変性の重合体Dを配合した比較例7を100として指数表示した。いずれも、指数が大きい程、耐摩耗性に優れていることを示す。
《耐破壊特性》
JIS K6260:2010のデマチャ屈曲き裂試験方法に準拠して、屈曲き裂成長試験を行った。表3では、無変性の重合体Dを配合した比較例1を100として指数表示した。また、表4では、無変性の重合体Dを配合した比較例7を100として指数表示した。いずれも、指数が大きい程、耐破壊性に優れていることを示す。
[注]
*1:天然ゴム:「RSS#3」
*2:ポリブタジエンゴム:変性ハイシスブタジエン系重合体:上記製造例1〜6の重合体A〜Fを使用した。
*3:カーボンブラック:表1に記載の各カーボンブラックを用いた。
*4:老化防止剤6C:大内新興化学工業社製「ノクラック6C」
*5:加硫促進剤CZ:大内新興化学工業社製「ノクセラーCZ」
*6:シリカ: 東ソー株式会社製、商品名「VN3」
*7:シランカップリング剤: デグサ社製「Si69」(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
[評価結果]
実施例1〜4と比較例1〜6を比較すると、低発熱性、耐摩耗性及び耐破壊性が向上している。また、実施例6〜9と比較例7〜12を比較すると、ゴム組成比を変えても、低発熱性、耐摩耗性及び耐破壊性が向上している。

Claims (8)

  1. シス−1,4結合含量が90%以上、かつ、変性率が40%以上である共役系変性基を有するブタジエン系重合体を含むゴム成分と、
    水素放出率が、0.3質量%を超えるカーボンブラックと、を含む、ゴム組成物。
  2. 前記共役系変性基がカーボンブラックに対して親和性を有する原子を有する、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記共役系変性基がニトリル化合物由来である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記共役系変性基が以下の一般式で示されるものに由来する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
    θ−C≡N ・・・(I)
    θ−R−C≡N ・・・(II)
    (式(I)および(II)中、θは複素環基を示し、Rは2価の炭化水素基を示す。)
  5. ゴム成分として、更に、天然ゴムおよびイソプレンゴムの少なくとも一方を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 更にシリカを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物をトレッドに用いた空気入りタイヤ。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物を大型タイヤのトレッドに用いた空気入りタイヤ。
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