JP2019099650A - 難燃性組成物、および難燃性ポリウレタン系成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1(特開昭59−86619号公報)には、液状ポリイソシアネートと水酸基含有ポリブタジエンの混和物に対し、有機リン酸エステルおよび難燃剤としてハロゲン系難燃剤を含む難燃性組成物が開示されている。特許文献1では、難燃助剤として特定化学物質に指定されている三酸化アンチモンが使用されており、燃焼時の有毒ガスの発生や人体への悪影響が懸念される。また、組成物にポリエーテルポリオールを含まないため、形成された成形体は架橋密度が低くなり、それに伴い靱性が低くなる。
[1]ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、分子量が150以上である非ハロゲン系難燃剤(D)およびイソシアネート(E)を含有する難燃性組成物。
[2]前記非ハロゲン系難燃剤(D)の含有量は、難燃性組成物全量に対して5〜50質量%である[1]の難燃性組成物。
[3]ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)は、それぞれの含有量が難燃性組成物全量に対して、ポリブタジエンポリオール(A)は5〜50質量%、ポリエーテルポリオール(B)は5〜50質量%である[1]または[2]の難燃性組成物。
[4]ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)は、それぞれの含有量が難燃性組成物全量に対して、ポリブタジエンポリオール(A)は5〜50質量%、ポリエーテルポリオール(B)は5〜50質量%、ポリアミン(C)は0.1〜20質量%である(ただし、(A)〜(C)の合計は、50〜95質量%の範囲にある)[1]〜[3]の難燃性組成物。
[5]組成物が顔料を含有し、かつ、顔料体積濃度(PVC)が15%以下である[1]〜[4]の難燃性組成物。
[6]組成物が、主剤として、ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、非ハロゲン系難燃剤(D)を含み、硬化剤として、イソシアネート(E)を含む2液型である、[1]〜[5]の難燃性組成物。
[7]23℃でB型粘度計を用いて測定する、前記難燃性組成物の主剤と硬化剤を混合開始してから5分後の組成物の粘度が4,000mPa・s以下である、[6]の難燃性組成物。
[8][1]〜[7]の難燃性組成物から形成されてなる難燃性ポリウレタン系成形体。
[9]ケーブルまたは電線周囲のシーリング材である[8]の難燃性ポリウレタン系成形体。
[10][1]〜[7]の難燃性組成物を施工箇所に流し込んで成形する難燃性ポリウレタン系成形体の形成方法
また、本発明の難燃性組成物は、ハロゲン系難燃剤を使用しないため有毒ガスの発生が少なく、人体への影響が少ない。さらに形成された成形体が柔軟性を有するため、ケーブルの伸縮に追従することが可能、且つ、補修の場合の脱型も容易である。
さらに、本発明の難燃性ポリウレタン系成形体は電気絶縁性を有しており、止水性、防食性も高いので、シーリング材として、防食、止水に加えて耐火性が要求される用途に好適に適用できる。
<難燃性組成物>
本発明の難燃性組成物は、ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、分子量が150以上である非ハロゲン系難燃剤(D)およびイソシアネート(E)を含有する。
ポリブタジエンポリオール(A)は、分子末端に反応性の高い水酸基を有しており、イソシアネート類と容易に反応・硬化し良好なウレタンエラストマーとなる。
ポリブタジエンポリオールの構造式の例を下記式(1)に示す。
ポリブタジエンポリオール(A)は、好ましくは水酸基価30〜120mgKOH/g以上、官能基数が2以上である。市販品としては、出光興産(株)製のPoly bd R−45HT、Poly bd R−15HT、CRAY VALLEY社製のPoly bd R−45HTLO、Poly bd R−20LM、Poly bd 605E、EVONIK社製のPOLYVEST EP HTが挙げられる。これらを可撓性や柔らかさなど鑑み、組み合わせて使用してもよい。
ポリエーテルポリオール(B)は、分子内の主骨格中に少なくとも2つ以上のエーテル結合を有するヒドロキシ化合物である。ポリエーテルポリオールの主骨格中の繰り返し単位としては、飽和炭化水素又は不飽和炭化水素のどちらでもよく、例えば、1,4−ブタンジオール単位、2−メチル−1,4−ブタンジオール単位、3−メチル−1,4−ブタンジオール単位、1,3−プロパンジオール単位、1,2−プロピレングリコール単位、2−メチル−1,3−プロパンジオール単位、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール単位、3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位、1,2−エチレングリコール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位等が挙げられる。
また、ポリブタジエンポリオール(A)とポリエーテルポリオール(B)の合計含有量は、難燃性組成物全量に対して、20〜60質量%であると好ましい。
ポリアミン(C)は、炭化水素構造に、アミノ基(−NHR;Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)を二つ以上有するものであり、イソシアネートと反応することでウレア結合を形成する。ウレア結合は耐水、耐食、酸やアルカリといった耐薬品性に優れるといった特徴を有する。ポリアミンの種類としては、トリエチレンテトラミンのような脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミンのような芳香族ポリアミン、イソホロンジアミンのような脂環式ポリアミン等が挙げられ、何れの骨格を有するポリアミンも用いることができる。この中で、芳香族ポリアミンは、芳香環の立体障害により、反応が穏やかに進行し、可使時間を長く保つことができるため好ましい。
ハロゲン系の難燃剤を材料に配合し、その材料が燃焼する際には有毒なガスが生じる場合があるため、本発明は非ハロゲン系難燃剤(D)を用いる。
本発明に用いるイソシアネートについては、ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)と反応し、硬化可能な化合物であればよい。なお、本明細書にて、イソシアネート(E)を硬化剤と呼ぶこともある。
イソシアネートインデックスの算出式を以下に記載する。
イソシアネートインデックス=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+ポリアミンの当量数+その他成分の活性水素を持つ成分の活性水素当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=(イソシアネートの使用量×NCO含有率(%)÷100)÷NCOの分子量
ポリオールの当量数=(ポリオールの水酸基価(mgKOH/g)×ポリオールの使用量÷KOHの分子量
ポリアミンの当量数=(ポリアミンのアミン価(mgKOH/g)×ポリアミンの使用量÷KOHの分子量
なお、上記式において、使用量の単位は質量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、単位換算の都合上、KOHの分子量はmgに換算して56,100とする。
本発明の難燃性組成物は、(A)〜(E)に加え、以下の材料を用いてもよい。
可塑剤とは、対象材料に柔軟性を与えたり、加工しやすくするために配合する物質のことを指す。
たとえば、フタル酸系、アジピン酸系、トリメリット酸系等の可塑剤が挙げられる。具体的な可塑剤の例として、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジブチルアジペート(DBA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等が挙げられる。
顔料は、最終目的物に応じて適宜選択され、有機顔料、無機顔料、金属酸化物からなる複合酸化物顔料など多岐に亘り、その構造、形状などにより、着色、防錆等様々な機能を付与することができる。
また、着色顔料、体質顔料、防錆顔料は、任意の組み合わせで併用してもよい。
本発明の難燃性組成物は、顔料を含む場合、顔料体積濃度(PVC:Pigment Volume Concentration)は15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、特に好ましくは7%以下である。PVCが15%を超えると、難燃性組成物の粘度が高くなることに伴い流動性が低下し、施工性が悪くなる場合がある。なお、顔料を含まない場合、PVCは0になる。
PVC[%]=本難燃性組成物中の全ての顔料の体積合計×100/本難燃性組成物中の固形分の体積
なお、本難燃性組成物の固形分は、JIS K 5601−1−2(加熱温度:125℃、加熱時間:60分)に従って得られる加熱残分を意味する。また、本難燃性組成物の固形分は、溶剤および用いる原料における溶媒を除いた量として算出することもできる。
消泡剤
消泡剤の種類としてはシリコーン系、ミネラルオイル系等が挙げられ、それぞれ水系、溶剤系、無溶剤系の消泡剤が存在する。本発明では、施工時の硬化収縮を抑えるために無溶剤のシリコーン系消泡剤を0〜3質量%の範囲で用いることが好ましい。たとえば東レ・ダウコーニング(株)製のSAG−47等が挙げられる。
大気中や無機顔料に含まれる水分を系内に取り込んだまま主剤と硬化剤を撹拌した場合、硬化剤であるイソシアネートと水分が反応し、組成物が発泡する可能性がある。この発泡を抑制するために系内の水分を除去することが好ましく、本発明の難燃性組成物に対して0〜10質量%の範囲で水分吸着剤を用いてもよい。
具体例としては、ユニオン昭和(株)製のモレキュラーシーブ4Aパウダー、borchers社製のAdditive TI等が挙げられる。
本発明の難燃性組成物には、反応を促進する触媒を用いてもよい。また、これらの触媒は、通常主剤に添加される。触媒の例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、スズオクチレート等のスズカルボン酸塩、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン等のアミン系触媒、2−エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等のスズ以外の金属カルボン酸塩、ステアリン酸、オレイン酸、ギ酸等のDBU塩が挙げられる。例としては、DIC(株)製のグレックTL、エアプロダクツジャパン(株)製のDABCO 33−LV、日東化成(株)製のネオスタンU−28、(株)ダイセル製のトリエチルアミン、日本化学産業(株)製のニッカオクチックス鉛が挙げられ、本発明の難燃性組成物に対して0〜3質量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明の難燃性組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で(D)以外の難燃剤を含有することができる。その他の難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の分子量が150未満の無機系難燃剤等が挙げられる。
その他の難燃剤の含有量は、本発明の難燃性組成物全量に対して、好ましくは0〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。
その他に湿潤分散剤、酸化防止剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
なお、本発明によれば、難燃性組成物が無溶剤型であっても、溶剤を含むものであってもよい。本発明では、高流動性の難燃性組成物を得ることができるため、硬化収縮が起こりにくい成形体を形成できるなどの点から、本発明の難燃性組成物は溶剤を含まないことが好ましいが、用いる用途によっては、さらなる高流動性の難燃性組成物を得る等のために溶剤を用いてもよい。
本発明の難燃性組成物は、上記(A)〜(E)成分、さらに必要であれば(F)〜(H)成分を混合することにより調製することができる。
(D)、(F)は主剤、硬化剤のどちらに配合しても良いが主剤側に配合することが好ましい。また、(G)、(H)は主剤に配合することが好ましい。また、添加剤(H)のうち、触媒は主剤に配合することが好ましい。
本発明の難燃性組成物は、主剤と硬化剤を混合開始してから5分後の23℃でB型粘度計を用いて測定する粘度が、4,000mPa・s以下であることが好ましく、2,000mPa・s以下であることがより好ましく、1,500mPa・s以下であることが特に好ましい。難燃性組成物の粘度、および可使時間測定の際は、硬化剤の量はNCOインデックスが100〜110になるようにし、溶剤による希釈は行わないこととする。また、組成物が溶剤を含む場合、成形した際に硬化収縮を引き起こす可能性があるため、溶剤を含まないことが好ましい。粘度は、上記各成分の組成比によって調整することが可能であるが、本発明では、上記(A)〜(D)成分を含むため、従来の難燃性組成物に比べて粘度を低くできる。
前記施工方法で施工する場合、可使時間が短い場合、施工の途中で粘度が上昇、あるいは硬化することにより、施工を進めることが困難になる。本発明の2液型の難燃性組成物は、可使時間は長い方(例えば20分以上)が好ましい。さらに好ましくは、40分以上である。難燃性組成物の粘度が10,000mPa・sを超えると、狭窄箇所への充填が困難になることがある。
施工後の成形体は硬化が完了するまで養生する。硬化時間は組成によって適宜選択される。養生は通常室温で行われるが、必要に応じて、加熱してもよい。
製造工程や主剤と硬化剤の撹拌時に水分を取り込むと硬化時に発泡し、止水性や電気絶縁性低下の原因となるため、水分を取り込まないような方法を推奨する。
本発明の難燃性ポリウレタン系成形体(以下「本発明の成形体」ともいう。)は、前記本発明の難燃性組成物から形成される。このため、本発明の成形体は、難燃効果が高く、止水性に優れ、柔軟性が良好である。
ウレタン樹脂は一般的に燃焼しやすく、燃焼性樹脂に分類される。プラスチック材料に関する燃焼性の認証基準としては、UL94規格(Underwriters Laboratories Inc.によって制定された米国燃焼試験の規格)がよく知られている。本発明の難燃性ポリウレタン系成形体の燃焼性は、HB(水平燃焼)試験を用いて評価することができ、該成形体はHB基準を満たすレベルで難燃性が高い。燃焼性は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
ケーブル、電線周囲、及び建物の壁、床貫通部等に隙間が存在すると、津波や洪水により建物内が浸水するおそれがある。また、ケーブル等の周囲を本発明の難燃性組成物で埋めることで酸素と水を遮断し、防食性も期待できる。本発明の成形体は、止水性が高い。なお、使用する材料によっては、吸水し膨潤するものや加水分解性のあるものがあるため、耐水性を有する材料を選択する必要がある。止水性は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の難燃性組成物を当該箇所、特にケーブル、電線周囲に施工した場合、ケーブル等が寒熱の繰り返し条件下で伸縮する場合がある。本発明の難燃性組成物および得られた難燃性ポリウレタン系成形体は、これらの伸縮に追従できる程度の柔軟性を有する。柔軟性は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
ケーブル、電線は必要とする部分以外に電流が流れることを防止したり、漏電の防止のため、周囲にポリ塩化ビニル樹脂等で被覆を施し、電気絶縁性を付与する場合がある。一般的に、電気の流れやすさは抵抗率[Ω・m]やシート抵抗率[Ω/□]で表され、108[Ω/□]以上のものを絶縁体、10-4[Ω/□]を超えて〜108[Ω/□]未満のものを半導体、抵抗率が10-4[Ω/□]以下のものを導体と定義される。
[実施例1]
難燃性組成物を構成する原料としてPoly bd R−45HTを20.7質量部、Poly bd R−15HTを6.8質量部、EXCENOL 410NEを2.0質量部、EXCENOL805を5.0質量部、VORANOL3022Jを15.0質量部、ML−620を5.0質量部、難燃剤としてTCPを44.73質量部を順次加え、ハイスピードディスパーを用いて分散を行った。その後、水分吸着剤としてAdditive TIを0.5質量部、酸化防止剤としてノクラックNS−6を0.1質量部、消泡剤としてSAG−47を0.07質量部、触媒としてニッカオクチックス鉛 17%DINPを0.1質量部を順次加え撹拌し、主剤を調製した。そこに、主剤に対してNCOインデックスが107となるように、硬化剤としてコロネート4255を33.0質量部を加え、混合後、脱泡して難燃性組成物を調製した。
難燃性組成物を構成する原料の種類、及び使用量を表2および表3に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にして、難燃性組成物を調製した。なお、表2および表3の各材料の詳細は、表1に示すとおりである。
実施例1〜10および比較例1〜8で作成した難燃性組成物を用いて、以下の燃焼性、止水性、柔軟性、電気絶縁性、粘度および可使時間の評価を行った。
実施例および比較例で調製した各難燃性組成物を150mm×125mm×1mmの成型枠に流し込み、23℃で96時間養生し硬化させることで、難燃性ポリウレタン系成形体を作成した。その後、該成形体を、長さ125mm、幅12.5mmの寸法に加工し、試験体とした。試験体には、片端から長さ方向に25mmおよび100mmのところに標線をつけた。試験体はそれぞれ5個作成した。作成した試験体を温度23℃および50%の相対湿度で、48時間保持後、試験を行った。
試験方法は、試験体の25mmの標線から最も遠い端で試験体を固定し、試験体の長さ方向を水平にし、幅方向は45度傾斜させた。次いで、試験体の固定していない方の端に30秒間バーナーの炎を接触させ、その後バーナーを取り去った。なお、バーナーの炎を接触させてから30秒以内に、燃焼する先端が標線25mmに達した場合は、直ちにバーナーを試験体から遠ざけた。炎を取り去った後でも延焼する場合は、燃焼する先端が標線25mmに達した時間を0秒として時間を秒単位で測定し、燃焼時間を求めた。炎を取り去った後、延焼が止まった場合は、燃焼が止まった地点を測定した。燃焼性試験の結果を燃焼割合として以下の4段階で評価した。結果を表2および表3に示す。
4:5回の試験のうち、5回全てで試験体が燃焼しない、または、延焼が止まること。
3:5回の試験のうち、1〜4回試験体が燃焼しない、または、延焼が止まること。
2:5回の試験のうち、5回とも試験体が完全に燃焼すること。
1:試験体が溶融する。
さらに燃焼時間に関しても、以下の4段階で評価した。結果を表2および表3に示す。
4:燃焼時間が3秒未満であること。
3:燃焼時間が3秒以上60秒未満であること。
2:燃焼時間が60秒以上であること。
1:試験開始時にバーナーの炎を接触させた段階で試験体が溶融する。
図1に示す両端が開いた鋼管(長さ10cm、内径1.5cm)の片端を封じ、実施例および比較例で調整した各難燃性組成物を鋼管内の7割程度まで注入した。注入後、鋼管内の組成物を常温で96時間養生した。養生後、鋼管、圧力計、ボールバルブ、ねじ込みチーズ、ジョイントソケット、逆止弁、継手を配管し、高圧洗浄機を用いて配管内に水を送り込み、圧力計の目盛が0.25MPaになるように調整した。
圧力計の目盛、及び目視による水の漏れの有無の確認を行い、止水性を評価した。止水性試験の結果を以下の3段階で評価した。結果を表2および表3に示す。
3: 水圧0.25MPaを24時間以上維持し、水の漏れがないこと。
2: 水圧0.25MPaを24時間以上維持できないが、水の漏れがないこと。
1: 水の漏れがあること。
実施例および比較例で調製した各難燃性組成物を260mm×280mm×2mmの成型枠に流し込み、23℃で96時間養生し、硬化させることで、難燃性ポリウレタン系成形体を作成した。その後、該成形体を、ダンベル状3号形の試験片打抜刃で打ち抜き、伸び率測定用の試験体とした。試験体はそれぞれ5個作成し、作成した試験体を温度23℃および50%の相対湿度で、96時間保持後、試験を行った。装置は(株)島津製作所製「AGS−X」、ソフトウェアとして「TRAPEZIUM LITE X」を用いて、試験はJIS K 6251に従い実施し、伸び率を測定し、以下の3段階で柔軟性を評価した。伸び率は、切断時伸びのことを指し、以下の式より算出し、試験体5個の平均値を評価に用いた。
伸び率(%)=100×(L−L0)/L0
L0:試験前の試料長さ、L:破断時の試料長さ
結果を表2および表3に示す。
3: 伸び率が120%以上であること。
2: 伸び率が120%未満であること。
1: 成形体形成直後から難燃剤のブリ―ドアウトにより適正な評価不可。
アズワン株式会社製の「PP容器No.6」(容量30ml、口内径×胴径×全長(mm):φ30.3×φ32.5×55)の容器の底に、ポリ塩化ビニル樹脂によって被覆されたφ8.5mmのケーブルが挿入できる程度の穴を開け、ケーブルを通した。その後、実施例および比較例で調整した各難燃性組成物を脱泡後、ケーブルが挿入された容器内に流し込み、常温雰囲気下で硬化させた。硬化後、容器を切除して除去し、温度40℃、湿度90%雰囲気下で2週間養生した。養生後、難燃性ポリウレタン系成形体を除去し、(株)三菱化学アナリテック製の高抵抗率計「ハイレスターUP МCP−HT450」を用いて、ポリ塩化ビニル樹脂表面のシート抵抗率を測定した。シート抵抗率は被膜の導電性を表すものであり、値が大きいほど電気絶縁性に優れている。
4: 難燃性ポリウレタン系成形体の脱着後、ケーブル表面にブリードアウトする成分の付着物がなく、シート抵抗率[Ω/□]が108以上であること。
3: 難燃性ポリウレタン系成形体の脱着後、ケーブル表面にブリードアウトする成分の付着物があるが、シート抵抗率[Ω/□]が108以上であること。
2: 難燃性ポリウレタン系成形体の脱着後、ケーブル表面にブリードアウトする成分の付着物がなく、シート抵抗率[Ω/□]が108より小さいこと。
1: 難燃性ポリウレタン系成形体の脱着後、ケーブル表面にブリードアウトする成分の付着物があり、シート抵抗率[Ω/□]が108より小さいこと。
また、型枠を脱着後の試験片表面のブリードアウトした付着物の有無を観察した。
実施例1〜10および比較例1〜8で作成した難燃性組成物の主剤および硬化剤を用い、容積500mL測定カップ内に主剤に入れておき、そこに硬化剤を加え、ステンレス丸ヘラを用いて23℃で3分間撹拌した。英弘精機(株)製のB型粘度計を用いて撹拌開始から5分後(撹拌終了2分後)の各難燃性組成物の23℃における粘度を測定し初期粘度とした。難燃性組成物の粘度測定の結果を以下の4段階で評価した。結果を表2および表3に示す。なお粘度測定用の組成物は、表2および3に挙げる質量部を「g」にして、2倍した量となるように調製した。
4: 1,500mPa・s以下。
3: 1,500を超えて2,000mPa・s以下。
2: 2,000を超えて4,000mPa・s以下。
1: 4,000mPa・sを超える。
上記5.難燃性組成物の粘度測定で用いた実施例および比較例の難燃性組成物を用い、前記5.と同様にして、粘度測定用の組成物を調製した。英弘精機(株)製のB型粘度計で前記5.の粘度(初期粘度)を測定後、各組成物の23℃における粘度の経時変化を追い、初期粘度を測定した直後からスタートして、10,000mPa・sに到達するまでの時間を可使時間とし、10,000mPa・sを超えた時点で測定を終了し、可使時間を算出した。難燃性組成物の可使時間測定の結果を以下の5段階で評価した。結果を表2および表3に示す。
5: 可使時間が60分を超える。
4: 可使時間が40分を超えて60分未満。
3: 可使時間が20分を超えて40分未満。
2: 可使時間が20分以下。
1: 測定開始時で10,000mPa・sを超えている。
Claims (10)
- ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、分子量が150以上である非ハロゲン系難燃剤(D)およびイソシアネート(E)を含有する難燃性組成物。
- 前記非ハロゲン系難燃剤(D)の含有量は、難燃性組成物全量に対して5〜50質量%である請求項1に記載の難燃性組成物。
- ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)は、それぞれの含有量が難燃性組成物全量に対して、ポリブタジエンポリオール(A)は5〜50質量%、ポリエーテルポリオール(B)は5〜50質量%である請求項1または2に記載の難燃性組成物。
- ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)は、それぞれの含有量が難燃性組成物全量に対して、ポリブタジエンポリオール(A)は5〜50質量%、ポリエーテルポリオール(B)は5〜50質量%、ポリアミン(C)は0.1〜20質量%である(ただし、(A)〜(C)の合計は、50〜95質量%の範囲にある)請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性組成物。
- 組成物が顔料を含有し、かつ、顔料体積濃度(PVC)が15%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性組成物。
- 組成物が、主剤として、ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、非ハロゲン系難燃剤(D)を含み、硬化剤として、イソシアネート(E)を含む2液型である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性組成物。
- 23℃でB型粘度計を用いて測定する、前記難燃性組成物の主剤と硬化剤を混合開始してから5分後の組成物の粘度が4,000mPa・s以下である、請求項6に記載の難燃性組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性組成物から形成されてなる難燃性ポリウレタン系成形体。
- ケーブルまたは電線周囲のシーリング材である請求項8に記載の難燃性ポリウレタン系成形体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性組成物を施工箇所に流し込んで成形する難燃性ポリウレタン系成形体の形成方法。
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