JP2019099650A - 難燃性組成物、および難燃性ポリウレタン系成形体 - Google Patents

難燃性組成物、および難燃性ポリウレタン系成形体 Download PDF

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玄太 伊藤
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Abstract

【課題】流し込み施工が可能なシーリング用の難燃性組成物および難燃性ポリウレタン系成形体を提供する。【解決手段】ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、分子量が150以上である非ハロゲン系難燃剤(D)およびイソシアネート(E)を含有する難燃性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、流し込み施工が可能なシーリング用難燃性組成物に関する。
発電所やビルディング等に大量のケーブル、電線等を設置する際、建物の壁や床の貫通部、及び隙間には防食、止水を目的として、樹脂系シーリング材、グラウト材、またはグリースを充填し、ケーブル、電線等を被覆している。これらの材料の中でも、防食性、止水性、柔軟性、電気絶縁性に優れ、解体も容易であるという点からポリウレタン系シーリング材が一般的に使用されている。また、シーリング材が用いられるケーブルや電線周囲などは、狭い隙間であるため充填して成形できることが望ましく、このため、流し込み施工などの方法で使用できる組成物も求められるようになっている。
近年、火災、地震、津波等の災害に備えて、防食、止水に加えて耐火性が要求されるが、ポリウレタン系などの樹脂系シーリング材は難燃性が必ずしも高くないという課題があった。
樹脂系難燃性組成物としては、たとえば、特許文献1〜3が知られている。
特許文献1(特開昭59−86619号公報)には、液状ポリイソシアネートと水酸基含有ポリブタジエンの混和物に対し、有機リン酸エステルおよび難燃剤としてハロゲン系難燃剤を含む難燃性組成物が開示されている。特許文献1では、難燃助剤として特定化学物質に指定されている三酸化アンチモンが使用されており、燃焼時の有毒ガスの発生や人体への悪影響が懸念される。また、組成物にポリエーテルポリオールを含まないため、形成された成形体は架橋密度が低くなり、それに伴い靱性が低くなる。
特許文献2(特開平4−96984号公報)には、第1成分にポリオール成分を含み、第2成分にイソシアネート成分を含むシール剤が開示されている。しかしながら、特許文献2では、第1成分と第2成分の撹拌混合開始から急速に粘度が高くなるため、流動性を保つことができる時間(6分)が短い。さらに第1成分に、顔料を多く含むため、粘度も高くなり、狭窄箇所への充填が困難である。
特許文献3(特開2014−58615号公報)には、ポリオール成分、イソシアネート、発泡剤(水)、触媒、撥水剤、難燃剤を含むポリウレタン原料から形成された難燃性シール材が開示されている。しかしながら、水を必須成分とするウレタンフォームであるため、防水性や電気絶縁性の低下が懸念される。
特開昭59−86619号公報 特開平4−96984号公報 特開2014−58615号公報
ケーブル、電線周囲に防食、止水を目的として用いられる材料としては、樹脂系シーリング材の他にグラウト材、グリースが存在するが、グラウト材は、ケーブルの伸縮に追従できないことや一度施工すると、脱型が困難であるため補修を行うことができないという欠点を有する。また、グリースは硬化する材料ではないため、施工箇所に欠損部が生じると、流出するおそれがある。
一方、樹脂系シーリング材は上記の欠点はないものの、難燃性という観点では劣るため、火災時に燃焼し材料が焼失することで、防食性や止水性が維持できなくなるおそれがある。
また、シーリング材が施工される箇所は、ケーブルを通す隙間であったり、複数のケーブルが入り組んだ箇所であるため、対象物に流し込んで施工したり、刷毛塗りすることができるような流動性を有する難燃性組成物が求められていた。流し込み施工や刷毛塗りで施工する際に、施工の間は粘度が低い状態を維持しておく必要があり、増粘してしまうと流し込みが不十分となり、均一な施工ができなくなるという課題もある。
本発明は、前記課題を鑑みてなされたものであり、流動性が高い難燃性組成物、および優れた難燃性、止水性、柔軟性、且つ電気絶縁性を有する難燃性ポリウレタン系成形体を提供することにある。
前記課題を解決する方法について鋭意検討を重ねた結果、以下の構成により本発明を完成するに至った。本発明の構成例は以下の通りである。
[1]ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、分子量が150以上である非ハロゲン系難燃剤(D)およびイソシアネート(E)を含有する難燃性組成物。
[2]前記非ハロゲン系難燃剤(D)の含有量は、難燃性組成物全量に対して5〜50質量%である[1]の難燃性組成物。
[3]ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)は、それぞれの含有量が難燃性組成物全量に対して、ポリブタジエンポリオール(A)は5〜50質量%、ポリエーテルポリオール(B)は5〜50質量%である[1]または[2]の難燃性組成物。
[4]ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)は、それぞれの含有量が難燃性組成物全量に対して、ポリブタジエンポリオール(A)は5〜50質量%、ポリエーテルポリオール(B)は5〜50質量%、ポリアミン(C)は0.1〜20質量%である(ただし、(A)〜(C)の合計は、50〜95質量%の範囲にある)[1]〜[3]の難燃性組成物。
[5]組成物が顔料を含有し、かつ、顔料体積濃度(PVC)が15%以下である[1]〜[4]の難燃性組成物。
[6]組成物が、主剤として、ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、非ハロゲン系難燃剤(D)を含み、硬化剤として、イソシアネート(E)を含む2液型である、[1]〜[5]の難燃性組成物。
[7]23℃でB型粘度計を用いて測定する、前記難燃性組成物の主剤と硬化剤を混合開始してから5分後の組成物の粘度が4,000mPa・s以下である、[6]の難燃性組成物。
[8][1]〜[7]の難燃性組成物から形成されてなる難燃性ポリウレタン系成形体。
[9]ケーブルまたは電線周囲のシーリング材である[8]の難燃性ポリウレタン系成形体。
[10][1]〜[7]の難燃性組成物を施工箇所に流し込んで成形する難燃性ポリウレタン系成形体の形成方法
本発明の難燃性組成物は、流動性に優れるため、狭窄箇所へも充填しやすく、流動性を保つことができる時間が長いため、十分な施工時間を確保することが可能である。
また、本発明の難燃性組成物は、ハロゲン系難燃剤を使用しないため有毒ガスの発生が少なく、人体への影響が少ない。さらに形成された成形体が柔軟性を有するため、ケーブルの伸縮に追従することが可能、且つ、補修の場合の脱型も容易である。
さらに、本発明の難燃性ポリウレタン系成形体は電気絶縁性を有しており、止水性、防食性も高いので、シーリング材として、防食、止水に加えて耐火性が要求される用途に好適に適用できる。
実施例における止水性評価に使用した装置の概略図を示す。
以下、本発明の難燃性組成物について詳細に説明する。
<難燃性組成物>
本発明の難燃性組成物は、ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、分子量が150以上である非ハロゲン系難燃剤(D)およびイソシアネート(E)を含有する。
ポリブタジエンポリオール(A)
ポリブタジエンポリオール(A)は、分子末端に反応性の高い水酸基を有しており、イソシアネート類と容易に反応・硬化し良好なウレタンエラストマーとなる。
ポリブタジエンポリオールの構造式の例を下記式(1)に示す。
式(1)中、添え字xは、ブタジエンの1,2結合に由来する構造単位を示し、添え字yはブタジエンの1,4結合に由来する構造単位を示す。1,4結合はシス型でもトランス型でも双方の混合型でもよい。添え字nは繰り返し数を示し、分子量に応じて適宜選択される。
本発明で用いるポリブタジエンポリオール(A)は1,4結合の割合が約80%であるものが、優れた柔軟性を示す他、耐水性、耐薬品性、耐寒性等に優れるために好ましい。
ポリブタジエンポリオール(A)は、好ましくは水酸基価30〜120mgKOH/g以上、官能基数が2以上である。市販品としては、出光興産(株)製のPoly bd R−45HT、Poly bd R−15HT、CRAY VALLEY社製のPoly bd R−45HTLO、Poly bd R−20LM、Poly bd 605E、EVONIK社製のPOLYVEST EP HTが挙げられる。これらを可撓性や柔らかさなど鑑み、組み合わせて使用してもよい。
ポリブタジエンポリオール(A)の含有量は、本発明の難燃性組成物全量に対して、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。ポリブタジエンポリオール(A)の含有量が前記範囲にあると優れた柔軟性、止水性を有する成形体を得ることができる。
ポリエーテルポリオール(B)
ポリエーテルポリオール(B)は、分子内の主骨格中に少なくとも2つ以上のエーテル結合を有するヒドロキシ化合物である。ポリエーテルポリオールの主骨格中の繰り返し単位としては、飽和炭化水素又は不飽和炭化水素のどちらでもよく、例えば、1,4−ブタンジオール単位、2−メチル−1,4−ブタンジオール単位、3−メチル−1,4−ブタンジオール単位、1,3−プロパンジオール単位、1,2−プロピレングリコール単位、2−メチル−1,3−プロパンジオール単位、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール単位、3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位、1,2−エチレングリコール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位等が挙げられる。
このようなポリエーテルポリオール(B)はグリコール、グリセリン、ショ糖等分子内に水酸基を2つ以上持った低分子化合物にプロピレンオキサイドやエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させて作られる。このポリエーテルポリオールの官能基数は2〜8であり、好ましくは3〜5であり。数平均分子量が500〜8,000である。
ポリエーテルポリオール(B)の市販品としては、旭硝子(株)製のEXCENOL 410NE,EXCENOL 805、EXCENOL 5030、EXCENOL 230、EXCENOL 820、EXCENOL 823、EXCENOL 828、ダウ・ポリウレタン日本(株)製のVORANOL 3022J、VORANOL 3010、VORANOL 4701、VORANOL 446が挙げられる。これらを目的の数平均分子量となるように組み合わせてもよい。
ポリエーテルポリオール(B)の含有量は、本発明の難燃性組成物全量に対して、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは7〜30質量%である。ポリエーテルポリオール(B)の含有量が前記範囲にあると、架橋密度と靱性のバランスがとれた成形体を得ることができる。
また、ポリブタジエンポリオール(A)とポリエーテルポリオール(B)の合計含有量は、難燃性組成物全量に対して、20〜60質量%であると好ましい。
ポリアミン(C)
ポリアミン(C)は、炭化水素構造に、アミノ基(−NHR;Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)を二つ以上有するものであり、イソシアネートと反応することでウレア結合を形成する。ウレア結合は耐水、耐食、酸やアルカリといった耐薬品性に優れるといった特徴を有する。ポリアミンの種類としては、トリエチレンテトラミンのような脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミンのような芳香族ポリアミン、イソホロンジアミンのような脂環式ポリアミン等が挙げられ、何れの骨格を有するポリアミンも用いることができる。この中で、芳香族ポリアミンは、芳香環の立体障害により、反応が穏やかに進行し、可使時間を長く保つことができるため好ましい。
ポリアミン(C)の例としては、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルー5,5’−ジメチルジフェニルメタン、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、2,2’,6,6’−テトラエチル−4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンが挙げられ、市販品の例としてクミアイ化学工業(株)製のイハラキュアミンMT、イハラキュアミンM液状品、CUA−4、キュアハードMED,エラスマー250P,エラスマー1000Pやロンザジャパン(株)製のLonzacure M−DEA、Lonzacure M−MIPA、Lonzacure M−DIPA、Lonzacure M−CDEAやアルベマール社製のエタキュアー100、エタキュアー300が挙げられる。
ポリアミン(C)の含有量は、本発明の難燃性組成物全量に対して、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%である。ポリアミン(C)の含有量が前記範囲にあると、イソシアネートと良好に反応することにより適切な架橋密度を有する成形体を得ることができる。
非ハロゲン系難燃剤(D)
ハロゲン系の難燃剤を材料に配合し、その材料が燃焼する際には有毒なガスが生じる場合があるため、本発明は非ハロゲン系難燃剤(D)を用いる。
難燃剤には粉末状、液状など状態の異なるものがあるが、本発明に用いる難燃剤としては分子量が150以上のものが使用される。このような非ハロゲン系難燃剤(D)としては、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、メラミン系難燃剤、ホスファゼン、ポリリン酸アンモニウム等のリン・窒素系難燃剤、無機系難燃剤が挙げられる。非ハロゲン系難燃剤(D)は、形成される成形体からのブリードアウト(滲み出し)が少ないため、難燃性や可撓性を低下させることなく、防食性も高い。非ハロゲン系難燃剤は液状のものが好ましく、液状難燃剤を使用すると、難燃性組成物全体の流動性を失わず、施工性に優れる難燃性組成物を得ることができる。ここで、本発明における液状とは、常温常圧(23℃、1atm(=1,013hPa))下において、一定の形を持たず、流動性があり、ほぼ一定の体積を持つものの性質のことをいう。
前記難燃剤(D)の分子量は150〜10,000の範囲が好ましく、より好ましくは150〜5,000の範囲である。分子量は、GCMS測定装置、例えば、(株)島津製作所製「GC−2010」(ソフトウェア:GCMS solution、測定モード:イオン化モード(EIモード))を用いて測定することができる。分子量は分子式から求めた式量であってもよい。難燃剤の分子量が低すぎると、特に液状難燃剤の場合、ブリードアウトが発生し、難燃性や可撓性を低下させたり、ブリードアウトした液状難燃剤が難燃性組成物に接触している他の材料を劣化させ、電気絶縁性を低下させることがある。分子量が高すぎると、難燃剤の粘度が高くなり、それに伴い難燃性組成物の粘度が高くなり施工性が悪くなる。
なお、本願出願人によるWO2016/031825号には、液状難燃剤は難燃性組成物に添加すると機械的強度の低下やブリードアウトが発生する場合がある旨を記載しているが、本発明では、ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)を組み合わせ、しかも難燃剤の分子量を所定の範囲にしているため、前記文献にあるような液状難燃剤を使用した場合のブリードアウトの課題が解消される。
液状の非ハロゲン系難燃剤(D)としては、トリエチルホスフェート(TEP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、CDP(クレジルジフェニルホスフェート)等のリン系難燃剤、ポリオルガノシロキサンガム等のシリコーン系難燃剤が挙げられる。
リン系難燃剤は、難燃性組成物から得られる成形体が燃焼した時、炭化層を形成し酸素と熱を遮断することにより難燃効果を発現させる。シリコーン系難燃剤は燃焼に伴い樹脂の表面付近にシリカ層を生成し,これが燃焼熱や可燃性ガスの遮断に作用するものと推定される。
前記難燃剤(D)の市販品としては、例えば、リン系難燃剤としては、大八化学工業(株)製のTEP、TPP、TCP、TXP、CDP、PX−110、PX−200、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス35、レオフォス50、レオフォス65、レオフォス95、レオフォス110、レオルーブHYD−110等が、シリコーン系難燃剤としては、(株)カネカ製のKANE ACE MR−01、信越化学(株)製のX−40−9805、東レ・ダウコーニング(株)製のDC4−7081等が、リン・窒素系難燃剤としては、CLARIANT製のExolit AP 422等が挙げられ、特に液状のリン系難燃剤が好ましい。
液状のリン系難燃剤は、TEP、TPP、TCP、TXP、CDP、PX−110、レオフォス35、レオフォス50、レオフォス65、レオフォス95、レオフォス110、レオルーブHYD−110などがある。
前記難燃剤(D)の含有量は、本発明の難燃性組成物全量に対して、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは15〜35質量%である。難燃剤(D)の含有量が前記範囲内にあると、施工性、柔軟性、難燃性に優れる成形体を得ることができる。
イソシアネート(E)
本発明に用いるイソシアネートについては、ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)と反応し、硬化可能な化合物であればよい。なお、本明細書にて、イソシアネート(E)を硬化剤と呼ぶこともある。
イソシアネート(E)として具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略称する。[例:2,2’−MDI、2,4’−MDI、4,4’−MDI、ポリメリックMDI(クルードMDI)]、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略称する。[例:2,4−TDI、2,6−TDI])、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類のほか、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類等、前記ポリイソシアネートのカルボジイミド変性体、及びイソシアネート化合物と低分子ポリオールなどを反応させて得られるポリウレタン系プレポリマーなども使用できる。
前記イソシアネート(E)としては、前記イソシアネートを含む成分を用いればよく、該成分は、従来公知の方法で合成して得てもよいし、市販品を用いてもよい。なお、市販品には、前記イソシアネート(E)を主成分として含み、さらに該イソシアネートの異性体等を含む場合や溶剤を含む場合があり、本発明では、これらの市販品を特に制限なく使用することができるが、柔軟性に優れ、硬化収縮が起こりにくい成形体を形成できるなどの点から、MDIプレポリマーで、無溶剤型イソシアネートであることが好ましい。例としては、三井化学(株)製のハイプレン PD−200Aや東ソー(株)のコロネート4255が挙げられる。これらは構造として、可撓性のあるセグメントを有するため、成形体が良好な柔軟性を示す。
イソシアネートは、難燃性組成物中の活性水素と反応することが知られているが、本発明の難燃性組成物に関する活性水素を持つ材料としては、水酸基を持つポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)とアミノ基を持つポリアミン(C)が該当する。ポリオール化合物には水酸基(OH)価という物性値が、ポリアミン化合物にもアミン価という物性値があり、ともにmgKOH/gという単位で与えられる。ポリオール化合物の水酸基やポリアミン化合物のアミノ基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものをイソシアネートインデックス(NCOインデックス)と言い、その値が100を超えるということはイソシアネート基が水酸基よりも過剰であることを意味する。本発明に使用するウレタン樹脂のイソシアネートインデックスは、70〜200の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは90〜150の範囲となる。イソシアネートインデックスは以下の方法にて算出される。イソシアネートインデックスがこの範囲内であると硬化不良や発泡の原因となりにくいため好ましく、さらに良好な柔軟性を示す成形体を得ることができる。
イソシアネート(E)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
イソシアネートインデックスの算出式を以下に記載する。
イソシアネートインデックス=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+ポリアミンの当量数+その他成分の活性水素を持つ成分の活性水素当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=(イソシアネートの使用量×NCO含有率(%)÷100)÷NCOの分子量
ポリオールの当量数=(ポリオールの水酸基価(mgKOH/g)×ポリオールの使用量÷KOHの分子量
ポリアミンの当量数=(ポリアミンのアミン価(mgKOH/g)×ポリアミンの使用量÷KOHの分子量
なお、上記式において、使用量の単位は質量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、単位換算の都合上、KOHの分子量はmgに換算して56,100とする。
本発明の難燃性組成物は、(A)〜(E)に加え、以下の材料を用いてもよい。
可塑剤(F)
可塑剤とは、対象材料に柔軟性を与えたり、加工しやすくするために配合する物質のことを指す。
たとえば、フタル酸系、アジピン酸系、トリメリット酸系等の可塑剤が挙げられる。具体的な可塑剤の例として、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジブチルアジペート(DBA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等が挙げられる。
これらの中でも、ブリードアウトしないものが好ましく、本発明においては、本発明においては、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)が好ましい。可塑剤(F)は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
可塑剤(F)の含有量は0〜30質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0〜25質量%である。可塑剤(F)は、粘度が低いため含有することで、可使時間を延長できるが、30質量%より多く含有すると、難燃性が低下する。
顔料(G)
顔料は、最終目的物に応じて適宜選択され、有機顔料、無機顔料、金属酸化物からなる複合酸化物顔料など多岐に亘り、その構造、形状などにより、着色、防錆等様々な機能を付与することができる。
着色顔料としては、たとえばカーボンブラック、酸化チタン、弁柄、酸化鉄、水酸化鉄、群青等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。着色顔料は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、カリ長石、カオリン、クレー、タルク、ベントナイト、炭酸マグネシウム、シリカ等が挙げられる。中でも、炭酸カルシウム、カリ長石、シリカが好ましい。体質顔料は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
防錆顔料としては、亜鉛粉末、亜鉛合金粉末、リン酸亜鉛系化合物、リン酸カルシウム系化合物、リン酸アルミニウム系化合物、リン酸マグネシウム系化合物等が挙げられる。
また、着色顔料、体質顔料、防錆顔料は、任意の組み合わせで併用してもよい。
(顔料体積濃度(PVC))
本発明の難燃性組成物は、顔料を含む場合、顔料体積濃度(PVC:Pigment Volume Concentration)は15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、特に好ましくは7%以下である。PVCが15%を超えると、難燃性組成物の粘度が高くなることに伴い流動性が低下し、施工性が悪くなる場合がある。なお、顔料を含まない場合、PVCは0になる。
前記PVCとは、本難燃性組成物中の固形分の体積に対する、顔料の合計の体積濃度のことををいう。なお、顔料とは顔料(G)、粉末状(固体)難燃剤および添加剤中の固体粒子を示す。PVCは、具体的には下記式より求めることができる。
PVC[%]=本難燃性組成物中の全ての顔料の体積合計×100/本難燃性組成物中の固形分の体積
なお、本難燃性組成物の固形分は、JIS K 5601−1−2(加熱温度:125℃、加熱時間:60分)に従って得られる加熱残分を意味する。また、本難燃性組成物の固形分は、溶剤および用いる原料における溶媒を除いた量として算出することもできる。
前記本難燃性組成物中の固形分の体積は、本難燃性組成物の固形分の質量および真密度から算出することができる。前記固形分の質量および真密度は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。
前記顔料の体積は、用いた顔料の質量および真密度から算出することができる。前記顔料の質量および真密度は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。例えば、本難燃性組成物の固形分より顔料と他の成分とを分離し、分離された顔料の質量および真密度を測定することで算出することができる。
添加剤(H)
消泡剤
消泡剤の種類としてはシリコーン系、ミネラルオイル系等が挙げられ、それぞれ水系、溶剤系、無溶剤系の消泡剤が存在する。本発明では、施工時の硬化収縮を抑えるために無溶剤のシリコーン系消泡剤を0〜3質量%の範囲で用いることが好ましい。たとえば東レ・ダウコーニング(株)製のSAG−47等が挙げられる。
水分吸着剤
大気中や無機顔料に含まれる水分を系内に取り込んだまま主剤と硬化剤を撹拌した場合、硬化剤であるイソシアネートと水分が反応し、組成物が発泡する可能性がある。この発泡を抑制するために系内の水分を除去することが好ましく、本発明の難燃性組成物に対して0〜10質量%の範囲で水分吸着剤を用いてもよい。
具体例としては、ユニオン昭和(株)製のモレキュラーシーブ4Aパウダー、borchers社製のAdditive TI等が挙げられる。
触媒
本発明の難燃性組成物には、反応を促進する触媒を用いてもよい。また、これらの触媒は、通常主剤に添加される。触媒の例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、スズオクチレート等のスズカルボン酸塩、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン等のアミン系触媒、2−エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等のスズ以外の金属カルボン酸塩、ステアリン酸、オレイン酸、ギ酸等のDBU塩が挙げられる。例としては、DIC(株)製のグレックTL、エアプロダクツジャパン(株)製のDABCO 33−LV、日東化成(株)製のネオスタンU−28、(株)ダイセル製のトリエチルアミン、日本化学産業(株)製のニッカオクチックス鉛が挙げられ、本発明の難燃性組成物に対して0〜3質量%の範囲で用いることが好ましい。
その他の難燃剤((D)以外)
本発明の難燃性組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で(D)以外の難燃剤を含有することができる。その他の難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の分子量が150未満の無機系難燃剤等が挙げられる。
その他の難燃剤の含有量は、本発明の難燃性組成物全量に対して、好ましくは0〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。
その他材料
その他に湿潤分散剤、酸化防止剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
なお、本発明によれば、難燃性組成物が無溶剤型であっても、溶剤を含むものであってもよい。本発明では、高流動性の難燃性組成物を得ることができるため、硬化収縮が起こりにくい成形体を形成できるなどの点から、本発明の難燃性組成物は溶剤を含まないことが好ましいが、用いる用途によっては、さらなる高流動性の難燃性組成物を得る等のために溶剤を用いてもよい。
<難燃性組成物の調製方法>
本発明の難燃性組成物は、上記(A)〜(E)成分、さらに必要であれば(F)〜(H)成分を混合することにより調製することができる。
本発明の難燃性組成物の好ましい態様は2液型混合組成物で、実施形態としては、主剤として(A)、(B)、(C)、(D)、(F)、(G)、(H)を含み、硬化剤として(E)を含む。
(D)、(F)は主剤、硬化剤のどちらに配合しても良いが主剤側に配合することが好ましい。また、(G)、(H)は主剤に配合することが好ましい。また、添加剤(H)のうち、触媒は主剤に配合することが好ましい。
前記主剤と前記硬化剤とを混合することによって、本発明の難燃性組成物を調製する。主剤と硬化剤の2液型として、別々に主剤と硬化剤を調製しておき、使用直前で混合して難燃性組成物としてもよい。混合後、必要に応じて脱泡して、混合時に混入する気泡成分を除去してもよい。
難燃性組成物の粘度および可使時間
本発明の難燃性組成物は、主剤と硬化剤を混合開始してから5分後の23℃でB型粘度計を用いて測定する粘度が、4,000mPa・s以下であることが好ましく、2,000mPa・s以下であることがより好ましく、1,500mPa・s以下であることが特に好ましい。難燃性組成物の粘度、および可使時間測定の際は、硬化剤の量はNCOインデックスが100〜110になるようにし、溶剤による希釈は行わないこととする。また、組成物が溶剤を含む場合、成形した際に硬化収縮を引き起こす可能性があるため、溶剤を含まないことが好ましい。粘度は、上記各成分の組成比によって調整することが可能であるが、本発明では、上記(A)〜(D)成分を含むため、従来の難燃性組成物に比べて粘度を低くできる。
このため本難燃性組成物の施工は流し込み、押出成型、射出成型、RIM成型、貼付け、スプレー、ローラー、刷毛等で行うことが可能である。なお粘度が高い場合、狭窄箇所への充填が困難になるため、粘度が低い方が好ましい。
<難燃性組成物の施工方法、用途、適応基材>
前記施工方法で施工する場合、可使時間が短い場合、施工の途中で粘度が上昇、あるいは硬化することにより、施工を進めることが困難になる。本発明の2液型の難燃性組成物は、可使時間は長い方(例えば20分以上)が好ましい。さらに好ましくは、40分以上である。難燃性組成物の粘度が10,000mPa・sを超えると、狭窄箇所への充填が困難になることがある。
難燃性組成物の可使時間測定は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
施工後の成形体は硬化が完了するまで養生する。硬化時間は組成によって適宜選択される。養生は通常室温で行われるが、必要に応じて、加熱してもよい。
本発明の難燃性組成物は高い流動性を有するため、狭い隙間でも充填することが可能である。用途としては、充填材、特にケーブル、電線周囲、及び建物の壁、床貫通部、及び隙間等の水密性や止水性が必要とされる箇所にシーリング材として使用することができる。主剤と硬化剤を混合開始してから5分後の組成物の粘度が前記範囲以下であるため、流動性を保つことができる時間が長く、十分な施工時間を確保することが可能である。
適応基材としては、プラスチック、コンクリート、モルタル、スレート板、合板、タイル、金属、ガラス、フィルム、繊維等が挙げられ、これらの基材は表面処理が施されてあってもよい。具体的には、ケーブル、電線等を設置する際、建物の壁や床の貫通部、これらの隙間、これらを覆う筐体などとの空隙に、電線やケーブルの防食、止水を目的として、本発明の難燃性組成物が施工される。
たとえばケーブルや電線周囲の隙間を充填するために、本発明の難燃性組成物は、穴などの隙間を通じて注入することも可能である。
製造工程や主剤と硬化剤の撹拌時に水分を取り込むと硬化時に発泡し、止水性や電気絶縁性低下の原因となるため、水分を取り込まないような方法を推奨する。
<難燃性ポリウレタン系成形体>
本発明の難燃性ポリウレタン系成形体(以下「本発明の成形体」ともいう。)は、前記本発明の難燃性組成物から形成される。このため、本発明の成形体は、難燃効果が高く、止水性に優れ、柔軟性が良好である。
燃焼性
ウレタン樹脂は一般的に燃焼しやすく、燃焼性樹脂に分類される。プラスチック材料に関する燃焼性の認証基準としては、UL94規格(Underwriters Laboratories Inc.によって制定された米国燃焼試験の規格)がよく知られている。本発明の難燃性ポリウレタン系成形体の燃焼性は、HB(水平燃焼)試験を用いて評価することができ、該成形体はHB基準を満たすレベルで難燃性が高い。燃焼性は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
止水性
ケーブル、電線周囲、及び建物の壁、床貫通部等に隙間が存在すると、津波や洪水により建物内が浸水するおそれがある。また、ケーブル等の周囲を本発明の難燃性組成物で埋めることで酸素と水を遮断し、防食性も期待できる。本発明の成形体は、止水性が高い。なお、使用する材料によっては、吸水し膨潤するものや加水分解性のあるものがあるため、耐水性を有する材料を選択する必要がある。止水性は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
柔軟性
本発明の難燃性組成物を当該箇所、特にケーブル、電線周囲に施工した場合、ケーブル等が寒熱の繰り返し条件下で伸縮する場合がある。本発明の難燃性組成物および得られた難燃性ポリウレタン系成形体は、これらの伸縮に追従できる程度の柔軟性を有する。柔軟性は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
電気絶縁性
ケーブル、電線は必要とする部分以外に電流が流れることを防止したり、漏電の防止のため、周囲にポリ塩化ビニル樹脂等で被覆を施し、電気絶縁性を付与する場合がある。一般的に、電気の流れやすさは抵抗率[Ω・m]やシート抵抗率[Ω/□]で表され、108[Ω/□]以上のものを絶縁体、10-4[Ω/□]を超えて〜108[Ω/□]未満のものを半導体、抵抗率が10-4[Ω/□]以下のものを導体と定義される。
ケーブルや電線周囲に従来の難燃性組成物を施工すると、難燃性組成物に含まれる難燃剤や可塑剤等がブリードアウトし(滲み出し)、ケーブルの被覆材を侵し、ケーブルの電気絶縁性を低下させる場合がある。これに対し、本発明の難燃性組成物はブリードアウトしない材料から構成されるので、またはケーブルや電線の被覆材を侵さない材料であり、電気絶縁性も高い。なお、電気絶縁性は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
難燃性組成物を構成する原料としてPoly bd R−45HTを20.7質量部、Poly bd R−15HTを6.8質量部、EXCENOL 410NEを2.0質量部、EXCENOL805を5.0質量部、VORANOL3022Jを15.0質量部、ML−620を5.0質量部、難燃剤としてTCPを44.73質量部を順次加え、ハイスピードディスパーを用いて分散を行った。その後、水分吸着剤としてAdditive TIを0.5質量部、酸化防止剤としてノクラックNS−6を0.1質量部、消泡剤としてSAG−47を0.07質量部、触媒としてニッカオクチックス鉛 17%DINPを0.1質量部を順次加え撹拌し、主剤を調製した。そこに、主剤に対してNCOインデックスが107となるように、硬化剤としてコロネート4255を33.0質量部を加え、混合後、脱泡して難燃性組成物を調製した。
[実施例2〜10、比較例1〜8]
難燃性組成物を構成する原料の種類、及び使用量を表2および表3に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にして、難燃性組成物を調製した。なお、表2および表3の各材料の詳細は、表1に示すとおりである。
実施例1〜10および比較例1〜8で作成した難燃性組成物を用いて、以下の燃焼性、止水性、柔軟性、電気絶縁性、粘度および可使時間の評価を行った。
1.燃焼性の評価
実施例および比較例で調製した各難燃性組成物を150mm×125mm×1mmの成型枠に流し込み、23℃で96時間養生し硬化させることで、難燃性ポリウレタン系成形体を作成した。その後、該成形体を、長さ125mm、幅12.5mmの寸法に加工し、試験体とした。試験体には、片端から長さ方向に25mmおよび100mmのところに標線をつけた。試験体はそれぞれ5個作成した。作成した試験体を温度23℃および50%の相対湿度で、48時間保持後、試験を行った。
UL94規格のHB(水平燃焼)試験の手順に基づき、以下の方法で試験を5回ずつ実施し、燃焼性を評価した。
試験方法は、試験体の25mmの標線から最も遠い端で試験体を固定し、試験体の長さ方向を水平にし、幅方向は45度傾斜させた。次いで、試験体の固定していない方の端に30秒間バーナーの炎を接触させ、その後バーナーを取り去った。なお、バーナーの炎を接触させてから30秒以内に、燃焼する先端が標線25mmに達した場合は、直ちにバーナーを試験体から遠ざけた。炎を取り去った後でも延焼する場合は、燃焼する先端が標線25mmに達した時間を0秒として時間を秒単位で測定し、燃焼時間を求めた。炎を取り去った後、延焼が止まった場合は、燃焼が止まった地点を測定した。燃焼性試験の結果を燃焼割合として以下の4段階で評価した。結果を表2および表3に示す。
4:5回の試験のうち、5回全てで試験体が燃焼しない、または、延焼が止まること。
3:5回の試験のうち、1〜4回試験体が燃焼しない、または、延焼が止まること。
2:5回の試験のうち、5回とも試験体が完全に燃焼すること。
1:試験体が溶融する。
さらに燃焼時間に関しても、以下の4段階で評価した。結果を表2および表3に示す。
4:燃焼時間が3秒未満であること。
3:燃焼時間が3秒以上60秒未満であること。
2:燃焼時間が60秒以上であること。
1:試験開始時にバーナーの炎を接触させた段階で試験体が溶融する。
2.止水性の評価
図1に示す両端が開いた鋼管(長さ10cm、内径1.5cm)の片端を封じ、実施例および比較例で調整した各難燃性組成物を鋼管内の7割程度まで注入した。注入後、鋼管内の組成物を常温で96時間養生した。養生後、鋼管、圧力計、ボールバルブ、ねじ込みチーズ、ジョイントソケット、逆止弁、継手を配管し、高圧洗浄機を用いて配管内に水を送り込み、圧力計の目盛が0.25MPaになるように調整した。
圧力計の目盛、及び目視による水の漏れの有無の確認を行い、止水性を評価した。止水性試験の結果を以下の3段階で評価した。結果を表2および表3に示す。
3: 水圧0.25MPaを24時間以上維持し、水の漏れがないこと。
2: 水圧0.25MPaを24時間以上維持できないが、水の漏れがないこと。
1: 水の漏れがあること。
3.柔軟性の評価
実施例および比較例で調製した各難燃性組成物を260mm×280mm×2mmの成型枠に流し込み、23℃で96時間養生し、硬化させることで、難燃性ポリウレタン系成形体を作成した。その後、該成形体を、ダンベル状3号形の試験片打抜刃で打ち抜き、伸び率測定用の試験体とした。試験体はそれぞれ5個作成し、作成した試験体を温度23℃および50%の相対湿度で、96時間保持後、試験を行った。装置は(株)島津製作所製「AGS−X」、ソフトウェアとして「TRAPEZIUM LITE X」を用いて、試験はJIS K 6251に従い実施し、伸び率を測定し、以下の3段階で柔軟性を評価した。伸び率は、切断時伸びのことを指し、以下の式より算出し、試験体5個の平均値を評価に用いた。
伸び率(%)=100×(L−L0)/L0
0:試験前の試料長さ、L:破断時の試料長さ
結果を表2および表3に示す。
3: 伸び率が120%以上であること。
2: 伸び率が120%未満であること。
1: 成形体形成直後から難燃剤のブリ―ドアウトにより適正な評価不可。
4.電気絶縁性の評価
アズワン株式会社製の「PP容器No.6」(容量30ml、口内径×胴径×全長(mm):φ30.3×φ32.5×55)の容器の底に、ポリ塩化ビニル樹脂によって被覆されたφ8.5mmのケーブルが挿入できる程度の穴を開け、ケーブルを通した。その後、実施例および比較例で調整した各難燃性組成物を脱泡後、ケーブルが挿入された容器内に流し込み、常温雰囲気下で硬化させた。硬化後、容器を切除して除去し、温度40℃、湿度90%雰囲気下で2週間養生した。養生後、難燃性ポリウレタン系成形体を除去し、(株)三菱化学アナリテック製の高抵抗率計「ハイレスターUP МCP−HT450」を用いて、ポリ塩化ビニル樹脂表面のシート抵抗率を測定した。シート抵抗率は被膜の導電性を表すものであり、値が大きいほど電気絶縁性に優れている。
電気絶縁性試験の結果を以下の4段階で評価した。結果を表2および表3に示す。
4: 難燃性ポリウレタン系成形体の脱着後、ケーブル表面にブリードアウトする成分の付着物がなく、シート抵抗率[Ω/□]が108以上であること。
3: 難燃性ポリウレタン系成形体の脱着後、ケーブル表面にブリードアウトする成分の付着物があるが、シート抵抗率[Ω/□]が108以上であること。
2: 難燃性ポリウレタン系成形体の脱着後、ケーブル表面にブリードアウトする成分の付着物がなく、シート抵抗率[Ω/□]が108より小さいこと。
1: 難燃性ポリウレタン系成形体の脱着後、ケーブル表面にブリードアウトする成分の付着物があり、シート抵抗率[Ω/□]が108より小さいこと。
また、型枠を脱着後の試験片表面のブリードアウトした付着物の有無を観察した。
5.難燃性組成物の粘度測定
実施例1〜10および比較例1〜8で作成した難燃性組成物の主剤および硬化剤を用い、容積500mL測定カップ内に主剤に入れておき、そこに硬化剤を加え、ステンレス丸ヘラを用いて23℃で3分間撹拌した。英弘精機(株)製のB型粘度計を用いて撹拌開始から5分後(撹拌終了2分後)の各難燃性組成物の23℃における粘度を測定し初期粘度とした。難燃性組成物の粘度測定の結果を以下の4段階で評価した。結果を表2および表3に示す。なお粘度測定用の組成物は、表2および3に挙げる質量部を「g」にして、2倍した量となるように調製した。
4: 1,500mPa・s以下。
3: 1,500を超えて2,000mPa・s以下。
2: 2,000を超えて4,000mPa・s以下。
1: 4,000mPa・sを超える。
6.難燃性組成物の可使時間測定
上記5.難燃性組成物の粘度測定で用いた実施例および比較例の難燃性組成物を用い、前記5.と同様にして、粘度測定用の組成物を調製した。英弘精機(株)製のB型粘度計で前記5.の粘度(初期粘度)を測定後、各組成物の23℃における粘度の経時変化を追い、初期粘度を測定した直後からスタートして、10,000mPa・sに到達するまでの時間を可使時間とし、10,000mPa・sを超えた時点で測定を終了し、可使時間を算出した。難燃性組成物の可使時間測定の結果を以下の5段階で評価した。結果を表2および表3に示す。
5: 可使時間が60分を超える。
4: 可使時間が40分を超えて60分未満。
3: 可使時間が20分を超えて40分未満。
2: 可使時間が20分以下。
1: 測定開始時で10,000mPa・sを超えている。

Claims (10)

  1. ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、分子量が150以上である非ハロゲン系難燃剤(D)およびイソシアネート(E)を含有する難燃性組成物。
  2. 前記非ハロゲン系難燃剤(D)の含有量は、難燃性組成物全量に対して5〜50質量%である請求項1に記載の難燃性組成物。
  3. ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)は、それぞれの含有量が難燃性組成物全量に対して、ポリブタジエンポリオール(A)は5〜50質量%、ポリエーテルポリオール(B)は5〜50質量%である請求項1または2に記載の難燃性組成物。
  4. ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)は、それぞれの含有量が難燃性組成物全量に対して、ポリブタジエンポリオール(A)は5〜50質量%、ポリエーテルポリオール(B)は5〜50質量%、ポリアミン(C)は0.1〜20質量%である(ただし、(A)〜(C)の合計は、50〜95質量%の範囲にある)請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性組成物。
  5. 組成物が顔料を含有し、かつ、顔料体積濃度(PVC)が15%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性組成物。
  6. 組成物が、主剤として、ポリブタジエンポリオール(A)、ポリエーテルポリオール(B)、ポリアミン(C)、非ハロゲン系難燃剤(D)を含み、硬化剤として、イソシアネート(E)を含む2液型である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性組成物。
  7. 23℃でB型粘度計を用いて測定する、前記難燃性組成物の主剤と硬化剤を混合開始してから5分後の組成物の粘度が4,000mPa・s以下である、請求項6に記載の難燃性組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性組成物から形成されてなる難燃性ポリウレタン系成形体。
  9. ケーブルまたは電線周囲のシーリング材である請求項8に記載の難燃性ポリウレタン系成形体。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性組成物を施工箇所に流し込んで成形する難燃性ポリウレタン系成形体の形成方法。
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