JP2019098862A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の運転者の運転主体感の向上を図ることができる車両制御装置を提供する。【解決手段】車両制御装置100は、車両の地図上の位置と地図情報とに基づいて、自動運転中において車両の運転者が操作をする操作タイミングを予測する操作予測部12と、運転者の操作を認識する操作認識部13と、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、運転者の操作が車両の挙動に反映されるまでの潜時を手動運転中における潜時よりも小さくする車両制御部16と、を備える。車両制御部16は、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまでの車両の挙動変動量と比べて、操作認識部13により運転者の操作が認識された後の挙動変動量を小さくする。【選択図】図1
Description
本発明は、車両制御装置に関する。
近年、自動制御されたシステムを操作者が操作する場合において、操作者の主体感の低下の抑制を図るための研究がなされている。自動制御されたシステムとして、例えば車両の自動運転を行う車両制御装置が挙げられる。
中島亮一、外4名、「自動制御オブジェクトに対する操作主体感の維持:目標指向行動とオブジェクト応答の影響」、Technical Report on Attention andCognition, (2017)、No.24
片岡俊樹、「平成27年度卒業論文、操作における入出力間の相互相関と遅延に着目した自己主体感に関する研究」、名古屋工業大学 工学部、2016年
片岡俊樹、外3名、「操作における行為効果間の相互相関と遅延に着目した自己主体感に関する研究」、第21回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集、2016年9月
車両の自動運転を行う車両制御装置において、例えば自動運転から手動運転への切り換えが行われた場合、運転者が手動運転を開始してしばらくの間は、運転者の車両の操作に対する運転主体感が低下している可能性があり、運転者が車両の走行状況に適切に対応できないおそれがある。
そこで、本発明の一態様は、車両の運転者の運転主体感の向上を図ることができる車両制御装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る車両制御装置は、車両の自動運転と手動運転とを切換え可能であり、自動運転中において車両の運転者の操作を車両の挙動に反映可能な車両制御装置であって、車両の地図上の位置と地図情報とに基づいて、自動運転中において車両の運転者が操作をする操作タイミングを予測する操作予測部と、運転者の操作を認識する操作認識部と、自動運転中において、操作予測部により操作タイミングが予測された場合に、運転者の操作が車両の挙動に反映されるまでの潜時を手動運転中における潜時よりも小さくする車両制御部と、を備え、車両制御部は、自動運転中において、操作予測部により操作タイミングが予測された場合に、操作認識部により運転者の操作が認識されるまでの車両の挙動変動量と比べて、操作認識部により運転者の操作が認識された後の挙動変動量を小さくする。
本発明の一態様に係る車両制御装置によれば、自動運転中において、操作予測部により操作タイミングが予測された場合に、車両制御部によって、運転者の操作が車両の挙動に反映されるまでの潜時が手動運転中における潜時よりも小さくされる。これにより、運転者の操作が短時間で車両の挙動に反映されるので、車両の運転者の運転主体感の向上が見込まれる。更に、自動運転中において、操作予測部により操作タイミングが予測された場合に、車両制御部によって、操作認識部により運転者の操作が認識されるまでの車両の挙動変動量と比べて、操作認識部により運転者の操作が認識された後の挙動変動量が小さくされる。これにより、自らの操作が車両に影響を与えたことを運転者が実感できるため、車両の運転者の運転主体感の向上が更に見込まれる。よって、車両制御装置によれば、車両の運転者の運転主体感の向上を図ることができる。
本発明の一態様に係る車両制御装置では、車両制御部は、自動運転中において、操作認識部により運転者の操作が認識されない無操作継続時間が継続時間閾値以上になった場合、無操作継続時間が継続時間閾値未満の場合と比べて、操作タイミングの予測から運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作タイミングの予測から運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差を大きくしてもよい。自動運転中において、操作認識部により運転者の操作が認識されない無操作継続時間が継続時間閾値以上になった場合、運転者の運転主体感が大きく低下していると考えられる。そこで、操作タイミングの予測から運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作タイミングの予測から運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差を大きくすることで、車両の運転者の運転主体感の向上を効果的に図ることができる。
本発明の一態様に係る車両制御装置は、自動運転中において、車両の周辺状況に基づいて運転者に手動運転への切換えを要求する要求度を算出する要求度算出部を更に備え、車両制御部は、要求度が要求度閾値以上になった場合、要求度が要求度閾値未満の場合と比べて、操作タイミングの予測から運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作タイミングの予測から運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差を大きくしてもよい。要求度が要求度閾値以上になった場合、運転者の運転主体感を向上させる必要性が高いと考えられる。そこで、操作タイミングの予測から運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作タイミングの予測から運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差を大きくすることで、要求度に応じて車両の運転者の運転主体感の向上を図ることができる。
本発明の一態様によれば、車両の運転者の運転主体感の向上を図ることができる車両制御装置を提供することができる。
以下、本発明の一態様の実施形態について図面を参照して説明する。
〈車両制御装置100の概要〉
図1は、実施形態に係る車両制御装置100を示すブロック図である。車両制御装置100は、例えば、乗用車等の車両に搭載されており、乗用車などの車両の自動運転を実行する。車両制御装置100は、車両の自動運転と手動運転とを切換え可能であり、自動運転中において車両の運転者の操作を車両の挙動に反映可能である。
図1は、実施形態に係る車両制御装置100を示すブロック図である。車両制御装置100は、例えば、乗用車等の車両に搭載されており、乗用車などの車両の自動運転を実行する。車両制御装置100は、車両の自動運転と手動運転とを切換え可能であり、自動運転中において車両の運転者の操作を車両の挙動に反映可能である。
自動運転とは、予め設定された目的地に向かって自動で車両を走行させる車両制御を実行する運転状態である。目的地は、運転者などの乗員が設定してもよく、車両制御装置100が自動で設定してもよい。自動運転では、運転者が操作を行う必要が無く、自動で車両が走行する。手動運転とは、例えば、運転者の操作を主体として車両を走行させる運転状態である。手動運転には、例えば、運転者の操作のみに基づいて車両を走行させる運転状態が含まれる。以下、車両制御装置100において自動運転の対象となる車両を、単に「車両」と呼ぶ。
〈車両制御装置100の構成〉
図1に示されるように、車両制御装置100は、システムを統括的に管理する主体感調整ECU[Electronic Control Unit]10を備えている。主体感調整ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、CAN[Controller Area Network]通信回路等を有する電子制御ユニットである。主体感調整ECU10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。主体感調整ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
図1に示されるように、車両制御装置100は、システムを統括的に管理する主体感調整ECU[Electronic Control Unit]10を備えている。主体感調整ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、CAN[Controller Area Network]通信回路等を有する電子制御ユニットである。主体感調整ECU10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。主体感調整ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
主体感調整ECU10は、GPS受信部1、外部センサ2、内部センサ3、地図データベース4、ドライバモニタカメラ5、シートセンサ6、操作部7、HMI[Human Machine Interface]21、挙動制御部22、シート動作部23、ステアリング反力部24、ペダル反力部25、及び自動運転ECU50と接続されている。
GPS受信部1は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、車両の地図上の位置(例えば車両の緯度及び経度)を測定する測定部である。GPS受信部1は、測定した車両の位置情報を主体感調整ECU10へ送信する。
外部センサ2は、車両の周辺の状況を検出する車載の検出機器である。外部センサ2は、カメラ及びレーダセンサのうち少なくとも一つを含む。
カメラは、車両の外部状況を撮像する撮像機器である。カメラは、車両のフロントガラスの裏側に設けられている。カメラは、車両の外部状況に関する撮像情報を主体感調整ECU10へ送信する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。ステレオカメラは、両眼視差を再現するように配置された二つの撮像部を有している。ステレオカメラの撮像情報には、奥行き方向の情報も含まれている。
レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して車両の周辺の障害物を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:LightDetection And Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を車両の周辺に送信し、障害物で反射された電波又は光を受信することで障害物を検出する。レーダセンサは、検出した障害物情報を主体感調整ECU10へ送信する。障害物には、ガードレール、建物等の固定障害物の他、歩行者、自転車、他車両等の移動障害物が含まれる。
内部センサ3は、車両の走行状態を検出する検出機器である。内部センサ3は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含む。車速センサは、車両の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、車両の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を主体感調整ECU10に送信する。
加速度センサは、車両の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両の横加速度を検出する横加速度センサとを含む。加速度センサは、例えば、車両の加速度情報を主体感調整ECU10に送信する。ヨーレートセンサは、車両の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した車両のヨーレート情報を主体感調整ECU10へ送信する。
内部センサ3は、車両の車体の振動(車室の揺動)を検出する車体振動センサを含む。車体振動センサは、運転席に着座した運転者の身体的な揺動に影響を与える車体の揺動を検出する。車体振動センサは、例えば車室における運転席付近に設けられている。振度センサは、検出した車体の揺動情報を主体感調整ECU10へ送信する。なお、内部センサ3は、必ずしも車体振動センサを含んでいなくてもよい。
地図データベース4は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース4は、例えば、車両に搭載されたHDD[Hard Disk Drive]内に形成されている。地図情報には、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率等)、交差点及び分岐点の位置情報、及び構造物の位置情報等が含まれる。なお、地図データベース4は、車両と通信可能なサーバに形成されていてもよい。
ドライバモニタカメラ5は、車両のステアリングコラムのカバー上で運転者の正面の位置に設けられ、運転者の撮像を行う。ドライバモニタカメラ5は、運転者を複数方向から撮像するため、複数個設けられていてもよい。ドライバモニタカメラ5は、運転者の撮像情報を主体感調整ECU10へ送信する。なお、ドライバモニタカメラ5は、必ずしも主体感調整ECU10と接続されていなくてもよい。
シートセンサ6は、運転席の座面部分に内蔵され、運転席に着座した乗員の重さを検出する機器である。シートセンサ6として、例えば圧電素子を用いることができる。シートセンサ6は、検出結果として運転者の重さに関する重さ情報を主体感調整ECU10に送信する。シートセンサ6は、運転席の座面に対する運転者の体重の分布を検出するように複数個設けられていてもよい。この場合には、重さ情報に運転者の重さの分布の情報も含まれる。なお、シートセンサ6は、必ずしも主体感調整ECU10と接続されていなくてもよい。
操作部7は、運転者の操作を検出する。操作部7は、例えば、アクセルペダルセンサ、ブレーキペダルセンサ、及び操舵センサを含む。アクセルペダルセンサは、運転者によるアクセルペダルの踏込み量を検出する。ブレーキペダルセンサは、運転者によるブレーキペダルの踏込み量を検出する。操舵センサは、運転者によるステアリングホイールの操舵速度、操舵角、及び操舵トルクのうち少なくとも一つを検出する。操舵センサは、ステアリングホイールに設けられたタッチセンサを含んでもよい。タッチセンサは、ステアリングホイールを握る運転者の手の把持力を検出する。操作部7は、運転者のシフト操作を検出するシフトセンサを含んでいてもよい。操作部7は、運転者による方向指示器レバーの操作を検出する方向指示器センサを含んでいてもよい。操作部7は、検出した運転者の操作情報を主体感調整ECU10へ送信する。
操作部7は、ステアリングホイールに設けられた自動運転開始のスイッチ及び自動運転キャンセルのスイッチを含む。運転者の操作は、自動運転開始の操作及び自動運転解除の操作を含む。自動運転開始の操作とは、例えば、ステアリングホイールに設けられた自動運転開始のスイッチを押す操作である。自動運転解除の操作とは、例えば、ステアリングホイールに設けられた自動運転キャンセルのスイッチを押す操作である。また、車両制御装置100は、自動運転中に運転者が急なブレーキ操作を行なった場合等、予め設定された自動運転の許容操作量を超える操作量の操作が行なわれた場合に、自動運転を解除してもよい。
HMI21は、車両制御装置100と乗員(運転者を含む)との間で情報の入出力を行うためのインターフェイスである。HMI21は、例えば、ディスプレイやスピーカ等を備えている。HMI21は、主体感調整ECU10からの制御信号に応じて、ディスプレイの画像出力及びスピーカからの音声出力を行う。ディスプレイは、ヘッドアップディスプレイであってもよい。HMI21は、例えば、乗員からの入力を受け付けるための入力機器(ボタン、タッチパネル、音声入力器等)を備えている。
HMI21は、音発生部、光発生部、及び振動発生部の少なくとも何れかの機能を含む。音発生部は、音声及びブザー音の少なくとも何れか等の音を、運転者の操作に対する聴覚的なフィードバック刺激として運転者に付与する。音発生部は、例えばHMI21のスピーカにより構成される。光発生部は、運転者の操作に対する視覚的なフィードバック刺激として、光を運転者に付与する。光発生部は、例えばHMI21のディスプレイにより構成される。振動発生部は、運転者の操作に対する触覚的なフィードバック刺激として振動を運転者に付与する。振動発生部は、例えば運転席及びステアリングホイールの少なくとも何れかに内蔵された振動モータにより構成される。
挙動制御部22は、主体感調整ECU10からの制御信号に基づいて、車両の挙動を制御するために用いられる機器である。挙動制御部22は、スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータのうちのを少なくとも一つを含む。挙動制御部22は、制御サスペンションを含む。
スロットルアクチュエータは、主体感調整ECU10からの加速制御指令値に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、車両の駆動力を制御する。なお、車両がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに主体感調整ECU10からの加速制御指令値が入力されて当該駆動力が制御される。車両が電気自動車である場合には、スロットルアクチュエータの代わりに動力源としてのモータに主体感調整ECU10からの加速制御指令値が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、挙動制御部22を構成する。ブレーキアクチュエータは、主体感調整ECU10からの減速制御指令値に応じてブレーキシステムを制御し、車両の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、主体感調整ECU10からの操舵制御指令値に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、車両の操舵トルクを制御する。スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータは、車両のヨーレート、ロールレート、及びピッチレート等を変化させるために用いられてもよい。
制御サスペンションは、自動運転中における車両の挙動を制御することで、例えば乗心地を制御する。制御サスペンションの構成は、周知のものを用いることができる。制御サスペンションは、主体感調整ECU10からの制御信号に基づいて、周知の手法により車両のヨーレート、ロールレート、及びピッチレート等を変化させる。
シート動作部23は、主体感調整ECU10からの制御信号に基づいて、運転者に対して身体的揺動を付与する機器である。シート動作部23は、例えば運転席に内蔵された振動モータにより構成される。シート動作部23は、例えば運転席の座面、背もたれ及びランバーサポートを調整するために内蔵されたパワーシート用のモータにより構成されてもよい。シート動作部23は、主体感調整ECU10からの制御信号に基づいて、振動を運転者に付与することで、運転者の身体的揺動の振動周波数を車両の揺動の振動周波数に近付ける。これにより、運転者と車両との身体的同期が図られる。
ステアリング反力部24は、主体感調整ECU10からの制御信号に基づいて、運転者の操作に応じて車両のステアリングホイールに操舵反力(操舵反力トルク)を付与する。ステアリング反力部24は、例えばステアリングホイールの軸に設けられた操舵反力用モータである。ステアリング反力部24は、操舵反力用モータの駆動を、主体感調整ECU10からの制御信号に応じて制御する。
ペダル反力部25は、主体感調整ECU10からの制御信号に基づいて、運転者の操作に応じて車両のアクセルペダル及びブレーキペダルに操作反力(踏込みに対する反力)を付与する。ペダル反力部25は、例えばアクセルペダル及びブレーキペダルに設けられたペダル反力用モータである。ペダル反力部25は、各ペダルのペダル反力用モータの駆動を、主体感調整ECU10からの制御信号に応じて制御する。
自動運転ECU50は、車両に搭載され、車両の自動運転を実行するための電子制御ユニットである。自動運転ECU50は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。自動運転ECU50の機能の一部は、車両と通信可能なサーバで実行されてもよい。
自動運転ECU50は、GPS受信部1の測定した車両の位置情報、地図データベース4の地図情報、外部センサ2の検出結果から認識された車両の周辺環境(他車両の位置等)、及び内部センサ3の検出結果から認識された車両状態(車速、ヨーレート等)に基づいて、予め設定された目標ルートに沿った走行計画を生成する。目標ルートは、車両の乗員又は周知のナビゲーションシステムにより設定される。ナビゲーションシステムは、自動運転ECU50と一体であってもよい。
なお、ここで言う目標ルートには、特許5382218号公報(WO2011/158347号公報)に記載された「運転支援装置」、又は、特開2011−162132号公報に記載された「自動運転装置」における道なり走行ルートのように、目的地の設定が乗員から明示的に行われていない際に、過去の目的地の履歴や地図情報に基づき自動的に生成される目標ルートも含まれる。
走行計画には、速度計画と操舵計画が含まれる。速度計画には、自動運転により車両が走行する経路上の位置に応じた目標車速及び目標加減速度が含まれている。操舵計画には、自動運転により車両が走行する経路上の位置に応じた目標操舵角が含まれている。経路上の位置とは、地図上で経路(すなわち自動運転制御の目標ルート)の延在方向における位置である。なお、目標操舵角に代えて目標操舵トルク又は目標横位置(車両の目標となる道路の幅方向における位置)を用いてもよい。操舵計画として、目標軌跡が設定されていてもよい。
自動運転ECU50は、走行計画に沿って自動運転を実行する。自動運転ECU50は、車両のアクチュエータ(スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、操舵アクチュエータ等)に制御信号を送信することで自動運転を実行する。自動運転ECU50は、周知の手法により走行計画の生成及び自動運転の実行を行うことができる。
次に、主体感調整ECU10の機能的構成について説明する。主体感調整ECU10は、周辺状況認識部11、操作予測部12、操作認識部13、運転者状態推定部14、要求度算出部15、及び車両制御部16を有している。なお、以下に説明する主体感調整ECU10の機能の一部は、車両と通信可能なサーバにおいて実行される態様であってもよい。
周辺状況認識部11は、外部センサ2の検出結果に基づいて、車両の周辺状況を認識する。より詳しくは、周辺状況認識部11は、外部センサ2の検出結果に基づいて、車両の周辺の交通環境の状況を認識する。交通環境の状況には、車両に対する障害物の位置、車両に対する障害物の相対速度、車両に対する障害物の移動方向などが含まれる。周辺状況認識部11は、カメラの撮像画像、レーダセンサの検出結果などに基づいて、周知の手法により、車両の周辺の交通環境の状況を認識する。周辺状況認識部11は、車両の走行する走行車線等の白線認識等も行う。
操作予測部12は、GPS受信部1の測定した車両の地図上の位置情報及び地図データベース4の地図情報に基づいて、自動運転中において車両の運転者が操作をする操作タイミングを予測する。運転者の操作は、運転者が操作部7に対して行う操作である。運転者の操作は、例えば、自動運転と手動運転とを切換える操作、自動運転中に自動でレーンチェンジ、追い越し、右左折等を行うための操作を含む。一例として、操作予測部12は、自動運転の終了地点となる自動車専用道路の出口から一定距離手前になると、当該終了地点から運転者がする操作の操作タイミングを予測する。操作予測部12は、ドライバモニタカメラ5の撮像情報を用いて、運転者の体勢、顔の向き、手の位置等に基づいて、レーンチェンジ、追い越し、右左折等の操作タイミングを予測してもよい。操作タイミングは、現時点よりも未来において操作部7に対する運転者の操作が行われると予測されるタイミングである。
操作予測部12は、自動運転ECU50の算出した走行計画に基づいて、操作タイミングを予測してもよい。この場合、操作予測部12は、運転者の操作を要求する操作要求を運転者に通知してもよい。操作要求としては、例えば、車両の運転者へのテイクオーバーの操作要求、及び、車両の運転者へのコマンド入力の操作要求等が挙げられる。
テイクオーバーの操作要求は、例えば、自動運転中の車両が予め設定された切換地点に近付いていると判定された場合に、手動運転へ切換える旨の運転者の判断に基づく操作を運転者に要求する運転交代操作の要求を含む。切換地点とは、車両の運転状態を自動運転から手動運転に切換える目標ルート上の地点である。切換地点は、自動運転ECU50による自動運転を終了させる地点である。切換地点としては、例えば、高速道路の出口地点、悪天候による交通規制の開始地点、事故による交通規制の開始地点が挙げられる。
コマンド入力の操作要求は、例えば、先行車の停止又は車両の前方の赤信号によって自動運転中の車両が停止した後に車両を再発進させて自動運転を継続する場合に、車両を再発進させてもよい旨の運転者の判断に基づく操作を運転者に要求する自動運転継続操作の要求を含む。コマンド入力の操作要求は、車両の前方の赤信号によって自動運転中の車両を停止させようと車両を減速させる停止モードが行われている場合に、停止モードを解除して自動運転を継続させてもよい旨の運転者の判断に基づく操作を運転者に要求する自動運転継続操作の要求を含む。
操作認識部13は、操作部7で検出した操作情報に基づいて、運転者の操作を認識する。操作認識部13は、操作予測部12で予測された操作タイミング以前に操作部7に対して行われた運転者の操作を認識してもよいし、操作予測部12で予測された操作タイミングよりも後に操作部7に対して行われた運転者の操作を認識してもよい。操作認識部13は、自動運転中において認識した運転者の操作の履歴を記憶する記憶部を含む。
運転者状態推定部14は、運転者の状態を推定する。運転者の状態とは、運転者に関する情報である。ここでの運転者の状態は、運転者の運転主体感を適切に付与するための付加的な判断材料として用いられる。運転者の状態は、例えば、自動運転に対する運転者の熟練度、自動運転中に運転者が継続的に操作を行っていない状態、及び、運転者の覚醒度のうち少なくとも一つを含む。なお、運転者の状態は、車両制御部16が運転者の運転主体感の向上を図る際に必ずしも用いられなくてもよい。
運転者状態推定部14は、ドライバモニタカメラ5の撮像情報に基づいて運転者を特定し、特定した運転者の自動運転に対する熟練度を推定する。運転者の特定には、周知の手法を用いることができる。運転者状態推定部14は、特定した運転者が当該車両の自動運転を経験した累積の時間及び累積の距離の少なくとも一方に基づいて、当該運転者の自動運転に対する熟練度を推定する。累積の時間及び累積の距離は、例えば、自動運転の開始から自動運転の解除までの経過時間及び走行距離である。累積の時間及び累積の距離は、例えば、運転者が操作部7に対して自動運転開始の操作をしたときから自動運転解除の操作をするまでの経過時間及び走行距離であってもよい。運転者状態推定部14は、例えば、累積の時間が所定の時間閾値以上である場合、当該運転者は自動運転に対して熟練している(熟練度が高い)と推定してもよい。運転者状態推定部14は、例えば、累積の距離が所定の距離閾値以上である場合、当該運転者は自動運転に対して熟練していると推定してもよい。
運転者状態推定部14は、操作認識部13に記憶された操作の履歴に基づいて、当該運転者の自動運転に対する熟練度を推定してもよい。運転者状態推定部14は、例えば、テイクオーバー及びコマンド入力の操作要求の回数に対して運転者が一定以上の回数割合で操作要求に応じたとの操作の履歴が記憶されている場合、当該運転者は自動運転に対して熟練していると推定してもよい。
運転者状態推定部14は、自動運転中において、操作認識部13により運転者の操作が認識されない無操作継続時間が継続時間閾値以上になった場合、運転者が自動運転中に継続的に操作を行っていない状態であると推定する。継続時間閾値は、運転者が自動運転中に継続的に操作を行っていない状態であると判定するための所定の閾値である。運転者状態推定部14は、更にドライバモニタカメラ5の撮像情報に基づいて、運転者が自動運転中に継続的に操作を行っていない状態を推定してもよい。運転者状態推定部14は、例えば、ドライバモニタカメラ5の撮像情報を用いて、運転者の体勢及び顔の向き等を認識する。運転者状態推定部14は、上記無操作継続時間、運転者の体勢、及び顔の向きに基づいて、自動運転中に運転者が継続的に操作を行っていない状態を推定する。
運転者状態推定部14は、ドライバモニタカメラ5の撮像情報に基づいて、運転者の覚醒度を推定する。覚醒度の推定には、周知の手法を用いることができる。例えば、運転者状態推定部14は、運転者の体勢、顔の向き、運転者の表情、眼球運動、閉眼時間及び瞳孔径変化等に基づいて、運転者の覚醒度を推定する。
要求度算出部15は、自動運転中において、車両の周辺状況に基づいて運転者に手動運転への切換え(テイクオーバー)を要求する要求度を算出する。要求度とは、運転交代の必要性に関する指標である。ここでの要求度は、運転者の運転主体感を適切に付与するための付加的な判断材料として用いられる。なお、要求度は、車両制御部16が運転者の運転主体感の向上を図る際に必ずしも用いられなくてもよい。
要求度算出部15は、GPS受信部1の測定した車両の地図上の位置情報、地図データベース4の地図情報、及び周辺状況認識部11の認識結果に基づいて、要求度を算出する。要求度算出部15は、周辺状況認識部11で認識した周辺状況が、分流及び合流、並びに大型の交差点などの自律的な自動運転が難しくなる交通環境である場合、要求度を増加させる。大型の交差点とは、例えば自動運転ECU50が認識可能な区画線が減少することで車両の自己位置推定の精度が低下する結果として自律的な自動運転が難しくなるような交差点を意味する。要求度算出部15は、周辺状況認識部11で認識した周辺状況が、車両の周辺の交通量が多い交通環境である場合、要求度を増加させる。要求度算出部15は、周辺状況認識部11で認識した周辺状況が、車両と障害物との間に遮蔽物が存在する交通環境である場合、要求度を増加させる。遮蔽物は、例えば建物等の構造物及び他車両等の移動体等が例示される。要求度算出部15は、外部センサ2が故障中である等、周辺状況認識部11の認識結果が使用できない場合、要求度を増加させてもよい。
車両制御部16は、自動運転ECU50を制御する。車両制御部16は、運転者が自動運転開始の操作を行なった場合に、自動運転ECU50に自動運転を開始させる。車両制御部16は、例えば、運転者が自動運転解除の操作を行なった場合に、自動運転ECU50に自動運転を解除させる。車両制御部16は、自動運転中に運転者が急なブレーキ操作を行なった場合等、予め設定された自動運転の許容操作量を超える操作量の操作が行なわれた場合に、自動運転ECU50に自動運転を解除させてもよい。
車両制御部16は、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、運転者の運転主体感の向上を図る主体感制御を実行する。主体感制御は、運転者の運転主体感を適切に向上させるための制御である。車両制御部16は、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまで、主体感制御を実行する。主体感制御としては、以下のとおり、複数の制御態様が採用され得る。
車両制御部16は、第1の主体感制御として、潜時を調整する。潜時とは、運転者の操作を車両の挙動に反映させるまでのディレイ時間である。車両制御部16は、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、潜時を第1潜時に設定する。第1潜時は、手動運転中における潜時である第2潜時よりも小さい潜時である。これにより、運転者の運転主体感が向上される。第1潜時は、例えば200ms以下であってもよい。この場合、運転主体感が特に向上される。なお、第2潜時は、操作予測部12により操作タイミングが予測されていない場合の潜時であってもよい。
車両制御部16は、第2の主体感制御として、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまでの車両の挙動変動量と比べて、操作認識部13により運転者の操作が認識された後の挙動変動量を小さくする(以下、「挙動変動量の調整」ともいう)。
車両制御部16は、一例として、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまでの車両の挙動変動量を、標準の挙動変動量(例えば手動運転中の挙動変動量、操作予測部12により操作タイミングが予測されていない場合の挙動変動量等)よりも大きな挙動変動量とする。車両制御部16は、操作認識部13により運転者の操作が認識された後の車両の挙動変動量を、標準の挙動変動量と同等とする。
挙動変動量は、車両の挙動の変動量である。挙動の変動量は、例えば、目標となる車両の挙動(目標挙動)に対しての車両の挙動の変動(ズレ)の量に相当する。挙動変動量には、車両の乗心地の変動量が含まれる。この場合、目標挙動は、例えば、予め設定される車両の乗心地を実現するための挙動である。
具体的には、目標挙動は、車両の目標ヨーレート、目標ロールレート、及び目標ピッチレートである。挙動変動量は、例えば、目標ヨーレートに対する実際のヨーレートの偏差、目標ロールレートに対する実際のロールレートの偏差、及び、目標ピッチレートに対する実際のピッチレートの偏差である。車両制御部16は、例えば、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作認識部13により運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差が大きくなるように挙動制御部22の制御サスペンションを制御することで、運転者の運転主体感を向上させる。なお、車両制御部16は、運転者の運転主体感が向上しすぎた場合には、例えば、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作認識部13により運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差が小さくなるように挙動制御部22の制御サスペンションを制御することで、運転者の運転主体感を抑制してもよい。
車両制御部16は、第1及び第2の主体感制御に加えて、以下の第3〜第7の主体感制御を実行することができる。以下の各主体感制御では、車両制御部16は、手動運転中の運転主体感、又は、操作予測部12により操作タイミングが予測されていない場合の運転主体感を下回らない範囲で、向上させた運転主体感を抑制することで、適切な運転主体感になるように調整してもよい。
車両制御部16は、第3の主体感制御として、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、内部センサ3(車体振動センサ)で検出した車体の揺動情報及びシートセンサ6で取得した重さ情報に基づいて、シート動作部23を制御する。車両制御部16は、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合、運転者と車体との身体的同期を図るようにシート動作部23を制御する(以下、「身体的同期の調整」ともいう)。身体的同期とは、運転者の身体が車体に対して略同位相で揺動することを意味する。車両制御部16は、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合、運転者の身体的揺動の振動周波数を車両の揺動の振動周波数に合致させるようにシート動作部23を制御する。運転者の身体的揺動の振動周波数と車両の揺動の振動周波数とが合致することで、運転者と車両との身体的同期が図られ、運転者の運転主体感が向上される。
車両制御部16は、第4の主体感制御として、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、操作部7を制御する。車両制御部16は、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合、操作部7の判定値を緩和するように操作部7を制御する(以下、「操作部の判定値の調整」ともいう)。判定値は、操作部7が運転者の操作を制御上受け付けるか否かの判定のための閾値である。判定値の緩和とは、運転者の操作を制御上受け付け易くするように判定値を変更することを意味する。操作部7の判定値は、例えば、運転者によるアクセルペダルの踏込み量の判定値、運転者によるブレーキペダルの踏込み量の判定値、運転者によるステアリングホイールの操舵速度、操舵角、及び操舵トルクのうち少なくとも一つの判定値であってもよい。操作部7の判定値を緩和することで、運転者の運転主体感が向上される。
車両制御部16は、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、ステアリング反力部24及びペダル反力部25の少なくとも一方を制御する(以下、「反力の調整」ともいう)。車両制御部16は、第5の主体感制御として、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、ステアリング反力部24を制御する。車両制御部16は、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合、車両のステアリングホイールに付与する操舵反力を軽減する。操舵反力を軽減することで、運転者の運転主体感が向上される。
車両制御部16は、第6の主体感制御として、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、ペダル反力部25を制御する。車両制御部16は、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合、アクセルペダル及びブレーキペダルの操作反力を軽減する。操作反力を軽減することで、運転者の運転主体感が向上される。
車両制御部16は、第7の主体感制御として、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合、操作認識部13により運転者の操作が認識されたときに、運転者にフィードバック刺激の付与を行う。車両制御部16は、例えば、視覚的なフィードバック刺激を運転者に付与するように、HMI21の光発生部を制御してもよい。車両制御部16は、聴覚的なフィードバック刺激を運転者に付与するように、HMI21の音発生部を制御してもよい。車両制御部16は、触覚的なフィードバック刺激を運転者に付与するように、HMI21の振動発生部を制御してもよい。車両制御部16は、触覚的なフィードバック刺激を運転者に付与するように、シート動作部23を制御してもよい。
車両制御部16は、上記各主体感制御を実行する際、運転者状態推定部14の推定結果及び要求度算出部15の算出結果に基づいて、運転主体感を更に調整することができる。この場合、車両制御部16は、手動運転中の運転主体感、又は、操作予測部12により操作タイミングが予測されていない場合の運転主体感を下回らない範囲で、向上させた運転主体感を抑制することで、適切な運転主体感になるように調整してもよい。
車両制御部16は、運転者状態推定部14で運転者が自動運転に対して熟練していると推定される場合、運転主体感を向上させるように上記各主体感制御を実行する。車両制御部16は、運転者状態推定部14で運転者が自動運転に対して熟練していないと推定される場合、運転主体感を抑制するように上記各主体感制御を実行する。
車両制御部16は、自動運転中において、運転者状態推定部14により運転者が自動運転中に継続的に操作を行っていない状態であると推定された場合(例えば操作認識部13により運転者の操作が認識されない無操作継続時間が継続時間閾値以上になった場合)、無操作継続時間が継続時間閾値未満の場合と比べて、操作タイミングの予測から運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作タイミングの予測から運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差を大きくする。
車両制御部16は、運転者状態推定部14で運転者の覚醒度が低下していると推定される場合、運転主体感を向上させるように上記各主体感制御を実行する。
車両制御部16は、要求度算出部15で算出した要求度が要求度閾値以上になった場合、要求度が要求度閾値未満の場合と比べて、操作タイミングの予測から運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作タイミングの予測から運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差を大きくする。
〈車両制御装置100による演算処理の一例〉
次に、車両制御装置100による演算処理の一例について説明する。図2は、車両制御装置の処理を示すフローチャートである。図3は、図2の主体感制御の処理を示すフローチャートである。図2及び図3に示されるフローチャートの処理は、例えば車両の自動運転の制御中に実行される。
次に、車両制御装置100による演算処理の一例について説明する。図2は、車両制御装置の処理を示すフローチャートである。図3は、図2の主体感制御の処理を示すフローチャートである。図2及び図3に示されるフローチャートの処理は、例えば車両の自動運転の制御中に実行される。
図3に示されるように、車両制御装置100の主体感調整ECU10は、S1において、操作予測部12により運転者の操作が行われる操作タイミングの予測を行う。操作予測部12は、GPS受信部1の測定した車両の地図上の位置情報及び地図データベース4の地図情報に基づいて、自動運転中の車両が地図上の切換地点に近付いた場合に操作タイミングを予測する。
S2において、主体感調整ECU10は、操作予測部12で操作タイミングが予測されたか否かを判定する。S2において、操作タイミングが予測されていないと主体感調整ECU10が判定した場合、S1に戻り、操作予測部12による操作タイミングの予測が繰り返される。S2において、操作タイミングが予測されたと主体感調整ECU10が判定した場合、S3において、主体感調整ECU10は、車両制御部16により主体感制御を実行する。具体的な一例として、主体感調整ECU10は、図3に示される各処理を実行する。
図3に示されるように、S11において、主体感調整ECU10は、周辺状況認識部11により車両の周辺状況の認識を行う。周辺状況認識部11は、外部センサ2の検出結果に基づいて、車両の周辺の交通環境の状況を認識する。S12において、主体感調整ECU10は、運転者状態推定部14により運転者の状態の推定を行う。運転者状態推定部14は、操作認識部13により運転者の操作が認識されない無操作継続時間が継続時間閾値以上になった場合、運転者が自動運転中に継続的に操作を行っていない状態であると推定する。S13において、主体感調整ECU10は、要求度算出部15により要求度の算出を行う。要求度算出部15は、GPS受信部1の測定した車両の地図上の位置情報、地図データベース4の地図情報、及び周辺状況認識部11の認識結果に基づいて、要求度を算出する。
続いて、S14において、主体感調整ECU10は、車両制御部16により潜時の設定を行う。S14では、車両制御部16は、潜時として第1潜時を設定する。
S15において、主体感調整ECU10は、車両制御部16により車両の挙動変動量の調整を行う。車両制御部16は、車両の挙動(ピッチレート、ヨーレート、ロールレート)の挙動変動量を増大させるように挙動制御部22の制御サスペンションを制御する。車両制御部16は、操作予測部12により操作タイミングが予測されていない場合の挙動変動量よりも大きな挙動変動量となるように、挙動変動量を増大させる。
S16において、主体感調整ECU10は、車両制御部16により車両と運転者との身体的同期の調整を行う。車両制御部16は、内部センサ3(車体振動センサ)で検出した車体の揺動情報及びシートセンサ6で取得した重さ情報に基づいて、運転者の身体的揺動の振動周波数を車両の揺動の振動周波数に合致させるように、シート動作部23を制御する。
S17において、主体感調整ECU10は、車両制御部16によりステアリング反力、アクセルペダル反力、及びブレーキペダル反力を調整するようにステアリング反力部24及びペダル反力部25の制御を行う。S17では、車両制御部16は、ステアリング反力、アクセルペダル反力、及びブレーキペダル反力を軽減させるようにステアリング反力部24及びペダル反力部25を制御する。
S18において、主体感調整ECU10は、車両制御部16により操作部7の判定値の調整を行う。車両制御部16は、操作部7として、例えば、運転者によるアクセルペダルの踏込み量の判定値、運転者によるブレーキペダルの踏込み量の判定値、運転者によるステアリングホイールの操舵速度、操舵角、及び操舵トルクのうち少なくとも一つの判定値を調整することで、運転者の運転主体感を向上させる。
なお、S14〜S18においては、車両制御部16は、S12での運転者状態推定部14の推定結果、及びS13での要求度算出部15の算出結果に基づいて、運転主体感を更に調整することができる。例えば、S15において、車両制御部16は、運転者状態推定部14により運転者が自動運転中に継続的に操作を行っていない状態であると推定された場合(例えば操作認識部13により運転者の操作が認識されない無操作継続時間が継続時間閾値以上になった場合)、無操作継続時間が継続時間閾値未満の場合にS15で増大させる挙動変動量と比べて、挙動変動量を更に増大させる。また、S15において、車両制御部16は、要求度算出部15により算出した要求度が要求度閾値以上になった場合、要求度が要求度閾値未満の場合にS15で増大させる挙動変動量と比べて、挙動変動量を更に増大させる。
S19において、主体感調整ECU10は、操作認識部13で運転者の操作が認識されたか否かを判定する。S19において、運転者の操作が認識されていないと主体感調整ECU10が判定した場合、S11に戻り、車両制御部16による主体感制御の実行が繰り返される。つまり、操作認識部13で運転者の操作が認識されるまで、車両制御部16は、主体感制御を継続して実行する。なお、車両制御部16は、自動運転中に運転者が急なブレーキ操作を行なった場合等、予め設定された自動運転の許容操作量を超える操作量の操作が行なわれた場合に、自動運転ECU50に自動運転を解除させると共に主体感制御を終了させてもよい。
S19において、運転者の操作が認識されたと主体感調整ECU10が判定した場合、S20において、主体感調整ECU10は、調整を終了する。例えば、S20において、主体感調整ECU10は、S15において車両制御部16がした調整により増大された挙動変動量を、手動運転中の挙動変動量、又は、図2のS2において操作予測部12により操作タイミングが予測されていない場合の挙動変動量に戻す。これにより、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまでの車両の挙動変動量と比べて、操作認識部13により運転者の操作が認識された後の挙動変動量が小さくなる。S20の処理の後、主体感調整ECU10は、図2のS4の処理を実行する。
図2に示されるように、S4において、主体感調整ECU10は、車両制御部16によりフィードバック刺激の付与を行う。車両制御部16は、例えば、視覚的なフィードバック刺激を運転者に付与するように、HMI21の光発生部を制御する。車両制御部16は、聴覚的なフィードバック刺激を運転者に付与するように、HMI21の音発生部を制御してもよい。車両制御部16は、触覚的なフィードバック刺激を運転者に付与するように、HMI21の振動発生部を制御してもよい。車両制御部16は、触覚的なフィードバック刺激を運転者に付与するように、シート動作部23を制御してもよい。
〈車両制御装置100の作用効果〉
以上説明した車両制御装置100によれば、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、車両制御部16によって、運転者の操作が車両の挙動に反映されるまでの潜時が手動運転中における第2潜時よりも小さい第1潜時とされる。これにより、運転者の操作が短時間で車両の挙動に反映されるので、車両の運転者の運転主体感の向上が見込まれる。更に、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、車両制御部16によって、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまでの車両の挙動変動量と比べて、操作認識部13により運転者の操作が認識された後の挙動変動量が小さくされる。これにより、自らの操作が車両に影響を与えたことを運転者が実感できるため、車両の運転者の運転主体感の向上が更に見込まれる。よって、車両制御装置100によれば、車両の運転者の運転主体感の向上を図ることができる。
以上説明した車両制御装置100によれば、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、車両制御部16によって、運転者の操作が車両の挙動に反映されるまでの潜時が手動運転中における第2潜時よりも小さい第1潜時とされる。これにより、運転者の操作が短時間で車両の挙動に反映されるので、車両の運転者の運転主体感の向上が見込まれる。更に、自動運転中において、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、車両制御部16によって、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまでの車両の挙動変動量と比べて、操作認識部13により運転者の操作が認識された後の挙動変動量が小さくされる。これにより、自らの操作が車両に影響を与えたことを運転者が実感できるため、車両の運転者の運転主体感の向上が更に見込まれる。よって、車両制御装置100によれば、車両の運転者の運転主体感の向上を図ることができる。
車両制御装置100では、車両制御部16は、自動運転中において、操作認識部13により運転者の操作が認識されない無操作継続時間が継続時間閾値以上になった場合、無操作継続時間が継続時間閾値未満の場合と比べて、操作タイミングの予測から運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作タイミングの予測から運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差を大きくする。自動運転中において、操作認識部13により運転者の操作が認識されない無操作継続時間が継続時間閾値以上になった場合、運転者の運転主体感が大きく低下していると考えられる。そこで、操作タイミングの予測から運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作タイミングの予測から運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差を大きくすることで、車両の運転者の運転主体感の向上を効果的に図ることができる。
車両制御装置100は、自動運転中において、車両の周辺状況に基づいて運転者に手動運転への切換えを要求する要求度を算出する要求度算出部15を更に備えている。車両制御部16は、要求度が要求度閾値以上になった場合、要求度が要求度閾値未満の場合と比べて、操作タイミングの予測から運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作タイミングの予測から運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差を大きくする。要求度が要求度閾値以上になった場合、運転者の運転主体感を向上させる必要性が高いと考えられる。そこで、操作タイミングの予測から運転者の操作が認識されるまでの挙動変動量と操作タイミングの予測から運転者の操作が認識された後の挙動変動量との差を大きくすることで、要求度に応じて車両の運転者の運転主体感の向上を図ることができる。
〈車両制御装置100の変形例〉
以上、本発明の一態様の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
以上、本発明の一態様の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
上記実施形態では、図3に示されるS11〜S18の処理を含む主体感制御を車両制御部16が実行する例を説明したが、車両制御部16は、主体感制御として、少なくとも第1及び第2の主体感制御(図3のS14及びS15の処理)を実行すればよい。車両制御部16は、必ずしも、第3〜第7の主体感制御を実行しなくてもよい。車両制御部16は、これらの処理の一部を実行してもよいし、これらの処理の全てを省略してもよい。
車両制御部16は、上記各主体感制御を実行する際、必ずしも、運転者状態推定部14の推定結果に基づいて、運転主体感を更に調整しなくてもよい。車両制御部16は、上記各主体感制御を実行する際、必ずしも、要求度算出部15の算出結果に基づいて、運転主体感を更に調整しなくてもよい。
車両制御装置100は、必ずしも車両に搭載されていなくてもよい。車両制御装置100は、情報管理センター等のサーバ内に設けられていてもよい。この場合、車両制御装置100は、例えば、車両からの各種情報(GPS受信部1の測定した車両の地図上の位置情報、ドライバモニタカメラ5及びシートセンサ6の検出結果等)を受け取ることで、車両の運転者の運転主体感を調整することができる。
上記実施形態では、自動運転として、予め設定された目的地に向かって自動で車両を走行させる車両制御を実行する運転状態を例示したが、自動運転は、これに限定されない。自動運転では、必ずしも車両の全ての制御が自動で行われる必要はない。自動運転には、予め設定された許容範囲において、運転者の操作を車両の走行に反映する車両制御も含まれる。この場合、車両制御装置100は、当該車両制御の機能を有するECUを備えていてもよい。
自動運転は、例えば、自動操舵(例えばLKA[Lane Keeping Assist])であってもよい。LKAとは、走行車線から逸脱しないように自動で車両の操舵を行う制御である。なお、自動操舵は、LKAに限られない。自動運転は、自動速度調整(例えばACC[Adaptive Cruise Control])であってもよい。自動速度調整は、車両の速度を自動で制御する運転状態である。ACCとは、例えば、車両の前方に先行車が存在しない場合は予め設定された設定速度で車両を定速走行させる定速制御を行い、車両の前方に先行車が存在する場合には先行車との車間距離に応じて車両の車速を調整する追従制御を行う制御である。なお、自動速度調整は、ACCに限られず、CC[Cruise Control:定速制御]等も含まれる。
上記実施形態では、車両制御部16は、車両の挙動変動量の調整として、挙動制御部22の制御サスペンションを制御したが、挙動変動量の調整は、これに限定されない。挙動変動量には、「車体のふらつき」の大きさが含まれてもよい。車体のふらつきとは、車両の自動運転制御において制御のばらつき度合いに応じて生じる車体の挙動の変動に相当する。
この場合、車両制御部16は、例えば、自動運転ECU50で生成された走行計画に基づく目標軌跡、目標操舵角、目標操舵トルク、又は目標横位置等を、車体ふらつき基準(目標挙動)として車両の挙動変動量を調整してもよい。ここでの挙動変動量は、例えば、目標操舵角に対する実際の操舵角の偏差、目標軌跡に対する実際の車両の軌跡のズレ(目標挙動に対する車体のふらつき)、又は、許容できる実際のヨーレートの分散(例えば平面視で時計回りを正とした場合のヨーレートの最大値と最小値との差)等とすることができる。車両制御部16は、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまでの車両の挙動変動量と比べて、操作認識部13により運転者の操作が認識された後の挙動変動量を小さくする。車両制御部16は、一例として、操作予測部12により操作タイミングが予測された場合に、操作認識部13により運転者の操作が認識されるまで、車体ふらつき基準に対しての挙動変動量を大きくするように(制御をばらつかせるように)、挙動制御部22のスロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータのうちのを少なくとも一つを制御してもよい。この場合においても、自らの操作が車両に影響を与えたことを運転者が実感できるため、車両の運転者の運転主体感の向上を図ることができる。
10…主体感調整ECU、11…周辺状況認識部、12…操作予測部、13…操作認識部、14…運転者状態推定部、15…要求度算出部、16…車両制御部、100…車両制御装置。
Claims (3)
- 車両の自動運転と手動運転とを切換え可能であり、前記自動運転中において前記車両の運転者の操作を前記車両の挙動に反映可能な車両制御装置であって、
前記車両の地図上の位置と地図情報とに基づいて、前記自動運転中において前記車両の運転者が前記操作をする操作タイミングを予測する操作予測部と、
前記運転者の前記操作を認識する操作認識部と、
前記自動運転中において、前記操作予測部により前記操作タイミングが予測された場合に、前記運転者の前記操作が前記車両の挙動に反映されるまでの潜時を前記手動運転中における前記潜時よりも小さくする車両制御部と、を備え、
前記車両制御部は、前記自動運転中において、前記操作予測部により前記操作タイミングが予測された場合に、前記操作認識部により前記運転者の前記操作が認識されるまでの前記車両の挙動変動量と比べて、前記操作認識部により前記運転者の前記操作が認識された後の前記挙動変動量を小さくする、車両制御装置。 - 前記車両制御部は、前記自動運転中において、前記操作認識部により前記運転者の前記操作が認識されない無操作継続時間が継続時間閾値以上になった場合、前記無操作継続時間が前記継続時間閾値未満の場合と比べて、前記操作タイミングの予測から前記運転者の前記操作が認識されるまでの前記挙動変動量と前記操作タイミングの予測から前記運転者の前記操作が認識された後の前記挙動変動量との差を大きくする、請求項1記載の車両制御装置。
- 前記自動運転中において、前記車両の周辺状況に基づいて前記運転者に前記手動運転への切換えを要求する要求度を算出する要求度算出部を更に備え、
前記車両制御部は、前記要求度が要求度閾値以上になった場合、前記要求度が前記要求度閾値未満の場合と比べて、前記操作タイミングの予測から前記運転者の前記操作が認識されるまでの前記挙動変動量と前記操作タイミングの予測から前記運転者の前記操作が認識された後の前記挙動変動量との差を大きくする、請求項1又は2記載の車両制御装置。
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