JP2019095787A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents
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Abstract
Description
バスバーの抵抗を低減するにはバスバーの断面積を増大させればよいので、単純にはバスバーの幅と厚さを増大させればよい。しかしその幅と厚さの増大にはEC素子の機能上の制限がある。バスバーの幅の増大は、EC素子の有効光学領域(EC素子がその機能を発揮するために光吸収を行う領域)の周辺領域となる(非有効光学領域の)ベゼル部を増大させることになる。これは、例えばEC素子の応用用途である表示装置、可変反射率ミラー、可変透過窓等の周囲部を増大させることになり外観、及び機能上好ましくない。またEC素子は、対向する二枚の電極から構成されることが多いが、バスバー厚さの増大は、対向する電極との接触による短絡を招くために限界がある。このため、バスバーのスペースを拡大することなくバスバーの抵抗を低減することが求められている。
特許文献1には、導電性エポキシに埋設したタブを有するバスバーが基材の側面に位置する電気変色性レンズが開示されている。バスバーの側面への配置は、バスバーを厚くすることによる対向電極との短絡を回避するうえでは効果的である。
本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、バスバーのスペースを拡大することなくバスバーの抵抗を低減したEC素子を提供することにある。
前記基材または前記電極に、前記バスバーの配置部が設けられ、前記バスバーの少なくとも一部は、前記配置部に配置されていることを特徴とするエレクトロクロミック素子を提供する。
また、本発明は、一対の基材と、前記一対の基材の間に配置されている一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されているエレクトロクロミック層と、前記一対の電極にそれぞれ接続されているバスバーと、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記基材または前記電極は、前記一対の電極の一方に接続されている前記バスバーと前記一対の電極の他方に接続されている前記バスバーとの距離を大きくするバスバー離間部を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子を提供する。
図1は、本発明の第1の実施形態のエレクトロクロミック素子の概要を説明する概略図であり、EC素子の長手方向に直行する面での断面図である。図1(a)は比較のためのEC素子(以下、「比較素子」と称する場合がある)、図1(b)は本実施形態のEC素子である。図2は、図1(b)のEC素子で用いた基材を示す概略図であり、図2(a)は上面図、図2(b)は図2(a)のA−A’断面図である。
R=ρL/A=ρL/Wt ・・・(1)
(R:抵抗、ρ:導体の抵抗率、L:導体の長さ、A:導体の断面積、W:導体の幅、t:導体の厚さ)
ΔV=ILR=(IρL2)/Wt ・・・(2)
EC素子100は、電気的に光の吸収量を変化させることができる素子である。このEC素子100は、透過型、反射型、光散乱型等いずれの形態であってもよい。EC素子100としては、無機材料を用いたものと、有機材料を用いたものとがあり、有機材料を用いたものとしては、高分子有機材料、低分子有機材料を用いたものがある。本実施形態のEC素子100としては、いずれの素子も用いることが可能である。コントラスト、最大透過率の観点から、特に低分子有機材料を用いたEC素子が好ましく用いられる。EC素子100の光吸収率の制御範囲は特に制限されるものではないが、応用用途、例えば防眩ミラー、調光窓としての性能を満たすための範囲を確保していることが望まれる。具体的な数値としては、0%〜99.999%という値が理想的には挙げられ、1%〜99.9%という値が実際には挙げられる。またこれらの間の光吸収率の制御については、ON/OFFのみの制御もありうるが、複数の階調、もしくは無段階の階調で制御できることが好ましい。
図4は、本発明の第2の実施形態のEC素子の概要を説明する概略図であり、図1と同じ面での断面図である。図4(a)は比較のためのEC素子、図4(b)、(c)は本実施形態のEC素子である。本実施形態では、バスバー105の抵抗(断面積)を比較素子にそろえた以外は、第1の実施形態と同様である。
図5は、本発明の第3の実施形態のEC素子の概要を説明する概略図であり、図1と同じ面での断面図である。本実施形態では、バスバー105の表面が、電極101の表面と面一または電極101の表面から凹んだ位置にあること以外は、第1の実施形態と同様である。
本発明に係るエレクトロクロミック素子は、カメラ等の撮像装置の光学フィルタに用いられてよい。カメラ等の撮像装置は、光学フィルタと、複数のレンズを有する撮像光学系と、撮像光学系を通過した光を受光する撮像素子とを有してよい。光学フィルタは、エレクトロクロミック素子と、このエレクトロクロミック素子に接続されている能動素子を有してよい。能動素子は、トランジスタ等があげられ、当該トランジスタは、スイッチング素子や増幅素子として用いられてよい。光学フィルタは、撮像装置の撮像素子の直前または撮像光学系が有する複数のレンズの間に配置されてよい。また、光学フィルタは、撮像装置の撮像素子と、当該光学フィルタとの間に撮像光学系が配置されるように配置されてよい。この場合、撮像光学系の外側と表現することもできる。
(1)EC素子躯体の作製
図6は、EC素子躯体の作製を説明する概略図である。図6(a)は実施例のEC素子躯体の作製を説明する図、図6(b)は比較例のEC素子躯体の作製を説明する図であり、いずれも図1と同じ面での断面図である。また、図6(c)は、実施例及び比較例のEC素子躯体の上面図である。
図6(a)に示す通りに実施例のEC素子躯体を作製する。まず厚さt(=200,150,120,80)μmのバスバー形成用の溝107(幅2mm、深さtμm)を、レジスト形成、エッチング工程により形成したガラス基材を基材102として準備する。この基材102に、電極101として酸化インジウムスズ膜(ITO)をスパッタリングで成膜(厚さ400nm)し、透明導電性ガラスを用意する。基材102の溝107上へのAgペーストの印刷/硬化工程を繰り返すことで、幅W=2mm、厚さtμmのバスバー105を形成する。この時のバスバー105の抵抗率ρは5×10-5Ωcmである。その後、隔壁104として、50μmのスペーサービーズを混合したUV硬化性のシール材を塗布する。その後、電極101が対向するように、二枚の基材102を重ね合わせて、UV光を照射することで、シール材を硬化させる。さらにバスバー105の片側の端部に給電線109を超音波はんだにより接続する。これにより、二枚の基材102を接着し、電極間距離が50μm、有効光学領域が10mm(バスバー105の長手方向に垂直な方向の長さ)×200mm(バスバー105の長手方向に平行な方向の長さ)のEC素子躯体を作製する。
図6(b)に示す通り、基材102にバスバー形成用の溝107を形成しない以外は実施例と同様にしてEC素子躯体を作製する。バスバー105の厚さtは20μm、対向するバスバー105間の距離は10μmである。
アノード性のEC化合物である5,10−ジメチル−5,10−ジヒドロフェナジンと、カソード性のEC化合物であるヘプチルビオロゲントリフルオロメタンスルホン酸塩とを炭酸プロピレンに溶解させて電解質溶液を調製する。このとき電解質溶液に含まれるEC化合物の濃度はそれぞれ100mMである。次に、この電解質溶液を隔壁104に形成しておいた注入口(不図示)からEC層となる空間108に注入した後、前述のUV硬化性シール材で封止をすることで、EC素子を得る。
EC素子に駆動電圧0.62Vを印加し、給電線109を取り付けた端部側の素子の有効光学領域端部からの距離(L)と、電圧降下、EC素子の消色状態から着色状態の吸光度変化(ΔOD)を測定する。結果を図7に示す。
・電極間距離、ベゼル部のスペースに制限がある素子においてもバスバーの厚さを確保することが可能となる。
・素子の拡大に伴う電圧降下を低減することができる。
・ΔODの低下を大幅に抑制できる。
・着色均一性の高い素子を提供できる。
(1)EC素子躯体の作製
図8は、EC素子躯体の作製を説明する概略図である。図8(a)は実施例のEC素子躯体の作製工程を説明する図、図8(b)は比較例のEC素子躯体の作製工程を説明する図であり、いずれも図1と同じ面での断面図である。また、図8(c)は、実施例のEC素子躯体の上面図、図8(d)は、比較例のEC素子躯体の上面図である。
図8(a)に示す通りに実施例のEC素子躯体を作製する。まず厚さ20μmのバスバー形成用の溝107(幅2mm、深さ20μm)を、レジスト形成、エッチング工程により形成したガラス基材を基材102として準備する。この基材102の溝107上へのAgペーストの印刷/硬化工程を繰り返すことで、幅W=2mm、厚さ20μmのバスバー105を形成する。この時のバスバー105の抵抗率ρは5×10-5Ωcmである。バスバー105の表面を研磨工程により基材102面と均一になるよう平坦化し、酸化インジウムスズ膜(ITO)をスパッタリングで成膜(厚さ400nm)し、電極101として透明導電性電極を形成する。その後、隔壁104として、50μmのスペーサービーズを混合したUV硬化性のシール材を塗布する。一方で、他の基材102上にスパッタリングでAg層111を下層、ITO層112を上層として製膜し、電極101として反射電極を形成する。反射電極を透明電極上に電極101どうしが対向するように、二枚の基材102を重ね合わせて、UV光を照射することで、シール材を硬化させる。さらにバスバー105の両端部に給電線109を超音波はんだにより接続する。これにより、二枚の基材102を接着し、電極間距離が50μm、有効光学領域が20mm×20mmの反射型EC素子躯体を作製する。この時のバスバー105間の距離L1は、20mmである。
図8(b)に示す通り、実施例1の比較例と同様の工程を用いて透明電極を有する基材102を作製した以外は実施例と同様にして、比較例のEC素子躯体を作製する。バスバーの厚さWは20μm、バスバー間の距離L0は24mmである。
実施例1と同様の工程で電解質溶液を空間108に注入、封止をすることで、EC素子を得る。
EC素子の着色状態における着色濃度のムラを評価する。具体的には、着色領域において最も高濃度に着色するバスバー近傍の部位と、素子の中心部の着色状態を比較する。具体的には、EC素子に電圧0.62Vを印加し着色させたときの、ΔODを測定する。結果を表1に示す。
・基材の表層にコートを行うときに、段差が小さく均一なコートを行うことができる。
・バスバー配置の自由度を上げることができる。
・着色均一性の高い素子を提供できる。
・ベゼル部を小さくすることができ、外観の品位を向上させることができる。
(1)EC素子躯体の作製
(1a)実施例のEC素子躯体の作製
実施例1と同様の手法を用い、以下の三点を変更したEC素子躯体を作製する。
A.バスバー形成用の溝107の深さ、およびバスバー105の厚さtをともに20μmとする。
B.隔壁104として、25μmのスペーサービーズを混合したUV硬化性のシール材を使用することで、電極間距離を25μmとする。
C.有効光学領域を10mm×10mmとする。
実施例1と同様の手法を用い、以下の点を変更したEC素子躯体を作製する。A.有効光学領域を10mm×10mmとする。
実施例1と同様の工程で電解質溶液を注入、封止をすることで、EC素子を得る。
EC素子に駆動電圧0.62Vを10s印加して着色し、その後、短絡した際の消色応答時間を測定する。消色応答時間は、ΔODが着色時の1/100となるまでの時間として算出した。結果を表2に示す。
・バスバー厚の自由度を上げることができる。
・電極間距離の自由度を上げることができる。
・応答速度を向上させることができる。
Claims (17)
- 一対の基材と、前記一対の基材の間に配置された一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたエレクトロクロミック層と、前記電極に電気的に接続された少なくとも一つのバスバーとを有し、
前記基材または前記電極に、前記バスバーの配置部が設けられ、前記バスバーの少なくとも一部は、前記配置部に配置されていることを特徴とするエレクトロクロミック素子。 - 前記配置部は、凹部であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
- 一対の基材と、前記一対の基材の間に配置されている一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されているエレクトロクロミック層と、前記一対の電極にそれぞれ接続されているバスバーと、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記基材または前記電極は、前記一対の電極の一方に接続されている前記バスバーと前記一対の電極の他方に接続されている前記バスバーとの距離を大きくするバスバー離間部を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。 - 前記バスバー離間部は、前記基材または前記電極に設けられた凹部であることを特徴とする請求項3に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記バスバーの電気抵抗は、前記電極の電気抵抗よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記一対の電極の間の距離は、100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記バスバーの表面は、前記電極の表面と面一または前記電極の表面から凹んだ位置にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記バスバーの表面は、前記基材の表面と面一または前記基材の表面から凹んだ位置にあることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記バスバーの上に前記電極が配置されていることを特徴とする請求項8に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記バスバーは、前記バスバーの長手方向が、前記電極の長手方向に沿うように配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記バスバーの上に隔壁が配置されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子に接続されている能動素子とを有することを特徴とする光学フィルタ。
- 複数のレンズを有する撮像光学系と、前記撮像光学系を通過した光を受光する撮像素子と、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子に接続されている能動素子と、前記エレクトロクロミック素子を通過した光を反射する反射部材を有することを特徴とするエレクトロクロミックミラー。
- 前記反射部材は、前記一対の基材のうちの一方であることを特徴とする請求項14に記載のエレクトロクロミックミラー。
- 前記反射部材は、前記一対の電極のうちの一方であることを特徴とする請求項15に記載のエレクトロクロミックミラー。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子の透過率を変更するための操作部とを有することを特徴とする窓。
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JP2016095503A (ja) * | 2014-11-06 | 2016-05-26 | キヤノン株式会社 | 有機エレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置 |
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2018
- 2018-11-16 JP JP2018215220A patent/JP7277110B2/ja active Active
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