JP2019095690A - 虚像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】虚像の視認性が良好な虚像表示装置を提供する。【解決手段】虚像表示装置は、第1表示器18から発せられる第1表示光L1により第1虚像を視認可能に表示すると共に、第2表示器19から発せられる第2表示光L2により第2虚像を視認可能に表示する。虚像表示装置は、第1表示光L1及び第2表示光L2の入射に対して透過作用及び反射作用の少なくとも一方を及ぼす反射透過部材40と、反射透過部材40との間に光を往復させる往復光路OPを構成する往復反射部材50と、を備える。虚像表示装置は、第1表示器18からの第1表示光L1を、往復光路OPを経由させないでウインドシールド側へ導光されるように反射透過部材40へ入射させていると共に、第2表示器19からの第2表示光L2を、往復光路OPを往復させた後でウインドシールド側へ導光させるように反射透過部材40へ入射させている。【選択図】図2

Description

本開示は、虚像を視認可能に表示する虚像表示装置に関する。
従来、虚像を視認可能に表示する虚像表示装置が知られている。特許文献1に開示の装置は、第1表示器及び第2表示器を備えている。第1表示器から発せられる第1表示光を投影部材にて反射させることにより、第1虚像が表示され、第2表示器から発せられる第2表示光を当該投影部材にて反射させることにより、第2虚像が表示されるようになっている。
こうした虚像表示装置は、反射透過部材をさらに備えている。第1表示光は、第1表示器から反射透過部材に入射すると、反射透過部材を透過して、投影部材側へ導光されるようになっている。第2表示光は、第2表示器から反射透過部材に入射すると、反射透過部材に反射されて、投影部材側へ導光されるようになっている。
特開2007−264529号公報
しかしながら特許文献1において第1虚像と第2虚像とは、視認者に対して略同じ距離に表示されている。このため、第1虚像と第2虚像とによる立体感は、十分であるとはいえなかった。このため、虚像の視認性に改善の余地があった。
開示されるひとつの目的は、虚像の視認性が良好な虚像表示装置を提供することにある。
ここに開示された虚像表示装置は、第1表示器(18)と、第2表示器(19)と、を備え、第1表示器から発せられる第1表示光(L1)を投影部材(3)にて反射させることにより第1虚像(V1)を視認可能に表示すると共に、第2表示器から発せられる第2表示光(L2)を投影部材にて反射させることにより第2虚像(V2)を視認可能に表示する虚像表示装置であって、
第1表示光及び第2表示光が入射する光学部材であって、入射に対して透過作用及び反射作用の少なくとも一方を及ぼす反射透過部材(40,240)と、
反射透過部材を経由した光を再び反射透過部材へ向けて反射することにより、反射透過部材との間に光を往復させる往復光路(OP)を構成する往復反射部材(50,250)と、を備え、
第1表示器からの第1表示光を、往復光路を経由させないで投影部材側へ導光されるように反射透過部材へ入射させていると共に、第2表示器からの第2表示光を、往復光路を往復させた後で投影部材側へ導光させるように反射透過部材へ入射させている。
このような虚像表示装置によると、反射透過部材と往復反射部材との間に光を往復させる往復光路が構成されている。そして、第1表示器から発せられる第1表示光が反射透過部材に入射するにあたって、当該第1表示光は、往復光路を経由しないで直接的に投影部材側へ導光される。すなわち、第1表示光について、第1表示器から投影部材へ至るまでの光路長を、比較的短く構成することができる。故に、第1虚像を比較的近い距離で表示することができる。一方、第2表示器から発せられる第2表示光が反射透過部材に入射するにあたって、当該第2表示光は往復光路を往復した後で投影部材側へ導光される。すなわち、第2表示光について、第2表示器から投影部材へ至るまでの光路長を、往復光路分稼ぐことにより、比較的長く構成することができる。故に、第2虚像を比較的遠い距離で表示することができる。こうして、第1虚像と第2虚像とが前後して、奥行き感により立体的な虚像表示が実現される。以上により、虚像の視認性が良好な虚像表示装置を提供することができる。
なお、括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。
第1実施形態のHUD装置の車両への搭載状態を示す模式図である。 第1実施形態のHUD装置の概略構成を示す図であって、左方から右方の方向にHUD装置を見た図である。 第1実施形態のHUD装置の概略構成を示す図であって、上方から下方の方向にHUD装置を見た図である。 第1実施形態の第1表示器又は第2表示器の概略構成を示す図である。 第1実施形態の反射透過部材を示す図である。 第1実施形態の第1表示光及び第2表示光の振る舞いを説明するための模式図である。 第2実施形態における図2に対応する図である。 第2実施形態における図3に対応する図である。 第2実施形態における図6に対応する図である。 第3実施形態における図2に対応する図である。 第4実施形態における図2に対応する図である。 第5実施形態における図2に対応する図である。 変形例1における図2に対応する図である。 変形例1における図3に対応する図である。 変形例2における図2に対応する図である。 変形例2における図3に対応する図である。 変形例3のうち一例における図2に対応する図である。 変形例3のうち他の一例における図2に対応する図である。 変形例6のうち一例における図5に対応する図である。 変形例6のうち他の一例における図5に対応する図である。 変形例9のうち一例における図2に対応する図である。 変形例9のうち他の一例における図2に対応する図である。 変形例10における図2に対応する図である。
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第1実施形態)
図1に示すように、本開示の第1実施形態による虚像表示装置は、車両1に用いられ、当該車両1のインストルメントパネル内に収容されることにより、当該車両1に搭載されているヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置)100となっている。HUD装置100は、第1表示器18及び第2表示器19を備えている。第1表示器18から発せられる第1表示光L1が車両1の投影部材としてのウインドシールド3にて反射されることにより、HUD装置100は、第1虚像V1を、視認者としての乗員により視認可能に表示する。これと共に、第2表示器19から発せられる第2表示光L2がウインドシールド3にて反射されることにより、HUD装置100は、第2虚像V2を、視認者としての乗員により視認可能に表示する。
すなわち、ウインドシールド3にて反射される第1表示光L1及び第2表示光L2が、車両1の室内に設定された視認領域EBに到達することにより、視認領域EBにアイポイントEPが位置する乗員が第1表示光L1を第1虚像V1として、また第2表示光L2を第2虚像V2として、知覚する。そして、乗員は、第1虚像V1及び第2虚像V2として表示される各種情報を認識することができる。各種情報としては、例えば車速、燃料残量等の車両1の状態を示す情報、又は視界補助情報、道路情報等のナビゲーション情報等が挙げられる。
以下において、特に断り書きが無い限り、前方、後方、前後方向、上方、下方、上下方向、左方、右方、及び左右方向は、水平面HP上の車両1を基準として表記される。
車両1のウインドシールド3は、例えばガラスないしは合成樹脂により透光性の板状に形成され、インストルメントパネル2よりも上方に配置されている。ウインドシールド3は、第1表示光L1及び第2表示光L2が投影される投影面3aを、滑らかな凹面状又は平面状に形成している。なお、投影部材は、ウインドシールド3以外であってもよい。例えば車両1と別体のものとして車両1内に設置されている当該コンバイナが投影部材として採用されていてもよい。
視認領域EBは、HUD装置100により表示される虚像V1,V2が所定の規格を満たすように視認可能となる空間領域であって、アイボックスとも称される。視認領域EBは、典型的には、車両1に設定されたアイリプスと重なるように設定される。アイリプスは、乗員のアイポイントEPの空間分布を統計的に表したアイレンジに基づいて、楕円体状に設定されている。
このようなHUD装置100の具体的構成を、図2〜6も用いて、以下に説明する。図2,3に示すようにHUD装置100は、ハウジング10、第1表示器18、第2表示器19、反射透過部材40、往復反射部材50、及び1/4波長板60等により構成されている。
ハウジング10は、例えば合成樹脂ないしは金属により、HUD装置100の他の要素を収容する中空形状を有しており、車両1のインストルメントパネル2内に設置されている。ハウジング10は、ウインドシールド3と対向する上面部に、光学的に開口する窓部11を有している。窓部11は、第1表示光L1及び第2表示光L2を透過可能な防塵シート12で覆われている。
第1表示器18は、第1虚像V1として結像される第1表示光L1を、反射透過部材40へ向けて発する。本実施形態の第1表示器18は、液晶表示器となっている。第2表示器19は、第2虚像V2として結像される第2表示光L2を、反射透過部材40へ向けて発する。本実施形態の第2表示器19は、液晶表示器となっており、第1表示器18と同様の内部構造となっている。したがって以下では、第1表示器18及び第2表示器19のうち、第1表示器18の内部構造について代表して説明する。
第1表示器18は、バックライト部21及び液晶パネル26を有し、例えば箱状のケーシング20aに、これらを収容して構成されている。図4に示すように、バックライト部21は、例えば、光源22、コンデンサレンズ23、及びフィールドレンズ24等により構成されている。
光源22は、例えば複数の発光素子22aを配列することにより構成されている。本実施形態における発光素子22aは、光源用回路基板22b上に配置され、電源と接続されている発光ダイオード素子である。各発光素子22aは、通電により電流量に応じた発光量で光を発する。詳細に、各発光素子22aでは、例えば青色発光ダイオードを黄色蛍光体で覆うことにより、疑似白色での発光が実現されている。
コンデンサレンズ23及びフィールドレンズ24は、光源22と液晶パネル26との間に配置されている。コンデンサレンズ23は、例えば合成樹脂ないしはガラス等により透光性を有して形成されている。特に本実施形態のコンデンサレンズ23は、複数の凸レンズ素子が発光素子22aの数及び配置に合わせて配列されたレンズアレイとなっている。コンデンサレンズ23は、光源22側から入射した光を集光してフィールドレンズ24側へ射出する。
フィールドレンズ24は、コンデンサレンズ23と液晶パネル26との間に配置され、例えば合成樹脂ないしはガラス等により透光性を有して形成されている。フィールドレンズ24は、コンデンサレンズ23側から入射した光をさらに集光して、液晶パネル26側へ向けて射出する。
なお、バックライト部21の構成としては、上述の構成以外にも、種々の構成を採用することができる。
本実施形態の液晶パネル26は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)を用いた液晶パネルであって、例えば2方向に配列された複数の液晶画素から形成されたアクティブマトリクス型の液晶パネルである。液晶パネルでは、一対の直線偏光板27a,27b及び一対の直線偏光板27a,27bに挟まれた液晶層等が積層されている。各直線偏光板27a,27bは、透過軸TAに沿った方向の偏光を透過させると共に、透過軸TAとは直交する吸収軸に沿った方向の偏光を変更する性質を有している(図6も参照)。一対の直線偏光板27a,27bは、透過軸TAを互いに実質直交して配置されている。液晶層は、液晶画素毎の電圧印加により、印加電圧に応じて液晶層に入射する光の偏光方向を回転させることが可能となっている。
液晶パネル26は、バックライト部21からの光の入射により、液晶画素毎の当該光の透過率を制御して、表示画面28から射出される第1表示光L1によって画像を形成することが可能となっている。隣り合う液晶画素には、互いに異なる色(例えば、赤、緑、及び青)のカラーフィルタが設けられており、これらの組み合わせにより様々な色が実現されるようになっている。ここで、第1表示光L1は、射出側の直線偏光板27bの透過軸TAに沿った直線偏光として、表示画面28から光路上の反射透過部材40側へ向けて射出される。本実施形態の第1表示光L1は、380〜780nmの範囲の波長の光を主体として構成されている。
以上説明した第1表示器18の内部構造及び第1表示光L1については、第2表示器19の内部構造及び第2表示光L2にも当てはまる。
ここで図2,3に示すように、第1表示器18は、反射透過部材40に対して下方に配置され、下方から上方へ向けて第1表示光L1を発するようになっている。一方、第2表示器19は、反射透過部材40に対して前方に配置され、前方から後方へ向けて第2表示光L2を発するようになっている。
反射透過部材40は、第1表示光L1及び第2表示光L2が入射する光学部材であって、それら入射してくる表示光L1,L2に対して透過作用及び反射作用の少なくとも一方を及ぼす。具体的に、反射透過部材40は、例えば透光基板41の全面に偏光部としての偏光フィルム43を貼り合わせて平板状に形成されている。透光基板41は、例えば合成樹脂ないしはガラス等により、偏光特性が実質的にない透光性の平板状に形成されている。
偏光フィルム43は、所定方向DRの偏光を反射すると共に、所定方向DRとは実質直交する直交方向DTに沿った偏光を透過させる偏光特性を有している。本実施形態の偏光フィルム43は、例えばスリーエム社製のDBEF(登録商標)等のフィルム状の反射型偏光素子となっている。こうした反射型の偏光フィルム43においては、所定方向DRを反射軸RA、直交方向DTを透過軸TAと称することができる。
反射透過部材40は、第1表示器18及び第2表示器19と対向する側に、露出する表面として平面状の第1光学面40aを有し、第1光学面40aとは反対側に、露出する表面として平面状の第2光学面40bを有している。偏光フィルム43は、例えば透光基板41に対して第2光学面40b側に、当該透光基板41と積層状態で配置されている。なお、第1光学面40a及び第2光学面40bには、反射防止膜を形成することができる。特に本実施形態では、透光基板41が露出する第1光学面40aに、反射防止膜が形成されており、第1光学面40aでの第1表示光L1及び第2表示光L2の反射が抑制されている。
そして、反射透過部材40は、第1表示器18からの第1表示光L1が第1光学面40aに斜め入射するように、かつ、第2表示器19からの第2表示光L2が第1光学面40aに斜め入射するように配置されている。具体的に反射透過部材40は、第1光学面40aの法線方向が前方かつ下方を向くように、かつ、第2光学面40bの法線方向が後方かつ上方を向くように、水平面HPに対して傾斜して配置されている。
ここで、第1表示器18から発せられる第1表示光L1の偏光方向と、第2表示器19から発せられる第2表示光L2の偏光方向とは、それぞれ偏光フィルム43の透過軸TAに沿うように、設定されている(図6も参照)。
したがって、第1表示器18からの第1表示光L1は、反射透過部材40を下方から上方へ透過する。反射透過部材40を挟んで第1表示器18の反対側には、上述の窓部11が配置されている。反射透過部材40を透過した第1表示光L1は、そのまま窓部11の防塵シート12を透過し、ウインドシールド3に投影される。
一方、第2表示器19からの第2表示光L2は、反射透過部材40を前方から後方へ透過する。ここで、反射透過部材40の後方には、往復反射部材50が配置されている。すなわち、特に図2に示すように、反射透過部材40を挟んで往復反射部材50と正対する正対領域CRには、第2表示器19が配置されており、第1表示器18は、当該正対領域CR以外の反射透過部材40に対する下方の領域に配置されている。そして、往復反射部材50は、上述の第1表示光L1の第1光学面40aへの斜め入射における入射面(plane of incidence)PIを境界面とした両側のうち、第1表示光L1の入射側において、第2光学面40bと対向するように配置されているのである。
このような往復反射部材50は、例えば合成樹脂ないしはガラス等からなる基材の表面に、反射面51としてアルミニウム等の金属を蒸着させることにより金属膜を形成した反射鏡となっている。反射面51は、曲面状に形成されており、例えば往復反射部材50の中心が凹むように凹面状に湾曲している。本実施形態の反射面51は、反射透過部材40よりも後方において、前方を向くように配置されている。
往復反射部材50は、第2表示器19側から反射透過部材40を透過した第2表示光L2を再び反射透過部材40へ向けて反射する。こうして往復反射部材50は、反射透過部材40との間に第2表示光L2を往復させる往復光路OPを構成している。往復光路OPを構成することにより、第2表示光L2の反射面51への入射角及び反射角が小さくなるように(例えば20度以下、好ましくは10度以下になるように)、反射透過部材40及び往復反射部材50を配置することが可能となる。
ここで、図5に示すように、第2表示光L2が第2表示器19から反射透過部材40を透過した往復光路OPの往路開始時において、当該第2表示光L2が反射透過部材40に入射している反射透過部材40上の領域を往路入射領域IR1と定義する。さらには、往復光路OPの復路終了時において、第2表示光L2が反射透過部材40に入射している反射透過部材40上の領域を復路入射領域IR2と定義する。基本的に、第2表示光L2が進行するに連れて光束が拡がっていくので、復路入射領域IR2の面積が往路入射領域IR1の面積よりも広くなる、本実施形態では、往路入射領域IR1の全域が復路入射領域IR2に包含されるように設定されている。このようにすることで、反射透過部材40のサイズを小型化しつつ、反射面51での入射角及び反射角が小さくなるような光学系を構成することが可能となる。
仮に、往復光路OPにおいて、第2表示光L2の偏光方向を変換する要素がないとすれば、往復反射部材50にて反射された第2表示光L2は、偏光フィルム43の透過軸TAに沿った偏光方向を維持することとなるので、再び反射透過部材40を透過してしまう。そこで本実施形態では、図2に示すように、往復光路OPにて、1/4波長板60が配置されている。
1/4波長板60は、進相軸FAに沿った偏光と遅相軸SAに沿った偏光との間に、実質1/4波長分の位相差を生じさせる光学素子である。本実施形態の1/4波長板60は、第2表示器19からの第2表示光L2のいずれかの波長(380〜780nm)に対応して設計されており、1/4波長分の位相差とは、距離換算で95〜195nmの範囲に含まれる位相差である。1/4波長板60は、例えばフィルム状に形成されており、往復反射部材50の反射面51に貼り合わせて形成されている。図6に示すように、1/4波長板60の進相軸FA及び遅相軸SAは、偏光フィルム43の透過軸TA及び反射軸RAに対して実質的に45度の角度をなすように配置されている。
したがって、往復光路OPを往復する第2表示光L2は、往路と復路で1回ずつ、合計2回1/4波長板60を透過することとなる。具体的に、往路での1/4波長板60の作用により、第2表示光L2は、偏光フィルム43の透過軸TAに沿った偏光方向の直線偏光から、右回り円偏光ないしは左回り円偏光に変換される。そして、往復反射部材50で反射される際に、第2表示光L2は、入射前とは逆回りの円偏光となる。復路での1/4波長板60の作用により、第2表示光L2は、上述の逆回りの円偏光から、直線偏光に変換されるが、その偏光方向は、反射の際に逆回りになったことで、偏光フィルム43の反射軸RAに沿ったものとなる。
この結果、復路において第2表示光L2が第2光学面40bに入射する時点では、第2表示光L2が偏光フィルム43の反射軸RAに沿ったものとなっているので、反射透過部材40により第2表示光L2が上方のウインドシールド3側へ反射される。すなわち、1/4波長板60により、第2表示光L2がウインドシールド3側へ導光されるように、当該第2表示光L2の偏光方向が変換されているのである。反射透過部材40に反射された第2表示光L2は、窓部11の防塵シート12を透過し、ウインドシールド3に投影される。
こうしてHUD装置100は、第1表示器18からの第1表示光L1を、往復光路OPを経由させないで直接的にウインドシールド3側へ導光されるように反射透過部材40に入射させている。これと共に、HUD装置100は、第2表示器19からの第2表示光L2を、往復光路OPを経由させた後でウインドシールド3側へ導光させるように反射透過部材40に入射させている。したがって、第2表示光L2の光路長において、第1表示光L1の光路長よりも往復光路OP分長くなる要素が存在している。各虚像V1,V2のアイポイントEPからの距離は、各表示光L1,L2の光路長に応じた距離となるので、第1虚像V1がアイポイントEPから比較的近い距離に、第2虚像V2がアイポイントEPから比較的遠い距離に表示され、第1虚像V1と第2虚像V2との間で立体感が醸し出される。
第2表示光L2の光路長を稼ぐための構成は、第2表示光L2を往復させる往復光路OPを用いて実現されているので、光路を直線上に長くするよりも格段にHUD装置100を小型化することができ、複数の表示器18,19が設けられていても、車両1への搭載性は良好なものとなっている。
また本実施形態の第2虚像V2は、往復反射部材50の反射面51を凹面状に湾曲させたことにより、液晶パネル26の表示画面28よりも拡大して表示される。第2虚像V2の拡大において、拡大作用を作用させた反射面51が、往復光路OPの折り返し地点に設定されているので、上述のように反射の際の入射角及び反射角を小さく設定することが可能となっている。したがって、拡大作用と共に生じ得る上下非対称な(又は左右非対称な)虚像V2の歪みを抑制することができる。
(作用効果)
以上説明した第1実施形態の作用効果を以下に改めて説明する。
このような第1実施形態によると、反射透過部材40と往復反射部材50との間に光を往復させる往復光路OPが構成されている。そして、第1表示器18から発せられる第1表示光L1が反射透過部材40に入射するにあたって、当該第1表示光L1は、往復光路OPを経由しないで直接的に投影部材としてのウインドシールド3側へ導光される。すなわち、第1表示光L1について、第1表示器18からウインドシールド3へ至るまでの光路長を、比較的短く構成することができる。故に、第1虚像V1を比較的近い距離で表示することができる。一方、第2表示器19から発せられる第2表示光L2が反射透過部材40に入射するにあたって、当該第2表示光L2は往復光路OPを往復した後でウインドシールド3側へ導光される。すなわち、第2表示光L2について、第2表示器19からウインドシールド3へ至るまでの光路長を、往復光路OP分稼ぐことにより、比較的長く構成することができる。故に、第2虚像V2を比較的遠い距離で表示することができる。こうして、第1虚像V1と第2虚像V2とが前後して、奥行き感により立体的な虚像表示が実現される。以上により、虚像V1,V2の視認性が良好なHUD装置100を提供することができる。
また、第1実施形態によると、第1表示器18は、反射透過部材40を挟んで往復反射部材50と正対する正対領域CR以外から第1表示光L1を反射透過部材40へ入射させる。このようにすると、反射透過部材40を透過した第1表示光L1が往復反射部材50へ向かうことが抑制できる。故に、第1表示光L1について往復光路OPを経由させずに、直接的にウインドシールド3側へ導光する構成を容易に実現できる。
また、第1実施形態によると、往復反射部材50は、第1表示光L1の斜め入射における入射面PIを境界とした両側のうち第1表示光L1の入射側において、第1光学面40aとは反対側の第2光学面40bと対向するように配置されている。このようにすると、第1表示器18からの第1表示光L1が反射透過部材40に入射したとき、その一部が反射されてしまったとしても、入射面PIを境界とした両側のうち第1表示光L1の射出側へ反射されることとなるので、第1表示光L1の一部が往復光路OPに進入してしまう事態を回避することができる。故に、第1表示光L1について往復光路OPを経由させずに、直接的にウインドシールド3側へ導光する構成を容易に実現することができる。
また、第1実施形態によると、往復光路OPに1/4波長板60が配置されることにより、第2表示光L2の偏光方向が変換されて、往復光路OPの復路を進む第2表示光L2は、反射透過部材40によってウインドシールド3側へ導光されるようになる。このような構成によれば、最初の反射透過部材40経由時の第2表示光L2の偏光方向は、偏光部としての偏光フィルム43における所定方向DR及び直交方向DTのうち一方に沿った方向となる。その後、第2表示光L2は1/4波長板60を往復光路OPにて2回透過することにより、その偏光方向が実質的に90度異なる方向に変換された状態で反射透過部材40に再び入射する。反射透過部材40への再入射時には、第2表示光L2の偏光方向が偏光フィルム43における所定方向DR及び直交方向DTのうち他方に沿った方向となるため、第2表示光L2の殆どは、第2表示器19側に戻らずに、ウインドシールド3側へ導光可能となる。故に、反射透過部材40での第2表示光L2の減衰を抑制しつつ光路長を稼ぐための往復光路OPを構成することが可能となるので、第1虚像V1よりも遠い距離に高輝度の第2虚像V2を表示することができる。以上により、虚像V1,V2の視認性が良好なHUD装置100を提供することができる。
また、第1実施形態によると、反射透過部材40は、第2表示器19からの第2表示光L2をまず往復反射部材50へ向けて透過させ、1/4波長板60は、往復光路OPの復路において、第2表示光L2が反射透過部材40によりウインドシールド3側へ反射されるように、第2表示光L2の偏光方向を所定方向DRに沿った方向に変換する。このような構成によると、反射透過部材40と往復反射部材50との間を第2表示光L2が往復する往復光路OPを、反射透過部材40での第2表示光L2の減衰を抑制しつつ、容易に実現することができる。
また、第1実施形態によると、反射透過部材40が平板状に形成されていると共に、往復反射部材50の反射面51は曲面状に形成されている。したがって、入射角及び反射角が相対的に大きくなる反射透過部材40での反射時にて第2表示光L2に拡大作用が生じさせずに、往復光路OPの折り返し地点に配置されていることにより入射角及び反射角が相対的に小さくなる往復反射部材50での反射時に第2表示光L2に拡大作用を生じさせる。このため、拡大作用と共に生じ得る上下非対称(又は左右非対称)な第2虚像V2の歪みを抑制することができる。故に、第2虚像V2の視認性をより良好なものとすることができる。
(第2実施形態)
図7〜9に示すように、第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第2実施形態の第1表示器218は、図7,8に示すように、透光基板241及び偏光フィルム243を有する反射透過部材240に対して前方に配置され、前方から後方へ向けて第1表示光L1を発するようになっている。一方、第2表示器219は、反射透過部材40に対して後方に配置され、後方から前方へ向けて第2表示光L2を発するようになっている。
第2実施形態の反射透過部材240においては、第1表示器218と対向する側に、露出する表面として平面状の第1光学面240aを有し、第1光学面40aとは反対側に、露出する表面として平面状の第2光学面240bを有している。
そして、反射透過部材240は、第1表示器218からの第1表示光L1が第1光学面240aに斜め入射するように、かつ、第2表示器219からの第2表示光L2が第2光学面240bに斜め入射するように配置されている。具体的に反射透過部材40は、第1光学面240aの法線方向が前方かつ上方を向くように、かつ、第2光学面240bの法線方向が後方かつ下方を向くように、水平面HPに対して傾斜して配置されている。
ここで、第1表示器218から発せられる第1表示光L1の偏光方向と、第2表示器219から発せられる第2表示光L2の偏光方向とは、それぞれ偏光フィルム243の反射軸RAに沿うように、設定されている。
したがって、第1表示器218からの第1表示光L1は、反射透過部材240を上方へ反射される。反射透過部材240の上方には、窓部11が配置されている。したがって、反射透過部材240に反射された第1表示光L1は、そのまま窓部11の防塵シート12を透過し、ウインドシールド3に投影される。
一方、第2表示器219からの第2表示光L2は、反射透過部材240を下方へ反射される。ここで、反射透過部材240の下方には、往復反射部材250が配置されている。すなわち、反射透過部材240を挟んで往復反射部材250と正対する正対領域CRには、窓部11が配置されており、第1表示器218は、当該正対領域CR以外の反射透過部材240に対する前方の領域に配置されている。そして、往復反射部材250は、上述の第1表示光L1の第1光学面240aの斜め入射における入射面PIを境界面とした両側のうち、第1表示光L1の入射側において、第2光学面240bと対向するように配置されている。
往復反射部材250の反射面251は、反射透過部材240よりも下方において、上方を向くように配置されている。こうして往復反射部材250は、第1実施形態と同様の往復光路OPを構成している。
第2実施形態の1/4波長板260も、第1実施形態と同様、往復反射部材250の反射面251に貼り合わせて形成されている。
したがって図9に示すように、往復光路OPを往復する第2表示光L2は、往路と復路で1回ずつ、合計2回1/4波長板260を透過することとなる。具体的に、往路での1/4波長板260の作用により、第2表示光L2は、偏光フィルム243の反射軸RAに沿った偏光方向の直線偏光から、右回り円偏光ないしは左回り円偏光に変換される。そして、往復反射部材250で反射される際に、第2表示光L2は、入射前とは逆回りの円偏光となる。復路での1/4波長板260の作用により、第2表示光L2は、上述の逆回りの円偏光から、直線偏光に変換されるが、その偏光方向は、反射の際に逆回りになったことで、偏光フィルム243の透過軸TAに沿ったものとなる。
この結果、復路において第2表示光L2が第2光学面40bに入射する時点では、第2表示光L2が偏光フィルム243の透過軸TAに沿ったものとなっているので、反射透過部材240を第2表示光L2が上方のウインドシールド3側へ透過する。すなわち、1/4波長板260により、第2表示光L2がウインドシールド3側へ導光されるように、当該第2表示光L2の偏光方向が変換されているのである。反射透過部材240に反射された第2表示光L2は、窓部11の防塵シート12を透過し、ウインドシールド3に投影される。
以上説明した第2実施形態によると、反射透過部材240は、第2表示器219からの第2表示光L2をまず往復反射部材250へ向けて反射させ、1/4波長板260は、往復光路OPの復路において、第2表示光L2が反射透過部材240によりウインドシールド3側へ透過するように、第2表示光L2の偏光方向を直交方向DTに沿った方向に変換する。このような構成によると、反射透過部材240と往復反射部材250との間を第2表示光L2が往復する往復光路OPを、反射透過部材240での第2表示光L2の減衰を抑制しつつ、容易に実現することができる。
また、第2実施形態によると、第1表示器218は、反射透過部材240を挟んで往復反射部材250と正対する正対領域CR以外から第1表示光L1を反射透過部材240へ入射させる。このようにすると、第1表示器218からの第1表示光L1が反射透過部材240に入射したとき、その一部が透過してしまったとしても、当該第1表示光L1の一部が往復反射部材250へ向かうことが抑制できる。故に、第1表示光L1について往復光路OPを経由させずに、直接的にウインドシールド3側へ導光する構成を容易に実現することができる。
また、第1実施形態によると、往復反射部材250は、第1表示光L1の斜め入射における入射面PIを境界とした両側のうち第1表示光L1の入射側において、第1光学面40aとは反対側の第2光学面40bと対向するように配置されている。このようにすると、反射透過部材240を反射する第1表示光L1が入射面PIを境界とした両側のうち第1表示光L1の射出側へ反射されることとなるので、往復反射部材250へ向かうことが抑制できる。故に、第1表示光L1について往復光路OPを経由させずに、直接的にウインドシールド3側へ導光する構成を容易に実現することができる。
(第3実施形態)
図10に示すように、第3実施形態は第1実施形態の変形例である。第3実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第3実施形態のHUD装置100は、光遮断部370をさらに有している。光遮断部370は、例えば黒色等の暗色に着色されたポリウレタンにより光吸収性を有して形成され、光遮断フード部371及び光遮断積層部373を一体的に有している。
光遮断フード部371は、第2表示器19と反射透過部材40との間において、第2表示光L2の進行方向に沿って、かつ第1表示光L1及び第2表示光L2の光束を遮らないように、壁状に形成されている。光遮断フード部371は、防塵シート12を透過してハウジング10の内部に入射する外光等の迷光を吸収等により遮断することで、迷光が多重反射により第1虚像V1又は第2虚像V2に映り込んでしまうこと等を抑制している。
光遮断積層部373は、反射透過部材40のうち、第2表示器219からの第2表示光L2が最初に反射透過部材40に入射する往路入射領域IR1と、第1表示器218からの第1表示光L1が反射透過部材40に入射する透過入射領域IRTとを、除く領域において、反射透過部材40の第1光学面40aと貼り合わされて又は密着して配置されていることで、反射透過部材40と積層された状態で配置されている。光遮断積層部373は、外光のうち反射透過部材40を透過する光を吸収等により遮断することで、第1表示器218及び第2表示器219の液晶パネル26等の劣化又は損傷を抑制する。
さらには、往復反射部材50にて反射され、再び反射透過部材40に入射した第2表示光L2の一部が偏光フィルム43を透過してしまったとしても、この透過光を光遮断積層部373が吸収する。これにより、係る透過光が反射透過部材40の第1光学面40aにてウインドシールド3側に反射されて第2虚像V2に二重像が発生してしまう事態も抑制可能である。
以上説明した第3実施形態によると、反射透過部材40の第2表示器19側のうち、往路入射領域IR1を除く領域に対応して配置され、反射透過部材40と積層状態の光遮断積層部373は、反射透過部材40を往復反射部材50側から第2表示器19側へ透過しようとする光を遮断する。こうした光の遮断により、第2表示器19の劣化又は損傷が抑制されるので、長きに亘って第2虚像V2の高い視認性を維持することができる。
(第4実施形態)
図11に示すように、第4実施形態は第1実施形態の変形例である。第4実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第4実施形態のハウジング410は、その内部において、往復反射部材保持壁413、反射透過部材保持壁414、及び表示二股穴415を有している。
往復反射部材保持壁413は、往復反射部材50において反射面51とは反対側と当接するように壁状に形成されている。往復反射部材保持壁413は、貼り合わせ、嵌合、又は締結等により、往復反射部材50を保持している。
反射透過部材保持壁414は、反射透過部材40において往復反射部材50とは反対側(すなわち第1表示器18及び第2表示器19側)の第1光学面40aのうち一部分に当接するように壁状に形成されている。反射透過部材保持壁414は、貼り合わせ、嵌合、又は締結等により、反射透過部材40を保持している。
詳細に、反射透過部材保持壁414は、反射透過部材40の第1光学面40aのうち、第2表示器219からの第2表示光L2が最初に反射透過部材40に入射する往路入射領域IR1及びと、第1表示器218からの第1表示光L1が反射透過部材40に入射する透過入射領域IRTとを、除く領域に、表面414aを密着させている。反射透過部材保持壁414の表面414aは、例えば光の反射を抑制可能な暗色(例えば黒色)に形成されている。この結果、反射透過部材保持壁414は、第3実施形態の光遮断積層部373と同様に、外光のうち反射透過部材40を透過する光の遮断作用、及び二重像の抑制作用を発揮する。
表示二股穴415は、反射透過部材40上の往路入射領域IR1及び透過入射領域IRTに対応した部分において、反射透過部材保持壁414に開口する穴状に形成されている。表示二股穴415は、反射透過部材40とは反対側において二股に分岐し、分岐のそれぞれがハウジング410を貫通する貫通穴状に形成されているが、有底穴状に形成されていてもよい。表示二股穴415の各分岐は、反射透過部材40から離間する程、漸次狭くなる四角錐台状の穴となっている。
第4実施形態において第1表示器18及び第2表示器19は、それぞれ対応する分岐に配置されている。各表示器18,19は、液晶パネル26を反射透過部材40と対向させると共に、バックライト部21の一部分をハウジング410の外部に配置させている。このため、各表示器18,19は、表示二股穴415の側壁415aに第3実施形態の光遮断フード部371のように迷光遮断作用を生じさせつつ、バックライト部21にて発生した熱を、ハウジング410外に容易に放熱可能となっている。
以上説明した第4実施形態によると、反射透過部材40を保持すると共に、反射透過部材40の第2表示器19側に表面414aを密着させている反射透過部材保持壁414は、反射透過部材40を往復反射部材50側から第2表示器19側へ透過しようとする光を遮断する。光の遮断により、第2表示器19の劣化又は損傷が抑制されるので、長きに亘って第2虚像V2の高い視認性を維持することができる。そして、反射透過部材40の保持構造と光の遮断構造とを共通化することにより、部品点数を抑制することで、HUD装置100の体格増加を抑制しつつ、第2虚像V2の高い視認性を実現することができる。
(第5実施形態)
図12に示すように、第5実施形態は第1実施形態の変形例である。第5実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第5実施形態において、第2表示器19から反射透過部材40へ至る第2表示光L2の光路上には、凸面鏡575が設けられている。凸面鏡575は、例えば合成樹脂ないしはガラス等からなる基材の表面に、反射面576としてアルミニウム等の金属を蒸着させる金属膜を形成した反射鏡となっている。反射面576は、曲面状に形成されており、凸面鏡575の中心が突出するように凸面状に湾曲している。すなわち、凸面鏡575は、負の光学パワーを有する負の光学素子となっている。本実施形態の反射面576は、反射透過部材40の第1光学面40aに隣接した位置において、後方かつ下方を向くように配置されている。
第5実施形態において第2表示器19は、凸面鏡575へ向けて、前方かつ上方へ第2表示光L2を発する。第2表示器19が発した第2表示光L2が反射面576に反射されることで、当該第2表示光L2が前方から後方へと進み、反射透過部材40へ入射するようになっている。
以上説明した第5実施形態によると、第2表示器19から反射透過部材40へ至る光路上において、負の光学パワーを有する凸面鏡575が設けられている。こうした凸面鏡575により、第2虚像V2として結像される第2表示光L2について、第2表示器19側のテレセントリック性を高めることができる。すなわち、第2表示器19の視野角を狭く構成して画像の品質を高めつつ、視認領域EBのサイズを確保することができる。したがって、第2虚像V2の高い視認性を実現することができる。
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例1としては、特に第1,3〜5実施形態に関して、第1表示器18、第2表示器19、反射透過部材40、往復反射部材50等は、異なる配置となっていてもよい。具体的に第1実施形態の配置を変更した図13,14の例では、第1表示器18は、反射透過部材40に対して下方に配置され、下方から上方へ向けて第1表示光L1を発するが、第2表示器19は、反射透過部材40に対して後方に配置され、後方から前方へ向けて第2表示光L2を発するようになっている。
反射透過部材40は、第1光学面40aの法線方向が後方かつ下方を向くように、かつ、第2光学面40bの法線方向が前方かつ上方を向くように、水平面HPに対して傾斜して配置されている。往復反射部材50は、反射透過部材40に対して前方に配置されている。往復反射部材50の反射面51は、反射透過部材40よりも前方において、後方を向くように配置されている。
変形例2としては、特に第2実施形態に関して、第1表示器218、第2表示器219、反射透過部材240、往復反射部材250等は、異なる配置となっていてもよい。具体的に第2実施形態の配置を変更した図15,16の例では、第1表示器218は、反射透過部材240に対して後方に配置され、後方から前方へ向けて第1表示光L1を発するようになっている。一方、第2表示器219は、反射透過部材240に対して前方に配置され、前方から後方へ向けて第2表示光L2を発するようになっている。
反射透過部材240は、第1光学面40aの法線方向が後方かつ上方を向くように、かつ、第2光学面40bの法線方向が前方かつ下方を向くように、水平面HPに対して傾斜して配置されている。往復反射部材250は、反射透過部材240に対して下方に配置されている。往復反射部材250の反射面251は、反射透過部材240よりも下方において、上方を向くように配置されている。
変形例3としては、1/4波長板60は、反射透過部材40の第2光学面40bに対して貼り合わせて形成されていてもよい。第1実施形態の1/4波長板60を反射透過部材40に貼り合わせるように変更した図17の例においても、往復光路OPを往復する第2表示光L2は、往路と復路で1回ずつ、合計2回1/4波長板60を透過することとなるので、1/4波長板60は、復路において第2表示光L2がウインドシールド3側へ導光されるように、当該第2表示光L2の偏光方向を変換する。一方、第1表示光L1は、反射透過部材40の透過後に1/4波長板60を1回透過するので、直線偏光から円偏光へ変換される。
第2実施形態の1/4波長板260を反射透過部材240に貼り合わせるように変更した図18の例においては、第2表示器219から円偏光の第2表示光L2が発せられるようにし、当該第2表示光L2が最初に反射透過部材240に入射する前に、1/4波長板260を1回透過して、その円偏光が偏光フィルム243の反射軸RAに沿った偏光方向の直線偏光に変換されるようにする。そうすると、第2表示光L2が反射透過部材240により往復反射部材250側へ効率よく反射される。その後、往復光路OPを往復する第2表示光L2は、往路と復路で1回ずつ、合計2回1/4波長板260を透過することとなるので、1/4波長板260は、復路において第2表示光L2がウインドシールド3側へ導光されるように、当該第2表示光L2の偏光方向を変換する。
変形例4としては、1/4波長板60は、往復光路OPに設けられていれば、反射透過部材40又は往復反射部材50と貼り合わされていなくてもよい。例えば、1/4波長板60は、往復光路OP上の反射透過部材40と往復反射部材50との間に独立して配置されていてもよい。さらには、1/4波長板60は、単板で構成されていなくてもよい。例えば往復光路OP上において、進相軸FAに沿った偏光と遅相軸SAに沿った偏光との間に実質1/8波長分の位相差を生じさせる1/8波長板を、互いに進相軸FA及び遅相軸SAを合わせて合計2枚配置することにより、実質的に1/4波長板60が設けられている構成としてもよい。また、1/4波長板60の進相軸FA又は遅相軸SAは、偏光フィルム43の反射軸RA又は透過軸TAに対して、丁度45度の角度をなしていなくてもよく、例えば40〜50度の角度をなしていてもよい。
変形例5としては、反射透過部材40において偏光フィルム43は、透光基板41に対していずれの側に設けられていてもよく、両側に設けられていてもよい。
変形例6としては、反射透過部材40において偏光フィルム43は、反射透過部材40の全面ではなく一部の領域にのみ形成されていてもよい。図19,20に示すように、第1表示光L1又は第2表示光L2が反射透過部材40を透過し得る領域のみに偏光フィルム43が配置されていてもよく、それ以外の第1表示光L1又は第2表示光L2が反射のみし得る領域は、反射面44としてアルミニウム等の金属を蒸着させること等により金属膜が形成されていてもよい。また図20のように、第1表示光L1又は第2表示光L2が反射透過部材40を透過する際に、一部が反射透過部材40を経由し、他部は反射透過部材40の側方をそのまま透過する構成であってもよい。
変形例7としては、反射透過部材40における偏光フィルム43等の偏光部として、様々な構成を採用することができる。例えば、偏光部として、ワイヤーグリッドを用いた偏光素子が採用されていてもよい。このワイヤーグリッド偏光素子は、例えばフィルム状に形成されており、互いに実質平行に延伸する複数の金属ワイヤを有している。複数の金属ワイヤは、例えばアルミニウム等からなり、所定のピッチで配列されている。ここで、所定のピッチは、表示光L1,L2の殆どの波長よりも小さく設定されている。このようなワイヤーグリッド偏光素子では、金属ワイヤの延伸方向が所定方向DRないしは反射軸RAに対応し、金属ワイヤの配列方向が直交方向DTないしは透過軸TAに対応している。また例えば、偏光部として、プレート型の偏光ビームスプリッタが採用されていてもよい。偏光ビームスプリッタは、例えばS偏光を反射し、P偏光を透過させるようになっている。すなわちS偏光の偏光方向が所定方向DRに対応し、P偏光の偏光方向が直交方向DTに対応している。
変形例8としては、防塵シート12等の表示光L1,L2が透過する各面には、反射防止膜が設けられていてもよい。防塵シート12には、1/4波長板60により生じた色ずれを補正する色温度変換フィルタが設けられていてもよい。
変形例9としては、図21,22に示すように、反射透過部材40は、曲板状に形成されていてもよい。第1光学面40a及び第2光学面40bは、球面状、円筒面状、又は鞍点を含んだ自由曲面状等に形成されていてもよい。同様に往復反射部材50の反射面51は、球面状、円筒面状、又は鞍点を含んだ自由曲面状等に形成されていてもよい。
変形例10としては、反射透過部材40又は往復反射部材50の向きを変更する向き変更部57がさらに設けられていてもよい。図23に示す例では、向き変更部57は、ステッピングモータを用いて、例えば左右方向に延伸する回転軸58まわりに、反射透過部材40を回動することにより、反射透過部材40の向きを変更することが可能となっている。反射透過部材40の向きが変更されると、第1表示光L1及び第2表示光L2の少なくとも一方(図23の例では第2表示光L2のみ)のウインドシールド3への進行方向が変更される。よって、ウインドシールド3において第1虚像V1及び第2虚像V2の少なくとも一方が表示される位置が上下に変更される。
第4実施形態に関する変形例11としては、光遮断積層部373は、ポリウレタン以外の例えば遮光フィルム又は反射透過部材40への遮光性塗装膜の形成により設けられていてもよい。
変形例12としては、第1表示器18及び第2表示器19の少なくとも一方に、液晶表示器以外の構成を採用することができる。DLP(Digital Light Processing;登録商標)方式の表示器では、発光素子からの光を、オン状態及びオフ状態を切り替え可能かつ微小なデジタルミラー素子の配列へ向けて入射させ、オン状態のデジタルミラー素子のみ光を反射させることで画像が形成され、当該画像の表示光が発せられる。レーザスキャナ方式の表示器では、レーザ光をマイクロミラーに入射させると共に、当該マイクロミラーの向きを変更することで当該レーザ光を走査することで、スクリーン上に画像が形成され、当該画像の表示光が発せられる。
変形例13としては、反射透過部材40は、ハーフミラーであってもよい。ハーフミラーの場合では、反射透過部材40に入射したときの透過率及び反射率が一定のため、必ず意図しない透過光又は反射光が発生してしまうが、それでも一部の光をウインドシールド3まで導光して第1虚像V1及び第2虚像V2を表示させることができる。第2実施形態の反射透過部材40をハーフミラーに変更し、1/4波長板60を取り除いた構成では、第1表示器18は、反射透過部材40を挟んで往復反射部材50と正対する正対領域CR以外から第1表示光L1を反射透過部材40へ入射させる配置となっている。したがって、第1表示光L1の一部が反射透過部材40を透過してしまっても、その透過先に往復反射部材50が存在しないので、第1表示光L1が往復光路OPに進入してしまう事態を確実に回避することができる。
第1実施形態の反射透過部材40をハーフミラーに変更し、1/4波長板60を取り除いた構成においても、往復反射部材50は、第1表示光L1の斜め入射における入射面PIを境界とした両側のうち第1表示光L1の入射側において、第1光学面40aとは反対側の第2光学面40bと対向するように配置されている。したがって、第1表示光L1の一部が反射透過部材40を反射してしまっても、その反射先に往復反射部材50が存在しないので、第1表示光L1が往復光路OPに進入してしまう事態を確実に回避することができる。
変形例14としては、虚像表示装置は、航空機、船舶、あるいは移動しない筐体等の各種の乗り物に適用することができる。
3 ウインドシールド(投影部材)、18,218 第1表示器、19,219 第2表示器、40,240 反射透過部材、50,250 往復反射部材、L1 第1表示光、L2 第2表示光、OP 往復光路、V1 第1虚像、V2 第2虚像

Claims (10)

  1. 第1表示器(18)と、第2表示器(19)と、を備え、前記第1表示器から発せられる第1表示光(L1)を投影部材(3)にて反射させることにより第1虚像(V1)を視認可能に表示すると共に、前記第2表示器から発せられる第2表示光(L2)を前記投影部材にて反射させることにより第2虚像(V2)を視認可能に表示する虚像表示装置であって、
    前記第1表示光及び前記第2表示光が入射する光学部材であって、入射に対して透過作用及び反射作用の少なくとも一方を及ぼす反射透過部材(40,240)と、
    前記反射透過部材を経由した光を再び前記反射透過部材へ向けて反射することにより、前記反射透過部材との間に光を往復させる往復光路(OP)を構成する往復反射部材(50,250)と、を備え、
    前記第1表示器からの前記第1表示光を、前記往復光路を経由させないで前記投影部材側へ導光されるように前記反射透過部材へ入射させていると共に、前記第2表示器からの前記第2表示光を、前記往復光路を往復させた後で前記投影部材側へ導光させるように前記反射透過部材へ入射させている虚像表示装置。
  2. 前記第1表示器は、前記反射透過部材を挟んで前記往復反射部材と正対する正対領域(CR)以外から前記第1表示光を前記反射透過部材へ入射させる請求項1に記載の虚像表示装置。
  3. 前記反射透過部材は、前記第1表示器からの前記第1表示光が前記反射透過部材の第1光学面(40a,240a)に斜め入射するように配置され、
    前記往復反射部材は、前記第1表示光の斜め入射における入射面(PI)を境界とした両側のうち前記第1表示光の入射側において、前記第1光学面とは反対側の第2光学面(40b,240b)と対向するように配置されている請求項2に記載の虚像表示装置。
  4. 前記反射透過部材は、所定方向(DR)の偏光を反射すると共に、前記所定方向とは直交する直交方向(DT)の偏光を透過させる偏光部(43)を有し、
    前記往復光路に設けられ、その復路において前記第2表示光が前記偏光部により前記投影部材側へ導光されるように、前記第2表示光の偏光方向を変換する1/4波長板(60,260)をさらに備える請求項1から3のいずれか1項に記載の虚像表示装置。
  5. 前記反射透過部材は、前記第2表示器からの前記第2表示光を前記往復反射部材へ向けて透過させ、
    前記1/4波長板は、前記往復光路の復路において、前記第2表示光が前記反射透過部材により前記投影部材側へ反射されるように、前記第2表示光の偏光方向を前記所定方向に沿った方向に変換する請求項4に記載の虚像表示装置。
  6. 前記反射透過部材の前記第2表示器側のうち、前記第2表示器からの前記第2表示光が最初に前記反射透過部材に入射する領域(IR1)を除く領域に対応して配置され、前記反射透過部材と積層状態の光遮断積層部であって、前記反射透過部材を前記往復反射部材側から前記第2表示器側へ透過しようとする光を遮断する光遮断積層部(373)を、さらに備える請求項5に記載の虚像表示装置。
  7. 前記反射透過部材を保持すると共に、前記反射透過部材のうち前記第2表示器側に表面(414a)を密着させている保持壁であって、前記第2表示器側へ透過しようとする光を遮断する反射透過部材保持壁(414)を、さらに備える請求項5に記載の虚像表示装置。
  8. 前記偏光部は、前記第2表示器からの前記第2表示光を前記往復反射部材へ向けて反射し、
    前記1/4波長板は、前記往復光路の復路において、前記第2表示光が前記偏光部により前記投影部材側へ透過するように、前記第2表示光の偏光方向を前記直交方向に沿った方向に変換する請求項4に記載の虚像表示装置。
  9. 前記反射透過部材が平板状に形成されていると共に、前記往復反射部材の反射面(51,251)は曲面状に形成されている請求項1から8のいずれか1項に記載の虚像表示装置。
  10. 前記第2表示器から前記反射透過部材へ至る光路上において、負の光学パワーを有する負の光学素子(575)を、さらに備える請求項1から9のいずれか1項に記載の虚像表示装置。
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