JP2019095474A - トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2では、ポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分とを有する非晶質の複合樹脂と結晶性ポリエステルを含有するトナー用結着樹脂組成物であって、前記複合樹脂が、融点が60〜110℃である水酸基を有する炭化水素ワックス由来の構造部位を0.5〜10質量%含み、前記結晶性ポリエステルが、炭素数6〜12の脂肪族ジオールを含む原料モノマーを用いて得られる、トナー用結着樹脂組成物が記載されている。これにより得られるトナーが低温定着性と保存性を両立できると記載されている。
特許文献3では、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有してなる静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂がポリエステルであり、前記離型剤がエステルワックス及び石油ワックスである静電荷像現像用トナーが記載されている。これにより得られるトナーが定着性及び耐久性に優れると記載されている。
工程1:水酸基又はカルボキシ基を有する炭化水素ワックスW1由来の構成成分及びポリエステル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂A、ワックスD1、ワックスD2、及び着色剤を含有する混合物を溶融混練する工程と、
工程2:前記工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級し、トナー粒子を得る工程と、
を含むトナーの製造方法であって、
前記ワックスD1の融点Tm1が前記ワックスD2の融点Tm2より低く、且つ、工程1において前記混合物を溶融混練する温度Tは、前記ワックスD1の融点Tm1を超える温度、かつ前記ワックスD2の融点Tm2より5℃高い温度以下の温度である、トナーの製造方法。
本発明のトナーの製造方法は、
工程1:水酸基又はカルボキシ基を有する炭化水素ワックスW1由来の構成成分及びポリエステル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂A、ワックスD1、ワックスD2、及び着色剤を含有する混合物を溶融混練する工程と、
工程2:前記工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級し、トナー粒子を得る工程と、
を含む。
そして、当該トナーの製造方法では、前記ワックスD1の融点Tm1が前記ワックスD2の融点Tm2より低く、且つ、工程1において前記混合物を溶融混練する温度Tは、前記ワックスD1の融点Tm1を超える温度、かつ前記ワックスD2の融点Tm2より5℃高い温度以下の温度である。
当該製造方法により、優れた印刷物の画像濃度及び耐ホットオフセット性を示すトナーが得られる。その理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明の製造方法では、水酸基又はカルボキシ基を有する炭化水素ワックスW1由来の構成成分及びポリエステル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂Aを用いる。当該非晶性樹脂A、少なくとも2種のワックスD1及びワックスD2、並びに着色剤を含有する混合物を、ワックスD1の融点Tm1を超える温度、かつ前記ワックスD2の融点Tm2より5℃高い温度以下の温度で溶融混練することにより、融点が低く溶融しやすいワックスD1が着色剤と作用し、更に樹脂中の炭化水素ワックスW1由来の構成成分とも相互作用することで、混合物中で着色剤を微分散させる。一方、融点が高く溶融しにくいワックスD2は、混合物中で過度に微分散されることなく適度のサイズのドメインを形成する。このため、得られるトナーは印刷物の画像濃度が優れるだけでなく、現像時にワックスが有効に作用できるため耐ホットオフセット性にも優れるものと考えられる。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
明細書中、ポリエステルのカルボン酸成分には、その化合物のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる。
明細書中、「結着樹脂」とは、非晶性樹脂A及び結晶性樹脂Bを含むトナー中に含まれる樹脂成分の総称である。
以下、本発明の製造方法の各工程等を説明する。
工程1は、水酸基又はカルボキシ基を有する炭化水素ワックスW1(以下単に「炭化水素ワックスW1」ともいう)由来の構成成分及びポリエステル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂A、ワックスD1、ワックスD2、及び着色剤を含有する混合物を溶融混練する工程である。
溶融混練には、結晶性樹脂Bの存在下で行うことが好ましい。
以下、工程1で用いられる各成分の説明をする。
非晶性樹脂Aは、優れた印刷物の画像濃度及び耐ホットオフセット性を示すトナーを得る観点から、水酸基又はカルボキシ基を有する炭化水素ワックスW1由来の構成成分及びポリエステル樹脂セグメントを有する。非晶性樹脂Aは、例えば、水酸基又はカルボキシ基を有する炭化水素ワックスW1の存在下、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合することで得られる樹脂である。
非晶性樹脂Aは、トナーの印刷物の画像濃度及び耐ホットオフセット性をより向上させる観点から、水酸基又はカルボキシ基を有する炭化水素ワックスW1由来の構成成分、ポリエステル樹脂セグメントを有し、好ましくは更に付加重合系樹脂セグメントを有する。
炭化水素ワックスW1由来の構成成分は、例えば、水酸基又はカルボキシ基が反応し、ポリエステル樹脂セグメントと共有結合した炭化水素ワックスW1である。
炭化水素ワックスW1は、水酸基又はカルボキシ基を有する。炭化水素ワックスW1は、水酸基、カルボキシ基のいずれか一方、又は両方を有していてもよいが、印刷物の画像濃度を向上させる観点、及び耐ホットオフセット性を向上させる観点から、好ましくは、水酸基及びカルボキシ基を有する。
炭化水素ワックスW1は、例えば、未変性の炭化水素ワックスを公知の方法で変性させて得られる。炭化水素ワックスW1の原料としては、例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが挙げられる。これらの中でも、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスが好ましい。
炭化水素ワックスW1の原料となるパラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの市販品としては、例えば、「HNP−11」、「HNP−9」、「HNP−10」、「FT−0070」、「HNP−51」、「FNP−0090」(以上、日本精蝋株式会社製)が挙げられる。
水酸基を有する炭化水素ワックスの市販品としては、例えば、「ユニリン700」、「ユニリン425」、「ユニリン550」(以上、ベーカー・ペトロライト社製)等が挙げられる。
酸変性炭化水素ワックスは、例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素ワックスに、酸変性により、カルボキシ基を導入することで得られる。酸変性の方法としては、例えば、特開2006−328388号公報、特開2007−84787号公報に記載の方法が挙げられる。具体的には、原料の炭化水素ワックスの溶融物に、反応開始剤として、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物と、不飽和結合を有するカルボン酸化合物を添加して反応させることで、カルボキシ基を導入することができる。
カルボキシ基を有する炭化水素ワックスの市販品としては、例えば、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体「ハイワックス1105A」(三井化学株式会社製)が挙げられる。
水酸基及びカルボキシ基を有する炭化水素ワックスの市販品としては、例えば、「パラコール6420」、「パラコール6470」、「パラコール6490」(以上、日本精蝋株式会社製)が挙げられる。
炭化水素ワックスW1の水酸基価、酸価、数平均分子量の測定方法は、実施例に記載の方法による。
ポリエステル樹脂セグメントは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂からなるセグメントである。
アルコール成分としては、例えば、芳香族ジオール、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、芳香族ジオールが好ましい。
芳香族ジオールは、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはそれぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノールA〔2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〕のプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA〔2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン〕、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ジカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸、及び、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下、更に好ましくは80モル%以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。これらの中でも、フマル酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が好ましく、フマル酸がより好ましい。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上、更に好ましくは3モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
3価以上の多価カルボン酸を含む場合、3価以上の多価カルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
付加重合系樹脂セグメントは、印刷物の画像濃度を向上させる観点から、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であることが好ましい。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
付加重合系樹脂セグメントの原料モノマー中、スチレン系化合物の含有量は、印刷物の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは87質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
(メタ)アクリル酸アルキルにおけるアルキル基の炭素数は、印刷物の画像濃度をより向上させる観点、及び耐ホットオフセット性をより向上させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下である。
(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸(イソ又はターシャリー)ブチル、(メタ)アクリル酸(イソ)アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ドデシル、(メタ)アクリル酸(イソ)パルミチル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル、(メタ)アクリル酸(イソ)ベヘニルが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルが好ましく、メタクリル酸ステアリルがより好ましい。
なお、「(イソ又はターシャリー)」とは、ノルマル、イソ又はターシャリー、「(イソ)」とは、ノルマル又はイソを意味する。
「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
付加重合系樹脂セグメントの原料モノマー中、スチレン系化合物及び(メタ)アクリル酸エステルの合計含有量は、印刷物の画像濃度をより向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、そして、更に好ましくは100質量%である。
「両反応性モノマー由来の構造単位」とは、両反応性モノマーの官能基、不飽和結合部位が反応した単位を意味する。
両反応性モノマーとしては、例えば、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する付加重合性モノマーが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、水酸基又はカルボキシ基を有する付加重合性モノマーが好ましく、カルボキシ基を有する付加重合性モノマーがより好ましい。
両反応性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。これらの中でも、重縮合反応と付加重合反応の双方の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
両反応性モノマー由来の構成単位の量は、非晶性樹脂Aのポリエステル樹脂セグメントのアルコール成分100モル部に対して、好ましくは1モル部以上、より好ましくは5モル部以上、更に好ましくは8モル部以上であり、そして、好ましくは30モル部以下、より好ましくは25モル部以下、更に好ましくは20モル部以下である。
上記量は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー、付加重合系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー、及びラジカル重合開始剤の量の比率を基準に算出し、ポリエステル樹脂セグメント等における重縮合による脱水量は除く。なお、ラジカル重合開始剤を用いた場合、ラジカル重合開始剤の質量は、付加重合系樹脂セグメントに含めて計算する。
非晶性樹脂Aは、例えば、水酸基又はカルボキシ基を有する炭化水素ワックスW1の存在下、アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合により得られる。
必要に応じて、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて重縮合してもよい。
また、重縮合にフマル酸等の不飽和結合を有するモノマーを使用する際には、必要に応じてアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下のラジカル重合禁止剤を用いてもよい。ラジカル重合禁止剤としては、4−tert−ブチルカテコール等が挙げられる。
重縮合反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である。なお、重縮合は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
工程Aの後に工程Bを行ってもよいし、工程Bの後に工程Aを行ってもよく、工程Aと工程Bを同時に行ってもよい。
工程Aにおいて、カルボン酸成分の一部を重縮合反応に供し、次いで工程Bを実施した後に、再度反応温度を上昇させ、多価カルボン酸成分の残部を重合系に添加し、工程Aの重縮合反応及び必要に応じて両反応性モノマーとの反応をさらに進める方法がより好ましい。
付加重合反応のラジカル重合開始剤としては、例えば、ジブチルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
付加重合反応の温度は、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下である。
非晶性樹脂Aの軟化点は、印刷物の画像濃度をより向上させる観点、及び耐ホットオフセット性をより向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
なお、非晶性樹脂Aを2種以上混合して使用する場合は、それらの混合物として得られた軟化点、ガラス転移温度及び酸価の値がそれぞれ前述の範囲内であることが好ましい。
前記工程1を結晶性樹脂Bの存在下で行うことが好ましい。結晶性樹脂Bとしては、例えば、結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
結晶性ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
α,ω−脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
α,ω−脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオールが挙げられる。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましく、1,10−デカンジオールがより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、セバシン酸、ドデカン二酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
重縮合反応の条件は、前述の非晶性樹脂Aの製造方法で示したとおりである。
結晶性樹脂Bの軟化点は、印刷物の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、印刷物の画像濃度及び耐ホットオフセット性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
なお、結晶性樹脂Bを2種以上混合して使用する場合は、それらの混合物として得られた軟化点、融点、及び酸価の値がそれぞれ前記範囲内であることが好ましい。
工程1では、ワックスD1及びワックスD2の2種類のワックスを用いる。ワックスD1の融点Tm1は、ワックスD2の融点Tm2より低い。
ワックスD1及びワックスD2としては、例えば、炭化水素ワックス、エステルワックス、シリコーンワックス、脂肪酸アミドが挙げられる。
炭化水素ワックスとしては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックスが挙げられる。
エステルワックスとしては、例えば、カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックスが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ワックスD1の融点Tm1は、印刷物の画像濃度をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
ワックスD2の融点Tm2は、耐ホットオフセット性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは75℃以上、更に好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
ワックスD1の融点Tm1とワックスD2の融点Tm2の差|Tm1−Tm2|は、印刷物の画像濃度及び耐ホットオフセット性をより向上させる観点から、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは55℃以下、更に好ましくは35℃以下ある。
工程1では、着色剤を用いる。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明の方法により得られるトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
工程1では、混合物中に荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤は、正帯電性荷電制御剤、負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−04」、「ボントロンN−07」、「ボントロンN−09」、「ボントロンN−11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP−51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP−B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ−2001」、「PLZ−8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA−701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
荷電制御剤の中でも、負帯電性荷電制御剤が好ましく、サリチル酸化合物の金属化合物がより好ましい。
荷電制御剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に係るトナーは、好ましくは乾式トナーとして用いられる。
結晶性樹脂Bの配合量は、結着樹脂中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
非晶性樹脂A及び結晶性樹脂Bの合計配合量は、結着樹脂中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
工程1の溶融混練には、密閉式ニーダー、一軸押出機、又は二軸押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。これらの中でも混練温度を広く設定することのできる二軸押出機が好ましい。
二軸押出機は、一般に2本のスクリューをバレルが覆い隠す閉鎖型の構造を有する。二軸押出機には、通常、スクリューの供給部、圧縮部、及び計量部に対応する部分のいずれか又は全部にヒーターを備えることができ、供給部、圧縮部、及び計量部に対応する部分のバレルを加熱し、バレル温度(二軸押出機内部壁面の温度)を調整することができる。バレル温度を調整することにより混練温度Tを調整することができる。
混練温度Tは、例えば二軸押出機の場合は、バレル(混練押出し機外筒部)の設定温度を意味する。オープンロール型混練機の場合は、高回転側ロールの混練物排出側端部を非接触型温度計で測定した温度を意味する。
また、混合物を溶融混練する温度Tは、トナーの生産性を向上させる観点から、非晶性樹脂Aのガラス転移温度より、好ましくは10℃高い温度以上、より好ましくは15℃高い温度以上、更に好ましくは20℃高い温度以上であり、そして、非晶性樹脂Aのガラス転移温度より、好ましくは60℃高い温度以下、より好ましくは50℃高い温度以下、更に好ましくは40℃高い温度以下である。
工程1で得られた溶融混練物を、粉砕が可能な程度に冷却した後、続く工程2に供する。
工程2は、工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級し、トナー粒子を得る工程である。
工程2の粉砕は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混練物を1mm以上5mm以下に粗粉砕した後、更に所望の粒径に微粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックスが挙げられる。微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミルが挙げられる。粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、及び衝突板式ジェットミルを用いることが好ましく、衝突板式ジェットミルを用いることがより好ましい。
以上の工程によりトナー粒子が得られる。
トナー粒子は、トナーとしてそのまま用いることもできるが、後述のように流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理したトナー粒子をトナーとして用いることが好ましい。
トナーは、例えば、静電荷像現像用トナーである。静電荷像現像用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる。
トナー粒子のCV値は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは12%以上、より好ましくは14%以上、更に好ましくは16%以上であり、そして、高画質の画像を得る観点から、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。
外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
〔樹脂、ワックスの酸価及び水酸基価〕
樹脂、ワックスの酸価及び水酸基価は、JIS K 0070:1992に記載の中和滴定法に従って測定した。ただし、測定溶媒をクロロホルムとした。
(1)軟化点
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)結晶性指数
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料をそのまま1分間静止させ、その後、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(1)として、(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(1)(℃))により、結晶性指数を求めた。
(3)融点及びガラス転移温度
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで、試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(2)とした。結晶性樹脂の場合には、該ピーク温度を融点とした。
また、非晶性樹脂の場合に、ピークが観測される時はそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測される時は該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の低温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移温度とした。
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで、試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定し、吸熱の最大ピーク温度を融点とした。
以下に示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により数平均分子量(Mn)を測定した。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をクロロホルムに25℃で溶解させ、次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「DISMIC,25JP」(ADVANTEC社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2)測定
以下の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてクロロホルムを、1mL/minの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させ、そこに前記試料溶液100μLを注入して分子量を測定した。試料の分子量(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn)は、数種類の単分散ポリスチレン「TSKgel標準ポリスチレン」のタイプ名(Mw):「A−500(5.0×102)」、「A−1000(1.01×103)」、「A−2500(2.63×103)」、「A−5000(5.97×103)」、「F−1(1.02×104)」、「F−2(1.81×104)」、「F−4(3.97×104)」、「F−10(9.64×104)」、「F−20(1.90×105)」、「F−40(4.27×105)」、「F−80(7.06×105)」、「F−128(1.09×106)」(以上、東ソー株式会社製)を標準試料として、予め作成した検量線に基づき算出した。
・測定装置:「HLC−8220GPC」(東ソー株式会社製)
・分析カラム:「GMHXL」及び「G3000HXL」(以上東ソー株式会社製)
(1)測定装置:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマンコールター株式会社製)
(2)解析ソフト:「マルチサイザー(登録商標)IIIバージョン3.51」(ベックマンコールター株式会社製)
(3)測定条件:
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマンコールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
(4)試料分散液
ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」(花王株式会社製、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)=13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
上記分散液5mLに乾燥後のトナー粒子の測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
(5)測定方法:上記試料分散液を上記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
〔トナーの耐ホットオフセット性評価〕
上質紙「J紙A4サイズ」(富士ゼロックス株式会社製)に市販のプリンタ「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.35±0.01mg/cm2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した同プリンタを用意し、定着器の温度を130℃にし、A4縦方向に1枚あたり1.7秒の速度でトナーを定着させ、印刷物を得た。定着器の温度が130℃においては、コールドオフセット及びホットオフセットが発生していないことを目視で確認した。
同様の方法で定着器の温度を130℃から5℃ずつ上げて、トナーを定着させ印刷物を得、ホットオフセットの発生を目視で確認した。本試験をホットオフセットが発生する温度まで実施した。
なお、コールドオフセットとは定着温度が低い場合に、未定着画像上のトナーが充分に溶融しない、もしくは離型性が良好でないために、定着ローラーにトナーが付着する現象を指す。一方、ホットオフセットとは定着温度を高温にした場合に、未定着画像上のトナーの粘弾性が低下すること、又は高温下で離型性が良好でなくなるために、定着ローラーにトナーが付着する現象を指す。コールドオフセット又はホットオフセットの発生は定着ローラーが一周した際に、再度、紙上にトナーが付着するか否かで判断することができ、本試験ではベタ画像上端から87mmの部分にトナー付着があるか否かで判断した。
ホットオフセット発生温度とは、ホットオフセットが発生し始める温度を指す。ここでは、ホットオフセット発生温度より5℃低い温度が、ホットオフセットが発生しない最高温度をホットオフセット発生温度とした。ホットオフセット発生温度が高いほど、耐ホットオフセット性に優れる。
なお、ホットオフセット発生温度の評価において、評価温度5℃の差はトナーの定着性に明確に差が認められる。
上質紙「J紙A4サイズ」(富士ゼロックス株式会社製)に市販のプリンタ「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.35±0.01mg/cm2となるベタ画像を出力した。
次に、定着器の温度を130℃に設定し、A4縦方向に1枚あたり1.7秒の速度でトナーを定着させて、印刷物を得た。
印刷物の下に上質紙「エクセレントホワイト紙A4サイズ」(株式会社沖データ製)を30枚敷き、出力した印刷物のベタ画像部分の反射画像濃度を、測色計「SpectroEye」(GretagMacbeth社製、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、画像上の任意の10点を測定した値を平均して画像濃度とした。数値が大きいほど、画像濃度に優れる。
製造例A1(非晶性樹脂A−1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(2.2)付加物3268g、テレフタル酸1085g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)30g、及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸3g、及び炭化水素ワックスW1「パラコール6490」(日本精蝋株式会社製)394gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で8時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。その後、大気圧に戻した後、155℃まで冷却し、155℃に保持した状態で、スチレン2138g、メタクリル酸ステアリル534g、アクリル酸108g、及びジブチルパーオキサイド321gの混合物を3時間かけて滴下した。その後、30分間155℃に保持した後、200℃まで昇温し、更にフラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。その後、大気圧に戻した後、190℃まで冷却し、フマル酸70g、トリメリット酸無水物269g、及び4−tert−ブチルカテコール2.5gを加え、210℃まで10℃/hrで昇温し、その後、8kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、非晶性樹脂A−1を得た。物性を表1に示す。
原料組成を表1に示すように変更した以外は製造例A1と同様にして、非晶性樹脂A−2、A−4〜A−6を得た。物性を表1に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(2.2)付加物4771g、テレフタル酸1923g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)30g、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸3g、及び炭化水素ワックスW1「パラコール6490」(日本精蝋株式会社製)349gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、230℃で8時間保持した後、180℃まで冷却し、ドデセニルコハク酸無水物73g及びトリメリット酸無水物314gを加え、220℃まで10℃/hrで昇温し、その後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、非晶性樹脂A−3を得た。物性を表1に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(2.2)付加物3290g、テレフタル酸1092g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)30g、及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸3gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で8時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。その後、大気圧に戻した後、155℃まで冷却し、155℃に保持した状態で、スチレン2152g、メタクリル酸ステアリル538g、アクリル酸108g、及びジブチルパーオキサイド323gの混合物を3時間かけて滴下した。その後、30分間155℃に保持した後、200℃まで昇温し、更にフラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。その後、大気圧に戻した後、190℃まで冷却し、フマル酸71g、トリメリット酸無水物271g、及び4−tert−ブチルカテコール2.5gを加え、210℃まで10℃/hrで昇温し、その後、フラスコ内の圧力を下げ、4kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、非晶性樹脂A−7を得た。物性を表1に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,10−デカンジオール3416g及びセバシン酸4084gを入れ、撹拌しながら、135℃に昇温し、135℃で3時間保持した後、135℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)23gを加え、更に200℃にて1時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaの減圧下にて1時間保持し、結晶性樹脂B−1を得た。物性を表2に示す。
実施例1
(トナー1の製造)
ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)に、非晶性樹脂A−1 80質量部、結晶性樹脂B−1 20質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E−81」(オリヱント化学工業株式会社製)0.2質量部、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)9質量部、パラフィンワックス「HNP−9」(日本精蝋株式会社製、融点:75℃)4質量部、及びフィッシャートロプシュワックス「FT−115」(日本精蝋株式会社製、融点:105℃)4質量部を添加し、充分混合した後、同方向回転二軸押出機「PCM−30」(株式会社池貝製、軸の直径2.9cm、軸の断面積7.06cm2)を用いて溶融混練した。運転条件は、バレル設定温度90℃、軸回転数200r/min(軸の回転の周速 0.30m/sec)、混合物供給速度10kg/h(軸の単位断面積あたりの混合物供給量 1.42kg/h・cm2)であった。得られた溶融混練物を冷却し、ロートプレックス(東亜機械工業株式会社製)を用いて粗粉砕した後、IDS−2型ジェットミル(衝突板式ジェットミル、日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて体積中位粒径(D50)が5.5μmになるように粉砕圧を調整して微粉砕した。得られた微粉砕物を、DSX−2型気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて体積中位粒径(D50)が6.0μm、CV値が25%になるように静圧(内部圧力)を調整して分級を行い、トナー粒子を得た。
該トナー粒子100質量部、疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒径;0.04μm)2.5質量部、及び疎水性シリカ「キャボシル(登録商標)TS720」(キャボットジャパン株式会社製、個数平均粒径;0.012μm)1.0質量部をヘンシェルミキサーに入れて撹拌し、150メッシュの篩を通過させてトナー1を得た。得られたトナーの評価結果を表3に示す。
(トナー2〜17、及び51〜53の製造)
非晶性樹脂の種類、結晶性樹脂の種類、非晶性樹脂と結晶性樹脂の比率、ワックスの種類、ワックスの添加量、及び運転条件のバレル設定温度を表3のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表3に示す。
Claims (6)
- 工程1:水酸基又はカルボキシ基を有する炭化水素ワックスW1由来の構成成分及びポリエステル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂A、ワックスD1、ワックスD2、及び着色剤を含有する混合物を溶融混練する工程と、
工程2:前記工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級し、トナー粒子を得る工程と、
を含むトナーの製造方法であって、
前記ワックスD1の融点Tm1が前記ワックスD2の融点Tm2より低く、且つ、工程1において前記混合物を溶融混練する温度Tは、前記ワックスD1の融点Tm1を超える温度、かつ前記ワックスD2の融点Tm2より5℃高い温度以下の温度である、トナーの製造方法。 - 前記ワックスD1の融点Tm1と前記ワックスD2の融点Tm2の差が、20℃以上である、請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記工程1を結晶性樹脂Bの存在下で行う、請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
- 前記ワックスD1が、炭化水素ワックスである、請求項1〜3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記ワックスD2が、炭化水素ワックスである、請求項1〜4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記結晶性樹脂Bが、炭素数4以上16以下のα、ω−脂肪族ジオールを80モル%以上含むアルコール成分と、炭素数8以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分との重縮合物である、請求項3〜5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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