JP2019095419A - レーザ励起超音波発生装置、レーザ超音波検査装置、及びレーザ超音波検査方法 - Google Patents

レーザ励起超音波発生装置、レーザ超音波検査装置、及びレーザ超音波検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数のレーザ光の照射により励起される音場の指向性を簡易に制御できるレーザ励起超音波発生装置、レーザ超音波検査装置、及びレーザ超音波検査方法を提供する。【解決手段】レーザ励起超音波発生装置10は、レーザ光を出力するレーザ光源11と、出力されたレーザ光を複数に分割するレーザ分割部13と、分割されたレーザ光の入射角度に応じて照射対象の表面に照射されるレーザ光の照射形状及び照射間隔の少なくとも一方を調整可能な光学系を備えて、この光学系に入射させたレーザ光のそれぞれを照射対象の表面に照射して照射対象に超音波を励起させる分割レーザ照射部16と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、レーザ光を検査対象に照射して超音波を発生させるレーザ励起超音波発生装置、発生させた超音波を用いて検査対象の内部を探傷するレーザ超音波検査装置、及びレーザ超音波検査方法に関する。
検査対象内の欠陥(例えば、亀裂)の有無を非破壊で検査する方法としてレーザ超音波法がある。具体的には、レーザ超音波法は、検査対象の表面に励起用のレーザ光を照射して、検査対象の内部に超音波を励起する。そして、計測用のレーザ光を検査対象の表面に照射して、超音波の影響を受けた反射光を計測することで欠陥の有無を判別する。
レーザ超音波法は、従来、実験室的な測定に用途が限られていたが、大出力のレーザ光源や粗面に強いレーザ干渉計が開発され始めたことで、急速に工業現場への適用が進んでおり、触れられないほど脆い材質や検査部位が狭隘、高温状態である等、一般的な超音波プローブの接触が困難な対象物、あるいは、大きさや材質を理由に水等の媒質に浸漬できない対象物への適用が期待されている。
一方で、レーザ超音波法は、レーザ照射によって対象物内に超音波を励起させて送信するため、プローブを検査対象の表面に直接接触させて超音波を送信する一般的な超音波探傷法とは異なり、超音波の指向性を制御することは容易ではない。
従来から、レーザ光によって励起される超音波の指向性を制御する技術の検討が行われており、例えば、発生させた複数のレーザ光が通過する音響光学素子に与える電気信号によりレーザ光の出射や回折角度を調整して、ライン間隔や時間間隔を変えることで励起される音場の指向性を制御する技術が開示されている。
特開平10−260163号公報
しかし、複数のレーザ光を検査対象の表面に照射して超音波を発生させる場合、励起される超音波の音場は、レーザ光の照射形状や照射間隔等、レーザ光の照射条件により変化する。このため、複数のレーザ光の照射により励起される音場の指向性の制御は複雑かつ困難であった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、複数のレーザ光の照射により励起される音場の指向性を簡易に制御できるレーザ励起超音波発生装置、レーザ超音波検査装置、及びレーザ超音波検査方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置は、レーザ光を出力するレーザ光源と、出力された前記レーザ光を複数に分割するレーザ分割部と、分割された前記レーザ光の入射角度に応じて照射対象の表面に照射される前記レーザ光の照射形状及び照射間隔の少なくとも一方を調整可能な光学系を備えて、この光学系に入射させた前記レーザ光のそれぞれを前記表面に照射して前記照射対象に超音波を励起させる分割レーザ照射部と、を備えることを特徴とする。
本発明の実施形態により、複数のレーザ光の照射により励起される音場の指向性を簡易に制御できるレーザ励起超音波発生装置、レーザ超音波検査装置、及びレーザ超音波検査方法が提供される。
第1実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置の構成を示す構成図。 (A)、(B)第1実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置における、角度設定部の構成を示す縦断面図。 (A)レーザ光が角度設定部に案内されて入射角度θaで光学系に入射して、照射対象の表面に照射される状態を示す図、(B)レーザ光の照射部分の上面図。 レーザ光が角度設定部に案内されて入射角度θbで光学系に入射して、照射対象の表面に照射される状態を示す図、(B)レーザ光の照射部分の上面図。 光学系が複数のレンズから構成される場合に、レーザ光が光学系を介して照射される状態を示す図。 光学系内のレンズ間隔を調整したときに、レーザ光が光学系を介して照射される状態を示す図。 (A)レーザ光の照射形状が点状の場合に、超音波の励起状態を示す説明図、(B)レーザ光の照射部分の上面図。 (A)レーザ光の照射形状が楕円形状の場合に、超音波の励起状態を示す説明図、(B)レーザ光の照射部分の上面図。 レーザ光のスポット間隔を励起される超音波の波長の半分未満とした場合において、音場のグレティングローブが抑制されることを説明する図。 第1実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置の制御装置の構成を示す構成図。 第1実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置における音場の指向性制御の方法を示すフローチャート。 第2実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置の構成を示す構成図。 (A)4つのレーザ光それぞれに設定されたレーザ照射の遅延時間を示すグラフ、(B)設定された遅延時間に基づいてレーザ光が照射された場合に、照射対象内の音場を示す説明図。 第2実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置の変形例を示す構成図。 第2実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置の制御装置の構成を示す構成図。 第2実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置における音場の指向性制御の方法を示すフローチャート。 第3実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置の構成を示す構成図。 第3実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置の変形例を示す構成図。 レーザ分割部によりレーザ光が3つに分割される場合におけるレーザ励起超音波発生装置の構成を示す構成図。 中心のレーザ光の強度を弱くする一方、両端のレーザ光の強度を強く設定して照射した場合に、照射対象内の音場が中心に向かう様子を示す説明図。 分割された3つのレーザ光を、光学系を介して1つの照射領域に集める状態を示す図。 (A)3つのレーザ光を同じ強度で照射した場合の照射面におけるレーザ光の強度分布を説明する図、(B)3つのレーザ光を異なる強度で照射した場合の照射面におけるレーザ光の強度分布を説明する図。 表面が凹んだ円弧状の照射面に対してレーザ光を均一な強度で照射した場合に、照射対象内部の音場が外側に向かう様子を示す説明図。 円弧状の照射面に対して中心のレーザ光の強度を弱くする一方、両端のレーザ光の強度を強く調整して照射した場合に、照射対象内の音場が真下に向かう様子を示す説明図。 第3実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置の制御装置の構成を示す構成図。 第3実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置における音場の指向性制御の方法を示すフローチャート。 第4実施形態に係るレーザ超音波検査装置の構成を示す構成図。 第4実施形態に係るレーザ超音波検査装置の変形例を示す構成図。 第4実施形態に係るレーザ超音波検査装置の変形例を示す構成図。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように第1実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10は、レーザ光を出力するレーザ光源11と、レーザ光を複数に分割するレーザ分割部13と、分割されたレーザ光の入射角度に応じて照射されるレーザ光の照射形状及び照射間隔の少なくとも一方を調整可能な光学系19(図2)を備えて、この光学系19に入射させたレーザ光のそれぞれを表面に照射して超音波を励起させる分割レーザ照射部16と、分割されたレーザ光のそれぞれが設定された入射角度となるようにレーザ光を光学系19に案内する角度設定部15と、を備えている。
そして、制御装置17は、予め設定された照射対象50内の音場に基づいて照射対象50に照射するレーザ光の照射パラメータを決定して、この照射パラメータに応じてレーザ光それぞれの入射角度を設定する装置である。
なお、本実施形態は、超音波を用いた探傷対象となる様々な機器、構造物に適用でき、照射対象50としては、例えば火力発電プラントで用いられるタービンロータ等の機器が想定される。
レーザ励起超音波発生装置10は、レーザ分割部13で分割されたレーザ光を光学系19に異なる角度で入射して、レーザ光の照射形状及び照射間隔を任意に変えることで、照射対象50内で励起される音場の指向性を簡易に制御できる。
具体的な構成について説明する。
レーザ光源11は、レーザ光を発生させて、レーザ分割部13に出力する光源である。レーザ光源11で適用されるレーザは、Nd:YAGレーザ、COレーザ、Er:YAGレーザ、チタンサファイアレーザ、アレキサンドライトレーザ、ルビーレーザ、色素(ダイ)レーザ、エキシマレーザ、半導体レーザ、ファイバレーザ等が適宜選択される。レーザ光源11から出力されるレーザ光は、連続光を用いても良いし、パルス発振させて生成したパルス光を用いても良い。
レーザ光源11から出力されたレーザ光は、レーザ伝送部12を介してレーザ分割部13に伝送される。レーザ光の伝送は、ミラーやレンズ等を用いた空間伝送若しくは光ファイバ伝送、またはその両方を組み合わせた方法により行う。
レーザ分割部13は、レーザ光源11と角度設定部15との間に少なくとも1つ設けられて、レーザ光源11から伝送された1つのレーザ光を複数の系統に分割する。
レーザ光は、例えば、入射した光の一部を反射する一方、一部を透過させるハーフミラーを光路上に配置する方法、入射した光を複数に分岐可能な分岐型ファイバを用いる方法等により分割される。また、光をS偏光の反射光とP偏光の透過光に分岐させる偏光ビームスプリッターのように、偏光を利用する光学部材を用いてレーザ光を複数の系統に分割しても良い。
また、レーザ分割部13は、分割したレーザ光の透過率や偏光を調整することで、分割したレーザ光それぞれの光量割合を調整して出力する構成としても良い。
分割されたレーザ光は、分割レーザ伝送部14を介して角度設定部15に伝送される。なお、分割レーザ伝送部14によるレーザ光の伝送は、ミラーやレンズ等を用いた空間伝送若しくは光ファイバ伝送、またはその両方を組み合わせた方法により行う。
なお、図1では、レーザ分割部13でレーザ光が2つの系統に分割されて、分割レーザ伝送部14(14a、14b)を介して伝送される場合を例示しているが、レーザ分割部13でレーザ光が3つ以上の系統に分割される場合は、これに伴って分割レーザ伝送部14の数は調整される。以下では、レーザ分割部13で分割されたレーザ光を「分割レーザ光」と適宜省略する。
角度設定部15は、分割レーザ照射部16のレーザ光の入力側に設けられる。角度設定部15は、分割レーザ伝送部14を介して伝送された分割レーザ光のそれぞれが、設定された入射角度で分割レーザ照射部16の光学系19に入射するように、分割レーザ光のそれぞれを光学系19に案内するものである。
入射角度とは、光学系19を構成するレンズ20の中心軸に対してレーザ光がレンズ20に入射する角度を意味し、光学系19が複数のレンズ20から構成される場合は、レーザ光が最初に入射するレンズを基準として、このレンズに入射する角度を意味する。なお、入射角度は、ユーザにより予め設定される音場に応じて定まるものであり、制御装置17における入射角度の設定方法については後述する。
図2(A)、(B)を用いて角度設定部15の具体的な構成について説明する。
図2(A)に示すように角度設定部15は、レーザ光を通過させる貫通孔18が、光学系19のレンズ20に対してレーザ光が任意の角度で入射できるように、一定、または、ランダムな角度刻みで設けられている。
分割レーザ光のそれぞれについて光学系19への入射角度が設定されると、分割レーザ伝送部14から伝送されたレーザ光は、その角度に対応する貫通孔18を介して案内されて光学系19に入射される。
図2(B)は、角度設定部15の他の構成例を示している。この角度設定部15では、半円状のレール21が形成されている。レーザ光を伝送可能なコネクタ22(22a、22b)が、レール21上を移動可能に構成されており、任意の角度で保持部材23を介して固定される。
具体的には、分割レーザ伝送部14として光ファイバを用いた場合に、この光ファイバの終端コネクタ(例えば、SMAコネクタやFC/PCコネクタ)に合わせたコネクタ22を、レール21上を移動可能に配置する。分割レーザ光について光学系19への入射角度が設定されると、その角度に対応するようにコネクタ22が固定される。そして、分割レーザ伝送部14から伝送されたレーザ光は、コネクタ22を介して案内されて光学系19に入射される。
分割レーザ照射部16は、レーザ光の照射形状及び照射間隔の少なくとも一方を、入射角度に応じて調整可能な光学系19を備えている。光学系19は、光を屈折させて収束、または、発散させるレンズ20から主に構成され、ミラーや非球面レンズ、あるいは、非球面ミラー等の光学素子を組み合わせて構成しても良い。
分割レーザ照射部16は、図2に示すように1つのレンズ20で構成しても良く、また、複数のレンズ20により構成しても良い。また、レンズ20の位置を調整できるように位置調整機構を備えても良い。
分割レーザ照射部16は、設定された入射角度で光学系19に入射させて屈折させた分割レーザ光のそれぞれを、照射対象50の表面に照射して超音波を励起させる。
分割レーザ光の照射形状及び照射間隔を調整する方法について具体的に説明する。
図3(A)は、分割レーザ光が、角度設定部15を介して入射角度θaでレンズ20に入射されて、照射対象50の表面に照射される状態を示す図である。図3(B)は、照射スポットを上から見た図である。
一方、図4(A)は、分割レーザ光が、角度設定部15を介してθaよりも大きい角度の入射角度θbでレンズ20に入射されて、照射対象50の表面に照射される状態を示している。図4(B)は、図3(B)と同様に、照射スポットを上から見た図である。
図3に示すように、入射角度θaの場合、レーザ光の照射形状は点状となり、レーザ光の間隔は短くなる。一方で、θaよりも大きい角度に設定された図4の場合では、レーザ光の照射形状は楕円形状となり、レーザ光の間隔は入射角度θaの場合と比較して大きくなる。
このように、光学系19のレンズ20に対して分割レーザ光の入射角度を変化させることで、照射対象50の表面に照射されるレーザ光の照射形状及び照射間隔を調整できる。レーザ光の照射形状は、点状、線状、楕円状、リング(ドーナツ)状、三日月状等、設定される音場に応じて形状を調整する。
図5は、光学系19が3つのレンズ20(20a、20b、20c)から構成された場合に、分割レーザ光が光学系19を介して照射対象50の表面に照射される状態を示す図である。
この光学系19は、レンズ20相互の距離を変えることで、照射対象50におけるレーザ光の照射形状及び照射間隔を調整可能に構成されている。設定された角度で入射した分割レーザ光は、3つのレンズ20で屈折して照射対象50の表面に照射される。
図6は、光学系19内のレンズ間隔を調整した場合に、分割レーザ光が照射される状態を示す図である。図5における分割レーザ光の照射時と同じ入射角度に設定されているが、レンズ間隔の調整により、照射間隔が小さく調整される。
光学系19を複数のレンズ20で構成して、レンズ間の距離を調整することで、照射対象50の表面に照射されるレーザ光の照射形状及び照射間隔をより細かく調整できる。加えて、分割レーザ照射部16と表面との距離に合わせてレーザ光の集束径や焦点距離を任意に調整することもできる。
続けて、分割レーザ光の照射形状及び照射間隔が変化した場合に、複数のレーザ光によって励起される超音波の音場の変化について説明する。
図7(A)は、照射形状が点状となる複数のレーザ光を照射対象50の表面に照射した場合における、励起される音場の状態を説明する図である。図7(B)は、照射スポットを上から見た図である。
図8(A)は、照射形状が楕円形状となる複数のレーザ光を照射対象50の表面に照射した場合における、励起される音場の状態を説明する図である。図8(B)は、図7(B)と同様に、照射スポットを上から見た図である。
図7に示すようにレーザ光の照射形状が点状の場合は、照射対象50の内部で励起される超音波は球面波となり、音場も照射スポットを中心に広がって伝搬していく。
一方、図8に示すように、レーザ光の照射形状が楕円状の場合、照射対象50の内部で励起される超音波は平面波に近づいていき、音場は照射スポット直下方向への指向性の強い波が発生する。つまり、分割レーザ光の照射形状が変化することで、励起される音場は変化する。
さらに、図9は、2つの分割レーザ光の照射間隔Dを、励起される超音波の波長の半分未満とした場合における、音場の状態を説明する図である。
この場合、励起される音場は、側面方向に拡散して伝搬する成分(グレーティングローブ)が低減されて、照射スポット間でかつ下方向へ指向性の強い波が発生する。つまり、分割レーザ光の照射間隔が変化することで、超音波による音場は変化する。
このように、分割レーザ光の照射形状及び照射間隔を変化させることで、複数のレーザ光により励起される音場の指向性は変化する。
したがって、分割レーザ光の入射角度を変化させることで、照射対象50の表面に照射されるレーザ光の照射形状及び照射間隔を調整できるため、複数のレーザ光により励起される音場の指向性の調整が可能となる。
続けて、複数のレーザ光の照射により励起された超音波の音場の指向性を制御する方法説明する。
図10に示すように制御装置17は、音場設定部24と、音場情報保存部25と、照射レーザ調整部26と、を備えている。
なお、制御装置17を構成する各ユニットの機能は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)の他、HDD(Hard Disk Drive)や光ディスク装置等の外部記憶装置を含む記憶媒体である記憶回路に保持された所定のプログラムコードを、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(programmable logic device)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサなどの電子回路において実行することによって実現しても良く、このようなソフトウェア処理に限らず、例えば、ASIC等の電子回路を用いたハードウェア処理で実現しても良いし、ソフトウェア処理とハードウェア処理とを組み合わせて実現しても良い。
音場設定部24は、照射対象50内で励起される超音波の音場がユーザにより設定される。音場の設定とは、複数のレーザ光の照射によって励起される音場の状態(超音波を球面状に伝搬させる、特定の方向に進行させる等)、音場を強くする場所等、音場の指向性を設定することを意味する。
音場情報保存部25は、想定される音場のそれぞれに対応して、分割レーザ光のスポット数、レーザ光の間隔、及びレーザ光の照射形状を含む照射パラメータを予め保存している。なお、レーザ光が3つ以上の場合は、レーザ光のスポット群の分布情報を照射パラメータとして含んでも良い。
音場情報保存部25は、レーザ光の間隔、及びレーザ光の照射形状から想定される音場の情報を簡易に保存しても良いし、分割レーザ光の照射パラメータを変化させた場合において、照射対象50内に励起される音場をシミュレーションにより予め求めて、照射パラメータのそれぞれに対応させて音場の情報を保存しても良い。また、照射パラメータを変えて照射対象50に分割レーザ光を実際に照射して、照射対象50表面の振幅変調や位相変調の計測情報をもとに音場を計測して、照射パラメータのそれぞれに対応させて音場の情報を保存しても良い。
照射レーザ調整部26は、音場情報保存部25を参照して、音場設定部24で設定された音場に基づいて照射パラメータを決定する。そして、照射レーザ調整部26は、照射パラメータに対応する分割レーザ光それぞれの入射角度を設定する。
そして、照射レーザ調整部26は、分割レーザ光が設定した入射角度で光学系19に入射するように、レーザ分割部13、分割レーザ伝送部14等の分割レーザ光の伝送系統を調整する。
図11は、第1実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10における音場の指向性制御方法の一例を示すフローチャートである(適宜、図1、図10参照)。
音場設定部24は、照射対象50内で励起させる超音波の音場がユーザにより設定される(S10)。
照射レーザ調整部26は、音場情報保存部25を参照して、音場設定部24で設定された音場に基づいて照射パラメータを決定する(S11)。
照射レーザ調整部26は、照射パラメータに対応する各分割レーザ光の入射角度を設定する(S12)。照射レーザ調整部26は、分割レーザ光が設定した入射角度で光学系19に入射するように、レーザ分割部13、分割レーザ伝送部14等の分割レーザ光の伝送系統を調整する。
分割レーザ光の伝送系統が調整された後、レーザ光を照射対象50の表面に照射して、超音波を励起する(S13、S14)。
以上のように、第1実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10は、分割されたレーザ光を光学系19に異なる角度で入射して、レーザ光の照射形状及び照射間隔を変えることで、複数のレーザ光の照射により照射対象50内で励起される音場の指向性を簡易に制御できる。
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10の構成を示す構成図である。図12において第1実施形態(図1)と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
第2実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10は、レーザ分割部13と角度設定部15との間に設けられて、分割されたレーザ光の光路長を調整する光路長調整部27をさらに備えている。なお、図12では、光路長調整部27は分割レーザ伝送部14b上のみに配置されているが、分割レーザ伝送部14のそれぞれに配置しても良い。
具体的には、光路長調整部27は、レーザ分割部13から伝送されたレーザ光を反射させて、角度設定部15に伝送させるレーザ光に追加の光路を付加する複数のミラー28と、一部のミラー28を移動させて、レーザ光の光路長を調整可能な駆動機構29と、を備えている。
光路長調整部27により分割レーザ光の光路長を調整することで、照射対象50の表面に到達するレーザ光の到達時間に差を生じさせることができる。光路長が長くなれば、レーザ光が表面に到達するまでの時間は長くなるため、照射対象50内で励起される超音波の発生は遅くなる。
つまり、分割レーザ光の光路長を調整して、分割レーザ光にレーザ照射の遅延時間を設定することで、分割レーザ光のそれぞれを任意のタイミングで表面に到達させて超音波を励起させることができる。なお、遅延時間とは、光路長調整部27により光路が付加されてない場合に比較して、付加された光路長によってレーザ光の伝送が遅れる時間を意味する。
図13(A)は、4つの分割レーザ光を照射対象50の表面に照射する場合に、レーザ光のそれぞれに設定された遅延時間を示している。レーザ光A、B、C、Dに対して順に光路長を長く調整することで、レーザ光の遅延時間が順に大きく設定されている。
図13(B)は、遅延時間に基づいて分割レーザ光が照射された場合の照射対象50内の音場を示す図である。
4つの分割レーザ光が照射対象50の表面に順に遅れて照射されることで、各レーザ光により超音波が順に遅れて励起される。超音波が遅れて発生するため、照射対象50内の音場は対象表面に対して傾斜を有して進行していく(図中点線)。
このように、分割レーザ光のそれぞれの光路長を調整して、遅延時間を設定することで、照射対象50の表面に対して任意の傾斜角度(表面に対する傾き)で進行する音場を発生させることができる。
図14は、第2実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10の変形例を示す図である。
この変形例では、光路長調整部27は、角度設定部15に伝送させる分割レーザ光の光路を付加する光ファイバ30(30a、30b)を備えている。分割レーザ光を伝送する光ファイバ30の長さが調整されることで、レーザ光の光路長が調整される。
図15は、第2実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10の制御装置17の構成を示している。なお、第1実施形態に係る制御装置17(図10)と同一の構成については説明を省略する。
制御装置17は、遅延時間計算部31をさらに備えている。
遅延時間計算部31は、音場設定部24で設定された音場を入力する。遅延時間計算部31は、照射対象50の表面に対する音場の傾斜角度に基づいて分割レーザ光のそれぞれに対する遅延時間を計算する。
遅延時間の計算方法として、例えば光路長調整部27により光路が付加されてない場合においてレーザ光の照射で発生する超音波の発生時間及び照射対象50内を進行する超音波の速度を求めておき、複数のレーザ光により励起される音場が照射対象50の表面に対して設定された傾斜角度となるように、分割レーザ光それぞれに必要となる遅延時間を計算する。
そして、遅延時間計算部31は、計算した遅延時間が光路長調整部27で発生するように分割レーザ光それぞれの光路長を設定する。
図16は、第2実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10における音場の指向性制御方法の一例を示すフローチャートである(適宜、図15参照)。
音場設定部24は、照射対象50内で励起される超音波の音場がユーザにより設定される(S20)。
照射レーザ調整部26は、音場情報保存部25を参照して、音場設定部24で設定された音場に基づいて照射パラメータを決定する(S21)。
照射レーザ調整部26は、照射パラメータに対応する各分割レーザ光の入射角度を設定する(S22)。照射レーザ調整部26は、分割レーザ光が設定した入射角度で光学系19に入射するように、レーザ分割部13、分割レーザ伝送部14等の分割レーザ光の伝送系統を調整する。
遅延時間計算部31は、設定された音場における照射対象50の表面に対する傾斜角度に基づいて分割レーザ光のそれぞれに対する遅延時間を計算する(S23)。
そして、遅延時間計算部31は、計算した遅延時間が光路長調整部27で発生するように分割レーザ光それぞれの光路長を設定する(S24)。光路長調整部27は、設定された光路長になるようにレーザ光のそれぞれについて光路長を調整する。
分割レーザ光の伝送系統が調整された後、レーザ光を照射対象50の表面に照射して、超音波を励起する(S25、S26)。
以上、第2実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10では、光路長調整部27により分割レーザ光に光路長を付加して遅延時間を設定することで、複数のレーザ光の照射により励起される音場の傾斜角度を調整することができる。
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10の構成を示す構成図である。図17において第1実施形態(図1)と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
第3実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10は、レーザ分割部13と角度設定部15との間に設けられて、分割レーザ光の強度を調整する強度調整部32をさらに備えている。
強度調整部32は、分割レーザ光の透過量を調整するための可変式ビームスプリッター33と、ハーフミラー34と、を備えている。ハーフミラー34は、理想的な条件において、100%の出力を有するレーザ光が、分割時に例えば50%ずつの出力を有する分割レーザ光となる。なお、分岐型ファイバや偏光板を利用して、レーザ光の強度を調整しても良い。分岐型ファイバは、例えば複数本のコアで構成されたバンドルファイバ等があり、その分配数によって光の強度の調整ができる。
図18は、第3実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10の変形例を示す図である。
この変形例では、光路長調整部27は、例えばレンズなどからなる半波長板35と、偏光ビームスプリッター36と、を備えている。
分割レーザ光を半波長板35に通過させることで、S偏光とP偏光の割合を調整する。調整された分割レーザ光を偏光ビームスプリッター36に通過させて、S偏光を反射させる一方、P偏光は透過させて角度設定部15に伝送する。分割レーザを半波長板35、偏光ビームスプリッター36に順番に通すことで、透過量が調整される。
なお、強度調整部32として、反射光と透過光の光量分岐比を一定とする誘電体多層膜を塗布した光学部材を用いても良く、入射角度を変えることで反射光と透過光の光量分岐比を可変な可変式ビームスプリッターを使用しても良い。
図19は、レーザ分割部13によりレーザ光を3つに分割する場合のレーザ励起超音波発生装置10の構成を示している。レーザ分割部13において分割された3つのレーザ光が強度調整部32に入力されて、分割レーザ光のそれぞれの強度が調整される。そして、分割レーザ光は、角度設定部15を介して分割レーザ照射部16から照射対象50に照射される。
図20は、3つの分割レーザ光を照射する場合において、中心のレーザ光の強度を弱く設定する一方、両端のレーザ光の強度を強く設定してレーザ照射した場合の音場の状態を示す説明図である。
この場合、励起される音場は、照射スポット群の中心付近で高い強度が生じる。つまり、分割レーザ光それぞれの強度を調整することで、励起される音場の指向性を調整することができる。
図21は、3つに分割された分割レーザ光が、レーザ照射部の光学系19を介して照射対象50の表面で重なるように照射された状態を示す図である。光学系19を構成する複数のレンズ20(20a,20b,20c,20d)の位置が調整されることで、3つの分割レーザ光a、b、cが照射対象50の表面に重なるように照射される。
図22(A)は、3つの分割レーザ光を同じ強度で照射対象50に照射した場合における照射対象50の表面での強度を説明する説明図である。この場合、照射対象50の表面での強度は、3つの分割レーザ光a、b、及びcが足し合わされてガウシアン型の分布となる。
図22(B)は、中心部に照射される分割レーザ光bの強度を弱くする一方、両端の分割レーザ光a及びレーザ光cの強度を強く設定した場合における照射対象50の表面での強度を説明する説明図である。この場合、照射対象50の表面での強度は、中心部が平らなトップハット型の分布となる。
この状態では、ビーム径が大きくなるため下方向へ指向性の強い波が発生する。加えて、強度分布の周辺部が切り立った形状となり、中心部と周辺部の温度勾配が急峻となるため、発生する超音波の周波数を高くすることができる。
このように、強度をそれぞれ調整した分割レーザ光を照射対象50の表面で合成することで、励起される超音波の指向性および周波数を制御することが可能となる。
また、照射対象50の表面の形状により超音波の音場は変化する。表面の形状が、凹状など平面でないとき、照射面に対してレーザ光が斜角で入射された場合、照射面に対して垂直な応力成分が超音波の励起に寄与する。このため、同じ強度のレーザ光を平面に照射した場合に比べ、斜面に照射すると励起された超音波の強度は低下する。
例えば、下側に凹んだ円弧状の表面を有する照射対象50に対して、図23(A)に示すように中心部の強度が略一定で、両端に向かって強度が低下するレーザ光を照射した場合、レーザ光の両端部における超音波の強度が低下して、超音波は球面状に伝搬する。
一方、同様の表面を有する照射対象50に対して、図23(B)に示すようにレーザ光の強度分布について中心部を弱く、両端部を強く設定して照射した場合、中心部と両端部で超音波の励起に寄与する応力成分が等量となり、超音波は真下に平面状に伝搬する。
このように、照射面の形状に応じてレーザ光の強度を調整することで、音場を制御することができる。
図25は、第3実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10の制御装置17の構成を示す構成図である。なお、第1実施形態に係る制御装置17(図10)と同一の構成については説明を省略する。
照射面形状設定部51は、照射対象50における照射面の形状を設定する。照射面の形状は、面形状を計測する計測器により測定した実際の測定値を用いてもよいし、照射対象50における既知の設計値を設定してもよい。
そして、照射レーザ調整部26は、設定された音場及び照射対象50の表面形状に応じて分割レーザ照射部16に伝送される各レーザ光の強度を設定する。強度調整部32は、設定された強度となるように分割レーザ光の強度を調整する。
図26は、第3の実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10における音場の指向性制御方法の一例を示すフローチャートである(適宜、図19、図25参照)。
音場設定部24は、照射対象50内で励起させる超音波の音場がユーザにより設定される(S30)。
照射面形状設定部51は、照射面の形状を設定する(S31)。なお、照射面の形状は、照射対象50の表面形状の実測値、または、照射対象50の設計値をもとにユーザにより設定される。
照射レーザ調整部26は、音場情報保存部25を参照して、音場設定部24で設定された音場に基づいて照射パラメータを決定する(S32)。照射レーザ調整部26は、分割レーザ光が設定した入射角度で光学系19に入射するように、レーザ分割部13、分割レーザ伝送部14等の分割レーザ光の伝送系統を調整する。
照射レーザ調整部26は、設定された超音波の音場及び照射対象50の表面形状に応じて各分割レーザ光の強度を設定する(S33)。強度調整部32は、設定された強度となるように分割レーザ光の強度を調整する。
分割レーザ光の伝送系統が調整された後、レーザ光を照射対象50の表面に照射して、超音波を励起する(S34、S35)。
以上、第3実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10では、強度調整部32により分割レーザ光それぞれの強度を調整することで、複数のレーザ光の照射により照射対象50内で励起される音場の指向性をより広く制御できる。
(第4実施形態)
次に、レーザ光の照射により発生させた超音波を用いて対象内部を探傷するレーザ超音波検査装置40について説明する。
図27は、第4実施形態に係るレーザ超音波検査装置40の構成を示す図である。なお、図27において第1実施形態に係るレーザ励起超音波発生装置10と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
レーザ超音波検査装置40は、レーザ励起超音波発生装置10を用いてレーザ光を照射対象50表面に照射して超音波を励起させる一方、計測用のレーザ光を照射対象50表面に照射して、反射光に基づいて照射対象50内の欠陥の有無を検査する装置である。欠陥とは、例えばブローホールやスラグ巻き込みといった球状の欠陥や遅れ割れや融合不良といった亀裂状の溶接欠陥を意味する。
レーザ超音波検査装置40は、レーザ励起超音波発生装置10に加えて、超音波を受信するための計測用レーザを出力する計測用レーザ光源41、計測レーザを照射対象50に照射する計測用レーザ照射部42、計測レーザの反射光を集光する計測用レーザ集光部43と、反射光から超音波信号を抽出するレーザ干渉計44と、抽出された超音波信号を含む信号をデジタル化する信号処理部45と、を備えている。
計測用レーザ光源41は、照射対象50内で反射、または、散乱の影響を受けた超音波を受信するための計測用レーザ光を出力する。計測用レーザ光源41は、レーザ光源11と同様の光源が用いられる。
計測用レーザ照射部42は、計測用レーザ光源41から伝送された計測用レーザ光を照射対象50に照射する。計測用レーザ照射部42は、計測用レーザの照射形状を任意に形成するための光学系を備えても良い。計測レーザ光のスポット形状としては、例えば点状、線状、楕円状、リング(ドーナツ)状、三日月状を用いる。
計測用レーザ集光部43は、計測用レーザ光の照射点から反射された反射レーザ光を集光する。集光した反射レーザ光はレーザ干渉計44に伝送される。なお、計測用レーザ光及び反射レーザ光の伝送は、ミラーやレンズ等を用いた空間伝送若しくは光ファイバ伝送、またはその両方を組み合わせた方法により行う。
レーザ干渉計44は、反射レーザ光から超音波信号を抽出する装置である。レーザ干渉計44としては、マイケルソン干渉計、ホモダイン干渉計、ヘテロダイン干渉計、フィゾー干渉計、マッハツェンダー干渉計、ファブリー=ペロー干渉計およびフォトリフラクティブ干渉計等を用いることができる。また、超音波信号を抽出する方法として、ナイフエッジ法等の干渉計測以外の方法を用いても良い。
信号処理部45は、レーザ干渉計44により検出された超音波信号を入力して、アナログ信号からデジタル信号に変換する。そして、得られた計測データに対してデジタルフィルタ処理、平均化処理、画像化処理等を実行する。
レーザ超音波検査装置40における欠陥検出の方法について説明する。
レーザ励起超音波発生装置10は、レーザ光を照射して、照射対象50の内部に超音波を励起する。照射対象50内に欠陥が存在する場合、励起された超音波は欠陥の位置で反射(または、散乱)する。
計測用レーザ照射部42は、照射対象50の表面に照射する。計測レーザの照射点に超音波が到達して照射対象50の表面が振動した場合、表面で反射した反射レーザ光は振幅変調、位相変調、反射角度の変化等、超音波の影響を受けて計測用レーザ集光部43に集光される。
超音波の影響を受けた反射レーザ光をレーザ干渉計44で計測した場合、位相変調量が電圧信号の変化として出力される。この変化分が超音波信号として抽出される。照射対象50内に欠陥が存在する場合、超音波信号の中から散乱波が得られるため、散乱波の有無によって照射対象50の内部の欠陥有無を判別できる。
第4実施形態に係るレーザ超音波検査装置40では、レーザ励起超音波発生装置10により指向性が制御された音場を照射対象50内に発生させるため、照射対象50内を効率的に超音波探傷できる。
図28は、レーザ超音波検査装置40の構成の変形例を示す図である。
この変形例では、分割レーザ照射部16、計測用レーザ照射部42、及び計測用レーザ集光部43が自動機46に配置されている。
自動機46は、分割レーザ照射部16、計測用レーザ照射部42、及び計測用レーザ集光部43を照射対象50の表面に配置可能な装置であり、例えば図28に示すように車輪を有して、照射対象50の表面を移動できる自走型、あるいは、照射部や集光部を照射対象50の表面上で支持するアーム型を用いる。
なお、レーザ光源11及びレーザ分割部13は、自動機46の外部に配置されており、分割レーザ光は分割レーザ伝送部14を介して自動機46に配置された分割レーザ照射部16に伝送される。計測用レーザ光源41、レーザ干渉計44、及び信号処理部45は、自動機46の外部に配置されている。
また、自動機46は、分割レーザ照射部16、計測用レーザ照射部42、及び計測用レーザ集光部43のそれぞれの配置位置を調整可能な駆動機構を備えており、レーザの照射面及び集光面が調整される。
具体的には、分割レーザ照射部16は、レーザ光の照射面と照射対象50の表面との距離dを計測する計測センサ49を有している。分割レーザ照射部16は、計測センサ49された距離dに基づいて、所定の照射距離(照射に適切な距離)で照射対象50の表面にレーザ光が照射されるように配置位置が調整される。なお、計測センサ49は、赤外線やレーザ等を用いて距離を計測するセンサである。
同様に、計測用レーザ照射部42及び計測用レーザ集光部43のそれぞれは、表面との距離を計測するための計測センサ49を有しており、計測センサされた距離に基づいて、所定の距離で照射対象50の表面にレーザ光を照射及び集光されるように配置位置が調整される。
このように、自動機46により表面を移動して探傷する場合であっても、レーザ光の照射面及び集光面と照射対象50の表面との距離が常に一定に設定されるため、高い精度での計測を維持できる。
図29は、レーザ超音波検査装置40の構成の変形例を示す図である。
この変形例では、溶接トーチ47が自動機46に取り付けられており、溶接処理とともに超音波による探傷作業を同時に実施する。
溶接トーチ47は、溶接材を噴出して、照射対象50に対して溶接処理するための溶接機器である。なお、溶接トーチ47による溶接は、TIG溶接、MAG溶接、MIG溶接、被覆アーク溶接等のアーク溶接や、レーザを光源としたレーザ溶接でも良い。
溶接処理中に超音波による探傷作業する場合、溶接によって発生する輻射熱が発生する。この輻射熱の影響により、分割レーザ照射部16、計測用レーザ照射部42、及び計測用レーザ集光部43を構成するレンズ等の光学系が歪むおそれがある。光学系が歪むと、レーザ光の伝搬経路に支障をきたす。
そこで、溶接トーチ47と、分割レーザ照射部16、計測用レーザ照射部42、及び計測用レーザ集光部43との間に断熱部48を設ける。断熱部48を設けて溶接トーチ47からの熱を遮断することで、レーザ照射系、反射レーザ光の集光系への溶接トーチ47からの輻射熱の影響を低減できる。
以上述べた各実施形態のレーザ超音波装置によれば、分割されたレーザ光を光学系に異なる角度で入射して、レーザ光の照射形状、照射間隔を変えることで、複数のレーザ光の照射により励起される音場の指向性を簡易に制御できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…レーザ励起超音波発生装置、11…レーザ光源、12…レーザ伝送部、13…レーザ分割部、14…分割レーザ伝送部、15…角度設定部、16…分割レーザ照射部、17…制御装置、18…貫通孔、19…光学系、20…レンズ、21…レール、22…コネクタ、23…保持部材、24…音場設定部、25…音場情報保存部、26…照射レーザ調整部、27…光路長調整部、28…ミラー、29…駆動機構、30…光ファイバ、31…遅延時間計算部、32…強度調整部、33…可変式ビームスプリッター、34…ハーフミラー、35…半波長板、36…偏光ビームスプリッター、40…レーザ超音波検査装置、41…計測用レーザ光源、42…計測用レーザ照射部(レーザ照射部)、43…計測用レーザ集光部(レーザ集光部)、44…レーザ干渉計、45…信号処理部、46…自動機、47…溶接トーチ、48…断熱部、49…計測センサ、50…照射対象、51…照射面形状設定部。

Claims (11)

  1. レーザ光を出力するレーザ光源と、
    出力された前記レーザ光を複数に分割するレーザ分割部と、
    分割された前記レーザ光の入射角度に応じて照射対象の表面に照射される前記レーザ光の照射形状及び照射間隔の少なくとも一方を調整可能な光学系を備えて、この光学系に入射させた前記レーザ光のそれぞれを前記表面に照射して前記照射対象に超音波を励起させる分割レーザ照射部と、を備えることを特徴とするレーザ励起超音波発生装置。
  2. 分割された前記レーザ光のそれぞれが、設定された前記入射角度となるように前記レーザ光を前記光学系に案内する角度設定部を備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザ励起超音波発生装置。
  3. 予め設定された前記照射対象内の音場に基づいて前記照射対象に照射する前記レーザ光の照射パラメータを決定して、この照射パラメータに応じて分割された前記レーザ光それぞれの前記入射角度を設定する制御装置を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザ励起超音波発生装置。
  4. 前記分割レーザ照射部に伝送される前記レーザ光の光路長を調整する光路長調整部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレーザ励起超音波発生装置。
  5. 前記制御装置は、前記表面に対する前記音場の傾斜角度に基づいて分割された前記レーザ光のそれぞれを遅延させる遅延時間を計算して、計算した遅延時間に基づいて前記レーザ光それぞれの光路長を設定し、
    前記光路長調整部は、設定された光路長になるように前記レーザ光のそれぞれについて光路長を調整することを特徴とする請求項4に記載のレーザ励起超音波発生装置。
  6. 前記分割レーザ照射部に伝送される前記レーザ光の強度を調整する強度調整部を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のレーザ励起超音波発生装置。
  7. 前記強度調整部は、
    前記照射対象の表面形状に応じて前記分割レーザ照射部に伝送される前記レーザ光それぞれの強度を調整することを特徴とする請求項6に記載のレーザ励起超音波発生装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のレーザ励起超音波発生装置と、
    前記照射対象内で反射、または、散乱の影響を受けた前記超音波を受信するための計測用レーザ光を出力する計測用レーザ光源と、
    前記計測用レーザ光を前記照射対象に照射する計測用レーザ照射部と、
    前記計測用レーザ光の照射により、前記照射対象から反射した反射レーザ光を集光する計測用レーザ集光部と、
    前記反射レーザ光に基づいて超音波信号を抽出するレーザ干渉計と、を備えることを特徴とするレーザ超音波検査装置。
  9. レーザの照射面及び集光面と前記表面との距離を計測する計測センサを備えて、
    計測された前記距離に基づいて前記分割レーザ照射部、前記計測用レーザ照射部、及び前記計測用レーザ集光部の配置が調整されることを特徴とする請求項8に記載のレーザ超音波検査装置。
  10. 前記照射対象に対して溶接処理するための溶接トーチと、
    前記溶接トーチから発生する熱を遮断する断熱部を備えることを特徴とする請求項7または請求項9に記載のレーザ超音波検査装置。
  11. レーザ光を出力するステップと、
    出力された前記レーザ光を複数に分割するステップと、
    分割された前記レーザ光の入射角度に応じて照射対象の表面に照射される前記レーザ光の照射形状及び照射間隔の少なくとも一方が調整可能な光学系を備えた分割レーザ照射部を用いて、分割された前記レーザ光のそれぞれを前記光学系に入射させて、前記表面に照射して超音波を励起させるステップと、
    前記照射対象内で反射、または、散乱の影響を受けた前記超音波を受信するための計測用レーザ光を出力するステップと、
    前記計測用レーザ光を前記照射対象に照射するステップと、
    前記計測用レーザ光の照射により、前記照射対象から反射した反射レーザ光を集光するステップと、
    前記反射レーザ光に基づいて超音波信号を抽出するステップと、を含むことを特徴とするレーザ超音波検査方法。
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