以下、本願発明に係る角形鋼管の連結構造および同角形鋼管の連結構造を採用して構成された本願発明の幾つかの実施の形態に係る天井枠吊り下げ構造について、添付の図面(図1〜図58)を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
先ず図1〜図12は、本願発明に係る角形鋼管の連結構造を採用して構成された本願発明の第1の実施の形態(基本形態)に係る天井枠吊り下げ構造を示している。
すなわち、本願発明の第1の実施の形態における天井枠吊り下げ構造は、たとえば図1に示されるように、所定の間隔を置いて相互に平行に配置された複数本の野縁受け1,1・・および該野縁受け1,1・・に対して野縁取り付け金具2,2・・を介して所定の間隔を置いて直交する方向にそれぞれ平行に取り付けられた複数本の野縁3,3・・よりなる天井枠と、該天井枠をたとえば建物の上階床等の下面に設けられた天井スラブ(後述する図53の符号40を参照)に対して吊り下げる複数本の吊りボルト4,4・・と、これら複数本の吊りボルト4,4・・の所定の吊りボルト4,4・・の上端部と上記天井枠を構成する野縁受け1,1・・とを斜めに連結する複数本のブレース材5,5・・とから構成されている。
上記複数本の野縁受け1,1・・および野縁3,3・・は、たとえば図2に示すように、それぞれ断面正方形および断面長方形の各角形鋼管により構成されている。これら各角形鋼管は、すでに述べたように、ロールフォーミング加工などによって金属板を断面方形に曲げ加工し、その両側縁部分をコーナー部の一側部分で相互にS字形に抱き合わせる形で連結し、一方側の側縁の隣接部内側にU状の折り曲げリブを設けることによって上記抱き合わせ部をカシメ付けて一体化した圧縮強度、曲げ剛性、捩り剛性の高い閉断面構造体となっており、そのコーナー部の一部の内側にカシメ部1A、3Aによる凸部1a、3aが形成されている。
そして、このような構造の角形鋼管よりなる上記野縁受け1,1・・に対して同様の構造の角形鋼管よりなる野縁3,3・・を取り付ける取り付け金具(金属製の直交クリップ)2,2・・は、図2に詳細に示すように、上記野縁受け1,1・・の上部および両側を挟むように嵌合された断面コの字形の第1の嵌合部2Aと該第1の嵌合部2Aの側壁部21,21下端の両側に在って直交方向に一体に設けられていて、上記野縁3,3・・の上部および両側部を挟むように嵌合された断面コの字形の第2の嵌合部2Bとから構成されており、それら第1、第2の各嵌合部2A、2Bの左右一対の側壁部21,21、22,22部分をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)23,23,24,24を用いて締結することにより、上記野縁3,3・・が上記野縁受け1,1・・の下面側にクロス状態で連結一体化されるようにしている。
他方、上記吊りボルト4,4・・の下端には、たとえば図3に詳細に示すように、天井枠の野縁受け1,1・・部分を吊り持ち支持するための野縁受け吊設金具(吊り下げ金具)6が設けられており、該野縁受け吊設金具6を介して上記野縁3,3・・を取り付ける野縁受け1,1・・が吊設支持されている。
この野縁受け吊設金具6は、上記野縁受け1,1・・の下部側に在って上記野縁受け1,1・・を受ける断面U状の下部側吊り持ち金具ユニット6Aと、上記野縁受け1,1・・の上部側に在って下端部を上記断面U状の下部側吊り持ち金具ユニット6Aの上端部に連結された断面逆U状の上部側連結金具ユニット6Bとからなっており、それらの相互に嵌合する左右一対の側壁部分を連結ボルト7で一体に連結することにより上下に長い環状構造に一体化されている。また、それら相互に嵌合する左右両側壁部の下端をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)8,8で野縁受け1,1・・の側壁部に締結して固定している。
そして、上記断面逆U状の上部側連結金具ユニット6Bの天壁部分中央には、ボルト貫通穴が形成されており、該ボルト貫通穴に対して上記吊りボルト4,4・・の下端側が上方から下方に所定の長さ挿通されるようになっており、上記吊りボルト4,4・・の下端を所定の長さ挿通した後、同じくボルト貫通穴を有する補強プレート10およびワッシャ―を介してその天壁部を挟む上下部分をナット9a、9bで締め付けて固定することにより、上記野縁受け吊設金具6が上記吊りボルト4,4・・の下端に対して確実かつ強固に連結され、上記野縁受け吊設金具6を介して上記野縁3,3・・を取り付けている野縁受け1,1・・が上記吊りボルト4,4・・に対して確実かつ強固に連結支持されている。これにより最終的に野縁3,3・・及び野縁受け1,1・・よりなる天井枠自体が吊りボルト4,4・・の下端に取り付けられている。
一方、同吊りボルト2,2・・は、その上端から下端までの外周面全体に所定の深さおよび所定の溝幅のネジ溝を有し、所定の軸径で上下方向にストレートに延びるボルト部材(頭部のないネジ溝付ロッド部材)により構成されている。そして、その上端側は、天井スラブ中にインサートされた状態で強固に埋設(固定)されているスリーブ状の吊りボルト係止部材の吊りボルト連結孔内に螺合されることにより連結係止されている(図示省略)。
すなわち、天井スラブの吊りボルト4,4・・の吊り下げ位置には、上下方向に所定の深さ(長さ)の吊りボルト連結孔および係止用縁部を備えたスリーブ状の吊りボルト係止部材がインサート設置(固定)されており、同吊りボルト係止部材の対応するネジ溝を備えた吊りボルト連結孔に対して吊りボルト4,4・・の上端側の所定長さ部分を螺合係止することにより吊りボルト4,4・・が確実、かつ強固に垂設固定されている。
この第1の実施の形態の天井枠吊り下げ構造では、上記のように構成された天井枠の所定の野縁受け1,1・・と所定の吊りボルト4,4・・の上端との間に、さらにブレース材(斜め補強材)5,5・・が連結され、上記吊りボルト4,4・・と野縁受け1,1・・との間で所定の内角関係の直角三角形を形成することにより、一層強固な天井下地トラス構造が実現されるように構成している。
このブレース材5,5・・には、上記野縁受け1,1・・と同様の構造の強度の高い角形鋼管が使用されており、たとえば図4に示すように、その下端側は連結ブラケット50を介して上記野縁受け1,1・・の側壁部に対して連結されている。連結ブラケット50は、断面U字形の上端部側壁部51a,51aをブレース材5の下端部に締結面を合わせた上で、所定の傾斜角(たとえば45度)に傾斜させてドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)11,11、11,11で締結するとともに、さらに同断面U字形の上端部側壁部51a,51aから下方に長く延びる左右一対の平行な連結片51b,51b部分を上記野縁受け1,1・・の側壁面に合せてドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)12,12、12,12により締結することにより、上記野縁受け1,1・・に対して連結されている。
他方、上記ブレース材5,5・・の上端と上記吊りボルト2,2・・の上端とは、たとえば図5に示すように、ブレース材5,5・・による対角線方向の連結長さおよび連結角度の調整が可能なブレース材連結金具を用いて連結されるようになっている。
このブレース材連結金具は、たとえば図5に示すように、吊りボルト4,4・・の内の所定の吊りボルト4の外周に嵌合されて最上端位置(図示しない天井スラブの下面に接する位置)に係止される水平方向に断面U字形状をなすブレース材連結金具係止ホルダー15と、該ブレース材連結金具係止ホルダー15の開放端側左右両側壁部15a,15aに軸着ボルト14のボルト軸およびボルト軸の軸端に螺合される締結ナット(図示省略)を介して相対回動可能に連結された同じく断面U字形状(どちらかと言うとコ字形状に近い)の連結ボルト連結金具54と、角形鋼管よりなる上記ブレース材5の上端部外周に嵌合され、ドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)13、13を用いて締結固定された連結ボルト保持部材52と、該連結ボルト保持部材52の上端部内側一側面にボルト軸53aの頭部を支持されている一方、同ボルト軸53aの先端側を上記連結金具54後壁54bの螺合孔を螺合状態で貫通して上記連結金具54内前方に伸縮可能に突出させた連結ボルト53とからなっている。
また、上記連結金具係止ホルダー15は、断面U字形状のホルダー本体の内側に同一軸状態で嵌装された同じく断面U字形状の係止ギヤホルダー15cと、該係止ギヤホルダー15cの内側に軸支用のスリーブを介して同一軸心状態で回転可能に嵌装された一対の係止ギヤ16、16とから構成されている。
このブレース材連結金具の基本的な構成および作用については、本件出願人の先願(特開2017−133279号/特願2016−15264号)の明細書および図面に詳しく記載されており、この実施の形態のものも基本的には同様の作用を奏する。この第1の実施の形態の場合、ブレース材5が角形鋼管よりなるために、連結ボルト保持部材52側の連結ボルト保持構造が角形鋼管に適したものに構成されているだけである。
ところで、上記天井枠を構成する野縁受け1,1・・及び野縁3,3・・は、それぞれ所定の単位長さのものを相互に連結することにより、天井部の設置形状、設置面積に応じた必用な長さ(X−Y各方向の)のものに形成されるようになっている。
今、図6は、上述した野縁受け1,1・・の野縁受け1,1・・同士の連結部の構成と野縁3,3・・の連結端部の構成とをそれぞれ示している。また、図7は、上記角形鋼管よりなる野縁受け1,1・・の連結端部同士を相互に接続する略同形状の角形鋼管よりなるジョイント部材17の構成を示している。 また図8は、同ジョイント部材17を用いた野縁受け1,1・・相互の連結時の連結操作状態を示している。さらに図9は、同連結操作状態における野縁受け1,1・・のジョイント部材17を取り付けた(一端側を挿入固定した)野縁受け1,1・・およびジョイント部材17連結端部の構成を示している。
すなわち、この実施の形態における野縁受け1,1・・は、図6に示すように、その4つのコーナー部の一部に(一面側に)カシメ部1Aが設けられている。そして、同カシメ部1Aの外周面側は当該角形鋼管の外周面と同一の連続する平面に形成されているが、他方、内周面側は部分的に所定の厚さ、所定の幅で内側に突出する凸部1aを形成し、そのまま両端間に亘って延びている。
したがって、上記ジョイント部材17を当該凸部1aがない角形鋼管の内径と断面形状に対応させた(隙間なく内側に嵌合し得る)外径の角形鋼管で構成すると、当該凸部1a部分が邪魔になって野縁受け1,1・・の連結端部内にジョイント部材17を図6のように嵌合(挿入)することができない問題が生じる。
そこで、この第1の実施の形態では、上記ジョイント部材17の4つのコーナー部の少なくとも1つのコーナー部の一部(野縁受け1,1・・側の凸部1aに対応する部分)に当該凸部1aの内側への突出厚さおよび幅に応じた深さおよび幅の凹部17aを両端間に亘って設け、同凹部17aによって上記カシメ部1Aの凸部1aにジョイント部材17の端部および外周面の一部が衝合(干渉)することを回避するようにしている。
この結果、同構成によると、図7のジョイント部材17は、図8および図9のように、容易に一方側野縁受け1,1・・の連結端部内に挿入、嵌合されるようになり、所定寸法嵌合後、その左右両側壁部分をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)18,18で野縁受け1,1・・の左右両側壁部に締結固定されて一体化されることになる。そして、その後、他方側の連結すべき野縁受け1,1・・の連結端部が、当該ジョイント部材17の突出する他端側に矢印で示すように外嵌状態で嵌合され、嵌合完了後、その左右両側壁部分をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)19,19でジョイント部材17の左右両側壁部に締結固定されて一体化される。このようにして、2本の野縁受け1,1の連結端部同士が相互に連結された状態を示すのが図6である。この図6では、2本の野縁受け1,1の連結端部以外の余分な長さ部分は切断し、短くして示している。したがって、本来図面手前側の切断端面部分にはハッチングが入るが、板厚が薄いために省略して示している。
ところで、このように1本のジョイント部材17を介して2本の野縁受け1,1の連結端部同士を接続する場合、相互の連結端部に挿入されるジョイント部材17の挿入寸法は、各端部に対して均等に1/2ずつにする必要がある。
そこで、この第1の実施の形態の場合、上記角形鋼管よりなるジョイント部材17の上面側には、全体の長さの中間部分(1/2部分)に位置して、所定の高さ上方に起立した位置規制用のストッパー(位置規制手段)17cが設けられており、図6のように、2本の野縁受け1,1の各連結端部内に挿入された時の挿入寸法が各端部側で均等になるように構成されている。したがって、このような構成の場合、ストッパー17cに突き当たる形で挿入すれば足り、挿入寸法の調整は不要となる。
このストッパー17cは、たとえば角形鋼管の上壁部中央(前後左右各方向の中間部)の一部を左右方向に長く延びる形で上方に所定の高さ切り起こした切り起こし片により形成されている。
また、このようにジョイント部材17を介して2本の野縁受け1,1の連結端部同士を接続する場合、ジョイント部材17の各端部と2本の野縁受け1,1の連結端部との挿入が容易であることも必要である。
そこで、この第1の実施の形態では、たとえば図7に示すように、少なくともジョイント部材17両端部の凹部17aを除く上片部分17b,17bと下片17d,17d部分をストレートではなく、少し内方側にテーパー面を形成するような傾斜(又は曲成)面に形成している。
このような構成によると、当該テーパー面が野縁受け1,1の連結端部への挿入時のガイド面となって、スムーズな挿入が実現されるので、連結時の作業効率が大きく向上する。
なお、この場合において、上下両片部分17b、17dに加えて、さらに左右両側片部分も内窄まりのテーパー面に形成すると、より挿入作業がスムーズになる。
また、図6のように、挿入されたジョイント部材17の両端部の側壁部に野縁受け1,1連結端部の側壁部をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)18,18、19,19を螺合して締結一体化するに際し、少なくとも野縁受け1,1の連結端部側壁部側には、それぞれ螺合位置を示すネジ穴18a,18a、19a,19aが形成されており、確実な螺合締結が実現されるようになっている。
また、他の実施の形態として後述するように、上記ストッパー17cは、上面側のみでなく、下面側又は上下両面側に設けても良く(後述の図26参照)、また、野縁受け1,1連結端部のストッパ―17cとの当接面には、必要に応じてストッパー17cを嵌合する切り欠き凹部20,20を設けることもできる(後述の図27、図28を参照)。もちろん、上記ストッパー17cは、さらに左右いずれかの面又は左右両面側に設けても良い。
この野縁受け1,1の連結構造と全く同様の連結構造は、たとえば図6、図10〜図12に示すように、同じくカシメ部3Aを有する角形鋼管よりなる野縁3,3の連結構造にも採用されている。
すなわち、この第1の実施の形態の場合、野縁3,3も、その断面形状が野縁受け1,1に比べて偏平なだけで、それ以外は全く同様のカシメ部3Aおよびカシメ部3Aによる凸部3aを有する角形鋼管よりなっている。
したがって、単に凸部3aを考慮しない野縁3,3・・の断面形状に応じた断面形状と寸法のジョイント部材17を用いて連結しようとすると、野縁受け1,1の場合と全く同様の嵌合不可能の問題が生じる。
そこで、この実施の形態では、当該野縁3,3連結用のジョイント部材17の4つのコーナー部の少なくとも1つのコーナー部の一部(野縁3,3・・側の凸部3aに対応する部分)に当該凸部3aの内側への突出厚さおよび幅に応じた深さおよび幅の凹部17aを両端間に亘って設け、同凹部17aによって上記カシメ部3Aの凸部3aにジョイント部材17の端部および外周面の一部が衝合(干渉)することを回避するようにしている。
この結果、同構成によると、図10のジョイント部材17は、たとえば図11および図12のように、容易に一方側野縁3,3・・の連結端部内に挿入、嵌合されるようになり、所定寸法嵌合後、その左右両側壁部分をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)18,18で野縁3,3・・の左右両側壁部に締結固定されて一体化されることになる。
そして、その後、他方側の連結すべき野縁3,3・・の連結端部が、当該ジョイント部材17の突出する他端側に矢印で示すように外嵌状態で嵌合され、嵌合完了後、その左右両側壁部分を一端側と同様にドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)19,19でジョイント部材17の左右両側壁部に締結固定されて一体化される。
このようにして、2本の野縁3,3の連結端部同士が図6の野縁受け1,1と同様に連結一体化される。
ところで、このように1本のジョイント部材17を介して2本の野縁3,3の連結端部同士を接続する場合にも、相互の連結端部に挿入されるジョイント部材17の挿入寸法は、各端部に対して均等に1/2ずつにする必要がある。
そこで、この第1の実施の形態の場合、角形鋼管よりなるジョイント部材17の上面側には、全体の長さの中間部分(1/2部分)に位置して、所定の高さ上方に起立した位置規制用のストッパー(位置規制手段)17cが設けられており、2本の野縁3,3の各連結端部内に挿入された時の挿入寸法が各端部側で均等になるように構成されている。したがって、このような構成の場合、ストッパー17cに突き当たる形で挿入すれば足り、挿入寸法の調整は不要となる。
このストッパー17cは、たとえば角形鋼管の上壁部中央(前後左右各方向の中間部)の一部を左右方向に長く延びる形で上方に所定の高さ切り起こした切り起こし片により形成されている。
また、このようにジョイント部材17を介して2本の野縁3,3の連結端部同士を接続する場合、ジョイント部材17の各端部と2本の野縁3,3の連結端部との挿入が容易であることも必要である。
そこで、この第1の実施の形態では、たとえば図10に示すように、少なくともジョイント部材17両端部の凹部17aを除く上片部分17b,17bと下片17d,17d部分をストレートではなく、少し内方側にテーパー面を形成するような傾斜(又は曲成)面に形成している。
このような構成によると、当該テーパー面が野縁3,3の連結端部への挿入時のガイド面となって、スムーズな挿入が実現されるので、連結時の作業効率が大きく向上する。
なお、この場合において、上下両片部分17b、17dに加えて、さらに左右両側片部分も内窄まりのテーパー面に形成すると、より挿入作業がスムーズになる。
また、この場合にも、上記挿入されたジョイント部材17の両端部の側壁部に野縁3,3連結端部の側壁部をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)18,18、19,19を螺合して締結一体化するに際し、少なくとも野縁3,3の連結端部側壁部側には、それぞれ螺合位置を示すネジ穴18a,18a、19a,19aが形成されており、確実な螺合締結が実現されるようになっている。
また、この場合にも、他の実施の形態として後述するように、上記ストッパー17cは、上面側のみでなく、下面側にも設けても良く、また、野縁受け1,1連結端部のストッパー17cとの当接面には、必要に応じてストッパー17cを嵌合する切り欠き凹部20,20を設けることもできる。
<各種の変形例について>
以上の第1の実施の形態における野縁受け1,1・・および野縁3,3・・連結部の構成は、ジョイント部材17の構成を含めて、以下のように各種の変形が可能である。
(1)第1の変形例
この第1の変形例は、たとえば図13〜図15および図16〜図18に示すように、上記野縁受け1,1・・連結用および野縁3,3・・連結用の各ジョイント部材17,17の上面側に、それぞれ左右2組の凹部17a,17aを形成したことを特徴としている。その他の構成は、全て上述の第1の実施の形態の構成と同様であり、同様の作用を奏する。
このような構成の場合、ジョイント部材17,17を野縁受け1,1・・の連結端部および野縁3,3・・の連結端部に挿入するに際し、ジョイント部材17,17の上下関係さえ間違えなければ、前後何れの方向から挿入しても確実にカシメ部1A、3Aの凸部1a、3aとの干渉を避けたスムーズな挿入を実現することができる。
(2)第2の変形例
この第2の変形例は、たとえば図19〜図21および図22〜図24に示すように、上記野縁受け1,1・・連結用および野縁3,3・・連結用の各ジョイント部材17,17の上面側および下面側に、それぞれ左右2組の凹部17a,17a、17a,17aを形成したことを特徴としている。その他の構成は、全て上述の第1の実施の形態の構成と同様であり、同様の作用を奏する。
このような構成の場合、ジョイント部材17,17を野縁受け1,1・・の連結端部および野縁3,3・・の連結端部に挿入するに際し、ジョイント部材17,17の上下関係および前後関係の何れの関係も気にすることなく挿入することができるようになり、何れの場合にも確実にカシメ部1A、3Aの凸部1a、3aとの干渉を避けたスムーズな挿入を実現することができるようになる。
(3)第3の変形例
この第3の変形例は、たとえば図25に示すように、上記野縁受け1,1・・連結用のジョイント部材17の上面左側と下面右側対角方向に、それぞれ1つの凹部17a,17aを形成したことを特徴としている。その他の構成は、全て上述の第1の実施の形態の構成と同様であり、同様の作用を奏する。
このような上下のみの構成の採用も可能であり、要するに少なくともカシメ部1Aの凸部1aに対応する1つの凹部17aさえあれば、その他の凹部は、それ以外の1か所または2か所、3か所と自由に変形可能である。
この場合、凸部1a,3aとの干渉回避に使用している凹部17aはもちろん、使用していない凹部17a,17a,17a(たとえば図21の構成などを参照)もそれぞれ補強用のリブとして連結部の剛性アップに寄与することになる。したがって、元来上記野縁受け1,1・・連結端部および野縁3,3・・連結端部部分で2枚の重合壁を形成し、それによって十分に剛性が向上しているジョイント部材17,17を介した連結端部部分が、それら補強リブ構造の凹部17a,17a・・によって、さらに強度、剛性が向上せしめられる。
なお、この第3の変形例では、図25のように野縁受け1,1・・の場合しか例示していないが、もちろん野縁3,3・・の場合にも全く同様である。
(4)第4の変形例
この第4の変形例は、たとえば図26に示すように、上記第1の実施の形態では、野縁受け1,1・・連結用および野縁3,3・・連結用の各ジョイント部材17,17の上面側にしか設けられていなかった位置規制用のストッパー17cを上下両面側に設けたことを特徴としている。
このような構成にすると、ストッパー機能がより正確、かつ確実になり、上下両側で確実に位置規制される。
(5)第5の変形例
この第5の変形例は、たとえば図27、図28に示すように、上記第1の実施の形態における野縁受け1,1・・連結用および野縁3,3・・連結用の各ジョイント部材17,17上面側の位置規制用のストッパー17cに対応して、野縁受け1,1・・および野縁3,3・・の各当接端部(連結端部)に当該ストッパー17cを嵌合する切り欠き凹部(ストッパ―嵌合凹部)20,20を設けたことを特徴とするものである。
このようにすると、連結端部同士の連結後に端部同士が図6のような隙間を残すことなく確実に当接した状態で連結されるようになる。
この変形例の構成は、第4の変形例のように、ストッパー17cを上下両面側に設けた場合にも全く同様に適用することができる。
(6)第6の変形例
この第6の変形例は、たとえば図29に示すように、上記第1の実施の形態におけるストッパー17cを設けることなく、略同様の野縁受け1,1・・および野縁3,3・・の連結構造を実現したものである。
このような構成の場合、各連結端部に対するジョイント部材17の挿入寸法の調整が必要になるが、これは何らかのマークを付けておくことでも達成することができる。したがって、略同様の作用を実現することができる。
それに加えて、切り起こし作業やストッパー17c用の切り欠き凹部20,20を形成する必要がなくなり、コスト削減につながる。
<第2の実施形態>
次に、図30〜図41は、本願発明に係る角形鋼管の連結構造を採用して構成された本願発明の第2の実施の形態(改良形態)に係る天井枠吊り下げ構造における角型鋼管相互の連結部の構成および同連結部を補強する連結部補強板の構成を示している。
この本願発明の第2の実施の形態における天井枠吊り下げ構造は、たとえば図30〜図37に示されるように、上記第1の実施の形態における野縁受け1,1・・の場合と同様に角形鋼管よりなるジョイント部材17,17・・を用いて複数本の野縁受け1,1・・を相互に連結するように構成されているが、それら連結部を上下一対の連結部補強板30,30を用いて補強することにより、連結後の野縁受け1,1・・の曲げ剛性を大きく向上させたことを特徴とするものである。
この第2の実施の形態では、図33および図37から明らかなように、使用するジョイント部材17の一例として、上述した第2の変形例のジョイント部材17と同様に、角形鋼管よりなるジョイント部材本体の上面側左右および下面側左右の4隅に、それぞれカシメ部1Aの凸部1aとの干渉回避および剛性アップ用の凹部17a,17a、17a,17aを形成したものが使用されているが(ただし、内窄まりのテーパ面は形成していない)、この第2の実施の形態のジョイント部材17では、角形鋼管よりなるジョイント部材本体が、上記第1の実施の形態のジョイント部材17のような端面相互の突き合わせ溶接により角形鋼管化(閉断面構造に)したものではなく、上下一対の断面コ字状の半割部材17A,17Bの長めの側壁部同士を所定の長さ重ね合わせて溶接(重合溶接)することにより角形鋼管化(閉断面構造)されている。そのために上下一対の断面コ字状の半割部材17A,17Bの左右両側の側壁部は、何れか一方側が板圧分だけ内側に鉤状に折り曲げられていて、重合した時にも外形寸法が変わらないように構成されている。
このように重合溶接構造を採用すると、ジョイント部材17の左右両側壁部がそれぞれ2重壁となり、同部分の板厚が2倍になるので、上記補強リブ機能を果たす凹部17a,17a・・の剛性アップ機能に加えて、さらにジョイント部材17自体の曲げ剛性が大きく向上し、野縁受け1,1・・連結部の曲げ剛性(撓み強度)も大きく向上する。
一方、この第2の実施の形態では、それらに加えて、当該ジョイント部材17を介した野縁受け1,1の連結部(図34を参照)の上下両側に、たとえば図30〜図33に示すように、断面コ字状の連結部補強板30,30が、相互に突き合わされた野縁受け1,1の双方に均等な所定の長さ重合される状態でジョイントカバーとして取り付けられるようになっている。この連結部補強板30,30は、たとえば図38〜図41に示すような断面コ字状の金属板よりなり、ジョイント部材17を介して相互に嵌め合わされ、位置規制部材17cにより1/2寸法ずつの嵌め合い状態に位置規制された図34の状態の連結部に対して、たとえば図30〜図33に示すように上下両側から嵌合され、その水平な本体壁部30a、30a側をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)38,38・・、38,38・・で野縁受け1,1およびジョイント部材17の上下両壁部に、また垂直な左右両側壁部30b、30b側をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)18,18、18,18で野縁受け1,1およびジョイント部材17の左右両側壁部に、それぞれ螺合締結して強固に締結一体化されている。
この場合、上記連結部補強板30,30のドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)38,38・・、38,38・・の螺合位置には同ネジ38,38・・、38,38・・の螺合孔38b,38b・・、38b,38b・・が、またドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)18,18、18,18の螺合位置には同ネジ18,18、18,18の螺合孔18b,18b・・、18b,18b・・がそれぞれ設けられている。したがって、ドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)38,38・・、38,38・・およびドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)18,18、18,18の螺合は、それら各螺合孔38b,38b・・、38b,38b・・、18b,18b・・、18b,18b・・を基準にして螺合することにより容易に螺合することができる。そのため、この第2の実施の形態の構成では、上述した第1の実施の形態の構成の場合のように、野縁受け1,1側に螺合孔を設ける必要はなくなる。
ただし、この場合、そのままでは連結部補強板30,30の野縁受け1,1連結部に対する適切な位置決め(突き合わせ部の位置規制部材17cを基準とした野縁受け1,1双方への均等な重なり寸法の設定)ができず、均等な長さの重なり状態での取り付けが出来ない。
そこで、連結部補強板30,30の本体壁部30a、30a内面の長さ方向中央部の両端には、上記野縁受け1,1突き合わせ部の位置規制部材17cの幅により形成される隙間(図34を参照)に凹凸係合して長さ方向の位置決めを図る凸部30c,30cを設けている。このような凸部30c、30cがあると、上記野縁受け1,1突き合わせ部のストッパー(位置規制部材)17cにより形成される隙間を利用して確実に野縁受け1,1に対する長さ方向の重なり寸法を1/2ずつの均等な寸法に設定して連結部補強板30,30を取り付けることができるようになる。この位置決め用の凸部30c,30cは、少なくとも野縁受け1,1の板厚部の高さに応じた寸法があれば足りるが、図35のようにジョイント部材17の4隅にそれぞれ凹部17a,17a・・があり、同凹部17a、17a・・に対応した位置に設けられる場合には、それ以上に大きくてもかまわない。ただし、凹部17a,17a・・よりも内側(中央寄り)に設けられる場合やジョイント部材17の4隅にそれぞれ凹部17a,17a・・がない場合(図7、図13、図25の構成の場合)には、野縁受け1,1の板厚部の高さに応じた寸法に設定される。位置決め用凸部30c、30cの高さが野縁受け1,1の板厚部の高さ寸法より大きいと、連結部補強板30,30と野縁受け1,1との間に隙間ができてしまうので好ましくない。
この位置決め用凸部30c、30cは、この実施の形態の場合、たとえば図35、図38、図39に示すように、本体壁部(ウエブ壁部)30a、30aの内面側に上記野縁受け1,1突き合わせ部の隙間の前後方向の幅寸法に応じた小さな球面状の凸部を形成したものとなっている。この球面状の凸部は、円錐形状のものでも構わない。このような球面状の凸部を形成するに際しては、本体壁部30aの上面側から下面側に圧力を加えて上面側を窪ませる一方、下面側に凸部を形成する方法その他が採用される。また、それ以外に、球面形状(又は円錐形状)の別部材を本体壁部30a、30aの内面に接合することによって形成するようにしても良い。さらに、同位置決め用の凸部30c、30cは、隙間方向に所定の長さを有する爪状の突起であっても構わない。
なお、この第2の実施の形態における上記野縁受け1,1突き合わせ部のストッパー(位置規制部材)17cは、上記第1の実施の形態の構成の場合と異なり、その高さは、野縁受け1,1の板厚分だけの高さのものに形成されており、連結部補強板30,30の面一な締結に支障がないように構成されている。
このように、上記野縁受け1,1相互のジョイント部材17を介した連結部に対して断面コ字状の金属板よりなる上下一対の連結部補強板30,30が全体として略閉断面を形成するように嵌合されて強固に締結一体化されると、上記野縁受け1,1相互のジョイント部材17を介した連結部は、それら上下一対の連結部補強板30,30によってさらに補強され、曲げ剛性(撓み強度)が大きく向上する。
このような構成の場合、特に図33の断面構造から明らかなように、ジョイント部材17本体部分が4隅に補強リブ機能を発揮する凹部17a,17a・・を有し、かつ左右両側壁部部分で側壁部同士を所定寸法重合させた重合溶接構造を採用していることに加え、さらに野縁受け1,1の連結部の上下両側に断面コ字状の連結部補強板30,30が野縁受け1,1の双方に所定の長さ重合される状態で取り付けられることから、連結部の断面は上下左右の周方向各面共に3重壁構造となり、撓み強度が大きく向上する。その結果、野縁受け1,1全体としての曲げ剛性も大きく向上し、天井枠吊り下げ強度の高いものとなる。
もちろん、この第2の実施の形態の構成のような連結部補強板30,30は、上述した第1の実施の形態(基本形態)における角形鋼管相互の連結構造の補強手段として採用することが可能であるし、ジョイント部材17の構成もその第2の変形例の場合のような上下左右の4隅に凹部17a,17a・・がある場合に限らず、第1の実施の形態(基本形態)のような上面側左の1カ所の場合、第1の変形例のような上面側左右の2か所の場合、第3の変形例のような上面側左右2か所と下面側右1か所の場合にも、全く同様に適用することができる。
また、この第2の実施の形態では、野縁受け1,1の曲げ剛性をアップさせる場合について説明したが、同様の構成は野縁3,3に対しても同様に適用することができることは言うまでもない。
<第3の実施の形態>
さらに、図42〜図54は、本願発明に係る角形鋼管の連結構造を採用して構成された本願発明の第3の実施の形態(改良形態)に係る天井枠吊り下げ構造におけるブレース材連結金具部分の構成を示している。
本願発明の第3の実施の形態における天井枠吊り下げ構造は、上記第1の実施の形態の図5に示されるブレース材連結金具の特に連結ボルト保持部材52部分の構造を改良し、ブレース材5,5・・に野縁受け1,1・・と同様の角形鋼管を採用した場合にも吊りボルト4,4・・に対して適切な連結を行えるようにしたことを特徴とするものである。その他の部分の構成については、第1の実施の形態、第2の実施形態のものと同様であり、同様の作用を奏する。
上記第1、第2の実施の形態のように、天井枠を構成する野縁3,3・・および野縁受け1,1・・を角形鋼管により形成した場合、ブレース材5,5・・にも野縁受け1,1・・と同様の角形鋼管を採用して、より耐震性を高くすることが考えられる。
すなわち、第1、第2の実施の形態のように角形鋼管で構成された天井枠の野縁受け1,1・・と天井スラブ側吊りボルト4,4・・の上端との間に、角形鋼管よりなるブレース材(斜め補強材)5,5・・を連結するようにすると、吊りボルト4,4・・と角形鋼管よりなる野縁受け1,1・・との間で所定の内角関係のトラス構造を形成することができ、より強度の高い天井下地構造を実現することができる。
しかも、その場合において、ブレース材5の上端と吊りボルト4の上端とが、ブレース材5による対角線方向の連結長さおよび連結角度の調整が可能な構成のブレース材連結金具により連結されるようになっていると、ブレース材5の連結作業が容易になるだけでなく、連結後のブレース材5部分の連結長さ、連結角度を適切に調整設定することができ、より強度の高い天井枠吊り下げ構造を実現することができる。
しかし、第1の実施の形態の所でも述べたように、本件出願人の先の出願(特開2017−133279号/特願2016−15264号)のブレース材連結金具では、その図1〜図3および図6〜図10の構成から明らかなように、ブレース材5が溝形鋼よりなることが前提とされており、ブレース材5と連結される連結ボルト保持部材52部分も溝形鋼(チャンネル部材)への取り付けを前提とした偏平に近い浅い溝形鋼形状に形成されていたことから、ブレース材5に角形鋼管を採用したとすると、たとえば図63に示すように、断面正方形の角形鋼管よりなるブレース材5の一側面に対して同偏平に近い溝形の連結ボルト保持部材52のウエブ面52aを締結してブレース材5を連結せざるを得なかった。なお、この図63は、本件出願人の先の出願(特開2017−133279号/特願2016−15264号)の図7の構成に対応するものであるが、上記第1の実施の形態の図5の符号構成に合わせて、天井スラブの符号1を40に、吊りボルトの符号2を4に、連結金具係止ホルダーの符号11を15に、連結金具係止ホルダー側壁部の符号11aを15aに、軸着ボルトの符号54を14に、それぞれ変更して示している。その他の部分の符号は、同様である。
もちろん、図63のようなブレース材連結構造でも一定の連結強度を維持することができ、ブレース材5が溝形鋼である場合に比べれば、引っ張り強度に加えて、圧縮強度や座屈強度も向上するので、それなりに耐震強度を向上させることができる。
しかし、このようなブレース材連結構造では、吊りボルト4側の連結金具係止ホルダー15とブレース材5とを連結する連結ボルト53のボルト軸がブレース材5を構成する角形鋼管の中心軸と一致せず、連結ボルト保持部材取り付け面側の側壁部に偏位して連結されるので、地震発生時に作用する引っ張り荷重や圧縮荷重が折角の断面積の大きな角形鋼管の全体で有効に負担されず、側壁部に偏った連結構造となるので、角形鋼管本来の強度が十分に生かされない欠点がある。また、連結ボルト53とブレース材5である角型鋼管との連結強度も十分でない。そのため、強度の高い角形鋼管を採用しながらも耐震力の向上には限界があり、見栄えも良くなかった。
上記第1の実施の形態の図5に示すブレース材連結金具の連結ボルト保持部材52の構造は、このような問題の解決を意識したものであり、一応連結ボルト53のボルト軸が角形鋼管よりなるブレース材5の中心軸位置に来るようにしてブレース材5に取り付けるという構成および技術思想を示している。
しかし、上記第1の実施の形態の図5に示すブレース材連結金具の構成では、連結ボルト保持部材52部分の構造が必ずしも具体的でなかった。この第3の実施の形態は、そのような事情に鑑み、上記第1の実施の形態の図5と同様のブレース材連結金具の構成において、連結ボルト53のボルト軸を角形鋼管よりなるブレース材5の中心軸位置に一致させてブレース材5と同軸状態で連結することができるようにした連結ボルト保持部材52の具体的、かつ新たな構成を示すものである。
この第3の実施の形態におけるブレース材連結金具も、連結金具係止ホルダー(ブレース材連結金具係止ホルダー)15から連結ボルト53部分までの構成は、上記第1の実施の形態の図5のものと同様であり、同様の作用を奏する。
すなわち、本実施の形態におけるブレース材連結金具は、たとえば図42〜図49に示すように、天井スラブ40側から吊り下ろされた吊りボルト4,4・・の内の所定の吊りボルト4の外周に嵌合されて最上端位置(天井スラブ40の下面に接する図42の位置)に係止される断面U字形状(平面視U字形状)をなすブレース材連結金具係止ホルダー15と、該ブレース材連結金具係止ホルダー15の開放端側左右両側壁部15a,15aに軸着ボルト14のボルト軸14aおよび該ボルト軸14aの軸端に螺合される締結ナット14bを介して相対回動可能に連結された同じく断面U字形状(平面視U字形状)のボルト連結金具54と、角形鋼管よりなる上記ブレース材5の上端部にドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)56、56・・を用いて締結固定された連結ボルト保持部材52と、該連結ボルト保持部材52の上端部に頭部53bおよび頭部53b側ボルト軸を保持されている一方、ボルト軸の先端53a側を上記ボルト連結金具54の後壁部54bの螺合孔54e、54eを螺合状態で貫通して上記ボルト連結金具54内前方に伸縮可能に突出させた連結ボルト53とからなっている。
連結金具係止ホルダー15は、断面U字形状のホルダー部本体の内側に同一軸状態で嵌装された同じく断面U字形状(平面視U字形状)の係止ギヤホルダー12と、該係止ギヤホルダー12の内側に係止ギヤ軸支用のスリーブ12dを介して同一軸心状態で回転可能に並設(嵌装)された左右一対の2枚の係止ギヤ13,13とから構成されている。
まず、連結金具係止ホルダー15は、たとえば図42〜図47および図48に示すように、その開口端側左右両側壁部15a、15a部分にブレース材連結用の軸着ボルト14aを螺合状態で挿通するネジ溝付のボルト軸挿通孔15b,15b(図48を参照)を有するとともに、そのU状部基端15c内周面の上下方向全体に係止時において吊りボルト4外周面のネジ溝と螺合する所定の深さおよび所定の溝幅のネジ溝(図49を参照)が設けられている。
また、同連結金具係止ホルダー15の左右両側壁部15a、15aの何れか一方側上端部の基端寄りのコーナー部には、後述するように連結されるボルト連結金具54の左右両側壁部54a、54aの連結時における円弧状の先端部の当接位置を規制して、同ボルト連結金具54当接時の当接角如何に拘わらず(ボルト連結金具54の左右両側壁部54a、54aが、連結金具係止ホルダー15の左右両側壁部15a、15aの軸着ボルト挿通孔15b、15bに対して、垂直状態から水平状態までのどの角度で嵌合されても)、ボルト連結金具54の軸着ボルト挿通孔54d、54dが、常に連結金具係止ホルダー15の軸着ボルト挿通孔15b、15bと同一の軸心位置に合致するように位置決めする位置決め用の突起15d、15dが設けられている。
したがって、上記垂直状態から水平状態までの90度の回動角範囲では、当接時の当接角如何に拘わらず(ボルト連結金具54の左右両側壁部54a、54aが、連結金具係止ホルダー本体15の左右両側壁部15a、15aの軸着ボルト挿通孔15b、15bに対して、垂直状態から水平状態までのどの角度で嵌合されても)、ボルト連結金具54の軸着ボルト挿通孔54d、54dが常に連結金具係止ホルダー15の軸着ボルト挿通孔15b、15bと同一の軸心位置に合致する状態で位置決めされることになる。その結果、連結作業(軸着ボルト14の挿通によるボルト連結金具54の連結作業)が容易になる。
また、連結金具係止ホルダー15の上記左右両側壁部15a、15aの何れか一方側の側壁の下端側の一部に凸部を設けることにより、後述するように、当該連結金具係止ホルダー15のU状部内側に係止ギヤホルダー12が上方側から落とし込まれた時に下方に落下してしまわないようにする係止部15eが設けられている(図49を参照)。この係止部15eには、上方から落とし込まれた係止ギヤホルダー12のU状の基端12c底部の前後方向のフラット面部分が載置状態で係止される(同図49を参照)。
また、上記左右両側壁部15a、15aの上記一方側側壁部15aの前端側にも同様の凸部による係止部15fが設けられていて、係止ギヤホルダー12を前方への所定規制位置で係止するようになっている。これら各係止部15e、15fでの係止および位置決めにより、上記連結金具係止ホルダー15内に係止ギヤホルダー12を適正に嵌装して、同一軸心構造に組み付けるときの位置決め(軸心合わせ)および組み付け作業が容易になるように構成されている。
係止ギヤホルダー12は、そのホルダー部本体内に円筒状のスリーブ12dを介して、上記2枚の係止ギヤ13、13を回転可能に支持している。そして、そのホルダー部本体部分は、たとえば図48および図49に詳細に示すように、上記連結金具係止ホルダー15のU状部内側に同一軸心状態で嵌装するのに適した幅寸法で、同じく断面U字形状(平面視U字形状)をなして構成されている。該係止ギヤホルダー12のホルダー部本体の左右両側壁部12a、12aの中央部にも、上記連結金具係止ホルダー15の軸着ボルト挿通孔15b、15bと同様の軸着ボルト挿通孔(ただしネジ溝なし)12b、12bが同一軸心状態で設けられており、基本的には、それら各軸着ボルト挿通孔15b、15bおよび12b、12bを利用して前述した軸着ボルト14のネジ溝のあるボルト軸14aが挿通されるが、該係止ギヤホルダー12側の軸着ボルト挿通孔12b、12bの場合は、挿通されたボルト軸14aの外周に係止ギヤ13、13をその嵌装孔13d、13dを介して回転可能に軸支する必要があることから、同軸着ボルト挿通孔12b、12b間には、たとえば図48および図49に示すような、円筒状のスリーブ12dが同一軸心状態に嵌合一体化され、同円筒状のスリーブ12bを介して係止ギヤ13、13が遊嵌状態で軸支されている。そして、同スリーブ12bの内径は、上記全ての部品の中心的な支軸となる軸着ボルト14のボルト軸14aの外径よりも所定寸法以上に大きい内径寸法に設定され、上記軸着ボルト挿通孔12b、12bも同寸法のスリーブ12d自体を嵌合し、一体化できる内径のものとなっている。
すなわち、係止ギヤホルダー12のU状部内側において係止ギヤ13、13を回転可能に支持する円筒状のスリーブ12bの内径は、上記軸着ボルト14のボルト軸14aの外径よりも所定寸法以上に大きい内径に設定され、上記左右両側壁部12a、12a部分における軸着ボルト挿通孔12b、12bも当該寸法のスリーブ12d自体を嵌合一体化できるように、当該スリーブ12dの筒壁寸法分だけ大きく形成して嵌合一体化している。
そして、その外周に係止ギヤ13、13を回転可能に軸支する一方、同スリーブ12dの内側の上記内径の筒孔12eをボルト軸14aの挿通孔としてボルト軸14aを嵌挿し、また同ボルト軸14aの両端側にボルト連結金具51を連結している。
このような構成、特に上記係止ギヤホルダー12側のスリーブ12dの内径及び外径が、上記軸着ボルト14のボルト軸14aを嵌挿する連結金具係止ホルダー15の左右両側壁15a、15aの軸着ボルト挿通孔15b、15bの内径よりも所定寸法以上に大きい構成によると、上記連結金具係止ホルダー15と後述するボルト連結金具54とを軸着ボルト14のボルト軸14aおよび締結ナット14bを介して連結し、十分に強く締め付けたとしても、上記係止ギヤ13、13を支持しているスリーブ12dが軸方向への締め付け力を受け止める支持部材として機能するので、より有効な締結力を実現できるとともに、支持している係止ギヤ13、13が回らなくなることを回避することができる。また、このように、スリーブ12dの内径(筒孔12eの内径)が、上記軸着ボルト14のボルト軸14aの外径よりも所定寸法以上に大きい内径寸法に設定されていると、当該スリーブ12dを介して固定支持されている係止ギヤホルダー12および同係止ギヤホルダー12内の係止ギヤ13、13が、以下に述べるように、軸着ボルト14のボルト軸14aに対して上記の寸法差を有して遊嵌されることになり、軸直交方向に所定寸法だけ自由にスライドできることになる。
他方、上記係止ギヤホルダー12内において、上記スリーブ12dの外周に軸支されている左右一対の係止ギヤ13、13の外径寸法(軸心部分から歯部13c、13cの先端までの直径)は、上記係止ギヤホルダー12の外形形状および外形寸法との関係において、たとえば図49のような関係に形成されており、上記係止ギヤホルダー12のホルダー本体部の前部側下部(左右両側壁部12a、12aの前部側下部:図示右側下部)における斜め下方への円弧状の曲成部では、所定円弧角範囲に亘って、係止ギヤ13、13の歯部13c、13cが所定寸法だけ半径方向外方に突出している。また、それと同時に、同係止ギヤ13、13の歯部13c、13cは、係止ギヤホルダー12のU状の基端部12cの上下方向にストレートに延びる後部側(背面側)中央部でも、所定寸法だけ半径方向後方に突出している。
すなわち、係止ギヤホルダー12のU状の基端部12cの上下方向にストレートに延びる後部壁の中央部には、たとえば図49に示すように、係止ギヤ13、13の歯部13c、13cを回転可能な状態で所定寸法だけ突出させるに適した大きさの上下に長く延びた長方形状の開口部が設けられており、それによって係止ギヤ13、13の歯部13c、13cが回転可能な状態で所定寸法だけ突出せしめられている。
上記スリーブ12dの外周に回転可能に軸支されている左右一対の係止ギヤ13、13は、所定の板厚を有するギヤ本体の中央部に上記スリーブ12bに嵌合(遊嵌)するための嵌装孔(遊嵌孔)13d、同嵌装孔13dの半径方向外周囲に非対向方向に凹となる凹面部13aおよび対向方向に凸となる凸面部13bを有する所定の幅の成型部、上記ギヤ本体の外周部に上記吊りボルト4の外周面部のネジ溝の溝部の深さおよび幅に対応して係合する歯部13cを備えて構成されている。同係止ギヤ13は、たとえばプレス成型により形成され、上記歯部13cには必要な焼き入れ加工(一例として浸炭焼き入れ)を施すことによって、十分に強度を向上させている。この実施の形態では、このような構成の係止ギヤ13を2組用意し、上記成型部中央の対向方向の凸面部13b,13b同士を、たとえば図48のように相互に突き合わせた状態で、上記軸着ボルト14のボルト軸14a外周に遊嵌されているスリーブ12dの外周に回転可能に遊嵌させることによって、相互の歯部13c、13cの間に吊りボルト4の直径に応じた所定の隙間(吊りボルト4の外周面の円弧面角度に応じ、適切な係合力を実現することができる隙間)を形成した状態で、上記係止ギヤホルダー12のU状部内側に回転可能に支持している。
このように係止ギヤ13、13を2枚のギヤの組み合わせにより構成すると、1枚のギヤ本体自体の厚さを薄く形成することができることから、外周の歯部13cや中央の成型部を含めたギヤ13の全体をプレス成型で容易に形成できるようになり、同様な歯幅を板厚の厚い1枚のギヤで構成する場合に比べて、低コストに実現することができ、また軽量化が可能となる。もちろん、必要に応じて板厚の厚い1枚のギヤで構成することも可能である。
このような構成の左右一対の係止ギヤ13、13を上記のように円筒状のスリーブ12dを介して上記係止ギヤホルダー12内に回転可能に嵌装し、それらを上記連結金具係止ホルダー15内に収納して上記軸着ボルト14のボルト軸14aで共通に軸装し、後述するブレース材5側のボルト連結金具54を連結してブレース材5を吊りボルト4の上端に連結する連結ボルト53のボルト軸を所定の長さ螺合すると、当該連結ボルト53の先端部53aが上記係止ギヤホルダー12の斜め下方への円弧状の曲成部において斜め下方に突出する上記左右一対の係止ギヤ13、13の後端側に当接する図48および図49のような状態となる。
この状態において、図示の如く、すでに連結金具係止ホルダー15が上記吊りボルト4の外周に嵌合されており、そのU状の基端部15c内に吊りボルト4の上端が嵌挿されているとすると、同状態において、先ず吊りボルト4の上端部に対する連結金具係止ホルダー15の嵌合および抜け止め構造が実現される。
すなわち、同状態において、上記係止ギヤホルダー12は、上記軸着ボルト14のボルト軸14aを介して、上記連結金具係止ホルダー15のホルダー部本体内に同一軸心状態に嵌装され、上記軸着ボルト14のボルト軸14aの両端にボルト連結金具54を連結した状態でほぼ一体に固定されている。この状態では、上記連結金具係止ホルダー15のホルダー部本体のU状の基端部15c内周面側のネジ溝に対して吊りボルト4外周面側のネジ溝が係合する状態となっている一方、上記係止ギヤホルダー12のホルダー部本体のU状の基端部12cの背面側から吊りボルト4方向に所定寸法だけ突出する係止ギヤ13、13の歯部13c、13cが吊りボルト4の外周部他面側のネジ溝に係合する状態となっている。
ここで、上記歯部13c、13cの吊りボルト4側への突出寸法は、特に大きなものである必要はなく、少なくとも上記係止ギヤホルダー12部分が、たとえば図49中の矢印に示すように、上記係止ギヤ13、13の後端部分を介して連結ボルト53のボルト軸先端53aによって斜め上方に押され、上記ボルト軸14aの外径とスリーブ12dの内径との寸法差分(符号12e部分の最大隙間を参照)だけ上記吊りボルト4を上記連結金具係止ホルダー15のU状の基端部15c内周面のネジ溝に押し付けて吊りボルト4外周面のネジ溝を係合させることにより、吊りボルト4と連結金具係止ホルダー15を係止固定するのに十分なものであれば足りる。
他方、上記連結金具係止ホルダー15の基端部15c内周面と上記係止ギヤホルダー12の基端部12c外周面との間の吊りボルト挿通孔部分に吊りボルト4が位置されてはいるが(連結金具係止ホルダー15が吊りボルト4に嵌合され、かつ同連結金具係止ホルダー15内に係止ギヤホルダー12が嵌装されて、吊りボルト4の抜け止めがなされた吊りボルト4への係合状態ではあるが)、いまだ連結ボルト53のボルト軸の先端53aが上記係止ギヤ13、13の前部下端側曲成部位置における突出部を押圧していない場合には、上記係止ギヤ13、13はフリー状態であり、スリーブ12d上で自由に回転することができるので、上記吊りボルト挿通孔内に位置する吊りボルト4は、上記係止ギヤ13、13の歯部(突出部)13c、13cと係合していても、基端部15c内周面側のネジ溝と係合していない限り(係止ギヤ13、13が吊りボルト4を押しておらず、吊りボルト4が基端部15c内周面のネジ溝側に押し付けられていない限り)、ウオームとウオームギヤの関係のような形で上下方向に自由に相対移動することができる。
しかも、同状態では、上記スリーブ12dの内径と軸着ボルト14のボルト軸14aの外径との寸法差があるために、吊りボルト4に対して連結金具係止ホルダー本体15ないし係止ギヤホルダー12を上下方向に押すと、連結金具係止ホルダー本体15の基端部15c内周面のネジ溝と吊りボルト4外周面のネジ溝との間には、相互に係合しない一定のクリアランスが保たれる。したがって、この状態では、連結金具係止ホルダー15および係止ギヤホルダー12部分は、吊りボルト4の上下方向に自由に相対移動して、係止位置を所望に設定することができる。
ところで、ブレース材5の上端部5aには、上記連結ボルト53を保持する連結ボルト保持部材(連結ボルトホルダー)52が設けられており、上記連結ボルト53は、この連結ボルト保持部材52により基端側(頭部53b側)を保持されているとともに、同連結ボルト保持部材52を介してブレース材5の上端部5aに連結されている。この連結ボルト保持部材52は、たとえば図50および図51に示されるように、上記断面正方形の角形鋼管よりなるブレース材5を上下方向中央部で水平に切断することによって形成された半割構造(断面コ字状)の連結ボルト保持部52Aと、該半割構造(断面コ字状)の連結ボルト保持部52Aの天壁部分(ウエブ部分)を切り欠き、左右両側壁部部分のみを後端側に所定の長さ延設した平行壁構造のブレース材取り付け部52B、52Bとからなり、上記半割構造(断面コ字状)の連結ボルト保持部52Aの天壁部分(ウエブ部分)で上記連結ボルト53の頭部53b側ボルト軸基端部分を支持しているとともに、平行壁構造のブレース材取り付け部52B、52Bをブレース材5の左右両側壁部分にドリリングタッピンネジ(或いはドリルネジ)56,56・・,56,56・・を用いて締結することにより、ブレース材5の上端部5aに一体に取り付けられている。この平行壁構造のブレース材取り付け部52B、52Bを用いた連結ボルト保持部材52のブレース材5の左右両側壁部分への取り付けは、たとえば図45および図46、図52および図53から明らかなように、上記連結ボルト53の頭部53b側ボルト軸基端部分を支持している上記半割構造(断面コ字状)の連結ボルト保持部52Aの天壁部分(ウエブ部分)中央が、上記ブレース材5を構成する断面正方形の角形鋼管の中心軸部分に位置して同軸状態で堅固に衝合されるように高さ位置を調節して取り付けられるようになっている。この場合、連結ボルト保持部52Aは、上記断面正方形の角形鋼管よりなるブレース材5を上下方向中央部で水平に切断することによって形成された半割構造(断面コ字状)となっているので、連結ボルト保持部52Aの左右両側壁部の下端および平行壁構造のブレース材取り付け部52B,52Bの下端を角形鋼管よりなるブレース材5の下端に合わせさえすれば、自動的に上記の位置に設定した形で取り付けられる(図45および図52参照)。したがって、取り付けは容易である。
そして、上記半割構造(断面コ字状)の連結ボルト保持部52Aの天壁部分中央には、連結ボルト53の頭部53bを遊嵌し、軸方向に係止する頭部嵌合用の開口52bが、そして、同開口52b部分から軸方向先端側には、その内側面にボルト頭部53bから延びるボルト軸の基端側部分を嵌合する円弧面状のボルト軸固定部52cが設けられている。該円弧面上のボルト軸固定部52cの内側は、上記連結ボルト53のボルト軸の断面形状の略2分の1の半円形状の凹溝面となっており、下面側には、さらに当該ボルト軸固定部52c内側の凹溝面との間に上記連結ボルト53のボルト軸基端側部分を挟んで、所定の圧接力で圧着する、同様の半円形状の凹溝面を有するボルト軸固定部57cを備えたボルト軸圧着板57が締結ボルト(ボルトおよびナット)55、55により締結固定されている。
すなわち、該ボルト軸圧着板57は、たとえば図44に示すように、圧着板本体における上記ボルト軸固定部57cの両側に締結用のフランジ部57b、57bを備えて構成されており、該フランジ部57b、57b部分に上記連結ボルト保持部52Aの天壁部に設けられた圧着板締結用のボルト孔に対応するボルト孔を設けている。そして、それらボルト孔を介して締結ボルト55、55により上記圧着板57のフランジ部57b、57b部分を上記連結ボルト保持部52Aの天壁部に所定の締め付け力で締結することにより、上記連結ボルト保持部52Aの天壁部中央に連結ボルト53を保持しているとともに、同連結ボルト53のボルト軸先端53a側を上記ボルト連結金具54の後部壁54bのボルト螺合孔54e、54e(後部壁54b自体に形成した螺合孔54eと後部壁54b内側の溶着ナット部54cに形成した螺合孔54e)を螺合状態で貫通させてボルト連結金具54内前方の上記係止ギヤ13、13の突出端に向けて伸縮可能に突出させている。
この場合、上記圧着板57のフランジ部57b、57bの上記連結ボルト保持部52A天壁部に対する締め付け力は、上記連結ボルト53の先端53a側ボルト軸を上記ボルト連結金具54後壁部54bのボルト螺合孔54e、54e部分を螺合状態で突出方向に移動させることはできるが、同ボルト軸の先端53aが、たとえば図47〜図49のように上記係止ギヤ13、13の後端に当接して所定の押圧力を作用させるようになり、それ以上には押圧できない状態(前方に移動できない連結金具の吊りボルト4に対する係止完了状態)になった時には、当該ボルト軸圧着部における圧着力に抗して、上記連結ボルト保持部材52およびブレース材5のみが上記連結ボルト53に対して一体として空回りするようになる圧着力に設定されている。すなわち、当該ボルト軸圧着部が、ブレース材連結時のトルクリミット機構として機能するように構成されている。
したがって、このような構成の場合、図1および図42のように、天井スラブ40側吊りボルト4の上端と天井枠側野縁受け1との間に所定の傾斜角(たとえば45度)で上記連結金具を用いて角形鋼管よりなるブレース材5を連結する場合において、ブレース材5を軸周り方向に回転させることにより、上記連結ボルト保持部材52のボルト軸の先端53aが、図48及び図49のように係止ギヤ13、13の斜め下端部に衝合して所定の押圧力を作用させるようになり、やがて同係止ギヤ13、13の斜め上方側の突出歯部13c、13cが吊りボルト4外周のネジ溝に係合した状態で吊りボルト4をを押圧して吊りボルト4外周面のネジ溝を連結金具係止ホルダー15の基端部15c内周面のネジ溝に係合させた状態となり、それ以上には係止ギヤ13、13を斜め上方に押圧できない状態になった時には、上記連結金具係止ホルダー15および係止ギヤホルダー12が上記吊りボルト4最上端の係止位置に確実に係止された状態となり、その後は当該ボルト軸圧着部における圧着力に抗して上記連結ボルト保持部材52およびブレース材5が上記連結ボルト53のボルト軸に対して空回りするようになる。そして、これにより上記角形鋼管よりなるブレース材5の締結面の角度を上記締結すべき野縁受け1の締結面の角度に自由に合わせることができ、その上で、同角形鋼管よりなるブレース材5の下端を上記野縁受け1の締結面にドリリングタッピンネジ(或いはドリルネジ)で締結することにより連結固定される。
特に、この発明の実施の形態の場合、上述した第1の実施の形態の図4の構成に示されるように、ブレース材5が角形鋼管よりなるために、当該ブレース材5の下端側は、溝形鋼(チャンネル部材)の場合と異なって、連結ブラケット50を介して角形鋼管よりなる野縁受け1の左右両側壁部に連結されるようになっている。連結ブラケット50は、上端部側が断面U字形状をなし、その側壁部51a,51a部分をブレース材5下端部の両側壁部に締結面を合わせた上で、ドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)11,11、11,11で締結するようになっているとともに、さらに同断面U字形の上端部側壁部51a,51aから下方に長く延びる左右一対の平行な連結片51b,51b部分を角形鋼管よりなる野縁受け1の左右両側壁部の側壁面に合せてドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)12,12、12,12により締結するようになっている。
したがって、ブレース材5が溝形鋼(チャンネル部材)である場合に比べて遥かに締結面を合わせることが難しい。このため、上記のように吊りボルト4の上端に対するブレース材5の連結(テンションおよび角度)が完了した後に、それらを変えることなくブレース材5を軸周り方向に回して締結面を自由に合わせることができる上記トルクリミッター機能は極めて有効である。
このようにして図1および図42のように天井スラブ40側吊りボルト4の上端と野縁受け1との間に斜めに連結固定されたブレース材5には、たとえば地震発生時に、大きな引張および圧縮力が交互に作用する。しかし、この実施の形態の構成の場合、ブレース材5として、溝形鋼に比べて遥かに引っ張り強度および圧縮強度が高い角形鋼管が使用し、同角形鋼管よりなるブレース材5を吊りボルト4に連結するブレース材連結金具の構造を、連結金具係止ホルダー15と係止ギヤホルダー12との組み合わせ(同軸一体化構造)による完全な吊りボルト4全周の嵌合係止構造として十分に連結部の強度を向上させている。そして、このような強度の高い連結金具の連結金具係止ホルダー15および係止ギヤホルダー12に対して、共通な軸着ボルト14を介してボルト連結金具54が連結されており、さらに該ボルト連結金具54に対して連結ボルト53により野縁受け1と同様の角形鋼管よりなるブレース材5を連結する連結ボルト保持部材52が連結されている。したがって、吊りボルト4に対するブレース材5連結部の強度は大きく向上する。
しかも、上記連結ボルト保持部材52は、図50および図51に示されるように、上記連結ボルト53のボルト軸基端側(頭部53b側)を圧着状態で連結保持する断面コの字形の連結ボルト保持部52Aと同断面コの字形の連結ボルト保持部52Aの左右両側壁部分からブレース材(角型鋼管)5側に延び、ブレース材5の左右両側壁部に締結一体化されるブレース材連結片52B、52Bで構成されており、図52および図53に示されるブレース材5との連結状態において、上記断面コの字形の連結ボルト保持部52Aの連結ボルト53を圧着保持した天壁部(ウエブプレート)部分を角形鋼管よりなるブレース材5上端部5aの連結端部中央(開口部中央)に突き当てた状態で、当該ブレース材5上端部5aの左右両側壁部にブレース材連結片52B、52Bにより、広く長い締結面を実現する形で連結一体化している。
したがって、このような連結ボルト保持部材52の構成によると、たとえば図52〜図54に示すように、吊りボルト4に連結される連結金具(15,12,54)にブレース材5を連結する連結ボルト53の中心軸とブレース材(角形鋼管)5の中心軸が確実に一致する形で吊りボルト4にブレース材5を連結することができるようになる。
この結果、角型鋼管が本来有している引っ張り強度、圧縮強度、座屈強度の高さを有効に発揮させることができるようになり、ブレース材5の設置による耐震性能を有効に向上させることができる。また、連結部の見栄えも良くなる。
なお、図50および図51中の符号52d、52d・・は、連結ボルト保持部材52本体の各種切り込みがある部分の強度を補強するためのリブである。
<第4の実施形態>
次に、図55および図56は、本願発明に係る角形鋼管の連結構造を採用して構成された本願発明の第4の実施の形態に係る天井枠吊り下げ構造における角型鋼管の連結部を補強する連結部補強板30,30の他の構成(第2の実施の形態に係る構成と異なる構成)を示している。
この第4の実施の形態における連結部補強板30,30は、たとえば図55および図56に示されるように、全体として上記第2の実施の形態の連結部補強板30,30同様に構成されているが、その位置決め用の凸部30c、30cが切り起こし片(切り起こして略直角に折り曲げた折り曲げ片)により形成されていることを特徴とするものである。その他の構成は、上記第2の実施形態のものと全く同様であり、同様の作用を奏する。
<第5の実施形態>
次に、図57および図58は、本願発明に係る角形鋼管の連結構造を採用して構成された本願発明の第5の実施の形態に係る天井枠吊り下げ構造における角型鋼管の連結部を補強する連結部補強板30,30の他の構成(第2、第4の実施の形態に係る構成と異なる構成)を示している。
この第5の実施の形態における連結部補強板30,30も、たとえば図57および図58に示されるように、全体として上記第2の実施の形態の連結部補強板30,30と同様に構成されているが、その位置決め用の凸部30c、30cが断面V字形状の凸状リブにより形成されていることを特徴とするものである。この場合、同断面V字形状の凸部部分は、たとえば他面側を断面V字形状の凹部に窪ませることにより形成される。その他の構成は、第2の実施形態のものと全く同様であり、同様の作用を奏する。
<その他の実施の形態>
上述の第1〜第5の各実施の形態では、本願発明に係る角形鋼管の連結構造を、一つの適用例として、天井枠を構成する野縁受けおよび野縁の連結に適用した場合について説明したが、本願発明に係る角形鋼管の連結構造は、何ら天井枠を構成する野縁受けおよび野縁の連結構造のみに限定されるものではなく、同様のカシメ部を有する各種の角形鋼管の連結構造に利用することができることは言うまでもない。