JP2019094446A - 熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 位相差フィルム等の光学フィルムに好適に使用される、位相差発現性、高温高湿環境での寸法安定性および位相差安定性に優れた熱可塑性透明樹脂組成物の延伸フィルムを提供する。【解決手段】 特定の構成単位および構成単位割合を有するビニル共重合樹脂(A)と特定の構成単位および構成単位割合を有するビニル共重合樹脂(B)とを特定割合で含む樹脂組成物からなり、面内位相差Reが0.0〜40.0nmの範囲であり、かつ厚み方向位相差Rthが−300〜−10nmの範囲である、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルム。【選択図】 なし
Description
本発明は、位相差フィルム等の光学用途に好適な熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムに関する。
近年、液晶表示装置の大画面化および使用環境の広がりに伴い、視認性(高輝度、高コントラスト、高視野角)と、耐久性(高温、高温恒湿環境下)に対する要求が厳しくなっている。
液晶表示装置モードの一種であるインプレーンスイッチング(IPS)モードは、位相差フィルムを用いることなく広い視野角を実現できることが特長である。しかし、液晶セルの光学的な特性上、斜め方向から画面を見たときに光漏れが発生し、表示画像のコントラストの低下が生じる。一方、IPSモードと競合する液晶表示モードに垂直配向(VA)モードがあるが、VAモードでは、IPSモードのような広い視野角は得られないものの、光漏れの少ない、高コントラストの画像表示を実現できる。現在VAモードにおける視野角拡大の技術が急速に進歩しており、これに対抗するために、位相差フィルムの配置によるIPSモードでの光漏れ抑制が求められている。
IPSモードの液晶ディスプレイの光漏れ抑制に用いられる位相差フィルムとして、屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を有する、いわゆるポジティブCプレートと、屈折率楕円体がnx>ny=nzの関係を有する、いわゆるポジティブAプレートの組み合わせが知られている(特許文献1参照)。
特許文献2には、スチレン骨格を含む負の固有複屈折を有する材料を二軸延伸することで、ポジティブCプレートになることが開示されている。また、特許文献2に記載の位相差フィルムを用いて作製した偏光板が耐久性に優れることが示されているが、位相差発現性の点で課題がある。
特許文献3には、主鎖に環構造を有するアクリル系樹脂とスチレン系樹脂の組成物を用いることで、加工性と耐熱性を兼ね備えた位相差フィルムが記載されている。しかし、特許文献3に記載のアクリル系樹脂は吸水性が高いため、高温高湿環境下では、フィルムが寸法変化し、光漏れなどディスプレイの性能を悪化させる懸念があった。
特許文献4には、アクリル系樹脂とスチレン構成単位を有するビニル共重合樹脂のブレンド物による位相差補償フィルムが記載されているが、特許文献4に記載のアクリル系樹脂は吸水性が高いため、高温高湿環境下では、フィルムが寸法変化し、光漏れなどディスプレイの性能を悪化させる懸念があった。
以上のような状況から、位相差フィルム等の光学フィルムに好適に使用される、位相差発現性、高温高湿環境での寸法安定性および位相差安定性に優れた熱可塑性透明樹脂組成物の延伸フィルムを提供することが望まれている。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の構造を有するビニル共重合樹脂とスチレン構成単位を有するビニル共重合とを含む樹脂組成物からなる熱可塑性透明樹脂組成物を延伸することにより、位相差フィルム等の光学フィルムに好適に使用されるフィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。本発明は、以下の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを提供するものである。
[1]樹脂(A)と樹脂(B)とを含む樹脂組成物からなり、樹脂(A)と樹脂(B)の割合が質量比で99:1〜50:50であることを特徴とした熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムであって、
前記樹脂(A)は、一般式(1):
(式中、R1は水素またはメチル基であり、R2はヒドロキシル基およびアルコキシ基から選ばれる置換基を有してもよい、炭素数1〜18の炭化水素基である。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、
一般式(2):
(式中、R3は水素またはメチル基であり、R4は炭素数1〜4の炭化水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよい、シクロヘキシル基である。)
で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とを含み、
前記構成単位(a)と前記構成単位(b)との合計割合が、前記樹脂(A)の全構成単位の合計に対して85〜100モル%であり、前記構成単位(a)の割合が、前記樹脂(A)の全構成単位の合計に対して55〜80モル%であり、前記構成単位(b)の割合が、前記樹脂(A)の全構成単位に対して10〜45モル%であるビニル共重合樹脂であり、
前記樹脂(B)は、スチレン構成単位(c)、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)と不飽和ジカルボン酸無水物単位(e)を含み、スチレン構成単位(c)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して45〜85モル%であり、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して5〜45モル%であり、不飽和ジカルボン酸無水物単位(e)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して10〜25モル%であるビニル共重合樹脂であり、
前記フィルムの面内位相差Reが0.0〜40.0nmの範囲であり、かつ厚み方向位相差Rthが−300〜−10nmの範囲である、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルム。
[2]樹脂(A)のガラス転移温度が110〜160℃の範囲である、[1]に記載のフィルム。
[3]一般式(1)のR1およびR2がメチル基である、[1]または[2]に記載のフィルム。
[4]一般式(2)のR3が水素であり、R4がシクロヘキシル基である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のフィルム。
[5]樹脂(B)がメタクリル酸メチル−無水マレイン酸−スチレン共重合樹脂である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のフィルム。
[6]二軸延伸フィルムである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載のフィルム。
[7]少なくとも一つの延伸方向への延伸倍率が1.1〜4.0倍である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のフィルム。
[8]前記フィルムの全体の厚みが10〜1000μmである、[1]〜[7]のいずれか一項に記載のフィルム。
[9]前記樹脂組成物が、紫外線吸収剤、抗酸化剤、抗着色剤、抗帯電剤、離型剤、滑剤、染料および顔料から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含む、[1]〜[8]のいずれか一項に記載のフィルム。
[10][1]〜[9]のいずれか一項に記載のフィルムを含む光学フィルム。
[11]位相差フィルムである、[10]に記載の光学フィルム。
前記樹脂(A)は、一般式(1):
で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、
一般式(2):
で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とを含み、
前記構成単位(a)と前記構成単位(b)との合計割合が、前記樹脂(A)の全構成単位の合計に対して85〜100モル%であり、前記構成単位(a)の割合が、前記樹脂(A)の全構成単位の合計に対して55〜80モル%であり、前記構成単位(b)の割合が、前記樹脂(A)の全構成単位に対して10〜45モル%であるビニル共重合樹脂であり、
前記樹脂(B)は、スチレン構成単位(c)、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)と不飽和ジカルボン酸無水物単位(e)を含み、スチレン構成単位(c)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して45〜85モル%であり、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して5〜45モル%であり、不飽和ジカルボン酸無水物単位(e)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して10〜25モル%であるビニル共重合樹脂であり、
前記フィルムの面内位相差Reが0.0〜40.0nmの範囲であり、かつ厚み方向位相差Rthが−300〜−10nmの範囲である、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルム。
[2]樹脂(A)のガラス転移温度が110〜160℃の範囲である、[1]に記載のフィルム。
[3]一般式(1)のR1およびR2がメチル基である、[1]または[2]に記載のフィルム。
[4]一般式(2)のR3が水素であり、R4がシクロヘキシル基である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のフィルム。
[5]樹脂(B)がメタクリル酸メチル−無水マレイン酸−スチレン共重合樹脂である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のフィルム。
[6]二軸延伸フィルムである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載のフィルム。
[7]少なくとも一つの延伸方向への延伸倍率が1.1〜4.0倍である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のフィルム。
[8]前記フィルムの全体の厚みが10〜1000μmである、[1]〜[7]のいずれか一項に記載のフィルム。
[9]前記樹脂組成物が、紫外線吸収剤、抗酸化剤、抗着色剤、抗帯電剤、離型剤、滑剤、染料および顔料から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含む、[1]〜[8]のいずれか一項に記載のフィルム。
[10][1]〜[9]のいずれか一項に記載のフィルムを含む光学フィルム。
[11]位相差フィルムである、[10]に記載の光学フィルム。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸またはアクリル酸を意味するものとする。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムは、位相差発現性、高温高湿環境での寸法安定性および位相差安定性に優れているため、位相差フィルム等の光学フィルムに好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の夏可塑性透明樹脂延伸フィルムは、樹脂(A)と樹脂(B)とを含む樹脂組成物からなる熱可塑性透明樹脂組成物フィルムであって、
前記樹脂(A)は、一般式(1):
(式中、R1は水素またはメチル基であり、R2はヒドロキシル基およびアルコキシ基から選ばれる置換基を有してもよい、炭素数1〜18の炭化水素基である。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、
一般式(2):
(式中、R3は水素またはメチル基であり、R4は炭素数1〜4の炭化水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよい、シクロヘキシル基である。)
で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とを含み、
前記構成単位(a)と前記構成単位(b)との合計割合が、前記樹脂(A)の全構成単位の合計に対して85〜100モル%であり、前記構成単位(a)の割合が、前記樹脂(A)の全構成単位の合計に対して55〜80モル%であり、前記構成単位(b)の割合が、前記樹脂(A)の全構成単位に対して10〜45モル%であるビニル共重合樹脂であり、
前記樹脂(B)は、スチレン構成単位(c)、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)と不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)を含み、スチレン構成単位(c)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して45〜85モル%であり、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して5〜45モル%であり、不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して10〜25モル%であるビニル共重合樹脂であり、
前記フィルムの面内位相差Reが0.0〜40.0nmの範囲であり、かつ厚み方向位相差Rthが−300〜−10nmの範囲である、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルム。
ここで、波長590nmの光で測定した前記熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの面内における遅相軸の方向の屈折率をnx、前記面内における進相軸の方向の屈折率をny、前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、前記熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚さをdとしたときに、面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthは、それぞれ、式Re=(nx−ny)×dおよび式Rth={(nx+ny)/2−nz}×dにより定義される値である。
本発明の夏可塑性透明樹脂延伸フィルムは、樹脂(A)と樹脂(B)とを含む樹脂組成物からなる熱可塑性透明樹脂組成物フィルムであって、
前記樹脂(A)は、一般式(1):
で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、
一般式(2):
で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とを含み、
前記構成単位(a)と前記構成単位(b)との合計割合が、前記樹脂(A)の全構成単位の合計に対して85〜100モル%であり、前記構成単位(a)の割合が、前記樹脂(A)の全構成単位の合計に対して55〜80モル%であり、前記構成単位(b)の割合が、前記樹脂(A)の全構成単位に対して10〜45モル%であるビニル共重合樹脂であり、
前記樹脂(B)は、スチレン構成単位(c)、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)と不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)を含み、スチレン構成単位(c)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して45〜85モル%であり、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して5〜45モル%であり、不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して10〜25モル%であるビニル共重合樹脂であり、
前記フィルムの面内位相差Reが0.0〜40.0nmの範囲であり、かつ厚み方向位相差Rthが−300〜−10nmの範囲である、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルム。
ここで、波長590nmの光で測定した前記熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの面内における遅相軸の方向の屈折率をnx、前記面内における進相軸の方向の屈折率をny、前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、前記熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚さをdとしたときに、面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthは、それぞれ、式Re=(nx−ny)×dおよび式Rth={(nx+ny)/2−nz}×dにより定義される値である。
本発明で用いる樹脂(A)は、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)(以下、「構成単位(a)」ともいう)と、上記一般式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位(b)(以下、「構成単位(b)」ともいう)とを含む。
構成単位(a)は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位である。
上記一般式(1)において、R1は水素またはメチル基である。
R2は炭素数1〜18の炭化水素基であり、ヒドロキシル基およびアルコキシ基から選ばれる置換基を有してもよい。R2としては、具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基などのアルキル基類;2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基などのヒドロキシアルキル基類;2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−フェノキシエチル基などのアルコキシアルキル基類;ベンジル基、フェニル基などのアリール基類などが挙げられる。また、これらの基の1種類または2種類以上を組み合わせた有機基であってもよい。
置換基であるアルコキシ基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。アルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基が挙げられる。
樹脂(A)において、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(構成単位(a))が複数存在する場合、複数あるR1およびR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらのうち好ましいのは、R1がメチル基であり、R2がメチル基および/またはエチル基である(メタ)アクリル酸エステル構成単位であり、さらに好ましいのはR1がメチル基であり、R2がメチル基であるメタクリル酸エステル構成単位である。
構成単位(a)は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位である。
上記一般式(1)において、R1は水素またはメチル基である。
R2は炭素数1〜18の炭化水素基であり、ヒドロキシル基およびアルコキシ基から選ばれる置換基を有してもよい。R2としては、具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基などのアルキル基類;2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基などのヒドロキシアルキル基類;2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−フェノキシエチル基などのアルコキシアルキル基類;ベンジル基、フェニル基などのアリール基類などが挙げられる。また、これらの基の1種類または2種類以上を組み合わせた有機基であってもよい。
置換基であるアルコキシ基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。アルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基が挙げられる。
樹脂(A)において、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(構成単位(a))が複数存在する場合、複数あるR1およびR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらのうち好ましいのは、R1がメチル基であり、R2がメチル基および/またはエチル基である(メタ)アクリル酸エステル構成単位であり、さらに好ましいのはR1がメチル基であり、R2がメチル基であるメタクリル酸エステル構成単位である。
構成単位(b)は脂肪族ビニル化合物に由来する構成単位である。
上記一般式(2)において、R3は水素またはメチル基である。また、R4は、シクロヘキシル基または炭素数1〜4の炭化水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる置換基を有するシクロヘキシル基である。
置換基である炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基類が挙げられる。
置換基であるアルコキシ基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。アルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基が挙げられる。
置換基であるハロゲン原子はとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、特に塩素原子、臭素原子が好ましい。
樹脂(A)において、構成単位(b)が複数存在する場合、複数あるR3およびR4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらのうち好ましいのは、R3が水素またはメチル基であり、R4がシクロヘキシル基である脂肪族ビニル構成単位であり、さらに好ましいのは、R3が水素であり、R4がシクロヘキシル基である脂肪族ビニル構成単位である。
上記一般式(2)において、R3は水素またはメチル基である。また、R4は、シクロヘキシル基または炭素数1〜4の炭化水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる置換基を有するシクロヘキシル基である。
置換基である炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基類が挙げられる。
置換基であるアルコキシ基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。アルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基が挙げられる。
置換基であるハロゲン原子はとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、特に塩素原子、臭素原子が好ましい。
樹脂(A)において、構成単位(b)が複数存在する場合、複数あるR3およびR4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらのうち好ましいのは、R3が水素またはメチル基であり、R4がシクロヘキシル基である脂肪族ビニル構成単位であり、さらに好ましいのは、R3が水素であり、R4がシクロヘキシル基である脂肪族ビニル構成単位である。
本発明において樹脂(A)は、主として構成単位(a)と、構成単位(b)とを含む。樹脂(A)の全構成単位の合計に対する前記構成単位(a)と前記構成単位(b)との合計割合は、85〜100モル%であり、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%である。
また、樹脂(A)の全構成単位の合計に対する構成単位(a)の割合は、55〜80モル%の範囲であり、好ましくは70〜80モル%である。樹脂(A)の全構成単位の合計に対する構成単位(a)の割合が55%未満であると、樹脂(B)との相溶性が低くなり、透明性が悪化する場合があるため好ましくない。また、構成単位(a)の割合が80%を超えると、高湿環境での寸法安定性が低下する場合があり、好ましくない。
また、樹脂(A)の全構成単位の合計に対する構成単位(a)の割合は、55〜80モル%の範囲であり、好ましくは70〜80モル%である。樹脂(A)の全構成単位の合計に対する構成単位(a)の割合が55%未満であると、樹脂(B)との相溶性が低くなり、透明性が悪化する場合があるため好ましくない。また、構成単位(a)の割合が80%を超えると、高湿環境での寸法安定性が低下する場合があり、好ましくない。
樹脂(A)には、光学物性を損なわない範囲で、構成単位(a)および構成単位(b)以外の構成単位を含むことができる。このような構成単位としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどに由来する構成単位が挙げられる。
樹脂(A)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと少なくとも一種のベンゼン環骨格を有する芳香族ビニルモノマーとを共重合した後、ベンゼン環を水素化する方法や、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと少なくとも一種のシクロヘキシル環骨格を有する脂肪族ビニルモノマーとを共重合する方法が好適であり、前者が特に好適である。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、特に限定されないが(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、(メタ)アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、(メタ)アクリル酸(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)、(メタ)アクリル酸(2−メトキシエチル)、(メタ)アクリル酸(2−エトキシエチル)、(メタ)アクリル酸(2−フェノキシエチル)、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルなどが挙げられる。中でもメタクリル酸メチルが好ましい。
芳香族ビニルモノマーとしては、具体的にスチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、アルコキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなど、およびそれらの誘導体が挙げられる。これらの中で好ましいのはスチレン、α−メチルスチレンである。
脂肪族ビニルモノマーとしては、ビニルシクロヘキサン、イソプロペニルシクロヘキサン、1−プロペニル−2−メチルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらの中で好ましいのはビニルシクロヘキサン、イソプロペニルシクロヘキサンである。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと芳香族ビニルモノマーの重合には、公知の方法を用いることができるが、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法により製造することができる。溶液重合法では、溶媒、モノマー、連鎖移動剤、および重合開始剤を含むモノマー組成物を完全混合槽に連続的に供給し、100〜180℃で連続重合する方法などにより行われる。
溶液重合の際に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒;酢酸エチル、イソ酪酸メチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;メタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと芳香族ビニルモノマーとを重合した後の水素化反応は適当な溶媒中で行われる。この水素化反応に用いられる溶媒は前記の重合溶媒と同じであっても異なっていても良い。例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒;酢酸エチル、イソ酪酸メチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;メタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。
水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、水素圧力3〜30MPa、反応温度60〜250℃でバッチ式あるいは連続流通式で行うことができる。温度を60℃以上とすることにより、反応時間がかかり過ぎることがなく、また250℃以下とすることにより分子鎖の切断やエステル部位の水素化を起こすことが少ない。
水素化反応に用いられる触媒としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウム等の金属、またはそれら金属の酸化物、塩もしくは錯体化合物を、カーボン、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、珪藻土等の多孔性担体に担持した固体触媒等が挙げられる。
水素化反応において、芳香族ビニルモノマー中の芳香環の70%以上が水素化されることが好ましい。すなわち、芳香族ビニル構成単位中の芳香環の未水素化部位の割合が30%未満であることが好ましい。芳香環の未水素化部位の割合が30%を越えると、樹脂(A)として用いた場合に透明性が低下する場合がある。芳香環の未水素化部位の割合は、より好ましくは10%未満、さらに好ましくは5%未満、特に好ましくは1%未満である。生産性を考慮すると、必ずしも0%にする必要はない。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと脂肪族ビニルモノマーとの重合は、公知の方法、例えば、特開昭63−3011号公報、特開昭63−170475号公報に記載の方法により実施できる。
樹脂(A)のガラス転移温度は110〜160℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは115〜150℃である。ガラス転移温度が110℃未満であると、本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムが熱環境または湿熱環境において寸法変化や反りを生じる場合がある。また樹脂(A)のガラス転移温度が160℃より高温であると、高温で延伸加工しなければならないため、樹脂(B)としてガラス転移温度の低い汎用樹脂を用いる場合、樹脂(B)の配向度が上がりにくく、所望の位相差が発現しない場合がある。なお、本発明において、ガラス転移温度とは、示差走査熱量測定装置を用い、試料10mg、昇温速度10℃/分で測定し、セカンドヒーティング(2度目の昇温)での中点法で算出した時の温度である。
樹脂(A)には、樹脂(A)の他、透明性を損なわない範囲で他の樹脂、例えば、エラストマーおよびゴム粒子をブレンドすることができる。例えば、メタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂;スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂;メタクリル酸メチル−スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂;マレイミド変性アクリル樹脂;ポリメタクリル酸メチル;メタクリル酸メチル−フェニルマレイミド−シクロヘキシルマレイミド共重合体;グルタルイミド構成単位を有するアクリル系共重合体;ラクトン環構成単位を有するアクリル系共重合体;ジエン系ゴム;アクリル系ゴム;非共役ジエン系ゴム;ゴム状重合体にメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、スチレン、置換スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合させてなるグラフト共重合体などが挙げられる。また、グラフト共重合体の好ましい例として、ゴム状重合体を内層とし、グラフト重合体を外層とする多層構造重合体を挙げることができる。
本発明で用いる樹脂(B)は、主として芳香族ビニルスチレン構成単位(c)、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)と不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)を含む。
本発明において、樹脂(B)の全構成単位の合計に対するスチレン構成単位(c)の割合は、45〜85モル%であり、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)の割合は5〜45モル%であり、不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)の割合は10〜25モル%の範囲であり、好ましくはスチレン構成単位(c)の割合は50〜80モル%、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)の割合は12〜38モル%、不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)の割合は12〜22モル%の範囲である。
スチレン構成単位(c)の割合が、85モル%超では耐熱性付与効果が減少し、また45モル%未満では熱安定性が低下し、前記樹脂(A)に配合して得られる樹脂組成物を成型加工した際には、外観が不良な成形品が得られる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(d)の割合が、45モル%超では熱安定性が低下し、樹脂(A)に配合して得られる樹脂組成物を成型加工した際には、外観が不良な成形品が得られ、また5モル%未満であれば樹脂(A)との相溶性が低下し、樹脂(A)に配合して得られる樹脂組成物の透明性が悪化する。
不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)の割合が、25モル%超では、熱安定性が低下し、樹脂(A)に配合して得られる樹脂組成物を成型加工した際にには、外観が不良な成形品が得られ、また10モル%未満では樹脂(A)との相溶性が低下し、樹脂(A)に配合して得られる樹脂組成物の透明性が悪化し、かつ樹脂の耐熱性付与効果が低下する。
本発明において、樹脂(B)の全構成単位の合計に対するスチレン構成単位(c)の割合は、45〜85モル%であり、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)の割合は5〜45モル%であり、不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)の割合は10〜25モル%の範囲であり、好ましくはスチレン構成単位(c)の割合は50〜80モル%、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)の割合は12〜38モル%、不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)の割合は12〜22モル%の範囲である。
スチレン構成単位(c)の割合が、85モル%超では耐熱性付与効果が減少し、また45モル%未満では熱安定性が低下し、前記樹脂(A)に配合して得られる樹脂組成物を成型加工した際には、外観が不良な成形品が得られる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(d)の割合が、45モル%超では熱安定性が低下し、樹脂(A)に配合して得られる樹脂組成物を成型加工した際には、外観が不良な成形品が得られ、また5モル%未満であれば樹脂(A)との相溶性が低下し、樹脂(A)に配合して得られる樹脂組成物の透明性が悪化する。
不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(e)の割合が、25モル%超では、熱安定性が低下し、樹脂(A)に配合して得られる樹脂組成物を成型加工した際にには、外観が不良な成形品が得られ、また10モル%未満では樹脂(A)との相溶性が低下し、樹脂(A)に配合して得られる樹脂組成物の透明性が悪化し、かつ樹脂の耐熱性付与効果が低下する。
本発明で用いる樹脂(B)は、スチレン構成単位(c)、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(e)、および不飽和ジカルボン酸無水物構成単位(f)以外の共重合可能なビニル単構成単位を共重合体中に発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよい。共重合可能なビニル構成単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸単量体;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド単量体;N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレイミドなどのアリールマレイミド単量体などの各単量体に由来する単位が挙げられる。共重合可能なビニル構成単位は、2種類以上を組み合わせて使用することができる。
樹脂(B)は、1種類単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
樹脂(B)には、樹脂(B)の他、透明性を損なわない範囲で他の樹脂、エラストマー、ゴム粒子をブレンドすることができる。例えば、ポリメタクリル酸メチル;メタクリル酸メチル−フェニルマレイミド−シクロヘキシルマレイミド共重合体;グルタルイミド構成単位を有するアクリル系共重合体;ラクトン環構成単位を有するアクリル系共重合体;ジエン系ゴム;アクリル系ゴム;非共役ジエン系ゴム;ゴム状重合体にメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、スチレン、置換スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合させてなるグラフト共重合体などが挙げられる。また、グラフト共重合体の好ましい例として、ゴム状重合体を内層とし、グラフト重合体を外層とする多層構造重合体を挙げることができる。
樹脂(B)には、樹脂(B)の他、透明性を損なわない範囲で他の樹脂、エラストマー、ゴム粒子をブレンドすることができる。例えば、ポリメタクリル酸メチル;メタクリル酸メチル−フェニルマレイミド−シクロヘキシルマレイミド共重合体;グルタルイミド構成単位を有するアクリル系共重合体;ラクトン環構成単位を有するアクリル系共重合体;ジエン系ゴム;アクリル系ゴム;非共役ジエン系ゴム;ゴム状重合体にメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、スチレン、置換スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合させてなるグラフト共重合体などが挙げられる。また、グラフト共重合体の好ましい例として、ゴム状重合体を内層とし、グラフト重合体を外層とする多層構造重合体を挙げることができる。
本発明においては、必要に応じて樹脂(A)、樹脂(B)またはその両方に紫外線吸収剤を混合して使用することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;サリチル酸フェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤;ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等のヒンダードアミン系紫外線吸収剤;2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。樹脂(A)または樹脂(B)への混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、またはマスターバッチをドライブレンドする方法等を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;サリチル酸フェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤;ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等のヒンダードアミン系紫外線吸収剤;2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。樹脂(A)または樹脂(B)への混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、またはマスターバッチをドライブレンドする方法等を用いることができる。
また、本発明においては、必要に応じて、樹脂(A)、樹脂(B)またはその両方に、紫外線吸収剤以外の各種添加剤を混合して使用することができる。添加剤としては、例えば、抗酸化剤や抗着色剤、抗帯電剤、離型剤、滑剤、染料、顔料などが挙げられる。樹脂(A)または樹脂(B)への混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法等を用いることができる。
本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの製造方法としては、公知の溶融押出法や溶液流涎成形法等により成形した熱可塑性合成樹脂を延伸フィルム用の原反フィルム(以下、単に「原反」という)とすることができる。生産性の観点から、特に溶融押出法が好適に用いられる。溶融押出法が用いられる場合には、中間体としての面状成形体として、原反を取り出さずに、連続的に延伸工程に供されることがある。この場合、本発明ではフィルムが実質的に延伸される直前の状態を「原反」と定義する。
溶融押出法による原反の作製について更に詳述する。
本発明に用いる合成透明樹脂の原反は公知の溶融押出法である、Tダイ押出法、インフレーション法等を用いることができるが、厚みムラの少ない原反を得るという点から、Tダイ押出法を選択することが望ましい。樹脂を溶融させる装置としては一般的に用いられる押出機を使用すればよく、単軸押出機でも多軸押出機でもよい。押出機は一つ以上のベント有していても良く、ベントを減圧にして溶融している樹脂から水分や低分子物質等を除去しても良い。また、押出機の先端または下流側には必要に応じて金網フィルターや焼結フィルター、またはギヤポンプ等を設けても良い。ダイスはTダイ以外にも、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイ、スタックプレートダイ等があり、いずれを選択することもできる。
本発明に用いる合成透明樹脂の原反は公知の溶融押出法である、Tダイ押出法、インフレーション法等を用いることができるが、厚みムラの少ない原反を得るという点から、Tダイ押出法を選択することが望ましい。樹脂を溶融させる装置としては一般的に用いられる押出機を使用すればよく、単軸押出機でも多軸押出機でもよい。押出機は一つ以上のベント有していても良く、ベントを減圧にして溶融している樹脂から水分や低分子物質等を除去しても良い。また、押出機の先端または下流側には必要に応じて金網フィルターや焼結フィルター、またはギヤポンプ等を設けても良い。ダイスはTダイ以外にも、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイ、スタックプレートダイ等があり、いずれを選択することもできる。
押出時の樹脂温度は特に限定されないが、200〜300℃が好ましい。押出時の樹脂温度が200℃未満では樹脂の流動性が不足し、転写ロール表面の形状が転写されないことがあるため、平滑性に乏しいものとなってしまう場合がある。一方、押出時の樹脂温度が300℃を超えると、樹脂が分解し、外観不良、着色、耐熱変形性の低下および臭気による作業環境の悪化等の原因となる場合がある。より好ましくは押出時の樹脂温度が220〜280℃である。押出温度が上記範囲にある場合、得られる原反の平滑性や透明性は優れたものになる。
Tダイから押出された溶融樹脂の冷却方法は従来公知の方法を用いることができるが、一般的には冷却ロールにて冷却する。本発明に使用する樹脂(A)および樹脂(B)は実質的に非晶性の樹脂であるため、冷却ロールの温度は幅広く設定することが可能である。
光学等方性に優れた原反を得るには、冷却ロールの温度は、樹脂(A)のガラス転移温度の上下30℃の範囲とするのが好ましく、さらに好ましくは樹脂(A)のガラス転移温度の上下20℃の範囲とする。光学等方性に優れた原反を得るには実質的に延伸されることが無いよう、装置に応じて吐出速度と引き取り速度と引き取り速度と冷却ロールの温度をコントロールすることが好ましい。
光学等方性に優れた原反を得るには、冷却ロールの温度は、樹脂(A)のガラス転移温度の上下30℃の範囲とするのが好ましく、さらに好ましくは樹脂(A)のガラス転移温度の上下20℃の範囲とする。光学等方性に優れた原反を得るには実質的に延伸されることが無いよう、装置に応じて吐出速度と引き取り速度と引き取り速度と冷却ロールの温度をコントロールすることが好ましい。
本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムは原反を延伸加工することで得られる。延伸加工によって、機械強度の付与と、位相差を所望の範囲に制御した熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを得ることができる。延伸方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔を開いての縦方向の延伸と同時にガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸や、またはロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップ担持してテンターを用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸などの二軸延伸法;が挙げられる。面内の直交軸方向の屈折率をバランスさせ、面内位相差を実質的にゼロにする場合には二軸延伸法が好ましい。
二軸延伸を行う場合、延伸方向への延伸倍率は1.1〜4.0倍の範囲であるのが好ましく、1.2〜3.0倍であるのがより好ましい。上記範囲内であると、機械強度の向上効果が高く、位相差を制御しやすい。上記範囲外であると、所望の位相差が得られない場合や寸法安定性が悪化する場合がある。また、二軸方向それぞれの延伸倍率は等倍であっても良く、倍率が異なっていても良い。
本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚みは、10〜1000μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜200μmである。フィルムの厚みが10μm以下では、押出成形で製造する場合、厚み精度不良が発生することが多く、延伸加工時に破断等が起きやすいため、生産不具合の発生確率が高くなる。また、フィルムの厚みが1000μm以上では、延伸加工に時間がかかるうえ、機械物性の向上効果が小さく、現実的ではない。本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚さは、原反製膜時に製膜速度、Tダイの吐出口厚み、ロール間隙等を調整したり、延伸加工時に延伸倍率を調節したりすることにより、調整できる。
本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムにおける樹脂(A)と樹脂(B)の割合は、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの透明性、色相、耐熱性、耐衝撃性、成形性、高温高湿環境での寸法安定性および位相差安定性のバランスに優れることから、組成物合計に対する樹脂(B)の割合は1〜50%が好ましく、さらに好ましくは樹脂(B)の割合が1〜30%である。
本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムには、その片面または両面にハードコート処理、反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理のいずれか一つ以上を施すことができる。それらの処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、熱硬化性あるいは光硬化性皮膜を塗布する方法、反射低減塗料を塗布する方法、誘電体薄膜を蒸着する方法、および帯電防止塗料を塗布する方法等が挙げられる。
コーティング剤としては公知のものを用いることができる。例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂等の有機系コーティング剤;シラン化合物等のシリコン系コーティング剤;金属酸化物等の無機系コーティング剤;有機無機ハイブリッド系コーティング剤が挙げられる。
コーティング剤としては公知のものを用いることができる。例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂等の有機系コーティング剤;シラン化合物等のシリコン系コーティング剤;金属酸化物等の無機系コーティング剤;有機無機ハイブリッド系コーティング剤が挙げられる。
本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの面内位相差Reは、0.0〜40.0nmの範囲であり、好ましくは0.0〜30.0nm、より好ましくは0.0〜20.0nm、さらに好ましくは0.0〜10.0nmである。
また、本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚み方向位相差Rthは、−300〜−10nmの範囲であり、好ましくは−250〜−10nm、より好ましくは−200〜−10nm、さらに好ましくは−160〜−10nmである。厚み方向位相差Rthは、樹脂(B)中のスチレン構成単位(c)の割合、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムにおける樹脂(A)と樹脂(B)の質量の合計に対する樹脂(B)の質量の割合、延伸倍率、延伸温度等で調整することができる。厚み方向位相差Rthを−300nm以下にする際は、延伸倍率を上げる、または延伸温度を下げる等の必要があり、フィルムの生産性や寸法安定性が悪化する場合があり好ましくない。
ここで、面内位相差Reおよび厚み方向位相差Rthは、波長590nmの光で測定した前記熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの面内における遅相軸の方向の屈折率をnx、前記面内における進相軸の方向の屈折率をny、前記熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、前記熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚さをdとしたときに、下記式により算出できる。
Re=(nx−ny)×d(d:フィルム厚み)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
また、本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚み方向位相差Rthは、−300〜−10nmの範囲であり、好ましくは−250〜−10nm、より好ましくは−200〜−10nm、さらに好ましくは−160〜−10nmである。厚み方向位相差Rthは、樹脂(B)中のスチレン構成単位(c)の割合、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムにおける樹脂(A)と樹脂(B)の質量の合計に対する樹脂(B)の質量の割合、延伸倍率、延伸温度等で調整することができる。厚み方向位相差Rthを−300nm以下にする際は、延伸倍率を上げる、または延伸温度を下げる等の必要があり、フィルムの生産性や寸法安定性が悪化する場合があり好ましくない。
ここで、面内位相差Reおよび厚み方向位相差Rthは、波長590nmの光で測定した前記熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの面内における遅相軸の方向の屈折率をnx、前記面内における進相軸の方向の屈折率をny、前記熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、前記熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚さをdとしたときに、下記式により算出できる。
Re=(nx−ny)×d(d:フィルム厚み)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムは、位相差フィルム、偏光板用保護フィルム、光拡散フィルム、光学フィルター、レンズシート、反射防止フィルム、透明電磁波遮蔽フィルム、導光フィルム、プリズムシートなどの光学フィルムとして好適に用いることができる。
特に、前述の範囲の位相差を有する、本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムは、nx=ny<nzの関係を満たすものであり、いわゆるポジティブCプレートの位相差フィルムとして用いることができる。なお、本発明においてnx=nyとは、nxとnyが完全に同一である場合だけでなく、nxとnyとが実質的に同一である場合も包含する。ここで、「nxとnyとが実質的に同一である場合」とは、nx−ny=(Re/d)の絶対値が1×10−3以下であることをいう。なお、nx、ny、nz、Re、dの定義は前述のとおりである。
特に、前述の範囲の位相差を有する、本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムは、nx=ny<nzの関係を満たすものであり、いわゆるポジティブCプレートの位相差フィルムとして用いることができる。なお、本発明においてnx=nyとは、nxとnyが完全に同一である場合だけでなく、nxとnyとが実質的に同一である場合も包含する。ここで、「nxとnyとが実質的に同一である場合」とは、nx−ny=(Re/d)の絶対値が1×10−3以下であることをいう。なお、nx、ny、nz、Re、dの定義は前述のとおりである。
本発明の一実施態様によれば、本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムは、高い機械強度を有するので、各種光学素子用の保護フィルムとして用いることもできる。特に偏光板用の保護フィルムとして好適に用いることができる。一般的に、偏光板用の保護フィルムには、偏光フィルムの偏光性能を阻害しないよう、例えばトリアセチルセルロース系フィルムなどの光学的に等方性を持つフィルムが用いられる。これに対し、本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを保護フィルムとして用いる場合は、偏光フィルムの一方の面に本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを積層し、他方の面に光学的に等方性を持つ保護フィルムを積層する。これにより、一方の面の保護フィルムが位相差フィルムを兼ねることができるので、通常は偏光板の保護フィルムの上に貼り付けられるポリカーボネート樹脂またはシクロオレフィン系の樹脂などからなる位相差フィルムを省くことができ、偏光板の薄肉化を図ることができる。また、保護フィルムの上に別の位相差フィルムを接着する工程がないので、生産性の向上にも寄与する。
本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光子または接着剤と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理や易接着層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、易接着層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
上記易接着層としては、特に限定されるものではないが、例えばウレタン樹脂と架橋剤とを含む易接着剤組成物等により形成される層が挙げられる。易接着層をこのような易接着剤組成物で形成することにより、偏光子と保護フィルムとの密着性(特に高温高湿環境下における)に優れた偏光板を提供し得る。
本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムは位相差フィルムとして好適に用いることができる。本発明の熱可塑性透明樹脂組成延伸フィルムを位相差フィルムとして用いる場合は、単独での使用以外に、同種及び/または異種光学材料と積層して用いることにより、更に光学特性を制御することができる。この際に積層される光学材料としては、特には限定されないが、例えば、偏光板、ポリカーボネート系樹脂やシクロオレフィン系樹脂からなる位相差フィルム、基材上に液晶分子を塗布した、液晶塗布型の位相差フィルム等が挙げられる。特に、nx>ny=nzの関係を満たす、いわゆるポジティブAプレートとの組み合わせはIPSモードの液晶表示装置の光漏れの抑制、すなわち高コントラスト化に有用である。なお、nx、ny、nzの定義は前述の通りである。
本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを含む位相差フィルムは、テレビ、パソコン、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション、医療機器、産業機器等の各種ディスプレイに用いられる液晶表示装置の画質向上に有用である。また、本発明の熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムと偏光フィルムとを貼合した円偏光板は、反射型液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに用いると表示装置の内部反射を低減することができ、有用である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例および比較例により何ら制限されるものではない。実施例および比較例で得られた熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの評価は以下のように行った。
<共重合体の水素化率>
以下の合成例にて得られたビニル共重合樹脂(樹脂(A))について、水素化反応前後のUVスペクトル測定における260nmの吸収の減少率により共重合体の水素化率を求めた。水素化反応前の樹脂の濃度C1における吸光度A1、水素化反応後の樹脂の濃度C2における吸光度A2から、以下の式より算出した。
水素化率(%)=100×[1−(A2×C1)/(A1×C2)]
以下の合成例にて得られたビニル共重合樹脂(樹脂(A))について、水素化反応前後のUVスペクトル測定における260nmの吸収の減少率により共重合体の水素化率を求めた。水素化反応前の樹脂の濃度C1における吸光度A1、水素化反応後の樹脂の濃度C2における吸光度A2から、以下の式より算出した。
水素化率(%)=100×[1−(A2×C1)/(A1×C2)]
<厚み>
以下の実施例および比較例にて得られた熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムについて、電磁方式膜厚測定器(フィッシャー社製:パーマスコープMP0R)を用いて測定し、取得した熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの測定点9点の平均をフィルムの厚みとした。
以下の実施例および比較例にて得られた熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムについて、電磁方式膜厚測定器(フィッシャー社製:パーマスコープMP0R)を用いて測定し、取得した熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの測定点9点の平均をフィルムの厚みとした。
<位相差特性>
以下の実施例および比較例にて得られた熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムについて、分光エリプソメータ(日本分光(株)製:M−220)にて、測定波長590nmで遅相軸を検出し、3次元屈折率測定モード(あおり角−8〜8°)で、フィルム面内の主屈折率nx、ny(ただし、nx>ny)および厚み方向の主屈折率nzを測定し、下記式により、面内位相差Reおよび厚み方向位相差Rthを算出した。面内位相差Reが0〜40nm、かつ厚み方向位相差(Rth)が−300〜−10nmのものを合格とした。
Re=(nx−ny)×d(d:フィルム厚み)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
以下の実施例および比較例にて得られた熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムについて、分光エリプソメータ(日本分光(株)製:M−220)にて、測定波長590nmで遅相軸を検出し、3次元屈折率測定モード(あおり角−8〜8°)で、フィルム面内の主屈折率nx、ny(ただし、nx>ny)および厚み方向の主屈折率nzを測定し、下記式により、面内位相差Reおよび厚み方向位相差Rthを算出した。面内位相差Reが0〜40nm、かつ厚み方向位相差(Rth)が−300〜−10nmのものを合格とした。
Re=(nx−ny)×d(d:フィルム厚み)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
<吸湿時の寸法安定性>
以下の実施例および比較例にて得られた熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムについて、温度23℃、相対湿度50%の環境に24時間以上放置した試験片を100mm×20mmに切り出し、初期寸法を測定した。その後、試験片を温度85℃、相対湿度85%RHの環境中で96時間保持した。取り出した試験片の寸法を再度測定し、試験後寸法とした。下記式により寸法変化率を算出し、寸法変化率が−0.1〜0.0%のものを合格とした。
寸法変化率(%)=((試験後寸法−初期寸法)/初期寸法)×100
以下の実施例および比較例にて得られた熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムについて、温度23℃、相対湿度50%の環境に24時間以上放置した試験片を100mm×20mmに切り出し、初期寸法を測定した。その後、試験片を温度85℃、相対湿度85%RHの環境中で96時間保持した。取り出した試験片の寸法を再度測定し、試験後寸法とした。下記式により寸法変化率を算出し、寸法変化率が−0.1〜0.0%のものを合格とした。
寸法変化率(%)=((試験後寸法−初期寸法)/初期寸法)×100
合成例1〔ビニル共重合樹脂(A1)の製造〕
精製したメタクリル酸メチル(三菱ガス化学社製)77.0モル%と、精製したスチレン(和光純薬工業社製)23.0モル%と、重合開始剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス575)0.002モル%からなるモノマー組成物を、ヘリカルリボン翼付き10L完全混合槽に1kg/hで連続的に供給し、平均滞留時間2.5時間、重合温度150℃で連続重合を行った。重合槽の液面が一定となるよう底部から連続的に抜き出し、脱溶剤装置に導入してペレット状のビニル共重合樹脂(A1’)を得た。
得られたビニル共重合樹脂(A1’)をイソ酪酸メチル(関東化学社製)に溶解し、10重量%イソ酪酸メチル溶液を調整した。1000mLオートクレーブ装置に(A1’)の10重量%イソ酪酸メチル溶液を500重量部、10重量%Pd/C(NEケムキャット社製)を1重量部仕込み、水素圧9MPa、200℃で15時間保持してベンゼン環部位を水素化した。フィルターにより触媒を除去し、脱溶剤装置に導入してペレット状のビニル共重合樹脂(A1)を得た。1H−NMRによる測定の結果、メタクリル酸メチル構成単位(構成単位(a))の割合は75モル%であり、また、波長260nmにおける吸光度測定の結果、ベンゼン環部位の水素化率は99%であった。構成単位(a)の割合から、脂肪族ビニル構成単位(構成単位(b))の割合は、25モル%と算出できる。
精製したメタクリル酸メチル(三菱ガス化学社製)77.0モル%と、精製したスチレン(和光純薬工業社製)23.0モル%と、重合開始剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス575)0.002モル%からなるモノマー組成物を、ヘリカルリボン翼付き10L完全混合槽に1kg/hで連続的に供給し、平均滞留時間2.5時間、重合温度150℃で連続重合を行った。重合槽の液面が一定となるよう底部から連続的に抜き出し、脱溶剤装置に導入してペレット状のビニル共重合樹脂(A1’)を得た。
得られたビニル共重合樹脂(A1’)をイソ酪酸メチル(関東化学社製)に溶解し、10重量%イソ酪酸メチル溶液を調整した。1000mLオートクレーブ装置に(A1’)の10重量%イソ酪酸メチル溶液を500重量部、10重量%Pd/C(NEケムキャット社製)を1重量部仕込み、水素圧9MPa、200℃で15時間保持してベンゼン環部位を水素化した。フィルターにより触媒を除去し、脱溶剤装置に導入してペレット状のビニル共重合樹脂(A1)を得た。1H−NMRによる測定の結果、メタクリル酸メチル構成単位(構成単位(a))の割合は75モル%であり、また、波長260nmにおける吸光度測定の結果、ベンゼン環部位の水素化率は99%であった。構成単位(a)の割合から、脂肪族ビニル構成単位(構成単位(b))の割合は、25モル%と算出できる。
実施例1
Tダイを具備した軸径30mmの同方向2軸押出機に、ビニル共重合樹脂(A1)と芳香族構成単位を有するビニル共重合樹脂(B1)(デンカ社製、商品名:RESISFY R−100、スチレン構成単位:メタクリル酸メチル構成単位:無水マレイン酸構成単位=63:22:15(モル比))を90:10の質量比でドライブレンドした熱可塑性樹脂組成物を導入し、シリンダー温度250℃、吐出速度5kg/hの条件で混錬しながら押し出した。その先に連結された温度250℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度110℃、85℃とした2本の鏡面ロールで冷却し透明な原反を得た。得られた原反の厚みは140μmであった。得られた原反を固定端同時二軸延伸機にて、二軸延伸した。延伸温度は160℃とし、予熱時間を十分に設け、延伸速度300mm/分、延伸倍率を縦1.87倍、横1.87倍として、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作製した。得られた熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚みは40μmであった。
Tダイを具備した軸径30mmの同方向2軸押出機に、ビニル共重合樹脂(A1)と芳香族構成単位を有するビニル共重合樹脂(B1)(デンカ社製、商品名:RESISFY R−100、スチレン構成単位:メタクリル酸メチル構成単位:無水マレイン酸構成単位=63:22:15(モル比))を90:10の質量比でドライブレンドした熱可塑性樹脂組成物を導入し、シリンダー温度250℃、吐出速度5kg/hの条件で混錬しながら押し出した。その先に連結された温度250℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度110℃、85℃とした2本の鏡面ロールで冷却し透明な原反を得た。得られた原反の厚みは140μmであった。得られた原反を固定端同時二軸延伸機にて、二軸延伸した。延伸温度は160℃とし、予熱時間を十分に設け、延伸速度300mm/分、延伸倍率を縦1.87倍、横1.87倍として、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作製した。得られた熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムの厚みは40μmであった。
実施例2
実施例1で90:10の質量比を70:30とした以外は実施例1と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
実施例1で90:10の質量比を70:30とした以外は実施例1と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
実施例3
実施例1で90:10の質量比を50:50とした以外は実施例1と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
実施例1で90:10の質量比を50:50とした以外は実施例1と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
比較例1
実施例1で使用したビニル共重合樹脂(A1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(A2)(クラレ社製、商品名:パラペットHR−F1000)を使用し、147℃で延伸した以外は実施例1と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
実施例1で使用したビニル共重合樹脂(A1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(A2)(クラレ社製、商品名:パラペットHR−F1000)を使用し、147℃で延伸した以外は実施例1と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
比較例2
実施例2で使用したビニル共重合樹脂(A1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(A2)を使用し、147℃で延伸した以外は実施例2と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
実施例2で使用したビニル共重合樹脂(A1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(A2)を使用し、147℃で延伸した以外は実施例2と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
比較例3
実施例3で使用したビニル共重合樹脂(A1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(A2)を使用した以外は実施例3と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
実施例3で使用したビニル共重合樹脂(A1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(A2)を使用した以外は実施例3と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
比較例4
実施例1で使用したビニル共重合樹脂(B1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(B2)(新日鉄住金化学社製、商品名:エスチレンMS200)を使用し、157℃で延伸した以外は実施例1と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
実施例1で使用したビニル共重合樹脂(B1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(B2)(新日鉄住金化学社製、商品名:エスチレンMS200)を使用し、157℃で延伸した以外は実施例1と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
比較例5
実施例2で使用したビニル共重合樹脂(B1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(B2)を使用し、138℃で延伸した以外は実施例2と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
実施例2で使用したビニル共重合樹脂(B1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(B2)を使用し、138℃で延伸した以外は実施例2と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
比較例6
実施例3で使用したビニル共重合樹脂(B1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(B2)を使用し、130℃で延伸した以外は実施例3と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
実施例3で使用したビニル共重合樹脂(B1)の代わりに、ビニル共重合樹脂(B2)を使用し、130℃で延伸した以外は実施例3と同様にして熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムを作成した。
Claims (11)
- 樹脂(A)と樹脂(B)とを含む樹脂組成物からなり、樹脂(A)と樹脂(B)の割合が質量比で99:1〜50:50であることを特徴とした熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルムであって、
前記樹脂(A)は、一般式(1):
で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、
一般式(2):
で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とを含み、
前記構成単位(a)と前記構成単位(b)との合計割合が、前記樹脂(A)の全構成単位の合計に対して85〜100モル%であり、前記構成単位(a)の割合が、前記樹脂(A)の全構成単位の合計に対して55〜80モル%であり、前記構成単位(b)の割合が、前記樹脂(A)の全構成単位に対して10〜45モル%であるビニル共重合樹脂であり、
前記樹脂(B)は、スチレン構成単位(c)、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)と不飽和ジカルボン酸無水物単位(e)を含み、スチレン構成単位(c)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して45〜85モル%であり、(メタ)アクリル酸エステル構成単位(d)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して5〜45モル%であり、不飽和ジカルボン酸無水物単位(e)が前記樹脂(B)の全構成単位の合計に対して10〜25モル%であるビニル共重合樹脂であり、
前記フィルムの面内位相差Reが0.0〜40.0nmの範囲であり、かつ厚み方向位相差Rthが−300〜−10nmの範囲である、熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルム。 - 樹脂(A)のガラス転移温度が110〜160℃の範囲である、請求項1に記載のフィルム。
- 一般式(1)のR1およびR2がメチル基である、請求項1または2に記載のフィルム。
- 一般式(2)のR3が水素であり、R4がシクロヘキシル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
- 樹脂(B)がメタクリル酸メチル−無水マレイン酸−スチレン共重合樹脂である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
- 二軸延伸フィルムである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム。
- 少なくとも一つの延伸方向への延伸倍率が1.1〜4.0倍である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
- 前記フィルムの全体の厚みが10〜1000μmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルム。
- 前記樹脂組成物が、紫外線吸収剤、抗酸化剤、抗着色剤、抗帯電剤、離型剤、滑剤、染料および顔料から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のフィルム。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルムを含む光学フィルム。
- 位相差フィルムである、請求項10に記載の光学フィルム。
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JP2017225946A JP2019094446A (ja) | 2017-11-24 | 2017-11-24 | 熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルム |
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