JP2019094363A - ポリオレフィン系樹脂組成物、電線・ケーブル並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温環境下での切裂き易さや皮むき性を改善し、優れた施工性を有するとともに十分な機械的特性も兼ね備えたポリオレフィン系樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂を含有するとともに、下記物性を有するポリオレフィン系樹脂組成物。前記組成物からなる特定形状のシートを調製し、前記シートの長手方向の両端部をそれぞれ片端A、片端Bとしたとき、前記シートの長手方向と平行に前記片端Aから前記片端Bに向かって長さ50mmの切れ込みを入れ、前記切れ込みを有する前記シートを0℃の環境下で引き続き前記切れ込みの終点にカッターナイフの刃を当て、200mm/分の速度で前記シートの長手方向と平行に前記終点から前記片端Bに向かって前記シートを切り裂いたときにかかる荷重が22N/mm以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、ポリオレフィン系樹脂組成物、電線・ケーブル並びにその製造方法に関する。
近年、環境問題への関心が世界的に高まっており、電線・ケーブルにおいても焼却時に有害なハロゲンガスなどを発生させないノンハロゲンの組成物を用いたものが普及しつつある。また、ノンハロゲン組成物を用いた電線・ケーブルについて様々な提案がなされている。
電線・ケーブルに用いるノンハロゲン組成物としては、ポリオレフィン系樹脂を含む組成物が公知であり、種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、最外側被覆層を有する電線・ケーブルにおいて、該最外側被覆層は熱軟化点が150℃以上の結晶を有するポリオレフィン40〜95重量部と、ショアD硬度が65以下の軟質ポリオレフィン60〜5重量部のブレンドポリマ100重量部に対して架橋剤を0.1〜1.1重量部配合した組成物から成り、且つ前記熱軟化点が150℃以上の結晶を有するポリオレフィンと、前記ショアD硬度が65以下の軟質ポリオレフィンの内のどちらか一方又は両方が無水マレイン酸で変性されたものであることを特徴とする電線・ケーブルが提案されている。
一方、低温環境下では、電線・ケーブルの絶縁体の柔軟性が損なわれ、その影響により電線・ケーブルの絶縁体の皮むき作業に多大な労力が必要となるという問題点がある。しかし、特許文献1に開示された従来技術は、接着性、軽量性、安価性、耐低温屈曲性が向上した電線・ケーブルの提供を目的としており、下記で説明する本発明の課題である、低温環境下での絶縁体の切裂性については何ら考慮されていない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温環境下での切裂き易さや皮むき性を改善し、優れた施工性を有するとともに十分な機械的特性も兼ね備えたポリオレフィン系樹脂組成物、電線・ケーブル並びにその製造方法を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る「ポリオレフィン系樹脂組成物、電線・ケーブル並びにその製造方法」は、下記[1]〜[6]を特徴としている。
[1]
ポリオレフィン系樹脂を含有するとともに、下記物性を有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物であること。
前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる長さ150mm、幅10mm、厚み1mmの矩形のシートを調製し、前記シートの長手方向の両端部をそれぞれ片端A、片端Bとしたとき、前記シートの長手方向と平行に前記片端Aから前記片端Bに向かって長さ50mmの切れ込みを入れ、前記切れ込みを有する前記シートを0℃の環境下に12時間静置後、前記環境下で引き続き前記切れ込みの終点にカッターナイフの刃を当て、200mm/分の速度で前記シートの長手方向と平行に前記終点から前記片端Bに向かって前記シートを切り裂いたときにかかる荷重が22N/mm以下である。
[2]
上記[1]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物において、
JIS K 7112に準拠して測定される密度が0.900〜0.930g/cm3であること。
[3]
上記[1]または[2]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物において、
JIS K 7215に準拠して測定されるデュロメータ硬さHDDが40〜52であること。
[4]
上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物において、
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であること。
[5]
導体の外周を少なくとも絶縁体で被覆してなる電線・ケーブルにおいて、
前記絶縁体が上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物からなること。
[6]
電線・ケーブルの製造方法において、
導体の外周に、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物を押出し、前記導体の外周に前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体を形成する工程を少なくとも有すること。
[1]
ポリオレフィン系樹脂を含有するとともに、下記物性を有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物であること。
前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる長さ150mm、幅10mm、厚み1mmの矩形のシートを調製し、前記シートの長手方向の両端部をそれぞれ片端A、片端Bとしたとき、前記シートの長手方向と平行に前記片端Aから前記片端Bに向かって長さ50mmの切れ込みを入れ、前記切れ込みを有する前記シートを0℃の環境下に12時間静置後、前記環境下で引き続き前記切れ込みの終点にカッターナイフの刃を当て、200mm/分の速度で前記シートの長手方向と平行に前記終点から前記片端Bに向かって前記シートを切り裂いたときにかかる荷重が22N/mm以下である。
[2]
上記[1]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物において、
JIS K 7112に準拠して測定される密度が0.900〜0.930g/cm3であること。
[3]
上記[1]または[2]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物において、
JIS K 7215に準拠して測定されるデュロメータ硬さHDDが40〜52であること。
[4]
上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物において、
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であること。
[5]
導体の外周を少なくとも絶縁体で被覆してなる電線・ケーブルにおいて、
前記絶縁体が上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物からなること。
[6]
電線・ケーブルの製造方法において、
導体の外周に、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物を押出し、前記導体の外周に前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体を形成する工程を少なくとも有すること。
上記[1]の構成のポリオレフィン系樹脂組成物によれば、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる特定形状のシートを特定方法で切り裂いたときのカッターナイフにかかる荷重を規定している。そのため、低温環境下での切裂き易さや皮むき性が改善され、優れた施工性を有する。また、十分な機械的特性も兼ね備え得る。
上記[2]の構成のポリオレフィン系樹脂組成物によれば、密度の範囲を特定化しているため、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性を向上できる。
上記[3]の構成のポリオレフィン系樹脂組成物によれば、デュロメータ硬さHDDの範囲を定めているため、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性を向上できる。
上記[4]の構成のポリオレフィン系樹脂組成物によれば、ポリオレフィン系樹脂を特定化しているため、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性をさらに向上できる。
上記[5]の構成の電線・ケーブルによれば、絶縁体が、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物からなるため、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性を向上できる。
上記[6]の構成の電線・ケーブルの製造方法によれば、導体の外周に、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物を押出し、前記導体の外周に前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体を形成する工程を少なくとも有するため、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性が向上した電線・ケーブルを提供できる。
本発明によれば、低温環境下での切裂き易さや皮むき性を改善し、優れた施工性を有するとともに十分な機械的特性も兼ね備えたポリオレフィン系樹脂組成物、電線・ケーブル並びにその製造方法を提供することができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
以下、図面を参照しながら、本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物、電線・ケーブル並びにその製造方法の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電線・ケーブルの断面図であり、(a)は電線の断面図、(b)はケーブルの断面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態における電線1は、銅線等の導体2と、導体2の外周を被覆する絶縁体3と、絶縁体3の外周を被覆する被覆層4とを備える。
また、図1(b)に示すように、本実施形態に係るケーブル10は、束ねられた複数の電線1(1a,1b,1c)と、束ねられた複数の電線1の周縁を覆う、被覆層としての被覆層4とを備える。
図1(a)に示すように、本実施形態における電線1は、銅線等の導体2と、導体2の外周を被覆する絶縁体3と、絶縁体3の外周を被覆する被覆層4とを備える。
また、図1(b)に示すように、本実施形態に係るケーブル10は、束ねられた複数の電線1(1a,1b,1c)と、束ねられた複数の電線1の周縁を覆う、被覆層としての被覆層4とを備える。
導体2は、1本の素線のみであってもよく、複数本の素線を束ねて形成したものであってもよい。導体2の材料としては、例えば、銅、メッキされた銅、銅合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金等の導電性金属を用いることができる。
絶縁体3は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物から構成される。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、少なくともポリオレフィン系樹脂をベース樹脂として含有するとともに、下記物性を有する。
前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる長さ150mm、幅10mm、厚み1mmの矩形のシートを調製し、前記シートの長手方向の両端部をそれぞれ片端A、片端Bとしたとき、前記シートの長手方向と平行に前記片端Aから前記片端Bに向かって長さ50mmの切れ込みを入れ、前記切れ込みを有する前記シートを0℃の環境下に12時間静置後、前記環境下で引き続き前記切れ込みの終点にカッターナイフの刃を当て、200mm/分の速度で前記シートの長手方向と平行に前記終点から前記片端Bに向かって前記シートを切り裂いたときにかかる荷重(以下、特定荷重と言うことがある)が22N/mm以下である。なお、前記シートの長手方向と直交する方向における片端A、片端Bの設定位置は、任意である。
前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる長さ150mm、幅10mm、厚み1mmの矩形のシートを調製し、前記シートの長手方向の両端部をそれぞれ片端A、片端Bとしたとき、前記シートの長手方向と平行に前記片端Aから前記片端Bに向かって長さ50mmの切れ込みを入れ、前記切れ込みを有する前記シートを0℃の環境下に12時間静置後、前記環境下で引き続き前記切れ込みの終点にカッターナイフの刃を当て、200mm/分の速度で前記シートの長手方向と平行に前記終点から前記片端Bに向かって前記シートを切り裂いたときにかかる荷重(以下、特定荷重と言うことがある)が22N/mm以下である。なお、前記シートの長手方向と直交する方向における片端A、片端Bの設定位置は、任意である。
なお、特定荷重は、JIS K 7161−1に規定される引張試験装置を用いて測定する。
特定荷重は、前記のように22N/mm以下であることが必要である。22N/mmを超えると、低温環境下での切裂き易さや皮むき性が悪化し、また、十分な機械的特性も得られない。
本発明における特定荷重を22N/mm以下にするためには、後述するように、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物が、特定の密度や硬さを有することにより達成されるが、例えば、使用するポリオレフィン系樹脂の種類や含有量を適切に調整することで実現できる。例えば、後述するように、低密度のポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)や、コポリマーの含有量の多いポリオレフィン系樹脂(エチレン−エチルアクリレート共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合体)を使用する等の手段がある。低密度のポリオレフィン系樹脂やコポリマーの含有量の多いポリオレフィン系樹脂を用いることで柔軟性を高めることができ、上記特定荷重を実現できる。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、JIS K 7112:1999に準拠して測定される密度が0.900〜0.930g/cm3であることが好ましい。密度をこのような範囲に定めることにより、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性をさらに向上することができる。
前記密度は、0.900〜0.920g/cm3であることがさらに好ましく、0.900〜0.915g/cm3であることがとくに好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を上記特定の密度にするには、使用するポリオレフィン系樹脂の種類や含有量等を適宜調整することにより実現できる。
前記密度は、0.900〜0.920g/cm3であることがさらに好ましく、0.900〜0.915g/cm3であることがとくに好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を上記特定の密度にするには、使用するポリオレフィン系樹脂の種類や含有量等を適宜調整することにより実現できる。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、JIS K 7215:1986に準拠して測定されるデュロメータ硬さHDDが40〜52であることが好ましい。デュロメータ硬さHDDをこのような範囲に定めることにより、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性をさらに向上することができる。
前記デュロメータ硬さHDDは、40〜50であることがさらに好ましく、40〜45であることがとくに好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を上記特定の硬さにするには、使用するポリオレフィン系樹脂の種類や含有量等を適宜調整することにより実現できる。
前記デュロメータ硬さHDDは、40〜50であることがさらに好ましく、40〜45であることがとくに好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を上記特定の硬さにするには、使用するポリオレフィン系樹脂の種類や含有量等を適宜調整することにより実現できる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に使用されるポリオレフィン系樹脂としては、とくに制限されないが、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、及び超低密度ポリエチレン(V−LDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、及びエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも本発明の効果向上の観点から、ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
中でも本発明の効果向上の観点から、ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂のJIS K 7112:1999に準拠して測定される密度は、0.880〜0.955g/cm3であることが好ましく、0.900〜0.935g/cm3であることがさらに好ましく、0.910〜0.925g/cm3であることがとくに好ましい。ポリオレフィン系樹脂の密度をこのような範囲に定めることにより、柔軟性が増し、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性をさらに向上することができる。
なお、柔軟性が向上すると、引張強さが弱くなるため、密度の高いポリオレフィン系樹脂を適量配合することにより、引張強さを高めることにより、ポリオレフィン系樹脂組成物として柔軟性と引張強さとを両立させることが好ましい。
なお、柔軟性が向上すると、引張強さが弱くなるため、密度の高いポリオレフィン系樹脂を適量配合することにより、引張強さを高めることにより、ポリオレフィン系樹脂組成物として柔軟性と引張強さとを両立させることが好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂のJIS K 6922−2:2010に準拠して測定されるMFR(190℃、2.16kgf荷重)は、0.1〜10.0g/10分であることが好ましく、0.5〜5.0g/10分であることがさらに好ましく、1.0〜3.0g/10分であることがとくに好ましい。MFRをこのような範囲に定めることにより、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性をさらに向上することができる。また、押出加工性も向上する。
特に、ポリオレフィン系樹脂の中でも、コポリマーの含有量の多い共重合体を用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂中のコポリマーの含有量としては、15〜50%が好ましく、30〜50%がより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の配合量は、ベース樹脂全体を100重量部としたときに、25〜75質量部であるのが好ましく、40〜60質量部であるのがさらに好ましい。前記範囲であることで、低温環境下での切裂き易さと機械的特性のバランスを両立させることができる。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ベース樹脂中にポリオレフィンゴムを配合してもよい。ポリオレフィンゴムは、樹脂組成物にゴム弾性を付与するという役割を有する。ポリオレフィンゴムを配合することにより、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性をさらに向上することができる。
ポリオレフィンゴムとしては、例えばエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)、スチレン・ブタジエン・ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、及びニトリルゴム(NBR)等が挙げられる。中でも、本発明の効果向上の観点から、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)を使用するのが好ましく、EPDMのエチレン含有量は50質量%以上であることが好ましく、50〜75質量%であるのがさらに好ましく、50〜60質量%であるのがとくに好ましい。
また、ポリオレフィンゴムを配合する場合、その配合割合は、ベース樹脂全体を100質量部としたときに、25〜75質量部であるのが好ましく、40〜60質量部であるのがさらに好ましい。前記範囲であることで、低温環境下での切裂き易さと機械的特性のバランスを両立させることができる。
ポリオレフィンゴムとしては、例えばエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)、スチレン・ブタジエン・ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、及びニトリルゴム(NBR)等が挙げられる。中でも、本発明の効果向上の観点から、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)を使用するのが好ましく、EPDMのエチレン含有量は50質量%以上であることが好ましく、50〜75質量%であるのがさらに好ましく、50〜60質量%であるのがとくに好ましい。
また、ポリオレフィンゴムを配合する場合、その配合割合は、ベース樹脂全体を100質量部としたときに、25〜75質量部であるのが好ましく、40〜60質量部であるのがさらに好ましい。前記範囲であることで、低温環境下での切裂き易さと機械的特性のバランスを両立させることができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、前記ポリオレフィン系樹脂および/または前記ポリオレフィンゴムが架橋されていてもよい。この実施形態によれば、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、並びに機械的特性をさらに向上することができる。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、架橋剤や架橋助剤を含有してもよい。
架橋剤としては、有機酸化物が挙げられるが、これに限定されるものではない。具体的には、架橋剤としては、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、及びtert−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
中でも好ましい架橋剤としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサンが挙げられる。
架橋剤としては、有機酸化物が挙げられるが、これに限定されるものではない。具体的には、架橋剤としては、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、及びtert−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
中でも好ましい架橋剤としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサンが挙げられる。
架橋助剤としては、とくに制限されないが、例えば分子内に二重結合を二個以上有する化合物が挙げられ、具体的には1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、及びポリプロピレングリコールジアクリレートなどのジアクリレート;1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、及びポリエチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、及びペンタエリスリトールトリアクリレートなどのトリアクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びトリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びテトラメチロールメタンテトラアクリレートなどのテトラアクリレート;ジビニルベンゼンなどのジビニル芳香族化合物;トリアリルシアヌレート、及びトリアリルイソシアヌレートなどのシアヌレート;ジアリルフタレートなどのジアリル化合物;トリアリル化合物等が挙げられる。
中でも好ましい架橋助剤としては、トリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。
中でも好ましい架橋助剤としては、トリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。
充填剤としては、例えば、臭素化エチレンビスフタルイミド誘導体、ビス臭素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素化ビスフェノール誘導体、及び1,2−ビス(ブロモフェニル)エタン等の有機系臭素含有難燃剤;水酸化マグネシウム、及び水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤;芳香族縮合リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、及びメラミンリン酸塩等のリン酸系難燃剤;ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸アンモニウム、ピロリン酸メラミン、及びピロリン酸ピペラジン等のイントメッセント系難燃剤;軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、マイカ、ペントナイト、ゼオライト、消石灰、カオリン、及びけいそう土等が挙げられる。
滑剤としては、炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、及びエステル系滑剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。
加工助剤としては、例えば、パラフィン系油、アロマチック系油、及びナフテン系油等の石油系油等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチレート系化合物、置換トリル系化合物、及び金属キレート系化合物等が挙げられる。
顔料としては、「顔料便覧(日本顔料技術協会編)」に記載されている一般的な無機顔料や有機顔料を用いることができる。例えば、無機顔料としては、チタンイエロー等のチタンを含む(複合)金属酸化物、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化亜鉛、及び三酸化アンチモン等が挙げられる。有機顔料はフタロシアニン系、アンスラキノン系、キナクリドン系、アゾ系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ペリノン系、及びペリレン系等の顔料が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルリン酸エステル、及びケイ酸化合物等が挙げられる。
分散剤としては、例えば、アクリル系分散剤、脂肪酸エステル系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、非イオン性界面活性剤、両親媒性トリフェニレン誘導体、及びピレン誘導体等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、滑剤を配合するのが好ましく、その配合量は、前記ベース樹脂100質量部に対し、0.5〜10質量部が好ましく、1〜2質量部がさらに好ましい。また滑剤の上記配合割合によれば、低温環境下での切裂き易さや皮むき性、機械的特性が改善される。
本発明の電線・ケーブル(1、10)は、図1に示すように被覆層4を設けることができる。
被覆層4は、公知の材料から適宜選択することができ、とくに制限されない。例えば、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に発泡剤を加え、発泡性組成物とし、これを発泡させたものが挙げられる。発泡剤としては、化学的分解によって炭酸ガスや窒素ガスなどを発生させる公知の化学分解型発泡剤等を用いることができ、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)やヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等のヒドラジン誘導体、及び炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。前記発泡剤の配合量は、前記ベース樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がさらに好ましい。
また被覆層4には、必要に応じて、充填剤、滑剤、酸化防止剤、加工助剤、中和剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、及び分散剤等の公知の各種添加剤を配合することもできる。これらの添加剤は、上記で例示した通りである。
被覆層4は、公知の材料から適宜選択することができ、とくに制限されない。例えば、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に発泡剤を加え、発泡性組成物とし、これを発泡させたものが挙げられる。発泡剤としては、化学的分解によって炭酸ガスや窒素ガスなどを発生させる公知の化学分解型発泡剤等を用いることができ、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)やヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等のヒドラジン誘導体、及び炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。前記発泡剤の配合量は、前記ベース樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がさらに好ましい。
また被覆層4には、必要に応じて、充填剤、滑剤、酸化防止剤、加工助剤、中和剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、及び分散剤等の公知の各種添加剤を配合することもできる。これらの添加剤は、上記で例示した通りである。
本発明の電線・ケーブル(1、10)は、導体(2)の外周に、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を押出し、前記導体(2)の外周に前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体(3)を形成する工程を少なくとも有する製造方法により製造することができる。
具体的には、本発明の製造方法は、以下の工程を有することができる。
(イ)少なくとも、ポリオレフィン系樹脂を含むベース樹脂、必要に応じてポリオレフィンゴム、架橋剤、架橋助剤、添加剤を混合し、ポリオレフィン系樹脂組成物を作製する工程
(ロ)前記工程(イ)で得られた組成物を押出し、導体(2)の外周に前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体(3)を形成する工程
(ハ)前記工程(ロ)で形成した絶縁体(3)の外周に、被覆層(4)を形成する工程
(イ)少なくとも、ポリオレフィン系樹脂を含むベース樹脂、必要に応じてポリオレフィンゴム、架橋剤、架橋助剤、添加剤を混合し、ポリオレフィン系樹脂組成物を作製する工程
(ロ)前記工程(イ)で得られた組成物を押出し、導体(2)の外周に前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体(3)を形成する工程
(ハ)前記工程(ロ)で形成した絶縁体(3)の外周に、被覆層(4)を形成する工程
前記工程(イ)において、ポリオレフィン系樹脂組成物の作製方法としては、前記のポリオレフィン系樹脂を含むベース樹脂、必要に応じてポリオレフィンゴム、架橋剤、架橋助剤、添加剤を公知の混合手段を用いて均一に混合する方法が例示される。
前記工程(ロ)において、ポリオレフィン系樹脂組成物の押出し方法としてはとくに制限されず、例えば公知の単軸押出機や二軸押出機等の押出機を用いる方法が挙げられる。
前記工程(ハ)において、被覆層(4)の形成方法としては、例えば公知の単軸押出機や二軸押出機等の押出機を用い、前記発泡性組成物を絶縁体(3)の周囲に押出す方法が挙げられる。この押出工程の際に、発泡性組成物が発泡し、被覆層(4)が形成される。
前記工程(ロ)において、ポリオレフィン系樹脂組成物の押出し方法としてはとくに制限されず、例えば公知の単軸押出機や二軸押出機等の押出機を用いる方法が挙げられる。
前記工程(ハ)において、被覆層(4)の形成方法としては、例えば公知の単軸押出機や二軸押出機等の押出機を用い、前記発泡性組成物を絶縁体(3)の周囲に押出す方法が挙げられる。この押出工程の際に、発泡性組成物が発泡し、被覆層(4)が形成される。
なお、本発明の電線・ケーブル(1、10)の絶縁体(3)は、単層もしくは2層以上で構成することができる。絶縁体(3)を2層以上とすることで、外層に外観の優れる材料を用いることで平滑な外観を持つ絶縁体を形成できる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
以下の材料を使用した。
A1:ポリエチレン(PE)、日本ポリエチレン株式会社製KS240T、密度=0.880g/cm3、MFR=2.2g/10分、デュロメータ硬さHDD=31。
A2:ポリエチレン(PE)、日本ポリエチレン株式会社製KF260T、密度=0.901g/cm3、MFR=2.0g/10分、デュロメータ硬さHDD=44。
A3:ポリエチレン(PE)、東ソー株式会社製5700、密度=0.954g/cm3、MFR=0.9g/10分、デュロメータ硬さHDD=69。
A4:エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、宇部丸善ポリエチレン株式会社製V206、密度=0.920g/cm3、MFR=2.0g/10分、デュロメータ硬さHDD=42。
A5:エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、三井化学株式会社製0045、エチレン含有量51質量%。
A6:エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、三井化学株式会社製K9720、エチレン含有量77質量%。
A7:エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、三井化学株式会社製8030M、エチレン含有量47質量%。
A1:ポリエチレン(PE)、日本ポリエチレン株式会社製KS240T、密度=0.880g/cm3、MFR=2.2g/10分、デュロメータ硬さHDD=31。
A2:ポリエチレン(PE)、日本ポリエチレン株式会社製KF260T、密度=0.901g/cm3、MFR=2.0g/10分、デュロメータ硬さHDD=44。
A3:ポリエチレン(PE)、東ソー株式会社製5700、密度=0.954g/cm3、MFR=0.9g/10分、デュロメータ硬さHDD=69。
A4:エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、宇部丸善ポリエチレン株式会社製V206、密度=0.920g/cm3、MFR=2.0g/10分、デュロメータ硬さHDD=42。
A5:エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、三井化学株式会社製0045、エチレン含有量51質量%。
A6:エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、三井化学株式会社製K9720、エチレン含有量77質量%。
A7:エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、三井化学株式会社製8030M、エチレン含有量47質量%。
上記各材料の詳細を表1にまとめた。
(実施例1〜6および比較例1〜2)
表2に示す処方により、各種ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。
各種ポリオレフィン系樹脂組成物の密度、デュロメータ硬さHDD、特定荷重(0℃または23℃環境下)を以下で示す方法により測定した。
ポリオレフィン系樹脂組成物の密度:JIS K7112:1999に準拠して測定した。
ポリオレフィン系樹脂組成物のデュロメータ硬さHDD:JIS K 7215:1986に準拠して測定した。
特定荷重(0℃環境下):ポリオレフィン系樹脂組成物からなる長さ150mm、幅10mm、厚み1mmの矩形のシートを調製し、前記シートの長手方向の両端部をそれぞれ片端A、片端Bとしたとき、前記シートの長手方向と平行に前記片端Aから前記片端Bに向かって長さ50mmの切れ込みを入れ、前記切れ込みを有する前記シートを0℃の環境下に12時間静置後、前記環境下で引き続き前記切れ込みの終点にカッターナイフの刃を当て、200mm/分の速度で前記シートの長手方向と平行に前記終点から前記片端Bに向かって前記シートを切り裂いたときにかかる荷重を測定した。
特定荷重(23℃環境下):23℃の環境下にシートを静置したことを除いては、上記特定荷重の測定と同様に、測定を行った。
表2に示す処方により、各種ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。
各種ポリオレフィン系樹脂組成物の密度、デュロメータ硬さHDD、特定荷重(0℃または23℃環境下)を以下で示す方法により測定した。
ポリオレフィン系樹脂組成物の密度:JIS K7112:1999に準拠して測定した。
ポリオレフィン系樹脂組成物のデュロメータ硬さHDD:JIS K 7215:1986に準拠して測定した。
特定荷重(0℃環境下):ポリオレフィン系樹脂組成物からなる長さ150mm、幅10mm、厚み1mmの矩形のシートを調製し、前記シートの長手方向の両端部をそれぞれ片端A、片端Bとしたとき、前記シートの長手方向と平行に前記片端Aから前記片端Bに向かって長さ50mmの切れ込みを入れ、前記切れ込みを有する前記シートを0℃の環境下に12時間静置後、前記環境下で引き続き前記切れ込みの終点にカッターナイフの刃を当て、200mm/分の速度で前記シートの長手方向と平行に前記終点から前記片端Bに向かって前記シートを切り裂いたときにかかる荷重を測定した。
特定荷重(23℃環境下):23℃の環境下にシートを静置したことを除いては、上記特定荷重の測定と同様に、測定を行った。
続いて、押出成形機として、ブラベンダー社製、商品名ラボステーションを用い、直径14.0mmの銅線の外周を、各種ポリオレフィン系樹脂組成物の押出しにより被覆した。具体的には、複数本の軟銅線からなる同心撚線(導体)に、上記押出成形機を用いて前記導体の周囲に上記ポリオレフィン系樹脂組成物を、温度200℃で押出し、導体の周囲に絶縁層を形成した。得られた導体と導体を被覆する絶縁層とを備えた絶縁電線に対し、同じく押出成形機を用いて前記絶縁電線の周囲にポリ塩化ビニル樹脂からなる樹脂組成物を、温度160℃で押出し、シース層を形成し、ケーブルとした。形成された絶縁体の厚みは、1.80mmであった。
得られた各電線について、下記の評価を行った。
特定荷重(0℃環境下):22N/mm以下を合格(○)とし、22N/mmを超えるものを不合格(×)とした。
特定荷重(23℃環境下):18N/mm以下を合格(○)とし、18N/mmを超えるものを不合格(×)とした。
引張伸び:JIS C 3005:2014に準拠して測定した。350%以上を合格(○)とし、350%未満を不合格(×)とした。
引張強さ:JIS C 3005:2014に準拠して測定した。10MPa以上を合格(○)とし、10MPa未満を不合格(×)とした。
特定荷重(0℃環境下):22N/mm以下を合格(○)とし、22N/mmを超えるものを不合格(×)とした。
特定荷重(23℃環境下):18N/mm以下を合格(○)とし、18N/mmを超えるものを不合格(×)とした。
引張伸び:JIS C 3005:2014に準拠して測定した。350%以上を合格(○)とし、350%未満を不合格(×)とした。
引張強さ:JIS C 3005:2014に準拠して測定した。10MPa以上を合格(○)とし、10MPa未満を不合格(×)とした。
結果を表2に併せて示す。
表2の結果から、実施例1〜6の電線では、ポリオレフィン系樹脂組成物の特定荷重が本発明で規定する範囲内であるため、低温環境下での切裂き易さや皮むき性が改善され、優れた施工性を有するとともに十分な機械的特性も兼ね備えていることが分かる。
これに比較例1および2は、ポリオレフィン系樹脂組成物の特定荷重が本発明で規定する上限を超えているため、低温環境下での切裂き易さおよび皮むき性と、機械的特性とを共に満足することができなかった。
これに比較例1および2は、ポリオレフィン系樹脂組成物の特定荷重が本発明で規定する上限を超えているため、低温環境下での切裂き易さおよび皮むき性と、機械的特性とを共に満足することができなかった。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
ここで、上述した本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物、電線・ケーブル並びにその製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
ポリオレフィン系樹脂を含有するとともに、下記物性を有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる長さ150mm、幅10mm、厚み1mmの矩形のシートを調製し、前記シートの長手方向の両端部をそれぞれ片端A、片端Bとしたとき、前記シートの長手方向と平行に前記片端Aから前記片端Bに向かって長さ50mmの切れ込みを入れ、前記切れ込みを有する前記シートを0℃の環境下に12時間静置後、前記環境下で引き続き前記切れ込みの終点にカッターナイフの刃を当て、200mm/分の速度で前記シートの長手方向と平行に前記終点から前記片端Bに向かって前記シートを切り裂いたときにかかる荷重が22N/mm以下である。
[2]
JIS K 7112に準拠して測定される密度が0.900〜0.930g/cm3であることを特徴とする前記[1]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[3]
JIS K 7215に準拠して測定されるデュロメータ硬さHDDが40〜52であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[4]
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[5]
導体(2)の外周を少なくとも絶縁体(3)で被覆してなる電線・ケーブル(1、10)において、前記絶縁体(3)が前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする電線・ケーブル(1、10)。
[6]
導体(2)の外周に、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物を押出し、前記導体(2)の外周に前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体(3)を形成する工程を少なくとも有することを特徴とする電線・ケーブルの製造方法。
[1]
ポリオレフィン系樹脂を含有するとともに、下記物性を有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる長さ150mm、幅10mm、厚み1mmの矩形のシートを調製し、前記シートの長手方向の両端部をそれぞれ片端A、片端Bとしたとき、前記シートの長手方向と平行に前記片端Aから前記片端Bに向かって長さ50mmの切れ込みを入れ、前記切れ込みを有する前記シートを0℃の環境下に12時間静置後、前記環境下で引き続き前記切れ込みの終点にカッターナイフの刃を当て、200mm/分の速度で前記シートの長手方向と平行に前記終点から前記片端Bに向かって前記シートを切り裂いたときにかかる荷重が22N/mm以下である。
[2]
JIS K 7112に準拠して測定される密度が0.900〜0.930g/cm3であることを特徴とする前記[1]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[3]
JIS K 7215に準拠して測定されるデュロメータ硬さHDDが40〜52であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[4]
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[5]
導体(2)の外周を少なくとも絶縁体(3)で被覆してなる電線・ケーブル(1、10)において、前記絶縁体(3)が前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする電線・ケーブル(1、10)。
[6]
導体(2)の外周に、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物を押出し、前記導体(2)の外周に前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体(3)を形成する工程を少なくとも有することを特徴とする電線・ケーブルの製造方法。
1 電線
2 導体
3 絶縁体
4 被覆層
10 ケーブル
2 導体
3 絶縁体
4 被覆層
10 ケーブル
Claims (6)
- ポリオレフィン系樹脂を含有するとともに、下記物性を有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる長さ150mm、幅10mm、厚み1mmの矩形のシートを調製し、前記シートの長手方向の両端部をそれぞれ片端A、片端Bとしたとき、前記シートの長手方向と平行に前記片端Aから前記片端Bに向かって長さ50mmの切れ込みを入れ、前記切れ込みを有する前記シートを0℃の環境下に12時間静置後、前記環境下で引き続き前記切れ込みの終点にカッターナイフの刃を当て、200mm/分の速度で前記シートの長手方向と平行に前記終点から前記片端Bに向かって前記シートを切り裂いたときにかかる荷重が22N/mm以下である。 - JIS K 7112に準拠して測定される密度が0.900〜0.930g/cm3であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- JIS K 7215に準拠して測定されるデュロメータ硬さHDDが40〜52であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 導体の外周を少なくとも絶縁体で被覆してなる電線・ケーブルにおいて、前記絶縁体が請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする電線・ケーブル。
- 導体の外周に、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物を押出し、前記導体の外周に前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる絶縁体を形成する工程を少なくとも有することを特徴とする電線・ケーブルの製造方法。
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