JP2020092065A - 電線・ケーブル - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、近年では、ポリオレフィン系樹脂に難燃剤として金属水酸化物を配合したノンハロゲン難燃性樹脂組成物が多用されるようになっている。
しかし、特許文献3における白化性の評価は、電線の上にφ2mmのSUS棒を乗せ、荷重100gでSUS棒を10往復させた後の白化性を目視により評価するというものであり、さらなる荷重がかかった場合の耐白化性については評価されておらず、例えば荷重500gの場合、本発明者の検討によれば、白化現象が確認されている。
(1)
導体の外周を被覆層で被覆してなる電線・ケーブルにおいて、
前記被覆層が、前記電線・ケーブルの最も外側に設けられるとともに架橋された最外層を有し、
前記最外層は、ベース樹脂および難燃剤を含有するとともに、下記条件(A)または(B)を満たすことを特徴とする電線・ケーブルであること。
(A)前記最外層の架橋度が5%以上20%未満の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が40質量部以上60質量部以下である。
(B)前記最外層の架橋度が20%以上40%以下の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が20質量部以上40質量部未満である。
(2)
上記(1)に記載の電線・ケーブルにおいて、
前記ベース樹脂が、ポリオレフィン系樹脂およびゴム成分の少なくとも1種であること。
(3)
上記(2)に記載の電線・ケーブルにおいて、
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)から選択される少なくとも1種であること。
(4)
上記(2)に記載の電線・ケーブルにおいて、
前記ゴム成分が、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)およびスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)から選択される少なくとも1種であること。
(5)
上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電線・ケーブルにおいて、
前記被覆層が、少なくとも前記最外層と、その内側の内層とを有すること。
(6)
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電線・ケーブルにおいて、
前記導体と前記被覆層との間に、絶縁層が設けられてなること。
(A)前記最外層(42)の架橋度が5%以上20%未満の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が40質量部以上60質量部以下である。
(B)前記最外層(42)の架橋度が20%以上40%以下の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が20質量部以上40質量部未満である。
このような条件(A)または(B)を満たすことにより、難燃剤の配合量を減少させても高い難燃性を電線・ケーブルに付与することができる。また、難燃剤の配合量が少ないがために、高い柔軟性および耐白化性を有する電線・ケーブルを提供でき、とくに電線・ケーブルに高い荷重をかけた場合であっても優れた耐白化性を提供できる。
図1に示すように、本実施形態における電線1は、銅線等の導体2と、導体2の外周を被覆する被覆層4とを備える。被覆層4は、電線1の最も外側に設けられるとともに架橋された最外層42を備え、図1に示す形態では、最外層42の内側に内層41が設けられている。
また図2に示すように、別の実施形態における電線1は、銅線等の導体2と、導体2の外周を被覆する被覆層4とを備える。被覆層4は、電線1の最も外側に設けられるとともに架橋された最外層42を備え、図2に示す形態では、最外層42の内側に内層41が設けられ、かつ導体2と内層41との間に、絶縁層3が設けられている。
また図3に示すように、本実施形態に係るケーブル10は、束ねられた複数の電線1(1a,1b)と、束ねられた複数の電線1の周縁を覆う、被覆層としての被覆層4とを備える。被覆層4は、ケーブル10の最も外側に設けられるとともに架橋された最外層42を備え、図3に示す形態では、最外層42の内側に内層41が設けられ、また導体2と内層41との間に、絶縁層3が設けられている。
中でも、本発明の効果が向上するという観点から、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
なお、本発明でいう密度は、JIS K7112に準拠して測定される値であり、MFRは、JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kgf荷重にて測定される値である。
その場合、ポリオレフィン系樹脂およびゴム成分の配合割合は、ベース樹脂全体を100質量部としたときに、前記ポリオレフィン系樹脂が50〜95質量部、前記ゴム成分が5〜50質量部であるのが好ましく、前記ポリオレフィン系樹脂が70〜90質量部、前記ゴム成分が10〜30質量部であるのがさらに好ましい。
中でも、金属水酸化物、リン酸系難燃剤等は、電線・ケーブルに対して白化を起こしやすく、また柔軟性に悪影響を及ぼすことから、これら難燃剤を使用した場合に、本発明の効果が発現しやすい。
(A)前記最外層42の架橋度が5%以上20%未満の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が40質量部以上60質量部以下である。
(B)前記最外層42の架橋度が20%以上40%以下の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が20質量部以上40質量部未満である。
前記条件(A)は、架橋度が低い場合の、架橋度と難燃剤の配合量との関係を示している。また前記条件(B)は、架橋度が高い場合の、架橋度と難燃剤の配合量との関係を示している。
前記条件(A)および(B)の比較において、前記条件(A)は最外層42の架橋度が低いため、難燃剤の配合量が多くなっている。逆に前記条件(B)は最外層42の架橋度が高いため、難燃剤の配合量が多くなっている。
これらの条件のいずれかを満たすことにより、難燃剤の配合量を減少させても高い難燃性を電線・ケーブルに付与することができる。また、難燃剤の配合量が少ないために、高い柔軟性および耐白化性を有する電線・ケーブルを提供でき、とくに電線・ケーブルに高い荷重をかけた場合であっても優れた耐白化性を提供できる。本発明者の検討によれば、電線・ケーブルの構成材料の結合解離エネルギーが大きいほど、および/または、分子量が大きいほど、高い難燃性を付与することができる。本発明の電線・ケーブルは、最外層42が架橋しているため、結合解離エネルギーは大きくなり、かつ分子量も大きくなっている。したがって、難燃剤の配合量を減少させても、高い難燃性を電線・ケーブルに付与することができる。また、最外層42が架橋されているため、耐熱性が向上し、燃焼過程の燃焼熱によるベース樹脂の溶融および熱劣化が抑制され、難燃性の向上に寄与している。
また前記条件(A)において、架橋度が5%以上10%以下の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量は、50〜60質量部が好ましく、架橋度が10%超20%未満の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量は、40〜50質量部が好ましい。
前記条件(B)において、前記最外層42の架橋度が40%を超えると、電線・ケーブルの柔軟性が悪化する。
また前記条件(B)において、架橋度が20%以上30%以下の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量は、30〜40質量部が好ましく、架橋度が30%超40%以下の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量は、20〜30質量部が好ましい。
なお架橋度は、JIS C3005:2014にしたがい測定することができる。
(2)前記工程(1)で作製した樹脂組成物を公知の方法により架橋し、架橋体を調製する工程
(3)必要に応じて、内層41および/または絶縁層3用の樹脂組成物を作製する工程
(4)前記工程(2)で得られた架橋体を、公知の単軸押出機や二軸押出機等の押出機により押出し、導体の外周に前記架橋体からなる最外層42を形成する工程
(5)必要に応じて最外層42を形成するよりも前に、前記工程(3)で作製した樹脂組成物を、公知の単軸押出機や二軸押出機等の押出機により押出し、導体2の外周に内層41および/または絶縁層3を形成する工程
なお使用した材料は以下の通りである。
EVA:三菱ケミカル(株)製 A543
EPDM:JSR(株)製EP07AP
難燃剤:水酸化マグネシウム
架橋度:JIS C3005:2014にしたがい測定した。
難燃性:JIS C3605にしたがい測定した。3秒以内に自消ありを◎、3秒超60秒以内に自消ありを○、60秒以内に自消なしを×として評価した。
柔軟性(3点曲げ試験):JIS K7171に準拠して測定した。30N以下を◎、30N超50N以下を○、50N超を×として評価した。
白化試験:新東科学株式会社製摩擦摩耗試験機TYPE40を用い、500g荷重、10往復の条件で摩擦した後、表面の白化を目視で確認した。白化なしを○、白化ありを×として評価した。
(A)前記最外層(42)の架橋度が5%以上20%未満の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が40質量部以上60質量部以下である。
(B)前記最外層(42)の架橋度が20%以上40%以下の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が20質量部以上40質量部未満である。
また、条件(B)において、架橋度が20%以上30%以下の場合に、ベース樹脂100質量部に対する難燃剤の配合量が30〜40質量部である実施例3、7、及び11、架橋度が30%超40%以下の場合に、ベース樹脂100質量部に対する難燃剤の配合量が20〜30質量部である実施例4、8、及び12は、より優れた難燃性、および柔軟性を示した。
(1)
導体(2)の外周を被覆層(4)で被覆してなる電線・ケーブル(1、10)において、
前記被覆層(4)が、前記電線・ケーブル(1、10)の最も外側に設けられるとともに架橋された最外層(42)を有し、
前記最外層(42)は、ベース樹脂および難燃剤を含有するとともに、下記条件(A)または(B)を満たすことを特徴とする電線・ケーブル(1、10)。
(A)前記最外層(42)の架橋度が5%以上20%未満の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が40質量部以上60質量部以下である。
(B)前記最外層(42)の架橋度が20%以上40%以下の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が20質量部以上40質量部未満である。
(2)
上記(1)の電線・ケーブルにおいて、
前記ベース樹脂が、ポリオレフィン系樹脂およびゴム成分の少なくとも1種である、電線・ケーブル(1、10)。
(3)
上記(2)の電線・ケーブルにおいて、
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)から選択される少なくとも1種である、電線・ケーブル(1、10)。
(4)
上記(2)の電線・ケーブルにおいて、
前記ゴム成分が、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)およびスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)から選択される少なくとも1種である、電線・ケーブル(1、10)。
(5)
上記(1)〜(4)のいずれかの電線・ケーブルにおいて、
前記被覆層(4)が、少なくとも前記最外層(42)と、その内側の内層(41)とを有する、電線・ケーブル(1、10)。
(6)
上記(1)〜(5)のいずれかの電線・ケーブルにおいて、
前記導体(2)と前記被覆層(4)との間に、絶縁層(3)が設けられてなる、電線・ケーブル(1、10)。
2 導体
3 絶縁層
4 被覆層
41 内層
42 最外層
10 ケーブル
Claims (5)
- 導体の外周を被覆層で被覆してなる電線・ケーブルにおいて、
前記被覆層が、前記電線・ケーブルの最も外側に設けられるとともに架橋された最外層を有し、
前記最外層は、ベース樹脂および難燃剤を含有するとともに、下記条件(A)または(B)を満たすことを特徴とする電線・ケーブル。
(A)前記最外層の架橋度が5%以上20%未満の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が40質量部以上60質量部以下である。
(B)前記最外層の架橋度が20%以上40%以下の場合、前記ベース樹脂100質量部に対する前記難燃剤の配合量が20質量部以上40質量部未満である。 - 前記ベース樹脂が、ポリオレフィン系樹脂およびゴム成分の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の電線・ケーブル。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の電線・ケーブル。
- 前記ゴム成分が、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)およびスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の電線・ケーブル。
- 前記被覆層が、少なくとも前記最外層と、その内側の内層とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電線・ケーブル。
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JP2013239395A (ja) * | 2012-05-17 | 2013-11-28 | Yazaki Energy System Corp | 接地線付き平型ケーブル |
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