JP2019094220A - 車両用窓ガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】車外からの情報を取得する情報取得装置に対応する車両用窓ガラスにおいて、通常の入射光の条件下および逆光等の条件下のいずれの場合においても、可視光透過率が確保され、情報取得が十分に行える車両用窓ガラスの提供。【解決手段】車外からの情報を取得する情報取得装置を車内側に配置可能な車両用窓ガラスであって、前記車両用窓ガラスは、前記情報取得装置への前記情報が透過する情報透過領域を有し、前記情報透過領域は、可視光透過率が20%以上である可視光高透過領域と、可視光透過率が20%未満である可視光低透過領域とからなり、前記可視光高透過領域と可視光低透過領域の少なくとも一方は前記情報透過領域内に複数存在し、前記可視光低透過領域は、前記情報透過領域のいずれの面積1cm2の正方形の領域においても10〜60%の面積を占める、ことを特徴とする車両用窓ガラス。【選択図】図1
Description
本発明は、車両用窓ガラスに関する。
近年、自動車の安全性向上を目的に、自動的に前方を走行する車両や歩行者との衝突を回避する機能を有する自動車が開発されており、車外からの情報を取得する手段としてカメラが用いられている。しかし、カメラは太陽光や対向車のヘッドライト等による逆光により、車外からの情報が取得困難になる恐れがある。
この問題を解決するために、例えば、特許文献1には、車載カメラ装置の前面に、複数領域に分割された領域毎に光の透過率を変化させること、すなわち調光が可能な、液晶板を配置し、逆光等に際して領域間に生じる入射光の光量の差を調光により平均化して、車載カメラ装置の画像全体の輝度を平準化する技術が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、液晶板は車載カメラ装置の前面の全体に対応するように設けられている。液晶板は、調光可能であるが、光の透過率が高い状態でも、通常のガラス板に比べて可視光透過率は低く、車載カメラ装置による情報取得が不十分となる点で問題であった。
本発明は、上記観点からなされたものであり、車外からの情報を取得する情報取得装置に対応する車両用窓ガラスにおいて、通常の入射光の条件下および逆光等の条件下のいずれの場合においても、十分な可視光透過率が確保され、情報取得が十分に行える車両用窓ガラスの提供を目的とする。
本発明の車両用窓ガラスは、車外からの情報を取得する情報取得装置を車内側に配置可能な車両用窓ガラスであって、
前記車両用窓ガラスは、前記情報取得装置への前記情報が透過する情報透過領域を有し、
前記情報透過領域は、可視光透過率が20%以上である可視光高透過領域と、可視光透過率が20%未満である可視光低透過領域とからなり、
前記可視光高透過領域と可視光低透過領域の少なくとも一方は前記情報透過領域内に複数存在し、
前記可視光低透過領域は、前記情報透過領域のいずれの面積1cm2の正方形の領域においても10〜60%の面積を占める、ことを特徴とする。
前記車両用窓ガラスは、前記情報取得装置への前記情報が透過する情報透過領域を有し、
前記情報透過領域は、可視光透過率が20%以上である可視光高透過領域と、可視光透過率が20%未満である可視光低透過領域とからなり、
前記可視光高透過領域と可視光低透過領域の少なくとも一方は前記情報透過領域内に複数存在し、
前記可視光低透過領域は、前記情報透過領域のいずれの面積1cm2の正方形の領域においても10〜60%の面積を占める、ことを特徴とする。
本発明によれば、車外からの情報を取得する情報取得装置に対応する車両用窓ガラスにおいて、通常の入射光の条件下および逆光等の条件下のいずれの場合においても、十分な可視光透過率が確保され、情報取得が十分に行える車両用窓ガラスを提供できる。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、これらの実施形態を、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、変更または変形することができる。
なお、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、これらの実施形態を、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、変更または変形することができる。
図1は実施形態に係る車両用窓ガラスの一例の全体平面図である。図1に示す車両用窓ガラスはフロントガラスに適用される車両用窓ガラスの例であり、図1は車両用窓ガラスを車内側から見た平面図である。図2は図1に示す車両用窓ガラスのX−X線における概略断面図であり、情報取得装置が配置される際の概要を示す。図3Aは図1に示す車両用窓ガラスが有する情報透過領域の拡大平面図であり、図4は図1に示す車両用窓ガラスのX−X線における、特に情報透過領域における断面を詳細に示す図である。図4において左側が車両用窓ガラスの上側を示す。車両用窓ガラスを、以下単に「窓ガラス」ともいう。
本発明の車両用窓ガラスは、車外からの情報を取得する情報取得装置を車内側に配置可能な車両用窓ガラスであって、該情報取得装置による情報の取得は窓ガラスを介して行われる。情報取得装置は、例えば、情報処理装置等とともに車載システムとして窓ガラスに配置される。本発明の車両用窓ガラスは、例えば、フロントガラス、リアガラス、サイドガラス、ルーフガラス等に適用可能であり、フロントガラスへの適用が好適である。
本明細書において「上」および「下」の表記は、フロントガラスを車両に搭載した際のそれぞれ上および下を示す。フロントガラスの「上部」とは、フロントガラスが車両に搭載された場合の上側の部分のことであり、また、その「下部」とは、フロントガラスが車両に搭載された場合の下側の部分のことである。
また、本明細書において、窓ガラスの周縁部とは、窓ガラスの端部から主面の中央部に向かって、ある一定の幅を有する領域を意味する。本明細書において、窓ガラスの主面において中央部から見て外周側を外側、外周からみて中央部側を内側という。本明細書において、「略同形、同寸」とは、人の見た目において同じ形状、同じ寸法を有することをいう。他の場合においても、「略」は上記と同様の意味を示す。また、数値範囲を表す「〜」では、上下限を含む。
本明細書において、日射透過率、日射反射率および可視光透過率は、分光光度計等により、少なくとも300〜2500nmが含まれる波長域の透過率、反射率を測定し、それぞれJIS R3106(1998年)およびJIS R3212(1998年)で規定される計算式から算出される値である。
図1に全体平面図が示される、窓ガラス10Aは、平面形状が略台形であり周縁部の全体に帯状の遮光領域10xを有し、遮光領域10xに囲まれた中央部に透光領域10yを有する。窓ガラス10Aの上辺側の遮光領域10xは中央付近に上下の辺が平行な略台形の開口部を有し、該開口部に対応する領域に、可視光透過率が20%以上である可視光高透過領域(以下、「高透過領域」という)3yと、可視光透過率が20%未満である可視光低透過領域(以下、「低透過領域」)3xとからなる情報透過領域3Aが形成されている。
図1に情報取得装置を含む車載システムの配置部Aを点線で示す。配置部Aは遮光領域10xの開口部の周辺に位置する。図2に窓ガラス10Aに車載システムが配置される場合の車載システム100の概略の構成を点線で示す。車載システム100は、例えば、情報取得装置101、情報処理装置102、およびこれらを収容する筐体103を有する。車載システム100は、例えば、筐体103が配置部Aに接着層104を介して配置される。図1、2に示すように、フロントガラスにおいて、車載システムの配置部Aは、通常、フロントガラスの上部に位置する。窓ガラス10Aにおいて、情報透過領域3Aは、車内側に配置される情報取得装置101が情報透過領域3Aを介して車外からの情報を取得できる位置に設けられる。
図3Aに平面図を拡大して示すとおり、情報透過領域3A内には、高透過領域3yと低透過領域3xがそれぞれ複数存在し、高透過領域3yと低透過領域3xの個々の形状はいずれも所定幅の細長い略四角形である。高透過領域3yと低透過領域3xは、情報透過領域3Aの上下の辺に対して、長辺が斜めになるように交互に配置されることで、斜めの縞模様を呈している。なお、縦縞や横縞に比べて斜めの縞模様であると、情報取得装置が取得する情報にノイズ等の影響を与えにくい点で好ましい。
情報透過領域3A内において、いずれの面積1cm2の正方形の領域においても低透過領域3xは、10〜60%の面積を占め、高透過領域3yは90%〜40%の面積を占めている。図3Aに低透過領域3xの面積割合の評価を行う面積1cm2の正方形の領域Mの例を示す。情報透過領域3Aにおいては、領域Mが情報透過領域3A内のいずれの箇所に配された場合においても、領域Mの全体が情報透過領域3A内に収まる限り、低透過領域3xが領域Mの10〜60%の面積を占める。
以上説明したとおり、情報透過領域3Aは、本発明の窓ガラスにおける情報透過領域に求められる以下の(1)〜(3)の要件を満たす構成である。
(1)可視光透過率が20%以上である高透過領域と、可視光透過率が20%未満である低透過領域とからなる。
(2)高透過領域と低透過領域の少なくとも一方は情報透過領域内に複数存在する。
(3)情報透過領域内のいずれの面積1cm2の正方形の領域においても低透過領域は、10〜60%の面積を占める。
(2)高透過領域と低透過領域の少なくとも一方は情報透過領域内に複数存在する。
(3)情報透過領域内のいずれの面積1cm2の正方形の領域においても低透過領域は、10〜60%の面積を占める。
窓ガラス10Aにおいては、情報透過領域3Aが上記(1)〜(3)の要件を満たすことで、通常の入射光の条件下および逆光等の条件下のいずれの場合においても、可視光透過率が確保され、情報取得装置は、車外からの情報の取得を十分に行える。
(1)の要件に関し、高透過領域の可視光透過率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、70%以上が特に好ましい。低透過領域の可視光透過率は18%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
なお、(3)の要件を満たすと、情報透過領域の全体に、低透過領域と高透過領域が略均一に分布していると言える。(3)において低透過領域の占める面積の割合は、20〜60%が好ましく、30〜60%がより好ましい。情報透過領域の全面積に対して、低透過領域の占める割合は(3)と同様に好ましくは10〜60%であり、20〜60%がより好ましく、30〜60%がさらに好ましい。高透過領域の占める割合は、100%から低透過領域の占める割合を引いた値で示される。
情報透過領域3Aの大きさは、情報取得装置によるが概ね25〜100cm2の範囲に設計できる。その場合、情報透過領域3Aであれば、低透過領域3xの幅w1を0.1〜5mm程度とし、高透過領域3yの幅w2を3〜20mm程度として、情報透過領域3Aの上下の辺に対して、低透過領域3xおよび高透過領域3yの長辺が交わる角度θが5〜85度となるように配置するのが好ましい。複数の角度θは同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。複数のw1、w2はそれぞれ同じ値であってもよいし、異なっていてもよい。
情報透過領域における高透過領域と低透過領域の平面形状や配置は、(2)および(3)を満たせば、特に制限されない。情報透過領域3A以外に、(2)および(3)を満たす情報透過領域として適用可能な具体例を図3B〜図3Dに示す。
図3Bに示す情報透過領域3Bは、情報透過領域3Aにおける高透過領域3yと低透過領域3xの斜めに配される直線状の縞模様を、波線状の縞模様とした例である。波型とすることで、情報取得装置が取得する情報におけるノイズ等の影響をさらに低減できる。
図3Cに示す情報透過領域3Cは、高透過領域3y内に低透過領域3xを円形のドットパターンで配した構成であり、図3Dに示す情報透過領域3Dは、低透過領域3x内に高透過領域3yを円形のドットパターンで配した構成である。情報透過領域3Cでは、高透過領域3yは連続した一つの領域であるが、低透過領域3xは複数個存在し、(2)の要件を満たす。一方、情報透過領域3Dでは、低透過領域3xは連続した一つの領域であるが、高透過領域3yは複数個存在し、(2)の要件を満たす。いずれも、複数個存在する領域は、情報透過領域内に均一に点在することで(3)の要件を満たしている。なお、情報透過領域が、(2)および(3)を見たせば、ドットパターンにおけるドットの形状は、円形に限定されず、楕円、長方形、多角形、星形等とすることもできる。
情報透過領域3Cにおける低透過領域3xの円の直径は、0.05〜8mm程度が好ましく、0.05〜5mm程度がより好ましく、0.05〜1mm程度がさらに好ましい。また、低透過領域3xの円同士の距離は、円の中心間の距離として、0.1〜10mm程度が好ましく、0.1〜5mm程度がより好ましく、0.1〜1mm程度がさらに好ましい。一方、情報透過領域3Dにおける高透過領域3yの円の直径は、0.05〜8mm程度が好ましく、1〜8m程度がより好ましい。また、高透過領域3yの円同士の距離は、円の中心間の距離として、0.1〜20mm程度が好ましく、1〜20mm程度がより好ましい。
窓ガラス10Aの情報透過領域3Aにおいて、低透過領域3xおよび高透過領域3yは具体的には、以下の(I)または(II)の構成により、(1)の要件における可視光透過率をそれぞれ具現化できる。
(I)窓ガラスを、ガラス基体と遮光層を有する構成とし、低透過領域についてはガラス基体に遮光層が積層した構成とし、これにより可視光透過率を20%未満とする。この場合、遮光層はガラス基体の種類に応じてガラス基体の主面上に設けられてもよく、例えば、合わせガラスであれば、内部に設けられてもよい。高透過領域については、例えば、ガラス基体のみの構成とすることで、可視光透過率を低透過領域より高く、20%以上とすることができる。
(II)窓ガラスを、ガラス基体と、通電により可視光透過率が変更可能な調光層を有する構成とし、低透過領域についてはガラス基体に調光層が積層した構成とする。ただし、調光層は通電時および非通電時の少なくとも一方の状態で、低透過領域の可視光透過率を20%未満とできる調光層とする。高透過領域については、例えば、ガラス基体のみの構成とすることで、可視光透過率を低透過領域より高く、20%以上とすることができる。例えば、調光層が通電時において可視光透過率が高く、非通電時において可視光透過率が低い場合、少なくとも非通電時において、低透過領域の可視光透過率を20%未満とできればよい。この場合、調光層は、通電時には、低透過領域の可視光透過率を20%以上とできることが好ましく、高透過領域の可視光透過率により近い可視光透過率とできることが特に好ましい。なお,調光層が通電時において可視光透過率が低く、非通電時において可視光透過率が高くてもよい。この場合は通電/非通電の制御を逆にする。
調光層を用いると、車外から情報透過領域に入射する光の量に応じて、情報透過領域全体を透過する光の量を調整することが可能となり好ましい。例えば、直射の太陽光や対向車のヘッドライト等により入射光の光量が過剰な場合には、低透過領域の可視光透過率を低くすることで情報透過領域全体の光の透過量を低減して、情報取得装置に入射する光量を適度な光量とする。また、情報透過領域に入射する光の量が過剰でない場合には、低透過領域の可視光透過率を高く変更することで、情報透過領域全体で光を十分透過できるようにし、情報取得装置に入射する光量を適度な光量とする。
窓ガラスは、調光層を有する場合、車外から情報透過領域に入射する光量を測定し、この光量に応じて調光層の通電および非通電を制御する制御装置をさらに有することが好ましい。例えば、調光層として、通電時に可視光透過率が高い調光層を用いた場合に、このような制御装置を用いて、入射光量が過剰でない場合には電源をオンにした状態を保持し、逆光等で入射光の光量が過剰とされた場合には電源をオフにすることで、常時、情報透過領域が透過する光量を最適化し、情報取得装置に入射する光量を適度な光量とすることができる。
なお、調光層はガラス基体の種類に応じてガラス基体の主面上に設けられてもよく、例えば、合わせガラスであれば、内部に設けられてもよい。調光層はガラス基体の内部に設けられるのが好ましい。
窓ガラスの具体的な構成について、(I)の場合を、窓ガラス10Aを例に、図1、図2、図3Aに加えて、図4を参照して以下に説明する。また、(I)の場合の窓ガラスの別の例を、図5を参照して以下に説明する。さらに、窓ガラスが、(II)の構成を有する場合の例を、図6、図7を参照して以下に説明する。
窓ガラス10Aは、平面形状が窓ガラス10Aの平面形状と同寸、同形のガラス基体1と、ガラス基体1の車内面Sa上に設けられる可視光を遮蔽するセラミックス遮光層2を有する。以下、窓ガラス10Aの説明において、「ガラス基体1上」という場合、ガラス基体1の車内面Sa上を意味する。情報透過領域3Aにおいて、ガラス基体1上にセラミックス遮光層2を有する領域が低透過領域3xであり、セラミックス遮光層2を有しない領域が高透過領域3yである。
セラミックス遮光層2は、黒色セラミックス層等の従来公知の材料からなってよい。セラミックス遮光層2の厚みは、視認性に問題のない範囲であれば特に制限されない。セラミックス遮光層2の厚みは、8〜20μm程度が好ましく、10〜15μmがより好ましい。低透過領域3xを構成するセラミックス遮光層2付きのガラス基体1における可視光透過率は、通常1%以下であり、0.5%以下が好ましい。
セラミックス遮光層2を、黒色セラミックス層として、ガラス板1Aの車内面Saに形成する場合、具体的には、耐熱性黒色顔料の粉末を低融点ガラス粉末とともに樹脂および溶剤に加えて混練した黒色セラミックスペーストを印刷等によってガラス板1Aの車内面Saの所定の領域に塗布し、加熱して焼き付けることで形成できる。また、黒色セラミックス層の形成に用いる黒色顔料には、複数の有色顔料の組み合わせにより黒色となる顔料の組み合わせも含まれる。
窓ガラス10Aが有するガラス基体1は合わせガラスである。ガラス基体1である合わせガラスは、互いに同形、同寸の主面を有する1対の車内ガラス板1A、車外ガラス板1Bと、これらのガラス板1A、1Bの間に設けられたガラス板1A、1Bの主面と同形、同寸の主面を有する中間接着層4Aとを有する。
ガラス基体1は、例えば、必要に応じて、単板の強化ガラスであってもよい。強化ガラスにおける強化の方法は風冷強化であっても化学強化であってよい。単板の強化ガラスは、例えば、リアガラスとして好適である。
ガラス基体1が合わせガラスの場合、セラミックス遮光層2は車内ガラス板1Aの中間接着層4Aとは反対側の主面、すなわち合わせガラスの車内面Sa上に設けられる。ただし、セラミックス遮光層2は、必要に応じて、車内ガラス板1Aの中間接着層4A側の主面または、車外ガラス板1Bの中間接着層4A側の主面に設けられてもよい。
合わせガラスにおける2枚のガラス板1A、1Bとしては、車両の窓ガラスに用いられる従来公知のガラス板が使用可能である。ガラス板1A、1Bの厚みは、その組成、中間接着層4Aの組成によっても異なるが、一般的には0.1〜10mmである。
ガラス板1A、1Bのうち車内側となるガラス板1Aの厚みは、0.5〜2.0mmが好ましく、0.7〜1.8mmがより好ましい。車外側となるガラス板1Bの厚みは、耐飛石衝撃性が良好となることから、1.6mm以上が好ましい。両者の厚みの差は、0.3〜1.5mmが好ましく、0.5〜1.3mmがより好ましい。車外側となるガラス板1Bの厚みは、1.6〜2.5mmが好ましく、1.7〜2.1mmがより好ましい。ガラス板1Aとガラス板1Bとの板厚の合計が4.1mm以下であることが軽量化の観点から好ましく、3.8mm以下であることがより好ましく、3.6mm以下であることがさらに好ましい。
ガラス板1A、1Bは、無機ガラス、有機ガラス(樹脂)から構成することができる。無機ガラスとしては、通常のソーダライムガラス(ソーダライムシリケートガラスともいう)、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられる。これらのうちでもソーダライムガラスが特に好ましい。ガラス板1A、1Bは、例えば、公知のフロート法で製造された無機ガラスのガラス板が好ましい。
有機ガラス(樹脂)としては、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールとの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂等が挙げられる。なお、上記樹脂は、2種以上が併用されてもよい。
ガラスは、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等を含有してもよい。このようなガラスとして、グリーンガラス、紫外線吸収(UV)グリーンガラス等が挙げられる。なお、UVグリーンガラスは、SiO2を68質量%以上74質量%以下、Fe2O3を0.3質量%以上1.0質量%以下、かつFeOを0.05質量%以上0.5質量%以下含有し、波長350nmの紫外線透過率が1.5%以下、550nm以上1700nm以下の領域に透過率の極小値を有する。
ガラスは、透明であればよく、無色でも有色でもよい。また、ガラスは、2層以上が積層されたものでもよい。適用箇所にもよるが、無機ガラスが好ましい。
ガラス板1A、1Bの材質は、同一でも異なってもよいが、同一であることが好ましい。ガラス板1A、1Bの形状は、平板でもよいし、全面または一部に曲率を有してもよい。ガラス板1A、1Bの大気に晒される表面には、撥水機能、親水機能、防曇機能等を付与するコーティングが施されてもよい。また、ガラス板1A、1Bの対向面には、低放射性コーティング、赤外線遮光コーティング、導電性コーティング等、通常、金属層を含むコーティングが施されてもよい。
中間接着層4Aは、ガラス板1A、1Bの互いに対向する主面の全面を接着する接着膜である。中間接着層4Aには、通常の合わせガラスの中間接着層に用いられる熱可塑性樹脂を含む透明接着膜を用いることができる。熱可塑性樹脂の種類は特に制限されず、公知の中間接着層を構成する熱可塑性樹脂の中から適宜選択することができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、単独でも、2種類以上が併用されてもよい。中間接着層4Aに用いる熱可塑性樹脂は、PVB、EVA、ポリウレタン樹脂等が好ましい。
中間接着層4Aは、熱可塑性樹脂を主成分として含有する。中間接着層4Aは、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上を含有することができる。
中間接着層4Aの膜厚は、耐貫通性の確保、合せガラスの重量制限、取扱い性確保の観点から0.5〜3.0mm程度とできる。
窓ガラス10Aおいて、ガラス基体1の可視光透過率は通常70%以上であり、72%以上が好ましく、73%以上がより好ましい。窓ガラス10Aは、可視光透過率が70%以上であり、かつ、日射透過率が60%以下であることが好ましい。日射透過率は55%以下がより好ましく、48%以下が特に好ましい。また、日射反射率は、5%以上がより好ましく、7%以上が特に好ましい。さらに、熱吸収の量を表すAe(Ae=100−Te−Re)は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、45%以上が特に好ましい。また、ガラス基体1のヘイズ値は1.0%以下であることが好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.6%以下が特に好ましい。
窓ガラス10Aおいて、高透過領域3yはガラス基体1で構成されることから可視光透過率は通常70%以上であり、72%以上が好ましく、73%以上がより好ましい。
なお、窓ガラス10Aにおいて、セラミックス遮光層2は、さらに、ガラス基体1上の、窓ガラス10Aが有する遮光領域10xに対応する全領域に設けられている。すなわち、遮光領域10xは、低透過領域3xと同様にセラミックス遮光層2付きのガラス基体1で構成される。ここで、窓ガラス10Aにおいて、遮光領域10xは必須の領域ではないが、少なくとも情報透過領域3Aの外周に接するようにして情報透過領域3Aを取り囲むとともに、車載システムの配置部Aを含むように設けられるのが好ましい。なお、遮光領域10xを設ける際には、配設領域が運転者の視界を妨げる領域を含まないことが求められる。
また、遮光領域10xと低透過領域3xについて、必要に応じて、異なる遮光性のセラミックス遮光層2を用いれば、互いに異なる可視光透過率を有する遮光領域10xと低透過領域3xが得られる。
上記のように遮光領域10xが設けられることで、情報透過領域3Aの周りの外光を十分に遮断できる。さらに、車載システム100の配置部A等に用いる接着層104の紫外線の照射による劣化が抑制される。また、車内に配置される情報取得装置101を含む車載システム100の筐体103や接着層104が見えなくなり意匠性が向上する。さらに、車載システム以外の部品に対しても同様の効果が得られる。
本発明の窓ガラスにおいて、遮光領域10xは、窓ガラス10Aのように情報透過領域3Aの全周の周囲に設けられてもよく、例えば、図8に平面図を示す窓ガラス10Dのように、その一部を除いて設けられてもよい。すなわち、遮光領域10xは少なくとも報透過領域3Aの周囲に存在すれば情報透過領域3Aの周りの外光を遮断する作用を有する。遮光領域10xは、情報透過領域3Aの全周の25〜90%を取り囲むように設けられることが好ましく、30〜80%を取り囲むように設けられることがより好ましく、40〜75%を取り囲むように設けられることがさらに好ましい。
図8に示す窓ガラス10Dは、遮光領域10xが情報透過領域3Aの下辺を除く3辺に接するように設けられ、情報透過領域3Aの下辺は、透光領域10yに接している以外は、図1に平面図を示す窓ガラス10Aと同様である。なお、車載システムの配置部Aは、窓ガラス10Aでは情報透過領域3Aの周囲を囲むように位置するが、窓ガラス10Dにおいては情報透過領域3Aの下辺を除く周囲を囲むように位置する。配置部Aの形状が窓ガラス10Dのようであっても車載システムの配置に問題はない。
窓ガラス10Aにおいて、遮光領域10xは、ガラス基体1上の周縁部にも設けられており、開口部を有し配置部Aを含む遮光領域10xと、周縁部の遮光領域10xとは連続的に設けられている。なお、周縁部の遮光領域10xと開口部を有し配置部Aを含む遮光領域10xは離間して設けられていても構わない。また、遮光領域10xは、例えば、窓ガラス10Aの車体取り付け部分を隠蔽する目的でその周縁部の全部に帯状に設けられることがあるが、必ずしも周縁部の4辺全部である必要はなく、周縁部の一部に遮光領域10xが形成されることもある。フロントガラスの場合、遮光領域10xは合わせガラスの周縁部の全周に幅5〜200mm程度の額縁状に設けられることが好ましい。その場合、遮光領域10xの幅は、上下左右の辺で同じであっても異なってもよく、各辺内で幅の増減があってもよい。
窓ガラス10Aにおける透光領域10yは、高透過領域3yと同様にガラス基体1で構成される。したがって、透光領域10yの光学特性はガラス基体1が有する光学特性と同じである。
図5は、実施形態に係る車両用窓ガラスの別の一例の上下方向の断面図である。図5に示す窓ガラス10Bにおける車内側から見た全体平面図は、図1に示す窓ガラス10Aの全体平面図と同様である。
窓ガラス10Bは、窓ガラス10Aにおいてセラミックス遮光層2を有さず、その代わりに中間接着層4Aが、セラミックス遮光層2に対応する領域、すなわち、遮光領域10xおよび情報透過領域3Aの低透過領域3xに対応する領域に着色接着膜42が配され、それ以外の領域が透明接着膜41である構成の中間接着層4Bに置き換わった以外は、窓ガラス10Aと同様の構成である。窓ガラス10Bにおいては、着色接着膜42が遮光層として機能する。
透明接着膜41は、中間接着層4Aを構成する透明接着膜と同様にして作製できる。着色接着膜42は、透明接着膜41の構成材料を着色することで作製できる。具体的には、上記透明接着膜を主として構成する熱可塑性樹脂を含む組成物に着色剤を含有させることで着色接着膜42が得られる。着色接着膜42はガラス転移点を調整するための可塑剤を含有してもよい。
着色剤としては、可視光透過率を低下させるものであれば特に制限されず、染料、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。これらの中でも、長期使用による退色のおそれが少ないことから無機顔料または有機顔料が好ましく、耐光性に優れることから無機顔料が好ましい。
有機顔料としては、アニリンブラック等の黒色顔料、アリザリンレーキ等の赤色顔料等が挙げられる。無機顔料としては、炭素系顔料、金属酸化物系顔料が挙げられる。例えば、カーボンブラック、アイボリーブラック、マルスブラック、ピーチブラック、ランプブラック、マグネタイト型四酸化三鉄等の黒色顔料、アンバー、バートンアンバー、イエローウォーカー、ヴァンダイクブラウン、シェンナ、バートンシェンナ等の茶色顔料、ベンガラ、モリブデンレッド、カドミウムレッド等の赤色顔料、赤口黄鉛、クロムバーミリオン等の橙色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー等の青色顔料、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン等の緑色顔料、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー等の黄色顔料、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレット等の紫色顔料等が挙げられる。これらの着色剤は1種または2種以上を組合せて使用することができる。
着色剤の配合量は、着色接着膜42を有することで低透過領域3xの可視光透過率が20%未満になる量とする。着色接着膜42を遮光層として有することで得られる低透過領域3xの可視光透過率は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が特に好ましい。窓ガラスの遮光領域10xに対応する領域の着色接着膜42についても低透過領域3xの場合と同様にできる。ただし、必要に応じて、低透過領域3xの場合と異なる遮光性の着色接着膜42を用いれば、互いに異なる可視光透過率を有する遮光領域10xと低透過領域3xが得られる。
着色接着膜42は、さらに、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上を含有することができる。
中間接着層4Bの膜厚は、中間接着層4Aと同様にできる。中間接着層4Bにおいて、透明接着膜41と着色接着膜42の膜厚は同一となるように形成されることが好ましい。
合わせガラスの中間接着層を用いて、窓ガラスに遮光領域10xおよび情報透過領域3Aの低透過領域3xを設ける方法として、透明接着膜の表面の遮光領域10xおよび情報透過領域3Aの低透過領域3xに対応する領域に暗色で印刷層を形成する方法を用いてもよい。この場合、印刷層が遮光層となる。
また、中間接着層4Bにおいて、着色接着膜42を遮光フィルムに置換して、透明接着膜41と遮光フィルムからなる中間接着層とすることで、窓ガラスに遮光領域10xおよび情報透過領域3Aの低透過領域3xを設けてもよい。この場合、遮光フィルムが遮光層となる。
さらに、厚さを薄くした以外は上記透明接着膜41と遮光フィルムからなる中間接着層と同様である層を、1対の透明接着膜の間に挟持させる構成とすることにより、遮光領域10xおよび情報透過領域3Aの低透過領域3xを有する窓ガラスとしてもよい。この場合、必要に応じて、1対の透明接着膜の一方を設けない構成であってもよい。いずれの場合においても、中間接着層全体の膜厚は、中間接着層4Aと同様とするのが好ましい。
遮光フィルムとしては、遮光ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、遮光ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、遮光ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム等が挙げられる。遮光フィルムの膜厚としては、用いる遮光フィルムに応じて、形成される低透過領域3xにおける可視光透過率が20%未満の可視光透過率になる膜厚とする。可視光透過率の好ましい範囲は、上記着色接着膜42を用いた場合と同様である。窓ガラスの遮光領域10xに対応する領域の遮光フィルムについても低透過領域3xの場合と同様にできる。ただし、必要に応じて、低透過領域3xの場合と異なる遮光性の遮光フィルムを用いれば、互いに異なる可視光透過率を有する遮光領域10xと低透過領域3xが得られる。
ここで、上に説明した合わせガラスに用いる中間接着層は、単層構造として説明した中間接着層4A、4Bにおいても、単層構造に限定されず、必要に応じて、多層構造とすることができる。多層構造とする場合、ガラス転移点の異なる層を積層すれば、中間接着層に遮音性を持たせることができる。中間接着層を、遮音性を有する3層の積層構造とする場合、例えば、中間の層をガラス転移点が15℃未満のコア層とし、このコア層(中間の層)を挟持する2層をガラス転移点が15℃以上のスキン層とする構成が挙げられる。具体的には、コア層を、厚さを薄くする以外は中間接着層4Bと同様の構成の層とし、これを挟持する1対のスキン層を透明接着膜とする例が挙げられる。また、この例において、コア層を、厚さを薄くした以外は上記透明接着膜41と遮光フィルムからなる中間接着層と同様の構成の層としてもよい。
また、上記いずれの窓ガラスにおいても、ガラス基体1である合わせガラスにおいて、中間接着層は、車両の乗員の太陽光による眩しさを低減する、いわゆるシェードバンド層を含んでいてもよい。シェードバンド層は窓ガラスが車両に取り付けられた時に上辺となる辺の周縁部に設けられる。本発明の窓ガラスにおいては、通常、上辺に沿って遮光領域10xが帯状に設けられるため、シェードバンド層は、平面視で該遮光領域10xの下辺に接するように下辺に沿って帯状に設けられる。
また、上記いずれの窓ガラスにおいても、ガラス基体1である合わせガラスにおいて、1対のガラス板1A、1Bの間には、中間接着層以外の機能フィルムが設けられてもよい。機能フィルムは、例えば、中間接着層を構成する層間に配置される。機能フィルムとして、赤外線遮光フィルム等が挙げられる。なお、赤外線遮光フィルムを設ける場合は、通常、情報透過領域を除く領域に設けられる。
上に説明した例においては、窓ガラスが有する遮光領域10xおよび情報透過領域3Aの低透過領域3xは、それぞれ同じ種類の遮光層により形成されているが、必要に応じて異なる種類の遮光層を用いて形成されてもよい。例えば、セラミックス遮光層2の形成により遮光領域10xを得、中間接着層に着色接着膜42を設けることで低透過領域3xを得てもよい。
次に、窓ガラスが、(II)の構成、すなわち、ガラス基体と、通電により可視光透過率が変更可能な調光層を有する構成とし、低透過領域は、ガラス基体に調光層が積層された構成である場合の例を、図6、図7を参照して説明する。図6は実施形態に係る車両用窓ガラスにおいて、窓ガラスがガラス基体と調光層を有する場合の一例の情報透過領域付近における上下方向の拡大断面図である。図6に示す窓ガラス10Cにおける車内側から見た全体平面図は、図1に示す窓ガラス10Aの全体平面図と同様である。図7は、図6に示す窓ガラス10Aが有する調光層の拡大平面図である。
窓ガラス10Cは、平面形状が窓ガラス10Cの平面形状と同寸、同形のガラス基体1を有し、ガラス基体1の車内面Sa上の遮光領域10xに対応する領域にセラミックス遮光層2を有する。ガラス基体1は合わせガラスであり、互いに同形、同寸の主面を有する1対の車内ガラス板1A、車外ガラス板1Bと、これらのガラス板1A、1Bの間に設けられたガラス板1A、1Bの主面と同形、同寸の主面を有する中間接着層4Cとを有する。中間接着層4Cは1対の透明中間膜43、45に、少なくとも情報透過領域3Aの低透過領域3xに対応する領域に調光層7が組み込まれた調光接着層44が挟持された構成である。
調光接着層44が有する調光層7の平面形状を図7に示す。調光層7の平面形状は、情報透過領域3Aの外側に枠状の領域を有し、低透過領域3xに対応する領域が該枠状の領域に接続する連続した一体形状を呈する。これにより、通電機構と一箇所で接続されるだけで調光層7の全体が電源のオン、オフによる可視光透過率の変更が可能となる。調光接着層44において、調光層7以外の領域は透明中間膜441で構成される。なお、調光層7の枠状領域を含む周縁部は、窓ガラス10Cとした際に、セラミックス遮光層2により隠蔽される。
透明中間膜43、45および、透明中間膜441については、中間接着層4Aを構成する透明中間膜と同様の材料で構成できる。ただし、調光層7の種類によっては、可塑剤を有しない透明中間膜材料、例えば、EVA等が好ましく用いられる。ガラス板1A、1Bについては、窓ガラス10Aの場合と同様にできる。
調光層7は、通電により可視光透過率が変更可能な層であれば特に制限されない。調光層7は、例えば、懸濁粒子デバイス(Suspended Particle Device(SPD)、以下「SPD」ということがある。)層、液晶層またはエレクトロクロミック層で構成できる。
SPD層としては、電圧の印加により配向可能な懸濁粒子を含有するポリマー層を、透明導電膜を内側にコートした2枚の電気絶縁性フィルムで挟み込むようにして構成された、一般的なSPDフィルムが使用可能である。このような、SPDフィルムは、電源スイッチをオンにして透明導電膜間に電圧を印加することにより、ポリマー層中の懸濁粒子が配向することで可視光透過率が高く、透明性が高い状態になる。電源スイッチがオフの状態では、ポリマー層中の懸濁粒子が配向することがなく可視光透過率が低く、透明性が低い状態となる。
例えば、SPD層を用いて窓ガラス10Cを作製した場合、電源スイッチがオフの状態で窓ガラス10Cの低透過領域3xの可視光透過率を、通常20%未満とでき、1%以下とするのが好ましい。また、電源スイッチをオンにした状態では低透過領域3xの可視光透過率を、通常20%以上とでき、30%以上とするのが好ましい。これにより、例えば、上記の制御装置と組み合わせることで、常時、情報透過領域が透過する光量を最適化し、情報取得装置に入射する光量を適度な光量とすることができる。
なお、SPDフィルムの主面は上記のとおり樹脂等の電気絶縁性フィルムの主面からなり、透明導電膜や懸濁粒子を含有するポリマー層が表出していないが、SPDフィルム3の端面においてはこれらが表出する構成である。よって、この端面を保護することで、SPDフィルムの周縁部における電源スイッチのオン/オフに対応する可視光透過率の切り替えの不具合の発生を効果的に抑制できる。SPDフィルムの端面を保護する方法としては、耐湿テープによる保護等が挙げられる。
SPDフィルムとしては、例えば、LCF−1103DHA(商品名、日立化成社製)、等の市販品を用いることができる。なお、このような市販品は、所定の大きさで供給されるため、使用に際しては合わせガラスの大きさに合わせて所望の大きさに切断して使用する。なお、窓ガラス10Cに用いるSPDフィルムの厚みとしては、特に制限されないが、取り扱い性および入手容易性の観点から0.2〜0.4mmが好ましい。
液晶層は、電圧の印加により配向可能な液晶を含むもので、2枚の透明電極膜の間に光学異方性を示す液晶粒子を分散させたマトリックスポリマーを備え、電圧を印加することで透明/非透明状態を切り替えることができる。一般的に、数ミリ秒という高速応答性を持つため、好ましい。
例えば、液晶層を用いて窓ガラス10Cを作製した場合、電源スイッチがオフの状態で窓ガラス10Cの低透過領域3xの可視光透過率を、通常20%未満とでき、15%以下とするのが好ましい。また、電源スイッチをオンにした状態では低透過領域3xの可視光透過率を、通常50%以上とでき、60%以上とするのが好ましい。これにより、例えば、上記の制御装置と組み合わせることで、常時、情報透過領域が透過する光量を最適化し、情報取得装置に入射する光量を適度な光量とすることができる。
液晶層としては、PDLCフィルムであるマジックフィルム(商品名、ケイクリエイトデザイン製)等の市販品を用いることができる。なお、窓ガラス10Cに用いる液晶層の厚みとしては、特に制限されないが、取り扱い性および入手容易性の観点から0.2〜0.5mmが好ましい。
エレクトロクロミック層は、酸化タングステン等の化学物質に透明導電膜を通して電荷を付加し、酸化還元反応による当該物質の光物性の可逆的変化を利用するものである。
例えば、エレクトロクロミック層を用いて窓ガラス10Cを作製した場合、電源スイッチがオフの状態で窓ガラス10Cの低透過領域3xの可視光透過率を、通常20%未満とでき、15%以下とするのが好ましい。また、電源スイッチをオンにした状態では低透過領域3xの可視光透過率を、通常50%以上とでき、60%以上とするのが好ましい。これにより、例えば、上記の制御装置と組み合わせることで、常時、情報透過領域が透過する光量を最適化し、情報取得装置に入射する光量を適度な光量とすることができる。
エレクトロクロミック層としては、市販品を用いることができる。なお、窓ガラス10Cに用いるエレクトロクロミック層の厚みとしては、特に制限されないが、取り扱い性および入手容易性の観点から0.3〜2mmが好ましい。
以上、窓ガラス10A〜10Dを例として本発明の窓ガラスにおいて1箇所に情報透過領域を有する実施形態を説明したが、情報透過領域を複数有する場合にも、本発明は対応可能である。例えば、情報透過領域を2箇所に有する窓ガラスの実施形態の例を図9に示す。
図9に平面図を示す窓ガラス10Eは、情報透過領域3Aを2箇所に有する以外は、窓ガラス10Aと同様の構成であり、例えば、上記の窓ガラス10Aの態様を適宜変更することで、容易に得られる。
窓ガラス10A〜10Eは、公知の方法を組み合わせることにより製造できる。すなわち、窓ガラス10Aにおいては、ガラス板1Aの合わせガラスとした際に車内面となる面Sa上の所定の領域、すなわち、遮光領域10xおよび情報透過領域3Aの低透過領域3xに対応する領域にセラミックス遮光層2を形成する。次いで、ガラス板1A(ただし、セラミックス遮光層2を有する面を外側にする)、ガラス板1Bの間に中間接着層4Aを配置して前駆体とし、これをゴムバッグのような真空バッグの中に挿入する。そして、減圧しながら70〜110℃に加熱することで、1対のガラス板1A、1Bを中間接着膜4Aにより接着する。その後、必要に応じて、圧着処理として加熱加圧を行う。圧着処理により、さらに耐久性を向上させることができる。
また、窓ガラス10Bにおいては、窓ガラス10Aの製造において、ガラス板1Aにセラミックス遮光層2を形成する代わりに、中間接着層4Aを、遮光領域10xおよび情報透過領域3Aの低透過領域3xに対応する領域に着色接着膜42が配され、それ以外の領域が透明接着膜41である構成の中間接着層4Bに置き換える以外は、窓ガラス10Aと同様に製造できる。
また、窓ガラス10Cにおいては、窓ガラス10Aの製造において、ガラス板1Aのセラミックス遮光層2の形成領域を遮光領域10xに対応する領域に変更する。そして、中間接着層4Aを上記3層積層構造の中間接着層4Cに置き換えて窓ガラス10Aと同様にして合わせガラスとすることで製造できる。なお、中間接着層4Cにおける調光接着層44は、例えば、SPDフィルム等から調光層7を所定の形状に切り出し、透明中間膜から調光層7を組み込む領域を刳り貫いた透明中間膜441に組み込むことで作製できる。
10A、10B、10C、10D、10E…窓ガラス、1…ガラス基体、1A、1B…ガラス板、4A、4B、4C…中間接着層、41…透明中間膜、42…着色中間膜、2…セラミックス遮光層、7…調光層、10y…窓ガラスの透光領域、10x…窓ガラスの遮光領域、3A、3B、3C、3D…情報透過領域、3y…高透過領域、3x…低透過領域
Claims (6)
- 車外からの情報を取得する情報取得装置を車内側に配置可能な車両用窓ガラスであって、
前記車両用窓ガラスは、前記情報取得装置への前記情報が透過する情報透過領域を有し、
前記情報透過領域は、可視光透過率が20%以上である可視光高透過領域と、可視光透過率が20%未満である可視光低透過領域とからなり、
前記可視光高透過領域と可視光低透過領域の少なくとも一方は前記情報透過領域内に複数存在し、
前記可視光低透過領域は、前記情報透過領域のいずれの面積1cm2の正方形の領域においても10〜60%の面積を占める、ことを特徴とする車両用窓ガラス。 - 前記車両用窓ガラスは、ガラス基体を有し、前記可視光低透過領域は、前記ガラス基体に遮光層が積層されてなる請求項1記載の車両用窓ガラス。
- 前記車両用窓ガラスは、ガラス基体を有し、
前記可視光低透過領域は、前記ガラス基体に、通電により可視光透過率が変更可能な調光層が積層されてなり、
前記可視光低透過領域は、前記調光層が通電時および非通電時の少なくとも一方の状態で、可視光透過率が20%未満である請求項1記載の車両用窓ガラス。 - 前記調光層は、懸濁粒子デバイス層、液晶層またはエレクトロクロミック層である請求項3記載の車両用窓ガラス。
- さらに、車外から前記情報透過領域に入射する光量を測定し、前記光量に応じて前記調光層の通電および非通電を制御する制御装置を有する請求項3または4記載の車両用窓ガラス。
- 前記ガラス基体は、合わせガラスまたは単板の強化ガラスである請求項2〜5のいずれか1項記載の車両用窓ガラス。
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WO2021075294A1 (ja) * | 2019-10-17 | 2021-04-22 | Agc株式会社 | 合わせガラス及びその製造方法、複層ガラス |
WO2022153998A1 (ja) * | 2021-01-13 | 2022-07-21 | Agc株式会社 | 合わせガラス |
WO2023032889A1 (ja) * | 2021-09-01 | 2023-03-09 | Agc株式会社 | 車両用合わせガラス及び車両用窓構造 |
-
2017
- 2017-11-17 JP JP2017222132A patent/JP2019094220A/ja active Pending
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