JP2019094057A - 電気自動車用制動トルク発生装置および電気自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置構成を簡単化、小型化および軽量化することができる電気自動車用制動トルク発生装置および電気自動車を提供する。【解決手段】電気自動車100は、電動モータ107によって回転駆動する前輪車軸102a,102bを介して車輪104a,104bに制動トルクを付与する制動トルク発生装置200を備えている。制動トルク発生装置200は、圧縮膨張機関210、流量調整弁220およびクラッチ装置222を備えている。圧縮膨張機関210は、シリンダブロック212内を往復摺動して空気室214の容積を増減させるピストン213を備えている。空気室214は、流量調整弁220を介して大気と連通している。ピストン213は、クランク216およびクラッチ装置222を介して電動モータ107の回転駆動軸107aに連結している。【選択図】 図1
Description
本発明は、電動モータを駆動源として自走する電気自動車においてブレーキ装置とは別に制動トルクを発生させる電気自動車用制動トルク発生装置および電気自動車に関する。
従来から、電動モータを駆動源として自走する電気自動車においては、運転者によるアクセルの踏み込みが減じられたアクセルオフ時においてエンジンを駆動源とする自動車におけるエンジンブレーキに相当する制動トルクを発生させる電気自動車用制動トルク発生装置が提案されている。例えば、下記特許文献1には、電気自動車の駆動源である電動モータの回転駆動軸に対して圧縮空気によって制動力を発生させるエアブレーキを備えた電気自動車用制動トルク発生装置としての回生ブレーキトルク補助装置が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載された回生ブレーキトルク補助装置においては、エアブレーキに供給する圧縮空気を生成するためにコンプレッサやエアタンクが必要であり装置構成が複雑化、大型化および重量化するという問題がある。
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、装置構成を簡単化、小型化および軽量化することができる電気自動車用制動トルク発生装置および電気自動車を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、車輪が連結されて電動モータによって駆動される車軸に対して制動トルクを付与する電気自動車用制動トルク発生装置であって、車軸に連結されて同車軸からのバックトルクによって空気を導入する空気室の容積の減少による空気の圧縮および同容積の増加による空気の膨張のうちの少なくとも一方を行って制動トルクを発生させる圧縮膨張機関と、圧縮膨張機関の作動を開始または停止させて制動トルクの発生または中断を行なわせる機関作動機構と、車軸にバックトルクが作用する際に、機関作動機構の作動を制御することによって圧縮膨張機関を作動させて車軸に制動トルクを付与する制御装置とを備え、制御装置は、運転者からの直接的な指示、運転者の運転操作および車両の走行状況のうちの少なくとも1つに基づいて機関作動機構の作動を制御して圧縮膨張機関を作動させることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、電気自動車用制動トルク発生装置は、車軸に車輪からのバックトルクが生じた際に圧縮膨張機関がバックトルクを用いて空気の圧縮および/または膨張を行うだけで車軸に対して制動トルクを付与することができるため、装置構成を簡単化、小型化および軽量化することができる。
この場合、運転者からの直接的な指示は、運転者の手または足による操作を電気的に受け付ける機関作動用操作子を介して行なわれるものであり、例えば、ジョイスティック、トグルスイッチ、押下ボタン、タッチパネル、足踏み式ボタンおよびダイヤルなどの各種操作子に対する操作がある。また、運転者の運転操作とは、運転者が電気自動車を運転するために運転操作用操作子を操縦操作する行為であり、例えば、シフトポジション(セレクトレバーともいう)の操作、アクセルペダルを介した加速操作またはブレーキペダルを介した減速操作がある。また、車両の走行状況とは、電気自動車が備える機器の状態(例えば、バッテリの充電量の状態など)、電気自動車の姿勢(例えば、前輪側が後輪側よりも下方に傾いている状態)、電気自動車の位置(例えば、下り坂の走行)または電気自動車の走行状態(例えば、加速状態または減速状態)であり、これらの状態を電気的に検出する走行状況検出器を用いて検出される。
また、本発明の他の特徴は、前記電気自動車用制動トルク発生装置において、さらに、運転者による操作を受け付ける操作子を備えており、制御装置は、操作子の操作に応じて機関作動機構の作動を制御して圧縮膨張機関を作動させることにある。
この場合、運転者による操作を受け付ける操作子としては、電気自動車の運転操作を受け付ける運転操作用操作子のほか、機関作動機構に対して運転者が直接作動の開始または停止を指示するための機関作動用操作子がある。この場合、運転操作用操作子としては、例えば、電気自動車のシフトポジションまたはアクセルペダルがある。また、機関作動用操作子としては、ジョイスティック、トグルスイッチ、押下ボタン、タッチパネル、足踏み式ボタンおよびダイヤルなどがある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電気自動車用制動トルク発生装置は、運転者による操作子の操作に応じて圧縮膨張機関を作動させることができるため、運転者が意図的に制動トルクを発生、または運転者の意図とは無関係に運転状況に応じて制動トルクを自動的に発生させることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電気自動車用制動トルク発生装置において、さらに、電動モータに電力を供給するバッテリを備えており、制御装置は、バッテリにおける充電量に応じて機関作動機構の作動を制御して圧縮膨張機関を作動させることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電気自動車用制動トルク発生装置は、バッテリにおける充電量に応じて圧縮膨張機関を作動させることができる。したがって、電気自動車用制動トルク発生装置は、例えば、バッテリの充電量が所定量以上(換言すれば、バッテリの残容量が所定量以下)の場合にのみ圧縮膨張機関を作動させてバッテリの過充電を防止することができるとともに電動モータが回生による制動トルクを発生させることができない場合にも圧縮膨張機関による制動トルクによって車両を制動することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電気自動車用制動トルク発生装置において、さらに、車両が下り坂を走行していることを検出する下り坂走行検出手段を備え、制御装置は、下り坂検出手段が車両の下り坂の走行を検出したとき機関作動機構の作動を制御して圧縮膨張機関を作動させることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電気自動車用制動トルク発生装置は、下り坂検出手段が車両の下り坂の走行を検出したとき圧縮膨張機関を作動させるため、運転者は下り坂で自動的に制動トルクの発生による制動を受けた走行ができ安心して下り坂を走行することができる。
なお、下り坂走行検出手段としては、地図情報に標高情報を有するまたは自車の現在地の標高を測定することができるナビゲーションシステムで構成することができる。また、下り坂走行検出手段としては、車両の傾斜状態に応じた検出信号を出力する傾斜センサで構成することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電気自動車用制動トルク発生装置において、機関作動機構は、圧縮膨張機関の空気室に対する吸気および排気のうちの少なくとも一方の流路内の流量を調整する流量調整弁および車軸と圧縮膨張機関との間に設けられて両者間の回転駆動力の伝達状態と遮断状態とを選択的に切り替えるクラッチ装置のうちの少なくとも一方で構成されており、制御装置は、流量調整弁およびクラッチ装置のうちの少なくとも一方の作動を制御することによって圧縮膨張機関の作動を開始させて車軸に制動トルクを付与することにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電気自動車用制動トルク発生装置は、機関作動機構が気室に対する吸気および排気のうちの少なくとも一方の流路内の流量を調整する流量調整弁および車軸と圧縮膨張機関との間に設けられて両者間の回転駆動力の伝達状態と遮断状態とを選択的に切り替えるクラッチ装置のうちの少なくとも一方で構成されているため、機関作動機構を簡単かつ軽量に構成することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電気自動車用制動トルク発生装置において、機関作動機構は、クラッチ装置を備えており、制御装置は、クラッチ装置の作動を制御することによって圧縮膨張機関の作動を開始させて車軸に制動トルクを付与することにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電気自動車用制動トルク発生装置は、制動トルクが不要な際にクラッチ装置によって圧縮膨張機関を車軸から切り離すことができるため、圧縮膨張機関が発生させる制動トルクおよび圧縮膨張機関内での摩擦抵抗が車軸に伝達されて車軸に作用する駆動トルクの減少を効果的に防止することができるとともに車軸への負担を抑えることができる。ここで、駆動トルクとは、車軸が車輪を回転させようとする回転駆動力のことである。
また、本発明の他の特徴は、前記電気自動車用制動トルク発生装置において、機関作動機構は、流量調整弁を備えており、制御装置は、流量調整弁の作動を制御することによって空気室の容積を減少させる際に流路を閉じて空気を圧縮するとともに空気室の容積を増加させる際に流路を開いて圧縮した空気を空気室から逃がすことにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電気自動車用制動トルク発生装置は、空気室の容積を減少させる際に流路を閉じことで空気を圧縮するとともに空気室の容積を増加させる際に流路を開いて圧縮した空気を空気室から逃がすことで駆動トルクの発生を抑えて発生させる制動トルクを増大させることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電気自動車用制動トルク発生装置において、機関作動機構は、流量調整弁を備えており、制御装置は、流量調整弁の作動を制御することによって空気室の容積を減少させる際に流路を開いて空気室内の空気を同空気室から逃がすとともに空気室の容積を増加させる際に流路を閉じて空気室に残った空気を膨張させることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電気自動車用制動トルク発生装置は、空気室の容積を減少させる際に流路を開くことで空気室内の空気を減らすとともに空気室の容積を増加させる際に流路を閉じて空気室に残った空気を膨張させることで駆動トルクの発生を抑えて発生させる制動トルクを増大させることができる。
また、本発明の他の特徴によれば、前記電気自動車用制動トルク発生装置において、圧縮膨張機関は、ピストンクランク機構で構成されていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば電気自動車用制動トルク発生装置は、圧縮膨張機関がピストンクランク機構で構成されているため、装置構成を簡単化、小型化および軽量化することができる。ここで、ピストンクランク機構は、円筒状のシリンダ内のピストンの往復運動を軸回転運動に変換する機構である。この場合、シリンダ内の空気の吸気路と排気路とは互いに共通の1つの管路で構成してもよいし、吸気用の管路と排気用の管路とを別々に設けてもよい。
また、本発明の他の特徴は、電気自動車用制動トルク発生装置において、圧縮膨張機関は、3つの角部を有した略三角形状に形成されるとともにこの略三角形状体の中心部に形成された貫通孔の内周面に内歯が形成されたロータと、ロータの内歯に噛み合う外歯を有して回転駆動する軸状のエキセントリックシャフトと、吸気口および排気口を有するとともに3つの角部を摺動させつつ前記ロータ全体を回転自在に収容するハウジングとを備えたロータリ機構で構成されていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電気自動車用制動トルク発生装置は、エキセントリックシャフトに噛み合ってハウジング内で自転および公転するロータを備えたロータリ機構で構成されているため、装置構成を簡単化、小型化および軽量化することができる。ここで、ロータリ機構は、3つの頂点を有した略三角形状体の中心部に内歯が形成されたロータと、ロータの内歯に噛み合う外歯を有して回転駆動する軸状のエキセントリックシャフトと、吸気口および排気口を有するとともに前記3つの頂点を摺動させつつロータ全体を回転自在に収容するハウジングとを備えて構成されている。
また、本発明の他の特徴は、前記電気自動車用制動トルク発生装置において、さらに、圧縮膨張機関の空気室に対する吸気および排気のうちの少なくとも一方の流路に消音器を備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電気自動車用制動トルク発生装置は、圧縮膨張機関における吸気および排気のうちの少なくとも一方の流路に消音器を備えているため、吸気時または排気時に生じる音を減じて静粛性を高めることができる。
また、本発明は、電気自動車用制動トルク発生装置の発明として実施できるばかりでなく、この電気自動車用制動トルク発生装置を備えた電気自動車の発明としても実施できるものである。
具体的には、車輪に連結された車軸と、車軸を回転駆動させる電動モータと、車輪を制動するブレーキ装置と、請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載した電気自動車用制動トルク発生装置とを備えればよい。
これによれば、電気自動車は、上記電気自動車用制動トルク発生装置と同様の作用効果を期待することができる。
<第1実施形態>
以下、本発明に係る電気自動車用制動トルク発生装置およびこの電気自動車用制動トルク発生装置を搭載した電気自動車の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電気自動車用制動トルク発生装置200(以下、単に「制動トルク発生装置200」という)を搭載した電気自動車100の全体のシステム構成を概略的に示すブロック図である。また、図2(a)〜(d)は、本発明の第1実施形態に係る制動トルク発生装置200を構成する圧縮膨張機関210の内部構成および作動の様子を模式的に示す側面断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。また、各図においては、本発明に直接関わらない部分は適宜省略して表わしている。この制動トルク発生装置200は、電気自動車100においてエンジンを駆動源とする自動車のエンジンブレーキに相当する制動トルクを発生させる機械装置であり、ブレーキ装置105a〜105dとは別に設けられるものである。
以下、本発明に係る電気自動車用制動トルク発生装置およびこの電気自動車用制動トルク発生装置を搭載した電気自動車の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電気自動車用制動トルク発生装置200(以下、単に「制動トルク発生装置200」という)を搭載した電気自動車100の全体のシステム構成を概略的に示すブロック図である。また、図2(a)〜(d)は、本発明の第1実施形態に係る制動トルク発生装置200を構成する圧縮膨張機関210の内部構成および作動の様子を模式的に示す側面断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。また、各図においては、本発明に直接関わらない部分は適宜省略して表わしている。この制動トルク発生装置200は、電気自動車100においてエンジンを駆動源とする自動車のエンジンブレーキに相当する制動トルクを発生させる機械装置であり、ブレーキ装置105a〜105dとは別に設けられるものである。
まず、制動トルク発生装置200が搭載される電気自動車100について簡単に説明しておく。電気自動車100は、人や荷物を載せて自力で走行する車両であり、車台101を備えている。車台101は、電気自動車100の車体を支える骨格となる部品であり、鋼材などの金属またはエンジニアプラスチックや繊維強化プラスチックなどの樹脂材を枠状に形成して構成されている。図1においては、車台101は便宜上電気自動車100の進行方向に沿って延びる長方形形状に示している。この車台101には、前輪車軸102a、102b、後輪車軸103a,103b、トランスミッション106、電動モータ107、バッテリ108および制御装置110をそれぞれ備えている。
前輪車軸102a,102bおよび後輪車軸103a,103bは、2つの前輪である車輪104a,104bおよび2つの後輪である車輪104c,104dをそれぞれ保持して車台101を支持するための部品であり、車台101の車幅方向に延びる金属製の棒状体でそれぞれ構成されている。この場合、前輪車軸102a,102bは、差動装置106cを介して連結されている左右それぞれ1つずつの棒状体の両端部に車輪104a,104bが設けられているとともにこれらの車輪104aと車輪104bとの間にトランスミッション106が設けられている。また、後輪車軸103a,103bは、車輪104c,104dをそれぞれ保持する各1つずつの棒状体で構成されている。これらの前輪車軸102a,102bおよび後輪車軸103a,103bは、図示しないサスペンション機構を介して車台101にそれぞれ取り付けられている。
車輪104a〜104dは、車台101を前方または後方に移動させるために路面上を転動する左右一対の部品であり、金属製のホイールの外側にゴム製のタイヤが取り付けられて構成されている。この場合、前輪である車輪104a,104bには、図示しないステアリング機構を介して運転者が操作するハンドルに連結されている。そして、これらの車輪104a〜104dには、それぞれブレーキ装置105a〜105dが設けられている。
ブレーキ装置105a〜105dは、運転者によるブレーキペダル(図示せず)の操作によって車輪104a〜104dの各回転の減速または停止させるための機械装置であり、ディスクブレーキやドラムブレーキなどの摩擦ブレーキによってそれぞれ構成されている。なお、これらのブレーキ装置105a〜105dは、摩擦ブレーキなどの機械的ブレーキに代えてまたは加えて電気エネルギを回収する電気的な回生ブレーキを備えて構成してもよいことは当然である。
トランスミッション106は、電動モータ107の回転を減速して前輪車軸102a,102bに伝達するための機械装置であり、鋼材やアルミニウム材などの金属またはエンジニアプラスチックや繊維強化プラスチックなどの樹脂材からなるケース106a内に減速ギア106b、差動装置106cおよび制動トルク発生装置200をそれぞれ備えて構成されている。減速ギア106bは、前輪車軸102a,102bに設けられて電動モータ107の回転を減速する1段の歯車で構成されている。なお、減速ギア106bは、複数段の歯車列で構成されていてもよいことは当然である。差動装置106cは、前輪である車輪104aと車輪104bとの間の回転差を吸収するための歯車機構であり、前輪車軸102aと前輪車軸102bとの間に設けられている。なお、トランスミッション106は、車輪104a,104bを電動モータ107が直接駆動する場合には不要である。
電動モータ107は、前輪である車輪104a,104bをそれぞれ回転駆動させる原動機であるとともに電気自動車100のバックトルクで発電する発電装置であり、制御装置110によって作動が制御される。本実施形態においては、電動モータ107は、埋込磁石モータによって構成されているが、他のモータ、例えば、誘導モータ、表面磁石同期モータ、同期リラクタンスモータ、スイッチトリラクタンスモータまたは直流モータで構成することもできる。この電動モータ107は、回転駆動軸107aが減速ギア106bを介して前輪車軸102a,102bに連結されているとともに制動トルク発生装置200に連結されている。
なお、本実施形態においては、電動モータ107は、前輪である車輪104a,104bを回転駆動させるように構成したが、車輪104a,104bに代えて後輪である車輪104c,104dを回転駆動するように構成してもよいし、車輪104a,104bに加えて共通の電動モータ107でまたは別の電動モータ107で回転駆動するように構成してもよい。また、電動モータ107は、各車輪104a〜104dの各ホイール内に設けた所謂インホイールモータで構成することもできる。
バッテリ108は、電動モータ107のほか電気自動車100が備える各種電気機器にそれぞれ電力を供給するための電源装置である。このバッテリ108は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池のほか、水素酸素燃料電池、化学電池または金属空気電池など電気を発生させるように構成されていればよく、一次電池であってもよい。本実施形態においては、バッテリ108は、二次電池で構成されており、図示しない外部電源(例えば、家庭用100V電源または200V電源など)から電力の供給を受けて蓄電する。このバッテリ108は、インバータ108aを介して電動モータ107に電気的に接続されている。
インバータ108aは、バッテリ108からの直流を電気自動車100のアクセルペダル(図示せず)の開度に応じて適切な周波数の交流に変換して電動モータ107に流す。また、インバータ108aは、電気自動車100の減速時に電動モータ107で発電した交流を直流に変換してバッテリ108に返して充電する電気回路である。
制御装置110は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、電動モータ107の作動のほか、電気自動車100の全体の作動を総合的に制御する。この場合、制御装置110は、ROMなどの記憶装置に予め記憶された制動トルク発生プログラム(図示せず)を実行することによって操作子111からの指示に基づいて、制動トルク発生装置200の作動を制御する。
操作子111は、運転者が制御装置110に対して制動トルク発生装置200の作動開始または作動停止を指示するための入力装置であり、運転者が手操作または足操作するジョイスティック、トグルスイッチ、押下ボタン、ダイヤル、フットスイッチまたは足踏みペダルなどで構成されている。本実施形態においては、操作子111は、電気自動車100における5つのシフトポジションを選択するシフトレバーで構成されている。この場合、5つのシフトポジションとは、パーキング「P」、後退「R」、ニュートラル「N」、ドライブ「D」およびロー「L」であり、このロー「L」が制動トルク発生装置200の作動を開始させるポジションでありエンジンを搭載した自動車におけるローギア選択のシフトポジションに相当する。
また、この電気自動車100は、電気自動車100の外筐を構成するとともに室内空間を構成するボディ、運転者が着座するシート、運転者が車輪104a,104bを操舵するハンドル、運転者が踏み込むことで電動モータ107を作動させて電気自動車100を加速させるアクセルペダルおよび運転者が踏み込むことでブレーキ装置105a〜105dを作動させて電気自動車100を制動するブレーキペダルなどをそれぞれ備えているが本発明に直接関わらないため、それらの説明については省略する。
制動トルク発生装置200は、主として、圧縮膨張機関210、流量調整弁220、消音器221、クラッチ装置222および前記制御装置110で構成されている。この場合、圧縮膨張機関210、流量調整弁220、消音器221、クラッチ装置222は、トランスミッション106のケース106a内にそれぞれ設けられている。
圧縮膨張機関210は、空気を吸引して圧縮した後に排気する機械装置であり、主として、駆動軸211、シリンダブロック212、ピストン213、連接棒215およびクランク216をそれぞれ備えて構成されている。
駆動軸211は、この圧縮膨張機関210を駆動させるための部品であり、金属材または樹脂材を円筒状に形成して構成されている。この場合、駆動軸211は、鋼材またはアルミニウム材などの金属材、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂など)または熱可塑性樹脂(例えば、フッ素樹脂など)などの樹脂材料で構成されている。この駆動軸211は、一方の端部がクラッチ装置222に接続されるとともに他方の端部がシリンダブロック212内に貫通してクランク216に連結されている。また、駆動軸211の内側には、ベアリングを介して電動モータ107の回転駆動軸107aが貫通している。
シリンダブロック212は、ピストン213、連接棒215およびクランク216をそれぞれ可動可能な状態で収容する部品であり、シリンダ部212aおよびクランク部212bを有した中空のブロック体で構成されている。この場合、シリンダブロック212は、アルミニウム材などの金属材、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂など)または熱可塑性樹脂(例えば、フッ素樹脂など)などの樹脂材料で構成することができる。
シリンダ部212aは、ピストン213を往復摺動可能に支持するとともにこのピストン213とともに空気室214を形成する部分であり円筒状に形成されている。このシリンダ部212aは、一方の端部にクランク部212bが一体的に形成されるとともに、他方の端部に吸排気管217が設けられている。クランク部212bは、電動モータ107の回転駆動軸107aおよび駆動軸211がそれぞれ貫通するとともにこれらの回転駆動軸107aおよび駆動軸211の軸芯を中心にクランク216が回転運動する部分であり、シリンダ部212aに連通した状態で同シリンダ部212aに直交する円筒状に形成されている。
ピストン213は、シリンダ部212a内を往復摺動するとともに前記シリンダ部212aとともに空気室214を形成する部品であり、シリンダブロック212と同様の金属材または樹脂材を円柱状に形成して構成されている。空気室214は、吸排気管217を介して大気中から導入した空気を圧縮または膨張させるための空間であり、ピストン213の往復変位によって容積が減少または増加する。この空気室214は、吸排気管217を介して吸排気管217の周囲の大気と連通している。
連接棒215は、クランク216との連動によってピストン213の往復直線運動を回転運動へ変換する部品であり、シリンダブロック212と同様の金属材または樹脂材を棒状に形成して構成されている。クランク216は、連接棒215との連動によってピストン213の往復直線運動を回転運動へ変換する部品であり、シリンダブロック212と同様の金属材または樹脂材を棒状に形成して構成されている。
吸排気管217は、シリンダ部212a内に外気を導入するとともに導入した外気を吸排気管217の周囲の大気中に排出するための管路を構成する部品であり、シリンダブロック212と一体的または別体で形成されている。この場合、吸排気管217は、シリンダブロック212と同様の金属材または樹脂材で構成されている。この吸排気管217には、流量調整弁220および消音器221がそれぞれ設けられている。
流量調整弁220は、吸排気管217内を流通する空気の流量を加減するための器具であり、主として弁体220aおよび開閉アクチュエータ220bをそれぞれ備えて構成されている。弁体220aは、吸排気管217内を全開から全閉までの間で開度を増減させる部品である。この弁体220aは、本実施形態においてはシャッター式の板状に形成されているが、吸排気管217内を塞ぐ板状体、球体または棒体に空気を流通させるための貫通孔を設けて構成することもできる。
開閉アクチュエータ220bは、吸排気管217内にて弁体220aを進退させるための駆動源であり、制御装置110によって作動が制御される。この開閉アクチュエータ220bは、サーボモータやステップモータなどの電動モータで構成することができる。なお、開閉アクチュエータ220bは、吸排気管217内において弁体220aを回転させることにより空気の流通量を変化させるように構成することもできる。すなわち、流量調整弁220は、吸排気管217内を流通する空気の流量を調整する電磁弁で構成することができる。
消音器221は、吸排気管217から空気を排気する際の音を低減するための器具である。この消音器221は、エンジンやコンプレッサなどの排気音を低減する一般的な消音機構、例えば、吸排気管217よりも太い内径の管路内に吸排気管217に接続されて多数の孔を有した管路を設けた構造で構成されている。なお、吸排気管217には、導入する外気からチリ、ホコリまたは水などの各種異物を除去するフィルタを備えるようにしてもよい。
クラッチ装置222は、圧縮膨張機関210の駆動軸211と電動モータ107の回転駆動軸107aとの間に配置されて両者間で回転駆動力の伝達状態と遮断状態とを選択的に切り替える装置であり、制御装置110によって作動が制御される電磁クラッチで構成されている。これにより、クラッチ装置222は、前輪車軸102a,102bと圧縮膨張機関210と間に設けられて両者間の回転駆動力の伝達状態と遮断状態とを選択的に切り替える。
(制動トルク発生装置200の作動)
次に、このように構成した制動トルク発生装置200の作動について説明する。この制動トルク発生装置200は、電気自動車100の走行中に運転者による操作子111の操作に起因して制御装置110によって起動される。したがって、制御装置110は、運転者から制動トルク発生装置200の起動に関する指示がない場合には制動トルク発生装置200が制動トルクを発生させない状態とする。
次に、このように構成した制動トルク発生装置200の作動について説明する。この制動トルク発生装置200は、電気自動車100の走行中に運転者による操作子111の操作に起因して制御装置110によって起動される。したがって、制御装置110は、運転者から制動トルク発生装置200の起動に関する指示がない場合には制動トルク発生装置200が制動トルクを発生させない状態とする。
具体的には、制御装置110は、運転者によって操作子111がロー「L」のシフトポジションに操作されない場合には、クラッチ装置222の作動を制御して駆動軸211と電動モータ107の回転駆動軸107aとを遮断する。これにより、制動トルク発生装置200は、駆動軸211が回転駆動しないため制動トルクが発生しない状態となる。したがって、電気自動車100は、運転者が操作子111をドライブ「D」のシフトポジションに操作することで前輪車軸102a,102bに制動トルクが作用しない状態で走行することができる。
このような電気自動車100が走行中において、運転者が制動トルク発生装置200による制動トルクの発生を望んだ場合には、運転者は操作子111をロー「L」のシフトポジションに操作して制御装置110に対して制動トルク発生装置200の作動の開始を指示する。ここで、運転者が制動トルク発生装置200による制動トルクの発生を望む場合とは、電気自動車100におけるバッテリ108が満充電の状態で回生ブレーキトルクが期待できない場合のほか、長いまたは急な下り坂の降坂時または高速での走行中にブレーキ装置105a〜105dを作動させることなく減速を行いたい場合などにおいて回生ブレーキトルク以上の制動トルクを得たい場合など制動トルクを増大させたい場合である。したがって、制動トルク発生装置200を作動させて制動トルクを発生させる場合とは、電気自動車100が走行中であって運転者がアクセルの踏み込みを行なわないまたは弛めた状態で行われることが通常の使用場面である。
前記制動トルク発生装置200の作動の開始の指示に応答して制御装置110は、ROMなどの記憶装置に予め記憶されている制動トルク発生プログラムを実行することにより制動トルク発生装置200の作動を開始させる。具体的には、制御装置110は、クラッチ装置222の作動を制御して駆動軸211と電動モータ107の回転駆動軸107aとを接続して回転駆動軸107aの回転駆動力が駆動軸211に伝達される状態とする。これにより、圧縮膨張機関210は、車輪104a,104bからのバックトルクによる回転駆動力によってピストン213がシリンダ部212a内で往復摺動を開始する。次いで、制御装置110は、流量調整弁220の作動を制御して吸排気管217内での開度を調整する。
具体的には、制御装置110は、図2(a)〜(d)および図3(a)〜(c)にそれぞれ示すように、流量調整弁220の開度を全閉と全開との間の半分(50%)の中間開度に調節する。ここで、図3(a)は吸排気管217内における流量調整弁220の開度の時間変化を示しており、図3(b)は空気室214内の圧力の時間変化を示しており、図3(c)は圧縮膨張機関210が発生させる制動トルクおよび駆動トルクの時間変化をそれぞれ示している。また、図3(a)〜(c)は、それぞれ横軸の時間経過が図3(a)〜(c)間で対応しており同じ時間での経過を示している。また、図2(a)〜(d)において、破線矢印は、クランク216の回転方向および空気室214に対する空気の流出方向および流入方向をそれぞれ示している。
これにより、圧縮膨張機関210は、図2(a),(b)にそれぞれ示すように、シリンダ部212a内においてピストン213が上死点に向かうことで空気室214の容積を減少させる容積減少工程においては、空気室214内の空気の一部が流量調整弁220を介して排気されるとともに他の一部が空気室214内で圧縮される。この場合、空気室214内の空気は車輪104a,104bからのバックトルクによって圧縮されるが、この圧縮によってバックトルクを消耗させる負荷が制動トルクである。すなわち、圧縮膨張機関210は、空気の圧縮工程で制動トルクを発生させる。なお、この圧縮工程の初期においては、空気室214内の負圧によって制動トルクとは真逆の回転駆動力であって前輪車軸102a,102bが車輪104a,104bを回転させようとする回転駆動力である駆動トルクが瞬間的に発生する。
次いで、圧縮膨張機関210は、図2(c),(d)にそれぞれ示すように、シリンダ部212a内においてピストン213が下死点に向かうことで空気室214の容積が増加する容積増加工程においては、空気室214内に流量調整弁220を介して外気が導入されつつ同空気室214の空気が膨張する。この場合、空気室214内の空気は車輪104a,104bからのバックトルクによって膨張されるが、この膨張によってバックトルクを消耗させる負荷が制動トルクである。すなわち、圧縮膨張機関210は、空気の膨張工程で制動トルクを発生させる。なお、この膨張工程の前半においては、空気室214内の残った空気による大気圧より少し高い気圧(以下、「弱正圧」という)によって制動トルクとは真逆の回転駆動力である駆動トルクが瞬間的に発生する。これらの駆動トルクの発生のため、圧縮膨張機関210が発生させる平均制動トルクTAVは、「0」よりも若干高い大きさとなる。
圧縮膨張機関210は、これらの圧縮工程と膨張行程とを繰り返し実行することで制動トルクを断続的に発生させる。圧縮膨張機関210が発生させた制動トルクは、回転駆動軸107a、減速ギア106bおよび差動装置106cを介して前輪車軸102a,102bに伝達される。すなわち、制御装置110は、制御装置110に予め設定された開度に従って流量調整弁220の開度を制御することで回転駆動軸107aに制動トルクを作用させることができる。これにより、運転者は、電気自動車100に制動トルクを作用させることができる。この場合、制動トルク発生装置200は、消音器221を備えているため、シリンダ部212aの空気室214内の空気を排気する際における騒音を低減することができる。
なお、制御装置110に対する流量調整弁220の開度の設定は、電気自動車100の製造過程においてメーカ側で予め設定してもよいし、運転者側で任意の開度を設定または選択できるように構成されていてもよい。この場合、電気自動車100は、操作子111が選択可能なシフトポジションとして互いに異なる流量調整弁220の開度が設定されたロー「L1」およびロー「L2」の2つのシフトポジションを設けておき、運転者が運転状況に応じて発生させる制動トルクを選択できるように構成することもできる。
次に、運転者は、制動トルク発生装置200による制動トルクの発生を解除した場合には、運転者は操作子111をロー「L」のシフトポジションから他のシフトポジション、例えば、ドライブ「D」のシフトポジションに操作して制御装置110に対して制動トルク発生装置200の作動の停止を指示する。この指示に応答して制御装置110は、クラッチ装置222の作動を制御して駆動軸211と電動モータ107の回転駆動軸107aとを遮断する。これにより、運転者は、電気自動車100に制動トルクを作用させた状態を解除することができる。すなわち、制動トルク発生装置200は、操作子111がロー「L」のシフトポジションに位置した状態で車輪104a,104bからバックトルクが作用する限り制動トルクを発生させ続けることができる。なお、制動トルクの発生を解除する場合において、制御装置110は、流量調整弁220の開度を前記中間開度に維持してもよいし、全閉または全開の開度に変更してもよい。
上記作動説明からも理解できるように、上記第1実施形態によれば、制動トルク発生装置200は、前輪車軸102a,102bに車輪104a,104bからのバックトルクが生じた際に圧縮膨張機関210がバックトルクを用いて空気の圧縮および膨張を行うだけで車軸102に対して制動トルクを付与することができるため、装置構成を簡単化、小型化および軽量化することができるとともに制動トルクを連続して発生させ続けることができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記各変形例において、上記第1実施形態と同様の構成部分については同じ符号を付して、その説明を省略する。
例えば、上記第1実施形態においては、制動トルク発生装置200が制動トルクを発生させる際、制御装置110は吸排気管217内における流量調整弁220の開度を50%の一定の開度に制御した。しかし、制御装置110は、流量調整弁220の作動を制御して吸排気管217内での開度をピストン213の位置に応じて増減させることもできる。
具体的には、制動トルク発生装置200は、シリンダ部212a内におけるピストン213の位置を検出するピストン位置検出センサ218、例えば、ロータリエンコーダをクランク216に設けてクランク216の回転角を検出して制御装置110に出力するように構成する。そして、制御装置110は、図4(a)および図5(a)〜(c)にそれぞれ示すように、ピストン位置検出センサ218からの検出信号を用いてピストン213の位置の検出しながら、ピストン213がシリンダ部212a内にて上死点に向かっていることを検出した場合、すなわち、ピストン213がシリンダ部212a内にて上死点に向かうことで空気室214の容積を減少させる容積減少工程においては流量調整弁220の作動を制御して吸排気管217内での開度を全閉とする。これにより、圧縮膨張機関210は、容積減少工程においては、空気室214内の全部の空気が圧縮される圧縮工程によって制動トルクが発生する。
次いで、制御装置110は、図4(b)に示すように、ピストン位置検出センサ218からの検出信号を用いてピストン213が上死点に位置したことを検出した場合には、流量調整弁220の作動を制御して吸排気管217内での開度を全開とする。これにより、圧縮膨張機関210は、空気室214内の圧力は急激に下がるため、制動トルクも急激に低下する。そして、制御装置110は、図4(c)に示すように、ピストン位置検出センサ218からの検出信号を用いてピストン213がシリンダ部212a内にて下死点に向かっていることを検出した場合、すなわち、ピストン213がシリンダ部212a内にて下死点に向かうことで空気室214の容積を増加させる容積増加工程においては、流量調整弁220の作動を制御して吸排気管217内での開度の全開状態を維持する。これにより、圧縮膨張機関210は、容積増加工程において空気室214内の空気の吸引が行なわれて膨張が行なわれないため、制動トルクも発生しない。
次いで、制御装置110は、図4(d)に示すように、ピストン位置検出センサ218からの検出信号を用いてピストン213が下死点に位置したことを検出した場合には、流量調整弁220の作動を制御して吸排気管217内での開度を全閉とする。これにより、圧縮膨張機関210は、容積が最大化した空気室214内に最大限の空気を導入した状態で圧縮工程に移行する。また、ピストン213が上死点に位置した状態から下死点に位置までの間、吸排気管217内での流量調整弁220の開度が全開状態であるため、駆動トルクも発生しない。これらにより、圧縮膨張機関210が発生させる平均制動トルクTAVは、図5(c)に示すように、上記第1実施形態における平均制動トルクTAVよりも大きくすることができる。
なお、上記変形例においては、ピストン213が上死点に達したときに流量調整弁220の開度を全開状態とした。この場合、ピストン213が上死点に達したときには、ピストン213が上死点に達する直前または直後を含むものであり、ピストン213が上死点に実質的に達したときを意味しており、ピストン213が厳密に上死点に達したときのみを意味するものでない。
しかし、制御装置110は、ピストン213が実質的に上死点に達する前に意図的に流量調整弁220の開度を全開状態とすることにより空気室214内の圧力を上記変形例における最高圧力よりも下げることができる。また、制御装置110は、ピストン213が実質的に上死点に達するまでの間について完全な全閉状態とせず流量調整弁220の開度を僅かに開いた状態とすることにより空気室214内の圧力を上記変形例における最高圧力よりも下げることができる。これにより、制動トルク発生装置200は、発生させる制動トルクの大きさを上記変形例に比べて小さくすることができる。
また、上記変形例においては、ピストン213が実質的に上死点に達したときに流量調整弁220の開度を全開状態とした。しかし、制御装置110は、ピストン213が実質的に上死点に達したときに流量調整弁220の開度を完全な全開状態とせず流量調整弁220の開度を全開より僅かに閉じた状態とすることによりピストン213が下死点側に変位を開始した際に駆動トルクを発生させることもできる。
また、この変形例においては、ピストン213がシリンダ部212a内にて上死点に向かっている場合に吸排気管217内での流量調整弁220の開度を全閉状態として空気室214内の空気を圧縮する一方で、ピストン213がシリンダ部212a内にて下死点に向かっている場合に吸排気管217内での流量調整弁220の開度を全開状態として空気室214内に空気を導入して制動トルクを発生させるように構成した。
しかし、ピストン213がシリンダ部212a内にて上死点に向かっている場合に吸排気管217内での流量調整弁220の開度を全開状態として空気室214内の空気を排気する一方で、ピストン213がシリンダ部212a内にて下死点に向かっている場合に吸排気管217内での流量調整弁220の開度を全閉状態として空気室214内に空気を膨張させることで制動トルクを発生させるように構成することもできる。
なお、図5(a)は吸排気管217内における流量調整弁220の開度の時間変化を示しており、図5(b)は空気室214内の圧力の時間変化を示しており、図5(c)は圧縮膨張機関210が発生させる制動トルクおよび駆動トルクの時間変化をそれぞれ示している。また、図5(a)〜(c)は、それぞれ横軸の時間経過が図5(a)〜(c)間で対応しており同じ時間での経過を示している。また、図4(a)〜(d)において、破線矢印は、クランク216の回転方向および空気室214に対する空気の流出方向および流入方向をそれぞれ示している。
また、上記第1実施形態においては、制動トルク発生装置200は、制動トルクの発生を望まない場合においては、クラッチ装置222の作動を制御して駆動軸211と電動モータ107の回転駆動軸107aとを遮断するように構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、クラッチ装置222を遮断状態とする制御に代えて、流量調整弁220の作動を制御して吸排気管217内での開度を常に全開または常に全閉するとすることもできる。
具体的には、流量調整弁220が吸排気管217内での開度を常に全開とした場合(図4(a),(d)参照)には、図6(a)〜(c)にそれぞれ示すように、圧縮膨張機関210はピストン213の往復に従ってシリンダ部212aに対して外気の吸排気が常に行われることになる。したがって、圧縮膨張機関210は、ピストン213による容積減少工程時および容積増加工程時には外気の排気および吸気は略無負荷で行われるため回転駆動軸107aに作用する制動トルクはトータルとしては発生しないと見做すことができる。なお、この場合、圧縮膨張機関210は、ピストン213の摺動抵抗などの所謂メカロスによって厳密には制動トルクが発生するが、この制動トルクは極めて小さいため、電気自動車100を走行させることができる。すなわち、制動トルク発生装置200は、クラッチ装置222を省略して構成することができる。
また、流量調整弁220が吸排気管217内での開度を常に全閉とした場合(図4(b),(c)参照)には、図7(a)〜(c)にそれぞれ示すように、圧縮膨張機関210はシリンダ部212aに対して外気の吸排気が一切行われない状態でピストン213が往復摺動することになる。したがって、圧縮膨張機関210は、ピストン213による容積減少時に行なわれる圧縮工程における圧縮力または容積増加工程に行なわれる膨張工程における負圧による制動トルクが発生する一方で、前記圧縮工程時後の膨張行程時における反発力または前記膨張行程時後の圧縮工程時における負圧による駆動力によって回転駆動軸107aに作用する制動トルクはトータルとしては発生しないと見做すことができる。なお、この場合、圧縮膨張機関210は、ピストン213の摺動抵抗などの所謂メカロスによって厳密には制動トルクが発生するが、この制動トルクは極めて小さいため、電気自動車100を走行させることができる。すなわち、制動トルク発生装置200は、クラッチ装置222を省略して構成することができる。また、図7(a)〜(c)においては、空気室214内の容積が最大時に最大限の空気が充填されている場合における挙動を示している。
また、吸排気管217内における流量調整弁220の開度を全閉状態、全開状態および全閉状態から全開状態までの中間開度を一定にした場合における制動トルクの大きさは、図8に示すように、開度が50%付近で最大となって全閉側および全開側に向かって減少する。このため、上記第1実施形態においては、流量調整弁220の開度を50%とした。しかし、制動トルクを発生させるための流量調整弁220の開度は、所望する制動トルクの大きさに応じて適宜設定されるものである。すなわち、制動トルク発生装置200は、制動トルクを発生させる場合において吸排気管217内における流量調整弁220における開度を必要な制動トルクに応じて全閉より多くかつ全開未満の開度の範囲で固定的または可変可能に設定することができる。
また、上記第1実施形態においては、制動トルク発生装置200は、制動トルクを発生させる場合において吸排気管217内における空気の流量を流量調整弁220を用いて一定で固定の流量とした。したがって、制動トルク発生装置200は、吸排気管217の管路の流量が前記一定の流量となるような内径に形成したりオリフィスを設けたりすることで流量調整弁220を省略して構成することができる。
すなわち、クラッチ装置222および流量調整弁220は、本発明に係る機関作動機構に相当する。この機関作動機構は、圧縮膨張機関210の作動を開始または停止させて制動トルクの発生または中断を行なわせるように構成されていればよく、必ずしも上記第1実施形態に限定されるものはない。すなわち、機関作動機構は、クラッチ装置222および流量調整弁220のうちの少なくとも一方で構成することができるとともに、クラッチ装置222および流量調整弁220以外の機構を採用して構成することもできる。
また、上記第1実施形態においては、圧縮膨張機関210は、シリンダ部212aの容積を一定とした。しかし、圧縮膨張機関210は、シリンダ部212aの容積を可変できるように構成することができる。例えば、圧縮膨張機関210は、シリンダ部212aの長手方向の長さを伸縮できるように構成することでシリンダ部212aの容積を可変できるように構成することができる。
また、上記第1実施形態においては、制動トルク発生装置200は、消音器221を備えて構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、シリンダ部212aの空気室214に対する吸気時または排気時の騒音が小さい場合や低減する必要がない場合には消音器221を省略して構成することができる。なお、本変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用することができる。
また、上記第1実施形態においては、圧縮膨張機関210は、シリンダ部212aに対して吸気と排気とを共通化した吸排気管217を設けて構成した。しかし、圧縮膨張機関210は、シリンダ部212aに対して吸気を行う吸気管および排気を行う排気管をそれぞれ設けて構成することもできる。この場合、流量調整弁220は、吸気管および排気管のうちの少なくとも一方に設けることができる。これによれば、制動トルク発生装置200は、吸気および排気の効率を向上させることができるとともに耐熱信頼性も向上させることができる。この変形例の詳細については後述する。
また、上記第1実施形態においては、制動トルク発生装置200は、制御装置110によって流量調整弁220の開度を開閉制御するように構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、例えば、駆動軸211と流量調整弁220とをタイミングベルトおよびカムで繋いで駆動軸211の回転駆動力でカムを回転駆動させることによって流量調整弁220の開度を所定のタイミングで開閉制御するように構成することもできる。この変形例の詳細については後述する。
また、上記第1実施形態においては、制動トルク発生装置200は、1つの圧縮膨張機関210を備えて構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、2つ以上の圧縮膨張機関210を備えて構成することもできる。これによれば、制動トルク発生装置200は、より大きな制動トルクを発生させることができる。
また、上記第1実施形態においては、制動トルク発生装置200は、圧縮膨張機関210をトランスミッション106のケース106a内にて電動モータ107の回転駆動軸107aにクラッチ装置222を介して連結した。しかし、制動トルク発生装置200は、図9に示すように、前輪車軸102a,102bに連結した圧縮膨張機関230,240で構成することもできる。
例えば、圧縮膨張機関230は、図10に示すように、駆動板231、駆動カム231a、シリンダブロック232、ピストン233およびリターンスプリング235をそれぞれ備えて構成されている。駆動板231は、上記実施形態における駆動軸211に対応する部品であり、金属材または樹脂材を平板リング状に形成して構成されている。この駆動板231は、中心部にベアリングを介して前輪車軸102a,102bが貫通するとともに、これらの前輪車軸102a,102bにクラッチ装置222を介して連結されている。また、駆動板231は、一体的に回転可能な状態で楕円板状の駆動カム231aを備えている。
駆動カム231aは、リターンスプリング235と協働してピストン233をシリンダブロック232内で摺動させるための部品であり、機械要素としての円板カムで構成されている。この駆動カム231aは、駆動板231と同様の金属材または樹脂材で構成されて駆動板231に一体的に取り付けられている。シリンダブロック232は、上記実施形態におけるシリンダブロック212に対応する部品であり、シリンダ部212aおよびクランク部212bにそれぞれ対応するシリンダ部232aおよびカム部232bを備えている。この場合、シリンダ部232aには、ピストン233によって空気室214と同様の空気室234が形成されており吸排気管217が接続されている。また、カム部232bは、駆動カム231aを備える駆動板231が回転駆動可能な状態で収容する大きさに形成されている。
ピストン233は、上記実施形態におけるピストン213に対応する部品であり、シリンダブロック232と同様の金属材または樹脂材を円柱状に形成して構成されている。リターンスプリング235は、ピストン233を駆動カム231aに常に押し付ける弾性力を発生させる部品であり、金属製または樹脂製のコイルスプリングによって構成されている。このリターンスプリング235は、シリンダ部232aの空気室234内に内周面に沿って設けられている。
このように構成された圧縮膨張機関230は、クラッチ装置222を介して前輪車軸102a,102bが駆動板231に連結されることで駆動カム231aが回転駆動する。この場合、駆動カム231aは、ピストン233がリターンスプリング235の押圧力によって押圧されているため、この押圧力に抗しながら回転駆動する。これにより、圧縮膨張機関230は、ピストン233がシリンダ部232a内を往復摺動することで空気の圧縮および/または膨張が行なわれて制動トルクを発生させる。
一方、圧縮膨張機関240は、図11に示すように、前記駆動カム231aに代えて駆動板241に楕円状のカム溝241aが形成されるとともに、このカム溝241aにピストン242から延びる棒状の従動軸242aのピン242bが摺動自在な状態で連結されている点において異なる。したがって、圧縮膨張機関240は、前記ピストン233における小径部233bおよびリターンスプリング235に相当する部品は存在しない。
このように構成された圧縮膨張機関240は、クラッチ装置222を介して前輪車軸102a,102bが駆動板241に連結されることでカム溝241aが回転駆動する。この場合、カム溝241aは、ピストン242の従動軸242aが摺動自在な状態で嵌合しているため、この従動軸243aを案内しながら回転駆動する。これにより、圧縮膨張機関230は、ピストン233がシリンダ部232a内を往復摺動することで空気の圧縮および/または膨張が行なわれて制動トルクを発生させる。これらの圧縮膨張機関230,240は、トランスミッション106のケース106a内に設けてもよいし、ケース106aの外側に設けてもよい。
また、上記第1実施形態においては、制動トルク発生装置200は、圧縮膨張機関210、流量調整弁220、消音器221、クラッチ装置222をトランスミッション106のケース106a内にそれぞれ設けて構成した。これにより、制動トルク発生装置200は、装置構成をコンパクト化することができるとともに制動トルク発生装置200の作動音を低減することができる。この場合、制動トルク発生装置200は、制御装置110を含めてトランスミッション106のケース106a内に設けることもできる。
しかし、制動トルク発生装置200は、圧縮膨張機関210、流量調整弁220および消音器221の全部または一部をトランスミッション106のケース106aの外部空間にそれぞれ配置することもできる。例えば、制動トルク発生装置200は、図12に示すように、圧縮膨張機関210をトランスミッション106のケース106aの外表面に設けるとともに、流量調整弁220および消音器221を同ケース106aの外側における圧縮膨張機関210の近傍に設けることができる。また、圧縮膨張機関210を電動モータ107のケース内に設けるとともに、流量調整弁220および消音器221を同ケース内または同ケース外における圧縮膨張機関210の近傍に設けることもできる。
また、圧縮膨張機関210は、図13に示すように、駆動車軸である前輪車軸102a,102bではなく非駆動車軸である後輪車軸103a,103bに設けることもできる。この図13に示す制動トルク発生装置200においては、クラッチ装置222を省略して構成しており、流量調整弁220の作動制御による吸排気管217内での開度を常に全開または常に全閉することで制動トルク発生装置200の作動の開始または停止を制御している。また、圧縮膨張機関210は、図14に示すように、左右の前輪車軸102a,102bを非駆動車軸とするとともに後輪車軸103a,103bを駆動車軸とするために電動モータ107から延びるプロペラシャフト120に減速機121を介して設けることもできる。また、制動トルク発生装置200は、駆動車軸または非駆動軸の前輪車軸102a,102bおよび駆動軸または非駆動車軸の後輪車軸103a,103bの両方にそれぞれ設けることもできる。
また、上記第1実施形態においては、制御装置110は、電気自動車100の走行を含めた全体の作動を総合的に制御するように構成した。しかし、制御装置110は、制動トルク発生装置200のみを単独で制御するように構成して、電気自動車100の走行を制御する制御装置と連携するように構成することもできる。なお、本変形例は、後述する第2実施形態にも採用することができる。
また、上記第1実施形態においては、制動トルク発生装置200は、操作子111が「L」のシフトポジションに操作されることで作動が開始するように構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、操作子111が「D」のシフトポジションに位置した状態であっても作動が開始するように構成することができる。例えば、制動トルク発生装置200は、制動トルク発生装置200の作動を開始させるための操作子を別に設けてもよいし、ブレーキ装置105a〜105dの温度を監視して同温度が所定温度以上になった場合にブレーキ装置105a〜105dの作動とともに作動するように構成することもできる。なお、本変形例は、後述する第2実施形態にも採用することができる。
例えば、図1の破線で示すように、制動トルク発生装置200は、操作子111の操作によるシフトチェンジに連動した作動の開始または停止の制御に代えてまたは加えて運転者による直接的な操作によって制動トルク発生装置200の作動の開始または停止を制御装置110に指示する操作子112を備えて構成することができる。この場合、操作子112は、運転者による回動操作によって圧縮膨張機関210の作動の開始または停止および流量調整弁220の開度を所望する開度に連続的または段階的に設定することができるダイヤル式で構成することができる。
これにより、制御装置110は、運転者が操作子112を操作することによってシフトポジションの位置に拘らず、クラッチ装置222の作動を制御して前輪車軸102a,102bと圧縮膨張機関210とを回転駆動力の伝達状態と遮断状態とを選択的に切り替えて制動トルクを発生または消滅させることができる。この場合、制御装置110は、操作子112の回動量に応じて流量調整弁220の開度を増減することにより、運転者が所望する制動トルクを発生させることができる。なお、操作子112は、必ずしも流量調整弁220の開度を増減させる機能を有する必要はなく、単に圧縮膨張機関210の作動の開始または停止のみを指示可能に構成することができることは当然である。
また、上記第1実施形態においては、電気自動車100は、バッテリ108に蓄電した電力によって電動モータ107を駆動するように構成した。しかし、電気自動車100は、電動モータ107を駆動源とする自走式車両に広く適用することができる。したがって、電気自動車100は、燃料電池から出力される電力によって電動モータ107を駆動する燃料電池車であってもよいし、電動モータ107を補助的な駆動源とする自走式車両、例えば、エンジンを主な駆動源とするとともに電動モータ107を補助的な駆動源とするハイブリット車で構成することもできる。なお、本変形例は、後述する第2実施形態にも採用することができる。
また、上記第1実施形態においては、制動トルク発生装置200は、圧縮膨張機関210を駆動軸211、シリンダブロック212、ピストン213、連接棒215およびクランク216をそれぞれ備えた所謂ピストンクランク機構で構成した。しかし、制動トルク発生装置200を構成する圧縮膨張機関は、前輪車軸102a,102bおよび/または後輪車軸103a,103bに連結されてこれらの前輪車軸102a,102bおよび/または後輪車軸103a,103bからのバックトルクによって空気を導入する空気室214の容積の減少による空気の圧縮および同容積の増加による空気の膨張のうちの少なくとも一方を行って制動トルクを発生させるように構成されていればよい。したがって、制動トルク発生装置200は、ピストンクランク機構以外の機構、例えば、後述するロータリ機構からなる圧縮膨張機関250で構成することもできる。
<第2実施形態>
次に、本発明に係る電気自動車用制動トルク発生装置およびこの電気自動車用制動トルク発生装置を搭載した電気自動車の第2実施形態について図15〜図26を参照しながら説明する。この第2実施形態における電気自動車100に搭載される制動トルク発生装置200は、圧縮膨張機関250がロータリ機構で構成されている点において上記第1実施形態と異なる。したがって、この第2実施形態における制動トルク発生装置200においては、上記第1実施形態における圧縮膨張機関210と異なる部分を中心に説明して、両実施形態において共通する部分や対応する部分については適宜説明を省略する。
次に、本発明に係る電気自動車用制動トルク発生装置およびこの電気自動車用制動トルク発生装置を搭載した電気自動車の第2実施形態について図15〜図26を参照しながら説明する。この第2実施形態における電気自動車100に搭載される制動トルク発生装置200は、圧縮膨張機関250がロータリ機構で構成されている点において上記第1実施形態と異なる。したがって、この第2実施形態における制動トルク発生装置200においては、上記第1実施形態における圧縮膨張機関210と異なる部分を中心に説明して、両実施形態において共通する部分や対応する部分については適宜説明を省略する。
(圧縮膨張機関250の構成)
圧縮膨張機関250は、図15〜図23にそれぞれ示すように、主として、ロータ251、エキセントリックシャフト255およびハウジング256をそれぞれ備えて構成することができる。ここで、ロータ251は、3つの角部252a〜252cが3つの曲線状の辺部253a〜253cで繋がった略三角柱状体に形成されるとともに、この略三角柱状体の中心部に形成された貫通孔の内周面に内歯254が形成されて構成されている。また、エキセントリックシャフト255は、ロータ251の内歯254に噛み合う外歯255aを有して回転駆動する軸状に形成されている。このエキセントリックシャフト255は、回転駆動軸107aに対してクラッチ装置222を介して連結されている。なお、エキセントリックシャフト255は、回転駆動軸107aに代えて前輪車軸102a,102bおよび後輪車軸103a,103bに連結されていてもよいことは当然である。
圧縮膨張機関250は、図15〜図23にそれぞれ示すように、主として、ロータ251、エキセントリックシャフト255およびハウジング256をそれぞれ備えて構成することができる。ここで、ロータ251は、3つの角部252a〜252cが3つの曲線状の辺部253a〜253cで繋がった略三角柱状体に形成されるとともに、この略三角柱状体の中心部に形成された貫通孔の内周面に内歯254が形成されて構成されている。また、エキセントリックシャフト255は、ロータ251の内歯254に噛み合う外歯255aを有して回転駆動する軸状に形成されている。このエキセントリックシャフト255は、回転駆動軸107aに対してクラッチ装置222を介して連結されている。なお、エキセントリックシャフト255は、回転駆動軸107aに代えて前輪車軸102a,102bおよび後輪車軸103a,103bに連結されていてもよいことは当然である。
また、ハウジング256は、前記3つの角部252a〜252cをそれぞれ摺動させつつロータ251全体を回転自在に収容する部品であり、シリンダブロック212と同様の金属材または樹脂材を中空のブロック状に形成して構成されている。この場合、ハウジング256の内周面は、互いに対向する2つのペリトロコイド曲線からなる曲面で構成されているとともに、吸気口256a、排気口256bおよび吸排気管217が設けられている。このハウジング256は、ロータ251の3つの各辺部253a〜253cとハウジング256の内周面との間に形成された3つの空気室257a〜257cが形成されており、ロータ251が公転しながら自転することで3つの空気室257a〜257cの容積が順次減少と増加を繰り返すように構成されている。
吸気口256aは、前記3つの空気室257a〜257cのうちの1つの室内に外気を取り込むために大気開放された孔部である。また、排気口256bは、前記3つの空気室257a〜257cのうちの残余の2つのうちの1つの室内の空気を大気中に放出するために大気開放された孔部であり、吸気口256aに隣接して設けられている。また、吸排気管217は、前記3つの空気室257a〜257cのうちの残余の1つ室内に対して吸排気するために吸気口256aおよび排気口256bに対向する側のハウジング256の内部に接続されている。この場合、吸排気管217には、流量調整弁220が設けられている。
(圧縮膨張機関250の作動)
このように構成された圧縮膨張機関250は、図24(a)〜(e)にそれぞれ示すように、クラッチ装置222を介して回転駆動軸107aがエキセントリックシャフト255に連結されることでロータ251が自転しながら公転して制動トルクを発生させる。この圧縮膨張機関250の作動をロータ251の角部252aが吸排気管217の中心位置を0°として同角部252aが図示時計回りに360°回って(すなわち、一回転して)戻ってくる場合について説明する。
このように構成された圧縮膨張機関250は、図24(a)〜(e)にそれぞれ示すように、クラッチ装置222を介して回転駆動軸107aがエキセントリックシャフト255に連結されることでロータ251が自転しながら公転して制動トルクを発生させる。この圧縮膨張機関250の作動をロータ251の角部252aが吸排気管217の中心位置を0°として同角部252aが図示時計回りに360°回って(すなわち、一回転して)戻ってくる場合について説明する。
なお、図24は、(a)は圧縮膨張機関250が機関全体として発生させる制動トルクの時間変化を示しており、(b)は吸排気管217内における流量調整弁220の開度の時間変化を示しており、(c)は空気室257a内の圧力の時間変化を示しており、(d)は空気室257b内の圧力の時間変化を示しており、(e)は空気室257c内の圧力の時間変化を示している。また、図24(a)〜(e)は、前記図3,図5〜図7と同様に、それぞれ横軸の時間経過が図24(a)〜(e)間で対応しており同じ時間での経過を示している。
圧縮膨張機関250は、図16に示すように、角部252aが0°から若干進んで吸排気管217の端部に位置して通過する場合においては、空気室257aはロータ251、ハウジング256および流量調整弁220で閉じられた空間内が大気圧に近い状態(以下、「略大気圧状態」という)である。また、空気室257bは、吸気口256aおよび排気口256bを介して大気に連通することで略大気圧状態である。また、空気室257cは、ロータ251およびハウジング256で閉じられた空間内に大気圧より少し低い気圧(以下、「弱負圧」という)の空気を収容している。
次に、圧縮膨張機関250は、図17に示すように、角部252aが60°の位置(エキセントリックシャフト255が180°回転した位置)に位置するまでの間においては、空気室257aはロータ251の回転に伴って容積が減少する容積減少工程が実行された後、容積が最小となるタイミング(角部252aが60°に位置する)で流量調整弁220の開度が制御装置110による作動制御によって全開にされる。この空気室257aにおける容積減少工程による空気の圧縮工程によって制動トルクが発生する。一方、空気室257bは、ロータ251の回転に伴って容積が増加する容積増加工程が実行されつつ排気口256bの連通状態が解消される一方で吸気口256aから外気を吸引するため弱負圧状態となる。また、空気室257cは、容積が減少しつつ排気口256bに連通して略大気圧状態となる。
次に、圧縮膨張機関250は、図18に示すように、角部252aが120°の位置(エキセントリックシャフト255が360°回転した位置)に位置する直前の角部252bが吸排気管217に差し掛かるまでの間においては、空気室257aは容積増加工程が実行されるとともに、その間、流量調整弁220の開度が全開状態に維持されるため吸排気管217から外気が導入されて弱負圧状態となる。そして、空気室257aは、角部252bが吸排気管217に差し掛かったタイミングで流量調整弁220の開度が制御装置110による作動制御によって全閉にされてロータ251、ハウジング256および流量調整弁220で閉じられた空間となる。また、空気室257bは、容積増加工程が実行されつつ吸気口256aから外気を吸引した後、角部252cが吸気口256aを通過することでロータ251およびハウジング256で閉じられた空間内が形成される。また、空気室257cは、容積減少工程が実行されつつ排気口256bに加えて吸気口256aにも連通して容積が最小となりつつ略大気圧状態を維持する。
次に、圧縮膨張機関250は、図19に示すように、角部252aが120°から若干進んで角部252bが吸排気管217の端部に位置して通過する場合においては、空気室257aはロータ251およびハウジング256で閉じられた空間内が弱負圧状態である。また、空気室257bは、角部252bが吸排気管217に差し掛かったタイミングで流量調整弁220の開度が全閉されるため、ロータ251、ハウジング256および流量調整弁220で閉じられた略大気圧状態の空間となるとともに容積減少工程が開始される。また、空気室257cは、排気口256bおよび吸気口256aに連通した状態で容積増加工程が実行される。
次に、圧縮膨張機関250は、図20に示すように、角部252aが180°の位置(エキセントリックシャフト255が540°回転した位置)に位置するまでの間においては、空気室257aは容積減少工程が実行されつつ排気口256bに連通して略大気圧状態となる。また、空気室257bは、容積減少工程が実行された後、容積が最小となるタイミング(角部252aが180°に位置する)で流量調整弁220の開度が制御装置110による作動制御によって全開にされる。この空気室257bにおける容積減少工程による空気の圧縮工程によって制動トルクが発生する。また、空気室257cは、容積増加工程が実行されつつ排気口256bの連通状態が解消される一方で吸気口256aから外気を吸引するため弱負圧状態となる。
次に、圧縮膨張機関250は、図21に示すように、角部252aが240°から若干進んで角部252cが吸排気管217の端部に位置して通過する場合においては、空気室257aは容積減少工程が実行された後、容積増加工程に移行して吸気口256aから外気を吸引し始める。また、空気室257bは、容積増加工程が実行されるとともに、その間、流量調整弁220の開度が全開状態に維持されるため吸排気管217から外気が導入されて弱負圧状態となる。その後、空気室257bは、角部252cが吸排気管217に差し掛かったタイミングで流量調整弁220の開度が全閉されるため、ロータ251、ハウジング256および流量調整弁220で閉じられた略大気圧の空間となる。さらに、その後、空気室257bは、角部252cが吸排気管217を通過することで弱負圧状態のままロータ251およびハウジング256で閉じられた空間となる。また、空気室257cは、角部252aが吸気口256aを通過することでロータ251およびハウジング256で閉じられた弱負圧状態の空間になった後、角部252cが吸排気管217の端部に差し掛かったタイミングで流量調整弁220の開度が制御装置110による作動制御によって全閉にされて容積減少工程が開始される。
次に、圧縮膨張機関250は、図22に示すように、角部252aが300°の位置(エキセントリックシャフト255が900°回転した位置)に位置するまでの間においては、空気室257aは容積増加工程が実行されつつ排気口256bの連通状態が解消される一方で吸気口256aから外気を吸引するため弱負圧状態となる。また、空気室257bは、容積減少工程が実行されつつ排気口256bに連通して弱正圧状態となる。また、空気室257cは、容積減少工程が実行された後、容積が最小となるタイミング(角部252aが300°に位置する)で流量調整弁220の開度が制御装置110による作動制御によって全開にされる。この空気室257cにおける容積減少工程による空気の圧縮工程によって制動トルクが発生する。
次に、圧縮膨張機関250は、図23に示すように、角部252aが360°の位置(すなわち、最初の0°の位置)に位置する直前の角部252aが吸排気管217に差し掛かるまでの間においては、空気室257aは容積増加工程が実行されつつ吸気口256aから外気を吸引した後、角部252bが吸気口256aを通過することでロータ251およびハウジング256で閉じられた空間内が形成される。また、空気室257bは、容積減少工程が実行されつつ排気口256bに加えて吸気口256aにも連通して容積が最小となりつつ略大気圧状態を維持する。また、空気室257cは、容積増加工程が実行されるとともに、その間、流量調整弁220の開度が全開状態に維持されるため吸排気管217から外気が導入されて弱負圧状態となる。そして、空気室257cは、角部252bが吸排気管217に差し掛かったタイミングで流量調整弁220の開度が制御装置110による作動制御によって全閉にされてロータ251、ハウジング256および流量調整弁220で閉じられた空間となる。
そして、圧縮膨張機関250は、角部252aが360°の位置(すなわち、最初の0°の位置)に位置に達して同じ動作を繰り返し行う。すなわち、圧縮膨張機関250は、ロータ251が1回転する間に3回の圧縮工程によって制動トルクを発生させる。なお、図16〜図24においては、破線矢印は、ロータ251およびエキセントリックシャフト255の各回転方向および空気室257a〜257cに対する空気の流通方向をそれぞれ示している。
次に、運転者は、圧縮膨張機関250による制動トルクの発生を解除した場合には、運転者は操作子111をロー「L」のシフトポジションから他のシフトポジション、例えば、ドライブ「D」のシフトポジションに操作して制御装置110に対して制動トルク発生装置200の作動の停止を指示する。この指示に応答して制御装置110は、クラッチ装置222の作動を制御して回転駆動軸107aまたは前輪車軸102a,102bとエキセントリックシャフト255とを遮断する。これにより、運転者は、電気自動車100に制動トルクを作用させた状態を解除することができる。
上記作動説明からも理解できるように、上記第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、制動トルク発生装置200は、車軸102に車輪104a,104bからのバックトルクが生じた際に圧縮膨張機関250がバックトルクを用いて空気の圧縮および膨張を行うだけで前輪車軸102a,102bに対して制動トルクを付与することができるため、装置構成を簡単化、小型化および軽量化することができるとともに制動トルクを連続して発生させ続けることができる。
また、上記第2実施形態によれば、制動トルク発生装置200は、エキセントリックシャフト255に噛み合ってハウジング256内で自転および公転するロータ251を備えたロータリ機構で構成されているため、装置構成を簡単化、小型化および軽量化することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記各変形例において、上記第2実施形態と同様の構成部分については同じ符号を付して、その説明を省略する。
例えば、上記第2実施形態においては、制動トルク発生装置200は、空気室257a〜257cの空気の圧縮工程を実行する際、流量調整弁220の開度を全閉状態とした。これにより、制動トルク発生装置200は、圧縮膨張機関250に最大の制動トルクを発生させることができる。しかし、制動トルク発生装置200は、空気室257a〜257cの空気の圧縮工程を実行する際、流量調整弁220の開度を全閉状態とせず全開未満の開度で開くように構成することもできる。これによれば、制動トルク発生装置200は、圧縮膨張機関250が発生させる制動トルクを下げることができる。
また、上記第2実施形態においては、制動トルク発生装置200は、吸排気管217にのみ流量調整弁220を設けて構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、図25に示すように、吸排気管217に加えて排気口256bに繋がる管路に流量調整弁258を設けて構成することできる。この場合、流量調整弁258は、弁体258aを作動させる開閉アクチュエータ258bが制御装置110によって制御されて開度が制御される。具体的には、流量調整弁258は、図26(a)〜(f)にそれぞれ示すように、ロータ251の角部252a〜252cのいずれかが排気口256bに差し掛かった際に開度が全閉されるとともにこの角部252a〜252cがその直後に吸気口256aに差し掛かった際に開度が全開される。
すなわち、流量調整弁258は、角部252a〜252cのいずれかが排気口256bに差し掛かってから吸気口256aに差し掛かるまでの間だけ全閉状態とされる。これによれば、制動トルク発生装置200は、排気口256bから排気される空気に対して圧縮工程を実行することで制動トルクを発生させることができる。すなわち、制動トルク発生装置200は、上記第2実施形態における制動トルクの発生頻度を2倍にすることができる。なお、制動トルク発生装置200は、流量調整弁258を間欠的に作動させることによって3つの空気室257a〜257cのうちの1つまたは2つの空気室257a〜257cに対してのみ排気口256bから排気される空気に対して圧縮工程を実行することで制動トルクを発生させることもできる。
なお、図25においては、破線矢印は、ロータ251およびエキセントリックシャフト255の各回転方向および空気室257a〜257cに対する空気の流通方向をそれぞれ示している。また、図26は、(a)は圧縮膨張機関250が機関全体として発生させる制動トルクの時間変化を示しており、(b)は吸排気管217内における流量調整弁220の開度の時間変化を示しており、(c)は排気口256bの管路における流量調整弁258の開度の時間変化を示しており、(d)は空気室257a内の圧力の時間変化を示しており、(e)は空気室257b内の圧力の時間変化を示しており、(f)は空気室257c内の圧力の時間変化を示している。また、図26(a)〜(f)は、前記図24と同様に、それぞれ横軸の時間経過が図26(a)〜(f)間で対応しており同じ時間での経過を示している。
また、上記第2実施形態においては、制動トルク発生装置200は、空気室257a〜257cが流量調整弁258側に向かう容積減少工程時に流量調整弁220の開度を全閉として空気を圧縮する圧縮工程を実行することで制動トルクを発生するように構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、空気室257a〜257cが流量調整弁258側から離れる容積増加工程時に流量調整弁220の開度を全閉として空気を膨張させる膨張工程を実行することで制動トルクを発生するように構成することもできる。
また、上記第2実施形態においては、制動トルク発生装置200は、制動トルクの発生を望まない場合においては、クラッチ装置222の作動を制御して回転駆動軸107aまたは前輪車軸102a,102bとエキセントリックシャフト255とを遮断するように構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、クラッチ装置222を遮断状態とする制御に代えて、流量調整弁220の作動を制御して吸排気管217内での開度を常に全開にすることもできる。
また、上記第2実施形態においては、制動トルク発生装置200は、ロータ251の回転位置に応じて流量調整弁220の開度を開閉制御することで制動トルクを発生するように構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、上記第1実施形態と同様に、ロータ251の回転位置に拘らず流量調整弁220の開度を常に一定にしても制動トルクを発生させることができる。この場合、制動トルク発生装置200は、流量調整弁220に代えて吸排気管217の管路の流量が前記一定の流量となるような内径に形成したりオリフィスを設けたりすることで流量調整弁220を省略して構成することができる。
また、上記第2実施形態においては、制動トルク発生装置200は、1つの圧縮膨張機関250を備えて構成したが、上記第1実施形態と同様に、2つ以上の圧縮膨張機関250を備えて構成することもできる。また、制動トルク発生装置200は、ピストンクランク機構型の圧縮膨張機関210,230,240とロータリ型の圧縮膨張機関250とを併設することできる。
また、圧縮膨張機関250は、上記第1実施形態と同様に、トランスミッション106のケース106aの内側および外側に設けることができるとともに、電動モータ107のケース内またはケースの外表面に設けることもできる。また、圧縮膨張機関250は、駆動車軸である前輪車軸102a,102bではなく非駆動車軸である後輪車軸103a,103bに設けることもできる。また、圧縮膨張機関250は、後輪車軸103a,103bを駆動軸とするために電動モータ107から延びるプロペラシャフト120に連結して設けることもできる。また、制動トルク発生装置200は、駆動車軸である前輪車軸102a,102bおよび非駆動車軸である後輪車軸103a,103bにそれぞれ設けることもできる。
また、上記第2実施形態においては、制動トルク発生装置200は、制御装置110によって流量調整弁220の開度を開閉制御するように構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、例えば、エキセントリックシャフト255と流量調整弁220とをタイミングベルトおよびカムで繋いでエキセントリックシャフト255の回転駆動力でカムを回転駆動させることによって流量調整弁220の開度を所定のタイミングで開閉制御するように構成することもできる。
また、上記各実施形態においては、制動トルク発生装置200は、運転者による操作子111の操作によって作動を開始または停止するように構成した。しかし、制動トルク発生装置200は、運転者によるアクセル操作に応じて自動的に作動を開始または停止するように構成することができる。
例えば、電気自動車100は、図27に示すように、アクセル型の操作子113の操作に応じて制御装置110が圧縮膨張機関210の作動を開始または停止するように構成することができる。ここで、アクセルは、制御装置110に対して電動モータ107の回転駆動量を指示して電気自動車100を加速させるための加速指示装置であり、足踏み式のペダルで構成されている。なお、このアクセル型の操作子113は、足踏み式のペダル以外の構成、例えば、棒状のハンドルを軸回りに回動させるタイプで構成してもよいことは当然である。
そして、制御装置110は、電気自動車100が走行中において運転者による操作子113への加速操作の中断(所謂アクセルオフ)を検出した場合には、制動トルク発生装置200に対して作動の開始を指示する。これにより、制動トルク発生装置200は、上記第1実施形態におけるシフトポジションをロー「L」に操作した場合と同じように、クラッチ装置222および流量調整弁220の作動を制御して制動トルクを発生させることができる。また、制御装置110は、制動トルク発生装置200が作動している場合において運転者による操作子113への加速操作が行なわれたこと(所謂アクセルオン)を検出した場合には、制動トルク発生装置200に対して作動の停止を指示して制動トルクの発生を中断することができる。
また、図27に示す電気自動車100に対してバッテリ108の充填状態を加味して制動トルク発生装置200の作動の開始または停止を制御することもできる。例えば、電気自動車100は、図28に示すように、バッテリ108の残容量を検出するためにバッテリ108の端子電圧を検出して制御装置110に出力する充電量検出器114を備えて構成することができる。これにより、制御装置110は、充電量検出器114からの検出信号によってバッテリ108の残容量を監視してバッテリ108の残容量が所定以上ある場合において操作子113への加速操作の中断(所謂アクセルオフ)を検出した場合には電動モータ107を回生させてバッテリ108の充電を行う。一方、制御装置110は、バッテリ108の残容量が所定未満の場合(例えば、満充電または満充電に近い状態)において操作子113への加速操作の中断(所謂アクセルオフ)を検出した場合には、クラッチ装置222および流量調整弁220の作動を制御して制動トルクを発生させることができる。
なお、制動トルク発生装置200は、運転者のアクセルワークに代えて上記第1実施形態における操作子111によるシフトチェンジの際にバッテリ108の残容量が所定未満の場合にクラッチ装置222および流量調整弁220の作動を制御して制動トルクを発生させることもできる。また、制動トルク発生装置200は、電気自動車100の速度を検出することで減速を検出した際にバッテリ108の残容量が所定未満の場合にクラッチ装置222および流量調整弁220の作動を制御して制動トルクを発生させることもできる。
また、制動トルク発生装置200は、電気自動車100が下り坂を走行する場合に自動的に作動の開始または停止するように構成することができる。例えば、電気自動車100は、図29に示すように、地図情報に標高情報を有するまたは自車の現在地の標高を測定することができるナビゲーションシステム115を備えて自車の現在地における標高情報を制御装置110に出力するように構成することができる。これにより、制御装置110は、ナビゲーションシステム115から出力される自車の現在位置における標高情報を用いて自車が下り坂を走行しているか否かを判定して自車が所定の勾配以上の下り坂を走行していると判定した場合にクラッチ装置222および流量調整弁220の作動を制御して制動トルクを発生させることができる。
なお、電気自動車100は、自車の傾斜状態に応じた検出信号を制御装置110に出力する傾斜センサ(図示せず)を備えて構成することもできる。これによれば、制御装置110は、傾斜センサから出力される検出信号を用いて自車の傾斜状態を特定して自車が所定の傾斜状態で走行している、すなわち、自車が所定の勾配以上の下り坂を走行していると判定した場合にクラッチ装置222および流量調整弁220の作動を制御して制動トルクを発生させることもできる。すなわち、ナビゲーションシステム115および前記傾斜センサが、本発明に係る下り坂走行検出手段に相当する。
次に、前記した圧縮膨張機関210におけるシリンダ部212aに対して吸気を行う吸気管および排気を行う排気管をそれぞれ独立して設けた変形例、およびタイミングベルトおよびカムを用いて流量調整弁220の開度を所定のタイミングで開閉制御するようにした変形例に係る圧縮膨張機関260ついて具体的に説明する。圧縮膨張機関260は、図30に示すように、上記第1実施形態における圧縮膨張機関210を構成する駆動軸211、シリンダブロック212、ピストン213、空気室214、連接棒215およびクランク216と同様の駆動軸261、シリンダブロック262、ピストン263、空気室264、連接棒265およびクランク266をそれぞれ備えている。
この場合、シリンダブロック262は、上記第1実施形態におけるシリンダ部212aと同様に円筒状に形成されたシリンダ部262aの一方の端部に上記第1実施形態におけるクランク部212bと同様に構成されたクランク部262bが一体的に連通した状態で形成されているとともに、他方の端部に吸気管267aおよび排気管267bをそれぞれ独立した形態で有した吸排気管267が設けられている。
吸排気管267は、シリンダ部262a内に開口した状態で空気室264内に外気を導入する吸気管267aと、シリンダ部262a内に開口した状態で空気室264内に導入した外気をシリンダ部262aの周囲の大気中に排出する排気管267bとを有して、吸気管267aと排気管267bとがシリンダブロック262と同様の金属材または樹脂材で一体的に構成されている。この場合、吸排気管267は、シリンダブロック262と一体的または別体で形成することができる。
この吸排気管267は、吸気管267aに吸気弁268aが設けられているとともに排気管267bに排気弁268bが設けられている。吸気弁268aは、シリンダ部262a内に対して吸気管267aが開口する部分を開閉する部品であり、金属製または樹脂製のポペットバルブで構成されている。この吸気弁268aは、吸気カム269aによって駆動される。排気弁268bは、シリンダ部262a内に対して排気管267bが開口する部分を開閉する部品であり、金属製または樹脂製のポペットバルブで構成されている。この排気弁268bは、排気カム269bによって駆動される。
なお、吸気弁268aおよび排気弁268bを構成するポペットバルブは、コッタ、リテーナ、バルブステム、シールおよびバルブスプリングなども備えている。吸気弁268aおよび排気弁268bは、1つのシリンダ部262aに対して1ずつ設けてもよいし2つずつ以上設けてもよい。
吸気カム269aは、シリンダ部262a内のピストン263が下降するタイミングで吸気弁268aを押し下げて吸気管267aと空気室264とを互いに連通させるための円板状の部品であり、タイミングベルト270を介して駆動軸261によって駆動される。また、排気カム269bは、シリンダ部262a内のピストン263が上死点に達するタイミングで排気弁268bを押し下げて排気管267bと空気室264とを互いに連通させるための部品であり、タイミングベルト270を介して駆動軸261によって駆動される。
タイミングベルト270は、駆動軸261の回転駆動力をテンションプーリ271を介して吸気カム269aおよび排気カム269bにそれぞれ伝達する部品であり、ゴム材または樹脂材を可撓性を有する環状に形成して構成されている。テンションプーリ―271は、タイミングベルト270が環状に張られるようにタイミングベルト270を押しつつ回転する円筒状の部品である。
また、吸排気管267には、空気室264に連通した状態で第1流量調整弁272を備えているとともに、排気管267bに第2流量調整弁273を備えている。第1流量調整弁272は、空気室264の気密性を高めるまたは低くすることで圧縮膨張機関260が発生させる制動トルク量を加減するための部品であり、主として、管体272a、弁体272bおよび開閉アクチュエータ272cをそれぞれ備えて構成されている。
る。
る。
管体272aは、空気室264とシリンダ部262aの周囲の大気中とを連通するための管路を形成する部品であり、金属材または樹脂材をパイプ状に形成して構成されている。この管体272aは、空気室264に連通するように吸排気管267における吸気管267aと排気管267bとの間に挿し込まれている。弁体272bは、弁体220aと同様に構成されており、管体272a内を全開から全閉までの間で開度を増減させる部品である。また、開閉アクチュエータ272cは、開閉アクチュエータ220bと同様に構成されており、管体272a内にて弁体272bを進退させるための駆動源であり、制御装置110によって作動が制御される。
第2流量調整弁273は、排気管267b内を流通する空気の流量を加減することで圧縮膨張機関260が発生させる制動トルク量を加減するための部品であり、主として、弁体273aおよび開閉アクチュエータ273bをそれぞれ備えて構成されている。弁体273aは、弁体220aと同様に構成されており、排気管267b内を全開から全閉までの間で開度を増減させる部品である。また、開閉アクチュエータ273bは、開閉アクチュエータ220bと同様に構成されており、排気管267b内にて弁体273aを進退させるための駆動源であり、制御装置110によって作動が制御される。
このように構成された圧縮膨張機関260は、クラッチ装置222を介して前輪車軸102a,102bが駆動軸261に連結されることで車輪104a,104bからのバックトルクによる回転駆動力によってピストン263がシリンダ部262a内で往復摺動を開始する。この場合、駆動軸261の回転駆動力は、タイミングベルト270を介して吸気カム269aおよび排気カム269bをそれぞれ回転駆動させる(図30において破線矢印参照)。これにより、吸気弁268aおよび排気弁268bは、空気室264に対して所定のタイミングで開閉する。
具体的には、吸気弁268aは、ピストン263が下降するタイミングで吸気管267aと空気室264とを互いに連通させる。これにより、空気室264は、ピストン263の下降とともに吸気管267aを介して外気を導入しながら膨張する(図中太線矢印参照)。また、排気弁268bは、ピストン263が上死点に達するタイミングで排気管267bとシリンダ部262aとを互いに連通させる。これにより、空気室264は、空気室264内で圧縮された空気を排気管267bを介して大気中に排出することができる。
これらにより、圧縮膨張機関260は、上記第1実施形態と同様に、制動トルクを発生させる。この場合、制御装置110は、第1流量調整弁272および第2流量調整弁273の各作動を制御することによって圧縮膨張機関260が発生させる制動トルクの大きさおよびタイミングを適宜調整することができる。
TAV…平均制動トルク、
100…電気自動車、
101…車台、102a,102b…前輪車軸、103a,103b…後輪車軸、104a〜104d…車輪、105a〜105d…ブレーキ装置、106…トランスミッション、106a…ケース、106b…減速ギア、106c…差動装置、107…電動モータ、107a…回転駆動軸、108…バッテリ、108a…インバータ、110…制御装置、111…操作子、112…操作子、113…操作子、114…充電量検出器、115…ナビゲーションシステム、120…プロペラシャフト、121…減速機、
200…制動トルク発生装置、
210…圧縮膨張機関、211…駆動軸、212…シリンダブロック、212a…シリンダ部、212b…クランク部、213…ピストン、214…空気室、215…連接棒、216…クランク、217…吸排気管、218…ピストン位置検出センサ、220…流量調整弁、220a…弁体、220b…開閉アクチュエータ、221…消音器、222…クラッチ装置、
230…圧縮膨張機関、
231…駆動板、231a…駆動カム、232…シリンダブロック、232a…シリンダ部、232b…カム部、233…ピストン、234…空気室、235…リターンスプリング、
240…圧縮膨張機関、
241…駆動板、241a…カム溝、242…ピストン、242a…従動軸、242b…ピン、
250…圧縮膨張機関、
251…ロータ、252a〜252c…角部、253a〜253c…辺部、254…内歯、255…エキセントリックシャフト、255a…外歯、256…ハウジング、256a…吸気口、256b…排気口、257a〜257c…空気室、258…流量調整弁、258a…弁体、258b…開閉アクチュエータ、
260…圧縮膨張機関、261…駆動軸、262…シリンダブロック、262a…シリンダ部、262b…クランク部、263…ピストン、264…空気室、265…連接棒、266…クランク、267…吸排気管、267a…吸気管、267b…排気管、268a…吸気弁、268b…排気弁、269a…吸気カム、269b…排気カム、270…タイミングベルト、271…テンションプーリ、272…第1流量調整弁、272a…管体、272b…弁体、272c…開閉アクチュエータ、273…流量調整弁、273a…弁体、273b…開閉アクチュエータ。
100…電気自動車、
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251…ロータ、252a〜252c…角部、253a〜253c…辺部、254…内歯、255…エキセントリックシャフト、255a…外歯、256…ハウジング、256a…吸気口、256b…排気口、257a〜257c…空気室、258…流量調整弁、258a…弁体、258b…開閉アクチュエータ、
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Claims (12)
- 車輪が連結されて電動モータによって駆動される車軸に対して制動トルクを付与する電気自動車用制動トルク発生装置であって、
前記車軸に連結されて同車軸からのバックトルクによって空気を導入する空気室の容積の減少による前記空気の圧縮および同容積の増加による前記空気の膨張のうちの少なくとも一方を行って前記制動トルクを発生させる圧縮膨張機関と、
前記圧縮膨張機関の作動を開始または停止させて前記制動トルクの発生または中断を行なわせる機関作動機構と、
前記車軸にバックトルクが作用する際に、前記機関作動機構の作動を制御することによって前記圧縮膨張機関を作動させて前記車軸に前記制動トルクを付与する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
運転者からの直接的な指示、運転者の運転操作および車両の走行状況のうちの少なくとも1つに基づいて前記機関作動機構の作動を制御して前記圧縮膨張機関を作動させることを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 請求項1に記載した電気自動車用制動トルク発生装置において、さらに、
運転者による操作を受け付ける操作子を備えており、
前記制御装置は、
前記操作子の操作に応じて前記機関作動機構の作動を制御して前記圧縮膨張機関を作動させることを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 請求項1または請求項2に記載した電気自動車用制動トルク発生装置において、さらに、
前記電動モータに電力を供給するバッテリを備えており、
前記制御装置は、
前記バッテリにおける充電量に応じて前記機関作動機構の作動を制御して前記圧縮膨張機関を作動させることを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した電気自動車用制動トルク発生装置において、さらに、
車両が下り坂を走行していることを検出する下り坂走行検出手段を備え、
前記制御装置は、
前記下り坂検出手段が前記車両の下り坂の走行を検出したとき前記機関作動機構の作動を制御して前記圧縮膨張機関を作動させることを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した電気自動車用制動トルク発生装置において、
前記機関作動機構は、
前記圧縮膨張機関の前記空気室に対する吸気および排気のうちの少なくとも一方の流路内の流量を調整する流量調整弁および前記車軸と前記圧縮膨張機関との間に設けられて両者間の回転駆動力の伝達状態と遮断状態とを選択的に切り替えるクラッチ装置のうちの少なくとも一方で構成されており、
前記制御装置は、
前記流量調整弁および前記クラッチ装置のうちの少なくとも一方の作動を制御することによって前記圧縮膨張機関の作動を開始させて前記車軸に前記制動トルクを付与することを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 請求項5に記載した電気自動車用制動トルク発生装置において、
前記機関作動機構は、
前記クラッチ装置を備えており、
前記制御装置は、
前記クラッチ装置の作動を制御することによって前記圧縮膨張機関の作動を開始させて前記車軸に前記制動トルクを付与することを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 請求項5または請求項6に記載した電気自動車用制動トルク発生装置において、
前記機関作動機構は、
前記流量調整弁を備えており、
前記制御装置は、
前記流量調整弁の作動を制御することによって前記空気室の容積を減少させる際に前記流路を閉じて前記空気を圧縮するとともに前記空気室の容積を増加させる際に前記流路を開いて前記圧縮した空気を前記空気室から逃がすことを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 請求項5または請求項6に記載した電気自動車用制動トルク発生装置において、
前記機関作動機構は、
前記流量調整弁を備えており、
前記制御装置は、
前記流量調整弁の作動を制御することによって前記空気室の容積を減少させる際に前記流路を開いて前記空気室内の前記空気を同空気室から逃がすとともに前記空気室の容積を増加させる際に前記流路を閉じて前記空気室に残った前記空気を膨張させることを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載した電気自動車用制動トルク発生装置において、
前記圧縮膨張機関は、
ピストンクランク機構で構成されていることを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載した電気自動車用制動トルク発生装置において、
前記圧縮膨張機関は、
3つの角部を有した略三角形状に形成されるとともにこの略三角形状体の中心部に形成された貫通孔の内周面に内歯が形成されたロータと、
前記ロータの内歯に噛み合う外歯を有して回転駆動する軸状のエキセントリックシャフトと、
吸気口および排気口を有するとともに前記3つの角部を摺動させつつ前記ロータ全体を回転自在に収容するハウジングとを備えたロータリ機構で構成されていることを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載した電気自動車用制動トルク発生装置において、さらに、
前記圧縮膨張機関の前記空気室に対する吸気および排気のうちの少なくとも一方の流路に消音器を備えることを特徴とする電気自動車用制動トルク発生装置。 - 車輪に連結された車軸と、
前記車軸を回転駆動させる電動モータと、
前記車輪を制動するブレーキ装置と、
請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載した電気自動車用制動トルク発生装置とを備えることを特徴とする電気自動車。
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