以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
図1に示すように、本実施形態に係るキャブの上部構造は、キャブ10のルーフパネル11を上方へ膨出させてキャブ10の内部スペース(車室2)を上方へ拡大したハイルーフ型のトラック(車両)1に適用される。キャブ10は、キャブ本体12と、キャブ本体12の上方に配置されてキャブ10の車室2を上方へ拡大させるルーフパネル11とを備える。
ルーフパネル11は、板体によって下方へ開口する箱体状に形成されて車室2を上方から覆うルーフ本体13と、ルーフ本体13の内面(車室2側の面)に固定されてルーフ本体13を補強するルーフレインフォース14と、ルーフ本体13の下端縁部に固定される枠状の保護部材15(図2参照)とを有し、キャブ10の上部に配置されて車室2を上方へ拡大させる。ルーフ本体13は、ルーフ前板部(図示省略)と、ルーフ後板部16と、左右1対のルーフ側板部17(図1には、左側のルーフ側板部17が図示されている。)と、ルーフ上板部18とを有する。左右のルーフ側板部17は、上方から車幅方向外側の下方へ向かって、鉛直方向に対して僅かに傾斜して延びている。ルーフ後板部16は、上方から下方へ向かって略鉛直方向に沿って延びている。枠状の保護部材15は、ルーフ前板部、ルーフ後板部16、及び左右1対のルーフ側板部17の下端縁部に固定される枠状体であって、ルーフ本体13の下端縁部を保護する。なお、枠状の保護部材15のうちの前後で車幅方向に延びる部分、及び左右で前後方向に延びる部分のそれぞれは、略同じ構造を有するため、以下では、枠状の保護部材15の左側で前後方向(所定方向)に延びる部分について説明し、他の部分の説明を省略する。
図2に示すように、枠状の保護部材15のうちの左側で前後方向に延びる部分(以下、単に保護部材15という。)は、前後方向に沿って延びて起立する固定部15aと、上下方向と交叉した状態で前後方向に沿って延びる被支持部(ルーフ側被支持部)15bとを一体的に有する断面略L字状に形成される。固定部15aは、左側のルーフ側板部17(以下、単にルーフ側板部17という。)の下端縁部に沿って延びてルーフ側板部17の下端縁部に固定される。被支持部15bは、固定部15aの下端縁部から車幅方向内側(車室2側)へ向かって突出する。被支持部15bは、前後方向に長尺の板状体であって、その下面20の車幅方向の中央部には、下面20から上方へ凹んだ状態で前後方向に延びる溝状の凹部21が形成される。凹部21の内側には、ルーフパネル11をキャブ本体12に接着する接着剤19を収容するための接着剤収容空間22が区画される。
図1に示すように、キャブ本体12は、フロアパネル27と、フロントパネル23と、バックパネル24と、左右1対のサイドパネル(キャブパネル)25とを有する。フロアパネル27、フロントパネル23、バックパネル24、及び左右のサイドパネル25は、互いに溶接等によって接合された状態で上方へ開口するキャブ本体12を形成する。フロントパネル23、バックパネル24、及び左右のサイドパネル25の上端縁部には、ルーフパネル11の下端の枠状の保護部材15の被支持部15bが接着されて固定される。なお、本開示におけるキャブ本体とは、車両1のキャブ10からルーフパネル11を除いたものをいう。
本実施形態に係るキャブの上部構造は、キャブ10の車幅方向両側の上部に適用され、キャブ10の左右で略同じ構造を有するため、以下では、左側について説明し、右側の説明を省略する。
図2及び図3に示すように、左側のサイドパネル25(以下、単にサイドパネル25という。)は、車幅方向外側のアウタパネル26と、アウタパネル26から車幅方向内側に離間する車室2側のインナパネル28と、アウタパネル26とインナパネル28との間に配置されるレインフォース29と、レインフォース29を補強するガセット(規制部材)30とを有し、キャブ10の車幅方向の左側の端部で前後方向に沿って起立する。サイドパネル25には、車室2を車幅方向に開放するドア開口3が形成され、ドア開口3の前方には、ドア開口3を開閉可能に閉止するドア(図示省略)が取り付けられる。アウタパネル26とインナパネル28とは、ドア開口3を有し、端縁部同士が互いに接合されて閉断面を形成し、内側にサイドパネル25の内部空間31を区画する。
アウタパネル26は、キャブ10の車幅方向外端部で車幅方向と交叉してキャブ10の外部に露出するアウタ外板部32と、アウタ外板部32の上端縁から曲折して車幅方向内側へ延びるアウタ上板部(キャブ側支持板部)33と、アウタ上板部33の車幅方向内端縁から曲折して上方へ起立する上フランジ部34とを有する。アウタ外板部32は、ルーフ本体13のルーフ側板部17よりも僅かに車幅方向の左側(キャブ10の外部側)に配置される。上フランジ部34は、インナパネル28の後述する上フランジ部35及びレインフォース29の後述する上フランジ部36と車幅方向に重なった状態で接合される。
アウタ上板部33は、サイドパネル25の上端部で上下方向と交叉して略水平の状態で前後方向に長尺に延び、アウタ上板部33の上面側にルーフパネル11の保護部材15の被支持部15bを接着した状態で、保護部材15の被支持部15bを下方から支持する。アウタ上板部33は、その車幅方向中央部に段差部37を有する。アウタ上板部33の段差部37から車幅方向内側へ延びる領域38(以下、内側領域38という。)は、段差部37から車幅方向外側へ延びる領域39(以下、外側領域39という。)よりも僅かに上方に配置される。アウタ上板部33の内側領域38の上方には、ルーフパネル11の保護部材15の被支持部15bのうち凹部21よりも車幅方向内側の領域が載置され、アウタ上板部33の外側領域39の上方には、保護部材15の被支持部15bのうち凹部21よりも車幅方向外側の領域が載置される。
アウタ上板部33の外側領域39には、アウタ上板部33の下面40から上方へ凹んだ状態で前後方向に延びる溝状の係合凹部(係合部)41が形成される。アウタ上板部33の係合凹部41の幅(車幅方向の長さ)は、ルーフパネル11の保護部材15の被支持部15bの凹部21の幅よりも狭く、且つ後述するガセット30の係止突部57の挿入を許容する幅である。また、係合凹部41の前後方向の長さは、後述するガセット30の係止突部57の挿入を許容する長さである。アウタ上板部33の係合凹部41は、アウタ上板部33のうち、ルーフパネル11の保護部材15の被支持部15bの凹部21の接着剤収容空間22に面する位置に配置され、アウタ上板部33の上面から上方の接着剤収容空間22へ突出している。アウタ上板部33の係合凹部41は、下方へ開口し、その内部に車幅方向外側(本実施形態では、車幅方向外側の下方)へ向く内部外側面(規制外面)42を有する。アウタ上板部33の上面のうち段差部37と係合凹部41(アウタ上板部33の上面側では凸部を形成している。)との間には、接着剤19を塗布可能な領域が区画される。
インナパネル28は、アウタパネル26の上フランジ部34及びレインフォース29の後述する上フランジ部36と車幅方向に重なった状態で接合される上フランジ部35と、上フランジ部35の下端縁から下方へ延びるレール部43とを有する。レール部43は、車幅方向内側へ突出した状態で前後方向に延び、サイドパネル25の上端部を補強する。なお、インナパネル28は、レール部43からさらに下方へサイドパネル25の下端部まで延びている。
レインフォース29は、サイドパネル25の内部空間31に配置されてインナパネル28に対して固定され、ドア開口3の後方近傍でサイドパネル25の上下に亘って延びるピラーを構成し、ドア開口3を補強する。レインフォース29は、板体によって構成され、インナパネル28に対して固定された状態で、インナパネル28との間に閉断面を区画形成する。レインフォース29は、車幅方向外側へ突出した状態で上下方向に延びるピラー部46と、ピラー部46の上端縁から曲折して上方へ延びる上フランジ部36と、ピラー部46の前端縁から曲折して前方へ延びる前フランジ部44と、ピラー部46の後端縁から曲折して後方へ延びる後フランジ部45とを有する。上フランジ部36は、車幅方向と交叉した状態で起立して前後方向に長尺に延び、アウタパネル26の上フランジ部34とインナパネル28の上フランジ部35とに挟まれた状態で、上フランジ部34,35に対して接合される。前フランジ部44は、車幅方向と交叉した状態で上下方向に長尺に延び、アウタパネル26の前端縁部及びインナパネル28の前端縁部に挟まれた状態で、アウタパネル26の前端縁部及びインナパネル28の前端縁部に接合される。後フランジ部45は、車幅方向と交叉した状態で上下方向に長尺に延び、インナパネル28の車幅方向外側面に接合される。
レインフォース29のピラー部46は、上下方向と交叉する傾斜上板部47と、車幅方向と交叉する傾斜側板部48と、前後方向と交叉する前板部50及び後板部51とを有する。傾斜上板部47は、上フランジ部36の下端縁から曲折して車幅方向外側へ向かって下方へ僅かに傾斜した状態で延び、アウタ上板部33の内側領域38から下方へ離間した位置に配置される。傾斜上板部47の車幅方向外端縁49は、アウタ上板部33の段差部37から下方へ離間した位置に配置される。傾斜側板部48は、傾斜上板部47の車幅方向外端縁49から曲折して下方へ向かって車幅方向外側へ僅かに傾斜した状態で延びる。前板部50は、前フランジ部44の後端縁と、前フランジ部44の後端縁よりも車幅方向外側の後方の傾斜側板部48の前端縁との間で、上下方向と交叉する断面が階段状となるように延びる。前板部50の上端縁は、傾斜上板部47の前端縁に連続する。後板部51は、傾斜側板部48の後端縁と、傾斜側板部48の後端縁よりも車幅方向内側の後方の後フランジ部45の前端縁との間で、上下方向と交叉する断面が略直線状になるように延びる。後板部51の上端縁は、傾斜上板部47の後端縁に連続する。
図2〜図4に示すように、ガセット30は、板体を曲折して形成され、車幅方向外側へ突出した状態で上下方向に延びる断面略コ字状のガセット本体部52と、ガセット本体部52から前方へ延びる階段状の固定前板部53とを一体的に有する。
ガセット30の固定前板部53は、レインフォース29の前板部50に沿って前方から車幅方向外側の後方へ向かって階段状に延び、上下方向に長尺に形成され、レインフォース29の前板部50に対して車幅方向外側から面接触した状態で接合される。
ガセット30のガセット本体部52は、ガセット前板部54と、ガセット側板部55と、ガセット後板部56と、係止突部57とを一体的に有し、レインフォース29との間に閉断面を区画形成する。ガセット前板部54は、前後方向と交叉した状態で固定前板部53の後端縁から車幅方向外側へ延びる。ガセット前板部54の車幅方向外端縁は、レインフォース29の傾斜側板部48よりも車幅方向外側、且つアウタパネル26よりも車幅方向内側に配置される。ガセット側板部55は、ガセット前板部54の車幅方向外端縁から後方へ延び、レインフォース29の傾斜側板部48から車幅方向外側へ離間した位置で傾斜側板部48に対向する。前後方向におけるガセット側板部55の後端縁の位置は、レインフォース29の傾斜側板部48の後端縁と略同じ位置である。ガセット側板部55の下部には、上方から車幅方向内側の下方へ曲折してレインフォース29の傾斜側板部48の車幅方向外側面まで延びる段差部62が設けられる。段差部62よりも下方のガセット側板部55の下端部は、段差部62の車幅方向内端縁から下方へ曲折してレインフォース29の傾斜側板部48の車幅方向外側面に面接触した状態で接合される。ガセット側板部55の上端縁は、アウタパネル26のアウタ上板部33の係合凹部41から下方へ離間した位置に配置される。ガセット後板部56は、前後方向と交叉した状態でガセット側板部55の後端縁から車幅方向内側へ延び、ガセット後板部56の車幅方向内端部がレインフォース29の後板部51の車幅方向外端部に後方から面接触した状態で接合される。ガセット前板部54、ガセット側板部55、及びガセット後板部56がレインフォース29の傾斜側板部48との間に区画する空間59は、上方へ開放される。ガセット本体部52のうち、ガセット前板部54、ガセット側板部55、及びガセット後板部56の上端面(規制上面)58(以下、ガセット本体上端面58という。)は、互いに同一平面上に配置される。ガセット本体上端面58は、レインフォース29のピラー部46の傾斜上板部47よりも上方、且つアウタパネル26のアウタ上板部33の下面40よりも下方に僅かに離間した位置で略水平に配置され、アウタ上板部33の下面40に近接する。
ガセット30の係止突部57は、ガセット側板部55の前後方向の略中央部の上端から連続して上方へ延びる板体であって、ガセット後板部56のガセット本体上端面58から上方へ突出する。係止突部57は、アウタパネル26のアウタ上板部33の係合凹部41から下方へ離間した位置に配置される。係止突部57は、アウタ上板部33が下方へ変形するなどして、少なくともアウタ上板部33の下面40がガセット30のガセット本体上端面58に当接(接触)した状態で、アウタ上板部33の係合凹部41内に下方から挿入される(係合する)。係止突部57がアウタ上板部33の係合凹部41内に挿入された状態では、係止突部57の車幅方向内側面(規制内面)60は、係合凹部41の内部外側面42の車幅方向外側の近傍で車室2側へ向き、係合凹部41の内部外側面42と対向して近接する。
上記のように構成されたキャブ10の上部構造では、ルーフパネル11の上方からルーフパネル11に荷重が入力すると、ルーフパネル11の保護部材15の被支持部15bからアウタパネル26のアウタ上板部33に荷重が入力する。アウタ上板部33の下方近傍には、ガセット30のガセット本体上端面58が配置されるので、ルーフパネル11側からアウタ上板部33に荷重が入力して、アウタ上板部33が僅かに変形して下方へ移動する際には、アウタ上板部33の下面40がガセット30のガセット本体上端面58に早期に当接する。ガセット30はレインフォース29に固定されるので、ルーフパネル11に対して上方から荷重が入力して、ルーフパネル11の保護部材15の被支持部15bからアウタパネル26のアウタ上板部33へ荷重が入力した際に、荷重は、アウタ上板部33からガセット30へ、ガセット30からレインフォース29へ伝達される。このため、上方のルーフパネル11側からの荷重を、早期にレインフォース29へ伝達することができる。レインフォース29は上下方向に延びるので、アウタ上板部33からガセット30へ入力した上方からの荷重をキャブ10の下方へ効率よく伝達することができる。
また、レインフォース29は、インナパネル28との間に上下方向に延びる閉断面を区画形成するので、インナパネル28に固定されたレインフォース29は、上下方向に延びる柱状(ピラー)となる。このため、ルーフパネル11に対して上方から荷重が入力した際に、アウタ上板部33からガセット30へ入力した上方からの荷重を、さらに効率よくキャブ10の下方へ伝達することができる。
また、ルーフパネル11に対して上方から荷重が入力した際に、アウタパネル26のアウタ上板部33をガセット30によって下方から早期に支持し、下方へのアウタ上板部33の移動を早期に規制することができるので、下方へのアウタ上板部33の変形(サイドパネル25の変形)を抑制することができる。
また、ルーフパネル11の被支持部15bの車幅方向外端部は、アウタ上板部33の外側領域39の上方に配置されるので、ルーフパネル11に対して上方から荷重が入力した際に、ルーフ側板部17からの荷重は、保護部材15の固定部15aを介して被支持部15bの車幅方向外端部に入力し、被支持部15bの車幅方向外端部からアウタ上板部33の外側領域39に大きく入力する。このため、アウタ上板部33の下面40がガセット30のガセット本体上端面58に当接する際に、アウタ上板部33が僅かに車幅方向外側の下方へ傾斜する場合がある。この場合であっても、アウタ上板部33の下面40がガセット30のガセット本体上端面58に当接した際には、ガセット30の係止突部57がアウタ上板部33の係合凹部41内に挿入され、係止突部57の車幅方向内側面60が係合凹部41の内部外側面42の近傍で係合凹部41の内部外側面42と対向するので、アウタ上板部33に対して車幅方向外側へ向かう荷重が入力してアウタ上板部33が車幅方向外側へ移動する際に、係合凹部41の内部外側面42を係止突部57の車幅方向内側面60に早期に当接(接触)させることができる。このように、ルーフパネル11に上方からの荷重が入力した際に、車幅方向外側へのアウタ上板部33の移動をガセット30の係止突部57によって早期に規制することができるので、車幅方向外側へのアウタパネル26の変形(サイドパネル25の変形)を抑制することができる。
従って、車両1のルーフパネル11に対して上方から荷重が入力した際に、キャブ10の下方へ効率的に荷重を伝達することができ、サイドパネル25の変形を抑制することができる。
また、ルーフパネル11の保護部材15の被支持部15bの下面20には、接着剤を収容可能な凹部21が形成され、被支持部15bの凹部21の下方にアウタ上板部33の係合凹部41が配置される。このため、アウタ上板部33の係合凹部41の反対側(アウタ上板部33の上面側)に突出する凸部を被支持部15bの凹部21内に配置することができる。このように、アウタ上板部33の係合凹部41の反対側の上記凸部を被支持部15bの凹部21内に突出させることができるので、ルーフパネル11の保護部材15の被支持部15bがアウタ上板部33に対して車幅方向外側へ移動しようとした際に、被支持部15bの凹部21の内面(車幅方向外側を向く面)を、アウタ上板部33の係合凹部41の反対側の上記凸部に当接させることができる。このため、アウタ上板部33に対する車幅方向外側へのルーフパネル11の被支持部15bの移動を、被支持部15bの凹部21の内面とアウタ上板部33の係合凹部41の反対側の上記凸部とが当接する位置までに抑えることができる。
また、被支持部15bの接着剤を収容するための接着剤収容空間22(被支持部15bの凹部21)を、アウタ上板部33の係合凹部41の反対側の上記凸部をアウタ上板部33の上方へ突出させる空間として利用している。このため、アウタ上板部33の係合凹部41の反対側の上記凸部をアウタ上板部33の上方へ突出させる空間として、被支持部15bに対して凹部21の接着剤収容空間22とは異なる他の空間を設けなくてもよいので、その分だけ簡易な構造とすることができる。
なお、本実施形態では、ルーフ本体13と保護部材15とを別体で形成し、ルーフ本体13と保護部材15とを互いに接着剤で固定することによって、保護部材15をルーフ本体13に一体的に設けたが、ルーフ本体13と保護部材15とを一体形成することによって、保護部材15をルーフ本体13に一体的に設けてもよい。
また、本実施形態では、ガセット30のガセット本体上端面58を、アウタパネル26が変形していない状態(以下、通常状態という。)で、アウタパネル26のアウタ上板部33の下面40に近接させたが、ガセット本体上端面58を通常状態でアウタ上板部33の下面40に接触させてもよい。また、本実施形態では、少なくともアウタパネル26のアウタ上板部33の下面40とガセット本体上端面58とが接触した状態で、ガセット30の係止突部57の車幅方向内側面60を、アウタ上板部33の係合凹部41の内部外側面42に近接させたが、係止突部57の車幅方向内側面60を係合凹部41の内部外側面42に接触させてもよい。
また、本実施形態では、アウタパネル26のアウタ上板部33およびガセット30のガセット本体上端面58を略水平に配置したが、これに限定されるものではなく、アウタ上板部33およびガセット本体上端面58を水平方向に対して傾斜させてもよい。
また、本実施形態では、アウタパネル26にアウタ上板部33を設け、アウタ上板部33を、ルーフパネル11の被支持部(ルーフ側被支持部)15bを下方から支持するサイドパネル25の上端部のキャブ側支持板部として機能させたが、キャブ側支持板部はこれに限定されるものではない。例えば、キャブパネル(本実施形態では、サイドパネル25)の上端部で上下方向と交叉するキャブ側支持板部を、インナパネル28に設けてもよい。
また、本実施形態では、断面略コ字状のガセット本体部52とガセット本体部52から前方へ延びる階段状の固定前板部53とを一体的に有するガセット30を設けたが、ガセット30の形状はこれに限定されるものではなく、様々な形状のガセット30を設けることができる。
また、本実施形態では、インナパネル28との間に閉断面を区画形成するレインフォース29を設けたが、このレインフォース29に代えて、アウタパネル26との間に閉断面を区画形成するレインフォースを設けてもよい。また、本実施形態では、レインフォース29が、サイドパネル25の上下に亘って延びるピラーを構成したが、キャブパネル(本実施形態では、サイドパネル25)を補強するレインフォース29であればよく、サイドパネル25の上下に亘って延びるピラーを構成しなくてもよい。
また、本実施形態では、レインフォース29の上フランジ部36及び前フランジ部44を、インナパネル28及びアウタパネル26の双方に対して固定したが、レインフォース29は、インナパネル28またはアウタパネル26のいずれか一方のパネルのみに対して固定されていてもよい。
また、本実施形態では、ルーフパネル11の保護部材15の被支持部(ルーフ側被支持部)15bに、上方へ凹んだ状態で前後方向に延びる溝状の凹部21を設けたが、凹部21を設けなくてもよい。
また、本実施形態では、ガセット30の係止突部57を、通常状態でアウタパネル26のアウタ上板部33の係合凹部41から下方へ離間した位置に配置し、アウタ上板部33が下方へ変形するなどしてアウタ上板部33の下面40がガセット30のガセット本体上端面58に当接(接触)した際に、アウタ上板部33の係合凹部41内に挿入させたが、これに限定されるものではない。ガセット30の係止突部57は、少なくともアウタ上板部33の下面40がガセット30のガセット本体上端面58に当接(接触)した際にアウタ上板部33の係合凹部41内に挿入されていればよく、例えば、通常状態でガセット30の係止突部57がアウタ上板部33の係合凹部41内に挿入されていてもよい。
また、本実施形態では、ガセット30の係止突部57と係合可能な係合部として、アウタパネル26のアウタ上板部(キャブ側支持板部)33に溝状の凹部(係合部)41を設けたが、係合部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、溝状の凹部41に代えて、アウタ上板部(キャブ側支持板部)33を上下方向に貫通する貫通孔(係合部)71を設けてもよい。この場合、ルーフパネル11に対して上方から荷重が入力して、アウタパネル26のアウタ上板部33の下面40がガセット30のガセット本体上端面58に当接した際に、貫通孔71内にガセット30の係止突部57が挿入(係合)される。貫通孔71内にガセット30の係止突部57が挿入された状態で、ガセット30の係止突部57は、ルーフパネル11の保護部材15の被支持部15bの凹部21内に突出する。貫通孔71の内周面のうち車幅方向外側を向く領域(規制外面)72は、貫通孔71内にガセット30の係止突部57が挿入された状態で、係止突部57の車幅方向内側面(規制内面)60の近傍で係止突部57の車幅方向内側面60に対向する。
また、本実施形態では、ガセット(規制部材)30に係止突部57を設け、アウタ上板部(キャブ側支持板部)33に溝状の凹部(係合部)41を設けたが、規制部材に係合部を設け、キャブ側支持板部に係止突部を設けてもよい。例えば、図6に示すように、アウタ上板部(キャブ側支持板部)33に係止突部75を設け、且つレインフォース29との間に上方へ開放される空間(係合部)76を区画する断面略コ字状のガセット(規制部材)77を固定してもよい。なお、ガセット77は、上述したガセット30から係止突部57を除いたものである。この場合、ルーフパネル11に対して上方から荷重が入力して、アウタパネル26のアウタ上板部33の下面40がガセット77の上端面(規制上面)78に当接した際に、アウタ上板部33の係止突部75が、ガセット77内の空間76に挿入(係合)される。ガセット77内の空間76にアウタ上板部33の係止突部75が挿入された状態で、アウタ上板部33の係止突部75の車幅方向外側面(規制外面)79は、ガセット77の車幅方向外側の側板部80の車幅方向内側面(規制内面)81の近傍で側板部80の車幅方向内側面81に対向する。
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、本開示に係るキャブの上部構造を、キャブ10の車幅方向両側の上部(左右のサイドパネル25の上部)に適用したが、キャブ10の後面部の上部(バックパネル24の上部)に適用してもよい。
また、上記実施形態では、レインフォース29を補強するガセット30,77を規制部材として機能させたが、規制部材はこれに限定されるものではなく、キャブ側支持板部(上記実施形態では、アウタ上板部33)の移動を規制するための規制部材であればよい。
また、上記実施形態では、本開示に係る車両のキャブの上部構造を、ハイルーフ型のトラック1のキャブ10に適用したが、これに限定されるものではなく、トレーラを牽引するハイルーフ型のトラクタ等のキャブや、ハイルーフではない通常のルーフ高の車両のキャブ等の上部構造に適用してもよい。或いは、乗用車のキャビン(キャブ)の上部構造に適用してもよい。