JP2019093435A - 金型形状決定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなスプリングバックを抑制してプレス成形する技術として、例えば非特許文献1には、ハット形断面形状を有するメンバー類(自動車部品)の寸法精度を得るために、成形工程に加えてリストライク工程を取り入れ、該リストライク工程で成形する曲げ部の曲げ半径を成形工程で成形する曲げ部の曲げ半径よりも小さくすることで、成形工程で成形された曲げ部の一部をリストライク工程でウェブ、フランジに曲げ戻し、前記曲げ部を内向きに閉じる角度変化(スプリングゴー要素)を発生させることにより、前記曲げ部の角度変化の改善を図り、スプリングバックを抑制する方法が開示されている。
しかしながら、非特許文献1に開示されている方法は、成形工程に加えてリストライク工程を必要とし、1度のプレス成形では寸法精度を満たす成形部材を成形することができないため、生産性低下の問題がある。また、特許文献1に開示される方法は、最終製品形状に制約があるため、製品仕様上、繋ぎ部形状に設計変更が認められない場合には適用できない上、引張強度が1180MPaを越えるような高張力鋼板を用いた場合では、プレス機の能力によってはプレス荷重が不足し、前記繋ぎ部に付与する直線部を十分に直線状に成形できないという課題があった。
(a)成形下死点における第1屈曲部の曲率半径R1
(b)成形下死点における第2屈曲部の曲率半径R2
(c)成形下死点における第1屈曲部の曲げ角度α1
(d)成形下死点における第2屈曲部の曲げ角度α2
また、対象となる形状には、以下の(i)および(ii)が挙げられる。
(i)第2片部に第2屈曲部がある場合
(ii)第1片部に第2屈曲部がある場合
なお、第1屈曲部を目標形状あるいは製品形状とする必要がある場合は、上記(a)、(c)を求めることになるため、上記(b)、(d)について(i)と(ii)の場合を変更因子として扱うことになる。
本願では、上述の(a)、(b)について検討した。
なお、本発明は、断面が略L字形状の片部に、スプリングバックの抑制に伴う塑性曲げが残る場合も含む。
(S1)前記金属素板の板厚および応力ひずみ関係から、該金属素板を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部の曲率半径Rと、成形下死点における前記屈曲部の曲げ角度αと離型後における前記屈曲部の曲げ角度βとの角度比β/αと、の関係を取得する。
(S3)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2および曲げ角度α2を与える。
(S5)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2および曲げ角度α2により、離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2を求める。
(S7)成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2および離型後における曲げ角度β2と、成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1とを用いて、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1(=α1−β1)と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2(=α2−β2)とが等しくなって相殺されるように、離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1を算出する。
(S9)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1と離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1との角度比β1/α1により、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1を求める。
(S1)前記金属素板の板厚および応力ひずみ関係から、該金属素板を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部の曲率半径Rと、成形下死点における前記屈曲部の曲げ角度αと離型後における前記屈曲部の曲げ角度βとの角度比β/αと、の関係を取得する。
(S3)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2および曲げ角度α2を与える。
(S5)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2および曲げ角度α2により、離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2を求める。
(S7)成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2および離型後における曲げ角度β2と、成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1とを用いて、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1(=α1−β1)と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2(=α2−β2)とが等しくなって相殺されるように、離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1を算出する。
(S9)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1と離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1との角度比β1/α1により、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1を求める。
(S1)前記金属素板の板厚および応力ひずみ関係から、該金属素板を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部の曲率半径Rと、成形下死点における前記屈曲部の曲げ角度αと離型後における前記屈曲部の曲げ角度βとの角度比β/αと、の関係を取得する。
(S13)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1および曲げ角度α1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2を与える。
(S15)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1および曲げ角度α1により、離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1を求める。
(S17)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1および離型後における曲げ角度β1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2とを用いて、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1(=α1−β1)と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2(=α2−β2)とが等しくなって相殺されるように、離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2を算出する。
(S19)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2と離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2との角度比β2/α2により、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2を求める。
(S1)前記金属素板の板厚および応力ひずみ関係から、該金属素板を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部の曲率半径Rと、成形下死点における前記屈曲部の曲げ角度αと離型後における前記屈曲部の曲げ角度βとの角度比β/αと、の関係を取得する。
(S13)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1および曲げ角度α1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2を与える。
(S15)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1および曲げ角度α1により、離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1を求める。
(S17)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1および離型後における曲げ角度β1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2とを用いて、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1(=α1−β1)と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2(=α2−β2)とが等しくなって相殺されるように、離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2を算出する。
(S19)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2と離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2との角度比β2/α2により、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2を求める。
ここで、屈曲部47の曲げ角度や、第1屈曲部7および第2屈曲部9の曲げ角度とは、それぞれの屈曲した部位の円弧の中心角に相当するものである。
また、成形部材41の第1片部43と第2片部45のなす角度θ0が成形部材41の長手方向に沿って一定である場合、成形部材1の成形下死点における形状としては、第1屈曲部7と第2屈曲部9それぞれの曲率および曲げ角度を長手方向に沿って一定に設定すればよい。
以下、特に断りがない場合は、成形下死点において図2に示す形状の成形部材1を成形する金型の形状を決定する場合について、本実施の形態に係る金型形状決定方法を説明する。
断面形状設定工程P1は、成形部材1について前記山形状の稜線Lに沿う複数の位置に稜線Lに交差する断面を設定し、該設定した断面毎に成形部材1の成形下死点における断面形状を設定する工程であり、図4(a)においては、成形部材1について前記山形状の稜線Lに沿う複数の位置に稜線Lに直交する複数の断面Ca、Cb、Ccが設定され、図4(b)に示すように、設定した断面Ca、Cb、Cc毎に成形部材1の成形下死点における断面形状Sa、Sb、Scが設定されている。
第1屈曲部7a、7bおよび7cは、第1片部3から連続し、成形部材1の前記略L字形状の屈曲と曲率が等しく該屈曲よりも曲げ角度が大きくなるように設定されている。一方、第2屈曲部9a、9bおよび9cは、第1屈曲部7a、7bおよび7cからそれぞれ連続し、第1屈曲部7a、7bおよび7cと反対方向に屈曲して第2片部5に連続するように設定されている。
成形下死点形状決定工程P3は、図5(b)に示すように、断面形状設定工程P1で設定した複数の断面形状Sa、SbおよびScを稜線Lに沿って補間し、成形部材1の成形下死点における形状を決定する工程である。
また、成形部材1の成形下死点における形状を決定するにあたり、長手方向に沿った稜線Lの両端位置を予め設定して、断面形状Sa、SbおよびScを補間してもよい。
金型形状決定工程P5は、成形下死点形状決定工程P3で決定した成形部材1の成形下死点における形状(図5(b))に基づいて、金型の形状を決定する工程である。
金型の形状は、例えば金属素板の板厚や金型とのクリアランスを考慮して決定することができる。
ここで、第1屈曲部7aは目標角度と同じ方向に屈曲しているため、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1から離型後における曲げ角度β1への変化は、第1片部3と第2片部5のなす角度θ0を増加させるスプリングバック成分となる。これに対し、第2屈曲部9aは第1屈曲部7aと反対方向に屈曲しているため、成形下死点における第2屈曲部9の曲げ角度α2から離型後における曲げ角度β2への変化は、第1片部3と第2片部5のなす角度θ0を減少させるスプリングゴー成分となる。
断面形状設定工程P1において、図2と図5を参照し、断面形状Saに第1屈曲部7aと第2屈曲部9aを設定するにあたり、成形下死点における第1屈曲部7aの曲率半径R1は、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1と、成形下死点における第2屈曲部9aの曲率半径R2と曲げ角度α2を与えることによって、図6に示すステップS1からステップS9の手順に従って求めることができる。以下、金属素板として鋼板強度980MPa級の鋼板を用いて図2に示す成形部材1を成形するに際し、第1片部3と第2片部5とのなす角度θ0を目標角度θa=120°に成形する場合を例として、ステップS1からステップS9の各ステップを説明する。
ステップS1においては、金属素板の板厚および応力ひずみ関係を用いて、図7に示すように、ダイ23とパンチ25を備えた金型21により金属素板31を屈曲させて成形し、成形下死点における屈曲部33の曲率半径Rと、成形下死点における屈曲部33の曲げ角度αと離型後における曲げ角度βの角度比β/αとの関係を取得する。
図8は、公知の参考文献(塑性加工学会編:「曲げ加工」、コロナ社(1995年)、p.23)に基づいて理論計算により取得した例であり、当該理論計算において、屈曲部33の角度比β/αは、参考文献中の式(1.46)を変形した以下の式(1)により算出される。
さらに、上述の有限要素解析によらず、実際の実験において、屈曲部33の曲率半径Rと成形下死点(金型形状)の曲げ角度αを変更し、離型後の曲げ角度βを求めて、屈曲部33の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を取得してもよい。
ステップS3においては、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1と、成形下死点における第2屈曲部9aの曲率半径R2および曲げ角度α2を与える。
なお、成形下死点における第1片部3と第2片部5のなす角度θ0は、第1屈曲部7aの曲げ角度α1を保持したまま第1片部3を曲げ角度α2により回転させる幾何学的関係から、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1と成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度α2とは、θ0=π−α1+α2の関係になる。
ステップS5においては、前記(S1)で取得した屈曲部33の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における第2屈曲部9aの曲率半径R2および曲げ角度α2により、離型後における第2屈曲部9aの曲げ角度β2を求める。
本実施形態1では、離型後における第2屈曲部9aの曲げ角度β2は、成形下死点における第2屈曲部9aの曲率半径R2=60mm、成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度がα2=40°であるので、図7に示す曲率半径Rと角度比β/αとの関係から、離型後における第2屈曲部9aの曲げ角度β2=α2×0.45=18°となる。
スプリングバックによる角度の変化を防止するには、第1屈曲部7aの曲げ角度の変化Δγ1(=α1―β1)と第2屈曲部9aの曲げ角度の変化Δγ2(=α2―β2)とが相殺すればよく、すなわち等しくなればよい。そこで、ステップS7においては、成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度α2および離型後における第2屈曲部9aの曲げ角度β2と、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1とを用いて、第1屈曲部7aの曲げ角度の変化Δγ1(=α1―β1)と第2屈曲部9aの曲げ角度の変化Δγ2(=α2―β2)とが等しくなるように、第1屈曲部7aの離型後における曲げ角度β1を算出する。
ステップS9においては、前記(S1)で取得した屈曲部33の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1と離型後における第1屈曲部7aの曲げ角度β1との角度比β1/α1により、成形下死点における第1屈曲部7aの曲率半径R1を求める。
本実施形態1では、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1は100°であり離型後における曲げ角度β1は78°であるので、角度比β1/α1は、78/100=0.78であり、成形下死点における第1屈曲部7aの曲率半径R1は、図7の関係からR1=20mmと求まる。
断面形状設定工程P1において、断面形状Saに第1屈曲部7aと第2屈曲部9aを設定するにあたり、成形下死点における第2屈曲部9aの曲率半径R2は、成形下死点における第1屈曲部7aの曲率半径R1および曲げ角度α1と、成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度α2を与えることによって、図9に示すステップS1およびステップS13からステップS19の手順に従って求めることができる。以下、金属素板として鋼板強度980MPa級の鋼板を用いて図2に示す成形部材1を成形するに際し、第1片部3と第2片部5とのなす角度θ0を目標角度θa=105°に成形する場合を例として、ステップS1およびステップS13からステップS19の各ステップを説明する。
上述の実施形態1と同様に、ステップS1においては、金属素板の板厚および応力ひずみ関係を用いて、図7に示すように、ダイ23とパンチ25を備えた金属素板31を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部33の曲率半径Rと、成形下死点における屈曲部33の曲げ角度αと離型後における曲げ角度βの角度比β/αとの関係を取得する。
ステップS13においては、成形下死点における第1屈曲部7aの曲率半径R1および曲げ角度α2と、成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度α2を与える。
なお、成形下死点における第1片部3と第2片部5のなす角度θ0は、第1屈曲部7aの曲げ角度α1を保持したまま第1片部3を曲げ角度α2により回転させる幾何学的関係から、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1と成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度α2とは、θ0=π−α1+α2の関係になる。
ステップS15においては、前記(S1)で取得した屈曲部33の曲率半径Rと角度比β/αとの関係とを用いて、成形下死点における第1屈曲部7aの曲率半径R1および曲げ角度α1により、離型後における第1屈曲部7aの曲げ角度β1を求める。
本実施形態2では、離型後における第1屈曲部7aの曲げ角度β1は、成形下死点における第1屈曲部7aの曲率半径R1=15mm、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1=90°であるので、図8に示す曲率半径Rと角度比β/αとの関係から、離型後における第1屈曲部7aの曲げ角度β1=α1×0.84=75.6°となる。
スプリングバックによる角度の変化を防止するには、第1屈曲部7aの曲げ角度の変化Δγ1(=α1―β1)と第2屈曲部9aの曲げ角度の変化Δγ2(=α2―β2)とが相殺すればよく、すなわち等しくなればよい。そこで、ステップS17においては、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1および離型後における第1屈曲部7aの曲げ角度β1と、成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度α2とを用いて、第1屈曲部7aの曲げ角度の変化Δγ1(=α1―β1)と第2屈曲部9aの曲げ角度の変化Δγ2(=α2―β2)とが等しくなるように、第2屈曲部9aの離型後における曲げ角度β2を算出する。
本実施形態2では、第1屈曲部7aの曲げ角度の変化Δγ1(=α1―β1)は、Δγ1=90−75.6=14.4°であり、第2屈曲部9aの曲げ角度α2は15°であるので、Δγ1=Δγ2=14.4°=α2―β2=15−β2から、第2屈曲部9aの離型後における曲げ角度β2は、0.6°となる。
ステップS19においては、前記(S1)で取得した屈曲部33の曲率半径Rと角度比β/αの関係とを用いて、成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度α2と離型後における第2屈曲部9aの曲げ角度β2との角度比β2/α2により、成形下死点における第2屈曲部9aの曲率半径R2を求める。
本実施形態2では、成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度α2は15°であり離型後における曲げ角度β2は0.6°であるので、角度比β2/α2は、0.6/15=0.04であり、成形下死点における第2屈曲部9aの曲率半径R2は、図8よりR2=113mmと求まる。
そこで、各断面形状Sa、SbおよびScについて、成形下死点における第2屈曲部9を弾性変形領域で屈曲させた形状と設定することで、離型後に弾性回復させて第2屈曲部9の形状が残らないようにすることができて好ましい。
その結果、β1=α1+Δα1=α1+Δα2=α1+α2が成り立ち、しかも、離型後の第1屈曲部7の曲げ角度β1は、スプリングバックがない状態、すなわち目標角度θaにする必要があることから、β1=θa=α1+α2となる。
以上から、この条件『θa=α1+α2』と、β2/α2が弾性域となる第2屈曲部9の曲率半径R2が成り立てば、弾性変形を加えることでスプリングバックを防止できることになる。
すなわち、従来の金型を用いて図10に示すような屈曲部47を介して第1片部43と第2片部45が接続し断面が略L字形状となる成形部材41を成形するに際し、第1片部43と第2片部45とのなす角度θ0を目標角度90°で成形しようとする場合、スプリングバックを見込んで第1片部43と第2片部45とのなす角度θ0を設定すると成形下死点における角度θ0は90°未満の負角となり、成形後に成形部材を金型(パンチ)から抜き取ることが困難となった。
もっとも、長手方向に沿って湾曲する湾曲部を有する成形部材を対象とする場合、断面形状設定工程P1で設定する複数の断面形状は、少なくとも前記湾曲部に断面形状を1つ設定することが好ましく、前記湾曲部における湾曲の曲率に合わせて設定する断面形状の数を適宜調整することで、成形部材のスプリングバックを防止することができる金型の形状を精度良く決定することができる。
3 第1片部
5 第2片部
7 第1屈曲部
7a、7b、7c 各断面形状における第1屈曲部
9 第2屈曲部
9a、9b、9c 各断面形状における第2屈曲部
11 成形部材
13 第1片部
15 第2片部
17 第1屈曲部
19 第2屈曲部
21 金型
23 ダイ
25 パンチ
31 金属素板
33 屈曲部
41 成形部材
43 第1片部
45 第2片部
47 屈曲部
Ca、Cb、Cc 断面
L 稜線
Sa、Sb、Sc 断面形状
(S1)前記金属素板の板厚および応力ひずみ関係から、該金属素板を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部の曲率半径Rと、成形下死点における前記屈曲部の曲げ角度αと離型後における前記屈曲部の曲げ角度βとの角度比β/αと、の関係を取得する。
(S13)成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1および曲げ角度α1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2を与える。
(S15)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1および曲げ角度α1により、離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1を求める。
(S17)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1および離型後における曲げ角度β1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2とを用いて、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1(=α1−β1)と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2(=α2−β2)とが等しくなって相殺されるように、離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2を算出する。
(S19)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2と離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2との角度比β2/α2により、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2を求める。
(S1)前記金属素板の板厚および応力ひずみ関係から、該金属素板を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部の曲率半径Rと、成形下死点における前記屈曲部の曲げ角度αと離型後における前記屈曲部の曲げ角度βとの角度比β/αと、の関係を取得する。
(S13)成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1および曲げ角度α1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2を与える。
(S15)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1および曲げ角度α1により、離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1を求める。
(S17)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1および離型後における曲げ角度β1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2とを用いて、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1(=α1−β1)と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2(=α2−β2)とが等しくなって相殺されるように、離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2を算出する。
(S19)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2と離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2との角度比β2/α2により、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2を求める。
ステップS13においては、成形下死点における第1屈曲部7aの曲率半径R1および曲げ角度α1と、成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度α2を与える。
なお、成形下死点における第1片部3と第2片部5のなす角度θ0は、第1屈曲部7aの曲げ角度α1を保持したまま第1片部3を曲げ角度α2により回転させる幾何学的関係から、成形下死点における第1屈曲部7aの曲げ角度α1と成形下死点における第2屈曲部9aの曲げ角度α2とは、θ0=π−α1+α2の関係になる。
Claims (6)
- 金属素板を山形状に屈曲させて、第1片部と第2片部を有し断面が略L字形状となる成形部材を、前記第1片部と前記第2片部のなす角度を目標角度となるように成形する金型の形状を決定する金型形状決定方法であって、
前記成形部材について前記山形状の稜線に沿う複数の位置に該稜線に交差する断面を設定し、該設定した断面毎に前記成形部材の成形下死点における断面形状を設定する断面形状設定工程と、
該設定した複数の断面形状を前記稜線に沿って補間し、前記成形部材の成形下死点における形状を決定する成形下死点形状決定工程と、
該決定した前記成形部材の成形下死点における形状に基づいて、前記金型の形状を決定する金型形状決定工程と、を有し、
前記断面形状設定工程は、前記第1片部から連続し、前記略L字形状の屈曲と曲率が等しく該屈曲よりも曲げ角度が大きい第1屈曲部と、該第1屈曲部から連続し、該第1屈曲部と反対方向に屈曲して前記第2片部と接続する第2屈曲部とを前記各断面形状に設定し、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2とが相殺されるように、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1を以下のステップS1からステップS9の手順に従って求めることを特徴とする金型形状決定方法。
(S1)前記金属素板の板厚および応力ひずみ関係から、該金属素板を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部の曲率半径Rと、成形下死点における前記屈曲部の曲げ角度αと離型後における前記屈曲部の曲げ角度βとの角度比β/αと、の関係を取得する。
(S3)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2および曲げ角度α2を与える。
(S5)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2および曲げ角度α2により、離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2を求める。
(S7)成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2および離型後における曲げ角度β2と、成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1とを用いて、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1(=α1−β1)と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2(=α2−β2)とが等しくなって相殺されるように、離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1を算出する。
(S9)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1と離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1との角度比β1/α1により、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1を求める。 - 金属素板を山形状に屈曲させて、第1片部と第2片部を有し断面が略L字形状となる成形部材を、前記第1片部と前記第2片部のなす角度を目標角度となるように成形する金型の形状を決定する金型形状決定方法であって、
前記成形部材について前記山形状の稜線に沿う複数の位置に該稜線に交差する断面を設定し、該設定した断面毎に前記成形部材の成形下死点における断面形状を設定する断面形状設定工程と、
該設定した複数の断面形状を前記稜線に沿って補間し、前記成形部材の成形下死点における形状を決定する成形下死点形状決定工程と、
該決定した前記成形部材の成形下死点における形状に基づいて、前記金型の形状を決定する金型形状決定工程と、を有し、
前記断面形状設定工程は、前記第2片部から連続し、前記略L字形状の屈曲と曲率が等しく該屈曲よりも曲げ角度が大きい第1屈曲部と、該第1屈曲部から連続し、該第1屈曲部と反対方向に屈曲して前記第1片部と接続する第2屈曲部とを前記各断面形状に設定し、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2とが相殺されるように、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1を以下のステップS1からステップS9の手順に従って求めることを特徴とする金型形状決定方法。
(S1)前記金属素板の板厚および応力ひずみ関係から、該金属素板を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部の曲率半径Rと、成形下死点における前記屈曲部の曲げ角度αと離型後における前記屈曲部の曲げ角度βとの角度比β/αと、の関係を取得する。
(S3)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2および曲げ角度α2を与える。
(S5)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2および曲げ角度α2により、離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2を求める。
(S7)成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2および離型後における曲げ角度β2と、成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1とを用いて、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1(=α1−β1)と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2(=α2−β2)とが等しくなって相殺されるように、離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1を算出する。
(S9)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1と離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1との角度比β1/α1により、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1を求める。 - 金属素板を山形状に屈曲させて、第1片部と第2片部を有し断面が略L字形状となる成形部材を、前記第1片部と前記第2片部のなす角度を目標角度となるように成形する金型の形状を決定する金型形状決定方法であって、
前記成形部材について前記山形状の稜線に沿う複数の位置に該稜線に交差する断面を設定し、該設定した断面毎に前記成形部材の成形下死点における断面形状を設定する断面形状設定工程と、
該設定した複数の断面形状を前記稜線に沿って補間し、前記成形部材の成形下死点における形状を決定する成形下死点形状決定工程と、
該決定した前記成形部材の成形下死点における形状に基づいて、前記金型の形状を決定する金型形状決定工程と、を有し、
前記断面形状設定工程は、前記第1片部から連続し、前記略L字形状の屈曲と曲率が等しく該屈曲よりも曲げ角度が大きい第1屈曲部と、該第1屈曲部から連続し、該第1屈曲部と反対方向に屈曲して前記第2片部と接続する第2屈曲部とを前記各断面形状に設定し、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2とが相殺されるように、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2を以下のステップS1およびステップS13からステップS19の手順に従って求めることを特徴とする金型形状決定方法。
(S1)前記金属素板の板厚および応力ひずみ関係から、該金属素板を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部の曲率半径Rと、成形下死点における前記屈曲部の曲げ角度αと離型後における前記屈曲部の曲げ角度βとの角度比β/αと、の関係を取得する。
(S13)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1および曲げ角度α1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2を与える。
(S15)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1および曲げ角度α1により、離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1を求める。
(S17)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1および離型後における曲げ角度β1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2とを用いて、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1(=α1−β1)と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2(=α2−β2)とが等しくなって相殺されるように、離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2を算出する。
(S19)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2と離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2との角度比β2/α2により、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2を求める。 - 金属素板を山形状に屈曲させて、第1片部と第2片部を有し断面が略L字形状となる成形部材を、前記第1片部と前記第2片部のなす角度を目標角度となるように成形する金型の形状を決定する金型形状決定方法であって、
前記成形部材について前記山形状の稜線に沿う複数の位置に該稜線に交差する断面を設定し、該設定した断面毎に前記成形部材の成形下死点における断面形状を設定する断面形状設定工程と、
該設定した複数の断面形状を前記稜線に沿って補間し、前記成形部材の成形下死点における形状を決定する成形下死点形状決定工程と、
該決定した前記成形部材の成形下死点における形状に基づいて、前記金型の形状を決定する金型形状決定工程と、を有し、
前記断面形状設定工程は、前記第2片部から連続し、前記略L字形状の屈曲と曲率が等しく該屈曲よりも曲げ角度が大きい第1屈曲部と、該第1屈曲部から連続し、該第1屈曲部と反対方向に屈曲して前記第1片部と接続する第2屈曲部とを前記各断面形状に設定し、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2とが相殺されるように、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2を以下のステップS1およびステップS13からステップS19の手順に従って求めることを特徴とする金型形状決定方法。
(S1)前記金属素板の板厚および応力ひずみ関係から、該金属素板を屈曲させて成形した成形下死点における屈曲部の曲率半径Rと、成形下死点における前記屈曲部の曲げ角度αと離型後における前記屈曲部の曲げ角度βとの角度比β/αと、の関係を取得する。
(S13)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1および曲げ角度α1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2を与える。
(S15)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第1屈曲部の曲率半径R1および曲げ角度α1により、離型後における前記第1屈曲部の曲げ角度β1を求める。
(S17)成形下死点における前記第1屈曲部の曲げ角度α1および離型後における曲げ角度β1と、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2とを用いて、離型後のスプリングバックによる前記第1屈曲部の曲げ角度の変化Δγ1(=α1−β1)と前記第2屈曲部の曲げ角度の変化Δγ2(=α2−β2)とが等しくなって相殺されるように、離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2を算出する。
(S19)前記(S1)で取得した屈曲部の曲率半径Rと角度比β/αとの関係を用いて、成形下死点における前記第2屈曲部の曲げ角度α2と離型後における前記第2屈曲部の曲げ角度β2との角度比β2/α2により、成形下死点における前記第2屈曲部の曲率半径R2を求める。 - 前記成形部材は、長手方向に沿って湾曲する湾曲部を有し、前記断面形状設定工程は、前記湾曲部における断面形状を少なくとも1つ設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金型形状決定方法。
- 前記成形部材は、前記山形状の稜線に沿って前記略L字形状の屈曲の曲げ角度が変化する部位を有し、前記断面形状設定工程は、少なくとも、前記曲げ角度の変化する部位の前記稜線に沿った方向の両端位置における断面形状を設定し、前記曲げ角度の変化する部位において前記曲げ角度が極値を有する場合には、該極値となる位置における断面形状をさらに設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金型形状決定方法。
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