JP2019091536A - ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質 - Google Patents
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Abstract
【課題】初期容量に優れたナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質を提供する。【解決手段】一般式:で表される化合物又はその塩を含有する、ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質。【選択図】なし
Description
本開示は、ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水二次電池は、さまざまな電源に用いられている。近年は電気自動車への適用が検討されており、より高エネルギー密度で安全な電池材料が求められている。現在、リチウム二次電池には、正極材料(正極活物質)としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)に代表されるような希少重金属を含む無機系材料が、負極材料にはグラファイトといった炭素材料が用いられている。
リチウムイオン二次電池において、リチウムは電荷担体として使用されており、また、リチウム及びコバルトは、正極材料として通常使用されているコバルト酸リチウム(LiCoO2)を構成する材料である。これらリチウム及びコバルトは、希少金属であり、その資源は南米、中国等に偏在しており、原料価格が高く、原料の安定供給にも不安がある。
この課題を解決するため、これらリチウム、コバルト等の希少金属の使用量を低減できる次世代二次電池として、ナトリウムイオン二次電池及びカリウムイオン二次電池の検討がなされている。ナトリウムイオン二次電池及びカリウムイオン二次で電池の電荷担体であるナトリウム及びカリウムは資源量が豊富で且つ安価な材料である。ただし、正極活物質として、上記したコバルト等の希少重金属を用いた無機系材料は、資源的制約がある上に環境への負荷も懸念されていることから、より環境負荷の小さい材料として、酸化還元活性を示す有機材料が着目されている。
その候補の一つとしては、リチウムイオン二次電池においては、
で表される(2,3)-(6,7)-ビス(1,4-ジオキソ-1,4-ジヒドロベンゾ)テトラチアフルバレン(以下、「Q-TTF-Q」と言うこともある)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
ところが、ナトリウムイオン二次電池及びカリウムイオン二次電池用の正極活物質として機能する有機材料はほとんど知られておらず、リチウムイオン二次電池用正極活物質として機能する有機材料がそのまま適用できるかどうかも知られていない。
第57回電池討論会要旨No. 405
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、初期容量に優れたナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質を提供することを目的とする。
項1.一般式(1):
で表される化合物又はその塩を含有する、ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質。
項2.項1に記載のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質を含有する、ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極。
項3.正極集電体と正極活物質層とからなり、前記正極活物質層は、その総量を100質量%として前記ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質を50〜90質量%含有する、項2に記載のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極。
項4.項2又は3に記載のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極を備える、ナトリウム又はカリウムイオン二次電池。
本発明によれば、初期容量に優れたナトリウム又はカリウムイオン二次電池を提供することができる。
本明細書において、数値範囲を「A〜B」で表示する場合、A以上B以下を意味する。また、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する。さらに、本明細書において、「ナトリウム又はカリウムイオン二次電池」とは、「ナトリウムイオン二次電池又はカリウムイオン二次電池」を意味する。
1.ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質
本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質は、一般式(1):
本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質は、一般式(1):
で表される化合物((2,3)-(6,7)-ビス(1,4-ジオキソ-1,4-ジヒドロベンゾ)テトラチアフルバレン;以下、「Q-TTF-Q」と言うこともある)又はその塩を含有する。
上記のQ-TTF-Qは、完全に放電した際には、電解液中の電解質塩由来のカチオンと反応し、一般式(2):
[式中、Mは電解液中の電解質塩由来のカチオンを示す。]
で表される塩(以下、「Q2--TTF-Q2-」と言うこともある)が形成されやすい。
で表される塩(以下、「Q2--TTF-Q2-」と言うこともある)が形成されやすい。
その後、充電するに従い、カチオンが脱離し、一般式(1):
で表される化合物(Q-TTF-Q)を経由して、完全に充電した際には、電解液中の電解質塩由来のアニオンと反応し、一般式(3):
[式中、Xは電解液中の電解質塩由来のアニオンを示す。]
で表される塩(以下、「Q-TTF2+-Q」と言うこともある)が形成されやすい。本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質が含有するQ-TTF-Q又はその塩には、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物又は塩のいずれも包含する。
で表される塩(以下、「Q-TTF2+-Q」と言うこともある)が形成されやすい。本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質が含有するQ-TTF-Q又はその塩には、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物又は塩のいずれも包含する。
一般式(2)において、カチオンとしては、特に制限はなく、通常電解液に使用される電解質塩のカチオンが挙げられる。例えば、Na+、K+、N(CH3)4 +、N(C2H5)4 +、N(C4H9)4 +等が挙げられる。
一般式(3)において、アニオンとしては、特に制限はなく、通常電解液に使用される電解質塩のアニオンが挙げられる。例えば、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、B(C6F5)4 -、SCN-、SbF6 -、N(SO2F)2 -、N(SO2CF3)2 -、N(SO2C2F5)2 -)等が挙げられる。
以上のような条件を満たすナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質として使用できる化合物又は塩は、例えば、
等が挙げられる。これらの化合物又は塩は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
上記した一般式(1)で表される化合物又はその塩は、公知又は市販品を使用することができる。合成する場合は、J. Org. Chem., 69, 2164 (2004)に記載の方法に準じて合成することができる。
本開示では、ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質は、上記した一般式(1)で表される化合物又はその塩のみからなる活物質とすることもできるし、上記した一般式(1)で表される化合物又はその塩と他の活物質とを含む活物質とすることもできる。他の活物質を含む場合、ペンタセンテトロン、ナフタザリン二リチウム塩等を使用することもできる。ただし、希少金属の使用を抑制しつつ初期容量及びサイクル特性に優れたナトリウム又はカリウムイオン二次電池を得る観点からは、一般式(1)で表される化合物又はその塩の含有量は多いほど好ましい。このような観点から、ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質の総量を100質量%として、一般式(1)で表される化合物又はその塩の含有量は50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。特に、ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質は、上記した一般式(1)で表される化合物又はその塩のみからなる活物質が最も好ましい。
2.ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極
本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極は、上記した本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質を含有する。
本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極は、上記した本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質を含有する。
ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極としては、正極集電体と正極活物質層とからなる構成を採用することができる。より具体的には、上記した正極活物質と、必要に応じて導電材、結着剤等を含有する正極活物質層を、正極集電体の片面又は両面に配置した構成を採用し得る。
この正極活物質層は、正極活物質と必要に応じて導電剤及び結着剤を混合してシート状に成形し、金属箔、金属メッシュ等からなる正極集電体に圧着することで得ることができる。また、上記した正極活物質と必要に応じて導電材及び結着剤を例えばメノウ乳鉢等により混合し、例えば金属箔、金属メッシュ等からなる正極集電体に圧着して正極活物質層を形成し、必要に応じて加工する工程を経て製造することができる。
導電材としては、リチウムイオン二次電池と同様に、黒鉛;カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック等);表面に非晶質炭素を生成させた炭素材料等の非晶質炭素材料;繊維状炭素(気相成長炭素繊維、ピッチを紡糸した後に炭化処理して得られる炭素繊維等);カーボンナノチューブ(各種の多層又は単層のカーボンナノチューブ)等を用いることができる。正極の導電材としては、前記例示のものを1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム等が挙げられる。正極の結着剤としては、前記例示のものを1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
なお、圧着時に電極と装置とがひっつかないように、有機溶媒を数滴滴下することもできる。この際使用できる有機溶媒としては、特に制限はなく、ヘキサン、エタノール等が挙げられる。
正極活物質層の組成については、例えば、上記の正極活物質が50〜90質量%(特に60〜80質量%)、導電材が8〜30質量%(特に15〜25質量%)、結着剤が2〜20質量%(特に5〜15質量%)が好ましい。さらに、正極活物質層の厚みは、正極集電体の片面あたり、0.1〜0.5mmとすることが好ましい。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、チタン又はこれらの合金からなる箔、メッシュ、パンチドメタル、エキスパンドメタル等を用いることができ、通常、厚みが10〜200μmのアルミニウムメッシュが好適に用いられる。
3.ナトリウム又はカリウムイオン二次電池
本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池は、上記した本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極を備える。本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池は、従来のナトリウム又はカリウムイオン二次電池と同様に、上記した本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極の他、負極及び電解液も備え得る。なお、本開示において、「ナトリウム又はカリウムイオン二次電池」とは、負極材料として金属ナトリウム又は金属カリウムを用いた「金属ナトリウム二次電池」及び「金属カリウム二次電池」も包含する概念である。また、本開示において、「ナトリウム又はカリウムイオン二次電池」とは、非水電解液を使用した「非水ナトリウム又はカリウムイオン二次電池」を意味する。
本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池は、上記した本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極を備える。本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池は、従来のナトリウム又はカリウムイオン二次電池と同様に、上記した本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極の他、負極及び電解液も備え得る。なお、本開示において、「ナトリウム又はカリウムイオン二次電池」とは、負極材料として金属ナトリウム又は金属カリウムを用いた「金属ナトリウム二次電池」及び「金属カリウム二次電池」も包含する概念である。また、本開示において、「ナトリウム又はカリウムイオン二次電池」とは、非水電解液を使用した「非水ナトリウム又はカリウムイオン二次電池」を意味する。
(3−1)電解液
電解液中には、従来から使用されている電解質塩が含まれ得る。このような電解質塩としては、例えば、NaPF6、NaBF4、NaClO4、NaN(SO2CF3)2(NaTFSI)、NaN(SO2F)2(NaFSI)、KPF6、KBF4、KClO4、KN(SO2CF3)2(KTFSI)、KN(SO2F)2(KFSI)等が挙げられる。なかでも、初期容量をさらに向上させる観点から、ナトリウムイオン二次電池においてはNaN(SO2CF3)2(NaTFSI)が好ましく、カリウムイオン二次電池においてはKPF6又はKN(SO2CF3)2(KTFSI)が好ましい。これらの電解質塩は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
電解液中には、従来から使用されている電解質塩が含まれ得る。このような電解質塩としては、例えば、NaPF6、NaBF4、NaClO4、NaN(SO2CF3)2(NaTFSI)、NaN(SO2F)2(NaFSI)、KPF6、KBF4、KClO4、KN(SO2CF3)2(KTFSI)、KN(SO2F)2(KFSI)等が挙げられる。なかでも、初期容量をさらに向上させる観点から、ナトリウムイオン二次電池においてはNaN(SO2CF3)2(NaTFSI)が好ましく、カリウムイオン二次電池においてはKPF6又はKN(SO2CF3)2(KTFSI)が好ましい。これらの電解質塩は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
電解液中の電解質塩の濃度は特に制限されない。サイクル特性をさらに向上させる観点からは、1.0〜100mol/Lが好ましく、1.5〜3.0mol/Lがより好ましい。なお、2種以上の電解質塩を使用する場合は、総量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。
電解液に使用する溶媒としては、サイクル特性の観点からは、上記した正極活物質として使用する一般式(1)で表される化合物又はその塩が溶解しにくい溶媒を使用することが好ましい。このような溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルエーテル、エチルメチルカーボネート、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、γ-バレロラクトン、アセトニトリル、2-メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、アジポニトリル、グルタロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、亜硝酸エチレン、スルホラン、2-メチルスルホラン、ニトロエタン、ニトロメタン、N-メチルオキサゾリジノン、N-メチルピロリジノン、トリメチルホスフェート等が挙げられる。なかでも、初期容量及びサイクル特性を特に向上させることができる観点から、プロピレンカーボネート、アセトニトリル等が好ましい。初期容量及びサイクル特性の観点からは、電解液に使用する溶媒としては、プロピレンカーボネート及び/又はアセトニトリルのみからなることが好ましい。
なお、電解液としては、上記した構成以外にも、イオン液体を使用することも可能である。使用し得るイオン液体としては、アンモニウム、イミダゾリウム、スルホニウム、ピラゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、モルホリニウム等のカチオンと、BF4 -、CF3BF3 -、C2F5BF3 -、C3F7BF3 -、C4F9BF3 -、CF3OC2F4BF3 -、CH3COO-、CF3COO-、PF6 -、OTf-(トリフラート)、NO3 -、Br-、Cl-、N(SO2F)2 -(FSI-)、N(SO2CF3)2 -(TFSI-)、N(CN)2 -、C(CN)3 -等のアニオンとからなるイオン液体が挙げられる。このようなカチオン及びアニオンは、例えば、以下のものが包含され得る。
[式中、R及びR’は同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基等)又は炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基等)を示す。Phはフェニル基を示す。]
このようなイオン液体としては、例えば、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N,N,N-トリエチル-N-ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N-ブチル-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-エチル-3メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ブチル-3メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-アリル-3エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ブチル-3メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、N-メチル-N-メトキシメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、トリ-n-ブチルメチルホスホニウムジメチルホスフェート、トリ-n-ブチルオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、トリ-n-ブチルオクチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ-n-ブチルオクチルホスホニウムトリフルオロアセテート、トリ-n-ブチルオクチルホスホニウムトシレート、N,N,N-トリブチル-N-メチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N-メチル-N-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(パーフルオロエタンスルホニル)アミド、トリ-n-ブチル(2-ヒドロキシメチル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、テトラ-n-ブチルホスホニウムO,O’-ジエチルジチオホスフェート、トリ-n-ブチルドデシルホスホニウム3,4-ビス(メトキシカルボニル)ベンゼンスルホネート等が挙げられる。
このようなイオン液体としては、例えば、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N,N,N-トリエチル-N-ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N-ブチル-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-エチル-3メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ブチル-3メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-アリル-3エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ブチル-3メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、N-メチル-N-メトキシメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、トリ-n-ブチルメチルホスホニウムジメチルホスフェート、トリ-n-ブチルオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、トリ-n-ブチルオクチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ-n-ブチルオクチルホスホニウムトリフルオロアセテート、トリ-n-ブチルオクチルホスホニウムトシレート、N,N,N-トリブチル-N-メチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N-メチル-N-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(パーフルオロエタンスルホニル)アミド、トリ-n-ブチル(2-ヒドロキシメチル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、テトラ-n-ブチルホスホニウムO,O’-ジエチルジチオホスフェート、トリ-n-ブチルドデシルホスホニウム3,4-ビス(メトキシカルボニル)ベンゼンスルホネート等が挙げられる。
(3−2)負極
負極としては、従来からナトリウム又はカリウムイオン二次電池に使用されている負極を採用することができる。
負極としては、従来からナトリウム又はカリウムイオン二次電池に使用されている負極を採用することができる。
負極としては、負極活物質と、必要に応じて導電材及び結着剤とを含有する負極活物質層を、負極集電体の片面又は両面に形成した構成を採用し得る。また、本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池を金属ナトリウム二次電池又は金属カリウム二次電池とする場合には、金属ナトリウム又は金属カリウムをそのまま負極として使用することもできる。
この負極活物質層は、負極活物質と必要に応じて導電材及び結着剤を混合してシート状に成形し、金属箔、金属メッシュ等からなる負極集電体に圧着することで得ることができる。また、負極活物質と必要に応じて導電材及び結着剤を例えばメノウ乳鉢等により混合し、例えば金属箔、金属メッシュ等からなる負極集電体に圧着して負極活物質層を形成し、必要に応じて加工する工程を経て製造することもできる。
負極活物質としては、特に制限されず、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛等)、難焼結性炭素、ナトリウム金属、カリウム金属、スズやシリコン及びこれらを含む合金、SiO、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゾキノン、ロジソン酸、アントラルフィン、ピロメリット酸ジイミド、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、テレフタル酸のリチウム塩、ポリ(アントラキノニルスルフィド)等を用いることができる。好ましくは、金属ナトリウム二次電池ではナトリウム金属、ナトリウム合金等を用いることができ、金属カリウム二次電池ではカリウム金属、カリウム合金等を用いることができ、その他のナトリウム又はカリウムイオン二次電池では、ナトリウムイオン又はカリウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料(黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛等)、難焼結性炭素、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゾキノン、ロジソン酸、アントラルフィン、ピロメリット酸ジイミド、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、テレフタル酸のリチウム塩、ポリ(アントラキノニルスルフィド)等)等を活物質として用いることができる。これら負極活物質は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
導電材としては、通常のナトリウム又はカリウムイオン二次電池と同様に、黒鉛;カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック等);表面に非晶質炭素を生成させた炭素材料等の非晶質炭素材料;繊維状炭素(気相成長炭素繊維、ピッチを紡糸した後に炭化処理して得られる炭素繊維等);カーボンナノチューブ(各種の多層又は単層のカーボンナノチューブ)等を用いることができる。負極の導電材としては、前記例示のものを1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム等が挙げられる。負極の結着剤としては、前記例示のものを1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
負極活物質層の組成については、例えば、上記の負極活物質が50〜90質量%(特に40〜80質量%)、導電材が8〜30質量%(特に15〜25質量%)、結着剤が2〜20質量%(特に5〜15質量%)が好ましい。さらに、負極活物質層の厚みは、負極集電体の片面あたり、塗工量が0.1〜10mg/cm2となるように調整することが好ましい。
負極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、チタン又はこれらの合金からなる箔、メッシュ、パンチドメタル、エキスパンドメタル等を用いることができ、通常、厚みが10〜200μmのステンレススチールメッシュが好適に用いられる。
(3−3)セパレータ
上記した正極と負極は、例えば、セパレータを介在させつつ積層した積層電極体や、さらにこれを渦巻状に巻回した巻回電極体の形で用いられ得る。
上記した正極と負極は、例えば、セパレータを介在させつつ積層した積層電極体や、さらにこれを渦巻状に巻回した巻回電極体の形で用いられ得る。
セパレータとしては、強度が十分で且つ電解液を多く保持できるものがよく、そのような観点から、厚さが10〜50μmで開口率が30〜70%の、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ガラス等の1種又は複数を含む微多孔フィルムや不織布、フィルター等が好ましい。
以上、本開示のナトリウム又はカリウムイオン二次電池について説明したが、各特性やパラメータ、好ましい態様等は、特定の実施形態のみに限定することを意図するものではなく、任意に組合せることが可能である。
以下、実施例を示し、本発明の特徴とするところを一層明確にするが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、正極活物質としては、J. Org. Chem., 69, 2164 (2004)に記載の方法に準じて合成したQ-TTF-Qを用いた。
実施例1
正極活物質Q-TTF-Q、導電材(アセチレンブラック)、及び結着剤(ポリテトラフルオロエチレン)を、質量比7: 2: 1の割合で、メノウ乳鉢にて混合し、次いで、圧着時に電極と装置とがくっつかないようにヘキサンを数滴滴下した後に、アルミニウムメッシュに40MPaで圧着し、120℃で1時間真空乾燥して厚み0.214〜0.241mmの正極活物質層を有する正極を得た。負極としては、金属ナトリウムを使用した。電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)に、2.5mol/Lの濃度でNaN(SO2CF3)2(NaTFSI)を溶解させたものを用いた。セパレータとしてはガラスフィルターを用いて、上記した正極、負極及び電解液を備える試験用コイン型ナトリウム二次電池を作製した。
正極活物質Q-TTF-Q、導電材(アセチレンブラック)、及び結着剤(ポリテトラフルオロエチレン)を、質量比7: 2: 1の割合で、メノウ乳鉢にて混合し、次いで、圧着時に電極と装置とがくっつかないようにヘキサンを数滴滴下した後に、アルミニウムメッシュに40MPaで圧着し、120℃で1時間真空乾燥して厚み0.214〜0.241mmの正極活物質層を有する正極を得た。負極としては、金属ナトリウムを使用した。電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)に、2.5mol/Lの濃度でNaN(SO2CF3)2(NaTFSI)を溶解させたものを用いた。セパレータとしてはガラスフィルターを用いて、上記した正極、負極及び電解液を備える試験用コイン型ナトリウム二次電池を作製した。
得られた電池について、120℃の雰囲気下、充放電電圧は1.2〜4.0Vとし、充電電流密度40mA/g、放電電流密度40mA/gとして、放電から開始して充放電を行った。放電から開始する場合、1サイクル目の放電容量は正確に評価できないため2サイクル目の放電電圧を初期放電容量として評価する。1〜2サイクル目の充放電曲線を図1(実線が1サイクル目、点線が2サイクル目)に示す。この結果、初期放電容量は164mAh/gであり、初期充電容量は456mAh/gであった。
実施例2
正極活物質Q-TTF-Q、導電材(アセチレンブラック)、及び結着剤(ポリテトラフルオロエチレン)を、質量比7: 2: 1の割合で、メノウ乳鉢にて混合し、次いで、圧着時に電極と装置とがくっつかないようにヘキサンを数滴滴下した後に、アルミニウムメッシュに40MPaで圧着し、120℃で1時間真空乾燥して厚み0.214〜0.241mmの正極活物質層を有する正極を得た。負極としては、金属カリウムを使用した。電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)に、2.5mol/Lの濃度でKN(SO2CF3)2(KTFSI)を溶解させたものを用いた。電極間に電解液を浸漬したセパレータ(Celgard#2500)を挿入し、試験用カリウム二次電池として、2032型コインセルを作製した。
正極活物質Q-TTF-Q、導電材(アセチレンブラック)、及び結着剤(ポリテトラフルオロエチレン)を、質量比7: 2: 1の割合で、メノウ乳鉢にて混合し、次いで、圧着時に電極と装置とがくっつかないようにヘキサンを数滴滴下した後に、アルミニウムメッシュに40MPaで圧着し、120℃で1時間真空乾燥して厚み0.214〜0.241mmの正極活物質層を有する正極を得た。負極としては、金属カリウムを使用した。電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)に、2.5mol/Lの濃度でKN(SO2CF3)2(KTFSI)を溶解させたものを用いた。電極間に電解液を浸漬したセパレータ(Celgard#2500)を挿入し、試験用カリウム二次電池として、2032型コインセルを作製した。
得られた電池について、120℃の雰囲気下、充放電電圧は1.3〜4.3Vとし、充電電流密度40mA/g、放電電流密度40mA/gとして、放電から開始して充放電を行った。放電から開始する場合、1サイクル目の放電容量は正確に評価できないため2サイクル目の放電電圧を初期放電容量として評価する。1〜5サイクル目の充放電曲線を図2に、各サイクルにおける充電容量及び放電容量を図3に示す。この結果、初期放電容量は138mAh/g、初期充電容量は142mAh/gであり、一定のサイクル特性を有していた。
試験例1:溶解度
上記の実施例において正極活物質として使用したQ-TTF-Qについて、各種溶媒の中に投入した結果を図4に示す。
上記の実施例において正極活物質として使用したQ-TTF-Qについて、各種溶媒の中に投入した結果を図4に示す。
この結果、ジメチルエーテル(DME)又は1,3-ジオキソラン(DOL)中に投入した場合は1時間後に着色が確認できたのに対し、アセトニトリル中に投入した場合は全く溶解しなかった。また、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(体積比1: 1: 1);エチレンカーボネート(EC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(体積比1: 1);エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(体積比1: 1: 1)に投入した場合は2.5時間後には着色が確認できたのに対し、プロピレンカーボネート中に投入した場合はほとんど着色が確認できなかった。したがって、電解液の溶媒としてプロピレンカーボネート及び/又はアセトニトリルを使用した場合は、電解液中に正極活物質として使用するQ-TTF-Qが溶解しにくく、初期容量及びサイクル特性を特に改善できることが示唆される。
Claims (4)
- 一般式(1):
- 請求項1に記載のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質を含有する、ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極。
- 正極集電体と正極活物質層とからなり、前記正極活物質層は、その総量を100質量%として前記ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質を50〜90質量%含有する、請求項2に記載のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極。
- 請求項2又は3に記載のナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極を備える、ナトリウム又はカリウムイオン二次電池。
Priority Applications (1)
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JP2017217559A JP2019091536A (ja) | 2017-11-10 | 2017-11-10 | ナトリウム又はカリウムイオン二次電池用正極活物質 |
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- 2017-11-10 JP JP2017217559A patent/JP2019091536A/ja active Pending
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