JP2019090671A - 炎症の診断方法 - Google Patents

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良介 菊地
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Abstract

【課題】炎症の新規な診断方法等を提供する。【解決手段】本発明が提供する炎症の診断方法は、被験者から、生体試料を採取する工程、生体試料に含まれる脂肪酸アミドの濃度を測定する工程、および、上記被験者について得られた上記脂肪酸アミドの濃度の測定値が、健常者について得られた測定結果と比較して低い場合に、上記被験者の生体内にて炎症があると判断する工程、を含む。脂肪酸アミドの濃度の測定は、例えば、脂肪酸アミドを検出する検出試薬と、上記脂肪酸アミド検出試薬を固定する担体と、を含む、炎症診断キットを用いて行うことができる。【選択図】図2

Description

本発明は、炎症の診断方法、およびこれに用いるバイオマーカーに関する。
自然界には、インフルエンザ等のウイルスや、病原性大腸菌O−157等の細菌、真菌や原虫、寄生虫等の、さまざまな病原性を有する微生物(病原体)が存在している。この病原体が生体組織に侵入し、例えば生体内で増殖を始めることによって感染となる。生体が病原体に感染すると、感染した局所臓器に炎症反応が生じる。とりわけ病院には、病原体の感染に対する抵抗力が低下した易感染性宿主が多く、感染症が発生しやすい環境である。
感染症の原因となる菌は、細胞壁の構成成分の違いによりグラム陰性菌とグラム陽性菌とに区分される。ここで、グラム陰性菌の細胞壁に含まれるリポ多糖(Lipopolysaccharide:LPS)は、強い毒性を有するリピドAと呼ばれる脂質部分と、これに結合した糖部分とからなる。LPSが生体内に入ると、過剰な免疫反応を引き起こし、重篤な敗血症をきたしたり、最終的には死に至る影響を与え得る。しかしながら、敗血症に有効な治療薬は未だ見出されていない。そのため、感染症、ひいては敗血症を治療するための治療薬の開発が進められている(例えば、特許文献1および2等参照)。
国際公開第2005/047313号公報 特開2011−121959号公報
ところで、グラム陰性菌による感染症に関しては、対症療法によって化学療法剤が投与され細菌が死滅すると、その後、菌体が破壊されて細胞壁のLPS(内毒素であり得る)が放出されて、治療が困難なエンドトキシン・ショック(内毒素ショックともいう)をおこすことがある。したがって、とりわけ易感染性宿主の多い病院等においては、感染症の発症そのものを防ぐとともに、感染症の発症を早期に検知して感染の拡大を防ぐことが重要である。そのため、例えば感染症に伴う炎症反応を検知するバイオマーカーや、炎症の診断方法は、簡便かつ多様なものとして提供されることが望ましい。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、生体内の炎症の新規な診断方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、炎症の診断キットや、新規な炎症のバイオマーカー等を提供することである。
本発明者らは、生体内に含まれ、様々な生理的活性を有することから新規脂質メディエーターとして注目されている長鎖脂肪酸のアシル化物について鋭意研究を行ってきた。その結果、長鎖脂肪酸アシル化物のうち脂肪酸アミドが、LPSにより炎症が惹起された生体内において、健常者と比べて低濃度に存在することを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、ここに開示される技術は、炎症の診断方法を提供する。この炎症の診断方法は、被験者から、生体試料を採取する工程、上記生体試料に含まれる脂肪酸アミドの濃度を測定する工程、および、上記被験者について得られた上記脂肪酸アミドの濃度の測定値が、健常者について得られた測定結果と比較して低い場合に、上記被験者の生体内にて炎症があると判断する工程、を含む。また、他の側面において、ここに開示される技術は、生体中の脂肪酸アミドを含む、炎症の発生を診断するためのバイオマーカーを提供する。
上記構成によると、被験者の生体試料中の脂肪酸アミドの濃度が測定される。そしてこの脂肪酸アミドの濃度の測定値を基に、当該被験者が生体内に炎症を発症しているかどうか、延いては感染症に感染しているかどうかを判断することができる。このことにより、脂肪酸アミドという生体化合物を、炎症のバイオマーカーとした、新規な炎症の診断方法が提供される。
なお、本明細書において、「濃度を測定する」とは、測定対象物の具体的な濃度を測定することに加え、基準濃度に対して測定対象物の濃度が相対的に高濃度か低濃度かを測定または検出することも包含する。
ここに開示される診断方法の好ましい一態様において、上記生体試料は、臓器または血液である。血液は、被験者から比較的容易に採取でき、また他の検査に伴い入手しやすい。このことから、生体試料として血液を用いることで、脂肪酸アミドの濃度測定に関して患者に余分な負担を与えることなく診断を行うことができる。しかしながら、上記脂肪酸アミドの濃度は、検体を血液に限定することなく、例えば、臓器等を検体とした場合であっても測定することができる。これにより、多様な検査手法にて、炎症の診断を行うことができる。
ここに開示される診断方法の好ましい一態様において、上前記脂肪酸アミドの濃度測定は、液体クロマトグラフィー質量分析法により実施する。この液体クロマトグラフィー質量分析法は、上記生体試料中に含まれる2以上の成分を液体クロマトグラフィーで分離し、分離された上記成分をイオン化して四重極型質量分析器で特定質量成分を選択し、上記特定質量成分を解離させ、上記解離された成分を質量分析器で検出する、ことを含むことが好ましい。かかる構成により、脂肪酸アミドの濃度を高精度に測定することができる。延いては、精度よく炎症の診断を行うことができる。
ここに開示される診断方法の好ましい他の一態様では、上記脂肪酸アミドの濃度測定は、上記脂肪酸アミドを検出する検出試薬と、上記脂肪酸アミド検出試薬を固定する担体と、を含む炎症診断キットを用いて実施する。また他の側面において、ここに開示される技術は、炎症診断キットを提供する。この炎症診断キットは、脂肪酸アミドを検出する検出試薬と、上記脂肪酸アミド検出試薬を固定する担体と、を含む。このことにより、炎症の診断を特殊な装置を必要とすることなく、簡便にその場で実施することができる。
ここに開示される診断方法の好ましい一態様では、上記脂肪酸アミドがオレイン酸アミド(以下、単に「オレアミド」という場合がある)である。これにより、炎症の発症をその濃度により一層精度よく反映することができ、炎症の診断をより確かなものとすることができる。
さらに他の側面において、ここに開示される技術は、炎症のモニタリング方法を提供する。この炎症のモニタリング方法は、被験者から、生体試料を採取する工程、上記生体試料に含まれる脂肪酸アミドの濃度を測定する工程、および、上記被験者について得られた上記脂肪酸アミドの濃度の上記測定値が、基準濃度と比較して低い場合に、上記被験者の生体内にて炎症が生じたと判断する工程、を含む。また、上記基準濃度は、上記被験者について得られた炎症未発生時の上記脂肪酸アミドの濃度であることが好ましい。
このことにより、脂肪酸アミドという生体化合物を、炎症のバイオマーカーとした、新規な炎症のモニタリング方法が提供される。
血中の脂肪酸アミド濃度の測定結果を、コントロールマウス群とLPS投与マウス群とに分けて示したヒストグラムである。 血中のオレアミド濃度の測定結果を、コントロールマウス群とLPS投与マウス群とに分けて示した散布図である。 血中の脂肪酸アミド濃度の測定結果を、健常者群と高血糖者群とに分けて示したヒストグラムである。 血中のオレアミド濃度の測定結果を、健常者群と高血糖者群とに分けて示した散布図である。 LPS投与マウス群における、血中の(a)オレアミド濃度、(b)TNF−α濃度、(c)IL−6濃度の経時変化を示した図である。 LPS投与後1時間における血中のオレアミド濃度の測定結果を、コントロールマウス群とLPS投与マウス群とに分けて示した散布図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書および図面に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において、「X〜Y」として示される数値範囲は、「X以上Y以下」を意味する。
〔バイオマーカー〕
脂質は、細胞膜の主要構成成分であるとともに、タンパク質、糖質と並ぶ3大栄養素のひとつであって、効率の良いエネルギー源としての役割、および、シグナル分子としての役割を持つ重要な生体分子である。この脂質のうち、生理活性を有する脂質を脂質メディエーターという。脂質メディエーターとして機能する脂肪酸アミドは、一例として、アラキドニルセリンやアラキドン酸アミド、オレイン酸アミド等の多様なものが知られている。ここで、オレイン酸アミドについては、(1)睡眠誘導分子、(2)CB1受容体を介しての食欲調節機能、(3)セロトニン2C受容体の正のアロステリック調節機能、(4)アミロイドβ沈着の抑制機能等が発現されることが報告されているのみであった。これに対し、本技術では、脂肪酸アミドが、炎症と相関を示すバイオマーカーとして機能し得ることを見出した。たとえば、LPSを腹腔内投与した場合、数時間で全身的に炎症性サイトカインの産生および分泌が高まることが知られているが、脂肪酸アミドは炎症の発生に伴い減少する。かかる事象に基づき、ここで開示される技術は、新たな機能を発現する脂質メディエーターとしての脂肪酸アミドと、その利用とを提供するものである。
〔脂肪酸アミド〕
ヒトを含めた動物、植物、微生物の体内では、脂肪酸シンターゼによってアセチルCoA(コエンザイムA)とマロニルCoAから直鎖の飽和脂肪酸が作られている。この脂肪酸は小胞体等で炭素数を増やし、例えば脂肪酸合成が炭素数18(ステアリン酸)に達すると、ステアリン酸の中央(ω−9位)に二重結合が生成されて体内で一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸が生成される。また、これらの脂肪酸はアシルCoA合成酵素(ACS)により触媒されて、チオエステル結合を有する脂肪酸のアシル化物(例えば、脂肪酸アシルCoA)へと変換されて活性化される。この脂肪酸アシル化物が、体内のアミノ酸と酵素的に反応してアシル化アミノ酸となり、さらに酵素的な反応によりアミド型の脂肪酸アミドが形成されると考えられる。バイオマーカーとしての脂肪酸アミドは、かかる生体内脂質由来の脂肪酸アミドおよびその誘導体を広く対象とすることができる。
なお、脂肪酸アミドのアミド部分(−NH)は、その化学構造中に、アンモニア,第一級アミンまたは第二級アミンから水素を除去した1価の官能基(すなわち、図中の−NHあるいは−NHR,−NRR’。ここで、式中のR,R’は水素以外の炭化水素基である。)を有するものであればその他の具体的な構造は特に限定されない。
また、脂肪酸アミドの脂肪酸部分は、生体細胞中に多く見られる炭素数が14から20(以下、単に「C14〜C20」のように示す。)の長鎖脂肪酸であり得る。これらの脂肪酸部分をIUPAC生化学命名法により炭素数と二重結合の数の組み合わせで表すと、典型的には、例えば、C14:0(ミリスチン酸)、16:0(パルミチン酸)、16:1(パルミトレイン酸)、18:0(ステアリン酸)、18:1(9)(オレイン酸)、18:2(9,12)(リノール酸)、18:3(Δ9,Δ12,Δ15))(リノレン酸)等であり得る。そして当該脂肪酸部分を備える脂肪酸アミドとして、典型的には、下記に示す脂肪酸アミドが挙げられる。
Figure 2019090671
Figure 2019090671
ここに開示される脂肪酸アミドとしては、上記の長鎖脂肪酸部分と、アミド部分とが結合してなるものであれば各種の化合物であってよい。このような脂肪酸アミドは、本発明者らの試験によると、その生体中の濃度がいずれも炎症の進行度合いに沿って有意に変化し得ることが確認されている。なかでも、上記脂肪酸アミドのうち、細胞中により多く見られるC14、C16およびC18の長鎖脂肪酸アミドについては、炎症の症状の進行度合いとより顕著な相関性を示すために、バイオマーカー等として特に好適であると考えられる。かかる長鎖脂肪酸アミドの具体例としては、例えば、オレイン酸アミド、リノール酸アミド、パルミトレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ミリスチン酸アミド等が挙げられる。より好ましくはオレイン酸アミド(オレアミド)であり得る。
なお、本明細書において「有意」とは、統計学的に有意であることを意味する。この場合の有意水準については厳密には規定されないが、例えば5%(p<0.05)以下に設定することが適切であり、1%(p<0.01)以下とするとより好ましい。
〔脂肪酸アミドの生体内濃度と炎症診断方法〕
脂肪酸アミドは、詳細は不確かであるものの、LPS投与により惹起された炎症モデルマウスの生体内において、その血中濃度が炎症の進行度合いと負の相関を示しつつ変動する。また、ヒトの生体内においても、血中脂肪酸アミド濃度は、空腹時グルコース(血糖)濃度が高い高血糖患者において低くなる。なお、これらの傾向は、後述するように、生体中の血液(血清、血漿等を包含する)に限定されず、臓器等においても同様に見られる。
ここで、ヒトが感染症になると、炎症性サイトカインが増加することによって血糖が上昇し、高血糖状態になることが知られている。また、高血糖状態が続くと、白血球の免疫機能の低下によって慢性炎症が生じることも知られている。これらのことから、ヒトへのLPS投与による確認は不可能であるが、ヒト生体内においても脂肪酸アミド濃度は炎症の進行度合いと負の相関を示しつつ変動するといえる。例えば、炎症を発症した人は、正常な人と比較して、生体内の上記脂肪酸アミドの濃度が有意に低くなるといえる。
また、例えば、上記炎症モデルマウスの血中脂肪酸アミド濃度は、LPS投与後、速やかに(例えば1時間以内)に明瞭に確認することができる。また、炎症モデルマウスの血中脂肪酸アミド濃度は、概ね炎症の回復と一致して本来の濃度に上昇(回復)することが確認されている。なお、生体内での炎症発生は、公知の炎症マーカーや炎症性メディエーター(典型的には、サイトカイン、ケモカイン、血管作動性ペプチド等)の検出によっても確認することができる。しかしながら、これら炎症マーカーおよび炎症性メディエーターは、必ずしも炎症の症状に対応した濃度変化を呈さない。例えば、代表的な炎症マーカーとしては、白血球やCRPが知られている。しかしながら、白血球はウイルス感染時に顕著に増加しないという特性があり、また、CRPは反応が遅く、人によっては上昇するのに1〜2日を要する場合もある。さらに、炎症性サイトカインは、他のサイトカインの発現を誘起して連鎖的反応を生じ得る。従って、単一の炎症性サイトカインの検出をもって炎症を確実に診断することは困難である。これに対し、脂肪酸アミドは、上記の通り、炎症の症状に相関して濃度変化し得る。したがって、脂肪酸アミドは、これまでにない炎症マーカー、炎症のモニタリング指標として利用することができる。
(診断1)
このことから、診断に際しては、例えば、健常者について測定した生体内の脂肪酸アミドの濃度に基づいて、健常者と炎症発症者とを区別するための脂肪酸アミドの濃度の閾値を予め設定することができる。そして、例えば、被験者の生体内の脂肪酸アミドの濃度がこの閾値未満である場合に、当該被験者が炎症を発症していると診断することができる。
なおここで、上記閾値は、炎症の診断度合いに応じて適宜設定することができる。また、一度の診断において複数の閾値を設けてよい。例えば、閾値は、健常者と比較した場合に生体内の脂肪酸アミドの濃度が有意に低いと判断できる範囲のうち、なるべく高い脂肪酸アミドの濃度を閾値として設定することができる。これにより、例えば、脂肪酸アミドの濃度が有意に低い被験者について、炎症の進行が予見される炎症予備軍として診断又はスクリーニングし、炎症の発生を予防を促すことができる。
(診断2)
また例えば、個々の被験者について、炎症を発症していないときに測定した生体内の脂肪酸アミドの濃度を測定しておき、この健常時測定の脂肪酸アミド濃度に基づいて、脂肪酸アミドの濃度が有意に低下したときに、当該被験者が炎症を発症したと診断することができる。なお、この場合、低下の度合いによって炎症の発生度合いを評価(例えば、重症度診断)するようにしてもよい。
(診断3)
さらに、診断の内容としては、必ずしも炎症の有無に制限されない。例えば、脂肪酸アミドをバイオマーカーとして利用することにより、炎症リスク(延いては感染リスク)を診断することもできる。具体的には、例えば、被験者の炎症を生じていないときの脂肪酸アミドの濃度が、健常者(つまり炎症が生じていないヒト)の脂肪酸アミドの平均濃度よりも低い場合、その被験者は炎症リスク、延いては感染リスクが高いと診断することができる。
(診断4)
また、例えば、被験者の脂肪酸アミドの濃度を継続的に測定しておき、脂肪酸アミドの濃度が低下する傾向が見えたら、その被験者は炎症を発症しかけていると診断することができる。
〔炎症モニタリング方法〕
さらに、病院等の易感染性宿主の多い環境においては、感染症の発生や拡大を未然に防ぐことが求められる。このような場合、例えば、全患者(被験者)の生体内の脂肪酸アミドの濃度を、継続的にあるいは定期的に測定することで、炎症、延いては院内感染が発生したかどうかを確認することができる。また、全患者のうちの感染症(炎症)発症者の状況を確認することで、院内感染の拡大を、経時的に、および/または、位置的に把握することができる。なお、この場合の炎症の診断は、上記のいずれの診断を採用してもよい。
〔脂肪酸アミドの生体内濃度測定〕
なお、脂肪酸アミドの濃度測定のために被験者から採取する生体材料は、体液を含む生体部分であればよく、例えば、血液や組織液、リンパ液等の体液、臓器等とすることができる。好ましくは、血液(例えば、血漿、血清)である。これらの生体材料は、体液に存在する全タンパク質を除去してから、脂肪酸アミドの濃度測定に供することが好ましい。
生体中の脂肪酸アミドの濃度測定方法は特に制限されない。これに限定されるものではないが、例えば、脂肪酸アミドの濃度は、公知の各種の化学質量分析法を利用して測定することができる。化学質量分析法としては、例えば、比色定量、ガスクロマトグラム(GC)法、ガスクロマトグラム質量分析(GC/MS)法、液体クロマトグラム質量分析(LC/MS)法、高速液体クロマトグラフ質量分析(HPLC/MS)法、薄層クロマトグラム(TLC)ゲル画像解析法、キャピラリー電気泳動−飛行時間型質量分析(CE−TOFMS)法、核磁気共鳴分光(NMR)法等により定量することができる。なかでも、試料中に含まれる成分をクロマトグラフィーで分離したのち、四重極型質量分析器で特定質量を選択し、さらに飛行時間型又は四重極型等の質量分析器で検出する、LC−MS/MS法の採用が好ましい。LC−MS/MS法によると、8種類の脂肪酸を一度の分析(例えば、1インジェクション)で、網羅的で高精度に定量することができるために好ましい。
生体材料として血液等の液状試料を採取した場合は、例えば、タンパク質沈殿剤としてのアセトンを、液状試料(例えば、血清または血漿等)に対し約2倍程度の割合で加えることで、生体材料からタンパク質を沈殿除去することができる。タンパク質は親水性部分が血液中の水分に接することで溶解しているが、水溶性有機溶媒であるアセトンを加えることで、タンパク質と水分子との結合が切断されて溶解度が低下する。このことにより、生体材料は、脂質等の可溶性物質を血液中に残したまま、タンパク質成分のみが凝集して液中に沈殿する。なお、タンパク質の沈殿手法はこれに限定されず、例えば、公知の硫酸アンモニウム(塩析)沈殿法、トリクロロ酢酸(TCA)沈殿法、TCA/アセトン沈殿法、酢酸アンモニウム含有メタノールによる沈殿法等を適宜採用することができる。
また、液状試料中に遊離糖やアミノ酸のような非脂質成分が混入することは好ましくない。そこで、例えば、FOLCH法等により、液状試料から総脂質を分離、抽出することができる。液状試料中の水素結合・疎水結合はエーテル、クロロホルム、ベンゼン、ヘキサンなどの非極性溶媒で弱めることができ、イオン結合の場合は極性の高いメタノール,エタノールなどの極性溶媒で弱めることができる。そこで、例えば、具体的には、上記のタンパク質を除去した血液に対し、クロロホルムおよびメタノールの混合溶液(2:1)を加えてよく撹拌したのち、遠心分離により2層に分離させることで、クロロホルム、脂質等の脂溶性の成分が含まれる上澄み部分を回収して、測定試料とすることができる。
一方で、生体材料として臓器等の組織試料を採取した場合は、例えば、採取した組織試料を破砕装置等で均一なペースト状にし、ペースト状の組織試料に対して、上記タンパク質の分離・除去、脂質の分離・抽出を行うことができる。なお、脂質の分離・抽出方法は上記の例に限定されることなく、Bligh−Dyer法等の公知の各種の手法を採用することができる。
上記の生体試料の前処理方法からもわかるように、以上の測定によると、脂肪酸アミドは、オレイン酸(脂肪酸)として検出される場合がある。LC−MS/MS法に使用するカラムおよびその他の分析条件は、使用する装置に応じて適切に設定することができる。例えば、後述の実施例に開示のLC−MS/MS分析条件を参考にすると、測定試料に含まれ得る上記に例示した8種類の脂肪酸アミドに対する定量を好適に実施することができる。
また、脂肪酸アミドの濃度は、例えば、ELISA法(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay;エライザ等とも言う)を利用して測定することもできる。ELISA法は、試料溶液中に含まれる目的の抗原あるいは抗体を、特異抗体あるいは抗原で捕捉するとともに、酵素反応を利用して検出・定量する方法である。ここでは、脂肪酸アミドを特異的に検出(捕捉)することが可能な検出試薬を用いて、当該検出試薬の抗原抗体反応を利用して素の濃度を測定することができる。そのような検出試薬としては、例えば、抗体、酵素、酵素標識抗体等であり得る。また、抗原抗体反応の組合せは、いわゆる直接法、間接法、サンドイッチ法、競合法等のいずれであってもよい。また、脂肪酸アミドの濃度の定量は、単一の脂肪酸アミド(例えばオレアミド)について行ってもよいし、あるいは、複数の脂肪酸アミドやその他の炎症バイオマーカーの定量と併せて同時に行ってもよい。かかるELISA法を利用した脂肪酸アミドの濃度は、これに限定されるものではないが、例えば、下記の炎症診断キットを用いることで簡便に実施することができる。
〔炎症診断キット〕
炎症診断キットは、脂肪酸アミドの濃度を定量することができる。この炎症診断キットは、少なくとも、所望の脂肪酸アミドを検出する検出試薬と、この検出試薬を固定する担体と、を含む。
検出試薬は、上記の通り、例えば、所望の脂肪酸アミドを特異的に検出する抗体、酵素、酵素標識抗体等であり得る。担体としては、検出試薬を固定する固相材料であれば特に制限されない。担体は、使用する試薬(例えば、界面活性剤や緩衝液等)に対する不溶性を備える材料が好ましい。このような担体としては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ラテックス、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース等の樹脂材料、ガラス材料、金属材料、セラミックス材料、磁性材料などから構成されるものであってよい。担体の形状については特に制限されず、例えば、中実または中空の球状、ビーズ状、プレート状、マイクロプレート、アレイ、試験管状、スティック状等であってよい。
なお、脂肪酸アミドは食物に含まれ得る。したがって、例えば、一過的に脂肪酸アミドを含む食べ物を摂取するなどして生体中の脂肪酸アミドの濃度が上昇した場合は、その後数時間(例えば、1時間以上後、より安全には4時間以上後)に生体内の脂肪酸アミドの濃度を測定するとよい。
(実施例)
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
〔試験1〕マウス血漿中の脂肪酸アミドの濃度測定
被験体として、通常の飼育条件で飼育した7週齢のオスのアルビノマウス(BALB/cマウス)を13個体用意し、そのうちの5個体(n=5)について、グラム陰性菌細胞壁外膜の構成成分であるリポ多糖(LPS)を腹腔内に0.5mg/kgの割合(低濃度)で投与し、LPS投与マウス群(炎症モデルマウス群)とした。そして残りの8個体(n=8)を、コントロールマウス群とした。
LPSの投与から24時間後に、コントロールマウス群およびLPS投与マウス群から採血し、血漿中の脂肪酸アミドの定量を行った。具体的には、採血した血液を遠心分離に供して血漿を得た。得られた血漿に氷冷アセトンを2倍量(体積)加え、−20℃で30分間インキュベートした後、遠心分離を行って上清を回収することにより、タンパク質を除去した。続いて、クロロホルム:メタノール=2:1の溶液を回収した上清の10倍量(体積)加えてよく撹拌したのち、遠心分離を行って上清を回収した。これを測定試料としてウルトラパフォーマンス液体クロマトグラム(LC−MS/MS)システムに供し、脂肪酸アミドの同定および定量を行った。
なお、LC−MS/MSの測定条件は以下の通りとした。また、脂肪酸アミドとしては、ミリスチン酸アミド(C14:0)、パルミチン酸アミド(C16:0)、パルミトレイン酸アミド(C16:1)、ステアリン酸アミド(C18:0)、オレイン酸アミド(C18:1)、リノール酸アミド(C18:2)について定量した。この場合、例えばオレイン酸アミド(オレアミド)は、LCの保持時間7.2分の位置に、マススペクトルの質量電荷比(m/z)を282として検出される。なお、定量に際しては、安定同位体標識した脂肪酸アミドをそれぞれ内部標準物質として用いた安定同位体希釈法により、検量線を作成して濃度(μM)を算出した。その結果、コントロールマウス群とLPS投与マウス群とについて得られた脂肪酸アミドの平均濃度を、図1にヒストグラムとして示した。図1のヒストグラムは、横軸をLC−MS/MS分析における各脂肪酸アミドの検出時間とし、縦軸を各脂肪酸アミドの質量電荷比とし、マススペクトルの信号強度をプロット面積として相対的に表示したものである。図中の破線は、コントロールマウス群についての頻度を示し、実線はLPS投与マウス群についての頻度を示す。
装置:ACQUITY UPLC−Xevo−TQD(Waters社製)
移動相流量:0.3ml/min
移動相:(A)0.1%ギ酸含有水(HO)
(B)0.1%ギ酸含有水アセトニトリル
カラム:Develosil HB C30-UG-3(2.0/100mm)(野村化学株式会社製)
カラムヒーター温度:40℃
イオン化モード:ESI-Positive、Cone 25V, Collision 12V
分析時間:15分
図1のヒストグラムから、マウスの血漿中の脂肪酸アミドの濃度は、概ね、コントロールマウス群よりも、LPS投与マウス群のほうが低くなることがわかった。また、測定した6種の脂肪酸アミドの中でも、特にオレアミドついては、コントロールマウス群と比較してLPS投与マウス群のほうが血中濃度が顕著に低くなることがわかった。
そこで、LPS投与マウス群における血漿中のオレアミド濃度の低下が、統計学的に有意であるかどうかを調べた。また、図2に、オレアミドの血漿中濃度を、コントロールマウス群とLPS投与マウス群とについて散布図として示した。その結果、LPS投与マウス群については、血漿中のオレアミド濃度の低下が0.05水準で有意であることが確認された。
以上のことから、炎症を惹起されたマウスについては、血中の脂肪酸アミド(例えばオレアミド)の濃度が有意に低下することが認められた。したがって、この脂肪酸アミドを、例えば、生体内での感染症等の炎症の診断を下すための新規バイオマーカーとして利用できることが分かった。
〔試験2〕ヒトの血中の脂肪酸アミド濃度の測定
諸処の理由で来院した患者52名の臨床検査後の連結不可能匿名化したヒト血清サンプルについて、(株)日立ハイテクノロジーズ社製の臨床化学自動分析装置LABOSPECT008を用い、血清中のグルコースの濃度(mg/dL)を測定した。そして、この測定結果から、血中のグルコース濃度が125mg/dL未満の被験者を健常者群とし、その他の人を高血糖者群としてグループ分けした。なお、全52名の被験者のうち、健常者は36名、高血糖者は16名であった。
また、上記で採取した血液試料について、上記試験1と同様の測定条件で脂肪酸アミドの定量を行った。なお、脂肪酸アミドとしては、ミリスチン酸アミド(C14:0)、パルミチン酸アミド(C16:0)、パルミトレイン酸アミド(C16:1)、オレイン酸アミド(C18:1)、リノール酸アミド(C18:2)の5種類について定量した。その結果を、健常者群と高血糖者群とに分けて、図3にヒストグラムとして示した。図3中の破線は、健常者群についての頻度を示し、実線は高血糖者群についての頻度を示す。
図3に示すように、血中の脂肪酸アミドは、健常者群の測定平均値よりも高血糖者群の測定平均値の方が低くなることが確認された。また、測定した5種の脂肪酸アミドの中でも、特にオレアミドについては、健常者群の血中のオレアミド濃度に比べて高血糖者群のオレアミド濃度の方が大きく減少することがわかった。
そこで、高血糖者群の血中オレアミド濃度の低下が、統計学的に有意であるかどうかを調べた。また、図4に、オレアミドの血中濃度を、健常者群と高血糖者群とについて散布図として示した。その結果、高血糖者群の血中オレアミド濃度の低下は、0.05水準で有意であることが確認された。
一般に、体内で炎症が発生すると、体内の恒常性を維持することが難しくなり高血糖となることが知られている。そして、上記のように、高脂血症者群の血清において、脂肪酸アミド(例えばオレアミド)の濃度が有意に低下することが認められた。したがって、マウスに限らずヒトについても、この脂肪酸アミドを、例えば、感染症等の生体内での炎症が発生しているかどうかの診断を下すためのバイオマーカーとして利用できることが分かった。
〔試験3〕炎症モデルマウスのオレアミド濃度変化
次に、被験体として、上記試験1と同じ、通常の飼育条件で飼育した7週齢のオスのアルビノマウス(BALB/cマウス)を8個体(n=8)用意した。そしてこれらのマウスの腹腔内にLPSを2.5mg/kgの割合(高濃度)で投与して炎症モデルマウスとし、LPSの投与から、0、1、4、8、12、24、48時間のタイミングで採血した。得られた血液試料から血漿を抽出し、血漿中のオレアミドの濃度を上記試験1と同様にLC−MS/MSによって測定した。また、参考のために、炎症性サイトカインとして知られるTNF−αおよびIL−6の濃度についても、併せてLC−MS/MSにて測定した。そしてこれらの測定結果から、マウスの血中のオレアミド、TNF−αおよびIL−6の平均濃度の経時変化として、図5(a)〜(c)にそれぞれ示した。なお、炎症モデルマウスは、24時間経過後48時間までの間に1個体が死亡したため、48時間後のオレアミド濃度は7個体(n=7)について平均した値を採用している。
図5(a)に示すように、炎症モデルマウスについては、LPS投与後、1時間までの間に速やかにオレアミドの濃度が低下することが確認された。オレアミドの濃度は、投与後1時間が最も低い値であり、その後、約24時間程度まで低濃度を維持し、48時間後には凡そ元の濃度に回復する傾向が確認できた。
そこで、まず、LPS投与後1時間における、炎症モデルマウス群の血中オレアミド濃度の低下が、統計学的に有意であるかどうかを調べた。その結果、例えば図6に示されるように、LPS投与後1時間の炎症モデルマウス群の血中オレアミド濃度の低下は、0.001水準で有意であることが確認された。また、図5(a)から、LPS投与後約24時間程度までは、炎症モデルマウス群の血中オレアミド濃度の低下が有意であることも確認できた。
また、オレアミドは、オレイン酸の代謝物であり、分解物である。この点に関し、具体的には開示しないが、炎症モデルマウス群の血中オレイン酸濃度を測定すると、オレイン酸濃度は、LPSに惹起される一時的炎症によって4時間後をピークとして一時的に増えるものの、その変動はオレアミド濃度の変動と何ら相関がないことが確認できている。以上のことから、LPS投与マウス群の血中オレアミド濃度は、炎症状態に相関して変動することがわかった。
なお、炎症モデルマウス群の血漿中のTNF−α濃度は、図5(b)に示すように、LPS投与時(0時間)には検出されず、1時間後に高濃度で検出されてピークに達するが、4時間後には殆ど検出されないことが確認された。また、血漿中のIL−6濃度は、図5(c)に示すように、LPS投与時(0時間)には検出されず、1時間後に低濃度で検出され、4時間後にピークに達するが、8時間後には殆ど検出されないことが確認された。これは、従来より知られているように、TNF−αが、侵襲時に最も速やかに分泌される炎症性サイトカインであり、その半減期が20分以下と短いこと、またTNF−αがIL−6等の炎症性サイトカインの生産を刺激すること、によく一致する結果である。
以上のことから、生体内のオレアミド等の脂肪酸アミドを測定することで、生体内での炎症の発生の有無を確認できることがわかった。また、継続的に生体内のオレアミド等の脂肪酸アミドの濃度を測定することで、炎症のリスクを予測することができるといえる。なお、炎症性サイトカインとしては、さまざまな物質が知られているが、例えばオレアミド等の脂肪酸アミドは炎症の発症により速やかに濃度が低下し、その濃度低下が炎症の症状に対応して比較的長時間(例えば、6時間以上、より長く8時間以上、さらに長く12時間以上、例えば約24時間程度)維持される。したがって、ここに開示される技術によると、単一の物質の濃度測定によって生体内での炎症の発生の有無を判断でき、またその濃度測定のタイミングが制限されないために好ましい。このことにより、例えば、院内感染の有無を、1日1回の血中オレアミド濃度の測定により簡便にモニタリングすることができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれ得る。

Claims (10)

  1. 被験者から、生体試料を採取する工程、
    前記生体試料に含まれる脂肪酸アミドの濃度を測定する工程、および
    前記被験者について得られた前記脂肪酸アミドの濃度の測定値が、健常者について得られた測定結果と比較して低い場合に、前記被験者の生体内にて炎症があると判断する工程、
    を含む、炎症の診断方法。
  2. 前記生体試料は、臓器または血液である、請求項1に記載の炎症の診断方法。
  3. 前記脂肪酸アミドの濃度測定は、液体クロマトグラフィー質量分析法により実施する、請求項1または2に記載の炎症の診断方法。
  4. 前記液体クロマトグラフィー質量分析法は、
    前記生体試料中に含まれる2以上の成分を液体クロマトグラフィーで分離し、
    分離された前記成分をイオン化して四重極型質量分析器で特定質量成分を選択し、
    前記特定質量成分を解離させ、
    前記解離された成分を質量分析器で検出する、
    ことを含む、請求項3に記載の炎症の診断方法。
  5. 前記脂肪酸アミドの濃度測定は、前記脂肪酸アミドを検出する検出試薬と、前記検出試薬を固定する担体と、を含む炎症診断キットを用いて実施する、請求項1または2に記載の炎症の診断方法。
  6. 前記脂肪酸アミドがオレイン酸アミドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炎症の診断方法。
  7. 脂肪酸アミドを検出する検出試薬と、
    前記検出試薬を固定する担体と、
    を含む、炎症診断キット。
  8. 生体中の脂肪酸アミドを含む、炎症の発生を診断するためのバイオマーカー。
  9. 被験者から、生体試料を採取する工程、
    前記生体試料に含まれる脂肪酸アミドの濃度を測定する工程、および
    前記被験者について得られた前記脂肪酸アミドの濃度の測定値が、基準濃度と比較して低い場合に、前記被験者の生体内にて炎症が生じたと判断する工程、
    を含む、炎症のモニタリング方法。
  10. 前記基準濃度は、前記被験者について得られた炎症未発生時の前記脂肪酸アミドの濃度である、請求項9に記載の炎症のモニタリング方法。
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