JP2019089852A - デオドラント剤 - Google Patents
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Abstract
Description
腋の下には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺の両方が存在し、緊張や精神的ストレス時には両方の汗腺から発汗する。エクリン汗腺からの精神性発汗は、温熱性発汗に比べ短時間に急激に発汗するため、衣類の汗じみや、べたつきが生じやすい。また、エクリン汗腺からの汗由来の水や塩分にアポクリン汗腺からのタンパク質や脂質が加わった混合物が、皮膚常在菌によって分解され、腋の下は身体の他の部位よりニオイやすくなっていることが知られている。
(1)本願発明に係る1つの態様は、揮発性成分と、被膜形成成分と、有効成分として制汗成分及び/又は殺菌成分と、を含有する組成物の1回使用分量を、密封性を有する使い切り個装容器に充填したことを特徴とするデオドラント剤を提供する。
(2)上記(1)に記載のデオドラント剤において、組成物が50g/cm2以上3000g/cm2以下の硬度を有していてもよい。
(3)被膜形成成分は、上記(1)または(2)に記載のデオドラント剤において、少なくともアクリルシリコーンを含有していてもよい。
(4)さらに、上記(1)ないし(3)のいずれか1つに記載のデオドラント剤において、粉体成分を組成物の総質量に対し0.1質量%以上50質量%以下で含有してもよい。
(5)上記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載のデオドラント剤において、室温で軟固体状を呈するものであってもよい。
揮発性成分は、通常化粧品に使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン等の環状シリコーン;オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、低粘度メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、エチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン;イソドデカン、軽質流動イソパラフィン等の炭化水素;エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類;フルオロカーボン、テルペン類、水等があげられる。これらは、1種単独または2種以上の混合物として用いることができる。これらの中でも、揮発速度の観点から、環状シリコーン、鎖状シリコーン、軽質流動イソパラフィン、エタノールを含有することが好ましい。
被膜形成成分は、揮発性成分、有効成分等の各種成分を包含し、肌表面への伸展性、密着性及び耐こすれ性のある被膜を形成する成分であれば特に限定はなく、例えば、アクリル酸エステルの共重合体、メタクリル酸エステルの共重合体等のアクリル系高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、高重合度ポリエチレン、高重合度ポリイソブチレン等のビニル系高分子;ロジン酸誘導体、アビエチン酸誘導体等のテルペン系高分子;トリメチルシロキシケイ酸、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、アクリルシリコーン共重合体等のシリコーン系高分子;変性セルロース系樹脂;キャンデリラ樹脂、フッ素系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリビニルイソブチルエーテル;ポリイソブチレン等があげられる。これらは、1種単独または2種以上の混合物として用いることができる。これらの中でも、肌への伸展性・密着性の観点から、少なくともアクリルシリコーンを含有することが好ましい。さらに、アクリル系高分子とジメチルポリシロキサンからなるグラフト共重合体を含有することがより好ましい。これらの市販品としては、信越化学工業株式会社から販売されている、KP−541、KP−578、KP−543、KP−545、KP−549、KP−550、KP−561PやKP−562P等を好適に使用できる。被膜形成剤は、制汗成分や殺菌成分を肌にとどめることによって、制汗効果の即効性・持続性を向上させ、殺菌効果の持続性を向上させる。
本実施形態のデオドラント剤は、有効成分として、少なくとも制汗成分及び/又は殺菌成分を含有する。制汗成分としては、通常化粧品に使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、アラントインクロロヒドロキシアルミニウム等のアルミニウム塩、パラフェノールスルホン酸亜鉛、みょうばん等があげられる。これらは、1種単独または2種以上の混合物として用いることができる。これらの中でも、制汗効果の高さから、クロルヒドロキシアルミニウムを含有することが好ましい。
さらに、デオドラント剤には粉体成分を配合することができる。粉体成分としては、一般に化粧品に配合可能な粉体であれば特に限定はなく、例えば、タルク、マイカ、カオリン、魚鱗箔、絹雲母、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、酸化マグネシウム、無水ケイ酸、シリコーン粉末、ゼオライト、ベントナイト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、金粉、銀紛、銅紛等の無機粉体成分;ナイロン粉末、ポリアミド樹脂粉末、ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、ポリエステル粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、ポリアクリル酸アルキル粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジンセルロース粉末等の有機粉体成分;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等の金属石鹸;有機顔料;無機顔料等があげられる。これらは、1種単独または2種以上の混合物として用いることができる。この中でも、さらさら感や白残りの少なさなど使用感の観点から、タルク、無水ケイ酸、ポリアクリル酸アルキル粉末を含有することが好ましい。
デオドラント剤には、上記の成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤;トコフェロール及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体等の酸化防止剤;エデト酸塩、リン酸、ポリリン酸ナトリウム等の金属イオン封鎖剤;動物及び植物エキス;クエン酸、酒石酸等のpH調整剤;シリコーン類、保湿剤、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性)、防腐剤、着色剤、香料等を適宜配合することができる。
デオドラント剤は、1回使用分量を、密封性を有する使い切り個装容器に充填する。ここで、1回使用分量とは、通常0.1mL以上5mL以下である。これは、デオドラント剤を両腋部分に使用する際の使用量や効果の発現性から決定されるものであり、一般的に推奨される量である。デオドラント剤の1回使用分量を、密封性を有する使い切り個装容器に充填することで、持ち運びやすくなり、外出先で使用できる等、利便性が向上し、同時に、衛生的となる。
デオドラント剤は、常法に従って製造することができ、例えば、W/O型、O/W型、O/W/O型、W/O/W型、W/Si型等のエマルションや、パウダー分散の非水系であり、クリーム、ローション、軟固体、軟膏、乳液、ジェル等の種々の形態とすることができる。これらの中でも、粉体成分の配合しやすさの観点から、室温で軟固体状を呈するものが好ましい。軟固体状とは、その硬度が、400g/cm2以上2500g/cm2以下を有するものである。室温とは、1℃以上30℃以下で定義される幅を持った温度をいう。
デオドラント剤の組成物の硬度は、50g/cm2以上3000g/cm2以下を有することが好ましく、特に、100g/cm2以上2500g/cm2以下が好ましい。硬度が50g/cm2未満であると、デオドラント剤を皮膚に均一に塗布することができず、一方、3000g/cm2を超えると、皮膚へ伸ばしにくくなり、また、容器からも取出しにくくなる。硬度の測定としては、例えば、FUDOHレオメーター(株式会社レオテック製)のを用い、3φの進入弾性用アダプターをテーブルスピード 6cm/min、ストローク 10mm、25℃の条件で、試験試料の任意の部分2点を測定し、その平均値をとることにより、測定値を表すことができる。
表1に示す処方に基づき、軟固体のデオドラント剤を下記の製造方法にて調製し、各種評価を行った。すなわち、成分(B)を90℃に加熱し、成分(C)を添加し、融解して均一になるまで混合した。混合を続けながら成分(A)をゆっくりと加え、最後に、成分(D)を加えて充分に混合均一化した後に、図1に示す蓋付容器に充填したあと40℃まで冷却し、室温で軟固体状のデオドラント剤を得た。
表2に示す処方に基づき、W/Siジェルのデオドラント剤を下記の製造方法にて調製し、各種評価を行った。すなわち、成分(A)を均一に混合・分散し、油相を調製した。次に、成分(B)を混合後、成分(C)を加えて水相を調製した。得られた油相に水相を十分撹拌しながら少しずつ加え、最後に、成分(D)を撹拌しながら加えて均一に混合した。この混合液を脱泡し、図3に示す立体成型ピロー容器に充填して、W/Siジェルのデオドラント剤を得た。
表3に示す処方に基づき、O/Wクリームのデオドラント剤を下記の製造方法にて調製し、各種評価を行った。すなわち、成分(A)及び成分(B)をそれぞれ60〜80℃の範囲で加熱溶解し、成分(A)をホモミキサーにかけながら、成分(B)を徐々に加えて乳化した。品温が30℃以下になるまで冷却した後、成分(C)を投入して撹拌混合し、図2に示すピロー容器に充填して、O/Wクリームのデオドラント剤を得た。
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたデオドラント剤について、硬度、使用感、制汗効果(持続性、即効性)及び腋臭防止効果を以下の評価方法に基づいて評価した。
実施例1〜6及び比較例1〜3のデオドラント剤を、直径3.0cm、高さ2.5cmのPET樹脂製容器に対して、約2.0cmの高さに充填し、品温が一定になるまで静置し、個装容器に4.5mL充填した試験試料を作製した。FUDOHレオメーター RT‐2002D‐D(株式会社レオテック製)で3φの進入弾性用アダプターを用い、テーブルスピード 6cm/min、ストローク 10mmで、25℃の条件で、試験試料の任意の部分2点を測定し、その平均値を試験試料の硬度とした。その結果を表1ないし3に示す。
個装容器に充填した試験試料を、5名の専門パネラーが使用し、容器からの取り出しやすさ、肌への伸ばしやすさ、腋に伸ばしたときのさらさら感を評価した。評価は、特に良好な場合は◎、良好な場合は〇、やや劣る場合は△、劣る場合は×とした。その結果を表1ないし3に示す。
(3−1)即効性
被験者5名の腋の片方に試験試料を塗布し、もう片方は未塗布とした。塗布10分後に40℃、70%の恒温恒湿室に20分入り、左右の発汗の違いを評価した。評価は、塗布部の制汗効果が未塗布部に比べて特に良好な場合は◎、良好な場合は〇、同等な場合は△、劣る場合は×とした。その結果を表1ないし3に示す。
被験者5名の腋の片方に試験試料を塗布し、もう片方は未塗布とした。塗布24時間後に40℃、70%の恒温恒湿室に20分入り、左右の発汗の違いを評価した。評価は、塗布部の制汗効果が未塗布部に比べて特に良好な場合は◎、良好な場合は〇、同等な場合は△、劣る場合は×とした。その結果を表1ないし3に示す。
試験実施前に、3名の専門パネラーが被験者5名の左右の腋の臭気強度を評価した。被験者の腋の片方に試験試料を塗布し、もう片方は未塗布とした。塗布24時間後に3名の専門パネラーが左右の腋の臭気を評価し、発汗前と比較した。24時間後の臭気強度が、試料を塗布した部位が未塗布部に比べ、特に良好な場合は◎、良好な場合は〇、同等な場合は△、劣る場合は×とした。その結果を表1ないし3に示す。
2 容器本体
21 フランジ部
22 シール部
23 中空部
3 蓋材
31 開封用タブ
4 切り込み部
5 ノッチ
Claims (6)
- 揮発性成分と、被膜形成成分と、有効成分として少なくとも制汗成分及び殺菌成分と、を含有するデオドラント剤であって、
前記制汗成分の含有量が前記デオドラント剤の総質量に対し10質量%以上40質量%以下であり、
前記殺菌成分の含有量が前記デオドラント剤の総質量に対し0.01質量%以上1.0質量%以下であり、
前記揮発性成分の含有量が前記デオドラント剤の総質量に対し10質量%以上90質量%以下であり、
前記被膜形成成分の含有量が前記デオドラント剤の総質量に対し0.01質量%以上10質量%以下であり、
前記デオドラント剤が50g/cm 2 以上3000g/cm 2 以下の硬度を有する
ことを特徴とするデオドラント剤。 - 前記制汗成分がクロルヒドロキシアルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載のデオドラント剤。
- 前記被膜形成成分が少なくともアクリルシリコーンを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のデオドラント剤。
- さらに、粉体成分を前記組成物の総質量に対し0.1質量%以上50質量%以下で含有
することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のデオドラント剤。 - 室温で軟固体状を呈することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のデオドラント剤。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のデオドラント剤の1回使用分量を充填した、密封性を有する使い切り個装容器。
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