JP2019088764A - 電極、生体電極およびそれらの製造方法 - Google Patents

電極、生体電極およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】両面からの導通が容易な、電極、生体電極、およびそれらの製造方法を実現する。【解決手段】電極(1)は、シート材(2)およびその厚さ方向に導電可能な導電部(4)を有する。導電部(4)は、導電部(4)がシート材(2)の厚さ方向に導通するように分布する導電体を含む。【選択図】図6

Description

本発明は、電極、生体電極およびそれらの製造方法に関する。
心電図、筋電図、または脳波などを記録するのに必要となる生体用の電極の製造には、従来種々の検討が行われている。上記電極には、カーボンまたはグラファイト層、および銀/塩化銀層がその順でフィルムの表面に形成された電極が従来技術として知られている。当該フィルムには、ポリエステルフィルムなどの非導電性フィルムが使用される(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−95922号公報(1993年4月20日公開)
しかしながら、上記従来技術の電極では、カーボンまたはグラファイト層、および銀/塩化銀層が形成されていない側のフィルムの面(裏面)は導通しない。そのため、上記従来技術の電極では、上記フィルムの表面および裏面の導通を得るためには、フィルムに穴あけをするなどの追加的な工程が必要であった。
本発明の一態様は、両面からの導通が容易な、電極、生体電極、およびそれらの製造方法を実現することを目的とする。
本発明の第一の態様に係る電極は、シート材と、当該シート材の厚さ方向に導電可能な導電部と、を有する電極であって、上記導電部は、当該導電部が上記シート材の厚さ方向に導通するように分布する導電体を含む。
本発明の第二の態様に係る生体電極は、上記電極と、上記導電部の上に配置されている導電性ゲル層と、上記導電部に電気的に接続されているリード線と、を含む。
本発明の第三の態様に係る電極の製造方法は、通液性を有するシート材に導電体を含む導電性塗料を浸透させて上記シート材の厚さ方向に導通可能な導電部を形成する工程を含む。
本発明の第四の態様に係る生体電極の製造方法は、上記の電極の製造方法で製造された上記電極の上記導電部の上に導電性ゲル層を形成する工程と、上記導電部にリード線を電気的に接続する工程とを含む。
本発明によれば、シート材の第一の表面上の電極層のみならず第二の表面に露出する導電部にも導通が可能である。よって、両面からの導通が容易な電極、および、このような電極を有する生体電極を実現することが可能である。
本発明の実施形態1に係る電極の構成を模式的に示す断面図である。 実施形態1に係る電極の製造方法のフローチャートである。 本発明の実施形態2に係る生体電極の一例の構成を模式的に示す断面図である。 実施形態2に係る生体電極の製造方法のフローチャートである。 上記生体電極の他の例の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態3に係る電極の構成を模式的に示す断面図である。 実施形態3に係る電極を用いる生体電極の製造方法のフローチャートである。 本発明の実施形態4に係る電極の構成を模式的に示す断面図である。 実施形態4に係る電極を用いる生体電極の製造方法のフローチャートである。
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係る電極の構成を模式的に示す断面図である。実施形態1に係る電極1は、図1に示されるように、シート材2と金属層3とを有する。
シート材2は、電極1の構造を支持する観点、および電極1の取扱いを容易にする観点から、0.01〜1.5mmの厚さを有することが好ましい。また、シート材2は、通液性を有することが好ましい。シート材2の通液性は、例えば後述する導電性塗料が十分に浸透する程度であればよい。なお、シート材2は、通常、導電性を有さないが、導電性を有していてもよい。
シート材2の例には、不織布、織物、編み物、紙、合成樹脂製ネットおよび金属製ネットなどが含まれる。上記紙は、和紙であってもよいし、洋紙であってもよい。
シート材2は、不織布であってよい。当該不織布の目付は、後述の導電性塗料を塗布したときに十分に浸透させる観点から、300g/m以下であることが好ましく、200g/m以下であることがより好ましい。このような不織布には、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアーレイド法などの公知の製法による適当な不織布を用いることができる。
上記不織布の材料は、樹脂であってよく、当該樹脂の例には、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、およびポリブチレンテレフタレートが含まれる。上記不織布は、市販品であってよい。市販品の例には、マリックス#20451FLV、#20457FLV(いずれもユニチカ株式会社製、「マリックス」は同社の登録商標)、および、エルタスE05030、EC5045C、E05050(いずれも旭化成株式会社製、「エルタス」は同社の登録商標)が含まれる。
金属層3は、シート材2の一方の表面に配置されている。金属層3は、導電層に該当する。当該導電層を構成する材料は、電極1としての十分な導電性を有する範囲において、適宜に決めることができる。たとえば、上記導電層は、導電性を有する導電性組成物の膜であってよい。このような導電層は、例えば、導電性のインキの塗布によって作製することが可能である。
金属層3は、シート材2の一表面の全体を覆っていてもよいし、その一部に配置されていてもよい。シート材2の一表面における金属層3の数および形状は、限定されない。たとえば、金属層3は、シート材2の表面の所定の領域の全体を覆うように配置されていてもよいし、当該領域に分散して配置されていてもよい。すなわち、金属層3は、シート材2の表面に、べた印刷によって配置された部分であってもよいし、ドットまたはストライプのようなパターン状に印刷された部分であってもよい。
金属層3の金属材料は、導電性、耐食性などの耐久性、およびコストなどの諸条件を考慮し、本実施の形態の効果が得られる範囲において適宜に選択され得る。当該金属材料は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、金、銀、銅、ニッケル、スズ、アルミニウム、亜鉛、酸化インジウムスズ、およびチタンなどが含まれる。中でも、銀は、金属層3とした場合に高い耐久性を呈する観点、金属層3とした場合に生体電極における他の部材に対して適度な親和性を呈する観点、およびX線透過性に優れる観点、から好ましい。
金属層3の厚さは、例えば、金属材料の種類および金属層の作製方法に応じて適宜に決めることが可能である。また、金属層3の厚さは、薄すぎると、シート材2における後述の導電部と電気的接点が不十分となることがある。また、厚すぎると、電極1の柔軟性が低くなり、電極1の取扱い性が低くなることがある。これらの観点から、金属層3の厚さは、例えば0.03〜20μmの範囲から選ぶことができ、0.1〜2μmであることが好ましい。より具体的には、金属層3が銀の蒸着膜である場合では、金属層3の厚さは、0.03μm以上であることが好ましく、0.06μm以上であることがより好ましい。また、金属層3の厚さは、2μm以下であることが好ましく、0.4μm以下であることがより好ましい。
金属層3の作製方法の例には、真空蒸着のほかに、めっき法および熱転写法が含まれる。優れた可撓性を有する金属層が得られる観点、および、量産しやすくコストのメリットが見込まれる観点、から、金属層3の作製方法は、真空蒸着であることが好ましい。
シート材2は、導電部4を含む。導電部4は、導電性を有する部分であり、シート材2の厚さ方向に導通可能な部分である。また、導電部4は、シート材2における特定の一以上の金属層3と接触する位置に配置されている。導電部4のシート材2における数および形状は限定されない。
たとえば、導電部4は、シート材2の表面において、金属層3と同様に、シート材2の表面の所定の領域の全体を覆うように配置されていてもよいし、当該領域に分散して配置されていてもよい。また、導電部4は、シート材2の厚さ方向において、導電部4の全体として電気的に連続して分布していればよい。たとえば、導電部は、シート材2の表面に位置する部分からシート材2の裏面までシート材2の厚さ方向に連続して分布していてもよい。あるいは、シート材2の厚さ方向に独立して位置する複数の部分がシート材2の表面方向において接続して、シート材2の厚さ方向に導通可能な導電部4が構成されてもよい。なお、「導電部が電気的に連続して分布する」とは、上記導電部が、その所期の導電性を発現するのに十分な密度でシート材中に存在することを意味する。
導電部4は、導電部4がシート材2の厚さ方向に導通するように分布する導電体を含む。当該導電体は、シート材2の面方向における分布に関わらず、シート材2の厚さ方向の全体に電気的に連続して分布していればよい。上記導電体は、導電性を有する物質であればよく、粒子であってよい。「導電体が電気的に連続して分布する」とは、上記導電体が導電部4における所期の導電性を発現するのに十分な密度でシート材中に存在することを意味する。導電部4における適切な導電体の分布は、例えば、導電体の状態およびシート材2の通液性に応じて適宜に実現することが可能である。
上記導電体は、一種でもそれ以上でもよい。当該導電体の例には、イオン導電剤および電子導電剤が含まれる。イオン導電剤の例には、ヨウ化銀、ヨウ化銅、塩化銀、過塩素酸リチウム、トリフロオロメタンスルホン酸リチウム、有機ホウ素錯体のリチウム塩、リチウムビスイミド((CFSONLi)、およびリチウムトリスメチド((CFSOCLi)が含まれる。電子導電剤の例には、金属粒子および炭素化合物の粒子が含まれる。金属粒子の金属の例には、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、およびステンレス鋼が含まれる。上記炭素化合物の例には、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、およびカーボンナノチューブが含まれる。耐食性の観点から、上記導電体は、上記炭素化合物であることが好ましく、入手の容易さの観点からカーボン粒子であることが好ましい。
電極1は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、前述したシート材2、金属層3、および導電部4以外の他の構成をさらに有していてもよい。たとえば、電極1は、導電性塗膜5をさらに有していてもよい。
導電性塗膜5は、導電部4におけるシート材2の金属層3側とは反対側の表面の部分に配置されている。導電性塗膜5は、導電性の組成物で形成された層であり、例えば、導電体を含有する導電性塗料がシート材2に浸透した後に残る部分である。導電性塗膜5は、例えば、後述する製造方法における導電性塗料の塗布によって形成される。導電性塗膜5は、シート材2における金属層3とは反対側から導電部4の位置を明示する観点、および、導電部4との電気的な接続を高める観点から好ましい。
また、電極1は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、シート材2と金属層3との間に他の層が介在していてもよいし、金属層3上にさらなる層を有していてもよい。このような任意に追加され得る層は、いずれも十分な通電性を有していればよい。
電極1は、以下の方法によって製造することができる。図2は、電極1の製造方法のフローチャートである。
まず、シート材2を準備する(S21)。シート材2は、市販品をそのまま用いてもよいし、適当な形状に切断して用いてもよい。
次いで、シート材2の一方の表面に金属層3を形成する。上記蒸着膜の作製方法の例には、真空蒸着、スパッタリング、およびイオンプレーティングが含まれる。また、金属層3の他の作製方法の例には、金属メッキ法が含まれる。たとえば、シート材2の一方の表面に金属の蒸着膜を形成する。金属層3は、たとえば、公知のマスキング技術を利用することにより、シート材2の一方の表面の任意の位置に任意の形状で形成される。
次いで、シート材2の他方の表面に導電性塗料を塗布する(S23)。導電性塗料は、シート材2の一方の表面側の金属層3に重なる位置に塗布される。上記導電性塗料のシート材2への塗布は、コート印刷などの公知の塗布方法によって行うことが可能である。当該塗布方法の例には、グラビア法、ダイコート法、コンマコート法、ロールコート法、ディッピング法、スクリーン法、およびロータリースクリーン法が含まれる。
塗布された導電性塗料は、通液性を有するシート材2に浸透し、シート材2を厚さ方向に横断して金属層3に到達する。こうして、導電部4が形成される。
上記導電性塗料は、上記導電体を含有する。導電性塗料は、導電体のみを含んでいても良いし、導電体とバインダーなどの分散媒とを含有していてもよい。当該分散媒は、上記導電性塗料中において導電体の分散媒として機能する、流動性を有する媒体であればよい。当該分散媒は、一種でもそれ以上でもよい。
上記導電性塗料における導電体の含有量は、導電部4の十分な導電性を発現させる観点から適宜に決めることが可能である。なお、導電部4の導電性は、導電性塗料における導電体の含有量のほかに、導電性塗料の塗布量、塗布回数または粘度によって調整することが可能である。
上記導電性塗料は、カーボン粒子を含有するインクであることが好ましい。導電性塗料は、適宜に調製することによって入手することが可能であるが、市販品であってもよい。上記カーボン粒子を含有するインクの市販品の例には、日本黒鉛工業株式会社製の「UCC−2」、十条ケミカル株式会社製の「JELCON CH−8」、および、東洋紡株式会社製の「DY−200L−2」が含まれる。
上記製造方法は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、前述した工程以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。
電極1の製造では、通液性を有するシート材2に導電性塗料をコート印刷して含浸させることにより、シート材2の他方の表面から一方の表面の金属層3まで至る導電部4が形成される。このように、電極1には、通液性を有するシート材2の表裏面への蒸着およびコーティングによるシート材2の表裏間の導通が形成されている。シート材に代えてフィルムを有する従来の電極では、当該フィルムの表裏間の導通を得るためには、フィルムに穴をあけるなどの工夫が必要となる。
電極1は、上記の構成を有することから、シート材2の裏側(他方の表面側)に端子を接続することが可能である。よって、電極1の金属層3側の表面には、例えば各種の機能性のコート剤をコートすることが可能となる。このように、電極1は、それを用いる製品の構成、機能の自由度が高く、これらの点で有利である。
電極1は、以下に説明する生体電極に好適に用いられる。
〔実施形態2〕
図3は、本発明の実施形態2に係る生体電極の一例の構成を模式的に示す断面図である。生体電極10は、電極1と、金属層3上に配置されている塩化銀層11と、塩化銀層11上に配置されている導電性ゲル層12と、導電性塗膜5に電気的に接続されているリード線13とを含む。塩化銀層11および導電性ゲル層12は、公知の生体電極のそれらと同様に構成することが可能である。
塩化銀層11は、塩化銀を含有する層である。塩化銀層11の厚さは、イオン電導の安定性の観点から3〜30μmであることが好ましい。また、塩化銀層11における塩化銀の含有量は、生体電極としての所期の機能が発現される範囲から適宜に決めることができ、例えば1〜10質量%である。
導電性ゲル層12は、導電性ゲルを含有する層である。導電性ゲル層12の厚さは、生体への十分な粘着力と生体への必要な電気伝導性が得られる範囲から適宜に決めることができ、例えば0.5〜2mmである。導電性ゲルには、公知の、例えば皮膚適合性を有する自己粘着性の導電性ゲルを用いることができる。
上記導電性ゲルは、通常、ゲルと電解質とを含有する。当該ゲルの例には、アルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとアクリル酸などの不飽和カルボン酸との架橋共重合体、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、および水を含有する組成物からなるゲルが含まれる。なお、上記不飽和カルボン酸は、部分的に中和されていてもよい。
上記電解質の例には、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属のハロゲン化物が含まれる。上記導電性ゲルは、上記の接着性および導電性が得られる範囲において他の成分をさらに含有していてよい。当該他の成分の例には、保湿成分、香料、着色剤、および薬効成分が含まれる。保湿成分の例には、乳酸、尿素、およびヒアルロン酸が含まれる。
塩化銀層11および導電性ゲル層12の数および形状は、限定されない。たとえば、これらの平面視したときの形状は、生体電極の用途で使用可能な範囲において適宜に決めることができる。塩化銀層11および導電性ゲル層12の形状は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
リード線13は、カーボン線、スズメッキCu線、およびAl線などの導線とそれを被覆する絶縁層とを有する通常のリード線であってよい。リード線13の数は、限定されない。リード線13が接続している導電部4の数も、限定されない。
生体電極10は、心電測定用電極として適用され得る。心電測定用電極の例には、除細動器に用いられる使い捨てパッド電極が含まれる。当該除細動器の例には、体外式除細動器、半自動除細動器、および、自動体外式除細動器(AED)、が含まれる。
生体電極10は、以下の方法によって製造することができる。図4は、生体電極10の製造方法のフローチャートである。
生体電極10の製造では、図4に示されるように、電極1の製造方法で製造された電極1の金属層3上に塩化銀層11が形成される(S24)。電極1は、前述したように、例えばステップ21からステップ23によって製造され得る。塩化銀層11は、公知の方法によって作製することが可能である。たとえば、塩化銀層11は、金属層3の表面に、塩化銀を含むコート剤を、ダイコート法、コンマコート法またはディッピング法などの公知の印刷技術を用いて、所望の厚さに均一に印刷することにより形成され得る。
次いで、形成された塩化銀層11上に導電性ゲル層12を形成する(S25)。導電性ゲル層12も、公知の方法によって作製することが可能である。たとえば、導電性ゲル層12は、塩化銀層11の表面に、塩化銀層11と同様に塗布または印刷によって形成されてもよい。あるいは、導電性ゲル層12は、離型性フィルム上に形成された導電性ゲル層を塩化銀層11に貼りつけ、必要に応じて離型性フィルムを剥がすことによって形成されてもよい。
一方で、導電部4にリード線13が電気的に接続される(S26)。ただし、リード線13は、導電部4の作製後の任意のタイミングで導電部4に電気的に接続され得る。リード線13の導電部4への電気的な接続は、リード線13の導線を導電部4に電気的に接続する公知の方法によって行うことができる。当該電気的な接続では、導電部4の表面に固定される導電性の留め具などの他の部材が用いられてもよい。リード線13における導電部4の接続端とは反対側の端部には、生体電極に接続される装置(例えば前述した除細動器)またはそれに接続するためのコネクタが接続されていてもよい。
このように、本実施形態によれば、シート材2に印刷したカーボン粒子を含有する導電性塗料によって、シート材2の裏面の全体から電気信号を送受信することが可能となり、リード線13の接続面積をより一層大きくすることが可能である。よって、生体電極10では、従来の生体電極に比べて、生体電気信号の検出感度をより一層高くすることができ、また、応答速度をより一層速くすることができる。さらに、電極電位の可逆性に優れた生体電極10が提供されることから、生体電極10の電気特性がより一層向上(低インピーダンス化)され得る。
シート材2は、通液性を有することから、一般に柔軟性に富み、よって生体電極10の生体への密着性がより一層高められる。
〔実施形態1、2の変形例〕
なお、電極1の導電部4では、導電体としてカーボン粒子が用いられているが、当該導電体は、カーボン粒子とともに金属粉を含んでいてもよい。
また、電極1の製造方法では、金属層3は、導電部4に先立って形成されているが、金属層3と導電部4とがシート材2の厚さ方向に沿って視たときに相対的に重なる位置にある範囲において、導電部4の後に形成されてもよい。
また、生体電極10では、リード線13は、図5に示されるように、金属層3に電気的に接続されていてもよい。さらに、リード線13は、導電部4および金属層3の両方に電気的に接続されていてもよい。
〔実施形態1、2のまとめ〕
本発明の態様1に係る電極は、シート材と、前記シート材上に配置されている導電層とを有する。そして、シート材は、その厚さ方向に導電可能な導電部を含み、この導電部は、当該導電部がシート材の厚さ方向に導通するように分布する導電体を含む。
上記の構成によれば、シート材における導電層を有さない表面(他方の表面)にも導電部が露出する。よって、シート材の一方の表面側の導電層、および、シート材の他方の表面側の導電部、のいずれからも導通が容易に可能である。
本発明の態様2に係る電極は、上記態様1において、上記導電体がカーボン粒子であってよい。
上記の構成は、電極の耐食性を高める観点からより一層効果的である。
本発明の態様3に係る電極は、上記態様1または2において、上記導電層が金属層を含んでもよい。
上記の構成は、電極の耐久性および生産性を高める観点からより一層効果的である。
本発明の態様4に係る電極は、上記態様3において、金属層が金属の蒸着層であってよい。
上記の構成は、所望の形状、例えば精密なパターンを有する金属層を実現する観点からより一層効果的である。
本発明の態様5に係る電極は、上記態様1〜4のいずれかにおいて、金属層の金属材料が、金、銀、銅、ニッケル、スズ、アルミニウム、亜鉛、酸化インジウムスズ、およびチタンからなる群から選ばれる一以上の金属材料であってよい。
上記の構成は、電極の耐食性を高める観点、あるいは電極の製造コストを抑制する観点から、より一層効果的である。
本発明の態様6に係る電極は、上記態様1において、シート材が、不織布、織物、編み物、紙、合成樹脂製ネットおよび金属製ネットからなる群から選ばれる一以上の部材であってよい。
上記の構成は、電極の強度および取扱いの容易さを高める観点からより一層効果的である。
本発明の態様7に係る生体電極は、上記形態のいずれかの電極と、導電層上に配置されている塩化銀層と、塩化銀層上に配置されている導電性ゲル層と、導電層または導電部に電気的に接続されているリード線とを含む。
上記構成によれば、シート材における導電層を有さない表面にも導電部が露出する。よって、リード線をシート材の両面のいずれにも、すなわち導電層および導電部のいずれにも接続することが可能である。よって、生体電極の構成の自由度が高まる。
本発明の態様8に係る生体電極は、上記態様6において、心電測定用電極であってよい。
本発明の態様9に係る電極の製造方法は、通液性を有するシート材の表面に導電層を形成する工程と、シート材における導電層と重なる位置に、導電体を含む導電性塗料を浸透させてシート材の厚さ方向に導通可能な導電部を形成する工程とを含む。
上記の構成によれば、シート材の一方の表面側の導電層、および、シート材の他方の表面側の導電部、のいずれからも導通が容易に可能な電極を製造することができる。
本発明の態様10に係る電極の製造方法は、上記態様8において、上記導電性塗料にカーボン粒子を含有するインクを用いることができる。
上記の構成は、電極の耐食性を高める観点からより一層効果的である。
本発明の態様11に係る生体電極の製造方法は、上記態様の電極の製造方法で製造された電極の導電層上に塩化銀層を形成する工程と、形成された塩化銀層上に導電性ゲル層を形成する工程と、導電層または導電部にリード線を電気的に接続する工程とを含む。
上記の構成によれば、導電層および導電部のいずれにも接続することが可能な、構成の自由度の高い生体電極を製造することができる。
〔実施形態3〕
以下に、本発明におけるさらなる実施形態を説明する。前述した実施形態と重複する事項についてはその説明を繰り返さないことがある。
図6は、実施形態3に係る電極の構成を模式的に示す断面図である。電極20は、シート材2および導電性ゲル層12を有する。シート材2は、導電性塗料15を含浸している。シート材2における導電性塗料15を含浸している部分は、導電部4に該当している。
導電性塗料15は、導電体として導電性ゲル層12に対して良好な親和性を示す成分が含まれる。たとえば、導電性ゲル層12が前述した電解質を含有する場合には、導電性塗料15は、導電体として前述したハロゲン化銀を含む。上記の場合、導電性塗料15における当該ハロゲン化銀の含有量は、導電部4が導電性ゲル層12に対して十分な親和性と十分な導電性とを発現する範囲において適宜に決めることが可能である。上記導電体は、一種でもよいし他の導電体をさらに含んでいてもよい。他の導電体の種類および量は、例えば導電部4に十分な導電性を発現させる観点から適宜に決めることが可能である。
本実施形態において、生体電極は、以下の方法によって製造することができる。図7は、電極20を用いた生体電極の製造方法のフローチャートである。
まず、シート材2を準備する(S31)。このシート材2の準備は、前述したステップS21と同様に実施することが可能である。
次いで、シート材2に塩化銀を含有する導電性塗料(AgCl含有導電性塗料)を塗布する(S32)。この導電性塗料の塗布方法は、シート材2の厚さ方向に十分に通電する導電部を形成可能な範囲において、公知の塗布方法から適宜に決めることが可能である。
次いで、上記導電性塗料が含浸されたシート材2の表面に導電性ゲルを塗布して導電性ゲル層12を作製する(S33)。導電性ゲルの塗布は、前述したステップS25と同様に実施することが可能である。
次いで、シート材2にリード線を配置する(S34)。シート材2におけるリード線の接続位置は、導電部4における任意の位置に適宜に決めることが可能である。たとえば、当該接続位置は、シート材2の一方の表面における導電性ゲル層12の周囲の部分であってもよい。また、上記接続位置は、シート材2の他方の表面(導電性ゲル層12とは反対側の表面)であってもよい。さらに、上記接続位置は、シート材2の内部であってもよい。このようにして、電極20から生体電極を製造することが可能である。
電極20は、導電部4上に直接導電性ゲル層12を配置することから、前述した導電層が不要となる。本実施形態は、前述した導電層を含む実施形態1、2に比べて、さらに、生体電極の構成をより簡易化することができ、その製造をより簡素化することができる。
〔実施形態4〕
以下に、本発明におけるさらなる実施形態を説明する。本実施形態は、複数種の導電性塗料をシート材に含浸させた以外は、実施形態3と同様である。前述した実施形態と重複する事項についてはその説明を繰り返さないことがある。
図8は、実施形態4に係る電極の構成を模式的に示す断面図である。電極30は、シート材2とその表面に配置されている導電性ゲル層12とを有する。シート材2は、二種の導電性塗料による導電部4を有している。
すなわち、シート材2の厚さ方向における一方の表面側の部分には、第一導電性塗料15が含浸されており、他方の表面(裏面)側の部分には、第二導電性塗料25が含浸されている。シート材2における第一導電性塗料15が含浸している部分と第二導電性塗料25が含浸している部分とは、シート材2の厚さ方向において、例えば一方が他方にまで含浸することで十分に接している。導電部4は、シート材2における、第一導電性塗料15および第二導電性塗料25が上述のようにシート材2の厚さ方向において十分に含浸している部分である。
本実施形態において、生体電極は、以下の方法によって製造することができる。図9は、電極30を用いた生体電極の製造方法のフローチャートである。
まず、シート材2を準備する(S41)。このシート材2の準備は、前述したステップS21と同様に実施することが可能である。
次いで、シート材2にその表面側から第一導電性塗料15を塗布する(S42)。第一導電性塗料15は、例えば前述した塩化銀を含有する導電性塗料(AgCl含有導電性塗料)である。
次いで、シート材2にその裏面側から第二導電性塗料25を塗布する(S43)。第二導電性塗料25は、例えば前述したカーボン粒子を含有するインク(C含有導電性塗料)である。
これらの第一、第二導電性塗料15、25の塗布方法は、シート材2の表面から十分な深さまで導電性塗料をシート材2に含浸させることが可能な範囲において、公知の塗布方法から適宜に決めることが可能である。シート材2における第一、第二導電性塗料15、25が含浸された部分では、シート材2の厚さ方向において一方が他方と少なくとも接していればよいが、一方が他方と重なることが、十分に導通可能な導電部4を実現させる観点から好ましい。
次いで、第一、第二の導電性塗料15、25が含浸したシート材2の表面に導電性ゲルを塗布して導電性ゲル層12を作製する(S44)。導電性ゲルの塗布は、前述したステップS25と同様に実施することが可能である。
次いで、シート材2にリード線を配置する(S45)。シート材2におけるリード線の接続位置は、上記導電部へ十分に通電可能な範囲において適宜に決めることが可能であり、例えば前述した実施形態3におけるステップS34と同様に実施することが可能である。このようにして、電極30から生体電極を製造することが可能である。
電極30は、導電部4上に直接導電性ゲル層12を配置することから、前述した導電層が不要となる。本実施形態も、前述した実施形態3と同様に、前述した導電層を含む実施形態1、2に比べて、さらに、生体電極の構成をより簡易化することができ、その製造をより簡素化することができる。
〔実施形態3、4の変形例〕
電極20、30は、シート材2の表面における導電部と重なる位置に配置されている導電層をさらに含んでもよい。このような構成によれば、実施形態1と同様の構成の電極を構成することが可能となり、実施形態2と同様の生体電極を構成することが可能となる。
実施形態3、4における生体電極は、導電部と導電性ゲル層12との間に、導電部4の上に配置されている導電層、および、当該導電層の上に配置されている塩化銀層、をさらに有し、リード線は、導電部4または上記導電層に電気的に接続されていてもよい。このような構成によれば、実施形態2と同様の構成の電極を構成することが可能となる。このように、本発明では、上記リード線は、導電部4と直接電気的に接続されていてもよいし、上記導電層のような導電性を有する他の構成を介して導電部と電気的に接続されていてもよい。
電極20、30の製造方法は、シート材2の表面における導電部4と重なる位置に導電層を形成する工程をさらに含んでいてもよい。このような構成によれば、実施形態1と同様の構成の電極を製造することが可能となる。
実施形態3、4における生体電極の製造方法は、導電部4の上に導電層を形成する工程と、導電層の上に塩化銀層を形成する工程と、をさらに含み、導電性ゲル層12を形成する工程は、塩化銀層の上に導電性ゲル層12を形成する工程であり、リード線を電気的に接続する工程は、導電層または導電部にリード線を電気的に接続する工程であってもよい。このような構成によれば、実施形態2と同様の構成の生体電極を製造することが可能となる。
〔実施形態3、4のまとめ〕
本発明の態様12に係る電極は、シート材と、シート材の厚さ方向に導電可能な導電部とを有する。導電部は、導電部がシート材の厚さ方向に導通するように分布する導電体を含む。
上記の構成によれば、実施形態1に係る電極と同様に、シート材の表裏いずれの面からも導通が可能となる。加えて、実施形態1に係る電極に比べて、より簡素に電極を構成することができる。
本発明の態様13に係る電極は、上記態様12において、導電体がカーボン粒子を含んでいてもよい。
上記の構成は、電極の耐食性を高める観点、および導電部の導電性適宜に調整する観点、からより一層効果的である。
本発明の態様14に係る電極は、上記態様12または13において、導電体が塩化銀を含んでいてもよい。
上記構成は、上記電極を生体電極の用途に適用する観点からより効果的である。
本発明の態様15に係る生体電極は、上記態様12〜14のいずれかに記載の電極と、導電部の上に配置されている導電性ゲル層と、導電部に電気的に接続されているリード線と、を含む。
上記構成によれば、実施形態2に係る生体電極と同様に、生体電極の構成の自由度を高めることができる。加えて、実施形態2に係る生体電極に比べて、生体電極をより簡素に構成することができる。
本発明の態様16に係る生体電極は、心電測定用電極であってよい。
本発明の態様17に係る電極の製造方法は、通液性を有するシート材に導電体を含む導電性塗料を浸透させて、シート材の厚さ方向に導通可能な導電部を形成する工程を含む。
上記の構成によれば、実施形態1に係る電極の製造方法と同様に、表裏のいずれの面からも導通が容易に可能な電極を製造することができる。加えて、実施形態1に係る電極の製造方法に比べて、このような電極をより簡易に製造することが可能である。
本発明の態様18に係る電極の製造方法は、上記態様17において、導電体にカーボン粒子を用いてもよい。
上記構成は、前述の態様13と同じ効果を奏する。
本発明の態様19に係る電極の製造方法は、上記態様17または18において、導電体に塩化銀を用いてもよい。
上記構成は、前述の態様14と同じ効果を奏する。
本発明の態様20に係る生体電極の製造方法は、上記態様17〜19のいずれかに記載の電極の製造方法で製造された電極の導電部の上に導電性ゲル層を形成する工程と、導電部にリード線を電気的に接続する工程とを含む。
上記の構成によれば、実施形態2に係る生体電極の製造方法と同様に、生体電極の構成の自由度を高めることができる。加えて、実施形態2に係る生体電極の製造方法に比べて、生体電極をより簡易に製造することができる。
実施形態3、4によれば、実施形態1、2の効果に加えて、電極および生体電極の構成の自由度をより一層高めることが可能となる。
[実施例1]
シート材として不織布であるユニチカ株式会社製「マリックス#20451FLV」 を使用し、その一方の表面に、厚さ1000Å(0.1μm)の銀の金属層を真空蒸着よって作製した。また、シート材の他方の表面には、カーボンインク(「CI」とも言う)をスクリーンコート法によって塗布した。上記CIには、日本黒鉛工業株式会社製の「UCC−2」を用いた。CIは、シート材に浸透し、シート材の他方の表面にはCIの層が形成された。CI層の厚さは、3μmであった。こうして電極A1を作製した。
また、CIの塗布条件を変えることにより、CI層の厚さを5μm、10μm、および15μmにそれぞれ変更した以外は、電極A1と同様に作製して、電極A2〜A4をそれぞれ作製した。
[電極の評価]
電極A1〜A4のそれぞれについて、金属層、導電部、および電極全体の電気抵抗値を測定した。金属層は、シート材の表面上の銀の蒸着膜である。金属層の電気抵抗値は、金属層の表面における任意の二点間(10mm間)の電気抵抗値であり、フルーク社製デジタル・マルチメーターFLUKE85によって測定した。
導電部は、シート材のCIが塗布され、浸透した部分であり、前述の実施形態における導電部および導電性塗膜である。導電部の電気抵抗値は、導電性塗膜の表面における任意の二点間(10mm間)の電気抵抗値であり、フルーク社製デジタル・マルチメーターFLUKE85によって測定した。
電極全体の電気抵抗値は、電極の厚さ方向における導電性塗膜と金属層との間の電気抵抗値である。当該電気抵抗値の測定では、まず、金めっき金属プレート上に約100mm×100mmの電極を置き、その上に円柱状の金メッキ金属(φ30mm×40mmh、225g)を置く。こうして、金メッキ金属プレートと円柱状の金メッキ金属との間に上記電極を挟む。そして、当該金属プレートと金メッキ金属との間の電気抵抗をフルーク社製デジタル・マルチメーターFLUKE85によって測定した。結果を表1に示す。
Figure 2019088764
電極A1では導通が検出されなかった。これは、CI層の厚みが薄く、シート材へのCIの浸透が不十分であるために十分に通電可能な導電部が形成されなかったため、と考えられる。
電極A2では、導通が検出され、電極A3、A4では、電極全体において十分かつに安定した導通が検出された。
[実施例2]
電極A3の金属層の表面に、塩化銀ペーストをスクリーン法によって塗布し、塗膜を乾燥させ、厚さ10〜15μmの塩化銀層を作製した。塩化銀ペーストは、キシダ化学株式会社製の「塩化銀(I)特級」と、インキバインダーとしての日本合成化学工業株式会社製の「ニチゴーポリエスターLP035」(「ニチゴーポリエスター」は同社の登録商標)とを含有する組成物である。上記スクリーン法では、180メッシュのポリエステル版を用いた。上記塩化銀層の表面に、積水化成品工業株式会社製の「テクノゲル」(同社の登録商標)を貼り付けた。当該テクノゲルは、前述の実施形態における導電性ゲル層である。こうして、生体電極B1を作製した。
また、電極A3に代えて電極A4を用いる以外は生体電極B1と同様にして生体電極B2を作製した。
[実施例3]
不織布に導電性インキをディッピング法で含浸させて電極A5を作製した。不織布には、旭化成株式会社製エルタスEC5045Cを用いた。導電性インキは、カーボン、金属銀および塩化銀を含有する混合インキであり、下記に示す組成を有する。電極A5は、カーボン、金属銀および塩化銀を導電体として含む導電部を有している。そして、当該導電部の表面に、導電性ゲル層として上記テクノゲルを貼り付けた。こうして、生体電極B3を作製した。
(導電性インキの組成)
UCC−2 79質量%
塩化銀(I)特級 5質量%
銀粉 16質量%
なお、「銀粉」には「Ag−4−8F」(DOWAエレクトロニクス社製、形状:球状、平均粒子径:2.2μm)を用いた。
[実施例4]
不織布の一方の面にはCIを、他方の面には上記導電性インキを用い、グラビアコート法によりそれぞれ5〜8g/mの量で塗布した以外は実施例3と同様にして、電極A6を作製した。電極A6におけるCI層および導電性インキ層は、互いに不織布の厚さ方向において十分に接触し、一部重複する導電部を有している。そして、当該導電部の表面に、導電性ゲル層として上記テクノゲルを貼り付けた。こうして、生体電極B4を作製した。
[生体電極の評価]
生体電極B1、B2のそれぞれについて、心電測定法に準ずる電気特性を試験した。より具体的には、上記生体電極のインピーダンス(ACインピーダンス(10Hz))およびオフセット電圧(DCオフセット電圧)を測定した。生体電極のインピーダンスおよびオフセット電圧は、米国国家規格協会(ANSI)/米国医療機器振興協会(AAMI)規格EC12の測定方法である。
より詳しくは、生体電極B1〜B4のそれぞれについて、の二つの電極にゲルを貼り、ゲル面同士を貼り合せ、各生体電極に測定用プローブ端子を接続した。すなわち、生体電極B1〜B4のそれぞれを2.5cm×4.5cmの短冊状に2枚カットし、カットしたそれぞれの導電性ゲル面同士を貼り合せて評価試験片とし、当該評価試験片に測定用プローブ端子を接続した。
そして、当該評価試験片を用いてインピーダンスおよびオフセット電圧を測定した。インピーダンスおよびオフセット電圧の測定には、CALM社製Surface Electrode Analysis Meter ECGテスターを用いた。上記電気特性の試験は、それぞれ、試験数N=3で行い、測定値の平均値を評価値とした。
結果を表2に示す。なお、上記規格において、ACインピーダンス(10Hz)は、平均で2kΩ以下であればよい。また、DCオフセット電圧は、平均で100mV以下であればよい。
Figure 2019088764
表2から明らかなように、生体電極B1〜B4のインピーダンスおよびオフセット電圧は、いずれも、米国国家規格協会(ANSI)および米国医療機器振興協会(AAMI)の規格をクリアーした。この結果から、生体電極B1〜B4のいずれも、心電測定用基材に応用が可能であることがわかる。
[考察]
上記の実施例より、本発明について、以下の利点が考えられる。
一般に、従来の生体電極用の電極は、表裏間での導通を得るためには、電極に貫通孔を形成し、当該貫通孔中に導体を充填して通電路を形成するスルーホール法などの付加的な方法の適用が必要である。これに対して、上記実施例の電極および生体電極は、このような表裏間での導通が得られように、導電材料の印刷によって作製されている。よって、スルーホール法のような付加的な方法を適用することなく、表裏間での導通が得られる。
電極の裏面をも集電位置として電気接点を設けることができる。よって、生体電極のようなアセンブリにおいて、その使用形態および使用方法の選択肢をより多くすることができる。
生体電極では、導電層としての金属層の全体を被覆することが可能であるので、金属層の露出を防止することができる。導電部において、カーボンなどの腐食に対して安定な導電体を用いることにより、導電体の腐食およびそれによる導通不良を防止することができる。
上記電極および生体電極において、導電層を配置せず、導電部に導電層の役割を担わせることも可能である。このような構成によれば、上記利点に加えて、より簡素な構成を有する電極および生体電極を構成することができる。
1 電極
2 シート材
3 金属層
4 導電部
5 導電性塗膜
10 生体電極
11 塩化銀層
12 導電性ゲル層
13 リード線
15 (第一)導電性塗料
25 第二導電性塗料

Claims (17)

  1. シート材と、前記シート材の厚さ方向に導電可能な導電部と、を有する電極であって、
    前記導電部は、前記導電部が前記シート材の厚さ方向に導通するように分布する導電体を含む、電極。
  2. 前記導電体は、カーボン粒子を含む、請求項1に記載の電極。
  3. 前記導電体は、塩化銀を含む、請求項1または2に記載の電極。
  4. 前記シート材の表面における前記導電部と重なる位置に配置されている導電層をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項の電極。
  5. 前記導電層は、金属層を含む、請求項4に記載の電極。
  6. 前記金属層は、金属の蒸着層である、請求項5に記載の電極。
  7. 前記金属層の金属材料は、金、銀、銅、ニッケル、スズ、アルミニウム、亜鉛、酸化インジウムスズ、およびチタンからなる群から選ばれる一以上の金属材料である、請求項5または6に記載の電極。
  8. 前記シート材は、不織布、織物、編み物、紙、合成樹脂製ネットおよび金属製ネットからなる群から選ばれる一以上の部材である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電極。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の前記電極と、前記導電部の上に配置されている導電性ゲル層と、前記導電部に電気的に接続されているリード線と、を含む、生体電極。
  10. 前記導電部と前記導電性ゲル層との間に、前記導電部の上に配置されている導電層、および、前記導電層の上に配置されている塩化銀層、をさらに有し、
    前記リード線は、前記導電部または前記導電層に電気的に接続されている、請求項9に記載の生体電極。
  11. 心電測定用電極である、請求項9または10に記載の生体電極。
  12. 電極の製造方法であって、
    通液性を有するシート材に導電体を含む導電性塗料を浸透させて前記シート材の厚さ方向に導通可能な導電部を形成する工程を含む、電極の製造方法。
  13. 前記導電体にカーボン粒子を用いる、請求項12に記載の電極の製造方法。
  14. 前記導電体に塩化銀を用いる、請求項12または13に記載の電極の製造方法。
  15. 前記シート材の表面における前記導電部と重なる位置に導電層を形成する工程をさらに含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
  16. 請求項12〜15のいずれか一項に記載の電極の製造方法で製造された前記電極の前記導電部の上に導電性ゲル層を形成する工程と、
    前記導電部にリード線を電気的に接続する工程と、を含む、生体電極の製造方法。
  17. 前記導電部の上に導電層を形成する工程と、
    前記導電層の上に塩化銀層を形成する工程と、をさらに含み、
    前記導電性ゲル層を形成する工程は、前記塩化銀層の上に導電性ゲル層を形成する工程であり、
    前記リード線を電気的に接続する工程は、前記導電層または前記導電部にリード線を電気的に接続する工程である、請求項16に記載の生体電極の製造方法。
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