以下、光センサ及び電子機器の各実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す各実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の各実施形態は、種々の変更を加えることができる。
本明細書において、「部材Aが部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bとが物理的に直接的に接続される場合、並びに、部材A及び部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
同様に、「部材Cが部材Aと部材Bとの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cとが直接的に接続される場合、並びに、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cとが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
(第1実施形態)
図1に示すように、光センサ1は、受光部10、赤外線カットフィルタ13、出力回路の一例である変換部30、演算部40、電圧生成部50、記憶部の一例である不揮発性メモリ60、及び複数の外部端子2を含む。光センサ1は、受光部10、変換部30、演算部40、電圧生成部50、及び不揮発性メモリ60が1つの半導体基板に形成された半導体集積回路である。光センサ1の一例は、周囲光の照度を検出する照度センサである。受光部10は、可視光や赤外線を検出するための複数の受光画素を含む。赤外線カットフィルタ13は、受光部10を覆う。変換部30は、受光部10からのアナログ信号(光電流)をデジタル信号に変換して演算部40に出力する。演算部40は、変換部30からのデジタル信号に基づいて可視光の強度を演算する。電圧生成部50は、外部端子2のうちの電源端子(VCC)に接続されている。電圧生成部50は、電源端子に印加された電圧を昇圧又は降圧して所定の電圧を生成し、受光部10、変換部30、及び演算部40に電源入力を行う。不揮発性メモリ60は、光センサ1の制御や信号の演算等に関する各種の情報が記憶されている。
受光部10は、黄色の波長帯域の可視光を検出する黄色受光画素10Y、赤色の波長帯域の可視光を検出する赤色受光画素10R、緑色の波長帯域の可視光を検出する緑色受光画素10G、青色の波長帯域の可視光を検出する青色受光画素10B、赤外線の波長帯域の光を検出する赤外線受光画素20IR、及びクリア受光画素10Cを含む。
黄色受光画素10Yは、第1受光素子11Yと、第1受光素子11Yを覆う黄色フィルタ12Yとを有する。赤色受光画素10Rは、第2受光素子11Rと、第2受光素子11Rを覆う赤色フィルタ12Rとを有する。緑色受光画素10Gは、第3受光素子11Gと、第3受光素子11Gを覆う緑色フィルタ12Gとを有する。青色受光画素10Bは、第4受光素子11Bと、第4受光素子11Bを覆う青色フィルタ12Bとを含む。赤外線受光画素20IRは、第1赤外線受光画素22IR及び第2赤外線受光画素23IR(図2参照)を含む。なお、図1では、便宜上、第1赤外線受光画素22IR及び第2赤外線受光画素23IRを含めて赤外線受光画素20IRとして示している。第1赤外線受光画素22IRは、第5受光素子21IRと、第5受光素子21IRを覆う第1赤外透過フィルタ24IRとを含む。第2赤外線受光画素23IRは、第1赤外線受光画素22IRの第5受光素子21IRとは異なる第5受光素子21IRと、この第5受光素子21IRを覆う第2赤外透過フィルタ25IRとを含む。クリア受光画素10Cは、クリア受光素子11Cを含む。これら受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cはそれぞれ、1つのフォトダイオードを有する。なお、これら受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cはそれぞれ、複数のフォトダイオードを有してもよい。
変換部30は、例えば積分型のアナログ/デジタル変換回路であり、複数の入力チャンネルを有する。本実施形態では、変換部30は、4チャンネルのアナログ/デジタル変換回路である。変換部30は、各チャンネルのアナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換する。なお、便宜上、各チャンネルをそれぞれ1つのアナログ/デジタル変換回路として説明する。本実施形態の変換部30は、4個のアナログ/デジタル変換回路(図中、「ADC」と表記)30a〜30dを含む。第1変換部の一例であるアナログ/デジタル変換回路30aは、第1受光素子11Yの光電流をデジタル信号に変換する。アナログ/デジタル変換回路30bは、第3受光素子11Gの光電流をデジタル信号に変換する。変換部30は、第4受光素子11Bと第5受光素子21IRとを切り替えてアナログ/デジタル変換回路30dに接続する切替部を含む。切替部によって第4受光素子11Bとアナログ/デジタル変換回路30dとが接続される状態と、第5受光素子21IRとアナログ/デジタル変換回路30dとが接続される状態とが切り替えられる。
また、変換部30は、第2受光素子11Rとクリア受光素子11Cとを切り替えて、第2変換部の一例であるアナログ/デジタル変換回路30cに接続する切替部を含む。切替部によって第2受光素子11Rとアナログ/デジタル変換回路30cとが接続される状態と、クリア受光素子11Cとアナログ/デジタル変換回路30cとが接続される状態とが切り替えられる。
演算部40は、例えばLSI(Large Scale Integration)等の集積回路からなり、トランジスタ、キャパシタ、レジスタ等の各種回路素子を含む。演算部40は、光センサ1の最表面に形成された複数の外部端子2に電気的に接続されている。複数の外部端子2を介して、演算部40からの信号出力、受光部10、変換部30、及び演算部40への電源入力等が行われる。
図2は、受光部10の受光領域14のレイアウト図である。なお、図2において赤外線受光画素20IRを網掛けが付された四角形で示している。また、図2において、「Y」は黄色受光画素10Yの出力信号を示し、「R1」は赤色受光画素10Rの出力信号を示し、「G1」は緑色受光画素10Gの出力信号を示し、「B1」は青色受光画素10Bの出力信号を示す。また「R2」及び「G2」は第1赤外線受光画素22IRの出力信号を示し、「B2」は第2赤外線受光画素23IRの出力信号を示す。
受光領域14は、平面視において略長方形状に形成されている。受光領域14において対角線の交点を、受光部10の中央部である中心CP(重心)とする。以下の説明において、受光領域14の長手方向を「第1方向X」とし、受光領域14の平面視において第1方向Xと直交する方向を「第2方向Y」とする。
図2に示すとおり、黄色受光画素10Y、赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、青色受光画素10B、赤外線受光画素20IR、及びクリア受光画素10Cはそれぞれ複数設けられている。赤外線受光画素20IRは、第1赤外線受光画素22IR及び第2赤外線受光画素23IRを含む。第1赤外線受光画素22IR及び第2赤外線受光画素23IRは、検出可能な光の波長帯域が互いに異なる。本実施形態では、黄色受光画素10Y、赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、青色受光画素10B、第1赤外線受光画素22IR、及び第2赤外線受光画素23IRのそれぞれは、4個である。
黄色受光画素10Y、赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、青色受光画素10B、第1赤外線受光画素22IR、第2赤外線受光画素23IR、及びクリア受光画素10Cは、受光領域14において格子状に配置されている。
より詳細には、受光部10は、第1方向Xに6個の受光画素が配置可能であり、第2方向Yに5個の受光画素が配置可能である。第1方向Xに並べられた受光画素を1列とし、第2方向Yの一方の端部から他方の端部に向けて順に第1列、第2列、第3列、第4列、及び第5列とする。
第1列には、クリア受光画素10C、第1赤外線受光画素22IR、黄色受光画素10Y、第2赤外線受光画素23IR、青色受光画素10B、及びクリア受光画素10Cの6個の受光画素が配列されている。第2列には、青色受光画素10B、緑色受光画素10G、赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、及び赤色受光画素10Rの5個の受光画素が配列されている。第3列には、第2赤外線受光画素23IR、黄色受光画素10Y、第1赤外線受光画素22IR、第1赤外線受光画素22IR、黄色受光画素10Y、第2赤外線受光画素23IRの6個の受光画素が配列されている。第4列には、赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、及び青色受光画素10Bの5個の受光画素が配列されている。第5列には、クリア受光画素10C、青色受光画素10B、第2赤外線受光画素23IR、黄色受光画素10Y、第1赤外線受光画素22IR、及びクリア受光画素10Cの6個の受光画素が配列されている。
このように各画素10Y,10R,10G,10B,20IR,10Cが配置された受光部10では、次のような画素配置の特徴を有する。
図2から分かるとおり、受光部10の平面視において、黄色受光画素10Yと赤色受光画素10Rとは、互いに隣り合うように配置されている。すなわち第1受光素子11Yと第2受光素子11Rとは、互いに隣り合うように配置され、黄色フィルタ12Yと赤色受光画素10Rの赤色フィルタ12Rとは、互いに隣り合うように配置されている。黄色受光画素10Yと赤色受光画素10Rとは、第2方向Yに並べられている。また緑色受光画素10Gと赤色受光画素10Rとは、互いに隣り合うように配置されている。すなわち第3受光素子11Gと第2受光素子11Rとは、互いに隣り合うように配置され、緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gと赤色受光画素10Rの赤色フィルタ12Rとは、互いに隣り合うように配置されている。また第1赤外線受光画素22IRは、赤色受光画素10R及び緑色受光画素10Gの両方と隣り合うように配置されている。より詳細には、第1赤外線受光画素22IRは、第2方向Yにおいて赤色受光画素10Rと隣り合うように配置され、第1方向X及び第2方向Yにおいて、すなわち斜め方向において緑色受光画素10Gと隣り合うように配置されている。
受光部10の平面視において、受光部10(受光領域14)の四隅にはクリア受光画素10Cが配置されている。受光部10の外周部においてクリア受光画素10Cのそれぞれと隣り合うように青色受光画素10Bが配置されている。受光部10の外周部において青色受光画素10Bに対してクリア受光画素10Cとは反対側には、第2赤外線受光画素23IRが青色受光画素10Bと隣り合うように配置されている。
複数の黄色受光画素10Yは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置され、複数の赤色受光画素10Rは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置されている。すなわち複数の第1受光素子11Yは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置され、複数の第2受光素子11Rは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置されている。黄色フィルタ12Yは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置され、赤色受光画素10Rの赤色フィルタ12Rは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置されている。
複数の緑色受光画素10Gは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置され、複数の青色受光画素10Bは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置されている。すなわち複数の第3受光素子11Gは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置され、複数の第4受光素子11Bは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置されている。緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置され、青色受光画素10Bの青色フィルタ12Bは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置されている。
複数の第1赤外線受光画素22IRは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置され、複数の第2赤外線受光画素23IRは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置されている。すなわち第1赤外線受光画素22IRの第5受光素子21IRは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置され、第2赤外線受光画素23IRの第5受光素子21IRは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置されている。第1赤外透過フィルタ24IRは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置され、第2赤外透過フィルタ25IRは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置されている。
次に、図3及び図4を参照して、黄色受光画素10Y、赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、青色受光画素10B、第1赤外線受光画素22IR、及び第2赤外線受光画素23IRの断面構造について説明する。図3は、第5列の受光画素の断面構造であり、図4は、第2方向Yに沿う方向で受光部10を切った断面構造である。
図3及び図4に示すように、黄色受光画素10Y、赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、青色受光画素10B、第1赤外線受光画素22IR、及び第2赤外線受光画素23IRは、共通する要素として、半導体基板70と、半導体基板70に形成された受光素子71と、半導体基板70の表面70Aの全面を覆う層間絶縁膜72とを含む。なお、受光素子71は、第1受光素子11Y、第2受光素子11R、第3受光素子11G、第4受光素子11B、第5受光素子21IR、及びクリア受光素子11Cに対応する。
本実施形態では、半導体基板70は、p型シリコン基板からなる。半導体基板70は、変換部30、演算部40、電圧生成部50、及び不揮発性メモリ60(図1参照)も形成するため、受光領域14よりも面積が大きい。
受光素子71は、p型の半導体基板70の表面70Aに形成されたn型領域73を有する。p型の半導体基板70は、グラウンドに接続されている。n型領域73は、半導体基板70の表面70Aからn型不純物をドーピングすることにより形成されている。これにより、受光素子71は、光電流が発生するフォトダイオードPD1を有する。
フォトダイオードPD1は、p型の半導体基板70とn型領域73とのpn接合面74を含む。n型領域73の半導体基板70の表面70A(受光面)からの深さは、約2μmである。
なお、半導体基板70には、演算部40等も形成されるため、例えば演算部40を構成するトランジスタの不純物領域が形成されてもよい。この場合、n型領域73は、トランジスタを構成するソース領域、ドレイン領域、素子分離用の埋め込み層(L/I、B/L)等の不純物領域と同じ工程で形成されてもよい。
層間絶縁膜72は、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁材料からなる。層間絶縁膜72は、図3及び図4に示すような単層であってもよいし、複数層であってもよい。
図3及び図4に示すように、層間絶縁膜72上には、受光素子71の受光面(半導体基板70の表面70A)を覆うカラーフィルタ80が形成されている。カラーフィルタ80は、黄色フィルタ12Y、赤色フィルタ12R、緑色フィルタ12G、及び青色フィルタ12Bを含む。カラーフィルタ80は、有機物からなり、例えば顔料をベースにしたカラーレジスト、ナノインプリント技術を用いて形成した透過型レジスト、ゼラチン膜等で構成することができる。
カラーフィルタ80上には、レジスト膜81、保護膜82、及び赤外線カットフィルタ13が形成されている。レジスト膜81は、カラーフィルタ80の全体を覆っている。レジスト膜81は、酸化チタン(TiO2)等の透明樹脂からなる。保護膜82は、レジスト膜81の全体を覆っている。赤外線カットフィルタ13は、保護膜82の全体を覆っている。赤外線カットフィルタ13は、例えばSiO2/TiO2構造が複数(例えば50層程度)積層された多層誘電体膜からなる。赤外線カットフィルタ13は、黄色受光画素10Y、赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、青色受光画素10B、及び赤外線受光画素20IRに対して共通の被覆膜となる。なお、赤外線カットフィルタ13は、クリア受光画素10Cが露出するように赤外線カットフィルタ13のコーナー部分が切り欠かれている。このように、赤外線カットフィルタ13は、受光領域14においてクリア受光画素10Cが配置される四隅以外の受光領域14を覆っている。
図3では、黄色受光画素10Y、青色受光画素10B、第1赤外線受光画素22IR、第2赤外線受光画素23IR、及びクリア受光画素10Cの断面構造を示している。
図3に示すように、黄色フィルタ12Yは、受光素子71の受光面と直交する方向(以下、直交方向Z)において第1受光素子11Yを覆っている。黄色フィルタ12Yは、第1受光素子11Yの受光面(半導体基板70の表面70A)において第1受光素子11Yの受光領域の全体を覆っている。黄色フィルタ12Yは、黄色の可視光に対応する波長以上の波長の光を透過し、それよりも短い波長の光を遮断する。
青色フィルタ12Bは、直交方向Zにおいて第4受光素子11Bを覆っている。青色フィルタ12Bは、第4受光素子11Bの受光面(半導体基板70の表面70A)の全体を覆っている。青色フィルタ12Bは、青色の可視光に対応する波長以上の波長の光を透過し、それよりも短い波長の光を遮断する。
赤外透過フィルタ24IRは、2種類以上のフィルタが重ね合わせられることにより構成されている。詳述すると、赤外透過フィルタ24IRは、黄色フィルタ12Y、赤色フィルタ12R、緑色フィルタ12G、及び青色フィルタ12Bのうちの2種類以上のフィルタが重ね合わせられることにより構成されている。本実施形態の赤外透過フィルタ24IRは、赤色フィルタ12R及び緑色フィルタ12Gの重ね合わせにより構成されている。より詳細には、緑色フィルタ12Gは、直交方向Zにおいて第5受光素子21IRを覆っている。緑色フィルタ12Gは、第5受光素子21IRの受光面(半導体基板70の表面70A)において第5受光素子21IRの受光領域の全体を覆っている。赤色フィルタ12Rは、直交方向Zにおいて緑色フィルタ12Gを覆っている。赤色フィルタ12Rは、緑色フィルタ12Gの全体を覆っている。直交方向Zから見て、赤色フィルタ12Rの面積は、緑色フィルタ12Gの面積よりも大きい。また緑色フィルタ12Gは、第1方向Xにおいて黄色フィルタ12Yと隣り合うように配置されている。このため、赤色フィルタ12Rの外縁の一部は、黄色フィルタ12Yの外縁の一部を覆っている。言い換えれば、赤外透過フィルタ24IRの赤色フィルタ12Rは、緑色フィルタ12Gと黄色フィルタ12Yとの境界部分を覆っている。また図2に示すように、第1赤外線受光画素22IRが第2方向Yにおいて緑色受光画素10Gと隣り合うように配置されているため、赤外透過フィルタ24IRの赤色フィルタ12Rの外縁の一部は、緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gの外縁の一部を覆っている。言い換えれば、赤外透過フィルタ24IRの赤色フィルタ12Rは、赤外透過フィルタ24IRの緑色フィルタ12Gと緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gとの境界部分を覆っている。このように上記境界部分を覆う赤色フィルタ12Rによって、上記境界部分の光干渉を抑制することができる。
図3に示すように、赤外透過フィルタ25IRは、2種類以上のフィルタが重ね合わせられることにより構成されている。詳述すると、赤外透過フィルタ25IRは、黄色フィルタ12Y、赤色フィルタ12R、緑色フィルタ12G、及び青色フィルタ12Bのうちの2種類以上のフィルタが重ね合わせられることにより構成されている。本実施形態の赤外透過フィルタ25IRは、赤色フィルタ12R及び青色フィルタ12Bの重ね合わせにより構成されている。より詳細には、青色フィルタ12Bは、直交方向Zにおいて第5受光素子21IRを覆っている。青色フィルタ12Bは、第5受光素子21IRの受光面(半導体基板70の表面70A)において第5受光素子21IRの受光領域の全体を覆っている。赤色フィルタ12Rは、直交方向Zにおいて青色フィルタ12Bを覆っている。赤色フィルタ12Rは、青色フィルタ12Bの全体を覆っている。直交方向Zから見て、赤色フィルタ12Rの面積は、青色フィルタ12Bの面積よりも大きい。また第2赤外線受光画素23IRの青色フィルタ12Bは、第1方向Xにおいて黄色フィルタ12Y及び青色受光画素10Bの青色フィルタ12Bの両方と隣り合うように配置されている。このため、赤色フィルタ12Rの外縁の一部は、黄色フィルタ12Yの外縁の一部、及び青色受光画素10Bの青色フィルタ12Bの外縁の一部を覆っている。言い換えれば、赤外透過フィルタ25IRの赤色フィルタ12Rは、第2赤外線受光画素23IRの青色フィルタ12Bと黄色フィルタ12Yとの境界部分、及び第2赤外線受光画素23IRの青色フィルタ12Bと青色受光画素10Bの青色フィルタ12Bとの境界部分のそれぞれを覆っている。また図2に示すように、第2赤外線受光画素23IRが第2方向Yにおいて緑色受光画素10Gと隣り合うように配置されているため、赤外透過フィルタ25IRの赤色フィルタ12Rの外縁の一部は、緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gの外縁の一部を覆っている。言い換えれば、赤外透過フィルタ25IRの赤色フィルタ12Rは、第2赤外線受光画素23IRの青色フィルタ12Bと緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gとの境界部分を覆っている。このように上記境界部分を覆う赤色フィルタ12Rによって、上記境界部分の光干渉を抑制することができる。
第1方向Xにおいて受光部10の両端部に形成されたクリア受光画素10Cには、カラーフィルタ80が覆われていない。すなわち、クリア受光画素10Cの受光面(半導体基板70の表面70A)は、レジスト膜81により覆われている。
図4では、黄色受光画素10Y、赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、第1赤外線受光画素22IR、及び第2赤外線受光画素23IRの断面構造を示している。黄色受光画素10Y、第1赤外線受光画素22IR、及び第2赤外線受光画素23IRの構造は、図3の黄色受光画素10Y、第1赤外線受光画素22IR、及び第2赤外線受光画素23IRの構造と同じである。
図4に示すように、赤色受光画素10Rの赤色フィルタ12Rは、直交方向Zにおいて第2受光素子11Rを覆っている。赤色フィルタ12Rは、第2受光素子11Rの受光面(半導体基板70の表面70A)において第2受光素子11Rの受光領域の全体を覆っている。赤色フィルタ12Rは、赤色の可視光に対応する波長以上の波長の光を透過し、それよりも短い波長の光を遮断する。第2方向Yにおいて、赤色受光画素10Rが黄色受光画素10Yと隣り合うように配置されているため、赤色フィルタ12Rは黄色フィルタ12Yと隣り合うように配置されている。赤色フィルタ12Rと黄色フィルタ12Yとの境界部分には、直交方向Zにおいて赤色フィルタ12Rにより覆われている。この境界部分を覆う赤色フィルタ12Rは、赤色受光画素10Rの赤色フィルタ12Rとは個別に形成されている。これら上記境界部分を覆う赤色フィルタ12Rによって、上記境界部分の光干渉を抑制することができる。
緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gは、直交方向Zにおいて第3受光素子11Gを覆っている。緑色フィルタ12Gは、第3受光素子11Gの受光面(半導体基板70の表面70A)において第3受光素子11Gの受光領域の全体を覆っている。緑色フィルタ12Gは、緑色の可視光に対応する波長以上の波長の光を透過し、それよりも短い波長の光を遮断する。
図4に示される第1赤外線受光画素22IRは、第2方向Yにおいて赤色受光画素10R及び緑色受光画素10Gと隣り合うように配置されている。すなわち第1赤外線受光画素22IRは、第2方向Yにおいて赤色受光画素10Rと緑色受光画素10Gとの間に配置されている。このため、赤外透過フィルタ24IRの緑色フィルタ12Gは、第2方向Yにおいて緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12G及び赤色受光画素10Rの赤色フィルタ12Rと隣り合うように配置されている。赤外透過フィルタ24IRの赤色フィルタ12Rの外縁の一部は、緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gの外縁の一部と、赤色受光画素10Rの赤色フィルタ12Rの外縁の一部とを覆っている。言い換えれば、赤外透過フィルタ24IRの赤色フィルタ12Rは、第1赤外線受光画素22IRの緑色フィルタ12Gと緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gとの境界部分、及び第1赤外線受光画素22IRの緑色フィルタ12Gと赤色受光画素10Rの赤色フィルタ12Rとの境界部分の両方を覆っている。また図4に示される第1赤外線受光画素22IRは、図2に示すように、第1方向Xにおいて黄色受光画素10Yと隣り合うように配置されている。このため、赤外透過フィルタ24IRの赤色フィルタ12Rの外縁の一部は、黄色フィルタ12Yの外縁の一部を覆っている。言い換えれば、赤外透過フィルタ24IRの赤色フィルタ12Rは、第1赤外線受光画素22IRの緑色フィルタ12Gと黄色フィルタ12Yとの境界部分を覆っている。これら上記境界部分を覆う赤色フィルタ12Rによって、上記境界部分の光干渉を抑制することができる。
図4に示される第2赤外線受光画素23IRは、第2方向Yにおいて緑色受光画素10Gと隣り合うように配置されている。このため、赤外透過フィルタ25IRの青色フィルタ12Bは、第2方向Yにおいて緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gと隣り合うように配置されている。赤外透過フィルタ25IRの赤色フィルタ12Rの外縁の一部は、緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gの外縁の一部を覆っている。言い換えれば、赤外透過フィルタ25IRの赤色フィルタ12Rは、第2赤外線受光画素23IRの青色フィルタ12Bと緑色受光画素10Gの緑色フィルタ12Gとの境界部分を覆っている。また図4に示される第2赤外線受光画素23IRは、第1方向Xにおいて黄色受光画素10Y及び青色受光画素10Bと隣り合うように配置されている。すなわち、第2赤外線受光画素23IRは、第1方向Xにおいて黄色受光画素10Yと青色受光画素10Bとの間に配置されている。このため、赤外透過フィルタ25IRの赤色フィルタ12Rの外縁の一部は、黄色フィルタ12Yの外縁の一部及び青色フィルタ12Bの外縁の一部を覆っている。言い換えれば、赤外透過フィルタ25IRの赤色フィルタ12Rは、第2赤外線受光画素23IRの青色フィルタ12Bと青色受光画素10Bの青色フィルタ12Bとの境界部分、及び第2赤外線受光画素23IRの青色フィルタ12Bと黄色フィルタ12Yとの境界部分のそれぞれを覆っている。これら上記境界部分を覆う赤色フィルタ12Rによって、上記境界部分の光干渉を抑制することができる。
次に、図5を参照して、黄色受光画素10Yにおける赤外線分離の演算によって得られる分光感度特性を個別に説明する。
演算部40は、赤外線を分離した黄色の波長帯域の可視光の強度を、黄色受光画素10Yの出力信号Yと赤色受光画素10Rの出力信号R1とに基づいて演算する。言い換えれば、本実施形態の演算部40は、黄色受光画素10Yの出力信号Yと赤色受光画素10Rの出力信号R1とを用いて、赤外線を分離した黄色の波長帯域の可視光の強度を演算する黄色演算部を備えていると言える。
黄色受光画素10Yに光が入射すると、黄色受光画素10Yの第1受光素子11YのフォトダイオードPD1では、黄色の光、赤色の光、及び赤外線が検出される。これは、本実施形態の黄色フィルタ12Yの特性上、赤色の光も透過してしまうからである。そして黄色受光画素10Yの分光感度特性は、図5の左端のグラフのようになる。ここで、図5の分光感度特性は、赤外線カットフィルタ13によって赤外線の一部がフィルタリング(分離)された状態を示している。
図5に示すとおり、黄色受光画素10Yにおいて黄色フィルタ12Yの単層膜を透過する分光感度曲線(図5の左端のグラフ)は、黄色の波長帯域から赤色の波長帯域に亘りピークを持つ。一方、赤色受光画素10Rの分光感度曲線(図5の中央のグラフ)は、赤色の波長帯域にピークを持つ。したがって、黄色の波長帯域から赤色の波長帯域に亘るピークを有する分光感度曲線から赤色の波長帯域にピークを有する山形の曲線を分離すれば、黄色に由来するとみなしてよい山形の曲線が明確に残ることになる。
そして、演算部40には、黄色受光画素10Yから黄色の光及び赤色の光の検出に応じた大きさの出力信号Yが入力され、赤色受光画素10Rから赤色の光の検出に応じた大きさの出力信号R1が入力される。そして、黄色受光画素10Yの出力信号Yから赤色の波長帯域分を、赤色受光画素10Rの出力信号R1の大きさに基づいて選択的に排除又は減弱することにより、入射光の実際の黄色の光成分に近い出力信号(情報)が得られる。すなわち、演算部40は、黄色の分光感度特性として黄色の波長帯域の強度を演算する場合、黄色受光画素10Yの第1受光素子11Yの出力信号Yと、赤色受光画素10Rの第2受光素子11Rの出力信号R1との差(Y−R1)に基づいて、黄色の波長帯域の可視光の強度Yxを演算する。その結果、黄色受光画素10Yにおける赤色の光の分離によって得られる分光感度特性は、図5の右端のグラフのようになる。
次に、変換部30の回路構成と、黄色受光画素10Yの第1受光素子11Y、赤色受光画素10Rの第2受光素子11R、緑色受光画素10Gの第3受光素子11G、青色受光画素10Bの第4受光素子11B、第1赤外線受光画素22IRの第5受光素子21IR、及び第2赤外線受光画素23IRの第5受光素子21IRの回路構成とについて説明する。
図6に示すように、変換部30は、同色における受光素子であって互いに並列に接続された複数の受光素子にて発生する光電流の合算値を出力する出力回路である。変換部30のアナログ/デジタル変換回路30a〜30dはそれぞれ、増幅器31、基準電圧印加部32、電圧比較器33、及びコンデンサ34を含む。増幅器31の一例はオペアンプである。増幅器31は、第1入力端子31a(反転入力端子)、第2入力端子31b(非反転入力端子)、及び出力端子31cを有する。基準電圧印加部32は、第2入力端子31bに接続されている。基準電圧印加部32は、第2入力端子31bに対して基準電圧を印加する。基準電圧の一例は、1.2Vである。電圧比較器33は、出力端子31cに接続されている。コンデンサ34の第1端子は第1入力端子31aに接続され、コンデンサ34の第2端子は出力端子31cに接続されている。コンデンサ34には、図示しないリセット用のスイッチが並列に接続される。
上述したように、変換部30は、4個のアナログ/デジタル変換回路30a〜30dを有する。4個のアナログ/デジタル変換回路30a〜30dと、各受光画素10Y,10R,10G,10B,20IR,10Cとの接続対応関係は以下のとおりである。すなわち、黄色受光画素10Y及び緑色受光画素10Gのそれぞれに対して専用のアナログ/デジタル変換回路30a,30bが接続されている。赤色受光画素10R及びクリア受光画素10Cに対して共通のアナログ/デジタル変換回路30cが切替部を介して接続され、青色受光画素10B及び赤外線受光画素20IRに対して共通のアナログ/デジタル変換回路30dが切替部を介して接続されている。このため、アナログ/デジタル変換回路30a〜30dの第1入力端子31aのそれぞれに対しては、アナログ/デジタル変換回路30a〜30dのそれぞれに対応する受光画素の受光素子が逆接続されている。
アナログ/デジタル変換回路30a〜30dの動作について説明する。なお、説明の便宜上、第1受光素子11Yに対応するアナログ/デジタル変換回路30aについて説明し、第1受光素子11Yの受光開始時点におけるコンデンサ34の電荷を0とする。
受光することにより第1受光素子11Yにて発生した光電流に基づいて、コンデンサ34に電荷が溜められるため、増幅器31及びコンデンサ34からなる積分器の出力である積分信号が増加する。アナログ/デジタル変換回路30aは、第1入力端子31aに電圧が印加開始されたときから所定時間に亘り積分器の積分信号を積分する。以降では、積分信号を積分する時間を検出時間とする。アナログ/デジタル変換回路30aは、検出時間経過後、第1入力端子31aに印加される電圧を、第1受光素子11Yにより第1入力端子31aに印加された電圧よりも低い所定電圧に変更する。所定電圧は、試験等により予め設定されている。所定電圧に変更することにより、積分信号が0に向けて減少する。アナログ/デジタル変換回路30aは、クロック発生回路(図示略)により、積分信号が0になるまでの時間におけるクロック発生回路のパルス数をカウントし、デジタル値(出力信号)として出力する。
図6は、黄色受光画素10Yの第1受光素子11Yの回路構成を示している。なお、他の受光素子の回路構成も第1受光素子11Yの回路構成と概ね同様であるため、以下の説明では、第1受光素子11Yの回路構成について説明し、他の受光素子の回路構成の説明を省略する。
図6に示すとおり、4個の第1受光素子11Yがアナログ/デジタル変換回路30aの増幅器31の第1入力端子31aに対して逆接続されている。4個の第1受光素子11Yは互いに並列に接続されている。変換部30には、4個の第1受光素子11Yの合計の光電流が入力される。
フォトダイオードPD1のアノードは、アナログ/デジタル変換回路30aの第1入力端子31aに接続されている。フォトダイオードPD1のカソードは、電圧生成部50(図1参照)からの電源配線51に接続されている。
電圧生成部50と4個の第1受光素子11YのフォトダイオードPD1のカソードとは、4本の電源配線51を介して第1受光素子11Yごとに接続されている。すなわち電圧生成部50は、4個の第1受光素子11YのフォトダイオードPD1のカソードに対して第1受光素子11Yごとに個別のバイアス電圧VBYを印加することができる。このように、黄色受光画素10Yでは、フォトダイオードPD1は、アノードが増幅器31の第1入力端子31aに接続され、かつカソードにバイアス電圧VBYが印加される特定フォトダイオードとなる。
次に、図7〜図9を参照して、光センサ1の詳細な構成について説明する。
図7に示すように、光センサ1は、半導体基板70を含む矩形状の半導体部3と、半導体部3の長手方向と直交する方向において半導体部3の両側に配置された8個の外部端子2と、半導体部3及び外部端子2を封止する封止樹脂4とを備える。封止樹脂4は、例えば透明なエポキシ樹脂又はシリコーン樹脂からなる。
半導体部3は、受光部10、変換部30、演算部40、電圧生成部50、及び不揮発性メモリ60(ともに図1参照)を含む。受光部10は、半導体部3において長手方向の一方寄りに形成されている。また図示はしていないが、変換部30、演算部40、電圧生成部50、及び不揮発性メモリ60の少なくとも1つは、半導体部3において長手方向の他方寄りに形成されている。半導体部3は、アルミニウム等の金属製の放熱板5上に半田等により実装されている。放熱板5は、封止樹脂4により封止されている。
外部端子2は、半導体部3の両側に4個ずつ配列されている。4個の外部端子2は、半導体部3の長手方向において間隔を空けて配置されている。外部端子2は、電源端子VCC及びグラウンド端子GNDを含む。外部端子2は、通信バス(例えばI2Cバス)のインターフェース用の端子やインタラプト出力端子を含む。各外部端子2と半導体部3とは、例えばボンディングワイヤ6によって接続されている。半導体基板70において赤外線カットフィルタ13で覆われていない外周縁には、ボンディングワイヤ6が接続されている。
図8に示すように、8個の外部端子2及び放熱板5は、封止樹脂4から露出する露出面2A,5Aを有する。放熱板5の露出面5Aには、光センサ1の向きをユーザに認識させるための切欠部5Bが形成されている。このように、本実施形態の光センサ1は面実装タイプである。
図9に示すように、光センサ1は、受光素子71の受光面、すなわち半導体基板70の表面70Aと直交する方向から見て不揮発性メモリ60に対して重なる位置に設けられ、紫外線を遮断する無機物からなる遮断層83を備える。本実施形態では、赤外線カットフィルタ13が遮断層83を兼ねている。赤外線カットフィルタ13は、400nm未満の波長帯域の光をカットしている。すなわち赤外線カットフィルタ13は、紫外線を遮断可能である。赤外線カットフィルタ13は、半導体基板70の表面70Aにおける外周縁よりも内周側の略全体に亘り覆っている。このため、赤外線カットフィルタ13は、不揮発性メモリ60の形成領域の全体を覆うように設けられている。
半導体基板70の表面70Aと直交する方向から見て不揮発性メモリ60に対して重なる位置には、メモリ用カラーフィルタ84が設けられている。メモリ用カラーフィルタ84は、可視光の帯域の所定波長以上の光を透過し、それよりも短い波長の光を遮断する。メモリ用カラーフィルタ84は、有機物からなり、例えば顔料をベースにしたカラーレジスト、ナノインプリント技術を用いて形成した透過型レジスト、ゼラチン膜等で構成することができる。メモリ用カラーフィルタ84は、不揮発性メモリ60の形成領域の全体を覆うように設けられている。メモリ用カラーフィルタ84は、黄色フィルタ12Y、赤色フィルタ12R、緑色フィルタ12G、及び青色フィルタ12Bの少なくとも1つを用いることができる。黄色フィルタ12Y、赤色フィルタ12R、緑色フィルタ12G、及び青色フィルタ12Bは、いずれも400nm未満の波長帯域の光をカットしている。このため、メモリ用カラーフィルタ84に黄色フィルタ12Y、赤色フィルタ12R、緑色フィルタ12G、及び青色フィルタ12Bの少なくとも1つを用いることにより紫外線を遮断可能である。
図9に示すとおり、メモリ用カラーフィルタ84は、カラーフィルタ80と同様に赤外線カットフィルタ13内に設けられている。言い換えれば、赤外線カットフィルタ13は、メモリ用カラーフィルタ84及びカラーフィルタ80の全体を覆うように設けられている。
不揮発性メモリ60には、各受光画素10Y,10R,10G,10B,20IR,10Cの各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの感度を調整するための情報が記憶されている。以下、その感度の調整方法について説明する。
各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの感度の調整方法は、出力信号取得工程及び検出時間調整工程を含む。
出力信号取得工程において、予め設定された光強度の可視光が受光部10に照射される。このとき、変換部30は、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cにて発生する光電流に基づいて、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの出力信号を演算部40に出力する。各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの光電流に対応する出力信号の大きさは、可視光が照射された各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの所定の検出時間における出力信号の大きさとして検出される。
検出時間調整工程において、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの出力信号のそれぞれが予め設定された所定範囲内であるか否かが判定される。この所定範囲は、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの感度が適切であると判定するための範囲であり、試験等により設定される。
そして、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの出力信号のうち、所定範囲の下限値よりも小さい受光素子は、その受光素子の検出時間を長くし、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの出力信号のうち、所定範囲の上限値よりも大きい受光素子は、その受光素子の検出時間を短くする。このように、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cのそれぞれについて、個別に出力信号が所定範囲内か否かを判定し、所定範囲外の受光素子の出力信号が所定範囲内となるように検出時間を調整する。
そして各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの検出時間は、受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの感度を調整するための情報として、不揮発性メモリ60に記憶される。
〔受光素子に印加されるバイアス電圧の調整方法〕
図10〜図13を参照して、受光部10の各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cに印加されるバイアス電圧の調整方法について説明する。
変換部30に対して各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cを逆接続する構成では、遮断周波数を高めることによる周波数特性を改善でき、入射光量に対する光電流の直線性の上限を高めることができる一方、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cにリーク電流が発生し易くなる。このようなリーク電流は、変換部30の出力信号に悪影響を与えてしまい、光センサ1の検出精度の低下の原因となる。
また、フォトダイオードである各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cは、その特性上、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cの温度が高くなるにつれて、リーク電流が大きくなる傾向にある。また各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IR,11Cに印加されるバイアス電圧に応じてリーク電流の大きさが変化する。
図10は、受光素子が高温、中温、低温時における受光素子に印加されるバイアス電圧とリーク電流との関係を示す。なお、中温とは、高温と低温との間の中間温度を示す。受光素子が高温、中温、低温時のそれぞれにおいて、リーク電流が正の値となるバイアス電圧の範囲では、バイアス電圧が小さくなるにつれてリーク電流の絶対値が大きくなり、リーク電流が負の値となるバイアス電圧の範囲では、バイアス電圧が大きくなるにつれてリーク電流の絶対値が大きくなる。また図10に示すとおり、受光素子が高温、中温、低温時において、バイアス電圧に対するリーク電流の変化傾向が異なる。受光素子が低温時ではバイアス電圧に対してリーク電流が最も変化し難く、受光素子が高温時ではバイアス電圧に対してリーク電流が最も変化し易い。すなわち受光素子が低温時ではバイアス電圧の変化に対するリーク電流の変化率が最も小さく、受光素子が高温時ではバイアス電圧の変化に対するリーク電流の変化率が最も大きくなる。
また、受光素子が高温、中温、低温時においてリーク電流が0となるときのバイアス電圧が互いに異なる。より詳細には、受光素子の温度が高くなるにつれてリーク電流が0となるときのバイアス電圧が大きくなる。また、バイアス電圧の大きさによってリーク電流が流れる方向が変化する。このように、受光素子が低温時では、バイアス電圧がV1のときにリーク電流が0となり、バイアス電圧がV1未満のとき、リーク電流が正の値になり、バイアス電圧がV1よりも大きい場合、リーク電流が負の値になる。受光素子が中温時では、バイアス電圧がV2(V2>V1)のときにリーク電流が0となり、バイアス電圧がV2未満のとき、リーク電流が正の値になり、バイアス電圧がV2よりも大きい場合、リーク電流が負の値になる。受光素子が高温時では、バイアス電圧がV3(V3>V2)のときにリーク電流が0になり、バイアス電圧がV3未満のとき、リーク電流が正の値になり、バイアス電圧がV3よりも大きい場合、リーク電流が負の値になる。また受光素子が高温、中温、低温時のそれぞれにおいて、リーク電流が正の値になるバイアス電圧の範囲におけるバイアス電圧の変化に対するリーク電流の変化率は、リーク電流が負の値になるバイアス電圧の範囲におけるバイアス電圧の変化に対するリーク電流の変化率よりも大きい。すなわち、リーク電流が正の値の場合のバイアス電圧のばらつきに起因するリーク電流の大きさのばらつきは、リーク電流が負の値の場合のバイアス電圧のばらつきに起因するリーク電流の大きさのばらつきよりも大きくなる。
図11は、一例として黄色受光画素10Yの回路構成を模式的に示している。
黄色受光画素10Yのバイアス電圧VBYの調整は、調整装置(図示略)により行われる。調整装置は、黄色受光画素10Yの電気的特性を測定する。調整装置は、測定結果に基づいて、黄色受光画素10Yの第1受光素子11Y(フォトダイオード)に印加するバイアス電圧VBYを調整する。
図12に示すように、黄色受光画素10Yのバイアス電圧VBYの調整方法は、電流測定工程(ステップS11)、調整工程(ステップS12)、及び記憶工程(ステップS13)を含む。
電流測定工程において、調整装置は、バイアス電圧VBYが基準電圧(1.2V)の場合の第1受光素子11Yのリーク電流を測定する。より詳細には、図11に示すように、調整装置は、増幅器31の第2入力端子31bに印加する基準電圧(1.2V)と同じ電圧のバイアス電圧VBYを4つの第1受光素子11Yのそれぞれに印加する。また増幅器31の第2入力端子31bには、基準電圧印加部32によって基準電圧(1.2V)が印加される。そして調整装置は、4つの第1受光素子11Yのそれぞれに流れるリーク電流を測定する。なお、調整装置は、第1受光素子11Yから第1入力端子31aに向けて流れる方向(第1の方向)のリーク電流を負の値として測定し、第1の方向とは逆方向となる第2の方向に流れるリーク電流を正の値として測定する。
調整工程において、調整装置は、4つの第1受光素子11Yのそれぞれのリーク電流が合流した後のリーク電流が第1入力端子31aに流れるように4つの第1受光素子11Yのそれぞれのバイアス電圧VBYを調整する。
より詳細には、調整装置は、図13に示すような第1受光素子11Yが高温時におけるリーク電流とバイアス電圧との関係を示す情報(マップ)を記憶している。調整装置は、マップを用いて、電流測定工程において測定された4つの第1受光素子11Yのリーク電流の合計が負の値、すなわち4つの第1受光素子11Yのリーク電流が合流した後に増幅器31の第1入力端子31aに流れるように4つの第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを調整する。
図11に示すように、電流測定工程において、4つの第1受光素子11Yのそれぞれに例えば「5pA」のリーク電流を測定した場合(図11の破線の矢印)、以下の2つの調整方法のいずれかを用いて第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを調整する。
第1の調整方法では、4つの第1受光素子11Yのそれぞれのリーク電流が負の値になるようにバイアス電圧VBYを調整する方法である。具体的には、調整装置は、図13のマップを用いて、リーク電流が負の値である所定値となるように第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを調整する。この所定値の一例は、「−4pA」である。所定値が「−4pA」のときのバイアス電圧VBYの一例は1.5Vである。この場合、4つの第1受光素子11Yのそれぞれに1.5Vのバイアス電圧VBYを印加することにより、各第1受光素子11Yに「−4pA」のリーク電流が流れる(図11の実線の矢印)。このため、4つの第1受光素子11Yのリーク電流が合流した後では、「−16pA」のリーク電流が増幅器31の第1入力端子31aに流れる。
第2の調整方法では、4つの第1受光素子11Yのリーク電流の合計が負の値になるようにバイアス電圧VBYを調整する方法である。すなわち第2の調整方法では、第1の調整方法とは異なり、4つの第1受光素子11Yのうちの1〜3つのリーク電流が負の値であってもよい。
ここでは、調整装置は、第1の調整方法と同様に、リーク電流が負の値である所定値となるように第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを調整する。すなわち、調整装置は、第1受光素子11Yのリーク電流が「−4pA」となるようにバイアス電圧VBYを1.5Vに調整する。この場合、調整装置が3つの第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを調整すれば、4つの第1受光素子11Yのリーク電流が合流した後のリーク電流が負の値となる。具体的には、バイアス電圧VBYが1.5Vに調整された3つの第1受光素子11Yのリーク電流の合計「−12pA(−4pA×3)」と、バイアス電圧VBYが1.2Vのままの1つの第1受光素子11Yのリーク電流(5pA)との合計は、「−7pA」となる。すなわち、4つの第1受光素子11Yのリーク電流が合流した後では、7pAのリーク電流が増幅器31の第1入力端子31aに流れる。
なお、第2の調整方法では、電流測定工程におけるリーク電流の測定結果、及び第1受光素子11Yに印加するバイアス電圧VBYの設定によって、バイアス電圧VBYを調整する第1受光素子11Yの数を変更してもよい。例えば、電流測定工程において4つの第1受光素子11Yのそれぞれのリーク電流が2pAの場合、バイアス電圧VBYを調整する第1受光素子11Yの数、すなわち第1受光素子11Yに流れるリーク電流が「−4pA」となる第1受光素子11Yの数は少なくとも2つであればよい。2つの第1受光素子11Yのリーク電流を「−4pA」となるようにバイアス電圧VBYが調整されることにより、4つの第1受光素子11Yのそれぞれのリーク電流が合流した後では、4pAのリーク電流が増幅器31の第1入力端子31aに流れるようになる。例えば、調整装置は、第1受光素子11Yのリーク電流が「−6pA」となるようにバイアス電圧VBYを調整する場合、バイアス電圧VBYを調整する第1受光素子11Yの数は少なくとも2つであればよい。すなわち、2つの第1受光素子11Yのリーク電流を「−6pA」となるようにバイアス電圧VBYが調整されることにより、4つの第1受光素子11Yのそれぞれのリーク電流が合流した後では、4pAのリーク電流が増幅器31の第1入力端子31aに流れるようになる。
また、電流測定工程において4つの第1受光素子11Yのリーク電流の全てが負の値である場合、第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYの調整をしなくても、4つの第1受光素子11Yのそれぞれのリーク電流が合流した後、リーク電流が増幅器31の第1入力端子31aに流れるようになるため、調整工程を省略してもよい。
記憶工程において、調整装置は、4つの第1受光素子11Yに印加するバイアス電圧VBYのそれぞれの値を不揮発性メモリ60(図1参照)に記憶する。これにより、電圧生成部50は、不揮発性メモリ60に記憶されたバイアス電圧に基づいて4つの第1受光素子11Yにバイアス電圧VBYを印加する。
なお、第2受光素子11Rについても第1受光素子11Yと同様に第2受光素子11Rに印加するバイアス電圧VBRを調整することができる。また第3受光素子11Gについても第1受光素子11Yと同様に第3受光素子11Gに印加するバイアス電圧VBGを調整することができる。また第4受光素子11Bについても第1受光素子11Yと同様に第4受光素子11Bに印加するバイアス電圧VBBを調整することができる。また第1赤外線受光画素22IRの第5受光素子21IR及び第2赤外線受光画素23IRの第5受光素子21IRのそれぞれについても第1受光素子11Yと同様に第5受光素子21IRに印加するバイアス電圧VBIR1,VBIR2を調整することができる。
〔可視光の強度の演算〕
次に、黄色の波長帯域の可視光の強度の演算について説明する。
上述のように、演算部40は、Yx=Y−R1により、黄色の波長帯域の可視光の強度Yxを演算する。なお、演算部40は、赤色の波長帯域の可視光の強度、緑色の波長帯域の可視光の強度、及び青色の波長帯域の可視光の強度も同様に演算する。つまり、演算部40は、赤色の波長帯域の可視光の強度を、赤色受光画素10Rの出力信号R1と第1赤外線受光画素22IRの出力信号R2とに基づいて演算する。演算部40は、緑色の波長の可視光の強度を、緑色受光画素10Gの出力信号G1と第1赤外線受光画素22IRの出力信号G2とに基づいて演算する。演算部40は、青色の波長の可視光の強度を、青色受光画素10Bの出力信号B1と第2赤外線受光画素23IRの出力信号B2とに基づいて演算する。
このように、第1受光素子11Yが、第1波長帯域の光を検出する第1帯域受光素子に相当する場合、第2受光素子11Rが、第2波長帯域の光を検出する第2帯域受光素子に相当する。また第2受光素子11Rが第1帯域受光素子に相当する場合、第1赤外線受光画素22IRの第5受光素子21IRが第2帯域受光素子に相当する。また第3受光素子11Gが第1帯域受光素子に相当する場合、第1赤外線受光画素22IRの第5受光素子21IRが第2帯域受光素子に相当する。また第4受光素子11Bが第1帯域受光素子に相当する場合、第2赤外線受光画素23IRの第5受光素子21IRが第2帯域受光素子に相当する。そして、演算部40は、第1帯域受光素子のアノードが第1入力端子31aに接続された増幅器31(第1増幅器)の出力信号と、第2帯域受光素子のアノードが第1入力端子31aに接続された増幅器31(第2増幅器)の出力信号とに基づいて演算を行う。より詳細には、演算部40は、第1増幅器の出力信号に基づく変換部30の出力信号と、第2増幅器の出力信号に基づく変換部30の出力信号との差に基づいて、可視光の強度を演算する。
ここで、第1受光素子11Y及び第2受光素子11Rにリーク電流が生じた場合、出力信号Y,R1にはリーク電流の影響に起因するノイズが含まれてしまう。これにより、黄色の波長帯域の可視光の強度Yxが正確に演算されないおそれがある。
演算部40は、出力信号に対するリーク電流の影響を考慮して黄色の波長帯域の可視光の強度Yxを演算する。すなわち、演算部40は、リーク電流の影響をαとした場合、
Yx=(Y+α)−(R1+α)
により演算される。ここで、上述のように、各受光素子11Y,11Rのリーク電流の正負の符号を揃えるように各バイアス電圧VBY,VBRを調整したため、上記式から分かるとおり、黄色の波長帯域の可視光の強度Yxの演算の際に出力信号に対するリーク電流の影響αが打ち消される。
本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、光センサ1の検出精度を向上させるため、黄色の波長帯域の可視光の強度Yxを検出する第1の対策、及び受光部10のリーク電流の影響αを低減する第2の対策の2つの対策を実施している。
まず、第1の対策における作用について説明する。
図14は、本実施形態の光センサ1の分光感度曲線を示し、図15は、比較例の光センサの分光感度曲線を示す。比較例の光センサは、黄色受光画素10Yを有しておらず、黄色の波長帯域の可視光の強度を検出していない。
図15の分光感度曲線から分かるとおり、緑色の可視光の分光感度曲線と赤色の可視光の分光感度曲線との間の波長帯域(600nm付近)、すなわち黄色の波長帯域の透過率の比が小さい。すなわち、比較例の光センサでは、黄色の波長帯域の検出精度が低い。
一方、図14の分光感度曲線から分かるとおり、黄色の可視光の分光感度曲線が追加されることにより、図15の分光感度曲線に比べ、黄色の波長帯域の透過率の比が大きくなる。すなわち、本実施形態の光センサ1は、比較例の光センサよりも黄色の波長帯域の色検出精度が高くなる。
次に、第2の対策における作用について説明する。
第1受光素子11Y及び第2受光素子11Rについて、リーク電流が増幅器31の第1入力端子31aに流れるように、第1受光素子11Y及び第2受光素子11Rに印加されるバイアス電圧を調整する。一例では、第1受光素子11Y及び第2受光素子11Rに印加されるバイアス電圧VBY,VBRを増幅器31の第2入力端子31bに印加される基準電圧よりも高くする。
一方、黄色の可視光の強度YxはY−R1で演算されるように、第1受光素子11Yの出力信号と第2受光素子11Rの出力信号との差に基づいて演算される。このため、第1受光素子11Y及び第2受光素子11Rのリーク電流の向きを予め揃えておけば、可視光の強度の演算時にリーク電流の影響αが相殺される。
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1−1)光センサ1の受光部10は、3原色の赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、及び青色受光画素10Bとは別に黄色受光画素10Yを備えている。このため、緑色と赤色との境界の波長帯域である黄色の波長帯域の可視光を検出することができる。したがって、光センサ1の検出精度を高めることができる。
詳述すると、本願発明者らは、3原色の赤色受光画素10R、緑色受光画素10G、及び青色受光画素10Bのみでは、黄色の波長帯域の可視光の感度が低く、黄色の可視光の検出誤差が大きいことを見出した。
この点、本実施形態によれば、受光部10が黄色受光画素10Yを備えていることにより、黄色の波長帯域の可視光の検出精度を高めることができ、それを通じて光センサ1の色検出精度の向上を図ることができる。
(1−2)黄色受光画素10Yの黄色フィルタ12Yは、黄色の波長以上の波長の光を透過させ、それよりも短い波長の光を遮断(減衰)させるものである。この場合、赤色の波長は黄色の波長よりも長く、かつ、黄色の可視光には赤色の波長の光も含まれるため、第1受光素子11Yとしては、黄色の可視光と赤色の可視光との双方を受光することになる。このため、黄色の検出精度の低下が懸念される。
この点、本実施形態の光センサ1の演算部40は、黄色受光画素10Yの第1受光素子11Yの光電流から得られる出力信号Yと、赤色受光画素10Rの第2受光素子11Rの光電流から得られる出力信号R1との差(Y−R1)に基づいて、黄色の波長帯域の可視光の強度を演算する。この構成によれば、第1受光素子11Yが黄色の波長帯域の光及び赤色の波長帯域の光を検出しても、第2受光素子11Rの赤色の波長帯域で第1受光素子11Yの赤色の波長帯域の光を選択的に排除又は減弱することにより、光センサ1は黄色の波長帯域の光を精度よく検出することができる。したがって、光センサ1における黄色の検出精度の向上を図ることができ、それを通じて光センサ1の色検出精度を高めることができる。
(1−3)第1受光素子11Yと第2受光素子11Rとが互いに隣り合うように配置されているため、光センサ1の受光部10の製造段階において、第1受光素子11Yと第2受光素子11Rとの素子特性のばらつきを小さくすることができる。これにより、演算対象の2つの出力信号Y,R1に対応する2つの受光素子11Y,11Rの素子特性のばらつきを小さくでき、演算部40が黄色の波長帯域の光をより精度よく演算できる。加えて、第1受光素子11Yと第2受光素子11Rとが互いに隣り合うことにより、受光部10に入射する光の入射角度にかかわらず同様に受光することができる。このため、受光素子の配置位置に起因する第1受光素子11Y及び第2受光素子11Rの受光態様のばらつきを小さくすることができる。したがって、光センサ1の色検出精度をより高めることができる。
(1−4)複数の第1受光素子11Yは受光部10の受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置され、複数の第2受光素子11Rは受光領域14の中心CPを対称の中心として点対称となるように配置されている。この構成によれば、受光部10の全体に均一に光が入射しない場合であっても、複数の第1受光素子11Yのうちの1つ、及び複数の第2受光素子11Rのうちの1つで光を検出することができるため、光センサ1の信頼性を高めることができる。
(1−5)複数の第1受光素子11Yがアナログ/デジタル変換回路30aに電気的に接続され、複数の第3受光素子11Gがアナログ/デジタル変換回路30bに電気的に接続されている。また複数の第4受光素子11Bと複数の第5受光素子21IRとが切替部を介してアナログ/デジタル変換回路30dに接続され、複数の第2受光素子11Rと複数のクリア受光素子11Cとが切替部を介してアナログ/デジタル変換回路30cに接続されている。このように、複数の受光素子に対して1つのアナログ/デジタル変換回路が接続される構成であるため、複数の受光素子のそれぞれに対してアナログ/デジタル変換回路が接続される構成と比較して、変換部30の構成が簡素化される。したがって、光センサ1のサイズを小さくすることができる。さらに、色の異なる2種類の受光素子に対して1つのアナログ/デジタル変換回路が接続される構成であるため、変換部30の構成がより簡素化される。したがって、光センサ1のサイズをより小さくすることができる。
(1−6)第1赤外線受光画素22IRの第5受光素子21IRは、赤色受光画素10Rの第2受光素子11R及び緑色受光画素10Gの第3受光素子11Gの両方に隣接するように配置されている。この構成によれば、第2受光素子11R、第3受光素子11G、及び第5受光素子21IRは受光部に入射する光の入射角度にかかわらず同様に受光することができる。このため、第2受光素子11R、第3受光素子11G、及び第5受光素子21IRの受光態様のばらつきを小さくすることができる。したがって、光センサ1の検出精度をより高めることができる。
加えて、第5受光素子21IRと第2受光素子11Rとの素子特性のばらつき、及び第5受光素子21IRと第3受光素子11Gとの素子特性のばらつきを小さくすることができる。したがって、演算部40が赤色の波長帯域の可視光の強度及び緑色の波長帯域の可視光の強度のそれぞれを精度よく演算することができる。
(1−7)光センサ1は、各受光素子11Y,11R,11G,11B,11C,21IRのそれぞれの感度を調整するための情報を記憶する不揮発性メモリ60と、直交方向Zにおいて不揮発性メモリ60に対して重なるように設けられ、紫外線を遮断する遮断層83とを備える。この構成によれば、不揮発性メモリ60に記憶された情報に基づいて各受光素子11Y,11R,11G,11B,11C,21IRのそれぞれの感度を調整することにより、各受光素子11Y,11R,11G,11B,11C,21IRのそれぞれの素子特性のばらつきを小さくすることができる。したがって、光センサ1の検出精度を高めることができる。
一方、不揮発性メモリ60に紫外線が照射されると、不揮発性メモリ60に記憶された情報が消えてしまう場合がある。その点、本実施形態の光センサ1は、不揮発性メモリ60に向けて照射される光に含まれる紫外線を遮断層83によって遮断することにより、不揮発性メモリ60に記憶された情報が消えることを抑制することができる。
(1−8)光センサ1は、直交方向Zにおいて不揮発性メモリ60に対して重なるように設けられたメモリ用カラーフィルタ84を備える。この構成によれば、不揮発性メモリ60に入射する光は、不揮発性メモリ60に入射する前にメモリ用カラーフィルタ84を透過する。このとき、メモリ用カラーフィルタ84によって紫外線が遮断される。したがって、不揮発性メモリ60に対する紫外線の影響を一層抑制することができる。
(1−9)メモリ用カラーフィルタ84は、遮断層83内に設けられている。この構成によれば、メモリ用カラーフィルタ84を構成する有機物が無機物で構成される遮断層83の外部に漏れることが抑制される。したがって、光センサ1の製造段階において、受光部10を形成する半導体基板70に対する有機物による汚染を抑制することができる。
(1−10)第1受光素子11Y及び第2受光素子11Rのそれぞれに印加するバイアス電圧VBY,VBRが、増幅器31の第2入力端子31bに印加される基準電圧よりも高い。この構成によれば、第1受光素子11Y及び第2受光素子11Rにて発生する光電流に対するリーク電流の影響が小さくなるため、増幅器31のオフセットが小さくなる。したがって、増幅器31の出力信号の精度の低下を抑制することができるため、光センサ1の検出精度を高めることができる。
(1−11)第1受光素子11Y及び第2受光素子11Rのそれぞれに印加するバイアス電圧VBY,VBRが、リーク電流が負の値となるように調整される。この構成によれば、演算部40により可視光の強度を演算する場合、2つの受光素子の出力信号の差に基づいて演算される。このため、受光素子の出力信号に含まれるリーク電流の影響αの正負の符号を揃えておけば、2つの受光素子の出力信号の差を演算するときにリーク電流の影響αが相殺される。したがって、増幅器31の出力信号におけるリーク電流の影響が小さくなるため、光センサ1の検出精度を高めることができる。
(1−12)黄色受光画素10Yは、4個の第1受光素子11Yが並列に接続された構成を有する。4個の第1受光素子11Yのそれぞれのリーク電流が合流した後のリーク電流が増幅器31の第1入力端子31aに流れるように4個の第1受光素子11Yのそれぞれのバイアス電圧VBYが調整される。赤色受光画素10Rは、4個の第2受光素子11Rが並列に接続された構成を有する。4個の第2受光素子11Rのそれぞれのリーク電流が合流した後のリーク電流が増幅器31の第1入力端子31aに流れるように4個の第2受光素子11Rのそれぞれのバイアス電圧VBRが調整される。これらの構成によれば、演算部40により黄色の可視光の強度Yxを演算する場合、第1受光素子11Yの出力信号と第2受光素子11Rの出力信号との差に基づいて演算される。このため、第1受光素子11Yの出力信号に含まれるリーク電流の影響αと、第2受光素子11Rの出力信号に含まれるリーク電流の影響αとの正負の符号を揃えておけば、黄色の可視光の強度Yxを演算するときにリーク電流の影響αが相殺される。したがって、増幅器31の出力信号におけるリーク電流の影響が小さくなるため、光センサ1の黄色の可視光の検出精度を高めることができる。
(1−13)第1受光素子11Y及び第2受光素子11Rに印加するバイアス電圧VBY,VBRを調整する調整工程において、リーク電流とバイアス電圧との関係を示すマップが用いられる。この構成によれば、リーク電流が負となるようなバイアス電圧VBY,VBRを容易に取得することができる。したがって、調整工程における作業が容易となる。
(第2実施形態)
図16及び図17を参照して、第2実施形態の光センサ1について説明する。本実施形態の光センサ1は、第1実施形態の光センサ1と比較して、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのバイアス電圧の調整方法が異なる。以下の説明において、第1実施形態の光センサ1と共通する構成については同じ符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図16は、一例として黄色受光画素10Yの回路構成を模式的に示している。図17では、電流測定工程において、各受光画素10Yに印加するバイアス電圧が1.2Vのときの黄色受光画素10Yのリーク電流が正の値である場合(図16の破線矢印)を示している。なお、電流測定工程において、バイアス電圧が1.2Vのときの黄色受光画素10Yのリーク電流を「Iy」とする。
本実施形態では、調整工程において、4つの第1受光素子11Yのリーク電流が合流した後のリーク電流が0又は0に近づくように4つの第1受光素子11Yの少なくとも1つのバイアス電圧VBYを調整する。
調整装置には、図17に示すような第1受光素子11Yが高温時の黄色受光画素10Yにおけるバイアス電圧VBYとリーク電流との関係を示すマップが記憶されている。調整装置は、図17のマップを用いて、4つの黄色受光画素10Yのうちの2つの黄色受光画素10Yの第1受光素子11Yのリーク電流が「−Iy」となるバイアス電圧を演算する。本実施形態では、第1受光素子11Yのリーク電流が「−Iy」となるバイアス電圧は1.5Vである。そして調整装置は、演算したバイアス電圧を不揮発性メモリ60に記憶する。このように、4つの黄色受光画素10Yのうちの2つの黄色受光画素10Yのそれぞれのリーク電流がIyとなり、残りの2つの黄色受光画素10Yのリーク電流のそれぞれが「−Iy」となるため、4つの黄色受光画素10Yのリーク電流が合流したときの電流値は0となる。
調整装置は、他の各受光画素10R,10G,10B,20IRについても黄色受光画素10Yと同様に、各受光素子11R,11G,11B,21IRのバイアス電圧VBR,VBG,VBB,VBIR1,VBIR2を演算する。そして調整装置は、演算したバイアス電圧VBR,VBG,VBB,VBIR1,VBIR2を不揮発性メモリ60に記憶する。
このように各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのそれぞれの4つの受光素子のリーク電流が合流した後のリーク電流が0又は0に近づくようにバイアス電圧VBY,VBR,VBG,VBB,VBIR1,VBIR2が調整される。これにより、増幅器31の第1入力端子31aにリーク電流が流れることが抑制される、又は第1入力端子31aに印加される電圧が第2入力端子31bに印加される電圧(基準電圧)よりも小さくなることが抑制される。したがって、増幅器31の第1入力端子31aと第2入力端子31bとの間にオフセット電圧が生じることが抑制される。
このため、各色の出力信号Y,R1,G1,B1,R2,G2,B2におけるリーク電流の影響α自体が小さい、又はリーク電流の影響αがなくなる。このため、各色の可視光の強度の演算に対してリーク電流の影響α自体が小さい、又はリーク電流の影響αがなくなり、光センサ1の検出精度が向上する。
なお、調整装置は、4つの第1受光素子11Yのリーク電流の合計が0又は0に近づくようにバイアス電圧VBYを調整すればよいため、バイアス電圧VBYを調整する第1受光素子11Yの数は2つに限定されない。調整装置は、バイアス電圧VBYを調整する第1受光素子11Yの数を予め設定し、その設定した数の第1受光素子11Yによって4つの第1受光素子11Yのリーク電流の合計が略0となるように、第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを調整してもよい。
第1の例では、調整装置がバイアス電圧VBYを調整する第1受光素子11Yの数を3つと設定した場合、残り1つの第1受光素子11Yのリーク電流がIyであるとしたとき、3つの第1受光素子11Yのリーク電流の合計が「−Iy」となるように3つの第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを調整する。調整装置は、例えば、3つの第1受光素子11Yのリーク電流のそれぞれが「−Iy/3」となるようにバイアス電圧VBYを設定する。ここで、3つの第1受光素子11Yのリーク電流のそれぞれが「−Iy/3」となるようなバイアス電圧VBYは、約1.33Vである。
ここで、3つの第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYは互いに等しくなくてもよい。すなわち、調整装置は、3つの第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを個別に設定できる。例えば、調整装置は、3つの第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを次のように設定する。調整装置は、第1の第1受光素子11Yのリーク電流が「−Iy/3」となるように第1の第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYに設定する。調整装置は、第2の第1受光素子11Yのリーク電流が0となるように第2の第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを設定する。調整装置は、第3の第1受光素子11Yのリーク電流が「−2/3Iy」となるように第3の第1受光素子のバイアス電圧VBYを設定する。また例えば、調整装置は、3つの第1受光素子11Yのうちの2つのリーク電流が「−Iy/2」となるようにバイアス電圧VBYを設定し、残り1つの第1受光素子11Yのリーク電流が0となるように設定する。すなわち3つの第1受光素子11Yのうちの2つのバイアス電圧VBYが互いに等しくてもよい。
第2の例では、調整装置がバイアス電圧VBYを調整する第1受光素子11Yの数を2つと設定した場合、バイアス電圧VBYが調整されない残り2つの第1受光素子11Yのリーク電流の合計が2Iyであるとき、2つの第1受光素子11Yのリーク電流の合計が「−2Iy」となるように2つの第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを調整する。調整装置は、例えば、2つの第1受光素子11Yのリーク電流のそれぞれが「−Iy」となるようにバイアス電圧VBYを設定する。
ここで、2つの第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYは互いに等しくなくてもよい。すなわち、調整装置は、2つの第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを個別に設定できる。例えば、調整装置は、2つの第1受光素子11Yの一方をリーク電流が「−2Iy」となるようにバイアス電圧VBYを設定し、他方をリーク電流が0となるようにバイアス電圧VBYを設定する。また調整装置は、2つの第1受光素子11Yの一方をリーク電流が「−Iy/2」となるようにバイアス電圧VBYを設定し、他方をリーク電流が「−3/2Iy」となるようにバイアス電圧VBYを設定する。
第3の例では、調整装置がバイアス電圧VBYを調整する第1受光素子11Yの数を1つと設定した場合、バイアス電圧VBYが調整されない残り2つの第1受光素子11Yのリーク電流の合計が3Iyであるとき、第1受光素子11Yのリーク電流が「−3Iy」となるようにバイアス電圧VBYを設定する。なお、上記第1の例〜第3の例は、各受光素子11R,11G,11B,21IRについても適用することができる。
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2−1)調整装置は、4個の第1受光素子11Yのそれぞれにて発生するリーク電流が、第1の方向に流れるリーク電流と、第2の方向に流れるリーク電流とが生じるように4個の第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYを調整する。この構成によれば、4個の第1受光素子11Yのリーク電流が合流する際に、第1の方向のリーク電流と第2の方向のリーク電流とが相殺される。このため、4個の第1受光素子11Yのリーク電流が合流した後のリーク電流が小さくなる。したがって、増幅器31のオフセットが小さくなるため、光センサ1の検出精度を高めることができる。なお、他の受光素子11R,11G,11B,21IRも第1受光素子11Yと同様の構成であり、調整装置によって第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYの調整と同様に、他のバイアス電圧VBR,VBG,VBB,VBIR1,VBIR2を調整することができる。したがって、光センサ1の検出精度をより高めることができる。
(2−2)調整装置は、4個の第1受光素子11Yのそれぞれにて発生するリーク電流が合流した後のリーク電流が0又は0に近づくように4個の第1受光素子11Yのそれぞれのバイアス電圧VBYを調整する。この構成によれば、増幅器31のオフセットが小さくなる。したがって、光センサ1の検出精度をより高めることができる。なお、他の受光素子11R,11G,11B,21IRも調整装置によって第1受光素子11Yのバイアス電圧VBYの調整と同様に、他のバイアス電圧VBR,VBG,VBB,VBIR1,VBIR2を調整することができる。したがって、光センサ1の検出精度をより高めることができる。
(第3実施形態)
図16及び図18を参照して、第3実施形態の光センサ1について説明する。本実施形態の光センサ1は、第1実施形態の光センサ1と比較して、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのバイアス電圧VBY,VBR,VBG,VBB,VBIR1,VBIR2の調整方法が異なる。以下の説明において、第1実施形態の光センサ1と共通する構成については同じ符号を付し、その説明を省略する場合がある。
本実施形態では、一例として黄色受光画素10Yのバイアス電圧VBYの調整方法について説明する。黄色受光画素10Yの回路構成は、第2実施形態の黄色受光画素10Yの回路構成(図16参照)と同じである。
本実施形態のバイアス電圧VBYの調整方法は、各受光素子11Yのリーク電流が0又は0に近づくようにバイアス電圧VBYを調整する方法である。
より詳細には、調整装置には、図18に示すような第1受光素子11Yが高温時の黄色受光画素10Yにおけるバイアス電圧VBYとリーク電流との関係を示すマップが記憶されている。調整装置は、図18のマップを用いて、黄色受光画素10Yの第1受光素子11Yのリーク電流が0となるバイアス電圧VBYを演算する。本実施形態では、第1受光素子11Yのリーク電流が0となるバイアス電圧VBYは1.3Vである。そして調整装置は、演算したバイアス電圧を不揮発性メモリ60に記憶する。調整装置は、他の各受光画素10R,10G,10B,20IRについても同様の方法で、リーク電流が0となるようなバイアス電圧VBR,VBG,VBB,VBIR1,VBIR2を取得する。すなわち、調整装置は、各受光素子11R,11G,11B,21IRにおける受光素子が高温時のバイアス電圧とリーク電流との関係を示すマップを用いて、リーク電流が0となるバイアス電圧VBR,VBG,VBB,VBIR1,VBIR2を演算する。そして調整装置は、演算したバイアス電圧VBR,VBG,VBB,VBIR1,VBIR2を不揮発性メモリ60に記憶する。
このように各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのリーク電流が0となるようにバイアス電圧VBY,VBR,VBG,VBB,VBIR1,VBIR2が調整されるため、増幅器31の第1入力端子31aにリーク電流が流れることが抑制される、又は第1入力端子31aに印加される電圧が第2入力端子31bに印加される電圧(基準電圧)よりも小さくなることが抑制される。したがって、増幅器31の第1入力端子31aと第2入力端子31bとの間にオフセット電圧が生じることが抑制される。
このため、各色の出力信号Y,R1,G1,B1,R2,G2,B2におけるリーク電流の影響α自体が小さい、又はリーク電流の影響αがなくなる。このため、各色の可視光の強度の演算に対してリーク電流の影響α自体が小さい、又はリーク電流の影響αがなくなり、光センサ1の検出精度が向上する。
本実施形態によれば、さらに以下の効果が得られる。
(3−1)調整工程において用いられるリーク電流とバイアス電圧VBYとの関係を示すマップは、第1受光素子11Yが高温時におけるマップである。この構成によれば、リーク電流が0となるバイアス電圧が最も大きい第1受光素子11Yの高温時におけるマップを用いることにより、調整工程において調整したバイアス電圧VBYがばらついたとしてもリーク電流が過度に大きくなることを抑制できる。
〔光センサ1を搭載する電子機器〕
上記各実施形態の光センサ1は、スマートフォン、携帯電話、タブレットPC、ラップトップ型パソコン、デジタルカメラ、カーナビゲーション装置、テレビ等の電子機器に搭載することができる。図19は、上記電子機器の一例であるスマートフォン100の外観を示す斜視図である。
スマートフォン100は、扁平な直方体形状の筐体101の内部に電子部品を収容して構成されている。筐体101は表側及び裏側に長方形状の一対の主面を有しており、その一対の主面が4つの側面で結合されている。筐体101の一つの主面には、液晶パネルや有機ELパネル等で構成された表示パネル102の表示面が露出している。表示パネル102の表示面は、タッチパネルを構成しており、使用者に対する入力インターフェースを提供している。
筐体101の一つの側面には、マイクロフォン103が設けられている。マイクロフォン103は、電話機能のための送話口を提供するとともに、録音用のマイクロフォンとして用いることもできる。表示パネル102の一対の短辺においてマイクロフォン103が位置する側とは反対側の短辺の近傍には、スピーカ104が配置されている。スピーカ104は、電話機能のための受話口を提供するとともに、音楽データ等を再生するための音響化ユニットとしても用いられる。スピーカ104の隣には、レンズ窓105が配置されている。筐体101内においてレンズ窓105に対向する位置には、光センサ1が配置されている。
このようにスマートフォン100は、赤外線の波長帯域の感度を良好に低減できる光センサ1を備えているため、スマートフォン100に形成された受光用のレンズ窓105の可視光線透過率が低くても実用可能となる。このため、レンズ窓105のデザインの自由度(色や形状の変更等)を広げることができる。
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う光センサ、電子機器、光センサの出力回路、及び受光素子のバイアス電圧の調整方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う光センサ、電子機器、光センサの出力回路、及び受光素子のバイアス電圧の調整方法は、上記各実施形態以外に例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合せられた形態を取り得る。
・各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRに対して第1〜第3実施形態の受光素子に印加されるバイアス電圧の調整方法のいずれかを選択的に用いてもよい。例えば、第1受光素子11Y及び第4受光素子11Bは第1実施形態の受光素子に印加されるバイアス電圧の調整方法が用いられ、第2受光素子11R及び第3受光素子11Gは第2実施形態の受光素子に印加されるバイアス電圧の調整方法が用いられ、第5受光素子21IRは第3実施形態の受光素子に印加されるバイアス電圧の調整方法が用いられる。また例えば、第1〜第3実施形態の受光素子に印加されるバイアス電圧調整方法のうちの2つの調整方法を用いてもよい。すなわち、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのうちの1〜4つの受光素子が第1実施形態又は第2実施形態の受光素子に印加されるバイアス電圧の調整方法が用いられ、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのうちの残りの受光素子が第3実施形態の受光素子に印加されるバイアス電圧の調整方法が用いられる。また各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのうちの1〜4つの受光素子が第1実施形態の受光素子に印加されるバイアス電圧の調整方法が用いられ、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのうちの残りの受光素子が第2実施形態の受光素子に印加されるバイアス電圧の調整方法が用いられる。
・各実施形態の受光素子に印加するバイアス電圧の調整方法において、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのうちのいずれかの受光素子におけるバイアス電圧とリーク電流との関係のマップを、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRの他の受光素子に対して適用してもよい。また、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのうち隣り合って配置される受光素子同士をペアとして、そのペアとなる受光素子に対してバイアス電圧とリーク電流との関係のマップを共通して適用してもよい。
・各実施形態において、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのそれぞれの数は任意に変更可能である。例えば第1及び第2実施形態において、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのそれぞれの数は複数であればよい。第3実施形態において、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRのそれぞれの数は1つ以上であればよい。
・各実施形態において、演算部40が黄色の波長帯域の可視光の強度Yxを演算する場合に、例えば赤外線カットフィルタ13を透過する前の黄色の波長帯域の出力信号Y及び赤色の波長帯域の出力信号R1を用いてもよい。具体的には、黄色受光画素10Yの分光感度曲線(図20Aの左端のグラフ)と、赤色受光画素10Rの分光感度曲線(図20Aの中央のグラフ)とが用いられる。図20Aに示すように、黄色受光画素10Yの分光感度曲線から赤色の波長帯域から赤外線の波長帯域までに亘りピークを有する山形の曲線を分離すれば、黄色に由来するとみなしてよい山形の曲線が明確に残ることになる。
そして、演算部40には、黄色受光画素10Yから黄色の光、赤色の光、及び赤外線の検出に応じた大きさの出力信号Yが入力され、赤色受光画素10Rから赤色の光及び赤外線の検出に応じた大きさの出力信号R1が入力される。そして、黄色受光画素10Yの出力信号Yから赤色の可視光及び赤外線の波長帯域分を、赤色受光画素10Rの出力信号R1の大きさに基づいて選択的に排除又は減弱することにより、入射光の実際の黄色の光成分に近い出力信号(情報)が得られる。すなわち、演算部40は、黄色の分光感度特性として黄色の波長帯域の強度を演算する場合、黄色受光画素10Yの第1受光素子11Yの出力信号Yと、赤色受光画素10Rの第2受光素子11Rの出力信号R1との差に基づいて、黄色の波長帯域の可視光の強度を演算する。その結果、黄色受光画素10Yにおける赤色の可視光及び赤外線の分離によって得られる分光感度特性は、図20Aの右端のグラフのようになる。本実施形態では、さらに赤外線カットフィルタ13によっても赤外線の一部がフィルタリング(分離)されるため、最終的には、図20Bに示すような黄色の波長帯域にのみピークを有する分光感度曲線が得られる。
・各実施形態において、遮断層83と赤外線カットフィルタ13とを個別に形成してもよい。
・各実施形態において、図21に示すように、不揮発性メモリ60を覆うメモリ用カラーフィルタ84を光センサ1から省略してもよい。この場合においても、不揮発性メモリ60は、遮断層83により覆われている。
・各実施形態において、変換部30、演算部40、電圧生成部50、及び不揮発性メモリ60の少なくとも1つは、受光部10が形成される半導体基板70とは異なる半導体基板により形成されてもよい。
・各実施形態において、光センサ1と演算部40とが個別に設けられ、光センサ1の変換部30及び不揮発性メモリ60と演算部40とが電気的に接続される構成であってもよい。
・各実施形態において、変換部30のアナログ/デジタル変換回路の個数は任意に変更可能である。一例では、変換部30は、各受光画素10Y,10R,10G,10B,22IR,23IR,10Cに対して専用のアナログ/デジタル変換回路を備えてもよい。
・各実施形態において、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRに印加するバイアス電圧VBY,VBR,VBG、VBB,VBIR1,VBIR2を予め設定された電圧値としてもよい。予め設定された電圧値の一例は、基準電圧(1.2V)である。すなわち、光センサ1において、各バイアス電圧VBY,VBR,VBG、VBB,VBIR1,VBIR2を調整する工程を省略してもよい。
・各実施形態において、各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRで構成されるフォトダイオードの個数は任意に変更可能である。すなわち各受光素子11Y,11R,11G,11B,21IRとしては、1つのフォトダイオードで構成されていてもよく、複数のフォトダイオードで構成されていてもよいし、複数のフォトダイオードの場合、入力端子に接続されているフォトダイオードのうち少なくとも1つに対してバイアス電圧が印加されているとよい。
・各実施形態において、各フィルタ12Y,12R,12G,12Bの厚さは任意に変更可能である。一例では、各フィルタ12Y,12R,12G,12Bのうちの任意の2つのフィルタが厚さ方向(直交方向Z)に重ね合わせられる場合の重ね合わせられた2つのフィルタのそれぞれの厚さと、厚さ方向(直交方向Z)にフィルタが重ね合わせられていない場合のフィルタの厚さとが異なる。各フィルタ12Y,12R,12G,12Bのうちの任意の2つのフィルタが厚さ方向(直交方向Z)に重ね合わせられる場合の重ね合わせられた2つのフィルタのそれぞれの厚さは、厚さ方向(直交方向Z)にフィルタが重ね合わせられていない場合のフィルタの厚さよりも薄い。図22は、各フィルタ12Y,12R,12G,12Bの厚さが異なる構成の一例であり、図2の4−4線の断面図に相当する。
図22に示すように、直交方向Zにおいて、青色フィルタ12Bと重なる赤色フィルタ12Rと、緑色フィルタ12Gと重なる赤色フィルタ12Rの厚さを「厚さT1」とし、他の色のフィルタと重なっていない赤色フィルタ12R、すなわち層間絶縁膜72上の赤色フィルタ12Rの厚さを「厚さT2」とする。また、赤色フィルタ12Rと重なる緑色フィルタ12Gの厚さを「厚さT3」とし、赤色フィルタ12Rと重なっていない緑色フィルタ12Gの厚さを「厚さT4」とする。また青色フィルタ12Bの厚さを「厚さT5」とし、黄色フィルタ12Yの厚さを「厚さT6」とする。
各フィルタ12Y,12R,12G,12Bの厚さの関係の一例は以下のとおりである。赤色フィルタ12Rの厚さT1は、赤色フィルタ12Rの厚さT2よりも薄い。緑色フィルタ12Gの厚さT3は、緑色フィルタ12Gの厚さT4と概ね等しい。緑色フィルタ12Gの厚さT3は、例えば緑色フィルタ12Gの厚さT4よりも薄くてもよい。赤色フィルタ12Rの厚さT1は、緑色フィルタ12Gの厚さT3よりも厚い。赤色フィルタ12Rの厚さT1は、緑色フィルタ12Gの厚さT4よりも厚い。赤色フィルタ12Rの厚さT1は、青色フィルタ12Bの厚さT5よりも薄い。赤色フィルタ12Rの厚さT2は、青色フィルタ12Bの厚さT5よりも厚い。緑色フィルタ12Gの厚さT4は、青色フィルタ12Bの厚さT5よりも薄い。黄色フィルタ12Yの厚さT6は、緑色フィルタ12Gの厚さT3,T4及び青色フィルタ12Bの厚さT5よりも厚い。
また図示はしないが、赤色フィルタ12R以外に緑色フィルタ12G、青色フィルタ12B、及び黄色フィルタ12Yのうちの任意の2つのフィルタが直交方向Zに重ね合わせられる場合についても、直交方向Zに重なっている緑色フィルタ12G、青色フィルタ12B、及び黄色フィルタ12Yのうちの任意の2つのフィルタの厚さはそれぞれ、直交方向Zにフィルタが重なっていない場合のフィルタの厚さよりも薄くてもよい。
・各実施形態において、レジスト膜81の厚さは各フィルタ12Y,12R,12G,12Bを覆う位置に応じて任意に変更可能である。
図22に示すように、レジスト膜81のうちの直交方向Zにフィルタが重なっている部分の厚さを「厚さT7」とし、直交方向Zにフィルタが重なっていない部分の厚さを「厚さT8〜T10」とする。厚さT8は、直交方向Zにおいて赤色フィルタ12Rが重なっていない緑色フィルタ12Gに対応するレジスト膜81の厚さであり、厚さT9は、第2受光素子11Rの赤色フィルタ12Rに対応するレジスト膜81の厚さであり、厚さT10は、直交方向Zにおいて赤色フィルタ12Rが重なっていない黄色フィルタ12Yに対応するレジスト膜81の厚さである。
レジスト膜81の厚さT7は、レジスト膜81の厚さT8,T9,T10よりも薄い。
なお、レジスト膜81の厚さT8は、赤色フィルタ12Rの厚さT2および青色フィルタ12Bの厚さT5よりも薄くてもよい。またレジスト膜81の厚さT8は、緑色フィルタ12Gの厚さT4よりも厚くてもよい。レジスト膜81の厚さT7は、赤色フィルタ12Rの厚さT1よりも薄くてもよい。
・各実施形態において、各フィルタ12Y,12R,12G,12Bのうちの第1方向X及び第2方向Yの少なくとも一方の端部に位置するフィルタの形状が、他のフィルタの形状と異なってもよい。すなわち、第1方向X及び第2方向Yの少なくとも一方においてフィルタが隣接しない部分を有するフィルタの形状が、第1方向Xおよび第2方向Yにそれぞれフィルタが隣接するように配置されたフィルタの形状と異なってもよい。
一例では、図22に示すように、直交方向Zに重なっている3個の赤色フィルタ12Rは、第1方向X及び第2方向Yの少なくとも一方に隣接しない部分を有する。直交方向Zに重なっている3個の赤色フィルタ12Rの第2方向Yの端部には、曲面15が形成されている。曲面15は、直交方向Zに重なっている赤色フィルタ12Rの表面16Aと側面16Bとの間に形成されている。表面16Aは、直交方向Zにおいて赤色フィルタ12Rに対して層間絶縁膜72とは反対側となる面である。側面16Bは、直交方向Zに沿って延びる面である。また青色フィルタ12Bと直交方向Zに重なっている赤色フィルタ12Rの第1方向Xの端部には、曲面15が形成されている。
また図22に示すように、黄色フィルタ12Yの第2方向Yの端部には、曲面17が形成されている。黄色フィルタ12Yの曲面17は、赤色フィルタ12Rの曲面15と同様に形成されている。なお、図示はしないが、赤色フィルタ12R及び黄色フィルタ12Y以外にも、第1方向X及び第2方向Yの少なくとも一方の端部に位置するフィルタの端部に曲面が形成されてもよい。
(付記)
次に、上記各実施形態及び上記各変形例から把握できる技術的思想について記載する。
(付記A1)
第1入力端子、第2入力端子、及び出力端子を有する増幅器と、前記第1入力端子に対して接続されるものであって、フォトダイオードを有する受光素子と、前記第2入力端子に対して基準電圧を印加する基準電圧印加部と、前記受光素子に対して、前記基準電圧とは異なるバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加部と、を備える光センサ。
この構成によれば、複数の受光素子に印加するバイアス電圧が全て等しい場合と比較して、複数の受光素子のリーク電流が合流した後のリーク電流の大きさが小さくなる場合がある。これにより、増幅器のオフセットが小さくなるため、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記A2)
前記バイアス電圧印加部は、前記受光素子に対して、前記基準電圧よりも高いバイアス電圧を印加する、付記A1に記載の光センサ。
本願発明者らは、バイアス電圧と基準電圧とを等しくした場合、受光素子の高温時において受光素子のリーク電流に起因して増幅器のオフセットが大きくなることを、試験等を通じて把握した。増幅器のオフセットが大きくなることにより、増幅器の出力信号の精度が低下してしまう。
一方、本願発明者らは、バイアス電圧を基準電圧よりも高くすると、受光素子のリーク電流が減少して増幅器のオフセットが小さくなることを知見した。そこで、本光センサは、受光素子のバイアス電圧として基準電圧よりも高い電圧を印加する。これにより、増幅器のオフセットが小さくなるため、増幅器の出力信号の精度の低下を抑制できる。したがって、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記A3)
前記バイアス電圧印加部は、前記受光素子のリーク電流が生じないように前記バイアス電圧を調整する、付記A1又はA2に記載の光センサ。
この構成によれば、リーク電流が生じないように受光素子に印加するバイアス電圧を調整することにより、増幅器のオフセットが小さくなる。したがって、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記A4)
前記第1入力端子に接続された前記受光素子が複数設けられており、前記バイアス電圧印加部は、前記複数の受光素子のうち一部の受光素子に対して、前記バイアス電圧として第1の方向のリーク電流を発生させる第1バイアス電圧を印加し、その他の受光素子に対して、前記バイアス電圧として前記第1の方向とは逆方向となる第2の方向のリーク電流を発生させる第2バイアス電圧を印加する、付記A1又はA2に記載の光センサ。
この構成によれば、複数の受光素子のリーク電流が合流する際に、第1の方向のリーク電流と第2の方向のリーク電流とが相殺される。このため、複数の受光素子のリーク電流が合流した後のリーク電流が小さくなる。したがって、増幅器のオフセットが小さくなるため、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記A5)
前記第1入力端子に接続された前記受光素子が複数設けられており、前記バイアス電圧印加部は、前記複数の受光素子にて発生するリーク電流の合算値が0又は0に近づくように前記複数の受光素子に印加されるバイアス電圧のうち少なくとも1つを調整する、付記A1〜A3のいずれか一つに記載の光センサ。
この構成によれば、複数の受光素子のリーク電流が合流した後のリーク電流が0又は0に近づくため、増幅器のオフセットが小さくなる。したがって、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記A6)
前記受光素子として、第1波長帯域の光を検出する第1帯域受光素子、及び第2波長帯域の光を検出する第2帯域受光素子を備え、前記増幅器として、第1増幅器及び第2増幅器を備え、前記光センサは、前記第1増幅器の出力信号と前記第2増幅器の出力信号とに基づいて演算を行う演算部を有し、前記第1増幅器の第1入力端子に対して前記第1帯域受光素子のアノードが接続され、前記第2増幅器の第1入力端子に対して前記第2帯域受光素子のアノードが接続され、前記バイアス電圧印加部は、前記第1帯域受光素子のリーク電流が前記第1増幅器の第1入力端子に流れるように前記第1帯域受光素子に印加するバイアス電圧を調整し、前記第2帯域受光素子のリーク電流が前記第2増幅器の第1入力端子に流れるように前記第2帯域受光素子に印加するバイアス電圧を調整する、付記A1又はA2に記載の光センサ。
この構成によれば、第1増幅器の第1入力端子に第1帯域受光素子のリーク電流が流れ、第2増幅器の第1入力端子に第2帯域受光素子のリーク電流が流れるため、第1増幅器に対する第1帯域受光素子のリーク電流に起因するオフセット電圧と、第2増幅器に対する第2帯域受光素子のリーク電流に起因するオフセット電圧との正負の符号が同じになる。このため、演算部が第1増幅器の出力信号と第2増幅器の出力信号とに基づいて演算を行う場合に第1増幅器のオフセット電圧と第2増幅器のオフセット電圧とが相殺される。したがって、増幅器の出力信号から各受光素子のリーク電流の影響が小さくなるため、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記A7)
前記第1増幅器の前記第1入力端子に接続される前記第1帯域受光素子は複数設けられており、前記第2増幅器の前記第1入力端子に接続される前記第2帯域受光素子は複数設けられており、前記バイアス電圧印加部は、前記複数の第1帯域受光素子にて発生するリーク電流が合流された後のリーク電流が前記第1増幅器の前記第1入力端子に流れるように前記複数の第1帯域受光素子に印加される前記バイアス電圧の少なくとも1つを調整し、前記複数の第2帯域受光素子にて発生するリーク電流が合流された後のリーク電流が前記第2増幅器の前記第1入力端子に流れるように前記複数の第2帯域受光素子に印加される前記バイアス電圧の少なくとも1つを調整する、付記A6に記載の光センサ。
この構成によれば、第1増幅器の第1入力端子に複数の第1帯域受光素子が合流した後のリーク電流が流れ、第2増幅器の第1入力端子に複数の第2帯域受光素子が合流した後のリーク電流が流れるため、第1増幅器に対する第1帯域受光素子のリーク電流に起因するオフセット電圧と、第2増幅器に対する第2帯域受光素子のリーク電流に起因するオフセット電圧との正負の符号が同じになる。このため、演算部が第1増幅器の出力信号と第2増幅器の出力信号とに基づいて演算を行う場合に第1増幅器のオフセット電圧と第2増幅器のオフセット電圧とが相殺される。したがって、増幅器の出力信号から各受光素子のリーク電流の影響が小さくなるため、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記A8)
前記増幅器及び前記基準電圧印加部を含み、前記受光素子の光電流を出力信号に変換する変換部と、前記変換部の出力信号に基づいて可視光の強度を演算する演算部と、を備える、付記A1〜A7のいずれか一つに記載の光センサ。
(付記B1)
光電流を発生するものであって互いに並列に接続された複数の受光素子にて発生する光電流の合算値を出力する光センサの出力回路であって、前記複数の受光素子に印加するバイアス電圧のうちの少なくとも1つのバイアス電圧を他のバイアス電圧と異ならせるように前記複数の受光素子に印加するバイアス電圧を調整するバイアス電圧印加部を備える、出力回路。
この構成によれば、複数の受光素子に印加するバイアス電圧が全て等しい場合と比較して、複数の受光素子のリーク電流が合流した後のリーク電流の大きさが小さくなる場合がある。これにより、増幅器のオフセットが小さくなるため、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記B2)
入力端子及び出力端子を有する増幅器をさらに備え、前記複数の受光素子のそれぞれは、前記入力端子に接続され、前記バイアス電圧印加部は、前記複数の受光素子のうち一部の受光素子に対して、前記バイアス電圧として第1の方向のリーク電流を発生させる第1バイアス電圧を印加し、その他の受光素子に対して、前記バイアス電圧として前記第1の方向とは逆方向となる第2の方向のリーク電流を発生させる第2バイアス電圧を印加する、付記B1に記載の出力回路。
この構成によれば、複数の受光素子のリーク電流が合流する際に第1の方向のリーク電流と第2の方向のリーク電流とが相殺される。このため、複数の受光素子のリーク電流が合流した後のリーク電流が小さくなる。したがって、増幅器のオフセットが小さくなるため、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記B3)
前記バイアス電圧印加部は、前記複数の受光素子にて発生するリーク電流の合算値が0又は0に近づくように前記複数の受光素子に印加される前記バイアス電圧のうち少なくとも1つを調整する、付記B2に記載の出力回路。
この構成によれば、複数の受光素子のリーク電流が合流した後のリーク電流が0又は0に近づくため、増幅器のオフセットが小さくなる。したがって、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記C1)
第1入力端子、第2入力端子、及び出力端子を有する増幅器と、前記第1入力端子に対して接続されるものであって、フォトダイオードを有する受光素子と、前記第2入力端子に対して基準電圧を印加する基準電圧印加部と、前記受光素子に対して、バイアス電圧を印加するバイアス電圧印加部と、を備える受光素子のバイアス電圧の調整方法であって、前記受光素子に前記基準電圧を印加して前記受光素子にて発生するリーク電流を測定する電流測定工程と、前記受光素子のリーク電流が小さくなるように、又は、0又は0に近づくように前記バイアス電圧を調整する調整工程と、を含む、受光素子のバイアス電圧の調整方法。
この構成によれば、受光素子のリーク電流が小さくなることにより、増幅器のオフセットが小さくなるため、増幅器の出力信号の精度の低下を抑制できる。したがって、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記C2)
前記第1入力端子に接続された前記受光素子が複数設けられており、前記電流測定工程において、前記複数の受光素子にて発生するリーク電流の大きさ及び方向を測定し、前記調整工程において、前記複数の受光素子のうち一部の受光素子に対して、第1の方向のリーク電流を発生させるように前記バイアス電圧を調整し、前記第1の方向とは逆方向となる第2の方向のリーク電流を発生させるように前記バイアス電圧を調整する、付記C1に記載の受光素子のバイアス電圧の調整方法。
この構成によれば、複数の受光素子のリーク電流が合流する際に第1の方向のリーク電流と第2の方向のリーク電流とが相殺される。このため、複数の受光素子のリーク電流が合流した後のリーク電流が小さくなる。したがって、増幅器のオフセットが小さくなるため、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記C3)
前記調整工程では、前記複数の受光素子にて発生するリーク電流の合算値が0又は0に近づくように前記バイアス電圧の少なくとも1つを調整する、付記C2に記載の受光素子のバイアス電圧の調整方法。
この構成によれば、複数の受光素子のリーク電流が合流した後のリーク電流が0又は0に近づくため、増幅器のオフセットが小さくなる。したがって、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記C4)
第1入力端子、第2入力端子、及び出力端子を有する増幅器と、前記第1入力端子に対して接続されるものであって、フォトダイオードを有する受光素子と、前記第2入力端子に対して基準電圧を印加する基準電圧印加部と、前記受光素子に対して、バイアス電圧を印加するバイアス電圧印加部と、を備える光センサの受光素子のバイアス電圧の調整方法であって、前記受光素子として、第1波長帯域の光を検出する第1帯域受光素子、及び第2波長帯域の光を検出する第2帯域受光素子を備え、前記増幅器として、第1増幅器及び第2増幅器を備え、前記光センサは、前記第1増幅器の出力信号と前記第2増幅器の出力信号とに基づいて演算を行う演算部を有し、前記第1増幅器の第1入力端子に対して前記第1帯域受光素子のアノードが接続され、前記第2増幅器の第1入力端子に対して前記第2帯域受光素子のアノードが接続され、前記第1帯域受光素子のリーク電流が前記第1増幅器の第1入力端子に流れるように前記第1帯域受光素子に印加する前記バイアス電圧を調整し、前記第2帯域受光素子のリーク電流が前記第2増幅器の第1入力端子に流れるように前記第2帯域受光素子に印加する前記バイアス電圧を調整する調整工程を含む、受光素子のバイアス電圧の調整方法。
この構成によれば、第1増幅器の第1入力端子に第1帯域受光素子のリーク電流が流れ、第2増幅器の第1入力端子に第2帯域受光素子のリーク電流が流れるため、第1増幅器に対する第1帯域受光素子のリーク電流に起因するオフセット電圧と、第2増幅器に対する第2帯域受光素子のリーク電流に起因するオフセット電圧との正負の符号が同じになる。このため、第1増幅器の出力信号と第2増幅器の出力信号とに基づいて演算される場合に第1増幅器のオフセット電圧と第2増幅器のオフセット電圧とが相殺される。したがって、増幅器の出力信号から各受光素子のリーク電流の影響が小さくなるため、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記C5)
前記第1増幅器の前記第1入力端子に接続される前記第1帯域受光素子は複数設けられており、前記第2増幅器の前記第1入力端子に接続される前記第2帯域受光素子は複数設けられており、前記複数の第1帯域受光素子のそれぞれのリーク電流の大きさ及び方向、並びに前記複数の第2帯域受光素子のそれぞれのリーク電流の大きさ及び方向を測定する電流測定工程を含み、前記調整工程では、前記複数の第1帯域受光素子にて発生するリーク電流が合流された後のリーク電流が前記第1増幅器の前記第1入力端子に流れるように前記複数の第1帯域受光素子に印加される前記バイアス電圧の少なくとも1つを調整し、前記複数の第2帯域受光素子にて発生するリーク電流が合流された後のリーク電流が前記第2増幅器の前記第1入力端子に流れるように前記複数の第2帯域受光素子に印加される前記バイアス電圧の少なくとも1つを調整する、付記C4に記載の受光素子のバイアス電圧の調整方法。
この構成によれば、第1増幅器の第1入力端子に複数の第1帯域受光素子が合流した後のリーク電流が流れ、第2増幅器の第1入力端子に複数の第2帯域受光素子が合流した後のリーク電流が流れるため、第1増幅器に対する第1帯域受光素子のリーク電流に起因するオフセット電圧と、第2増幅器に対する第2帯域受光素子のリーク電流に起因するオフセット電圧との正負の符号が同じになる。このため、第1増幅器の出力信号と第2増幅器の出力信号とに基づいて演算される場合に第1増幅器のオフセット電圧と第2増幅器のオフセット電圧とが相殺される。したがって、増幅器の出力信号から各受光素子のリーク電流の影響が小さくなるため、光センサの検出精度を高めることができる。
(付記C6)
前記バイアス電圧と前記受光素子のリーク電流との関係を予め取得し、前記調整工程において、前記バイアス電圧と前記受光素子にて発生するリーク電流との関係に基づいて前記バイアス電圧を調整する、付記C1〜C5のいずれか一つに記載の受光素子のバイアス電圧の調整方法。
この構成によれば、所定のリーク電流の大きさ及び方向となるようなバイアス電圧の調整を容易に行うことができる。したがって、増幅器のオフセットが小さくなるように、受光素子に印加するバイアス電圧の調整を容易に行うことができる。
(付記C7)
前記受光素子に印加する前記バイアス電圧を記憶する記憶部をさらに備え、前記調整工程において、調整された前記バイアス電圧を前記記憶部に記憶させる記憶工程をさらに含む、付記C1〜C6のいずれか一つに記載の受光素子のバイアス電圧の調整方法。
上記光センサ、光センサの出力回路、受光素子のバイアス電圧の調整方法によれば、光センサの検出精度を高めることができる。
上記付記A1〜A8、付記B1〜B3、および、付記C1〜C7に対応する課題は以下のとおりである。
光センサは、複数のフォトダイオードと、これらフォトダイオードの光電流をデジタル信号に変換する変換部と、変換部のデジタル信号に基づいて、検出結果となるセンサ出力信号を出力する演算部とを備える。このような光センサの先行文献として、特開2015−65357号公報が挙げられる。
ところで、光センサの検出精度のさらなる改善が望まれている。
以上のことから、本光センサ、光センサの出力回路、受光素子のバイアス電圧の調整方法の課題は、検出精度を高くすることである。