JP2005147859A - 光センサ - Google Patents

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Abstract

【目的】封止材が吸湿時状態となっても、光検出信号の検出誤差の小さい光センサ集積回路を提供する。
【構成】入射光を受光し電気信号に変換する受光素子と、この受光・変換された電気信号を増幅・処理する演算処理回路と、を同一センサ基板上に構成し、これらの回路素子上を層間絶縁膜で保護する集積回路と、該集積回路上に配置されて前記受光素子の受光面上に開口部を有するとともに少なくとも前記入射光が演算処理回路に悪影響を与える部位を覆い遮光処理する遮光金属膜と、を備えてなる光センサにおいて、前記開口部および前記開口部周辺部を含む前記遮光金属膜の一部または全面のうちの少なくとも一方を水分を透過しない絶縁膜で覆うことにより、遮光金属膜と層間絶縁膜15を介して受光面S1と対向し封止材との間に形成する界面S2とを絶縁する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光電変換素子,演算処理回路および入射光による演算処理回路の誤動作を防止するための遮光金属膜を有する光センサに関する。
従来技術による光センサを内蔵する集積回路、例えば、カメラ用のオートフォーカス集積回路は、受光する光によって演算処理回路が誤動作するのを防止するため、この演算処理回路など入射光Lが影響を与える必要部位の上部を遮光金属膜で覆い、遮光処理をしている。そして、この遮光金属膜の電位は、演算処理回路の耐ノイズ性能を向上する観点から、供給電源電圧(Vdd)または供給電源0V(Vss)に接続して、電位の固定・安定化を図っている。
図8は従来技術による光センサの回路図を示し、図9はこの光センサにおける乾燥期と、高温・多湿期における検出特性の差異を示す。また、図7はそのメカニズムを説明するための図である。
図7の(A)において、光センサは、入射光Lを受光する受光素子12、図示例ではフォトダイオード12と、この受光された電気信号を増幅・処理する後述の演算処理回路13(図7の(A)には場所のみを示してある)とを同一センサ基板11上に構成し、これらの回路素子(12、13)上を層間絶縁膜15で保護する集積回路1と、この集積回路1の受光素子12の受光面S1側に配置され、この受光面S1上に開口部30を有し、入射光Lが演算処理回路13の特性に影響を与える部位を覆い遮光処理する遮光金属膜21(A、B)と、層間絶縁膜15を介して受光素子12の受光面S1と対向する面S2と、遮光金属膜21(A、B)と、を覆うクリアモールド(成形された透明樹脂)22などの封止材と、を備えて一体に形成されている。
また、図8に演算処理回路の一例を示す。図8において、演算処理回路13は、基準電圧Vrefを発生する基準電圧回路VRと、演算増幅器Q1と、この演算増幅器Q1の負帰還回路側に接続される積分容量Cと、この積分容量Cと並列に接続されるリセットスイッチQ2と、を備え、演算増幅器Q1の正入力端子(+)に基準電圧回路VRの正側端子を接続し、負入力端子(-)にフォトダイオードPD(12)のカソード電極を接続し、基準電圧回路VRの負側端子およびフォトダイオードPD(12)のアノード電極を電源0V(Vss)に接続する。遮光金属膜21(A、B)は電源電圧Vddもしくは電源0V(Vss)に固定されるが、以下の説明では、電源電圧Vddに接続されて構成されている例を取り上げて説明する。
かかる構成により、演算増幅器Q1は、積分容量Cを負帰還回路側に接続した積分器を構成する。この積分器の特徴は、負帰還増幅器回路を構成しているので、この積分器が異常発振現象を生じているあるいは出力が何れかの方向に飽和現象を生じているなどの現象が生じていない限り、即ち演算増幅器Q1が正常に動作している状態においては、演算増幅器Q1の正入力端子(+)の電位と負入力端子(-)の電位との差は数mV程度のオフセット電圧をもつイマジナリショートの状態にあり、通常、演算増幅器Q1の負入力端子(-)の電位は、正入力端子(+)の電位と等しいと見做すことができる。
従って、演算増幅器Q1の正入力端子(+)には+Vrefの基準電圧が印加されているので、フォトダイオードPDのカソード・アノード間には、基準電圧Vref分の逆電圧がバイアスされている状態となる。従って、この逆バイアス状態でフォトダイオードPDに入射光Lが入ると、この入射光Lの強度に比例した光電流信号がフォトダイオードPDの逆方向電流(光検出信号)として流れる。この光検出信号は、
(1) リセットスイッチQ2がONしているとき、即ち、演算増幅器Q1の負帰還回路を短絡状態にしたとき、積分器出力は、基準電圧+Vrefのレベルにある。即ち、基準電圧+Vrefのレベルに積分器出力はリセットされている。
(2) また、リセットスイッチQ2がOFFしているとき、積分器出力は、リセットされた基準電圧+Vrefのレベルから、入射光Lの強度に比例した光電流信号が積分容量Cを充電し、この充電電圧が積分器出力となる。従って、リセットスイッチQ2をOFFしてから、予め定められた一定時間経過後の積分器出力V0を読み取ることにより、入射光Lの強度を測定することができる。この入射光Lの測定方法では、入射光Lの強度に比例した光電流信号を積分して測定しているので、各種ノイズ成分、例えば、光信号に入射するチラツキや、受光素子12や演算処理回路13に結合する電気的高周波ノイズ、などの周期の整数倍に選定することにより、ノイズ成分を除去して、入射光Lの強度の平均値を測定することができる。
次に、遮光金属膜21および遮光金属膜21側の層間絶縁膜15とクリアモールド22との界面S2と、フォトダイオード12の受光面S1との間に層間絶縁膜15による寄生容量Cfが存在するため、電源投入直後に、寄生容量Cfの両端電位差が当該電位差(Vdd-Vref)になるまで、寄生容量Cfを介して電荷が流れ、即ち、寄生容量Cfを介して電流が流れ、積分器出力に誤差を生じると言う問題がある。
この問題の重要な例として、光センサのパッケージの吸湿時の暗電流特性がある。図9に乾燥時と吸湿時の特性を図示する。図9において、横軸に時間軸を、縦軸に上からA)電源投入、B)リセットスイッチQ2のON-OFF、C)フローティング電位V3、D)基準電圧Vref、E)出力電圧V0をとる。
図8の左側に模擬的に漏れ抵抗Rlと寄生容量Cfの集中定数で示しているが、電位差(Vdd-Vref)を漏れ抵抗Rlで除算した電流値の一次進み電流が流れ、積分容量Cに充電される。
パッケージが乾燥時では、クリアモールド22と層間絶縁膜15となす界面の漏れ抵抗Rlが極めて高いので、定常状態に入るまでの時間も大きいが、測定対象のフォトダイオード12による光電流信号に対して、この誤差要因である一次進み電流が極めて微小量であるので、実質的に影響を無視することができる。
しかし、光センサが高温・高湿度状態で長時間経過するとクリアモールド22が吸湿し、パッケージが吸湿状態となる。図7の(A)に界面S2の近傍に存在する水分を点線で示すが、この様な状態では、クリアモールド22と層間絶縁膜15とがなす界面S2の漏れ抵抗Rlが小さくなる。この様な状態では、電位差(Vdd-Vref)を漏れ抵抗Rlで除算した電流値の一次進み電流が流れる。時刻t0で電源投入して、時刻t1でリセットスイッチQ2をOFFして測定を開始したとする。時刻t0からt1までの間は、リセットスイッチQ2がONしているので、光センサの出力電圧V0はVrefの一定値であり、この期間は一次進み電流の影響を受けない。しかし、リセットスイッチQ2がOFFすると、この時点から一次進み電流と光電流信号の差で出力電圧V0が一旦減少方向に動き、一次進み電流の減少と共に漸次光電流信号の方が大きくなると出力V0が増加方向に反転する。
図9は上述の検出特性を図示し、図中の実線(A)で吸湿時状態の特性を、点線(B)で乾燥時状態の特性を示す。乾燥時状態の光センサの出力電圧V0Nに対して吸湿時状態の出力電圧V0Eは小さくなる。
また、図示省略されているが、遮光金属膜21を電源0V(Vss)に接続したときは、時刻t0で電源を投入すると、基準電圧Vrefを漏れ抵抗Rlで除算した電流値の一次進み電流が流れる。この一次進み電流が流れる方向は、上記遮光金属膜21を電源Vddに接続したとき逆方向に流れる。従って、乾燥時状態の光センサの出力電圧V0Nに対して吸湿時状態の出力電圧V0E'は逆に大きくなる。
このような光センサは、乾燥時状態では極めて良好な光検出特性を有するが、高温・多湿の状態で長期間経過して吸湿時状態では、層間絶縁膜の開口部の漏れ抵抗が低下し、この結果、寄生容量Cfを介して積分器の積分容量への結合電荷が流れて誤差を生じる恐れがある。特に、この検出誤差は、電源投入からリセットスイッチをOFFして測定に入る経過時間との関係によっても検出誤差の大小が異なってくる。即ち、電源を投入してから測定に入るまでの経過時間が長い程、この検出誤差が小さくなる特性を有する。以下、その詳細について説明する。
図7の(B)および(C)に、漏れ抵抗と寄生容量回路の分布定数回路モデルおよび集中定数回路モデル図を示す。まず。図7の(B)により吸湿時の漏れ抵抗Rlと寄生容量Cfの分布定数回路を説明する。図7の(B)において、寄生容量Cfは、層間絶縁膜15を介して、一方はフォトダイオード12のカソード電極を構成する受光面S1と、他方は層間絶縁膜15を介して受光面S1と対向しクリアモールド22との間に形成する界面S2と、の間に容量cf1・・・の分布定数回路があり、クリアモールド22が吸湿することによって界面S2に水分31が発生し、横方向に広がる界面S2の漏れ抵抗rl1・・・が低下すると、この漏れ抵抗rliと寄生容量cfiとの分布定数回路(rli、cfi)が形成される。また、界面S2の端部は、層間絶縁膜15を介して遮光金属膜21A、21Bと、フォトダイオード12の受光面S1との間に寄生容量cf0A、cf0Bがある。
乾燥時は、界面S2の漏れ抵抗rl1・・・は極めて高く、実質的に無限大と見做せるので、実際上は上記時定数特性を有する分布定数回路(rli、cfi)が存在しないものと見做せ、ただ、界面S2の端部の寄生容量cf0A、cf0Bのみがあると見做せる。この寄生容量cf0A、cf0Bの影響は、遮光金属膜21A、21Bの導電性抵抗値が小さいので寄生容量cf0A、cf0Bによる時定数は極めて小さく、その充放電動作はごく短時間で終了するため、従来技術の演算処理回路13で説明した様に、電源投入時にリセットスイッチQ2をONすることにより、寄生容量cf0A、cf0Bを介して積分容量Cへの充電はリセットスイッチQ2のONで放電され、この影響は無視することができる。
他方、吸湿時では、漏れ抵抗rliと寄生容量cfiとの分布定数回路(rli、cfi)を介して、電源投入と共に、界面S2上の電位分布が伝搬する。この電位分布の伝搬が寄生容量cfiを介してフォトダイオード12の受光面S1への電荷の変化となり、漏れ抵抗rliの値によっては、リセットスイッチQ2をOFFした後の光検出出力電圧V0の測定に影響を与える。特に、測定する光信号が暗いとき、フォトダイオード12で発生する光電流が微小なため、測定値に誤差を生じることになる。なお、図7の(C)はこの分布定数回路(rli、cfi)を近似的に集中定数回路(Rl、Cf) に置き替えたものである。
上記はセンサ基板11をクリアモールド22で封止した場合について説明したが、他の場合、例えば、センサ基板11上面をモールドせずにシリコンゲルなどの透明材料を充填した構成においても同様な問題がある。
また、センサ基板11上に透明材料を形成しない中空状態のものでも、高温・多湿の状態において、開口部30すなわち層間絶縁膜15の界面S2が濡れると同様の問題がある。
上述のCMOS光センサに限らずCCDセンサにおいても、フォトダイオードの電位が徐々に変化することにより転送電極との相対電位関係も変化し、最終的にはセンサ出力が変化してしまうという問題がある。
これに対し、図10に示すように遮光金属膜21の電位を電源電圧Vddや電源0V(Vss)ではなく、基準電圧Vrefもしくはこれに近いバイアス電源Vbとすることにより上記課題を解決する方法がある(例えば特許文献1を参照)。遮光金属膜21とフォトダイオード12のカソード電極の電位差が小さいため、図10に示す演算処理回路13Aでは、電源投入時に漏れ抵抗R1と寄生容量Cfを介して流れる積分器の積分容量への結合電荷の量を無視できるほど小さくできるというものである。
特開2002−158342号公報
上述の遮光金属膜21の電位を基準電圧Vrefもしくはこれに近いバイアス電源Vbに接続するという方法は、新たにこれらの電源を用意する必要がある。遮光金属膜21は大きな面積を有し、またアンテナ効果によりノイズ源となる可能性があるため、これらの電源は他の電源、特に基準電圧源とは独立したものでかつ充分大きなドライブ能力を有するもの、すなわち集積回路中に占めるそのレイアウト面積が大であることが必要とされる。従い、集積回路のレイアウト面積すなわちチップサイズが増大し、必然的にコストアップに繋がってしまうという課題がある。
本発明は上記の点にかんがみてなされたものであり、その目的は前記した課題を解決して、吸湿状態となっても、上述のアンテナ効果をもたらすことなく光検出信号の検出誤差を小さくすることのできる光センサを提供することにある。
そこで、上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、入射光を受光し電気信号に変換する受光素子と、この受光・変換された電気信号を増幅・処理する演算処理回路と、を同一センサ基板上に構成し、これらの回路素子上を層間絶縁膜で保護する集積回路と、該集積回路上に配置されて前記受光素子の受光面上に開口部を有するとともに少なくとも前記入射光が演算処理回路に悪影響を与える部位を覆い遮光処理する遮光金属膜と、を備えてなる光センサにおいて、前記開口部および前記開口部周辺部を含む前記遮光金属膜の一部または全面のうちの少なくとも一方を水分を透過しない絶縁膜で覆うことを特徴とする。

請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記水分を透過しない絶縁膜が前記開口部と前記遮光金属膜とを完全に覆っていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記水分を透過しない絶縁膜が開口部および前記開口部周辺の前記遮光金属膜のみを覆っていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記開口部から所定の距離以上離間した前記遮光金属膜の少なくとも一部は前記水分を透過しない絶縁膜に覆われていないことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記層間絶縁膜の厚さと前記水分を透過しない絶縁膜の厚さの合計が6000〜30000Åであることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに係る発明において、前記層間絶縁膜および前記水分を透過しない絶縁膜がそれぞれシリコン窒化膜,シリコン酸化膜もしくはリンドープトシリコン酸化膜のうちのひとつからなる単層膜もしくは複数からなる積層膜のいずれかであることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれかに係る発明において、前記水分を透過しない絶縁膜の厚さが3000〜20000Åであることを特徴とする。
この発明の光センサは、入射光を受光し電気信号に変換する受光素子と、この受光・変換された電気信号を増幅・処理する演算処理回路と、を同一センサ基板上に構成し、これらの回路素子上を層間絶縁膜で保護する集積回路と、該集積回路上に配置されて前記受光素子の受光面上に開口部を有するとともに少なくとも前記入射光が演算処理回路に悪影響を与える部位を覆い遮光処理する遮光金属膜と、を備えてなる光センサにおいて、前記遮光金属膜開口部および前記開口部周辺部を含む前記遮光金属膜の一部または全面のうちの少なくとも一方を水分を透過しない絶縁膜で覆うことにより、遮光金属膜と層間絶縁膜15を介して受光面S1と対向しクリアモールド22との間に形成する界面S2とを完全に、もしくは実用上問題ないレベルまで絶縁することができる。これは背景技術の項で説明したパッケージが乾燥している状態に相当するから、吸湿状態となっても光検出信号の検出誤差を小さくすることのできる光センサを提供することができる。また、遮光金属膜の電位を電源電圧Vddもしくは電源0V(Vss)とすることができるので、アンテナ効果を考慮した専用の電源回路を不要とすることができる。
また、上記の効果はクリアモールド22以外に対しても、例えば、センサ基板11上面をモールドせずにシリコンゲルなどの透明材料を充填した構成においても同様に有効である。
さらに、センサ基板11上に透明材料を形成しない中空状態のものでも、高温・多湿の状態において、開口部30すなわち層間絶縁膜15の界面S2が濡れた場合に対しても同様の効果がある。
ここでは、光センサの実施の形態として、受光素子の受光面上にある遮光金属膜開口部30および該開口部周辺部を含む遮光金属膜の一部または全面のうちの少なくとも一方を水分を透過しない絶縁膜で覆うことにより、遮光金属膜と界面S2の間に水分の経路ができないようにして両者を完全にもしくは実質的に電気的に絶縁するものについて説明する。
実施例1は遮光金属膜開口部30および遮光金属膜21の全面を水分を透過しない絶縁膜3
で覆うものである。図1にその断面図を示す。図7の(A)に示す断面図は集積回路の一部である受光素子近傍を示したものであるのであるが、図1は集積回路全体の断面図であり、本発明に関係するもののみを図示している。また、図7の(A)と共通する部分は同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図1において層間絶縁膜15は集積回路1表面の開口部2を除く全面を覆っている。開口部2の下部には集積回路の図示しないパッドがあり、このパッドと図示しない外部リードフレームとをこれも図示しないワイヤにより電気的に接続する。遮光金属膜21は受光素子12の上部以外にもパッド周辺など入射光Lに影響されない部分などは覆わず露出させている。実施例1は水分を透過しない絶縁膜3を層間絶縁膜15と面位置で積層させるものである。層間絶縁膜15は集積回路の保護膜の機能を有するものであればよく、例えば、シリコン窒化膜,シリコン酸化膜,リンドープトシリコン酸化膜などの組み合わせ(単層または積層膜)などを適用することができる。保護膜としての層間絶縁膜15の厚さとしては3000〜20000Åの範囲がよい。これより薄いと保護機能に問題が出てくる。また、これより厚いと応力による素子特性の変化が懸念される。なお、図1には図示しないが、層間絶縁膜15以外にも保護機能を目的としない層間絶縁膜があってもよい(以下同様)。
集積回路の保護は層間絶縁膜15が行っているため、水分を透過しない絶縁膜3は必ずしも集積回路の保護膜である必要はなく、水分を通さないことと、遮光金属膜21と界面S2の分離ができること、の2つが満たされるものであればよい。水分を透過しない絶縁膜3についても層間絶縁膜15と同様にシリコン窒化膜,シリコン酸化膜,リンドープトシリコン酸化膜などの組み合わせ(単層または積層膜)などを適用することができる。絶縁膜3の厚さとしては3000〜10000Åの範囲がよい。薄い方の限界については保護膜と基本的に同じであり、自身の強度などを考慮して、3000Åがその限界となる。また、10000Åより厚いと応力による素子特性の変化が懸念される。本実施例1においては、絶縁膜3により遮光金属膜21と界面S2が電気的に絶縁されるため、上述の課題を解決することができる。
上記のように水分を透過しない絶縁膜3は必ずしも集積回路の保護膜である必要はないが、実際に適用される膜は集積回路の保護膜として適用されるものと共通するものが多い。水分を透過しない絶縁膜3として集積回路の保護膜にも適用できるものを適用する場合は、層間絶縁膜15と水分を透過しない絶縁膜3の両者を合わせて集積回路の保護機能をもたせればよい。この場合、ふたつの膜の合計膜厚は6000〜30000Åの範囲であればよい。但し、段差被覆性の観点から、層間絶縁膜15と水分を透過しない絶縁膜3の厚さはそれぞれ1000Å以上であることが望ましい。また、層間絶縁膜15の厚さを、従来技術の層間絶縁膜15の厚さより水分を透過しない絶縁膜3の厚さ分だけ薄くして、層間絶縁膜15と水分を透過しない絶縁膜3の合計膜厚を従来技術の層間絶縁膜15のままとすることにより、従来技術の保護機能をそのまま維持しながら、絶縁膜による応力を増加させることなく水分の影響を除去することができる。
実施例2は遮光金属膜開口部30のみを水分を透過しない絶縁膜3で覆うものである。図2にその断面図を示す。図1と共通する部分は同一符号を付してある。図1と異なり、界面S2のみが水分を透過しない絶縁膜3により覆われていて、遮光金属膜21は覆われていない。図1に示す実施例1では遮光金属膜21が温度膨張係数などの特性が異なる層間絶縁膜15と水分を透過しない絶縁膜3により閉じ込められる形となるので、これに起因する不都合が懸念される場合は本実施例2および後述の実施例3,4,6の形態をとるとよい。なお、本実施例2および以下に示す他の実施例における水分を透過しない絶縁膜3の厚さや適用しうる膜の種類も上記の実施例1と同様である。但し、本実施例2においては、層間絶縁膜15が単独で集積回路の保護を行う必要がある。界面S2が水分を透過しない絶縁膜3により完全に覆われるため、本実施例2においても、絶縁膜3により遮光金属膜21と界面S2が電気的に絶縁され、上述の課題を解決することができる。
実施例3は遮光金属膜開口部30およびその周辺の遮光金属膜を水分を透過しない絶縁膜3で覆うものである。図3にその断面図を示す。図1と共通する部分は同一符号を付してある。図2に示す実施例2では、遮光金属膜21と水分を透過しない絶縁膜3が側面4で接しているのみであり、この部分からの水分の浸入が懸念される場合は開口部周辺の遮光金属膜21上も水分を透過しない絶縁膜3で覆うとよい。本実施例3における水分を透過しない絶縁膜3の厚さや適用しうる膜の種類も上記の実施例2と同様である。
実施例4は、図3に示す実施例3に対し、水分を透過しない絶縁膜3が覆う遮光金属膜21部分を狭め、水分を透過しない絶縁膜3の周縁部を遮光金属膜開口部30のごく近傍に位置させたものである。これにより水分を透過しない絶縁膜3の周縁部が図4に示すように隆起形状5を示し、この部分がレンズとなって遮光金属膜開口部30の周辺に照射される光を受光素子12に導くことができ、光センサの感度を向上させることができる。レンズ効果に増大させるためには、水分を透過しない絶縁膜3を遮光金属膜21より厚くすることがより有効である。
実施例1〜実施例4では受光素子12の直上に層間絶縁膜15と水分を透過しない絶縁膜3の2層膜ができるので、これらの膜による光の干渉が懸念される場合がある。これに対処するが実施例5であり、図5にその断面図を示す。実施例5では、水分を透過しない絶縁膜3は覆っているが遮光金属膜開口部30は周辺部を除き覆っていない。これにより、光の干渉効果を防ぐことができる。本実施例5においても、絶縁膜3により遮光金属膜21と界面S2が電気的に絶縁され、上述の課題を解決することができる。
実施例2で実施例1について説明したように、実施例5では遮光金属膜21が温度膨張係数などの特性が異なる層間絶縁膜15と水分を透過しない絶縁膜3により閉じ込められる形となる。これに起因する不都合が懸念される場合は、本実施例6に示す形態をとればよい。図6に実施例6に関する断面図を示すが、これは図5に示す実施例5に対し、水分を透過しない絶縁膜3が遮光金属膜21を覆う範囲を遮光金属膜開口部30の周辺部のみにしたものである。実施例6ではクリアモールド22が吸湿した場合、遮光金属膜21から界面S2まで図6の点線6で示す電気抵抗が無限大ではない経路ができるが、その電気抵抗が実質的に無視できるように、すなわち点線6で示す経路の長さが所定値以上になるように、水分を透過しない絶縁膜3が遮光金属膜21を覆う範囲を広めにしておけばよい。
実施例1について説明するための断面図である。 実施例2について説明するための断面図である。 実施例3について説明するための断面図である。 実施例4について説明するための断面図である。 実施例5について説明するための断面図である。 実施例6について説明するための断面図である。 従来技術の光センサ集積回路の(A)要部構成図と、(B)漏れ抵抗と寄生容量回路の分布定数回路モデル図、および(C)集中定数回路モデル図である。 従来技術によるに光センサの回路図である。 従来技術によるに光センサの乾燥時と吸湿時の特性の説明図である。 他の従来技術による光センサの回路図である。
符号の説明
1 集積回路
2 開口部(パッド部)
3 水分を透過しない絶縁膜
4 遮光金属膜と水分を透過しない絶縁膜が接する側面
5 水分を透過しない絶縁膜3の周縁部隆起形状
6 水分
11 センサ基板
12 受光素子(フォトダイオード)
13 演算処理回路
15 層間絶縁膜
21A、21B 遮光金属膜
22 クリアモールド
30 遮光金属膜開口部
31 水分
PD フォトダイオード
Q1 演算増幅器
Q2 リセットスイッチ
C 積分容量
VR 基準電圧発生器
Vref 基準電圧
V0 出力電圧
V2、 V3 電位
S1 フォトダイオード受光面
S2 界面

Claims (7)

  1. 入射光を受光し電気信号に変換する受光素子と、この受光・変換された電気信号を増幅・処理する演算処理回路と、を同一センサ基板上に構成し、これらの回路素子上を層間絶縁膜で保護する集積回路と、該集積回路上に配置されて前記受光素子の受光面上に開口部を有するとともに少なくとも前記入射光が演算処理回路に悪影響を与える部位を覆い遮光処理する遮光金属膜と、を備えてなる光センサにおいて、前記開口部および前記開口部周辺部を含む前記遮光金属膜の一部または全面のうちの少なくとも一方を水分を透過しない絶縁膜で覆うことを特徴とする光センサ。
  2. 前記水分を透過しない絶縁膜が前記開口部と前記遮光金属膜とを完全に覆っていることを特徴とする請求項1に記載の光センサ。
  3. 前記水分を透過しない絶縁膜が開口部および前記開口部周辺の前記遮光金属膜のみを覆っていることを特徴とする請求項1に記載の光センサ。
  4. 前記開口部から所定の距離以上離間した前記遮光金属膜の少なくとも一部は前記水分を透過しない絶縁膜に覆われていないことを特徴とする請求項1に記載の光センサ。
  5. 前記層間絶縁膜の厚さと前記水分を透過しない絶縁膜の厚さの合計が6000〜30000Åであることを特徴とする請求項1または2に記載の光センサ。
  6. 前記層間絶縁膜および前記水分を透過しない絶縁膜がそれぞれシリコン窒化膜,シリコン酸化膜もしくはリンドープトシリコン酸化膜のうちのひとつからなる単層膜もしくは複数からなる積層膜のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光センサ。
  7. 前記水分を透過しない絶縁膜の厚さが3000〜20000Åであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の光センサ。
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