JP2019086790A - 積層体及び液晶表示装置 - Google Patents

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動▲徳▼ 崔
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健次 松野
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Abstract

【課題】偏光板を構成する保護フィルムにソルベントクラックが発生しない積層体を提供し、さらにかかる積層体を組み込んだ視認性に優れた液晶表示装置を提供すること。【解決手段】基板、活性エネルギー線硬化型接着剤層および偏光板をこの順に有する積層体において、前記偏光板は、偏光子と環状オレフィン系樹脂の保護フィルムとを有する偏光板であって、下記式を満たす積層体。Re(550)≧−38.37ln(S)−434.4δ+8063。Sは、25℃の水100gに対する、活性エネルギー線硬化型接着剤層を形成する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に含まれる重合性モノマーの溶解度を表す。Re(550)は、波長550nmにおける環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの面内位相差値を表す。δはSP値を表す。【選択図】図3

Description

本発明は、積層体及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、携帯電話などのモバイル機器、パーソナルコンピュータ、大型テレビに至るまで、様々な機器に組み込まれている。携帯電話などのモバイル機器においては、視認側の表面にカバーガラスやタッチセンサーモジュール付カバーガラス(以下、タッチパネルという。)が配置され、カバーガラスやタッチパネルと液晶パネルとの間に、光学的に透明な液体接着剤(Liquid Optically Clear Adhesives、以下LOCAという。)を配設し、硬化させることが多い。LOCAを使用することにより、液晶パネルとカバーガラスやタッチパネルとの間に気泡が噛み込むのを抑制し、さらに反射による光の損失を低減することができる。
しかしながら、カバーガラスやタッチパネルと液晶パネルとの間にLOCAを配設したときに、液晶パネルの最表面を構成する部材の1つである偏光板の保護フィルムの主面とLOCAとが接触したり、LOCAが液体であることに起因して偏光板の側面へLOCAの液ダレが生じたりすることがある。そして偏光板の主面及び側面とLOCAとが接触することで、LOCAの接着剤成分により、偏光板の表面を構成する保護フィルムにソルベントクラックが生じてしまい、表示装置の視認性が低下してしまうことが知られている。
特許文献1には、偏光板を構成する保護フィルムの両面に、カチオン重合性の保護膜を形成し、保護フィルムの面内位相差値Reを50nm以上とすることにより、耐ソルベントクラック性を向上させる方法が開示されている。
特開2014−32270号公報
接着剤に含まれる重合性モノマーの種類及び重合性モノマーの含有割合、並びに偏光板を構成する保護フィルムの種類によっては、依然としてソルベントクラックが発生してしまい、液晶表示装置の視認性が低下するという問題があった。保護フィルムの両面に、カチオン重合性の保護膜を形成した場合であっても、偏光板側面と接着剤との接触は避けられず、偏光板の端部に依然としてソルベントクラックが生じるという問題は残されていた。
本発明は下記のものを含む。
[1]基板、活性エネルギー線硬化型接着剤層および偏光板をこの順に有する積層体において、
前記偏光板は、偏光子と環状オレフィン系樹脂の保護フィルムとを有する偏光板であって、下記式(1)を満たす積層体。
Figure 2019086790
[式(1)中、Sは、
Figure 2019086790
を表す。Skは、25℃の水100gに対する、前記活性エネルギー線硬化型接着剤層を形成する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に含まれるk番目の重合性モノマーの溶解度を表し、aは、前記k番目の重合性モノマーの重量部を表す。
Re(550)は、波長550nmにおける環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの面内位相差値を表す。
δは、Y−MB法により計算した前記環状オレフィン系樹脂の保護フィルムのSP値を表す。
なお、Sの単位はgとし、Re(550)の単位はnmとし、δの単位は(MPa)1/2とする。]
[2]活性エネルギー線硬化型接着剤層が、偏光板の主面及び側面を覆う層である[1]に記載の積層体。
[3]活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が、ラジカル重合性化合物を含む[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]環状オレフィン系樹脂の保護フィルムのSP値が、17〜19である[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]積層体の形状が矩形であり、長辺の長さが5cm以上であり、短辺の長さが3cm以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の積層体を有する液晶表示装置。
本発明によれば、偏光板を構成する保護フィルムにソルベントクラックが発生しない積層体を提供することができ、さらにかかる積層体を組み込んだ視認性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
本発明の積層体の層構成の一例を表す概略図である。 本発明の積層体の層構成の一例を表す概略図である。 実施例及び比較例における環状オレフィン系樹脂の保護フィルムのSP値に応じた面内位相差値Re(550)と溶解度Sとの関係を示す図である。
本発明の積層体は、基板、活性エネルギー線硬化型接着剤層及び偏光板をこの順に有し、前記偏光板は、偏光子と環状オレフィン系樹脂の保護フィルムとを有する。以下、本発明の積層体を構成する各部材について説明する。
[基板]
本発明の積層体に使用される基板は、光学的に透明な基板であることが好ましい。光学的に透明とは、460〜720nmにわたる波長域で85%の透過率を有することを意味する。基板の厚さは、通常0.5〜5mmである。また、基板の屈折率は、活性エネルギー線硬化型接着剤層及び液晶パネルの屈折率に近いことが好ましく、1.4〜1.7であることが好ましい。
基板は、ガラス基板であってもよいし、樹脂基板であってもよい。ガラス基板を形成するガラスとしては、ホウケイ酸、ソーダ石灰などが上げられる。具体的には、EAGLE XG(登録商標)(コーニング社)及びJADE(登録商標)(コーニング社)が挙げられる。樹脂基板としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ボリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムなどのアクリルフィルムが挙げられる。
基板は、タッチパネルであってもよい。タッチパネルは従来公知のものを採用することができ、通常、2枚の透明な基板の間に配置された導電層を含む。2枚の透明な基板としては、上記ガラス基板が挙げられ、導電層としては、酸化インジウムスズが挙げられる。
[活性エネルギー線硬化型接着剤層]
活性エネルギー線硬化型接着剤層は、基板と偏光板との間に形成される層であり、基板と偏光板とのエアギャップを埋め、基板と偏光板とを接着するための層である。エアギャップを活性エネルギー線硬化型接着剤層で充填することにより、耐衝撃性を高めたり、反射による光損失を低減させたりすることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤層は、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に活性エネルギー線を照射し、硬化させることにより形成することができる。活性エネルギー線硬化型接着剤層は、後述の偏光板上に形成されていればよいが、接着剤組成物が液状であることに起因した液ダレが生じるため、通常偏光板の側面上にも形成されている。すなわち活性エネルギー線硬化型接着剤層は後述の偏光板の表面を覆うように設けられることが多い。
活性エネルギー線硬化型接着剤層の厚みは、通常30〜200μmであり、好ましくは50〜200μmであり、より好ましくは80〜150μmである。活性エネルギー線硬化型接着剤層は、光学的に透明であることが好ましい。光学的に透明とは、460〜720nmにわたって85%の透過率を有することを意味する。また、基板の屈折率は、基板及び液晶パネルの屈折率に近いことが好ましく、1.4〜1.7であることが好ましい。
[活性エネルギー線硬化型接着剤組成物]
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は液状であり重合性モノマーを含む。重合性モノマーとしては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物を挙げることができ、ラジカル重合性化合物が好ましい。カチオン重合性化合物としては、分子内に少なくとも1個のオキセタン環(4員環エーテル)を有する化合物(以下、オキセタン化合物いう。)、分子内に少なくとも1個のオキシラン環(3員環エーテル)を有する化合物(以下、エポキシ化合物という。)などが挙げられる。ラジカル重合性化合物としては、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(以下、(メタ)アクリル系化合物という。)が好ましい。なお本明細書において、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、メタクリロイルオキシ基又はアクリロイルオキシ基を意味し、その他の(メタ)を付した用語においても同様である。
(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマーや、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合、(メタ)アクリレートモノマーが2種以上であってもよいし、(メタ)アクリレートオリゴマーが2種以上であってもよいし、もちろん(メタ)アクリレートモノマーの1種以上と(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上とを併用してもよい。
上記の(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー、分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー及び分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、カルボキシル基含有の(メタ)アクリレートモノマーを使用してもよい。カルボキシル基含有の単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、N−(メタ)アクリロイルオキシ−N′,N′−ジカルボキシメチル−p−フェニレンジアミン、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸などが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン、水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート〕、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物〔化学名:2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのような3官能以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。その他、3官能以上のハロゲン置換ポリオールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ]プロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとは、分子内にウレタン結合(−NHCOO−)及び少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基及び少なくとも1個の水酸基を有する水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとポリイソシアネートとのウレタン化反応の生成物や、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる末端イソシアナト基含有ウレタン化合物と、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基及び少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する(メタ)アクリレートモノマーとのウレタン化反応の生成物などが挙げられる。
ウレタン化反応に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
かかる水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとのウレタン化反応に供されるポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのうち芳香族のイソシアネート類を水素添加して得られるジイソシアネート(例えば、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートなど)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジベンジルベンゼントリイソシアネート等のジ−又はトリ−イソシアネート及び上記のジイソシアネートを多量化させて得られるポリイソシアネートなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネートとの反応により末端イソシアナト基含有ウレタン化合物とするために使用されるポリオール類としては、芳香族、脂肪族及び脂環式のポリオールのほか、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられる。芳香族のポリオールとしては、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,2−ベンゼンジメタノール、4,4’−ナフタレンジメタノール、3,4’−ナフタレンジメタノールなどが挙げられる。脂肪族及び脂環式のポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールAなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールは、上記したポリオール類と多塩基性カルボン酸またはその無水物との脱水縮合反応により得られるものである。多塩基性カルボン酸またはその無水物としては、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などがある。
ポリエーテルポリオールは、ポリアルキレングリコールのほか、上記ポリオール類又はジヒドロキシベンゼン類とアルキレンオキサイドとの反応により得られるポリオキシアルキレン変性ポリオールなどが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとは、分子内に少なくとも2個のエステル結合と少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物である。具体的には、(メタ)アクリル酸、多塩基性カルボン酸又はその無水物、及びポリオールの脱水縮合反応により得ることができる。脱水縮合反応に使用される多塩基性カルボン酸又はその無水物としては、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また、脱水縮合反応に使用されるポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールAなどが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応により得ることができる。付加反応に用いられるポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物100重量部に対して、上記ラジカル重合性化合物の合計量は20〜80重量部であることが好ましく、30〜70重量部であることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。重合性モノマーとしてラジカル重合性化合物を含む場合、ラジカル重合開始剤を含むことが好ましく、重合性モノマーとしてカチオン重合性化合物を含む場合、カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ化合物を代表例とするカチオン重合性モノマーの重合反応を開始するものであればよい。ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により、(メタ)アクリル系化合物などのラジカル重合性化合物の重合を開始できるものであればよく、公知のものを使用することができる。ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパン−1−オン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンのようなアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン及び4,4’−ジアミノベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテル及びベンゾインエチルエーテルのようなベンゾインエーテル系開始剤;4−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン系開始剤;その他、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノンなどが挙げられる。
ラジカル重合開始剤は市販品を容易に入手することが可能であり、例えばそれぞれ商品名で、BASF社製の“イルガキュア(登録商標)184”、“イルガキュア(登録商標)907”、“ダロキュア(登録商標)1173”、“Lucirin(登録商標) TPO”などを挙げることができる。
ラジカル重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリル系化合物などのラジカル重合性化合物の全量100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜6重量部である。ラジカル重合開始剤の配合量が少ないと、硬化が不十分になり、活性エネルギー線硬化型接着剤層と偏光板との密着性が低下する傾向にある。
カチオン重合開始剤の含有量は、エポキシ化合物などのカチオン重合性化合物の全量100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜6重量部である。
カチオン重合開始剤の配合量が少ないと、硬化が不十分になり、活性エネルギー線硬化型接着剤層と偏光板との密着性が低下する傾向にある。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、可塑剤、光増感剤、レベリング剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、粘度調整剤、抑泡剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。
[偏光板]
本発明の積層体を構成する偏光板は、偏光子と環状オレフィン系樹脂の保護フィルムとを有する。環状オレフィン系樹脂の保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の側に配置されていればよく、両側に配置されていてもよい。また偏光子の片側にだけ保護フィルムを有する構成とし、その保護フィルムを環状オレフィン系樹脂の保護フィルムとしてもよい。環状オレフィン系樹脂の保護フィルムが偏光子の両側に配置される場合、環状オレフィン系樹脂の保護フィルムは互いに同一の樹脂から形成されていても、異なる樹脂から形成されていてもよい。環状オレフィン系樹脂の保護フィルムは、偏光子に積層されていることが好ましい。
本発明の積層体を構成する偏光板は、その表面に粘着剤層を有する粘着剤付き偏光板であってもよい。粘着剤層の厚みは、通常3〜30μmであり、好ましくは5〜25μmである。偏光板が粘着剤層を有することにより、偏光板を液晶セルに貼り付けることができる。
粘着剤層は粘着剤組成物から形成することができ、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。
粘着剤組成物は、架橋剤、重合開始剤、増感剤、光散乱性を付与するための微粒子、ビーズ(樹脂ビーズ、ガラスビーズ等)、ガラス繊維、粘着性付与剤、充填剤(金属粉やその他の無機粉末等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤、光重合開始剤等の添加剤を含んでいてもよい。
[偏光子]
偏光子は、光学軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、光学軸に直交する振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する光学フィルムが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素(ヨウ素又は二色性有機染料)が吸着配向された偏光子が挙げられる。
偏光子の厚みは、通常2μm以上30μm以下であり、好ましくは25μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは7μm以下である。なお、偏光子としてポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させたものを適用する場合は、ポリビニルアルコール系樹脂単体を延伸してもよいし、基材などにポリビニルアルコール系樹脂の溶液を塗工して乾燥させた後、基材と共に延伸させ、基材を除去してもよい。基材と共に延伸する場合は、厚さが7μm以下の偏光子の作製が容易となる。
上記の基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ノルボルネンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルムなどが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂層を構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを使用することができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、不飽和カルボン酸、オレフィン、ビニルエーテル、不飽和スルホン酸、アンモニウム基を有するアクリルアミドなどが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常80モル%以上であり、好ましくは90〜99.5モル%であり、より好ましくは94〜99モル%である。ケン化度が80モル%未満であると、得られる偏光板の耐水性及び耐湿熱性が低下する。ケン化度が99.5モル%を超えると、染色速度が遅くなり、生産性が低下するとともに十分な偏光性能を有する偏光子が得られないことがある。
ポリビニルアルコール系樹脂は、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールであってもよく、例えば、エチレン及びプロピレン等によるオレフィン変性;アクリル酸、メタクリル酸及びクロトン酸等による不飽和カルボン酸変性;不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどにより変性されたものを使用してもよい。ポリビニルアルコール系樹脂の変性の割合は、30モル%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましい。30モル%を超える変性を行った場合には、二色性色素が吸着しにくくなる傾向にあり、十分な偏光性能を有する偏光子が得られないことがある。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100〜10000程度であり、より好ましくは1500〜8000、さらに好ましくは2000〜5000である。
平均重合度が100未満であると、好ましい偏光性能を得ることが困難となる傾向があり、平均重合度が10000を超えると、溶媒への溶解性が悪化し、ポリビニルアルコール系樹脂層の形成が困難になる傾向がある。
ポリビニルアルコール系樹脂としては適宜の市販品を使用することができる。好適な市販品としては、いずれも商品名で、株式会社クラレ製の“PVA124”及び“PVA117”(いずれもケン化度:98〜99モル%)、“PVA624”(ケン化度:95〜96モル%)、“PVA617”(ケン化度:94.5〜95.5モル%);日本合成化学工業株式会社製の“N−300”及び“NH−18”(いずれもケン化度:98〜99モル%)、“AH−22”(ケン化度:97.5〜98.5モル%)、“AH−26”(ケン化度:97〜98.8モル%)、;日本酢ビ・ポバール株式会社製の“JC−33”(ケン化度:99モル%以上)、“JF−17”、“JF−17L”及び“JF−20”(いずれもケン化度:98〜99モル%)、“JM−26”(ケン化度:95.5〜97.5モル%)、“JM−33”(ケン化度:93.5〜95.5モル%)、“JP−45”(ケン化度:86.5〜89.5モル%)などが挙げられる。
偏光子に含有(吸着配向)される二色性色素は、ヨウ素又は二色性有機染料などが挙げられる。二色性有機染料としては、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックを挙げることができる。二色性色素は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[環状オレフィン系樹脂の保護フィルム]
偏光板が有する環状オレフィン系樹脂の保護フィルムは、環状オレフィン系樹脂から形成することができる。環状オレフィン系樹脂を構成するモノマーとしては、ノルボルネンが挙げられる。ノルボルネンの置換体の例を挙げると、ノルボルネンの二重結合位置を1,2−位として、3−置換体、4−置換体、4,5−ジ置換体などがあり、さらにはジシクロペンタジエンやジメタノオクタヒドロナフタレンなども、環状オレフィン系樹脂を構成するモノマーとすることができる。
ノルボルネン系モノマーを構成単位とする環状オレフィン系樹脂は、その主鎖にノルボルナン環を有していてもよいし、ノルボルナン環を有しなくてもよい。主鎖にノルボルナン環を有しない環状オレフィン系樹脂を形成するノルボルネン系モノマーとしては、例えば、開環により5員環となるもの、代表的には、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1−又は4−メチルノルボルネン、4−フェニルノルボルネンなどが挙げられる。環状オレフィン系樹脂が共重合体である場合、その分子の配列状態は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
環状オレフィン系樹脂のより具体的な例を挙げると、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの開環共重合体、それらにマレイン酸付加やシクロペンタジエン付加などがなされたポリマー変性物、これらを水素添加した重合体又は共重合体、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの付加共重合体などがある。共重合体とする場合の他のモノマーとして、α−オレフィン類、シクロアルケン類、非共役ジエン類などが挙げられる。これらのなかでも環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体に水素添加した樹脂であるのが好ましい。
環状オレフィン系樹脂は、それから形成される原反フィルムに延伸処理を施して位相差フィルムとすることができるほか、延伸に加え、所定の収縮率を有する収縮性フィルムを貼り合わせて加熱収縮処理を施すことにより、均一性が高く、大きな位相差値を有する位相差フィルムとすることもできる。
ノルボルネン系モノマーが重合した環状オレフィン系樹脂としては、日本ゼオン株式会社から販売されている“ゼオネックス(登録商標)”及び“ゼオノア(登録商標)”、JSR株式会社から販売されている“アートン(登録商標)”などがある。これらの環状オレフィン系樹脂のフィルムやその延伸フィルムも、市販品を入手することができ、例えば、いずれも商品名で、日本ゼオン株式会社から販売されている“ゼオノアフィルム(登録商標)”、JSR株式会社から販売されている“アートン(登録商標)フィルム”、積水化学工業株式会社から販売されている“エスシーナ(登録商標)位相差フィルム”などがある。
また、環状オレフィン系樹脂の保護フィルムには、環状オレフィン系樹脂とオレフィン系樹脂とを2種類以上含む混合樹脂からなるフィルムや、環状オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂からなるフィルムを用いることもできる。例えば、環状オレフィン系樹脂とオレフィン系樹脂とを2種類以上含む混合樹脂としては、上記した環状オレフィン系樹脂と鎖状脂肪族オレフィン系樹脂との混合物が挙げられる。環状オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂は、目的に応じて適切なものを選択すればよい。具体例を挙げると、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、液晶性樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂などがある。熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、上記熱可塑性樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから使用してもよい。ポリマー変性の例としては、共重合、架橋、分子末端変性、立体規則性付与などが挙げられる。
環状オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂の含有量は通常、樹脂全体に対して50重量%以下であり、さらには40重量%以下であるのが好ましい。他の熱可塑性樹脂の含有量をこの範囲内とすることによって、光弾性係数の絶対値が小さく、良好な波長分散特性を示し、かつ、耐久性、機械的強度及び透明性に優れる位相差フィルムを得ることができる。
環状オレフィン系樹脂の保護フィルムは、残存溶媒、安定剤、可塑剤、老化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などの成分を必要に応じて含有していてもよい。
本発明で用いる環状オレフィン系樹脂の保護フィルムは、面内位相差を有する位相差フィルムであることが好ましい。ここで、面内位相差Reは、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、そしてフィルムの厚さをdとして、下式(2)で定義される。
Re=(nx−ny)×d (2)
位相差には、厚み方向位相差Rthもあり、これは下式(3)で定義される。また、位相差フィルムの2軸性の目安となるNz係数は、下式(4)で定義される。
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (3)
Nz係数=(nx−nz)/(nx−ny) (4)
Nz係数が1のとき、位相差フィルムの延伸配向は完全一軸性となり、本発明による耐ソルベントクラック性の効果が最も大きくなる。Nz係数が大きくなるにつれて、2軸性の配向となり、本発明による耐ソルベントクラック性の効果が発現しにくくなる。そのため、本発明で用いる環状オレフィン系樹脂の保護フィルムは、そのNz係数が1以上3以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1以上2以下の範囲である。これらの位相差値及びNz係数は、可視光の中心付近の波長における値でありうるが、本明細書では、特に断らない限り、波長550nmにおける値とする。
上記のような屈折率異方性を有する環状オレフィン系樹脂の保護フィルムは、環状オレフィン系樹脂のフィルムを、自由端縦一軸延伸、テンター横一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸など、適宜な方式で延伸することによって得られ、延伸倍率と延伸速度とを適切に調整するほか、延伸時の予熱温度、延伸温度、ヒートセット温度、及び冷却温度のような各種温度、またそれぞれの変化パターンを適宜選択することにより、所望の屈折率異方性を与える保護フィルムを得ることができる。
環状オレフィン系樹脂の保護フィルムは、その表面に保護層が設けられた多層からなる構成であってもよく、保護層は保護フィルムの片面に設けられていても、両面に設けられていてもよいが、生産性を向上できるという点で、片面に保護層を有する保護フィルム又は表面に保護層を有しない単層からなる保護フィルムであることが好ましい。保護層としては、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層が挙げられる。
[その他の保護フィルム]
本発明の積層体を構成する偏光板が、片側にだけ環状オレフィン系樹脂の保護フィルムを有する場合、もう一方の側には、環状オレフィン系樹脂の保護フィルム以外の樹脂から形成される保護フィルム(以下、その他の保護フィルムということがある。)を配置してもよい。この場合も、その他の保護フィルムは、偏光子に積層されることが好ましい。本明細書において、環状オレフィン系樹脂の保護フィルムとその他の保護フィルムとを総称して保護フィルムということがある。
その他の保護フィルムとしては、酢酸セルロース系樹脂、鎖状オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂など、当分野において従来保護フィルムの形成材料として広く用いられている材料から形成された熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。量産性及び接着性の観点から、保護フィルムは、酢酸セルロース系樹脂フィルムが好ましい。
酢酸セルロース系樹脂フィルムは、セルロースの部分又は完全酢酸エステル化物からなるフィルムであって、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルムなどが挙げられる。
酢酸セルロース系樹脂フィルムには、市販品を使用することができる。好適な市販品としては、富士フイルム株式会社から販売されている“フジタック(登録商標)TD80”、“フジタック(登録商標)TD80UF”、“フジタック(登録商標)TD80UZ”、コニカミノルタオプト株式会社から販売されている“KC8UX2M”、“KC8UY”(以上、いずれも商品名)などが挙げられる。
鎖状オレフィン系樹脂は、エチレンやプロピレンのような鎖状オレフィンを主な単量体とする重合体であり、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。なかでも、プロピレンの単独重合体やプロピレンに少量のエチレンが共重合されている共重合体が好ましい。
アクリル系樹脂は、メタクリル酸メチルを主な単量体とする重合体であり、メタクリル酸メチルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸メチルと、アクリル酸メチルのようなアクリル酸エステルとの共重合体であってもよい。
ポリイミド系樹脂は、主鎖にイミド結合を持つ重合体であり、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを重合させ、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)とした後、脱水・環化(イミド化)反応によって得られるものが挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂は、主鎖にカーボネート結合を持つ重合体であり、ビスフェノールAとホスゲンとの縮合重合によって得られるものが挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、二塩基酸と二価アルコールとの縮合重合によって得られる重合体であり、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
また、その他の保護フィルムにおける偏光子から遠い側の面は、防眩処理、ハードコート処理、帯電防止処理、反射防止処理などの表面処理が施されていてもよく、液晶性化合物、その他の高分子量化合物などからなるコート層が形成されていてもよい。
保護フィルムの厚さが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向にあり、厚すぎると、透明性が低下したり、偏光板の重量が大きくなったりする傾向にある。本発明の偏光板における保護フィルムの厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜80μmであり、より好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μm以下である。
[接着剤]
保護フィルムと偏光子とを積層する場合、保護フィルムと偏光子との貼合には、接着剤を使用することができる。接着剤としては、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物や、水系接着剤が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物としては、前述の基板と偏光板との間に配設される活性エネルギー線硬化型接着剤組成物と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
水系接着剤としては、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂やウレタン樹脂を含有する接着剤組成物が挙げられる。
乾燥又は硬化後に得られる接着剤層の厚さは、通常0.01〜5μmであるが、水系接着剤を使用した場合は1μm以下とすることができる。一方、活性エネルギー線硬化型接着剤を使用した場合でも、2μm以下とするのが好ましく、1μm以下とするのがより好ましい。接着剤層が薄すぎると、接着が不十分になるおそれがあり、接着剤層が厚すぎると、偏光板の外観不良を生じる可能性がある。
本発明者は、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物と環状オレフィン系樹脂の保護フィルムとを一体的に考察し研究した結果、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に含まれる重合性モノマーと、偏光板を構成する環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの面内位相差値を、環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの溶解度パラメータ(以下、SP値という。
)に応じて、以下の式(1)を満たすように選択することにより、ソルベントクラックを効果的に防げることを見出した。当業者であれば目的とする活性エネルギー線硬化型接着剤層の接着力、透過率等に応じて、式(1)を満足するように、重合性モノマーを適宜選択することができる。
Figure 2019086790
Re(550)≧−38.37ln(S)−434.4δ+8063 (1)
[式(1)中、Sは、重合性モノマーの溶解度を表し、以下の式:
Figure 2019086790
を表す。Sは、25℃の水100gに対する、活性エネルギー線硬化型接着剤層を形成する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に含まれるk番目の重合性モノマーの溶解度を表し、aは、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に含まれるk番目の重合性モノマーの重量部を表す。
Re(550)は、波長550nmにおける環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの面内位相差値を表す。
δは、Y−MB法により計算した環状オレフィン系樹脂の保護フィルムのSP値を表す。
なお、各式に代入するときの数値を決定するための単位に関しては、Sの単位をgとし、Re(550)の単位をnmとし、δの単位を(MPa)1/2とする。]
偏光子の両側に環状オレフィン系樹脂の保護フィルムを配置する場合、上記式(1)において、Re(550)は一対の環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの面内位相差値のうち、絶対値が小さい方の環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの面内位相差値とする。
偏光子の両側に環状オレフィン系樹脂の保護フィルムを配置する場合、上記式(1)において、δは一対の環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの面内位相差値のうち、絶対値が小さい方の環状オレフィン系樹脂の保護フィルムのδとする。環状オレフィン構造が有する官能基にもよるが、環状オレフィン系樹脂のSP値は、17〜19(MPa)1/2であることが好ましい。
上記式(1)において、重合性モノマーとは、活性エネルギー線の照射による重合に関与しうる化合物のことをいい、重合反応に関与しない帯電防止剤等の添加剤は、重合性モノマーに含まれない。重合性モノマーとして、ラジカル重合性化合物を使用した場合、ラジカル重合性化合物の25℃の水100gに対する溶解度は、例えば以下の表に示すとおりである。より広範な種類の環状オレフィン系樹脂の保護フィルムを使用できるという点で、式(1)においてSは10以上であることが好ましく、50以上であることが好ましく、100以上であってもよい。また通常Sは1500以下である。
Figure 2019086790
重合性モノマーは硬化後の活性エネルギー線硬化型接着剤層であっても、加熱流体や超臨界流体等を用いて硬化物をモノマー単位に分解し、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等を用いて分析することで決定することもできる。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体は、偏光板上及び/又は基板上に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布し、偏光板と基板とを貼り合わせ、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させることにより製造することができる。偏光板の代わりに偏光板を有する液晶パネルと基板とを貼り合わせてもよい。
本発明の積層体の形状は特に制限されないが、矩形であることが好ましい。積層体の形状を矩形とすることにより、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の配設が容易になり、より視認性に優れた液晶表示装置を得ることができる。通常の積層体を携帯電話やタブレット端末のような小型の液晶表示装置に組み込んだ場合、テレビのような大型の液晶表示装置に組み込んだ場合に比べて、画面の面積に対する端部の面積が相対的に大きいので、偏光板の端部にソルベントクラックが生じた場合、視認性の低下した部分が使用者に知覚されやすい。本発明の積層体においては、偏光板の端部にソルベントクラックが生じないので、小型の液晶表示装置にも好適に組み込むことができる。このような小型の液晶表示装置に組み込む積層体の大きさは、積層体の形状が矩形である場合、その長辺の長さは5cm以上であることが好ましく、10cm以上であってもよく、通常30cm以下である。また短辺の長さは3cm以上であることが好ましく、5cm以上であってもよく、通常20cm以下である。なお端部とは、環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの端から5mmまでの領域のことをいう。
偏光板上及び/又は基板上に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工する方法としては、ダイコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング等の公知の方法を採用することができる。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、偏光板及び/又は基板の主面の全面に塗工してもよいし、偏光板及び/基板の主面の一部に未塗工部を残すように塗工してもよい。偏光板及び/又は基板の主面の全面に塗工する方法としては、偏光板の端部及び側面上に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が接触するように塗工する方法が挙げられる。偏光板及び/基板の主面の一部に未塗工部を残すように塗工する方法としては、例えば偏光板及び/基板の主面の端部に未塗工部を残す方法が挙げられる。
偏光板上及び/又は基板上に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工した後、偏光板と基板とを貼り合わせ、貼合体を得る。このとき活性エネルギー線硬化型接着剤層の厚みを調整するために、支持棒及びスペーサーなどにより偏光板と基板との間の距離を保持してもよい。
貼合体に対して、活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させて活性エネルギー線硬化型接着剤層とし、本発明の積層体を得ることができる。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に照射する活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線が挙げられ、中でも紫外線が好ましい。活性エネルギー線の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380〜440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物へ照射する活性エネルギー線の強度は、通常0.1〜100mW/cmである。活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が重合開始剤を含有する場合、重合開始剤の活性化に有効な波長領域における活性エネルギー線の強度を0.1〜100mW/cmとすることが好ましい。活性エネルギー線の強度が上記範囲であると、反応時間を短縮することができると共に、輻射熱や反応熱による活性エネルギー線硬化型接着剤層の黄変及び環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの劣化を抑制することができる。
活性エネルギー線の強度と照射時間との積で表される積算光量が、10〜5000mJ/cmとなるようにすることが好ましい。積算光量が上記範囲であると、十分量の重合開始剤の活性種を発生させることができると共に、活性エネルギー線の照射時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
このようにして製造される本発明の積層体の層構成について説明する。図1(a)は、偏光子4の両面に環状オレフィン系樹脂の保護フィルム3を有する偏光板10と基板1とが活性エネルギー線硬化型接着剤層2を介して積層された積層体100を表している。図1(b)は、偏光子4の片面に環状オレフィン系樹脂の保護フィルム3を有し、他方の面にその他保護フィルム5を有する偏光板10と基板1とが活性エネルギー線硬化型接着剤層2を介して積層された積層体100を表している。図1(b)が示す構成において、環状オレフィン系樹脂の保護フィルム3の主面と活性エネルギー線硬化型接着剤層2の主面とが接するように積層されている。図1(c)は、図1(b)と同様に偏光子4の片面に環状オレフィン系樹脂の保護フィルム3を有し、他方の面にその他保護フィルム5を有する偏光板10と基板1とが活性エネルギー線硬化型接着剤層2を介して積層された積層体100を表している。図1(c)が示す構成において、その他の保護フィルム5の主面と活性エネルギー線硬化型接着剤層2の主面とが接するように積層されている。
本発明の積層体は、粘着剤を介して液晶セルを偏光板に貼合した液晶パネルと基板とを活性エネルギー線硬化型接着剤を介して積層したものであってもよい。液晶セルにおける本発明の積層体を貼合した面とは反対側の面には、通常偏光板が積層される。該偏光板には従来公知の偏光板を適用することができる。図2では、液晶パネル20と基板1とが活性エネルギー線硬化型接着剤層2を介して積層された積層体である。液晶パネル20は、偏光子4の両面に環状オレフィン系樹脂の保護フィルム3を有し、さらに粘着剤6を有する粘着剤付き偏光板11と液晶セル7とが、粘着剤6を介して貼合され、さらに液晶セルにおける粘着剤付き偏光板11を貼合した面の反対側の面には公知の偏光板8が貼合された構成を有する。
本発明の積層体は、接着剤組成物が含有する重合性モノマーによるソルベントクラックの発生が抑制されたものであるため、視認性に優れ、各種の液晶表示装置に好適に組み込むことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[溶解度パラメータ(SP値)の計算方法]
環状オレフィン系樹脂の保護フィルムのSP値は、HSPiPというソフトウェアのY−MB法により計算した。
[活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の製造]
以下の表2に記載のとおりに重合性モノマーを混合し、組成物1〜12を得た。各組成物に含まれる重合性モノマーの溶解度Sは、以下の式により求め、併せて表2に記載した。
Figure 2019086790
は、25℃の水100gに対する、活性エネルギー線硬化型接着剤層を形成する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に含まれるk番目の重合性モノマーの溶解度を表し、aは、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に含まれるk番目の重合性モノマーの重量部を表す。
なお表2中の略記は以下の化合物を表し、25℃の水100gに対する溶解度は表1に示したとおりである。
IBOA:イソボルニルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
Figure 2019086790
[偏光板の製造]
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が 0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
水100部に対し、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔株式会社クラレから入手した“KL−318”〕を3部溶解し、その水溶液に水溶性エポキシ樹脂であるポリアミドエポキシ系添加剤〔田岡化学工業株式会社から入手した商品名“スミレーズレジン(登録商標) 650(30)”、固形分濃度30%の水溶液〕を1.5部添加して、水系接着剤とした。
前記水系接着剤を使用して、面内位相差値が0nmである厚み23μmの未延伸環状オレフィン系樹脂の保護フィルム(日本ゼオン株式会社製、ゼオノアフィルム(登録商標)、ZF14−023、SP値:18.0(MPa)1/2)を、前記偏光フィルムの両面に貼合し、偏光板1を得た。貼合に先立って、環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの貼合面には、コロナ放電処理を施した。貼合後、偏光板1を80℃で5分間乾燥し、さらに40℃で168時間養生した。
環状オレフィン系樹脂の保護フィルムを面内位相差値が90nmである厚みが25μmの横一軸延伸環状オレフィン系樹脂の保護フィルム(日本ゼオン株式会社製、ゼオノアフィルム(登録商標)、ZT12−090079−F1330、SP値:18.0(MPa)1/2)に換えた以外は偏光板1と同様にして、偏光板2を得た。
環状オレフィン系樹脂の保護フィルムを面内位相差値が125nmである厚みが20μmの横一軸延伸の環状オレフィン系樹脂の保護フィルム(日本ゼオン株式会社製、SP値:18.0(MPa)1/2)に換えた以外は偏光板1と同様にして、偏光板3を得た。
環状オレフィン系樹脂の保護フィルムを面内位相差値が141nmである厚みが23μmの斜め延伸環状オレフィン系樹脂の保護フィルム(日本ゼオン株式会社製、ゼオノアフィルム(登録商標)、ZD12−141158−A1330、SP値:18.0(MPa)1/2)に換えた以外は偏光板1と同様にして、偏光板4を得た。
環状オレフィン系樹脂の保護フィルムを面内位相差値が90nmである厚みが25μmの斜め延伸環状オレフィン系樹脂の保護フィルム(アートン(登録商標)フィルム、RJT1150、SP値:17.8(MPa)1/2)に換えた以外は偏光板1と同様にして、偏光板5を得た。
[偏光板の耐ソルベントクラック性能の評価]
以下の表3及び表4に示した偏光板と活性エネルギー線硬化型接着剤組成物との組み合わせに対して、以下に記す方法により耐ソルベントクラック性能を評価した。
偏光板を10cm×10cmの正方形に切り出した。感圧式接着剤シート(厚み25μ、アクリル酸ブチルを主成分とし、少量のアクリル酸2−ヒドロキシエチル及びアクリル酸が共重合されているアクリル樹脂に、イソシアネート系架橋剤及びシラン化合物が配合されている。)を介して、切り出された偏光板を厚さが0.4mmのガラス基板(CORNING社製、EAGLE XG(登録商標))に貼り付け、評価用サンプルとした。その後、ガラス基板と評価用サンプルとの間の気泡を除去するために、オートクレーブにより0.5MPa、50℃の条件下で20分間処理をし、フィルムの歪みを極大にするために、105℃で30分間熱処理をした。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を偏光板の主面上に厚みが100μmとなるように塗布し、その上にカバーガラスを載せた。なおカバーガラスを載せた状態において、偏光板の側面は活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に覆われていた。
室温で24時間放置した後、評価用サンプルの環状オレフィン系樹脂の保護フィルムにクラックが生じていないか目視で観察した。なお表3及び表4に示すソルベントクラック評価の判定基準は以下の通りとした。
○:環状オレフィン系樹脂の保護フィルムにクラックが発生していない。
×:環状オレフィン系樹脂の保護フィルムに1以上のクラックが発生した。
Figure 2019086790
Figure 2019086790
表3及び表4に示すとおり、環状オレフィン系樹脂の保護フィルムのSP値に応じて式(1)を満たすように、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に含まれる重合性モノマーの種類及び配合割合と環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの面内位相差値とを的確に選択した実験例では、偏光板を構成する環状オレフィン系樹脂の保護フィルムにソルベントクラックが発生しなかった。したがって、ソルベントクラックが発生しなかった、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物と偏光板との組み合わせから得られる積層体は、ソルベントクラックが発生せず、視認性に優れる液晶表示装置が得られる。
本発明によれば、偏光板を構成する保護フィルムにソルベントクラックが発生しない積層体を提供することができ、さらにかかる積層体を組み込んだ視認性に優れた液晶表示装置を提供することができるので有用である。
1 基板
2 活性エネルギー線硬化型接着剤層
3 環状オレフィン系樹脂の保護フィルム
4 偏光子
5 その他の保護フィルム
6 粘着剤
7 液晶セル
8 公知の偏光板
10 偏光板
11 粘着剤付き偏光板
20 液晶パネル
100 積層体

Claims (6)

  1. 基板、活性エネルギー線硬化型接着剤層および偏光板をこの順に有する積層体において、前記偏光板は、偏光子と環状オレフィン系樹脂の保護フィルムとを有する偏光板であって、下記式(1)を満たす積層体。
    Figure 2019086790
    [式(1)中、Sは、
    Figure 2019086790
    を表す。Skは、25℃の水100gに対する、前記活性エネルギー線硬化型接着剤層を形成する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に含まれるk番目の重合性モノマーの溶解度を表し、aは、前記k番目の重合性モノマーの重量部を表す。
    Re(550)は、波長550nmにおける環状オレフィン系樹脂の保護フィルムの面内位相差値を表す。
    δは、Y−MB法により計算した前記環状オレフィン系樹脂の保護フィルムのSP値を表す。
    なお、Sの単位はgとし、Re(550)の単位はnmとし、δの単位は(MPa)1/2とする。]
  2. 活性エネルギー線硬化型接着剤層が、偏光板の主面及び側面を覆う層である請求項1に記載の積層体。
  3. 活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が、ラジカル重合性化合物を含む請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 環状オレフィン系樹脂の保護フィルムのSP値が、17〜19である請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 積層体の形状が矩形であり、長辺の長さが5cm以上であり、短辺の長さが3cm以上である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層体を有する液晶表示装置。
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