JP2019086436A - 磁場測定素子、磁場測定装置及び磁場測定システム - Google Patents
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Abstract
Description
SQUID磁気センサ1は、超電導ループに鎖交した磁束により出力電圧が変化する磁束−電圧変換素子である。
SQUID磁気センサ1はSQUIDインダクタ8と呼ばれる小さな閉ループ(超電導ループ)に1つ、または、2つのジョセフソン接合部2を含む構造を有している。
図31に示すSQUID磁気センサ1は、超電導ループ(SQUIDインダクタ8)に2つのジョセフソン接合部2を含むSQUIDを利用している。このようなSQUIDはdc−SQUIDと呼ばれており、広く使用されている。
なお、フィードバックコイル6及び端子7については後記する。
なお、図32及び後記する図33における「電圧」とは、SQUID磁気センサ1の出力電圧である。適宜、図31を参照する。
図32に示すように、SQUID磁気センサ1の出力電圧は検出コイル3及びSQUIDインダクタ8に鎖交した磁束に対して正弦波のように変化する。完全な超電導ループ内では磁束は量子化されており磁束量子Φ0(=2.05x10−15Wb)を単位としてしか磁束が存在できない。しかし、SQUIDインダクタ8は、ジョセフソン接合部2の部分で切断されているため、任意の磁束を鎖交することができる。しかし、その出力電圧は鎖交した磁束に対してΦ0を周期とした変化を示す。
SQUID磁気センサ1の出力電圧(図31の端子4−端子5間の電圧)VSQUIDは、プリアンプ211で増幅された後、加算器212で負の直流のオフセット電圧Voffsetが加えられる。なお、これ以降、端子4−端子5間の電圧を「端子5の出力」と適宜記載する。これにより、図33に示すように0Vの位置がSQUID磁気センサ1のV−Φ特性を横切るように調整される(オフセットされる)。なお、図34に示すDOIT型のFLL回路21の詳細については後記する。ロック点Pについては後記する。
前記したように、SQUID磁気センサ1の出力電圧(図31の端子5の出力)VSQUIDは、プリアンプ211で増幅された後、加算器212で負の直流のオフセット電圧Voffsetが加えられる。
加算器212の出力は積分器213で積分される。積分器213の出力はフィードバック抵抗214を経由してフィードバックコイル6へ出力される。図31に示すSQUID磁気センサ1で、端子7を有するフィードバックコイル6は検出コイル3と磁気的に結合するように配置されている。すなわち、フィードバックコイル6で発生する磁場は、検出コイル3と鎖交する。なお、図31における端子7はFLL回路21に接続されている。
なお、フィードバックコイル6は超電導体である必要はない。
図35は、キュービック型配置の例として立方体の支持体301の3面にSQUID磁気センサ1x〜1z(1)を配置した場合の模式図を示す。
各SQUID磁気センサ1には図31に示したように検出コイル3やフィードバックコイル6が含まれている。図35に示すように、しかし、キュービック配置では、全体の高さが縦に配置したSQUID磁気センサ1の高さ程度となる。そして、キュービック型配置では、図35に示すように、例えばSQUID磁気センサ1zのフィードバック磁場の磁力線Mz1,Mz2が他のSQUID磁気センサ1x,1yの検出コイル3に干渉してしまう。その他のSQUID磁気センサ1についても同様の干渉が生じる。
同軸型配置では、図36に示すように、3つのSQUID磁気センサ1x〜1z(1)の中心が、SQUID磁気センサ1zの中心軸Czを通るように一直線に配置(直列配置)される。さらに、3つのSQUID磁気センサ1x〜1zの検出面が、互いに直交となる。このような配置とすることで、同軸型配置は、SQUID磁気センサ1のフィードバック磁場と、他のSQUID磁気センサ1の検出コイル3が干渉しないことを実現することができる。
その他の解決手段は実施形態中において適宜記載する。
(磁場測定素子Eの構成)
図1〜図3は、第1実施形態に係る磁場測定素子Eにおけるコイルの配置例を示す図である。なお、図1〜図4において、SQUID磁気センサ1x〜1zは、検出コイル3を示しており、図をわかりやすくするため、その他の構成を省略している。また、各々のSQUID磁気センサ1は図31と同様の構成を有している。
第1のSQUID磁気センサであるSQUID磁気センサ1z(1)がz軸に対して垂直な平面(第1の平面)上に配置される。つまり、SQUID磁気センサ1zは、地面に対して水平に配置される。そのSQUID磁気センサ1zの中心からSQUID磁気センサ1zの検出面に対して垂直に伸ばした中心軸Czの上に、第2のSQUID磁気センサであるSQUID磁気センサ1x(1)が配置される。
このとき、SQUID磁気センサ1yの中心が、中心軸Cz上以外(中心軸Czからずれた位置)に配置されるよう、SQUID磁気センサ1yは配置される。
図1に示す破線はSQUID磁気センサ1yが発生するフィードバック磁場の磁力線Myを示している。
まず、図1に示すように、SQUID磁気センサ1yは、SQUID磁気センサ1z及びSQUID磁気センサ1xに対して対称関係にある。
そして、図2に示すように、SQUID磁気センサ1zは、SQUID磁気センサ1x及びSQUID磁気センサ1yに対して平行関係にある。
すなわち、SQUID磁気センサ1zで発生した磁束は、SQUID磁気センサ1y及びSQUID磁気センサ1xと鎖交しない。
図3に示すように、SQUID磁気センサ1xと、SQUID磁気センサ1zは対称関係である。そのため、SQUID磁気センサ1xで生じる磁場による磁束は、SQUID磁気センサ1zに対して正味の磁束の鎖交を生じない。
また、SQUID磁気センサ1xと、SQUID磁気センサ1yとは平行関係である。そのため、SQUID磁気センサ1xで生じる磁場による磁束は、SQUID磁気センサ1yと鎖交しない。
これにより、図1〜図3に示す磁場測定素子Eは、SQUID磁気センサ1x〜1z間のフィードバック磁場の干渉を大幅に低減することができる。
図4は、第2実施形態に係る磁場測定素子EaにおけるSQUID磁気センサ1の配置関係を示す図である。
図1〜図3に示す磁場測定素子Eでは、SQUID磁気センサ1xと、SQUID磁気センサ1yとがSQUID磁気センサ1zに対して同じ高さになるよう配置されている。すなわち、SQUID磁気センサ1yの中心が、中心軸Cx上に配置されている。このようにすることで、図1〜図3に示す磁場測定素子Eは、全体の高さが低くなるようにしている。要するに、図1〜図3に示す磁場測定素子Eは、磁場測定素子Eの底面(SQUID磁気センサ1zのコイル面)からSQUID磁気センサ1x,1yそれぞれの上端までの距離が等しくなるようSQUID磁気センサ1x〜1zが配置されている。しかしながら、各SQUID磁気センサ1が図1〜図3に示すような平行関係もしくは対称関係にとなっていればよい。従って、SQUID磁気センサ1xと、SQUID磁気センサ1yとがSQUID磁気センサ1zのコイル面に対して、必ずしも同じ高さに配置しなくても図1〜図3に示す磁場測定素子Eの効果を得ることができる。
すなわち、図4に示す磁場測定素子Eaにおいて、SQUID磁気センサ1zと、SQUID磁気センサ1xの位置関係は図1〜図3に示すものと同様である。また、SQUID磁気センサ1yは、図1〜図3と同様、第3の平面(SQUID磁気センサ1zのコイル面がなす面と、SQUID磁気センサ1xのコイル面がなす面に対して垂直な面)上に配置されている。しかし、SQUID磁気センサ1yの中心は、3つのSQUID磁気センサ1x〜1zそれぞれとの中心間の距離が同じとなるよう、中心軸Cxから外れるように配置されている。
(磁場測定システムZ)
図5は、本実施形態に係る磁場測定システムZの構成例を示す機能ブロックである。
磁場測定システムZは、クライオスタットである磁場測定部(磁場測定装置)10、制御回路部20、データ処理部30を有している。なお、図5において、磁場測定部10は概略断面図が示されている。
磁場測定部10は、磁束を測定するための複数のSQUID磁気センサ1からなる磁場測定素子Eを含んでいる。
また、制御回路部20は、磁場測定部10を制御するものであり、FLL回路21及びFLL制御回路22を有している。FLL回路21及びFLL制御回路22については後記する。
さらに、データ処理部30は、磁場測定部10で検出された磁気信号を記録し、演算解析処理するものである。データ処理部30は、AD(Analog/Digital)変換器31及びPC(Personal Computer)32を有している。なお、図5には示していないが必要に応じてAD変換器31の前段に、図示しないフィルタ回路やアンプ回路が挿入される場合がある。
また、液体冷媒13として液体窒素が用いられる。液体冷媒13が保持されている液体冷媒保持部14a内にプローブ12が挿入される。このようにすることで、プローブ12の先端部のプローブヘッド11に装着された磁場測定素子E(SQUID磁気センサ1x〜1z)が冷却される。プローブ12は、蓋15bのコネクタ16に接続されている所定の長さ(例えば、約1m)のケーブル41を介してFLL回路21に接続されている。
なお、FLL回路21は所定の長さ(例えば、約30m)のケーブル42でFLL制御回路22と接続している。
この3成分磁力計はTEM(Transient Electro-Magnetic)法による地中の比抵抗分布の測定に用いられる。TEM法では地表に一辺が数百mのループコイルが敷設され、このループコイルに数十Aの大電流が流される。このようにすることで、地面に磁場(一次磁場)が印加される。そして、その状態から電流が遮断される。ループコイルに印加された電流が遮断されることで、地表に誘導電流が生じ、時間と共に誘導電流が地中に拡散していく。地面に生じた誘導電流から生じる磁場(二次磁場)による磁束を磁場測定素子Eで測定し、その減衰特性から地中の比抵抗構造が推定される。そして、得られた比抵抗構造から地下の金属鉱床の有無や分布が推定される。これまでのTEM法では二次磁場による磁束の垂直方向(z方向)成分のみを測定する方法が主流であった。しかし、近年、横成分のx方向、y方向の磁束も測定し、地下構造の推定精度を向上させることが試みられている。TEM法では地面に対して垂直方向の磁場の強さ(磁束)が強く、横方向の磁場の強さは垂直方向に対して相対的に数桁小さい。そのためz方向成分(地面に対して垂直方向)の磁場が横方向の磁場に干渉すると大きな問題となる。この問題の解決については後記する。
図6は、本実施形態で用いられるSQUIDチップ100の平面図を示す図である。また、図7は、図6のSQUIDチップ100における符号110の部分の拡大図である。そして、図8は、図7のA−A断面の模式図である。なお、図6〜図8において、前記した図31と同様の構成には、図31と同一の符号を付している。
図6、図7に示すように、SQUID磁気センサ1は、まず、基板101に4つの直列に接続されたSQUIDインダクタ8a〜8d(8)と、検出コイル3とが形成されている。なお、SQUIDインダクタ8a〜8d(8)及び検出コイル3は、第2超電導層122に属する。
SQUIDチップ100は、厚さ0.5mmのMgO単結晶基板(基板101)を有している。そして、基板101の上にSQUID磁気センサ1が形成される。このSQUID磁気センサ1は、主に2種類の超電導層から形成される。2種類の超電導層とは、第1超電導層121及び第2超電導層122である。
第1超電導層121には、例えば、膜厚250nmのSmBa2Cu3Oy(SmBCO)超電導薄膜が使用される。そして、第2超電導層122には、膜厚250nmのLa0.1−Er0.95Ba1.95Cu3Oy(L1ErBCO)超電導薄膜が使用される。
ここで、図7及び図8を参照して、SQUIDチップ100の作製方法を示す。
まず、基板101の全面に第1超電導層121が成膜される。そして、成膜された第1超電導層121の上に膜厚300nm程度の絶縁体であるSrSnO3薄膜が層間絶縁膜131として全面に成膜される。第1超電導層121及び層間絶縁膜131の2層膜は図7の斜線部の形状に微細加工される。ここで、図8に示すように、加工された2層膜のエッジ部132は傾斜が緩やかになっている。そして、図8に示すように、エッジ部132では、層間絶縁膜131の下に第1超電導層121であるSmBCOの端面が表面に現れている。その上に第2超電導層122が成膜される。さらに基板101の全面に、すなわち、第1超電導層121及び第2超電導層122の上に表面保護を兼ねたAu薄膜133が形成される。その後、微細加工により第2超電導層122及びAu薄膜133が、SQUIDインダクタ8a〜8d(8d)、検出コイル3、端子4及び配線102の形状に加工される。
図9は、本実施形態で用いられるヘッダ基板500の例を示す図である。
図6に示されるSQUIDチップ100は図9に示すヘッダ基板500にマウントされる。ヘッダ基板500は、ガラスエポキシ樹脂の基板510の両面に銅の配線パターン(不図示)が配されている。また、基板510の表面には2ターンのフィードバックコイル6が形成されている。さらに、基板510の表面には、SQUIDチップ100と接続するためのワイヤボンディング用電極パッド501が形成されている。さらに、基板510の裏面には図11〜図14に示すコネクタ304を介して変換基板305との接続に用いられるコネクタ502が形成されている。コネクタ502には各ワイヤボンディング用電極パッド501とフィードバックコイル6が接続されている。なお、コネクタ502、各ワイヤボンディング用電極パッド501及びフィードバックコイル6の接続部分は、図9では図示省略している。
図10では、SQUIDチップ100がヘッダ基板500にマウントされている。そして、SQUIDチップ100の端子4と、ワイヤボンディング用電極パッド501とがボンディングワイヤ521によって接続されている。さらに、検出コイル3と、ヘッダ基板500上のワイヤボンディング用電極パッド501とがボンディングワイヤ522によって接続されている。
SQUIDチップ100は、例えば、厚さ0.5mmの基板上に形成されているため、ヘッダ基板500上のフィードバックコイル6とSQUIDチップ100の検出コイル3は0.5mm離れている。
図11及び図12は、比較例として示すキュービック型配置のプローブ12Aの例を示す図である。図11は、プローブ12Aをy軸方向から見た図を示し、図12は、プローブ12Aをz軸方向から見た図である。
プローブ12Aのプローブヘッド11Aでは、FRP製の立方体の支持体301の3面にレセプタクル基板302x〜302z(302)が設置されている。各レセプタクル基板302にはコネクタ303が取り付けられている。各レセプタクル基板302のコネクタ303と蓋15bのコネクタ16は、例えば、リン青銅製等の配線311で接続されている。この配線311はFLL回路21(図5参照)に接続される。
また、配線311は、レセプタクル基板302に接続している。これにより、配線311は、レセプタクル基板302を介して、コネクタ303、変換基板305、コネクタ304、ヘッダ基板500におけるSQUID磁気センサ1と接続している。ここで、図示しないが、図11及び図12において、ヘッダ基板500xにはSQUID磁気センサ1xが搭載されている。同様に、ヘッダ基板500yにはSQUID磁気センサ1yが搭載され、ヘッダ基板500zにはSQUID磁気センサ1zが搭載されている。なお、図11及び図12では、図面をみやすくするため、SQUID磁気センサ1xに接続している配線311のみを示している。SQUID磁気センサ1y、1zにも同様に配線311が接続されている。
図13及び図14は、本実施形態で用いられるプローブ12(磁場測定素子E)を示す図である。図13はy軸方向からプローブ12を見た図である。また、図14はx軸方向からプローブ12を見た図である。なお、図13及び図14において、図11及び図12と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
プローブ12のプローブヘッド11には、中空のFRP製の支持体310の内側の2面にレセプタクル基板302x,302yが設置されている。そして、支持体310の底面にレセプタクル基板302zが設置されている。各レセプタクル基板302x〜302zには、コネクタ304x〜304z、変換基板305x〜305zを介して3つのヘッダ基板500x〜500zが装着されている。
なお、図14に示すようにSQUID磁気センサ1xの検出コイル3の中心と、SQUID磁気センサ1zの検出コイル3の中心との距離は約35mmである。
また、SQUID磁気センサ1xの中心が中心軸Cz上に正確に配置されるようにすることも困難である。SQUID磁気センサ1yについても同様である。また、図6に示すように検出コイル3とフィードバックコイル6とが別の基板に形成されている場合、検出コイル3とフィードバックコイル6とが基板の厚さ分ずれることになる。
このように、実際の磁場測定素子Eでは、それぞれのSQUID磁気センサ1x〜1zの配置関係が、理想的な平行関係や対象関係から若干ずれる。そのため、実際にはフィードバック磁場の干渉が起こる。しかしながら、それぞれのSQUID磁気センサ1x〜1zの配置関係が、平行関係や対象関係の位置に近ければ、そうでない場合よりも干渉の程度が小さい。以下に、そのことを説明する。
ここで、図13及び図14に示すプローブ12のSQUID磁気センサ1のフィードバックコイル6に正弦波電流を流し、各SQUID磁気センサ1への干渉をスペクトラムアナライザ(不図示)を用いて測定した結果を図15〜図17に示す。
フィードバックコイル6と、他のSQUID磁気センサ1との干渉は以下のようにして評価した。図15〜図17で用いられるSQUID磁気センサ1は、図13及び図14に示すSQUID磁気センサ1の配置である。
SQUID磁気センサ1xのフィードバックコイル6と、SQUID磁気センサ1x〜1zとの干渉を評価した結果を図15〜図17に示す。ここでは、SQUID磁気センサ1xのフィードバックコイル6に、周波数が約800Hz、振幅が約50μAの正弦波電流が流された。そして、SQUID磁気センサ1xがフィードバック制御された。その上で、SQUID磁気センサ1xのフィードバックコイル6から発生する磁場による磁束をSQUID磁気センサ1x自身で測定した結果が図15に示される。図15では、出力信号の周波数スペクトルを測定し、フィードバックコイル6に流した電流の周波数に現れるピーク強度を基準の磁気信号強度とした。この結果、図15に示すように、805Hzに明瞭なピークが現れており、その磁束は磁場に換算すると2.35x10−9T/Hz1/2であった。
そして、SQUID磁気センサ1xのフィードバック制御がオフになった状態で、SQUID磁気センサ1y及びSQUID磁気センサ1zでSQUID磁気センサ1xのフィードバックコイル6からの磁気信号が測定された。磁気信号強度は、図15と同様、周波数スペクトルのピーク強度とした。
図16にSQUID磁気センサ1yで測定した周波数スペクトルを、図17にSQUID磁気センサ1zで測定した周波数スペクトルを示す。それぞれ磁気信号強度が4.74x10−12T/Hz1/2(図16参照)及び6.83x10−13T/Hz1/2(図17参照)の明瞭なピークが得られた。
次に同じ条件でSQUID磁気センサ1yのフィードバックコイル6に電流を流した状態で、SQUID磁気センサ1yのフィードバック制御がオフにされた。その状態で、SQUID磁気センサ1z及びSQUID磁気センサ1xでSQUID磁気センサ1yのフィードバックコイル6による磁束が測定された。
そして、SQUID磁気センサ1y自身で測定された磁束と、SQUID磁気センサ1z,1xで測定された磁束から算出される磁気信号強度の比を干渉の強さとした。
同様の条件で、SQUID磁気センサ1z自身で測定された磁束から算出される磁気信号強度と、SQUID磁気センサ1x,1yで測定された磁束から算出される磁気信号強度の比(磁気信号強度比)を干渉の強さとした。
ここで、図18における比較例とは、図11及び図12に示すSQUID磁気センサ1の配置のことである。そして、図19における本実施形態で用いられる配置とは、図13及び図14に示す配置のことである。
例えば、図18における列601及び図19における列611は、SQUID磁気センサ1xのフィードバックコイル6に電流を流し、各SQUID磁気センサ1x〜1zで磁束を測定した結果(磁気信号強度比)を示している。
同様に、図18における列602及び図19における列612は、SQUID磁気センサ1yのフィードバックコイル6に電流を流し、各SQUID磁気センサ1x〜1zで磁束を測定した結果(磁気信号強度比)を示している。
そして、図18における列603及び図19における列613は、SQUID磁気センサ1zのフィードバックコイル6に電流を流し、各SQUID磁気センサ1x〜1zで磁束を測定した結果(磁気信号強度比)を示している。
このように、本実施形態の配置による磁場測定素子E(Ea)によれば、3方向の中で最も強いz方向の磁場によるフィードバックに対し、干渉の改善を実現することができる。
図20及び図21は、第4実施形態で用いられるプローブ12B(磁場測定素子E)の構造を示す図である。図20はy軸方向からプローブ12Bを見た図である。また、図21はx軸方向からプローブ12Bを見た図である。図20及び図21において、図11〜図14と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
プローブ12Bは、図19の表に示されるSQUID磁気センサ1xと、SQUID磁気センサ1yとの間の干渉を改善するために、SQUID磁気センサ1xとSQUID磁気センサ1yの間隔がプローブ12A(比較例)の場合と同じ約35mmに広げられたものである。
さらに、プローブ12Bのプローブヘッド11Bを構成する支持体310aでは、SQUID磁気センサ1zとSQUID磁気センサ1x,1yとの間隔が約45mmに広げられている。
前記したように、TEM測定ではz方向の磁場の強さがx方向及びy方向の磁場の強さと比べて数倍から数十倍大きい。そのため、SQUID磁気センサ1zのフィードバックコイル6に、特に大きな電流が流れると考えられる。このことを考慮して、SQUID磁気センサ1zと、SQUID磁気センサ1x,1yとの間隔を大きくすることで、干渉の改善が期待される。
その測定結果を図22に示す。
図22に示す表が示す内容は、図18、図19と同様である。
プローブ12Bでは、図20に示すSQUID磁気センサ1の配置で、SQUID磁気センサ1xと、SQUID磁気センサ1yとの間がキュービック型のプローブ12Aと同じ距離に離されている。これにより、SQUID磁気センサ1xと、SQUID磁気センサ1yとの干渉が大幅に改善できることを確認できた。また、SQUID磁気センサ1zと、SQUID磁気センサ1x,1yとの間の干渉も改善され、ほとんどの組み合わせで干渉の程度が1/2000以下になっていることが確認できた。
(平行関係)
次に、本実施形態におけるSQUID磁気センサ1の配置の効果を数値シミュレーションによって示す。
図23は、平行関係についての数値シミュレーションに用いたSQUID磁気センサ1のモデルを示す図である。
このモデルは、2つのSQUID磁気センサ1の位置関係が平行関係の場合に対応している。まず、シミュレーションを行うコンピュータ(不図示)はSQUID磁気センサ1zのフィードバックコイル6に相当するフィードバックコイルモデル421を設定した。このフィードバックコイルモデル421は、外径の一辺が14mmの正方形のコイルとした。また、このフィードバックコイルモデル421の厚さは0.2mm、内径の一辺は13mmである。
そして、コンピュータは、フィードバックコイルモデル421に電流を流した際に検出面モデル411に鎖交した磁束からz方向の磁場の強さBzを求めた。
そして、Dzの値について、9mm、22mm、35mmの3通りでシミュレーションが行われた。また、検出面モデル412の中心軸Cxと、フィードバックコイルモデル421の中心軸Czとの交点を交点431とする。そして、コンピュータは、交点431と、検出面モデル412の中心との距離をDxとし、Dxを0から40mmまで変化させ、検出面モデル412を平行移動させた。そして、コンピュータは、各Dxにおいて検出面モデル412に鎖交するフィードバックコイルモデル421由来の磁束を算出した。そして、コンピュータは、この磁束を基に検出面モデル412を鎖交する磁場の強さBxを算出した。この磁場の強さBxがSQUID磁気センサ1zのフィードバックコイル6によるSQUID磁気センサ1xの検出コイル3への干渉となる。最終的に、図18及び図19で説明した規格化Bx/Bzによって干渉のDx依存性が算出された。
図24はDz=9mmの場合を示し、図25はDz=22mmの場合を示し、図26はDz=35mmの場合を示す。また、図24〜図26のグラフに表示した縦の一点鎖線711は、Dzと等しいDxを示している。すなわち、一点鎖線711とグラフの交点はキュービック型のSQUID磁気センサ1の配置での干渉に対応する。
そして、Dz=35mmの場合(図26)、Bx/Bz≦1/1000(実線504)の範囲がDx≦3mmである。この範囲は、図25に示すBx/Bz≦1/1000(実線703)となる範囲Dx<1mmより広がっている。
次に、検出コイル3とフィードバックコイル6の位置関係が対称関係の場合について数値シミュレーションを行った結果を示す。
図27は、対称関係についての数値シミュレーションに用いたSQUID磁気センサ1のモデルを示す図である。
図27に示すように、外径の一辺が14mmの正方形のコイルをSQUID磁気センサ1xのフィードバックコイル6に該当するフィードバックコイルモデル422が設定される。このフィードバックコイルモデル422の厚さは0.2mm、内径の一辺は13mmに設定される。コンピュータは、このフィードバックコイルモデル422に直流電流を流した際に発生する磁束の分布を計算した。このフィードバックコイルモデル422のx方向へ0.5mm横に一辺が13mmの正方形の検出面モデル412が設定される。検出面モデル412は、SQUID磁気センサ1xの検出コイル3がなす面に該当する。
そして、コンピュータは、フィードバックコイルモデル422に電流を流したときに検出面モデル412に鎖交した磁束からx方向の磁場の強さBxを求める。
そして、コンピュータは、Dzの値について、9mm、22mm、35mmの3通りでシミュレーションを行った。また、検出面モデル411の中心軸Czと、フィードバックコイルモデル422との距離をDxとし、コンピュータはDxを0から40mmまで検出面モデル412を平行移動させた。そして、コンピュータは、それぞれのDxにおいて、Dzを変化させたときにおける検出面モデル411に鎖交した磁束を算出した。そして、コンピュータは、この磁束を基に検出面モデル411を鎖交する磁場の強さBzを算出した。この磁場の強さBzがSQUID磁気センサ1xのフィードバックコイル6によるSQUID磁気センサ1zの検出コイル3への干渉となる。最終的に、図18及び図19で説明した規格化Bz/Bxによって干渉のDz依存性が算出される。
また、図28〜図30のグラフに表示した縦の一点鎖線731は、Dzと等しいDxを示している。すなわち、一点鎖線731とグラフの交点はキュービック型のSQUID磁気センサ1の配置での干渉に対応する。
さらに、図28の破線721は、Bz/Bx=1/200を示している。そして、図28の実線722及び図29の実線723はBz/Bx=1/1000を示している。
1x SQUID磁気センサ(第2のSQUID磁気センサ)
1y SQUID磁気センサ(第3のSQUID磁気センサ)
1z SQUID磁気センサ(第1のSQUID磁気センサ)
2 ジョセフソン接合部
3 検出コイル
4,5,7 端子
6 フィードバックコイル
8 SQUIDインダクタ
10 磁場測定部(磁場測定装置)
11 プローブヘッド
12 フロー部
13 液体冷媒
15a 容器(冷媒保持部)
15b 蓋(冷媒保持部)
17 磁場測定素子
20 制御回路部
21 FLL回路(FLL処理部)
22 FLL制御回路
30 データ処理部(情報処理装置)
31 AD変換部
32 PC(情報処理装置)
Cx〜Cz 中心軸(直線)
E,Ea 磁場測定素子
Z 磁場測定システム
Claims (5)
- 超電導素材で構成された検出コイルと、前記検出コイルに接続し、ジョセフソン接合部を有する前記超電導素材で構成されたSQUIDインダクタと、前記検出コイルに対してフィードバック磁場を発生するフィードバックコイルと、
を有することを特徴とするSQUID磁気センサを少なくとも3つ備える磁場測定素子において、
第1のSQUID磁気センサと、
前記第1のSQUID磁気センサの検出コイルのコイル面を含む第1の平面に対して、垂直であり、かつ、前記第1のSQUID磁気センサの中心を含む第2の平面または前記第2の平面の近傍に設置される第2のSQUID磁気センサと、
前記第1の平面及び前記第2の平面に対して垂直であり、かつ、前記第1のSQUID磁気センサの検出コイルの中心を含む第3の平面または前記第3の平面の近傍に検出コイルが設置される第3のSQUID磁気センサと、
を有し、
前記第2のSQUID磁気センサの検出コイルの中心は、前記第1のSQUID磁気センサの検出コイルの中心を通り、かつ、前記第1の平面に対して垂直な直線上または当該直線の近傍に存在し、
前記第3のSQUID磁気センサの検出コイルの中心は、前記第1のSQUID磁気センサの検出コイルの中心と、前記第2のSQUID磁気センサの検出コイルの中心とを結んだ線からずれた位置に存在する
ことを特徴とする磁場測定素子。 - 前記第3のSQUID磁気センサの検出コイルの中心は、前記第2のSQUID磁気センサの検出コイルの中心を通り、かつ、前記第2の平面に対して垂直な直線と、前記第1の平面との間に存在する
ことを特徴とする請求項1に記載の磁場測定素子。 - 前記第1のSQUID磁気センサの検出コイルの中心と、前記第2のSQUID磁気センサの検出コイルの中心との距離、
前記第2のSQUID磁気センサの検出コイルの中心と、前記第3のSQUID磁気センサの検出コイルの中心との距離、
及び前記第3のSQUID磁気センサの検出コイルの中心と、前記第2のSQUID磁気センサの検出コイルの中心との距離
が略等距離である
ことを特徴とする請求項2に記載の磁場測定素子。 - 液体冷媒を保持する冷媒保持部と、
前記冷媒保持部に請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁場測定素子が挿入される
ことを特徴とする磁場測定装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁場測定素子と、
前記磁場測定素子から出力された情報を処理する情報処理装置と、
を有することを特徴とする磁場測定システム。
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