図1は、本実施例の予混合装置100を接続したファン20が用いられる燃焼装置の例として給湯器1の構成を示した説明図である。図示されるように給湯器1のハウジング2の内部には、燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスを燃焼させるバーナーを内蔵した燃焼ユニット3や、燃焼ユニット3の下方に設置された熱交換器4や、燃焼ユニット3に混合ガスを送るファン20などが設けられている。
ファン20の吸入側には、ファン20に供給される燃料ガスと燃焼用空気とを予め混合させる予混合装置100が接続されており、ファン20の吐出側には、燃焼ユニット3が接続されている。予混合装置100には、燃料ガスを供給するガス供給通路11が接続されており、このガス供給通路11には、上流側から圧送される燃料ガスの圧力を大気圧に下げるゼロガバナ12や、ガス供給通路11を開閉する開閉弁(図示省略)などが設けられている。ファン20を駆動すると、ハウジング2内に存在する燃焼用空気と、ガス供給通路11のゼロガバナ12よりも下流側の燃料ガスとが、予混合装置100で所定の比率に混合されてファン20に吸い込まれ、混合ガスが燃焼ユニット3に送り込まれる。尚、本実施例のファン20の構造および予混合装置100の構造については、後ほど別図を用いて説明する。
燃焼ユニット3では、内蔵のバーナー(図示省略)で混合ガスの燃焼が行われる。図示した例では、バーナーから下方に向けて混合ガスが噴出するようになっており、下向きに炎が形成されると共に、燃焼排気が下方の熱交換器4に送られる。熱交換器4の一端には給水通路5が接続されており、熱交換器4の他端には給湯通路6が接続されている。給水通路5を通じて供給された上水は、熱交換器4でバーナーの燃焼排気との熱交換によって加熱された後、湯となって給湯通路6に流出する。
熱交換器4を通過した燃焼排気は、排気ダクト7を通って、ハウジング2の上部に突出した排気口8から外部に排出される。また、排気口8の外周に給気口9が設けられた二重管構造になっており、給気口9からハウジング2内に取り入れられた燃焼用空気が、予混合装置100を介してファン20に吸い込まれる。
図2は、本実施例のファン20を分解した状態を示した斜視図である。尚、図2では、ファン20の上下の配置が図1に対して反転している。図示したファン20は、遠心式のタイプであり、回転することで風を起こす羽根車30や、羽根車30を回転させる駆動モーター40や、羽根車30を収容するケーシング50などを備えている。
羽根車30は、複数の翼片31が駆動モーター40のシャフト41に対して放射状に所定の間隔で配置されて円筒形状になっている。これらの翼片31は、シャフト41の軸方向の一端(図中の下端)が略円形の回転円板32に取り付けられており、他端(図中の上端)が環状の支持板33に取り付けられている。回転円板32は、中央で駆動モーター40のシャフト41に固定されており、駆動モーター40の駆動によってシャフト41を中心に羽根車30が回転する。
ケーシング50は、駆動モーター40が外側(図中の下面)に固定される凹形の本体51と、この本体51に対向する凹形の蓋体52とを外縁部分で接合して形成される。本体51と蓋体52とは、間にパッキン(図示省略)を介在させることで気密性が保たれ、図示しないネジなどで固定される。
また、ケーシング50は、シャフト41に対する半径が羽根車30の回転方向(図中の反時計回り)に大きくなる形状に周面が形成されている。この周面の半径が大きい側から接線方向に延設して送風路54が形成されており、送風路54の末端の吐出口55に燃焼ユニット3が接続される。さらに、蓋体52には、羽根車30の内側に向けて開口した吸入口53が設けられており、この吸入口53に予混合装置100が接続される。予混合装置100は、図示しないネジなどで蓋体52に固定され、間にパッキン(図示省略)を介在させることで気密性が保たれる。
周知のように遠心式のファン20では、駆動モーター40の駆動によって羽根車30が回転すると、遠心力で羽根車30の内側から外側に気体(空気や燃料ガス)が吹き出す流れが生じる。羽根車30の外側に吹き出した気体は、ケーシング50の内周面に沿って進み、送風路54を通って吐出口55から燃焼ユニット3に送り込まれる。また、羽根車30の外側に気体が吹き出すのに伴って、羽根車30の内側には、予混合装置100から気体が吸入口53を通って吸い込まれる。
図2には、ファン20とともに、蓋体52に固定される前の予混合装置100の外観が示されている。詳細には後述するが、本実施例の予混合装置100は、蓋体52の吸入口53に接合されて連通する円筒形状の混合管101を備えており、混合管101の中心線は、駆動モーター40のシャフト41や吸入口53の中心と同一直線上に位置している。この混合管101の周面には、ガス供給通路11が接続される接続口110が設けられており、接続口110の中心は、混合管101の中心線に直交する直線上に位置している。
また、本実施例の混合管101の周面には、空気流入口102が開口しており、この空気流入口102を通って混合管101の外部から燃焼用空気が内部に流入する。さらに、予混合装置100は、空気流入口102を被覆可能であって、混合管101の外周面に沿って混合管101の中心線を回転軸として回転移動することで空気流入口102を開閉する(開口面積を変化させる)空気制御部材120を備えている。この空気制御部材120は、予混合装置100にブラケット151を介して取り付けられた回動モーター150の駆動によって正逆両方向に回転可能である。
図3は、本実施例の予混合装置100を分解した状態を示した斜視図である。尚、図3では、回動モーター150やブラケット151の図示を省略している。図示されるように、本実施例の予混合装置100の混合管101は、ファン20の吸入口53(図2参照)に接合される円筒形状の下流管101aに、吸入口53とは反対側から円筒形状の上流管101bをつなぎ合せて形成され、図示しないネジなどで固定される。上流管101bの周面には、矩形の空気流入口102が開口しており、本実施例の空気流入口102は周方向の辺が160度分の円弧になっている。
また、上流管101bは、吸入口53とは反対側の端面(図中の上面)が中心線と垂直な略円形の蓋板103によって塞がれており、この蓋板103には、中央を貫通する挿通孔104が設けられると共に、空気流入口102とは別に混合管101の外部から燃焼用空気を内部に流入させる空気最小孔105が開口している。
このような上流管101bの外側に被せられる空気制御部材120は、上流管101bの外周面を覆う円筒形状の周面部121と、蓋板103に面する上面部122と、混合管101の中心線と同一直線上に位置して回動モーター150の駆動で回転する心棒123とが一体に設けられている。また、空気制御部材120の周面部121には、矩形に切り欠かれた切欠き部121aが設けられている。本実施例の切欠き部121aは、周面部121の160度分に相当し、上流管101bの空気流入口102と重複可能であって、切欠き部121aと空気流入口102との重複部分を燃焼用空気が通過する。心棒123を中心に空気制御部材120が所定の回転範囲内(本実施例では160度の範囲内)で回転するのに伴い、上流管101bの外周面に沿って周面部121が回転移動すると、切欠き部121aが移動するので、空気流入口102の開口面積(切欠き部121aと空気流入口102との重複部分の面積)が変化する。
また、上面部122には、心棒123を中心とする円弧状に形成された通過口122aが開口している。この通過口122aは、空気制御部材120が回転可能な範囲内で空気制御部材120の回転位置に拘らず、蓋板103の空気最小孔105と一部が重複するように設けられており、通過口122aと空気最小孔105との重複部分を燃焼用空気が通過する。
一方、下流管101aの周面には、接続口110が設けられており、この接続口110は、下流管101aの内部に導入されたガス導入管111と通じている。本実施例のガス導入管111は、L字状に屈曲しており、混合管101と中心線が直交する円筒形状の直交管111aと、混合管101と平行である円筒形状の平行管111bとを備え、本実施例の平行管111bは、混合管101と中心線が一致している。そして、平行管111bの端部(図中の上端部)の内側に嵌込部材112が嵌め込まれる。嵌込部材112は、中央にガス流入口113が開口した円筒形状に形成され、このガス流入口113を通ってガス導入管111の内部から燃料ガスが混合管101とガス導入管111との間の混合通路100pに流入する。尚、ガス導入管111の直交管111aは、本発明の「連通管」に相当している。
また、平行管111bの内側には、ガス流入口113を開閉する(開口面積を変化させる)ガス制御部材130や、ガス制御部材130をガス流入口113(嵌込部材112)に向けて付勢する付勢バネ115が設置されている。ガス制御部材130は、ガス流入口113側(図中の上側)に向けて縮径するテーパー部131や、テーパー部131の大径側に連設された円筒形状の大径部132や、テーパー部131の小径側に連設された円筒形状の小径部133を有している。また、大径部132の外周面から径方向外向きに突出して大径部132の中心線と平行に延びた複数(本実施例では4つ)の突条134が設けられている。
付勢バネ115によって付勢されたガス制御部材130は、ガス流入口113にテーパー部131が挿入されると共に、小径部133がガス流入口113から突出している。また、嵌込部材112の内周面には、ガス制御部材130の突条134に対応する位置に浅いガイド溝(図示省略)が設けられており、ガイド溝に突条134の突端が嵌って、ガス制御部材130は平行管111bの中心線まわりに回転不能に平行管111bの中心線に沿った直線移動が案内される。このガス制御部材130が付勢バネ115の付勢力に抗してファン20側(図中の下側)に移動すると、ガス流入口113へのテーパー部131の挿入量が変化するので、ガス流入口113の開口面積(ガス流入口113とテーパー部131との隙間の面積)が変化する。そして、ガス流入口113とテーパー部131との隙間を燃料ガスが通過する。
さらに、本実施例のガス制御部材130は、小径部133側の端部(図中の上端部)に円板形状の台座135を有している。この台座135は、外径が小径部133よりも大きくなっているものの、ガス流入口113の内径よりは小さいため、ガス流入口113に挿通することが可能である。そして、台座135には、小径部133とは反対側の面(図中の上面)から突出して一対の当接部136が、台座135の中心に対して180度位置をずらして設けられており、空気制御部材120側に設けられたカム面125(図4参照)に当接する。
図4は、本実施例の空気制御部材120のカム面125にガス制御部材130の当接部136が当接した状態を示す斜視図である。図では、ガス制御部材130側から空気制御部材120の内側を見た状態を表しており、上流管101bや平行管111bや嵌込部材112の図示を省略している。図示されるように空気制御部材120の上面部122には、心棒123が突出した側とは反対側の面(図中の下面)から突出して円筒形状の突出部124が設けられている。この突出部124は、中心線が心棒123と同一直線上にあり、蓋板103の挿通孔104に挿通される(図3参照)。また、突出部124は、ガス制御部材130に面する側(図中の下端側)に、上面部122(空気制御部材120の回転軸と垂直な平面)に対して傾斜した螺旋状のカム面125が形成されており、空気制御部材120の回転軸(心棒123)まわりに180度回転させても元の形体と一致する2回回転対称になっている。
そして、前述したように平行管111bの内側には付勢バネ115が設置されており(図3参照)、この付勢バネ115がガス制御部材130を空気制御部材120に向けて付勢することによって、空気制御部材120のカム面125にガス制御部材130の当接部136が当接する。
図示した例では、空気制御部材120に設けられた心棒123を反時計回り(図中の白抜きの矢印で示す回転方向)に回転させると、当接部136の先端(当接箇所)がカム面125に沿って突出部124の基端側(図中の上側)に移動する。これにより、ガス制御部材130は、平行管111bの中心線に沿って空気制御部材120に近付く方向(図中の上方)に移動する。
一方、心棒123を時計回り(図中のハッチングを付した矢印で示す回転方向)に回転させると、当接部136の先端(当接箇所)がカム面125に沿って突出部124の突端側(図中の下側)に移動する。これにより、付勢バネ115の付勢力に抗してガス制御部材130は、平行管111bの中心線に沿って空気制御部材120から離れる方向(図中の下方)に移動する。
また、本実施例のガス制御部材130には、大径部132側の端面に連通するガス最小孔137が、小径部133の周面に開口して設けられている。このガス最小孔137は、平行管111bの中心線に沿ったガス制御部材130の位置に拘らず、ガス導入管111の内部から燃料ガスを混合通路100pに流入させることが可能である。
図5は、本実施例の予混合装置100における空気制御部材120とガス制御部材130との連動を示す説明図である。図では、混合管101の中心線を含むと共に、直交管111aの中心線に垂直な平面で切断した予混合装置100の断面を表している。まず、図5(a)には、空気流入口102およびガス流入口113が閉じられた状態が示されている。前述したように本実施例の空気流入口102は、上流管101bの周面に矩形に形成されており、周方向の辺が160度分の円弧になっている。そして、上流管101bの外側に被せられる空気制御部材120の周面部121には、矩形の切欠き部121aが形成されており、この切欠き部121aの周方向の辺も160度分の円弧になっているものの、切欠き部121aと空気流入口102とが重複していないので、空気制御部材120の周面部121によって空気流入口102の全体を被覆することで、空気流入口102が閉塞されている。
ただし、空気流入口102が閉塞された状態でも、上面部122に形成された円弧状の通過口122aの一部が蓋板103の空気最小孔105と重複しており、ファン20の吸引によって、混合管101の外部から燃焼用空気が空気最小孔105を通って混合通路100pに流入する。尚、図中の太線の矢印は、燃焼用空気の流れを表している。
また、本実施例のガス流入口113は、混合管101内に導入されたガス導入管111の平行管111bの端部に開口しており、このガス流入口113にガス制御部材130のテーパー部131が挿入されている。そして、空気流入口102が空気制御部材120で閉塞された状態では、ガス制御部材130の当接部136が空気制御部材120のカム面125に突出部124の基端側で当接していることから(図4参照)、ガス制御部材130が空気制御部材120に近接しており、付勢バネ115の付勢力によってガス制御部材130のテーパー部131の大径側がガス流入口113の内周に押し付けられることで、ガス流入口113が閉塞されている。
ただし、ガス流入口113がガス制御部材130で閉塞された状態でも、ガス制御部材130には、大径部132側の端面と小径部133の周面とを連通するガス最小孔137が設けられており、ファン20の吸引によって、ガス導入管111の内部から燃料ガスがガス最小孔137を通って混合通路100pに流入する。尚、図中の破線の矢印は、燃料ガスの流れを表している。
そして、図5(a)の状態から心棒123を時計回りに回転させると、空気制御部材120の周面部121が上流管101bの外周面に沿って回転移動することで、切欠き部121aと空気流入口102との重複部分の面積(空気流入口102の開口面積)が増加していき、混合管101の外部から燃焼用空気が重複部分を通って混合通路100pに流入する。図5(b)には、心棒123を160度回転させることで、空気流入口102の全体が切欠き部121aと重複し、空気流入口102の開口面積が最大となった状態が示されている。
また、空気制御部材120の突出部124が時計回りに回転するのに伴い、ガス制御部材130の当接部136の先端(当接箇所)がカム面125に沿って突出部124の突端側に移動する(図4参照)。すると、ガス制御部材130が空気制御部材120から離れることになり、付勢バネ115の付勢力に抗してガス制御部材130が押し戻されることから、ガス流入口113へのテーパー部131の挿入量が減少する。これにより、ガス流入口113とテーパー部131との隙間の面積(ガス流入口113の開口面積)が増加していき、ガス導入管111の内部から燃料ガスが隙間を通って混合通路100pに流入する。
このように本実施例の予混合装置100では、心棒123を回転させることによって、空気流入口102の開口面積(空気開口面積)およびガス流入口113の開口面積(ガス開口面積)を連動して変化させることが可能である。そして、ファン20の吸引によって混合通路100pに流入する燃焼用空気と燃料ガスとの比率(空燃比)は、空気開口面積とガス開口面積との面積比(開口面積比)によって決まることから、燃焼ユニット3で燃焼させる混合ガスの適切な空燃比に合わせて開口面積比を設定する必要がある。そのため、カム面125は、空気制御部材120の回転移動とガス制御部材130の直線移動とを連動させつつ、開口面積比を所定値に維持する(適切な空燃比を保つ)ように傾斜が形成されている。
また、給湯器1では、ユーザーによって設定された出力(給湯能力)に応じて燃焼ユニット3に送る混合ガスの流量を調節する必要がある。こうした混合ガスの流量調節は、設定された出力値に比例してファン20の回転数(吸引力)を変化させることによって行うのが一般的である。これに加えて、本実施例の予混合装置100では、ファン20の回転数を固定したままでも、心棒123を回転させることで、空気開口面積およびガス開口面積が開口面積比を維持しながら連動して変化することから、適切な空燃比を保って燃焼ユニット3に送る混合ガスの流量を調節することができる。
以上に説明したように本実施例の予混合装置100では、心棒123の回転に伴い、空気流入口102が開口した上流管101bの外周面に沿って空気制御部材120の周面部121が回転移動すると共に、空気制御部材120のカム面125とガス制御部材130の当接部136との当接箇所が変化することで空気制御部材120の回転運動がガス制御部材130の直線運動に変換され、ガス流入口113へのテーパー部131の挿入量を変更する方向にガス制御部材130が直線移動するようになっている。こうすることで、次のような理由から、予混合装置100のコンパクト化を図ることができる。
まず、仮に本実施例とは異なり、空気流入口102を、上流管101bと一体の蓋板103の中央に円形に設けると共に、空気制御部材120を、ガス制御部材130と同様に、混合管101の中心線に沿って直線移動が可能に設けることとして、空気制御部材120の直線移動によって空気流入口102の開口面積を変化させる構成を採用したとする。この場合、燃料ガスに比して必要な流量が多い燃焼用空気の流量調節のために、混合管101の中心線の方向に空気制御部材120の可動範囲を大きく確保しておく必要があり、結果として、混合管101の中心線の方向に予混合装置100のコンパクト化を図るのが困難である。これに対して、本実施例の予混合装置100では、上流管101bの外周面に沿った空気制御部材120の周面部121の回転移動によって空気流入口102の開口面積を変化させる構成であるため、混合管101の中心線の方向における空気制御部材120の可動範囲の確保が不要であり、予混合装置100のコンパクト化を図ることが可能となる。
一方、燃焼用空気に比して必要な流量が少ない燃料ガスの流量調節には、適切な空燃比で混合ガスを供給する上で精度が求められる。そこで、本実施例の予混合装置100では、ガス流入口113へのテーパー部131の挿入量を変更するガス制御部材130の直線移動によってガス流入口113の開口面積を変化させるようになっており、こうした所謂ニードルバルブの構成は流量の細かな制御が可能であるため、燃料ガスの流量を精度よく調節して、適切な空燃比の混合ガスを供給することができる。このように燃料ガスの流量を精度よく調節することと、予混合装置100のコンパクト化を図ることとの両立は、カム面125と当接部136との当接箇所を変化させながら空気制御部材120の回転移動とガス制御部材130の直線移動とを連動させることで初めて可能となる。
そして、本実施例の予混合装置100では、空気制御部材120とガス制御部材130との間に、カム面を備えたカムを別体にして介在させるのではなく、空気制御部材120にカム面125が一体に形成されている。これにより、カムを別体にした場合に比べて、予混合装置100を構成する部品点数が減るため、予混合装置100のコストの低減を図るのみならず、次のような効果を得ることができる。まず、カムを別体にした場合には、空気制御部材120の動きがカムを介して間接的にガス制御部材130に伝わり、動きの伝達箇所が2ヶ所となる。これに対して、本実施例の予混合装置100では、空気制御部材120の動きが直接的にガス制御部材130に伝わり、動きの伝達箇所が1ヶ所であることから、部品の累積公差の影響を受けにくく、適切な空燃比を保った空気制御部材120とガス制御部材130との連動を安定させることができる。しかも、空気制御部材120とガス制御部材130との間にカムを配置するスペースを省略できるので、混合管101の中心線の方向における予混合装置100の更なるコンパクト化を図ることが可能となる。
また、本実施例の予混合装置100では、空気制御部材120に螺旋状のカム面125を一体に形成し、ガス制御部材130に当接部136を一体に形成している。このようにすれば、一般に空気制御部材120はガス制御部材130に比べて大きいことから、カム面125の一体形成を容易としながら、ガス導入管111の内側に配置されるガス制御部材130の小型化を図ることが可能となる。
加えて、本実施例のように燃料ガスの流量調節にニードルバルブの構成を採用することによって、次のような効果を得ることができる。まず、比較として、図6に示されるように、ガス流入口114を平行管111bの周面に矩形に設けると共に、平行管111bの内側に、ガス流入口114を開閉する(開口面積を変化させる)ガス制御部材160を平行管111bの内周面に沿って回転移動が可能に設置した予混合装置100の例を説明する。尚、比較例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。比較例のガス制御部材160は、平行管111bの内周面に接する円筒形状の周面部161と、平行管111bの端部を塞ぐ円形の蓋部162と、蓋部162の中央から突設された突起部163とが一体に設けられており、突起部163が心棒123と接合されている。また、ガス制御部材160の周面部161には、矩形のガス通過口161aが開口している。このような比較例の予混合装置100では、心棒123の回転に伴い、空気制御部材120の回転移動と連動して、ガス制御部材160の周面部161が回転移動することで、ガス通過口161aとガス流入口114との重複部分の面積(ガス流入口114の開口面積)が変化し、ガス導入管111の内部から燃料ガスが重複部分を通って混合通路100pに流入する。ただし、図示されるように、平行管111bのまわりで燃料ガスの流入が一方(図中の右方)に偏り、特にガス流入口114の開口面積が絞られた状態では、燃焼用空気に比して流入量の少ない燃料ガスの分散が不均一となって、混合ガスの空燃比にばらつきが生じることがある。
これに対して、本実施例の予混合装置100では、前述したように燃料ガスの流量調節にニードルバルブの構成を採用しており、ガス流入口113の開口面積の変化に拘らず、平行管111bのまわりで燃料ガスの流入が均一であるため(図5(b)参照)、混合ガスの空燃比を安定させることができる。
また、空気流入口102の開口面積およびガス流入口113の開口面積を連動して変化させる場合、空気制御部材120やガス制御部材130の組み付け誤差あるいは動作の誤差などに起因して開口面積比が目標値から外れることで、混合ガスの空燃比を適切に制御できないことがあり、こうした影響は、特に空気流入口102およびガス流入口113の開口面積を絞った最小流量時に大きくなる傾向にある。この点、本実施例の予混合装置100では、空気流入口102とは別に設けられた空気最小孔105と、ガス流入口113とは別に設けられたガス最小孔137とを有しており、空気流入口102およびガス流入口113が閉塞された最小流量時には、空気最小孔105を通って燃焼用空気が混合通路100pに流入すると共に、ガス最小孔137を通って燃料ガスが混合通路100pに流入するようになっている。このように最小流量時の混合ガスの空燃比が、空気最小孔105の開口面積とガス最小孔137の開口面積との面積比によって決まるため、空気最小孔105およびガス最小孔137を、面積比が目標値となるように設けておくことで、最小流量時の混合ガスを適切な空燃比に制御することが可能となる。
上述した本実施例の予混合装置100には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図7は、第1変形例の予混合装置100における空気制御部材120とガス制御部材130との連結を示す斜視図である。図では、ガス制御部材130側から空気制御部材120の内側を見た状態を表しており、上流管101bや平行管111bや嵌込部材112の図示を省略している。図示されるように第1変形例のガス制御部材130は、小径部133側の端部(図中の上端部)に円筒形状の円筒部138が一体に設けられており、この円筒部138は、外径が小径部133よりも大きくなっているものの、ガス流入口113の内径よりは小さいため、ガス流入口113に挿通することが可能である。そして、円筒部138は、空気制御部材120に面する側(図中の上端側)に、空気制御部材120の回転軸(心棒123)と垂直な平面に対して傾斜した螺旋状のカム面139が形成されており、空気制御部材120の回転軸まわりに回転させると元の形体と一致する2回回転対称になっている。
また、空気制御部材120の上面部122には、心棒123が突出した側とは反対側の面(図中の下面)から突出して一対の当接部126が設けられている。この一対の当接部126は、空気制御部材120の回転軸に対して180度位置をずらして設けられており、蓋板103の挿通孔104に挿通される(図3参照)。そして、付勢バネ115がガス制御部材130を空気制御部材120に向けて付勢することによって、空気制御部材120の当接部126がガス制御部材130のカム面139に当接する。
図示した例では、空気制御部材120に設けられた心棒123を反時計回り(図中の白抜きの矢印で示す回転方向)に回転させると、当接部126の先端(当接箇所)がカム面139に沿って小径部133側(図中の下側)に移動する。これにより、付勢バネ115で付勢されたガス制御部材130は、平行管111bの中心線に沿って空気制御部材120に近付く方向(図中の上方)に移動する。尚、ガス制御部材130は平行管111bの中心線まわりに回転不能になっている。
一方、心棒123を時計回り(図中のハッチングを付した矢印で示す回転方向)に回転させると、当接部126の先端(当接箇所)がカム面139に沿って小径部133とは反対側(図中の上側)に移動する。これにより、付勢バネ115の付勢力に抗してガス制御部材130は、平行管111bの中心線に沿って空気制御部材120から離れる方向(図中の下方)に移動する。
このように第1変形例の予混合装置100では、前述した実施例とは逆に、ガス制御部材130にカム面139を一体に形成し、空気制御部材120に当接部126を一体に形成している。こうした第1変形例の予混合装置100においても、前述した実施例と同様に、カム面139と当接部126との当接箇所を変化させながら空気制御部材120の回転運動をガス制御部材130の直線運動に変換し、空気制御部材120の回転移動とガス制御部材130の直線移動とを連動させることで、燃料ガスの流量を精度よく調節することと、予混合装置100のコンパクト化を図ることとを両立させることができる。
そして、第1変形例の予混合装置100では、ガス制御部材130にカム面139が一体に形成されており、空気制御部材120とガス制御部材130との間に別体のカムを介在させる場合に比べて、予混合装置100を構成する部品点数が減ることにより、予混合装置100のコストの低減を図れるのみならず、前述した実施例と同様に、部品の累積公差の影響を受けにくく、適切な空燃比を保った空気制御部材120とガス制御部材130との連動を安定させることができ、しかも、混合管101の中心線の方向における予混合装置100の更なるコンパクト化を図ることが可能となる。
図8は、第2変形例の予混合装置100における空気制御部材120とガス制御部材130との連結を示す斜視図である。図では、ガス制御部材130側から空気制御部材120の内側を見た状態を表しており、上流管101bや平行管111bや嵌込部材112の図示を省略している。図示されるように第2変形例の空気制御部材120の上面部122には、前述した実施例と同様に、心棒123が突出した側とは反対側の面(図中の下面)から突出して円筒形状の突出部124が設けられており、この突出部124は、中心線が心棒123と同一直線上にあって、蓋板103の挿通孔104に挿通される(図3参照)。また、突出部124は、ガス制御部材130に面する側(図中の下端側)に、上面部122(空気制御部材120の回転軸と垂直な平面)に対して傾斜した螺旋状のカム面127が形成されている。ただし、第2変形例の突出部124は、前述した実施例のような2回回転対称ではなく、カム面127が一続きになっている。
一方、第2変形例のガス制御部材130には、小径部133側の端部(図中の上端部)から突出して小径部133よりも径が小さい1本の当接部140が一体に設けられている。この当接部140は、ガス制御部材130の直線移動の中心軸上に位置し、第2変形例のガス制御部材130は、直線移動の中心軸が空気制御部材120の回転軸(心棒123)に対して平行であるものの、一致しておらず、偏心している。そして、付勢バネ115がガス制御部材130を空気制御部材120に向けて付勢することによって、空気制御部材120のカム面127にガス制御部材130の当接部140が当接する。
図示した例では、空気制御部材120に設けられた心棒123を反時計回り(図中の白抜きの矢印で示す回転方向)に回転させると、突出部124が回転するのに伴い、当接部140の先端(当接箇所)がカム面127に沿って突出部124の基端側(図中の上側)に移動する。これにより、ガス制御部材130は、空気制御部材120に近付く方向(図中の上方)に移動する。
一方、心棒123を時計回り(図中のハッチングを付した矢印で示す回転方向)に回転させると、当接部140の先端(当接箇所)がカム面127に沿って突出部124の突端側(図中の下側)に移動する。これにより、付勢バネ115の付勢力に抗してガス制御部材130は、空気制御部材120から離れる方向(図中の下方)に移動する。
このような第2変形例の予混合装置100では、前述した実施例の効果に加えて、当接部140がガス制御部材130の直線移動の中心軸上に位置していることにより、この中心軸まわりにガス制御部材130が回転しても、空気制御部材120からガス制御部材130への動きの伝達に影響がないことから、ガス制御部材130の回転を不能にする構成(前述した実施例では、ガス制御部材130の突条134が嵌込部材112の内周面のガイド溝に嵌る構成)を省略でき、予混合装置100の構造の簡略化を図ることが可能となる。また、前述した実施例のようにガス制御部材130に台座135を設ける必要がないため(図4参照)、ガス制御部材130について直線移動の中心軸に直交する径方向のコンパクト化を図ることが可能となる。
図9は、第2変形例の予混合装置100における混合管101の内部の構造を示した断面図である。図では、混合管101の中心線および直交管111aの中心線を含む平面で切断した予混合装置100の断面を表している。前述したように第2変形例の予混合装置100では、ガス制御部材130の直線移動の中心軸が、空気制御部材120の回転軸に対して、平行で且つ偏心している。このことと対応して、第2変形例のガス導入管111は、平行管111bの中心線が混合管101の中心線と一致しておらず、接続口110側に偏心している。そして、ガス制御部材130は、平行管111bの中心線を直線移動の中心軸として動作する。
このような第2変形例の予混合装置100では、平行管111bの中心線が接続口110側に偏心していることにより、混合管101の中心線と一致している場合に比べて、接続口110と平行管111bとを繋ぐ直交管111aを短くすることができる。その結果、混合通路100pに占める直交管111aの割合が減るので、混合通路を通過する燃焼用空気や燃料ガスの流れが直交管111aによって妨げられるのを抑制することが可能となる。
尚、第2変形例の予混合装置100では、平行管111bの中心線(ガス制御部材130の直線移動の中心軸)を偏心させる方向を、接続口110との位置関係で設定したが、上流管101bの周面に開口した空気流入口102との位置関係で設定してもよい。例えば、図10には、平行管111bの中心線を、混合管101の中心線(空気制御部材120の回転軸)に対して空気流入口102側に偏心させた例が示されており、図では、予混合装置100を当接部140の先端の位置で輪切りにして、その断面を心棒123側から見た状態を表している。このような予混合装置100では、図中の太線の矢印で示されるように混合管101の外部から空気流入口102を通って混合通路100pに流入する燃焼用空気の流れを、平行管111bによって速やかに分散させて、燃焼用空気と燃料ガスとの混合を促進することにより、混合ガスの空燃比を安定させることができる。もちろん、接続口110を空気流入口102と同じ側に配置することとして、平行管111bの中心線を、空気流入口102側であり、且つ接続口110側に偏心させてもよい。
また、図10に示した例とは逆に、平行管111bの中心線を混合管101の中心線に対して空気流入口102とは反対側に偏心させてもよい。こうすれば、混合管101の外部から空気流入口102を通って燃焼用空気が流れ込む空間を広く空けておくことができ、燃焼用空気の流入がスムーズになって混合通路100pに燃焼用空気を取り入れ易くなるので、空気流入口102を小さくすることが可能となる。
図11は、第3変形例の予混合装置100における空気制御部材120とガス制御部材130との連結を示す斜視図である。図では、ガス制御部材130側から空気制御部材120の内側を見た状態を表しており、上流管101bや平行管111bや嵌込部材112の図示を省略している。図示されるように第3変形例の空気制御部材120の上面部122には、心棒123が突出した側とは反対側の面(図中の下面)に円柱形状の基台128が設けられており、この基台128が蓋板103の挿通孔104に挿通される(図3参照)。また、基台128には、上面部122とは反対側の面(図中の下面)から突出して当接部129が一体に設けられており、第3変形例の当接部129は、空気制御部材120の回転軸に対する半径が反時計回り(図中の白抜きの矢印で示す方向)に大きくなる筒状に形成されている。
一方、第3変形例のガス制御部材130は、前述した第2変形例と同様に、直線移動の中心軸が空気制御部材120の回転軸(心棒123)に対して平行で且つ偏心しており、小径部133側の端部(図中の上端部)から突出して平板状の立板部141が一体に設けられている。このガス制御部材130は、立板部141を偏心方向に沿わせて設置され、直線移動の中心軸まわりに回転不能になっている。また、立板部141は、空気制御部材120に面する側(図中の上端側)に、空気制御部材120の回転軸と垂直な平面に対して傾斜したカム面142が形成されており、図示した例では、空気制御部材120の回転軸に向かって低くなる傾斜になっている。そして、付勢バネ115がガス制御部材130を空気制御部材120に向けて付勢することによって、空気制御部材120の当接部129がガス制御部材130のカム面142に当接する。
図12は、第3変形例の当接部129とカム面142との当接を示す説明図である。図では、空気制御部材120の回転軸と垂直な平面で立板部141の小径部133側を切断し、その断面を通して基台128側を見た状態を表している。第3変形例の予混合装置100では、空気制御部材120の回転に伴って、当接部129の周方向に当接箇所が変化すると共に、カム面142の傾斜に沿って当接箇所が変化する。図示した例では、当接部129の半径が小さい側が、カム面142における空気制御部材120の回転軸に近い側(図11中のカム面142の低い側)に当接することにより、付勢バネ115で付勢されたガス制御部材130は、空気制御部材120に近付く方向に移動する。
一方、当接部129の半径が大きい側が、カム面142における空気制御部材120の回転軸から遠い側(図11中のカム面142の高い側)に当接することにより、付勢バネ115の付勢力に抗してガス制御部材130は、空気制御部材120から離れる方向に移動する。
このような第3変形例の予混合装置100では、カム面142と当接部129との当接箇所を変化させながら空気制御部材120の回転運動をガス制御部材130の直線運動に変換し、空気制御部材120の回転移動とガス制御部材130の直線移動とを連動させると共に、ガス制御部材130にカム面142が一体に形成されていることにより、前述した実施例と同様の効果を得ることができる。
また、第3変形例の予混合装置100では、空気制御部材120の回転軸に対してガス制御部材130の直線移動の中心軸が偏心していることと対応して、混合管101の中心線に対して平行管111bの中心線が偏心していることにより、前述した第2変形例と同様の効果を得ることができる。
以上、本実施例および変形例の予混合装置100について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、前述した実施例および変形例では、空気流入口102が上流管101bの周面に設けられていた。しかし、空気流入口102を設ける位置は、これに限られず、図13に示されるように、蓋板103に、混合管101の中心線を軸とする扇形の空気流入口107を設けてもよい。そして、図13の例では、上流管101bおよび蓋板103を覆う空気制御部材120の周面部121および上面部122が心棒123を中心に回転可能に設けられており、この空気制御部材120は、上面部122に、空気流入口107と重複可能に開口した扇形の通気孔122bを有している。心棒123の回転に伴い、空気制御部材120が回転移動すると、通気孔122bが移動するので、空気流入口107の開口面積(通気孔122bと空気流入口107との重複部分の面積)が変化する。尚、空気最小孔108は、下流管101aの周面に開口している。このように空気流入口107を蓋板103に設けることとすれば、上流管101bに空気流入口102を設けるための高さが不要となることから、混合管101の中心線の方向に予混合装置100の更なるコンパクト化を図ることが可能となる。