図1に示すように、車両の駆動システム1は、内燃機関10と、内燃機関10からの排気を浄化する排気浄化システム20と、動力機構30と、インバータ37と、高電圧バッテリ38と、制御装置40とを備えている。
動力機構30は、第1のモータジェネレータ(以下、「第1のMG」と表記する)31と、第2のモータジェネレータ(以下「第2のMG」と表記する)32と、動力分割機構33と、減速ギヤ機構34とを備えている。主に内燃機関10と第2のMG32が車輪35を駆動する動力源となる。内燃機関10のクランク軸と第1のMG31の回転軸と第2のMG32の回転軸とが動力分割機構33(例えば遊星ギヤ機構)を介して連結され、第2のMG32の回転軸が減速ギヤ機構34を介して車軸36に連結されている。
第1のMG31と第2のMG32は、インバータ37を介して高電圧バッテリ38に接続されている。第1のMG31および第2のMG32は、それぞれインバータ37を介して高電圧バッテリ38と電力を授受するようになっている。
排気浄化システム20は、内燃機関10の排気通路11内に設けられる排気浄化触媒層21と、粒子除去層22とを備えている。排気浄化触媒層21は、三元触媒(3way触媒)等の排気浄化触媒を備える層である。粒子除去層22は、ガソリン・パティキュレートフィルタ(GPF)、GPFに触媒を担持した4way−GPF等の主に排気中の粒子状物質を除去するための層である。
なお、図1では、排気通路11の上流に排気浄化触媒層21を1層設け、その下流に粒子除去層22を1層設けているが、この層数および順序に限定されない。また、排気浄化触媒層21の浄化能力によっては、粒子除去層22を設置する必要が無い場合もある。また、図1では、排気浄化触媒層21と粒子除去層22は、排気通路11において内燃機関10に近い位置に設置されているが、内燃機関10から離れた位置に設置してもよい。内燃機関10から離れた位置に排気浄化触媒層21、粒子除去層22を設置すると、各層21,22を通過する排気の温度が低くなり、圧力損失を低減させることができる。
排気浄化触媒層21の排気浄化触媒を加熱するために、電気加熱装置に相当するEHC23と、EHC用の電源回路24が設けられている。EHC23は、排気浄化触媒が担持された導電性抵抗体であり、排気浄化触媒層21の一部を構成している。EHC23は、電源回路24に接続されている。高電圧バッテリ38から電源回路24を介してEHC23に電力を供給し、EHC23の導電性抵抗体に通電することで、この導電性抵抗体がヒータとして機能し、排気浄化触媒を含む排気浄化触媒層21を加熱することができる。
なお、排気浄化触媒層21においては、排気浄化触媒の全てがEHC23に係る導電性抵抗体に担持されていてもよいし、排気浄化触媒の一部がEHC23に係る導電性抵抗体に担持されていてもよい。例えば、排気浄化触媒の担体の上流側が導電性抵抗体によって形成され、下流型が非伝導体によって形成されており、上流側の排気浄化触媒のみがEHC23によって加熱できるものであってもよい。EHC23に通電すれば、排気浄化触媒層21全体が加熱されるため、EHC23を構成する導電性抵抗体に担持されていない排気浄化触媒についても間接的に加熱することができる。また、本実施形態では、EHCを例示して説明するが、電気加熱装置は、通電することによって排気浄化触媒を加熱可能な機構を有する装置であればよい。
EHC23に供給する電力は、電源回路24により制御される。電源回路24には、スイッチング回路等を備えた通電電力制御部(図示せず)が設けられ、この通電電力制御部で高電圧バッテリ38から供給される電力を電圧変換や平滑化してEHC23に供給する。
排気浄化システム20は、さらに、排気浄化触媒層21の入口および出口に設けられた排気センサ25,26と、EHC23を通過する排気温度を検出するために排気浄化触媒層21に設けられた温度センサ27とを備えている。排気センサ25,26は、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ(空燃比センサ、酸素センサ等)である。
制御装置40は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)であり、マイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置40は、駆動制御部41と、加熱制御部42と、活性度取得部43と、算出部44とを備えている。駆動制御部41は、車両の運転状態に応じて、内燃機関10を制御すると共にインバータ37を制御して第1のMG31,第2のMG32を制御する。加熱制御部42は、電源回路24を制御してEHC23の通電電力を制御する。活性度取得部43は、排気浄化触媒の活性度を取得する。算出部44は、内燃機関10の始動要求があることを条件として、取得された排気浄化触媒の活性度に基づいて、内燃機関10の排気熱量の追加量を算出する。駆動制御部41は、算出部44で算出された排気熱量の追加量に基づいて、内燃機関10の排気熱量を制御する。
制御装置40には、車両に搭載された各種センサ50からの信号が入力される。各種センサ50は、具体的には、外気温センサ51、車速を検出する車速センサ52、アクセル開度(アクセルペダルの操作量)を検出するアクセルセンサ53等を例示することができる。制御装置40には、さらに、シフトレバーの操作位置を検出するシフトスイッチ、ブレーキ操作を検出するブレーキスイッチ等からの信号が入力されてもよい。
制御装置40は、車両の走行時には、内燃機関10の動力を動力分割機構33によって第1のMG31側と車軸36側の二系統に分割し、その一方の系統の出力で車軸36を駆動して車輪35を駆動し、他方の系統の出力で第1のMG31を駆動して第1のMG31で発電する。そして、得られた発電電力で、第2のMG32を駆動して第2のMG32の動力でも車軸36を駆動して車輪35を駆動する。更に、急加速時には、第1のMG31の発電電力の他に高電圧バッテリ38の電力も第2のMG32に供給して、第2のMG32の駆動分を増加させる。
減速時には、車輪35の動力で第2のMG32を駆動して第2のMG32を発電機として作動させることで、車両の運動エネルギーを第2のMG32で電力に変換して高電圧バッテリ38に回収(充電)する減速回生(回生ブレーキ)を行う。
制御装置40は、例えば、発進時や低負荷時(内燃機関10の燃費効率が悪い領域)は、内燃機関10を停止状態に維持して、高電圧バッテリ38の電力で第2のMG32を駆動し、この第2のMG32の動力で車輪35を駆動して走行するEV走行を行う。
内燃機関10を始動する場合には、高電圧バッテリ38の電力で第1のMG31を駆動し、この第1のMG31の動力を動力分割機構33を介して内燃機関10のクランク軸に伝達することで、内燃機関10のクランク軸を回転駆動し、内燃機関10を始動する。
加熱制御部42は、内燃機関10を始動する際に、必要に応じてEHC23に通電し、排気浄化触媒を加熱する。なお、内燃機関10の駆動中には、内燃機関10からの排気が排気浄化触媒層21および粒子除去層22を通過するため、排気によっても排気浄化触媒層21が加熱されることがある。
加熱制御部42は、活性度取得部43が取得する排気浄化触媒の活性度に基づいて、EHC23に通電するか否かを決定してもよい。活性度取得部43は、例えば、温度センサ27の検知する、排気浄化触媒層21の温度に基づいて、排気浄化触媒の活性度を判定してもよい。なお、温度センサ27の検知する排気浄化触媒層21の温度は、排気浄化触媒層21が担持する排気浄化触媒の温度として取り扱うことができる。また、活性度取得部43は、排気センサ25,26の検知する排気浄化触媒層21の入口および出口の排気中の浄化対象成分(例えば、NOxやHC等)の成分量に基づいて、排気浄化触媒の活性度を判定してもよい。
排気浄化触媒の活性度は、触媒温度に依存する。排気浄化触媒の温度が活性温度に達していないと、内燃機関10の始動が阻害される場合や、排気浄化システム20による排気の浄化が不十分になる場合がある。
排気浄化触媒の活性度は、例えば、排気浄化触媒のNOx浄化能力(触媒の有する最大浄化能力を100%とする指標)を用いて評価することができる。図2に示すように、排気浄化触媒のNOx浄化能力は、触媒温度Tに依存し、触媒温度が300〜400℃程度の温度範囲において、急激に上昇する。ここで、NOx浄化能力が95%となる温度を全活性温度Taとし、50%となる温度を半活性温度Tsとする。排気浄化触媒の活性度は、触媒温度Tに依存して変化し、T<Tsの場合には未活性、Ts≦T<Taの場合には半活性、T≧Taの場合には全活性と評価できる。
なお、排気浄化触媒のNOx浄化能力は、排気浄化触媒の活性度の指標の一例であり、排気に含まれる他の浄化対象成分(例えば、炭化水素成分、CO等)の浄化能力を排気浄化触媒の活性度の指標として用いてもよい。
加熱制御部42は、温度センサ27の検知値と全活性温度Taとの温度差に基づいて、排気浄化触媒の触媒温度Tが全活性温度Taに到達するまでに必要なエネルギーを不足エネルギーEとして算出し、不足エネルギーEの大きさに基づいて、EHC23に通電してもよい。または、加熱制御部42は、排気浄化触媒の活性度が半活性または未活性である場合には、所定の出力でEHC23に通電し、全活性の場合には、通電しないようにしてもよい。
加熱制御部42は、排気浄化触媒の活性度に加えて、別の指標を用いてEHC23に通電するか否かを決定してもよい。例えば、高電圧バッテリ38を保護するために、外気温や電池容量(SOC)が所定値以上の場合にのみ、EHC23に通電してもよい。
算出部44は、内燃機関10の始動要求があった場合に、活性度取得部43が取得した排気浄化触媒の活性度に基づいて、内燃機関10の排気熱量の追加量を算出する。ここで、排気熱量の追加量とは、内燃機関10の通常の運転条件において発生する排気熱量に対して上乗せさせる排気熱量である。排気熱量を追加しない場合には、排気による排気浄化触媒の温度上昇が顕在化しない。算出部44は、排気浄化触媒の活性度の上昇に応じて排気熱量の追加量を小さくすることが好ましい。また、排気浄化触媒の活性度が高いほど不足エネルギーEは小さくなる。このため、不足エネルギーEが小さくなるほど排気熱量の追加量を小さくすることが好ましい。
一方で、内燃機関10の排気熱量の追加量が大き過ぎる場合には、内燃機関10の駆動に支障を来す場合がある。このため、図3に示すように、不足エネルギーがEsを超える未活性の領域では、排気熱量の追加量は内燃機関10について許容される最大値Wmaxに設定することが好ましい。なお、Esは、触媒温度が半活性温度Tsのときの不足エネルギーを示している。また、許容される排気熱量の最大値Wmaxは、内燃機関10の燃費や、内燃機関10や排気浄化触媒層21の出口ガス中の排気中のエミッション量が悪化し過ぎない値である。
また、不足エネルギーがEs以下の正の値である半活性の領域では、活性度または不足エネルギーEの変化に応じて排気熱量の追加量を変化させることが好ましい。排気熱量の追加量は、活性度または不足エネルギーEの変化に追随して変化するものであってもよいし、活性度または不足エネルギーEに対して多段階に設けた複数の閾値を超えるごとにステップ状に変化するものであってもよい。
さらには、算出部44は、活性度に加えて、車両の速度や加速度に基づいて、排気熱量の追加量を算出してもよい。具体的には、車速センサ52やアクセルセンサ53の検知値に基づいて、排気熱量の追加量を算出してもよい。例えば、算出部44は、不足エネルギーEと、排気浄化触媒層21からの放熱エネルギーとに基づいて排気熱量の追加量を算出してもよい。図4に示すように、排気浄化触媒層21からの放熱エネルギーは、車速が大きくなるほど大きくなり、排気浄化触媒の温度が高くなるほど大きくなる。算出部44は、車速センサ52によって検知される車速と、温度センサ27を用いて算出した排気浄化触媒の温度に基づいて、放熱エネルギーを算出することができる。
また、算出部44は、内燃機関10からの排気に含まれる浄化対象成分量に基づいて、排気熱量の追加量を算出してもよい。例えば、図5(a)(b)に示すように、排気熱量と車両の加速度によって、排気中の炭化水素(HC)成分量が変化する。なお、図5(a)には、内燃機関10から排出される排気中のHC成分量が実線の等高線(矢印方向ほど成分量が多い)で示されており、図5(b)には、排気浄化触媒層21の出口の排気中のHC成分量が実線の等高線(矢印方向ほど成分量が多い)で示されている。図5(b)に点線で示す等高線は、図5(a)に示すHC成分量の等高線である。また、図5(b)の直線L1は、排気熱量の追加量が0となるラインを示しており、直線L2は、排気熱量の追加量の最大値(図3に示すWmax)を示している。
図5(a)に示すように、排気熱量が大きくなるほど、内燃機関10から排出される排気中のHC成分量が増大する。また、図5(b)に示すように、車両の加速度が大きくなるほど、排気浄化触媒層21の出口の排気中のHC成分量が増大する。車両の加速度は、車両のアクセル開度に比例するため、算出部44は、アクセルセンサ53の検知値に基づいて、HC成分量が少なくなる領域内で排気熱量の追加量を算出することが好ましい。
直線L1より排気熱量が小さくなると、排気によって排気浄化触媒を加熱することができない。また、直線L2よりも排気熱量が大きくなると、燃費が悪化し過ぎたり、排気中のHC量が大きくなり過ぎたりする。このため、排気熱量が、直線L1と直線L2とに挟まれた領域となるように、排気熱量の追加量を算出することが好ましい。具体的には、例えば、排気浄化触媒の活性度が未活性である場合には、加速度に対して、直線L2上にある排気熱量となるように、その追加量を算出することが好ましい。また、例えば、排気浄化触媒の活性度が半活性である場合には、加速度に対して、直線L1と直線L2とに挟まれた領域内となるように全排気熱量(追加量を含む)を設定し、排気浄化触媒が加熱されて活性度が全活性に近づくに従って、直線L2から直線L1に向かって全排気熱量を小さくすることが好ましい。
駆動制御部41は、算出部44が算出した排気熱量の追加量に基づいて、内燃機関10の排気熱量を追加する制御を行う。例えば、内燃機関10の点火遅角量、内燃機関10のアイドリング時における目標回転数、要求発電量を通常の制御値よりも増大させることによって、排気熱量を追加することができる。
以下、図6を用いて、制御装置40が実行する排気浄化システム20の制御方法を説明する。この制御方法は、排気浄化触媒の活性度を取得する活性度取得ステップ(ステップS103)と、車両の起動操作が行われることを条件として、排気浄化触媒の活性度に基づいて電気加熱装置によって排気浄化触媒を加熱する加熱制御ステップ(ステップS101,S104〜S106)と、内燃機関10の始動要求があることを条件として、排気浄化触媒の前記活性度に基づいて内燃機関10の排気熱量の追加量を算出する算出ステップ(ステップS107〜ステップS110)と、算出した排気熱量の追加量に基づいて、内燃機関10の排気熱量を制御する駆動制御ステップ(ステップS111)と、を含む。
まず、ステップS101では、車両が起動状態にあるか否かについて判定される。例えば、車両がReady−ON状態である場合に、車両が起動状態であると判定される。車両が起動状態である場合には、ステップS102に進む。車両が起動状態でない場合には、処理を終了する。
ステップS102では、外気温および高電圧バッテリ38のSOCの値を参照し、EHC23に通電可能か否かについて判定される。例えば、外気温が所定温度以上かつSOCが所定値以上である場合に、EHC23に通電可能であると判定する。通電可能と判定された場合には、ステップS103に進む。通電不能と判定された場合には、処理を終了する。
ステップS103では、排気浄化触媒の活性度が取得され、ステップS104に進む。排気浄化触媒の活性度は、例えば、温度センサ27の検知する排気浄化触媒層21の温度に基づいて得られるものであってもよいし、排気センサ25,26の検知する排ガス中の浄化対象成分量に基づいて得られるものであってもよい。
ステップS104では、排気浄化触媒の触媒温度Tが全活性温度Taに到達するまでに必要なエネルギーが不足エネルギーEとして算出され、ステップS105に進む。例えば、排気浄化触媒の実際の温度(例えば、ステップS104の時点での温度T1)と、全活性温度Taとの温度差ΔT(例えば、ΔT=Ta−T1)を用いて、不足エネルギーEが算出される。
ステップS105では、EHC23に通電して排気浄化触媒を加熱する必要があるか否かについて判定される。E>0である場合には、排気浄化触媒の加熱は必要であると判定され、ステップS106に進み、EHC23への通電が実施される。E≦0である場合には、排気浄化触媒の加熱は不要であると判定され、処理を終了する。
ステップS106の実行後には、ステップS107に進む。ステップS107では、内燃機関10が起動状態であるか否かについて判定される。内燃機関10が駆動している場合には、ステップS108に進み、不足エネルギーEfが算出される。内燃機関10が駆動していない場合には、ステップS112に進み、EHC23による排気浄化触媒の加熱が継続される。
不足エネルギーEfは、ステップS104で算出した不足エネルギーEと同様の方法によって算出することができる。例えば、排気浄化触媒の実際の温度(例えば、ステップS108の時点での温度T2)と、全活性温度Taとの温度差ΔT(例えば、ΔT=Ta−T2)を用いて、不足エネルギーEfを算出してもよい。ステップS108において不足エネルギーEfが再算出された後、ステップS109に進む。
ステップS109では、排気熱量を追加して排気浄化触媒を加熱する必要があるか否かについて判定される。具体的には、不足エネルギーEfについて、Ef>0である場合には、排気熱量の追加は必要であると判定され、ステップS110に進む。Ef≦0である場合には、排気熱量の追加は不要であると判定され、ステップS112に進む。
ステップS110では、内燃機関10の排気熱量の追加量が算出される。排気熱量の追加量は、不足エネルギーEfの関数として算出される。例えば、図3に示すように、Ef>Esの場合(未活性の場合)には、排気熱量の追加量は内燃機関10の最大設定値Wmax(例えば、図5の直線L2に相当する値)としてもよい。また、0<Ef≦Esの場合(半活性の場合)には、Efの減少に従い変化量が小さくなる曲線を描いて減少するように排気熱量の追加量が算出されてもよい。ステップS110の後、ステップS111では、算出された追加量に基づいて排気熱量を追加する制御が行われ、さらに、ステップS112に進む。
ステップS112では、ステップS104の時点から現時点までに排気浄化触媒の加熱に投入されたエネルギー(投入エネルギー)Ehが算出される。投入エネルギーEhは、例えば、高電圧バッテリ38からEHC23に供給した電力と、内燃機関10からの排気温度の経時変化とに基づいて算出されてもよい。また、投入エネルギーEhは、例えば、排気浄化触媒の比熱と、ステップS112の時点での排気浄化触媒の温度T3と、ステップS104の時点での排気浄化触媒の温度T1との差:T3−T1に基づいて算出されてもよい。ステップS112の実行後、ステップS113に進む。
ステップS113では、排気浄化触媒の加熱が完了しているか否かについて判定される。具体的には、ステップS103で算出された不足エネルギーEと、ステップS112で算出された投入エネルギーEhとの大小が比較される。そして、Eh<Eである場合には、ステップS101に戻り、Eh≧Eである場合には、処理が終了される。ステップS112,S113の処理に替えて、ステップS112の前の時点での排気浄化触媒の活性度が全活性であるか否かによって、排気浄化触媒の加熱が完了しているか否かについて判定されてもよい。具体的には、例えば、ステップS112の前の時点での排気浄化触媒の温度T3を取得し、T3<Taである場合には、ステップS101に戻り、T3≧Taである場合には、処理が終了されてもよい。
上記の制御によって実現される排気浄化システム20の挙動について、図7〜図9のタイムチャートを参照して説明する。図7〜図9のタイムチャートでは、横軸は時間軸を示し、縦軸は、それぞれ図の上方から順に、車速、車両の起動状態、EHCの通電状態、排気浄化触媒層21の温度、不足エネルギーE、EHC印加電圧、排気浄化触媒の活性度、排気熱量、排気熱量追加の有無、アクセル開度を示している。図7〜図9は、それぞれ、内燃機関10の始動要求があったときの排気浄化触媒の活性度が未活性、半活性、全活性の場合を示している。
図7に示すように、時刻t1において車両が起動状態となったため、不足エネルギーEが算出される。その結果、排気浄化触媒が未活性であり加熱が必要であると判定され、EHC23への通電が実施される。EHC23への通電が継続され、排気浄化触媒層21の温度が時間とともに上昇する。
時刻t2において、アクセルオンされ、内燃機関10の始動が要求されたため、不足エネルギーが算出される。その結果、排気浄化触媒が未活性であると判定され、排気熱量の追加量は内燃機関10について許容される最大値Wmaxに設定される。なお、図7の排気熱量について、時刻t2〜t4に破線は、排気熱量の追加量が0である場合を示しており、実線と破線との差が排気熱量の追加量に相当する。また、アクセルオンされている期間中、車速が上昇する。
EHC23と内燃機関10からの排気との双方からの加熱によって、排気浄化触媒層21の温度が上昇し、時刻t3において半活性温度Tsに到達したため、不足エネルギーが略線形に減少するのに応じて、内燃機関10の排気熱量の追加量は略線形に減少する。排気浄化触媒層21の温度がさらに上昇し、時刻t4において全活性温度Taに到達する。時刻t4において、不足エネルギーが0に到達しており、内燃機関10の排気熱量の追加は停止され、EHC23への通電が停止される。また、時刻t4において、アクセルオフされ、車速は一定となる。
図8に示すように、時刻t11において車両が起動状態となったため、不足エネルギーEが算出される。その結果、排気浄化触媒が未活性であり加熱が必要であると判定され、EHC23への通電が実施される。EHC23への通電が継続され、排気浄化触媒層21の温度が時間とともに上昇する。
時刻t12において、アクセルオンされ、内燃機関10の始動が要求されたため、不足エネルギーが算出される。その結果、排気浄化触媒が未活性であると判定され、排気熱量の追加量は内燃機関10について許容される最大値に設定される。なお、図8の排気熱量について、時刻t12〜t14に破線は、排気熱量の追加量が0である場合を示しており、実線と破線との差が排気熱量の追加量に相当する。また、アクセルオンされている期間中、車速が上昇する。
EHC23と内燃機関10からの排気との双方からの加熱によって、排気浄化触媒層21の温度が上昇し、時刻t12後、直ちに時刻t13において半活性温度Tsに到達したため、不足エネルギーが略線形に減少するのに応じて内燃機関10の排気熱量の追加量は略線形に減少する。排気浄化触媒層21の温度がさらに上昇し、時刻t14において全活性温度Taに到達する。時刻t14において、不足エネルギーが0に到達しており、内燃機関10の排気熱量の追加は停止され、EHC23への通電が停止される。時刻t14から時刻t15までのアクセルオンされている期間中は、内燃機関10は通常の運転条件で運転されており、一定の排気熱量が得られるが、排気熱量の追加量は0であるため、排気浄化触媒の温度は上昇しない。また、時刻t15において、アクセルオフされ、車速は一定となる。
図9に示すように、時刻t21において車両が起動状態となったため、不足エネルギーEが算出される。その結果、排気浄化触媒が未活性であり加熱が必要であると判定され、EHC23への通電が実施される。EHC23への通電が継続され、排気浄化触媒層21の温度が時間とともに上昇する。
EHC23の加熱によって、排気浄化触媒層21の温度が上昇し、時刻t22において半活性温度Tsに到達したため、不足エネルギーの減少に応じて内燃機関10の排気熱量の追加量が減少される。排気浄化触媒層21の温度がさらに上昇し、時刻t23において全活性温度Taに到達する。時刻t24において、不足エネルギーが0に到達しており、EHC23への通電が停止される。
時刻t24において、アクセルオンされ、内燃機関10の始動が要求されたため、不足エネルギーが算出される。その結果、排気浄化触媒が全活性であると判定され、排気熱量を追加することなく、内燃機関10が運転される。時刻t24から時刻t25までのアクセルオンされている期間中は、内燃機関10は通常の運転条件で運転されており、一定の排気熱量が得られるが、排気熱量の追加量は0であるため、排気浄化触媒の温度は上昇しない。時刻t25においてアクセルオフされるまで車速は上昇し、その後、一定車速となる。
上記のとおり、制御装置40によれば、車両の起動操作があったときに、排気浄化触媒の活性度に基づいて速やかにEHC23によって排気浄化触媒が加熱される。また、算出部44は、内燃機関10の始動要求があることを条件として、排気浄化触媒の活性度に基づいて内燃機関10の排気熱量の追加量を算出し、駆動制御部41は、算出された追加量に基づいて、内燃機関10の排気熱量を制御する。このため、排気浄化触媒の活性度に応じて適切にEHC23による加熱量と内燃機関10の排気熱量とを制御することができ、燃料消費を抑制して速やかに排気浄化触媒を加熱することができる。
なお、実施形態では、制御装置40が1つの制御ユニットで構成されている場合を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、制御装置40は、ハイブリッド車全体を総合的に制御するハイブリッドECU、内燃機関10を制御する内燃機関ECU、インバータ37を制御してMG31,32を制御するMG−ECU等の複数の制御ユニットで構成されていてもよい。この場合、ハイブリッドECUが、内燃機関ECUやMG−ECU等との間で制御信号やデータ信号等を送受信して、内燃機関ECUやMG−ECU等によって内燃機関10やMG31,32を制御するようにしてもよい。また、内燃機関ECUとMG−ECUのうちの一方で電源回路24を制御してEHC23の通電電力を制御するようにしてもよいし、電源回路24を制御してEHC23の通電電力を制御する専用のECUを設けるようにしてもよい。