JP2019085849A - 分割支保工の連結構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】一対の分割支保工を連結するための連結構造において、一対の分割支保工における継手板同士を複数箇所で接合する場合に雄型連結部と雌型連結部を誤った組み合わせで連結してしまうことを抑制する。【解決手段】一対の分割支保工が連結される際に互いに当接される第1天端継手板および第2天端継手板と、第1天端継手板に横幅方向に並列して凹設された第1および第2雌型連結部と、第2天端継手板に横幅方向に並列して凸設された第1および第2雄型連結部とを備え、第1天端継手板において第1雌型連結部および第2雌型連結部の中心同士が当該第1天端継手板の上下方向に所定の基準偏心距離だけ偏心しており、第2天端継手板において第1雄型連結部および第2雄型連結部の中心同士が当該第2天端継手板の上下方向に基準偏心距離だけ偏心している。【選択図】図14

Description

本発明は、分割支保工の連結構造に関する。
トンネルを構築する工法として、NATM工法(New Austrian Tunneling Method)が知
られている。NATM工法は、地山が有する支保能力、強度を有効に利用してトンネルの安定を保つという考え方のもとに、吹付けコンクリート、ロックボルト、鋼製支保工を適宜に用いて、地山と一体化したトンネル構造物を建設する工法である。
NATM工法においてトンネルを構築する際に、アーチ状の鋼製支保工を設置する場合、通常、以下に説明する手順により行われている。まず、切羽の近傍に吹付け機をセットして、切羽にコンクリートを一次吹き付けし、これが完了すると、吹付け機を退出させる。次いで、切羽近傍に支保工を建て込むエレクタを備えた作業車を配置し、エレクタによりアーチ状の鋼製支保工を切羽近傍のトンネル坑壁に建て込み、これが完了すると作業車を退出させる。次に、切羽に吹付け機を再び配置し、建て込まれたトンネル支保工を埋め込むようにして、コンクリートの二次吹付けを行い、吹付け機を退出させる。
鋼製支保工の建て込みに際しては、主にエレクタ装置やドリルジャンボ等といった重機のブーム先端に付設されたハンドによって、円弧状に分割された左右一対の分割支保工を把持して建て込み作業を行った後、左右の分割支保工の天端に設けられている継手板同士を突き合わせてボルト接合することでアーチ状に建て込む方法が一般的であるが、かかるボルト接合は人手作業となっているのが実情である。すなわち、ボルト接合を用いる分割支保工の連結構造においては、左右の分割支保工に設けられた継手板同士を当接させた状態で、切羽近傍に組まれた作業足場や重機のブームに設けられたマンケージ等に人員を配置して、トンネル天端付近まで人員を移動させ、その天端付近に位置する分割支保工の継手板同士にボルトを挿通し、かかるボルトをナットにて締結するといった人手による連結作業を行う必要があった。
これに対して、近年では、左右における一方の鋼製支保工における継手板に凸型連結部を設けると共に、他方の鋼製支保工における継手板に凹型連結部を設け、鋼製支保工を把持する重機のハンドを相対移動させて凹型連結部に凸型連結部を係合させることで一対の鋼製支保工をアーチ状に連結することを可能にした鋼製支保工の連結構造も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2017−115446号公報 特開2017−106272号公報 特開2000−45695号公報
ところで、一対の鋼製支保工における継手板同士を接合する際、継手板相互の応力伝達を確実なものとするために、継手板同士を複数箇所で接合する必要がある。例えば、特許文献1に記載された鋼製支保工の連結構造においては、それぞれの継手板に凸型連結部と凹型連結部を一組ずつ配置している。しかしながら、重機のハンド操作を高精度で行うことは容易ではなく、一対の鋼製支保工における継手板同士を複数箇所で接合する場合、凸
型連結部と凹型連結部を誤った組み合わせで連結してしまう虞があった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、一対の分割支保工を連結するための連結構造において、一対の分割支保工における継手板同士を複数箇所で接合する場合に雄型連結部と雌型連結部を誤った組み合わせで連結してしまうことを抑制する技術を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、トンネル坑壁に沿って建て込まれるアーチ状のトンネル支保工を形成する、弧状に分割された一対の分割支保工を連結するための連結構造であって、第1天端継手板の横幅方向に並列して凹設された第1雌型連結部および第2雌型連結部の中心同士を、当該第1天端継手板の上下方向に所定の基準偏心距離だけ偏心させ、第2天端継手板の横幅方向に並列して凸設された第1雄型連結部および第2雄型連結部の中心同士を当該第2天端継手板の上下方向に上記基準偏心距離だけ偏心させることで、雌型連結部および雄型連結部の誤連結を抑制するようにした。
より詳しくは、本発明は、トンネル坑壁に沿って建て込まれるアーチ状のトンネル支保工を形成する、弧状に分割された一対の分割支保工を連結するための連結構造であって、前記一対の分割支保工の天端部にそれぞれ設けられ、当該一対の分割支保工が連結される際に互いに当接される第1天端継手板および第2天端継手板と、前記第1天端継手板に、当該第1天端継手板の横幅方向に並列して凹設された第1雌型連結部および第2雌型連結部と、前記第2天端継手板に、当該第2天端継手板の横幅方向に並列して凸設された第1雄型連結部および第2雄型連結部と、を備え、前記第1天端継手板および前記第2天端継手板は、前記第1雌型連結部に前記第1雄型連結部が連結され、且つ前記第2雌型連結部に前記第2雄型連結部が連結されることによって所定の正規当接状態で接合され、前記第1天端継手板において、前記第1雌型連結部および前記第2雌型連結部の中心同士が、当該第1天端継手板の上下方向に所定の基準偏心距離だけ偏心しており、前記第2天端継手板において、前記第1雄型連結部および前記第2雄型連結部の中心同士が当該第2天端継手板の上下方向に前記基準偏心距離だけ偏心している。
本発明によれば、一対の分割支保工における継手板同士を複数箇所で接合する場合に、雄型連結部と雌型連結部を誤った組み合わせで連結してしまうことを抑制することができる。
また、本発明において、前記第1天端継手板の上縁には、当該第1天端継手板の外面から垂直方向に離反する方向に向けて上縁邪魔板が突設されており、前記一対の分割支保工の連結時に、前記第2天端継手板の上縁が前記上縁邪魔板と当接した際に、前記第1雌型連結部および前記第2雄型連結部の中心同士が前記第1天端継手板および前記第2天端継手板の上下方向に前記基準偏心距離だけ偏心することで、前記第1雌型連結部に対する前記第2雄型連結部の誤連結が抑制されるように構成されていてもよい。
また、本発明において、前記上縁邪魔板は、前記一対の分割支保工の連結時に、前記第2天端継手板の上縁が当接することで、前記第1雌型連結部に対する前記第1雄型連結部の高さ位置と、前記第2雌型連結部に対する前記第2雄型連結部の高さ位置を合致させるガイド部を兼ねていてもよい。
また、本発明において、前記上縁邪魔板は、前記第1天端継手板の上縁における横幅方向中央部よりも前記第1雌型連結部側に位置する側縁に近い領域に設けられていてもよい。
また、本発明において、前記第1天端継手板の前記第2雌型連結部側に位置する側縁には、当該第1天端継手板の外面から垂直方向に離反する方向に向けて側縁ガイド板が突設されており、前記一対の分割支保工の連結時に、前記第2天端継手板の前記第2雄型連結部側に位置する側縁が前記側縁ガイド板と当接することで、前記第1雌型連結部に対する前記第1雄型連結部の横位置と、前記第2雌型連結部に対する前記第2雄型連結部の横位置が合わせられるように構成されていてもよい。
また、本発明において、前記第1雄型連結部および前記第2雄型連結部の各々は、前記第2天端継手板から突出する棒状の雄型係止部材を有し、前記第1雌型連結部および前記第2雌型連結部の各々は、前記第1天端継手板に貫通形成される開口孔と、前記開口孔と連通すると共に前記雄型係止部材を挿入可能な挿入口が開口形成される収納室を内部に有するケーシングと、を含み、前記挿入口から前記収納室内へ挿入された前記雄型係止部材を係止するように構成されていてもよい。
本発明によれば、一対の分割支保工を連結するための連結構造において、一対の分割支保工における継手板同士を複数箇所で接合する場合に雄型連結部と雌型連結部を誤った組み合わせで連結してしまうことを抑制する技術を提供できる。
図1は、実施形態1に係るトンネル支保工の側面図である。 図2は、実施形態1に係るトンネル支保構造を説明する図である。 図3は、実施形態1に係るトンネル支保工の建て込みシステムの概略構成図である。 図4は、実施形態1に係る作業車の上面図である。 図5は、実施形態1に係る作業車の側面図である。 図6は、実施形態1に係るトンネル支保工へのターゲットの取付け位置を示す図である。 図7は、実施形態1に係るターゲットを示す図である。 図8Aは、実施形態1に係る第1天端継手板の正面図である。 図8Bは、実施形態1に係る第1天端継手板の背面図である。 図8Cは、実施形態1に係る第1天端継手板の側面図である。 図9Aは、実施形態1に係る第2天端継手板の正面図である。 図9Bは、実施形態1に係る第2天端継手板の背面図である。 図9Cは、実施形態1に係る第2天端継手板の側面図である。 図10は、実施形態1に係る左側分割支保工および右側分割支保工を連結する連結構造を示す概略図である。 図11は、図10におけるX−X矢視断面図である。 図12Aは、実施形態1に係る第1天端継手板および第2天端継手板を接合する状況を説明する図である。 図12Bは、実施形態1に係る第1天端継手板および第2天端継手板を接合する状況を説明する図である。 図12Cは、実施形態1に係る第1天端継手板および第2天端継手板を接合する状況を説明する図である。 図13は、実施形態1に係る雌型連結部と雄型連結部を連結した状態を示す図である。 図14は、実施形態1に係る第1天端継手板における第1雌型連結部に対する第2天端継手板における第2雄型連結部の誤連結を抑止している状況を説明する図である。 図15は、実施形態1の変形例に係る連結構造を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るトンネル支保工10の側面図である。トンネル支保工10は、トンネル掘削に伴い露出する地山の崩落防止のために、掘削直後の坑壁に沿って建て込まれるアーチ状の鋼製支保工であり、トンネル軸方向に沿って一定間隔毎に設置される。本実施形態におけるトンネル支保工10は、H形断面を有するH形鋼によって形成されている。より詳しくは、トンネル支保工10は、一対の円弧状の分割支保工10L,10Rの天端部(上端部)同士を一体に連結することでアーチ状に形成されている。以下、分割支保工10Lを「左側分割支保工」と呼び、分割支保工10Rを「右側分割支保工」と呼ぶ。
左側分割支保工10Lは、第1本体部111、第1天端継手板121、第1底板131を有する。第1本体部111は、ウェブ111a、当該ウェブ111aに直交する一対の地山側フランジ111bおよび内空側フランジ111cから構成されるH形鋼である。また、第1本体部111における一端には第1天端継手板121が溶接され、他端には第1底板131が溶接されている。第1天端継手板121および第1底板131は四角形の鋼製平板であり、第1本体部111のH形断面に対して直交方向に延在している。右側分割支保工10Rについても同様に、第2本体部112、第2天端継手板122、第2底板132を有する。第2本体部112は、ウェブ112a、当該ウェブ112aに直交する一対の地山側フランジ112bおよび内空側フランジ112cから構成されるH形鋼である。また、第2本体部112における一端には第2天端継手板122が溶接され、他端には第2底板132が溶接されている。第2天端継手板122、第2底板132は四角形の鋼製平板であり、第2本体部112のH形断面に対して直交方向に延在している。本実施形態では、第1天端継手板121および第2天端継手板122は合同の正方形平面を有している。図1に示すように、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rは、第1天端継手板121および第2天端継手板122が互いに突き合わされた状態で連結されている。
図2は、実施形態1に係るトンネル支保構造1を説明する図である。図2における符号3は、一次吹付けコンクリート層である。また、符号6は、二次吹付けコンクリート層である。なお、図2には、トンネル支保工10の右側分割支保工10Rが図示されている。本実施形態のトンネル構築方法において、切羽8の掘削によってトンネルTの側面に地山7が露出した後、この地山7に対して一次コンクリートの吹付け施工が行われることで、一次吹付けコンクリート層3が形成される。その後、トンネル坑壁面に沿って一次吹付けコンクリート層3の内空側に上述したアーチ状のトンネル支保工10が建て込まれる。トンネル支保工10は、トンネルTの坑口側に位置する既設のトンネル支保工10に対して、切羽8側に隣接し、トンネルTの軸方向に所定の間隔(例えば、1.0m〜1.5m程度)で配列される。トンネル支保工10の建て込みは、一対のブーム先端に取り付けられたハンドを備えたエレクタ装置を用いて行われる。以下、トンネル支保工10の建て込み方法について詳しく説明する。
図3は、実施形態1に係るトンネル支保工10の建て込みシステムSの概略構成図である。図中、符号100はトンネル支保工10の建て込みを行うエレクタ装置、符号200はエレクタ装置100を搭載すると共に自走可能な作業車(重機)である。符号300はレーザ光による測距・測角儀(測量機)である自動追尾型トータルステーション、符号400はトータルステーション300を制御するトータルステーションコントローラ、符号500はトータルステーションコントローラ400と無線による送受信を可能とするトー
タルステーション側アンテナである。
エレクタ装置100は、操縦席に搭載されたディスプレイ装置であるモニタ101、エレクタコントローラ102、エレクタ側アンテナ103、操作盤104、キーボード105、ポンティングデバイス106等を有する。
トータルステーション300は、レーザ光を照射してプリズム等を含むターゲット9を自動追尾し、その測距・測角を行うことで、ターゲット9の位置を測定(測量)する測量機であり、トンネルT内において座標が既知の地点(座標既知地点)に設置される。本実施形態では、切羽8に建て込むトンネル支保工10(左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10R)にターゲット9を取り付け、トンネル支保工10(左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10R)の移動に伴いターゲット9を自動追尾することから、そのようなターゲットの自動追尾、および視準に障害が無いところを選んで設置するとよい。例えば、トンネル床面に設置しても良いし、天井部に架台を架設して、トータルステーション300を架台上に設置しても良い。
トータルステーションコントローラ400は、例えば携帯可能なコンピュータを含んで構成されている。トータルステーションコントローラ400は、コンピュータに組み込まれたソフトウェアによってトータルステーション300の各種の機構を自動制御すると共に、トータルステーション300の測量データを処理する。更に、トータルステーションコントローラ400は、エレクタコントローラ102側との無線通信によりデータの送受信が可能であり、且つ、エレクタコントローラ102側からの指令によりトータルステーション300の各種の機構を無線遠隔操作することが可能である。
図4は、実施形態1に係る作業車200の上面図である。図5は、実施形態1に係る作業車200の側面図である。作業車200は、エレクタ装置100および吹付け装置600を備えている。エレクタ装置100は、同一構成の一対のブーム17L,17Rを備えている。一対のブーム17L,17Rは、これらに付設される駆動機構の作動によって伸縮動作、傾動動作、揺動動作、回動動作が自在である。また、各ブーム17L,17Rの先端には、同一構成の一対のハンド18L,18Rが連結されている。一対のハンド18L,18Rは、これらに付設される駆動機構の作動によって回転動作および揺動動作が自在であり、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rをそれぞれ着脱自在に挟圧把持(保持)することができる。
以下では、符号17Lで示すブームを「左側ブーム」と呼び、符号17Rで示すブームを「右側ブーム」と呼ぶ。また、符号18Lで示すハンドを「左側ハンド」と呼び、符号18Rで示すハンドを「右側ハンド」と呼ぶ。エレクタ装置100は、左側ハンド18Lに左側分割支保工10Lを着脱自在に把持し、右側ハンド18Rに右側分割支保工10Rを着脱自在に把持することができる。本実施形態において、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rは、アーチ状のトンネル支保工10が2分割された一対の支保材であり、切羽8の近傍に誘導された後、これらを切羽8で組み立ててアーチ状のトンネル支保工10を形成する。
図6は、実施形態1に係るトンネル支保工へのターゲットの取付け位置を示す図である。図6に示すように、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rは左右対称な円弧状である。ここで、左側分割支保工10Lは、その上端部と下端部にそれぞれ第1ターゲット9aと第2ターゲット9bが取り付けられる。また、右側分割支保工10Rは、その上端部と下端部にそれぞれ第3ターゲット9cと第4ターゲット9dが取り付けられる。ここで、第1ターゲット9a〜第4ターゲット9dを「ターゲット9」と総称する。図7は、実施形態1に係るターゲット9を示す図である。ターゲット9は、ホルダ91の基
端部に設けられた磁石92と、ホルダ91の先端に設けられたプリズム93を有する。左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rは鋼製であるため、ホルダ91に設けられた磁石92の磁力によって左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rに対してターゲット9を着脱自在に取り付けることができる。
また、図7に示す例では、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの内空側フランジ111c,112cにターゲット9が取り付けられるようになっている。本実施形態では、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの内空側フランジ111c,112cに、各ターゲット9を取り付ける際の目印が予めペンキ等で標示されている。また、各ターゲット9は、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの内空側フランジ111c,112cに取り付けた状態において、その取付け面からプリズム93中心までの高さHpは一定である。
次に、図4および図5を参照して吹付け装置600について説明する。吹付け装置600は、左側ブーム17Lおよび右側ブーム17Rの間に配設されており、アーム601と、アーム601に支持される吹付けロボット602と、吹付けロボット602の先端側に設けられる吹付けノズル603等を備えている。アーム601は、伸縮動作、傾動動作等が可能である。また、吹付けロボット602は、吹付けノズル603の傾動動作、回動動作等が可能である。その他、吹付け装置600は、コンクリートポンプ、急結剤供給装置、コンプレッサ、高圧水ポンプ等を備えている。吹付けロボット602は、コンクリートポンプから供給された吹付けコンクリートを吹付けノズル603から吐出させることで、吹付けコンクリートを切羽8に吹付けることができる。
次に、本実施形態におけるトンネル支保工10の建て込み方法について説明する。NATM工法は、(1)切羽8を発破又は機械によって掘削→(2)ズリの搬出→(3)一次吹付けコンクリートの吹付け→(4)トンネル支保工の建て込み→(5)二次吹付けコンクリートの吹付け→(6)ロックボルトの打設を1サイクルとして繰り返すことで、トンネルTを軸方向に延伸させる工法である。本実施形態では、(2)ズリの搬出工程が終了した後、エレクタ装置100を搭載した作業車200を切羽8近傍に配置する(エレクタ配置工程)。その際、エレクタ装置100の各ハンド18L,18Rには、それぞれ左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを、トンネル軸(トンネル延伸方向)に沿って把持した状態で作業車200を自走させ、切羽8近傍に配置する。そして、これから左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを建て込む地山7(トンネル坑壁面)に、吹付け装置600を用いて一次吹付けコンクリートを吹付けることで一次吹付けコンクリート層3を形成する。
次に、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを各ハンド18L,18Rに把持しつつ当該各ハンド18L,18Rを駆動することで左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを天端部同士で相互に連結する(支保工連結工程)。以下、トンネル支保工10(左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10R)の連結構造について説明する。
図8Aは、第1天端継手板121の正面図である。図8Bは、第1天端継手板121の背面図である。図8Cは、第1天端継手板121の側面図である。ここで、符号121aは、第1天端継手板121の外面、符号121bは第1天端継手板12Lの内面である。符号121cは第1天端継手板121の上縁、符号121dは第1天端継手板121の下縁、符号121eは第1天端継手板121の第1側縁、符号121fは第1天端継手板121の第2側縁である。ここで、第1天端継手板121の下縁121dは、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rが連結される際にトンネルTの内空側に対向し、上縁121cはその反対側、すなわち地山7側に対向する。また、第1天端継手板121の
第2側縁121fは、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rが連結される際にトンネルTの切羽8側に対向し、第1側縁121eはその反対側、すなわち作業車200(エレクタ装置100)側に対向する。
図8Bにおいて、第1天端継手板121に接続される第1本体部111の端部形状を破線で示す。また、図8Aおよび図8Bに、第1天端継手板121の上下方向(高さ方向)および横幅方向を図示する。第1天端継手板121の上下方向は、第1側縁121eおよび第2側縁121fの延伸方向と平行であり、且つ、第1本体部111が第1天端継手板121と連結する位置におけるウェブ111aの延伸方向と平行である。また、第1天端継手板121の横幅方向は上縁121cおよび下縁121dの延伸方向と平行であり、且つ、第1本体部111が第1天端継手板121と連結する位置における地山側フランジ111bおよび内空側フランジ111cの延伸方向と平行である。
図9Aは、第2天端継手板122の正面図である。図9Bは、第2天端継手板122の背面図である。図9Cは、第2天端継手板122の側面図である。ここで、符号122aは、第2天端継手板122の外面、符号122bは第2天端継手板122の内面である。また、符号122cは第2天端継手板122の上縁、符号122dは第2天端継手板122の下縁、符号122eは第2天端継手板122の第1側縁、符号122fは第2天端継手板122の第2側縁である。ここで、第2天端継手板122の下縁122dは、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rが連結される際にトンネルTの内空側に対向し、上縁122cはその反対側、すなわち地山7側に対向する。また、第2天端継手板122の第2側縁122fは、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rが連結される際にトンネルTの切羽8側に対向し、第1側縁122eはその反対側、すなわち作業車200(エレクタ装置100)側に対向する。
図9Bにおいて、第2天端継手板122に接続される第2本体部112の端部形状を破線で示す。また、図9Aおよび図9Bに、第2天端継手板122の上下方向および横幅方向を図示する。第2天端継手板122の上下方向は第1側縁122eおよび第2側縁122fの延伸方向と平行であり、且つ、第2本体部112が第2天端継手板122と連結する位置におけるウェブ112aの延伸方向と平行である。また、第2天端継手板122の横幅方向は上縁122cおよび下縁122dの延伸方向と平行であり、且つ、第2本体部112が第2天端継手板122と連結する位置における地山側フランジ112bおよび内空側フランジ112cの延伸方向と平行である。
図8Aおよび図8Bに示すように、第1天端継手板121は略正方形の平面形状を有している。また、図9Aおよび図9Bに示すように、第2天端継手板122も、第1天端継手板121と同様、略正方形の平面形状を有している。そして、第1天端継手板121および第2天端継手板122の上下寸法が互いに等しく、且つ、横幅寸法が互いに等しい。より詳しくは、第1天端継手板121および第2天端継手板122は、それぞれ上縁121c,122c同士、下縁121d,122d同士、第1側縁121e,122e同士、第2側縁121f,122f同士の寸法が等しい。
第1天端継手板121には、一対の雌型連結部40(第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40B)が第1天端継手板121の横幅方向に並んで凹設されている。また、第2天端継手板122には、一対の雄型連結部50(第1雄型連結部50Aおよび第2雄型連結部50B)が第2天端継手板122の横幅方向に並んで凸設されている。左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを連結する連結構造30は、一対の雌型連結部40(第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40B)および一対の雄型連結部50(第1雄型連結部50Aおよび第2雄型連結部50B)を含んで構成されている。
第1天端継手板121において、第1雌型連結部40Aが第1領域A1に凹設され、第2雌型連結部40Bが第2領域A2に凹設されている。第1領域A1は、第1天端継手板121の平面領域のうち、第1本体部111のウェブ111aを境に第1側縁121e側に位置すると共に、地山側フランジ111b、内空側フランジ111c及びウェブ111aによって囲まれた領域である。第2領域A2は、第1天端継手板121における平面領域のうち、第1本体部111のウェブ111aを境に第2側縁121f側に位置すると共に、地山側フランジ111b、内空側フランジ111c及びウェブ111aによって囲まれた領域である。また、図8Aに示すように、第1雌型連結部40Aは、第1側縁121eの近傍に設けられており、第2雌型連結部40Bは第2側縁121fの近傍に設けられている。
また、第1天端継手板121において、第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40Bの中心同士が、第1天端継手板121の上下方向に所定の基準偏心距離DL1だけ偏心している。言い換えると、第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40Bの中心同士が、第1天端継手板121の上下方向に基準偏心距離DL1ずれている。また、第1天端継手板121の横幅方向における第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40Bの中心間距離は、横幅方向基準距離DW2に設定されている。横幅方向基準距離DW2は、所定の基準偏心距離DL1に比べて相対的に大きな寸法に設定されている。
ここで、図8Aに示す符号CL1は、第1天端継手板121における中心を通り、横幅方向に伸びる中心線である。第1天端継手板121において、第1雌型連結部40Aの中心Cp1は、中心線CL1から上縁121c側に向かって10mm偏心し、第2雌型連結部40Bの中心Cp2は、中心線CL1から下縁121d側に向かって10mm偏心している。すなわち、第1天端継手板121の上下方向において、第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40Bの基準偏心距離DL1は20mmに設定されている。但し、基準偏心距離DL1は20mmに限定されず、変更することができる。
また、第2天端継手板122において、第1雄型連結部50Aが第3領域A3に凸設され、第2雄型連結部50Bが第4領域A4に凸設されている。第3領域A3は、第2天端継手板122における平面領域のうち、第2本体部112のウェブ112aを境にして第1側縁122e側に位置すると共に、地山側フランジ112b、内空側フランジ112c及びウェブ112aによって囲まれた領域である。第4領域A4は、第2天端継手板122の平面領域のうち、第2本体部112のウェブ112aを境にして第2側縁122f側に位置すると共に、地山側フランジ112b、内空側フランジ112c及びウェブ112aによって囲まれた領域である。また、図9Aに示すように、第1雄型連結部50Aは、第1側縁122eの近傍に設けられており、第2雄型連結部50Bは第2側縁122fの近傍に設けられている。
また、第2天端継手板122において、第1雄型連結部50Aおよび第2雄型連結部50Bの中心同士は、第2天端継手板122の上下方向に、第1天端継手板121における第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40Bの上下方向の偏心距離と同じ基準偏心距離DL1だけ偏心している。言い換えると、第1雄型連結部50Aおよび第2雄型連結部50Bの中心同士が、第2天端継手板122の上下方向に基準偏心距離DL1ずれている。ここで、図9Aに示す符号CL2は、第2天端継手板122における中心を通り、横幅方向に伸びる中心線である。第2天端継手板122において、第1雄型連結部50Aの中心Cp3は、中心線CL2から上縁122c側に向かって10mm偏心し、第2雄型連結部50Bの中心Cp4は、中心線CL2から下縁122d側に向かって10mm偏心している。また、第2天端継手板122の横幅方向における第1雄型連結部50Aおよび第2雄型連結部50Bの中心間距離は、第1天端継手板121の横幅方向における第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40Bの中心間距離と等しい横幅方向基準距離DW2
に設定されている。
本実施形態における第1天端継手板121および第2天端継手板122は、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの連結時において、第1雌型連結部40Aに第1雄型連結部50Aが連結され、且つ第2雌型連結部40Bに第2雄型連結部50Bが連結されることで、第1天端継手板121および第2天端継手板122が所定の正規当接状態で相互に接合される。ここでいう正規当接状態とは、第1天端継手板121および第2天端継手板122間の応力伝達が円滑に行われるように外面121a、122a同士が面接触する態様で当接した状態として定義される。第1天端継手板121および第2天端継手板122が正規当接状態で接合された際、第1天端継手板121の上縁121cと第2天端継手板122の上縁122cが互いに重なり、第1天端継手板121の下縁121dと第2天端継手板122の下縁122dが互いに重なる。また、第1天端継手板121の第1側縁121eと第2天端継手板122の第1側縁122eが互いに重なり、第1天端継手板121の第2側縁121fと第2天端継手板122の第2側縁122fが互いに重なる。
更に、本実施形態における第1天端継手板121は、側縁ガイド板1213および上縁ガイド兼用邪魔板1214を有している。図8A〜図8Cに示すように、側縁ガイド板1213および上縁ガイド兼用邪魔板1214はそれぞれ矩形の平板プレート形状を有しており、鋼材によって形成されている。側縁ガイド板1213は、第1天端継手板121の第2雌型連結部40B側に位置する第2側縁121fに対して、溶接などによって取り付けられており、第1天端継手板121の前方に向かって突設されている。なお、本明細書において、第1天端継手板121の「前方」とは、第1天端継手板121の外面121aから垂直方向に離反する方向をいう。また、上縁ガイド兼用邪魔板1214は、第1天端継手板121の上縁121cに対して溶接などによって取り付けられており、第1天端継手板121の前方に向かって突設されている。なお、側縁ガイド板1213は、第1天端継手板121における第2側縁121fのうち、第1天端継手板121の上下方向において中央部近傍に設けられている。また、上縁ガイド兼用邪魔板1214は、第1天端継手板121における上縁121cのうち、第1天端継手板121の横幅方向において中央部よりも、第1雌型連結部40A側に位置する第1側縁121eに近い領域に設けられている。
図10は、実施形態1に係る左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを連結する連結構造30を示す概略図である。図10は、左側分割支保工10Lと右側分割支保工10Rが連結構造30を介して連結される前の状態、即ち、第1天端継手板121と第2天端継手板122が離間した状態を示している。
まず、第2天端継手板122に凸設された一対の雄型連結部50(第1雄型連結部50Aおよび第2雄型連結部50B)について説明する。第2天端継手板122には、一対の雄型連結部50(第1雄型連結部50Aおよび第2雄型連結部50B)が設けられる位置にそれぞれ開口孔1222が穿設されている。また、雄型連結部50は、棒状の雄型係止部材51を有している。雄型係止部材51は、第2天端継手板122の開口孔1222よりも若干小径の軸部材であり、その基端部に雄ネジ51aが刻設されている。また、雄型係止部材51の中間部には環状の鍔部51bが設けられている。また、雄型係止部材51の鍔部51bよりも先端側の部位における外周部には、雄ネジ51cが形成されている。雄型係止部材51の雄ネジ51cは、雄型係止部材51の外周に複数並設された周方向の雄側係止溝である。また、雄型係止部材51の先端部51dには、先端に向かって縮径するテーパ面51eが形成されている。
また、第2天端継手板122の外面122a側における開口孔1222の周囲には、周
囲よりも一段凹んだザグリ部1223が形成されている。雄型係止部材51の鍔部51bは、第2天端継手板122の開口孔1222の径よりも大きい。雄型係止部材51の基端側を、第2天端継手板122の外面122a側から開口孔1222に挿通し、鍔部51bをザグリ部1223に配置した状態で基端部の雄ネジ51aにナット52を螺着する。その結果、雄型係止部材51が第2天端継手板122から突出した状態で、第2天端継手板122に雄型係止部材51を固定することができる。
次に、第1天端継手板121に凹設された一対の雌型連結部40(第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40B)について説明する。第1天端継手板121は、一対の雌型連結部40(第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40B)が設けられる位置にそれぞれ開口孔1212が穿設されており、その内面121bには金属製の円筒状のケーシング41が溶接wpなどによって固定されている。ケーシング41は、その軸心を開口孔1212の略中央部に位置させている。ケーシング41内には、収納室42が形成されている。収納室42の先部(前部)には、その内周面を後端側から先端側にかけて内径が徐々に縮径するテーパ面43aを有するテーパ穴43が形成されている。また、収納室42の中間部にはバネ収納部42aが形成されており、収納室42の後部内周に雌ネジ45が刻設されている。また、テーパ穴43の先端部には、挿入口48が開口形成されている。ケーシング41の前端部に位置する挿入口48は、第1天端継手板121に形成された開口孔1212と略同径で、開口孔1212と連通している。また、ケーシング41が第1天端継手板121に固定された状態で挿入口48が開口孔1212と重なった位置に配置されている。
また、テーパ穴43内には、分割された雌型係止部材46が軸方向に摺動可能に配置されている。本実施形態では、図11に示すように、周方向に3つに分割してなる楔形の雌型係止部材46が、ケーシング41の軸(前後)方向に摺動可能に配設されている。図11は、図10におけるX−X矢視断面図である。ここで、雌型係止部材46の外面は、テーパ穴43におけるテーパ面43aに沿って摺動可能なテーパ面46aとして形成されている。雌型係止部材46のテーパ面46aは、先端側から後方にかけて外径が徐々に拡大している。更に、各雌型係止部材46の内面には、雌ネジ46bが形成されている。雌ネジ46bは、各雌型係止部材46の内面に、複数並設された周方向の雌側係止溝である。雌ネジ46bは、ケーシング41の軸心を中心とする円弧で且つ、軸心に沿った方向に刻設されている。以上より、複数個の雌型係止部材46によって雌ネジ穴が形成され、各雌型係止部材46のテーパ面46aがテーパ穴43のテーパ面43aに沿って後退することにより、その雌ネジ穴が拡径され、前方(先方)へ移動することにより当該雌ネジ穴が縮径するようになる。なお、各雌型係止部材46の内面に形成された雌ネジ46bは、雄型係止部材51の先端側外周部に形成された雄ネジ51cと噛合させることができる。
また、収納室42のバネ収納部42aには、雌型係止部材46を前方(先方)に押圧(弾性付勢)する押圧部材である押圧ばね44が、各雌型係止部材46の後端に設けられるばね受け47と蓋板49との間に圧縮した状態で収納されており、押圧ばね44の押圧力によって各雌型係止部材46を常時前方に押圧している。蓋板49は、収納室42の後部内周側に刻設された雌ネジ45に螺着されることで、押圧ばね44を圧縮した状態に保持することができる。なお、蓋板49の外面には、六角穴49aが設けられており、六角レンチによって蓋板49をケーシング41から着脱自在になっている。
以上のように構成される雌型連結部40および雄型連結部50において、各雌型係止部材46の内面に形成された雌ネジ46bと雄型係止部材51の外周部に形成された雄ネジ51cは、ネジピッチが、JISに規定する細目ネジのピッチよりも小さく形成されている。また、本実施形態の雌型連結部40では各雌型係止部材46の内面に螺旋状の雌ネジ46bを形成したが、雌ネジ46bに代えて、各雌型係止部材46の周方向に伸びる環状
の山部と環状の谷部を交互かつ並行に配置した並行溝を各雌型係止部材46の内面に設けても良い。同様に、雄型連結部50においては、雄型係止部材51の外周部に形成した雄ネジ51cに代えて、雄型係止部材51の周方向に伸びる環状の山部と環状の谷部を交互かつ並行に配置した並行溝を雄型係止部材51の外周面に設けても良い。
次に、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの連結について説明する。左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの連結に際して、まず、エレクタ装置100は、左側ハンド18Lに左側分割支保工10Lを把持し、右側ハンド18Rに右側分割支保工10Rを把持する。次いで、エレクタ装置100は、左側ブーム17Lおよび右側ブーム17Rを適宜伸長および傾動させると共に、左側ハンド18Lおよび右側ハンド18Rを回転させることで、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rをトンネル軸と直交するように移動させる。エレクタ装置100における各ブーム17L,17Rおよび各ハンド18L,18Rの駆動は、操作盤104の操作によって行うことができる。
図12A〜図12Cは、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを連結する際において第1天端継手板121および第2天端継手板122を接合する状況を説明する図である。図12A〜図12Cにおいて、上段に第1天端継手板121および第2天端継手板122の平面的な位置関係を示し、下段に第1天端継手板121および第2天端継手板122の離間位置関係を示す。エレクタ装置100は、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを把持した状態の一対のハンド18L,18Rを相対移動させて、第1天端継手板121と第2天端継手板122を、外面121a,122a同士が接近かつ対峙(対向)した図12Aに示す「天端板接合時初期状態」に配置する。天端板接合時初期状態における第1天端継手板121および第2天端継手板122の平面的な相対位置関係は、トンネル内での高さ方向においては第1天端継手板121の上縁121cよりも第2天端継手板122の上縁122cの方が若干低く(すなわち、第2天端継手板122の方が内空側に位置し)、トンネル軸方向においては第1天端継手板121の第2側縁121fよりも第2天端継手板122の第2側縁122fの方が、若干手前の位置(エレクタ装置100に近い位置)に配置されている。
図12Aに示す天端板接合時初期状態から、図12Bに示すように、第1天端継手板121の上縁121cに第2天端継手板122の上縁122cの高さが一致し、トンネル軸方向において第1天端継手板121の第2側縁121fに第2天端継手板122の第2側縁122fの位置が一致するように、且つ、第1天端継手板121の外面121aと第2天端継手板122の外面122aの離間距離を狭めるように、第1天端継手板121および第2天端継手板122を相対的に接近させてゆく。言い換えると、第1天端継手板121の第1当接領域部1211に第2天端継手板122が重なるように第1天端継手板121および第2天端継手板122を相対的に接近させてゆく。その際、例えば、左側分割支保工10Lを把持する左側ハンド18Lの位置を固定した状態で、右側分割支保工10Rを把持する右側ハンド18Rを駆動することで、第1天端継手板121に対して第2天端継手板122を徐々に接近させてもよい。
上記のように、第1天端継手板121は、第2側縁121fに側縁ガイド板1213が設けられ、上縁121cに上縁ガイド兼用邪魔板1214が設けられている。従って、第1天端継手板121の側縁ガイド板1213および上縁ガイド兼用邪魔板1214に、第2天端継手板122の上縁122cおよび第2側縁122fがそれぞれ当接することで、第1天端継手板121に対する第2天端継手板122の平面的な位置決めが完了し、第1天端継手板121における上縁121cに第2天端継手板122の上縁122cが重なり、第1天端継手板121における第2側縁121fに第2天端継手板122の第2側縁122fが重なった状態となる。言い換えると、第1天端継手板121と第2天端継手板1
22が平面的に重なった状態となる。以下、この状態を「位置決め完了状態」という。
ここで、第1天端継手板121の側縁ガイド板1213は、第2天端継手板122の第2側縁122fが側縁ガイド板1213と当接した際に、第1雌型連結部40Aに対する第1雄型連結部50Aの横位置と、第2雌型連結部40Bに対する第2雄型連結部50Bの横位置が合わせられるように構成されている。また、第1天端継手板121の上縁ガイド兼用邪魔板1214は、第2天端継手板122の上縁122cが上縁ガイド兼用邪魔板1214と当接した際に、第1雌型連結部40Aに対する第1雄型連結部50Aの高さ位置と、第2雌型連結部40Bに対する第2雄型連結部50Bの高さ位置が合わせられるように構成されている。すなわち、第1天端継手板121の側縁ガイド板1213および上縁ガイド兼用邪魔板1214に対して第2天端継手板122の上縁122cおよび第2側縁122fがそれぞれ当接した位置決め完了状態では、第1天端継手板121および第2天端継手板122が平面的に重なると同時に、第1雌型連結部40Aと第1雄型連結部50A、第2雌型連結部40Bと第2雄型連結部50Bが平面的に重なった状態に位置合わせされた状態となる。
そこで、図12Bに示す位置決め完了状態から第1天端継手板121の外面121aと第2天端継手板122の外面122aを接近する方向に第1天端継手板121および第2天端継手板122を相対移動させることで、図12Cに示すように第1天端継手板121の第1雌型連結部40Aに対応する開口孔1212に第2天端継手板122における第1雄型連結部50Aの雄型係止部材51が、第1天端継手板121の第2雌型連結部40Bに対応する開口孔1212に対して第2天端継手板122における第2雄型連結部50Bの雄型係止部材51がそれぞれ挿入される。
ここで、図10も参照しつつ、第1雌型連結部40Aおよび第1雄型連結部50A、第2雌型連結部40Bおよび第2雄型連結部50Bの連結について説明する。本実施形態において、雄型係止部材51の外径は、第1天端継手板121の開口孔1212および雌型連結部40(ケーシング41)の挿入口48よりも若干小径で、且つ、各雌型係止部材46がテーパ穴43(テーパ面43a)の最前進位置に配置された状態で、各雌型係止部材46によって形成される雌ネジ穴の直径よりも若干大径に設定されている。第2天端継手板122に凸設された雄型係止部材51が第1天端継手板121の開口孔1212を通じて、雌型連結部40の挿入口48から侵入すると、押圧ばね44の押圧力によって前端部にテーパ穴43(テーパ面43a)の最前進位置に位置決めされている各雌型係止部材46の前端面46cに雄型係止部材51の先端部51dが当接する。そして、雄型係止部材51が押圧ばね44の押圧力に抗して、各雌型係止部材46をテーパ面43aに沿って、雌型連結部40(ケーシング41)の軸方向後方に向かって後退させることで、各雌型係止部材46におけるテーパ面46aの雌ネジ46bによって形成されている雌ネジ穴を拡径しつつ雄型係止部材51が収納室42内に挿入される。
そして、第1天端継手板121の外面121aと第2天端継手板122の外面122aとが当接することで面接触し、雌型連結部40における収納室42内への雄型係止部材51の挿入が完了することで、それ以上の収納室42内への雄型係止部材51の挿入が停止されると、各雌型係止部材46は押圧ばね44の押圧力によって前方(先方)に押し戻されると共に、各雌型係止部材46のテーパ面46aによって形成される雌ネジ穴が縮径する。その結果、図13に示すように、雌型連結部40における各雌型係止部材46の雌ネジ46b(雌側係止溝)および雄型連結部50における雄型係止部材51の雄ネジ51c(雄側係止溝)が相互に噛合する。これによって、第1天端継手板121と第2天端継手板122が面接触した状態(正規当接状態)で接合される。その結果、相互連結された左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rによってアーチ状のトンネル支保工10が形成される。
ここで、図13に示したように、雌型連結部40の雌ネジ46bと雄型連結部50(雄型係止部材51)の雄ネジ51cが噛合した状態で、第1天端継手板121および第2天端継手板122を離反する方向に外力が作用した場合、雌型連結部40における収納室42から雄型係止部材51を引き抜く方向に引き抜き力が作用する。この引き抜き力は、互いに噛み合う雄ネジ51cと雌ネジ46bを介して各雌型係止部材46に伝達される。ところで、各雌型係止部材46のテーパ面46aは後方側から前方にかけて外径が徐々に縮小している。そのため、上記引き抜き力が各雌型係止部材46に作用しても、各雌型係止部材46がテーパ穴43の前方に向かって変位することが制限される。すなわち、本実施形態に係る連結構造30によれば、雌型連結部40の収納室42から雄型係止部材51を引き抜く方向に外力が作用しても、当該外力に対抗して連結状態を維持することができる。つまり、実施形態における連結構造30によれば、雌型連結部40の挿入口48から雄型連結部50(雄型係止部材51)を挿入する動作だけで、雌型連結部40に対して雄型連結部50が連結されるため、簡単に左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを一体に接合できる。また、雌型連結部40における収納室42から雄型係止部材51を引き抜く方向に引き抜き力が作用しても、雌型連結部40および雄型連結部50の連結が解除されることを抑制できる。
以上のように、左側分割支保工10Lの第1天端継手板121に凹設された雌型連結部40と、右側分割支保工10Rの第2天端継手板122に凸設された雄型連結部50(雄型係止部材51)は、エレクタ装置100のハンド操作によってワンタッチで連結されるワンタッチ継手として機能する。そして、本実施形態における左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの連結構造30によれば、第1天端継手板121が側縁ガイド板1213および上縁ガイド兼用邪魔板1214を備えているため、相互に連結すべき第1雌型連結部40Aと第1雄型連結部50Aの位置合わせ、第2雌型連結部40Bと第2雄型連結部50Bの位置合わせを容易に行うことができる。
更に、本実施形態における第1天端継手板121の上縁ガイド兼用邪魔板1214は、第1雌型連結部40Aに対する第2雄型連結部50Bの誤連結を抑制する邪魔板としても機能するように構成されている。
ここで、図14は、実施形態1に係る左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの連結時において、第1天端継手板121の第1雌型連結部40Aに対する第2天端継手板122の第2雄型連結部50Bの誤連結を抑止している状況を説明する図である。図14の上段に第1天端継手板121および第2天端継手板122の平面的な位置関係を示し、下段に第1天端継手板121および第2天端継手板122の離間位置関係を示す。図14に示す状態において、第1天端継手板121における第1雌型連結部40Aと第2天端継手板122における第2雄型連結部50Bの横位置が一致し、且つ、第2天端継手板122の上縁122cが上縁ガイド兼用邪魔板1214と当接している。本実施形態においては、第1天端継手板121における第1雌型連結部40Aと第2雌型連結部40Bの中心同士、および、第2天端継手板122における第1雄型連結部50Aと第2雄型連結部50Bの中心同士が、第1天端継手板121および第2天端継手板122の上下方向において同じ寸法(基準偏心距離DL1)だけ偏心配置されている。そのため、第2天端継手板122の上縁122cが第1天端継手板121の上縁ガイド兼用邪魔板1214と当接した状態では、図14に示すように、第1天端継手板121における第1雌型連結部40Aの中心Cp1と第2天端継手板122における第2雄型連結部50Bの中心Cp4同士が、第1天端継手板121および第2天端継手板122の上下方向において基準偏心距離DL1だけ偏心した(ずれた)位置関係となり、その結果、第1雌型連結部40Aに対する第2雄型連結部50Bの誤連結が抑制される。ここで、仮に、第1雌型連結部40Aに対して第2雄型連結部50Bが誤って挿入および係止される誤連結が起こってしまうと
、誤連結された第2雄型連結部50Bを第1雌型連結部40Aから取り外した後、再度、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの連結作業をやり直さなくてはならないため、無駄な作業負荷の増大や作業工程の遅延等といった不都合を招く虞がある。特に、本実施形態における連結構造30は、雌型連結部40に対して雄型係止部材51が挿入されるとワンタッチで係止されるため、第1雌型連結部40Aに対する第2雄型連結部50Bの誤連結が起こってしまうと、上記不都合が顕在化され易い。
これに対して、本実施形態における連結構造30によれば、第1雌型連結部40Aに対する第2雄型連結部50Bの誤連結を容易に抑制しつつ、側縁ガイド板1213および上縁ガイド兼用邪魔板1214によって第1雄型連結部50Aおよび第2雄型連結部50Bをそれぞれ正規の連結対象である第1雌型連結部40Aおよび第2雌型連結部40Bに対してガイドすることによって正規の連結部同士の連結を容易に実現することができる。これにより、雌型連結部40に対する雄型連結部50の誤連結に起因する無駄な作業負荷の増大や作業工程の遅延等といった不都合を招くことを抑制することができる。
なお、本実施形態において、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの連結時における各ハンド18L,18Rの駆動操作は、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rにそれぞれ取り付けたターゲット9の位置を座標既知地点から測量することで得られた測量データに基づいて行ってもよい。
例えば、エレクタコントローラ102は、トータルステーションコントローラ400を介してトータルステーション300を無線遠隔操作し、各ターゲット9(第1ターゲット9a〜第4ターゲット9d)を自動追尾して、各ターゲット9の座標を順次自動測量する。ここで、トータルステーション300は、座標既知地点(x0,y0,z0)に設置されている。このように座標既知地点に設置されたトータルステーション300からレーザ光を照射して各ターゲット9を視準して測距・測角を行うことで、第1ターゲット9a〜第4ターゲット9dの位置座標(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)、(x3,y3,z3)、(x4,y4,z4)を求めることができる。そして、各ターゲット9の位置座標を含む測量データは、トータルステーションコントローラ400側からエレクタコントローラ102へと順次無線送信される。エレクタコントローラ102は、トータルステーション300から取得した各ターゲット9の測量データに基づいて、ハンド18L,18Rを相対移動させるためのそれぞれの駆動量を設定し、上述したように左側分割支保工10Lの第1天端継手板121および右側分割支保工10Rの第2天端継手板122を一体に接合することができる。
なお、エレクタコントローラ102が設定したハンド18L,18Rの移動量は、モニタ101に表示される。本実施形態におけるトータルステーション300は各ターゲット9を自動追尾し、視準することができる。従って、ハンド18L,18Rの操作によって左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの天端部同士を相互連結するために必要な各ハンド18L,18Rの移動量は、モニタ101にリアルタイムで表示することができ、オペレータはモニタ101を見ながら操作盤104を順次操作することで左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを簡単に連結することができる。なお、ここでいうハンド18L,18Rの操作には、ハンド18L,18Rの駆動機構を作動させてハンド18L,18Rを直接的に操作することの他、ハンド18L,18Rが取り付けられているブーム17L,17Rを駆動することによってハンド18L,18Rを間接的に操作することも含まれる。
上記のようにトンネル支保工10をアーチ状に組み上げた後、エレクタ装置100は、ハンド18L,18Rを駆動することで、トンネル支保工10を切羽8近傍における所定の建て込み位置に配置する(支保工建て込み工程)。例えば、エレクタコントローラ10
2は、トータルステーション300から取得した各ターゲット9(第1ターゲット9a〜第4ターゲット9d)の座標位置を含む測量データに基づいて、第1ターゲット9a〜第4ターゲット9dのそれぞれの位置をモニタ101に表示させても良い。また、モニタ101には、第1ターゲット9a〜第4ターゲット9dのそれぞれの位置に加えて、第1ターゲット9a〜第4ターゲット9dの目標位置を併せて表示させても良い。エレクタ装置100を操作するオペレータは、モニタ101を見ながら、ブーム17L,17Rやハンド18L,18Rを駆動させることで、トンネル支保工10を正規の建て込み位置に配置することができる。
ここで、トンネル支保工10(左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10R)を切羽8における所定の建て込み位置に配置した後、エレクタ装置100の各ハンド18L,18Rにトンネル支保工10(左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10R)を把持(保持)した状態で、吹付け装置600の吹付けノズル603から左側分割支保工10Lの脚部111dおよび右側分割支保工10Rの脚部112d(図1を参照)およびその周囲のトンネル坑壁面(一次吹付けコンクリート層3)に対して二次吹付けコンクリートを吹付けることで、トンネル支保工10をトンネル坑壁面に仮固定する(仮固定工程)。
上記のようにトンネル坑壁面に対してトンネル支保工10を仮固定した後、エレクタ装置100のハンド18L,18Rによるトンネル支保工10の把持を解除する(把持解除工程)。そして、次に、トンネルTの軸方向に隣接する新設のトンネル支保工10および既設のトンネル支保工10の間(新設区間)に二次吹付けコンクリートを吹付けて、新設のトンネル支保工10の長手方向全域を二次吹付けコンクリートに埋め込むことで、新設のトンネル支保工10をトンネル坑壁面(一次吹付けコンクリート層3)に固定する(吹付け工程)。その結果、一次吹付けコンクリート層3の内空側に、所定の厚さの二次吹付けコンクリート層6が形成される。なお、吹付け工程においては、トンネル支保工10における内空側フランジ111c,112cに概ね達する厚さまで二次吹付けコンクリートが吹付けられる。次に、ロックボルトを二次吹付けコンクリート層6および一次吹付けコンクリート層3を貫通させて地山7に打設することで、トンネルTの構築の1サイクル分が完了する。
以上のように本実施形態におけるトンネルTの構築方法によれば、エレクタ装置100における一対のハンド18L,18Rに左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを把持しつつ、当該ハンド18L,18Rを駆動することで、第1天端継手板121に凹設された雌型連結部40と第2天端継手板122に凸設された雄型連結部50を係合させ、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの天端継手板をアーチ状に連結することができる。これによれば、従来のように、切羽近傍に組まれた作業足場やエレクタ装置のマンケージ等に人員を配置してトンネル天端付近まで人員を移動させ、一対の鋼製支保工の天端に位置する継手板同士をボルトとナットによって締結するといった切羽付近での人手作業を行う必要がないため、従来よりも安全性や施工性を向上させることができる。また、本実施形態におけるトンネル支保工10の連結構造30によれば、雌型連結部40の挿入口48から雄型連結部50(雄型係止部材51)を挿入するという動作だけで、雌型連結部40に対して雄型連結部50を係合することができるため、より短時間で簡単に、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rの連結作業を行うことができる。
また、本実施形態におけるトンネルTの構築方法によれば、作業車200に搭載したエレクタ装置100の一対のハンド18L,18Rに左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを把持した状態で、吹付け装置600の吹付けノズル603から吹付けコンクリートを吹付けることで左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10Rを正規の建
て込み位置に仮固定することができるため、従来のようにトンネルTの軸方向に隣接するトンネル支保工10同士をつなぎ材によって繋ぐ工程を省略することができる。これによれば、切羽近傍に組まれた作業足場やエレクタ装置のマンケージ等に人員を配置して、つなぎ材の設置作業を行う必要がないため、従来よりもトンネルTの安全性や施工性を向上させることができる。
更に、本実施形態においては、図10に示したように、雄型係止部材51の先端部51dには、先端に向かって縮径するテーパ面51eが形成されている。このため、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10R(雌型連結部40および雄型連結部50)を連結する支保工連結工程の際に、雌型連結部40の挿入口48と雄型係止部材51の中心位置が相対的に多少ずれていたとしても、第1天端継手板121の開口孔1212の縁部に沿って雄型係止部材51のテーパ面51eを摺動させることで、雌型連結部40における挿入口48と、雄型係止部材51の中心同士の位置ずれ量が減少する方向に雄型係止部材51をガイドすることができる。つまり、雄型係止部材51の先端部51dにテーパ面51eを設けることによって、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10R(雌型連結部40および雄型連結部50)を連結する際に雌型連結部40の挿入口48と雄型係止部材51の平面位置が多少ずれていても、雄型係止部材51を雌型連結部40の挿入口48へと円滑に導くことができる。なお、雄型係止部材51の先端部51dに形成するテーパ面51eのディテールは適宜変更できる。例えば、雄型係止部材51の先端部51dを円錐形状として形成しても良い。この場合、当該円錐形状の側面がテーパ面51eとして形成される。
<変形例>
図15は、実施形態1の変形例に係る連結構造30を説明する図である。本変形例に係る第1天端継手板121に形成された開口孔1212は、第1天端継手板121の厚さ方向における内面121bから外面122aにかけて拡径するテーパ面1215を有している。このように、第1天端継手板121の開口孔1212を形成することで、左側分割支保工10Lおよび右側分割支保工10R(雌型連結部40および雄型連結部50)を連結する際に、雌型連結部40の挿入口48と雄型係止部材51の中心位置が相対的に多少ずれていたとしても、第1天端継手板121の開口孔1212におけるテーパ面1215を雄型係止部材51が摺動することで、雌型連結部40における挿入口48と雄型係止部材51の中心同士の位置ずれ量が小さくなる方向に雄型係止部材51をガイドすることができる。これによれば、雄型係止部材51を雌型連結部40の挿入口48へと円滑に導くことができる。
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、本発明に係る分割支保工の連結構造はこれらに限られず、可能な限りこれらを組み合わせることができる。
1・・・トンネル支保構造
3・・・一次吹付けコンクリート層
6・・・二次吹付けコンクリート層
7・・・地山
8・・・切羽
10・・・トンネル支保工
10L・・・左側分割支保工
10R・・・右側分割支保工
40・・・雌型連結部
40A・・・第1雌型連結部
40B・・・第2雌型連結部
50・・・雄型連結部
50A・・・第1雄型連結部
50B・・・第2雄型連結部
51・・・雄型係止部材
121・・・第1天端継手板
122・・・第2天端継手板

Claims (6)

  1. トンネル坑壁に沿って建て込まれるアーチ状のトンネル支保工を形成する、弧状に分割された一対の分割支保工を連結するための連結構造であって、
    前記一対の分割支保工の天端部にそれぞれ設けられ、当該一対の分割支保工が連結される際に互いに当接される第1天端継手板および第2天端継手板と、
    前記第1天端継手板に、当該第1天端継手板の横幅方向に並列して凹設された第1雌型連結部および第2雌型連結部と、
    前記第2天端継手板に、当該第2天端継手板の横幅方向に並列して凸設された第1雄型連結部および第2雄型連結部と、
    を備え、
    前記第1天端継手板および前記第2天端継手板は、前記第1雌型連結部に前記第1雄型連結部が連結され、且つ前記第2雌型連結部に前記第2雄型連結部が連結されることによって所定の正規当接状態で接合され、
    前記第1天端継手板において、前記第1雌型連結部および前記第2雌型連結部の中心同士が、当該第1天端継手板の上下方向に所定の基準偏心距離だけ偏心しており、
    前記第2天端継手板において、前記第1雄型連結部および前記第2雄型連結部の中心同士が当該第2天端継手板の上下方向に前記基準偏心距離だけ偏心している、
    分割支保工の連結構造。
  2. 前記第1天端継手板の上縁には、当該第1天端継手板の外面から垂直方向に離反する方向に向けて上縁邪魔板が突設されており、
    前記一対の分割支保工の連結時に、前記第2天端継手板の上縁が前記上縁邪魔板と当接した際に、前記第1雌型連結部および前記第2雄型連結部の中心同士が前記第1天端継手板および前記第2天端継手板の上下方向に前記基準偏心距離だけ偏心することで、前記第1雌型連結部に対する前記第2雄型連結部の誤連結が抑制される、
    請求項1に記載の分割支保工の連結構造。
  3. 前記上縁邪魔板は、前記一対の分割支保工の連結時に、前記第2天端継手板の上縁が当接することで、前記第1雌型連結部に対する前記第1雄型連結部の高さ位置と、前記第2雌型連結部に対する前記第2雄型連結部の高さ位置を合致させるガイド部を兼ねている、
    請求項2に記載の分割支保工の連結構造。
  4. 前記上縁邪魔板は、前記第1天端継手板の上縁における横幅方向中央部よりも前記第1雌型連結部側に位置する側縁に近い領域に設けられている、
    請求項2又は3に記載の分割支保工の連結構造。
  5. 前記第1天端継手板の前記第2雌型連結部側に位置する側縁には、当該第1天端継手板の外面から垂直方向に離反する方向に向けて側縁ガイド板が突設されており、
    前記一対の分割支保工の連結時に、前記第2天端継手板の前記第2雄型連結部側に位置する側縁が前記側縁ガイド板と当接することで、前記第1雌型連結部に対する前記第1雄型連結部の横位置と、前記第2雌型連結部に対する前記第2雄型連結部の横位置が合わせられる、
    請求項1から4の何れか一項に記載の分割支保工の連結構造。
  6. 前記第1雄型連結部および前記第2雄型連結部の各々は、前記第2天端継手板から突出する棒状の雄型係止部材を有し、
    前記第1雌型連結部および前記第2雌型連結部の各々は、前記第1天端継手板に貫通形成される開口孔と、前記開口孔と連通すると共に前記雄型係止部材を挿入可能な挿入口が開口形成される収納室を内部に有するケーシングと、を含み、前記挿入口から前記収納室
    内へ挿入された前記雄型係止部材を係止する、
    請求項1から5の何れか一項に記載の分割支保工の連結構造。
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