以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具の枠体に収められる障子の面内方向を意味し、「見込方向」とは、室内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建具1を室外側から見た様子を示す図である。図1に示す建具1は、建物開口部に固定される枠体10と、枠体10に複数のヒンジ15を介して開閉可能に取り付けられる外開きの障子20と、を備える防火仕様の勝手口ドアである。
まず、枠体10の構成について説明する。枠体10は、上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14が矩形に枠組みされて構成される。上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14は、何れも樹脂製であり、溶着によって接合される。これらの樹脂製の枠(上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14)は、内部に中空部を有する押出し形材であり、後述する中空部が枠の押し出し方向に沿って連続している。
図2は、本実施形態の建具1の縦断面図である。上枠11の内部は、複数の空間に区画されている。上枠11内部の複数の空間のうち、見込方向に並ぶ空間を室外側から室内側の順に中空部11a,11b,11cとすると、見込方向中央に位置する中空部11bに金属製の上枠芯材110が配置される。また、上枠11の室内側下部には、下方に延びる延出部11eが形成され、延出部11eの室外側の見付面にはクッション材11gを嵌合固定する嵌合部11fが設けられる。
本実施形態の上枠芯材110は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室内側を向くように中空部11bに配置される。上枠芯材110の下面と中空部11bの内壁の間には帯状の加熱発泡材90aが配置される。加熱発泡材90aは、火災等によって所定の温度に達すると発泡して隙間を塞ぐものである。
下枠12の内部も、上枠11と同様に複数の空間に区画されている。下枠12内部で見込方向に並ぶ空間を室外側から室内側の順に中空部12a,12b,12cとすると、見込方向中央に位置する中空部12bに金属製の下枠芯材120が配置される。本実施形態の下枠芯材120は、角筒状の長尺部材である。また、下枠12の室内側上部には、上方に延びる延出部12eが形成され、該延出部12eにもクッション材12gを嵌合固定する嵌合部12fが形成される。
図3は、本実施形態の建具1の横断面図である。吊元側縦枠13も、その内部が複数の空間に区画されている。吊元側縦枠13内部の複数の空間のうち、見込方向に並ぶ空間を室外側から室内側の順に中空部13a,13b,13cとすると、見込方向中央に位置する中空部13bに金属製の縦枠芯材130が配置される。吊元側縦枠13の室内側には見付方向戸先側に延びる延出部13eが形成され、該延出部13eにクッション材13gを嵌合固定する嵌合部13fが設けられる。
本実施形態の縦枠芯材130は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室内側を向くように中空部13bに配置される。縦枠芯材130の戸先側の面と中空部13bの内壁の間には帯状の加熱発泡材90bが配置される。
また、枠体10の吊元側縦枠13と障子20の吊元側縦框33の間には、上下方向に間隔をあけて複数のヒンジ15が配置される(図1参照)。吊元側縦枠13(縦枠)は、障子20の吊元側縦框33とヒンジ15を介して連結される。中空部13aには、ヒンジ15を固定するネジ13iを締結する裏板部材13hが配置される。本実施形態では、ヒンジ15を締結するネジ13iは、裏板部材13hを貫通して中空部13bの縦枠芯材130まで達しており、ヒンジ15は縦枠芯材130にも締結固定される。
戸先側縦枠14の内部も、複数の空間に区画されている。複数の空間のうち、見込方向で並ぶ空間を室外側から室内側の順に中空部14a,14b,14cとすると、見込方向中央に位置する中空部14bに金属製の縦枠芯材140が配置される。本実施形態の縦枠芯材140は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室内側を向くように中空部14bに配置される。縦枠芯材140の吊元側の面と中空部14bの内壁の間には帯状の加熱発泡材90cが配置される。戸先側縦枠14の室内側にも見付方向吊元側に延びる延出部14eが形成され、該延出部14eにクッション材14gを嵌合固定する嵌合部14fが設けられる。
また、戸先側縦枠14の吊元側を向く見込面には、後述する障子20のロックピン52が嵌合するロックピン受け金具16が固定される。ロックピン受け金具16は、上下方向に間隔をあけて複数設けられる。本実施形態のロックピン受け金具16は、締結部材としてのネジを介して縦枠芯材140に締結固定される。
枠体10の左上及び右上には、枠側コーナー金具46がそれぞれ配置される。枠側コーナー金具46は、L字状の金属部材であり、枠体10の外側に配置される。枠側コーナー金具46は締結部材としてのネジによって枠体10の内側の芯材に締結固定される。本実施形態では、枠体10の戸先側上部では上枠芯材110と縦枠芯材140が枠側コーナー金具46によって連結され、吊元側上部では上枠芯材110と縦枠芯材130が連結される。
次に、障子20の構成について説明する。障子20は、ガラス25と、ガラス25を囲うように構成される框体30と、を含むように構成される戸体である。
ガラス25は、室外側に配置される室外側ガラス25aと、室外側ガラス25aに対して隙間をあけて室内側に配置される室内側ガラス25bと、を備える複層ガラスである。室外側ガラス25aと室内側ガラス25bの間にはスペーサ26等が配置される。本実施形態では、室外側ガラス25aは網入ガラスで構成され、室内側ガラスはLow−E(Low Emissivity)ガラスで構成される。
框体30は、上框31、下框32、吊元側縦框33(縦框)及び戸先側縦框34が矩形に枠組みされて構成される。上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34は、何れも樹脂製であり、溶着によって接合される。これらの樹脂製の框(上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34)は、内部に中空部を有する押出し形材であり、後述する中空部が框の押し出し方向に沿って連続している。
上框31の内部は、複数の空間に区画されている。上框31内部の複数の空間のうち、見込方向に並ぶ空間を室外側から室内側の順に中空部31a,31b,31cとすると、見込方向中央に位置する中空部31bに金属製の上框芯材310が配置される。
本実施形態の上框芯材310は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室内側を向くように中空部31bに配置される。上框芯材310の下面と中空部31bの内壁の間には帯状の加熱発泡材90dが配置される。また、上框芯材310のU字の内側における室内側を向く面にも帯状の加熱発泡材90eが配置される。
上框31の室外側上部には、上枠11の一部に見込方向で対面する延出部31fが形成される。この延出部31fの上枠11に対面する側には、クッション材31gを嵌合固定する嵌合部31hが設けられる。延出部31fの内側に形成される中空部31iには金属(例えば、スチール)製の室外側芯材312が配置される。
本実施形態の室外側芯材312は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室外側を向くように中空部31iに配置される。また、室外側芯材312の室内側の面と中空部31iの内壁の間には帯状の加熱発泡材90fが配置される。
また、上框31の外側面には、上框31の長手方向に沿って延びる嵌合溝31jが形成される。嵌合溝31jには、金属(例えば、アルミニウム材)製の台座部315が嵌合固定される。上框31の嵌合溝31jの室内側に位置する中空部31kには室内側芯材313が配置される。上框31の室外側下部には押し縁部材36を嵌合する嵌合部31mが設けられ、上框31の室内側下部にはガラス止め部材37を嵌合する嵌合部31nが設けられる。
下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34の基本的構成は上框31と同様である。以下の説明において上框31と同様の構成については共通の規則性(アルファベット)で符号を付してその説明を省略する場合がある。
下框32は、見込方向に並ぶ複数の中空部32a,32b,32cのうち、見込方向中央に位置する中空部32bに下框芯材320が配置される。下框芯材320は金属によって筒状に成形される。下框32の室外側下部には延出部32fが形成され、該延出部32fの室内側にはクッション材32gを嵌合固定する嵌合部32hが設けられる。延出部32fの上方には樹脂製の押し縁部材36用の嵌合部32mが設けられる。下框32の室内側上部にはガラス止め部材37用の嵌合部32nが設けられる。
下框32の下面に形成される嵌合溝32jには、樹脂製の下がり止め部材38が配置される。樹脂製の下がり止め部材38は、通常使用時の障子20の下がりを防止するためのものであり、その下部が室内側から室外側に向かうにつれて下側に近づくように傾斜した形状で成形される。また、火災発生時の障子20の下がりを防止するため、下框32には樹脂製の下がり止め部材38とは別部材として金属製の下がり止め部材39が設けられる。
吊元側縦框33は、見込方向に並ぶ複数の中空部33a,33b,33cのうち、見込方向中央に位置する中空部33bに縦框芯材330が配置される。本実施形態の縦框芯材330は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室内側を向くように中空部33bに配置される。縦框芯材330の吊元側縦枠13側の面と中空部33bの内壁の間には帯状の加熱発泡材90gが配置される。また、縦框芯材330のU字の内側における室内側を向く面にも帯状の加熱発泡材90hが配置される。
吊元側縦框33には吊元側縦枠13側に延出する延出部33fが形成される。延出部33fの室内側にはクッション材33gを嵌合固定する嵌合部33hが設けられる。また、延出部33fの内側には中空部33iが形成される。吊元側縦框33の吊元側の面に形成される嵌合溝33jには、台座部315が嵌合固定される。また、吊元側縦框33における台座部315の室内側に位置する中空部33kには金属(例えば、スチール)製の室内側芯材313が配置される。吊元側縦框33の室外側の戸先側には押し縁部材36用の嵌合部33mが設けられ、室内側の戸先側にはガラス止め部材37用の嵌合部33nが設けられる。
戸先側縦框34は、見込方向に並ぶ複数の中空部34a,34b,34cのうち、見込方向中央に位置する中空部34bに縦框芯材340が配置される。本実施形態の縦框芯材340は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が戸先側縦枠14の見込面を向くように中空部34bに配置される。縦框芯材340のU字の内側における戸先側縦枠14側を向く面には帯状の加熱発泡材90iが配置される。
戸先側縦框34には戸先側縦枠14側に延出する延出部34fが形成される。延出部34fの室内側にはクッション材34gを嵌合固定する嵌合部34hが設けられる。延出部34fの内側に形成される中空部34iには室外側芯材312が配置される。また、室外側芯材312の室内側の面と中空部34iの内壁の間には帯状の加熱発泡材90jが配置される。戸先側縦框34の室外側の吊元側には押し縁部材36用の嵌合部34mが設けられ、室外側の吊元側にはガラス止め部材37用の嵌合部34nが設けられる。
戸先側縦框34の戸先側面に形成される嵌合溝34jにはスライドプレート51が嵌合される。スライドプレート51は、室外側ハンドル55及び室内側ハンドル56の操作に連動して戸先側縦框34の長手方向(上下方向)に移動可能に構成される。スライドプレート51の戸先側の見込面にはロックピン52が形成されており、ロックピン52が戸先側縦枠14に固定されるロックピン受け金具16に係合することで、障子20が閉鎖位置で固定される。
框体30の内側(ガラス25側)の見込面にはガラス外れ止め部材40及び加熱発泡材91が配置される。ガラス外れ止め部材40は、框体30を構成する上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34の見込面のそれぞれに複数配置され、室外側へのガラス25の外れを防止する金属製部材である。
本実施形態のガラス外れ止め部材40は、締結部材としてのネジによって框体30の内側の芯材(上框芯材310、下框芯材320、縦框芯材330及び縦框芯材340)に締結固定される。加熱発泡材91は、帯状の部材であり、ガラス25の4周を囲うように上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34のそれぞれに配置される。
また、框体30の内側のコーナー(内隅)には框側コーナー金具65がそれぞれ配置される。框側コーナー金具65は、締結部材としてのネジによって框体30の内側の芯材(上框芯材310、下框芯材320、縦框芯材330及び縦框芯材340)に締結固定される。より具体的には、框体30の戸先側上部では、上框芯材310と縦框芯材340が框側コーナー金具65によって連結され、吊元側上部では、上框芯材310と縦框芯材330が框側コーナー金具65によって連結される。框体30の戸先側下部では、下框芯材320と縦框芯材340が框側コーナー金具65によって連結され、吊元側下部では、下框芯材320と縦框芯材330が框側コーナー金具65によって連結される。
また、枠体10に開閉可能に吊り込まれる障子20は、上枠11と上框31を接続するアーム部材61によって所定以上開かないように開閉範囲が規制される。
次に、上枠11の溝11jに配置される加熱発泡材190a、吊元側縦枠13の溝13jに配置される加熱発泡材190c、及び戸先側縦枠14の溝14jに配置される加熱発泡材190bの構成について説明する。前述の通り、枠体10は、上下方向に延びる樹脂製の縦枠(吊元側縦枠13、戸先側縦枠14)と、左右方向に延び縦枠(吊元側縦枠13、戸先側縦枠14)に接合される樹脂製の横枠(上枠11、下枠12)と、を有する。障子20の框体30は、樹脂製であり、障子20の外縁を構成する。
図4は、本実施形態の建具1が備える上枠11の障子20と対向する面に配置される加熱発泡材190aを示す縦断面図である。図4に示すように、上枠11の室外側の中空部11aを構成する部分の下部には、溝11jが設けられる。溝11jは、下方に開放して形成され、左右方向(上枠11の長手方向)に延びる。溝11jは、中空部11bに配置される金属製の上枠芯材110よりも、見込方向の室外側に配置される。中空部11bは、上枠11内部の中空部11a,11b,11cにおける見込方向中央に位置する。また、溝11jは、見込方向の上下方向の位置が、金属製の上枠芯材110の見込方向の内側の端部に重なった位置に配置される。
溝11jを構成する部分の上枠11は、略C字形状に形成され、C字の開口側が下方を向くように配置される。溝11jの開口の奥側には、下面11kが形成される。下面11kは、障子20と対向する面である。下面11kは、中空部11aを構成する上枠11の下方側を向く見込方向の内側を向く面であり、見込方向に幅を有して見付方向に延びる見込面である。溝11jの開口の手前側には、開口を閉じる見込方向に互いに近づくように突出する一対の突起11mが形成されている。仮に、障子を備えずに、枠体にガラスを直接取り付けるFIX窓を構成する場合に、溝11jを、ガラスの端部を押圧する押し縁部材を取り付けるための嵌合部として使用することも可能である。この場合には、上枠11を、FIX窓の枠材として共通化できる。
溝11jの奥側に形成される上枠11の溝11jの内部の下面11kには、加熱発泡材190aが配置される。加熱発泡材190aは、帯状の部材であり、左右方向に延び、溝11jの左右方向の全域に配置される。溝11jの開放された部分から下方に離間した位置には、障子20の上框31の嵌合溝31jに嵌合固定された金属製の台座部315(対向部材)が配置される。金属製の台座部315は、溝11jが延びる方向に沿って、左右方向に延びて配置される。金属製の台座部315は、障子20が閉鎖位置にある状態において、溝11jの内部に配置された加熱発泡材190aに対向して配置される。
このように構成される加熱発泡材190aは、火災等の際には、溝11jの開放された部分から下方側に発泡して、金属製の上枠芯材110よりも室外側において、上枠11と障子20との間を塞ぐ。また、加熱発泡材190aには、金属製の台座部315が対向して配置されるため、加熱発泡材190aは、火災等の際に、台座部315側に発泡して、障子20に配置される台座部315と上枠11との間を塞ぐ。加熱発泡材190aは、火災時に台座部315側に発泡することで台座部315に当接する。これにより、加熱発泡材190aが発泡することで、加熱発泡材190aが配置された位置から台座部315が配置された位置までを、発泡した加熱発泡材190aで塞ぐことができる。
図5は、本実施形態の建具1が備える戸先側縦枠14の障子20と対向する面に配置される加熱発泡材190bを示す横断面図である。図5に示すように、戸先側縦枠14の室外側の中空部14aを構成する部分の内側の側部には、溝14jが設けられる。溝14jは、見付方向の内側の側方に開放して形成され、上下方向(戸先側縦枠14の長手方向)に延びる。溝14jは、中空部14bに配置される金属製の縦枠芯材140よりも、見込方向の室外側に配置される。中空部14bは、戸先側縦枠14内部の中空部14a,14b,14cにおける見込方向中央に位置する。また、溝14jは、見込方向の左右方向の位置が、金属製の縦枠芯材140の見込方向の内側の端部に重なった位置に配置される。
溝14jを構成する部分の戸先側縦枠14は、略C字形状に形成され、C字の開口側が見付方向の内側の側方を向くように配置される。溝14jの開口の奥側には、側面14kが形成される。側面14kは、障子20と対向する面である。側面14kは、中空部14aを構成する戸先側縦枠14の見込方向の内側の側方を向く面であり、見込方向に幅を有して見付方向に延びる見込面である。溝14jの開口の手前側には、開口を閉じる見込方向に互いに近づくように突出する一対の突起14mが形成されている。仮に、障子を備えずに、枠体にガラスを直接取り付けるFIX窓を構成する場合に、溝14jを、ガラスの端部を押圧する押し縁部材を取り付けるための嵌合部として使用することも可能である。この場合には、戸先側縦枠14を、FIX窓の枠材として共通化できる。
溝14jの奥側に形成される戸先側縦枠14の溝14jの内部の側面14kには、加熱発泡材190bが配置される。加熱発泡材190bは、帯状の部材であり、上下方向に延び、溝14jの上下方向の全域に配置される。溝14jの開放された部分から見込方向の内側の側方に離間した位置には、障子20の戸先側縦框34の嵌合溝34jに嵌合固定された金属製のスライドプレート51(対向部材)が配置される。金属製のスライドプレート51は、溝14jが延びる方向に沿って、上下方向に延びて配置される。金属製のスライドプレート51は、障子20が閉鎖位置にある状態において、溝14jの内部に配置された加熱発泡材190bに対向して配置される。
このように構成される加熱発泡材190bは、火災等の際には、溝14jの開放された部分から下方側に発泡して、金属製の縦枠芯材140よりも室外側において、戸先側縦枠14と障子20との間を塞ぐ。また、加熱発泡材190bには、金属製のスライドプレート51が対向して配置されるため、加熱発泡材190bは、火災等の際に、スライドプレート51側に発泡して、障子20に配置されるスライドプレート51と戸先側縦枠14との間を塞ぐ。加熱発泡材190bは、火災時にスライドプレート51側に発泡することでスライドプレート51に当接する。これにより、加熱発泡材190bが発泡することで、加熱発泡材190bが配置された位置からスライドプレート51が配置された位置までを、発泡した加熱発泡材190bで塞ぐことができる。
図6は、本実施形態の建具1が備える吊元側縦枠13の障子20と対向する面に配置される加熱発泡材190cを示す横断面図である。図7は、本実施形態の建具1が備える吊元側縦枠13の障子20と対向する面に配置される加熱発泡材190cを上枠11を取り外した状態で示す斜視図である。
図6及び図7に示すように、吊元側縦枠13(縦枠)は、障子20の吊元側縦框33とヒンジ15を介して連結される。吊元側縦枠13の室外側の中空部13aを構成する部分の内側の側部には、溝13jが設けられる。溝13jは、見付方向の内側の側方に開放して形成され、上下方向(吊元側縦枠13の長手方向)に延びる。吊元側縦枠13の室外側の中空部13aには、金属製の裏板13h(裏板部材)が配置されている。裏板13hは、断面形状が略C字状の長尺部材であり、C字の開口側が室内側を向くように中空部13aに配置される。金属製の裏板13hは、障子20の吊元側において、複数のヒンジ15を固定するネジ13iを締結するために中空部13aに配置される。ヒンジ15は、中空部13aに配置される金属製の裏板13hにネジ13iを介して吊元側縦枠13に締結固定される。
溝13jは、中空部13bに配置される金属製の縦枠芯材130よりも、見込方向の室外側に配置される。中空部13bは、吊元側縦枠13内部の中空部13a,13b,13cにおける見込方向中央に位置する。また、溝13jは、見込方向の左右方向の位置が、金属製の縦枠芯材130の見込方向の内側の端部に重なった位置に配置される。
溝13jを構成する部分の吊元側縦枠13は、略C字形状に形成され、C字の開口側が見付方向の内側の側方を向くように配置される。溝13jの開口の奥側には、側面13kが形成される。側面13kは、障子20と対向する面である。側面13kは、中空部13aを構成する吊元側縦枠13の見込方向の内側の側方を向く面であり、見込方向に幅を有して見付方向に延びる見込面である。溝13jの開口の手前側には、開口を閉じる見込方向に互いに近づくように突出する一対の突起13mが形成されている。仮に、障子を備えずに、枠体にガラスを直接取り付けるFIX窓を構成する場合に、溝13jを、ガラスの端部を押圧する押し縁部材を取り付けるための嵌合部として使用することも可能である。この場合には、吊元側縦枠13を、FIX窓の枠材として共通化できる。
溝13jの奥側に形成される吊元側縦枠13の溝13jの内部の側面13kには、加熱発泡材190cが配置される。加熱発泡材190cは、帯状の部材であり、上下方向に延び、溝13jの上下方向の全域に配置される。溝13jの開放された部分から見込方向の内側の側方に離間した位置には、障子20の吊元側縦框33の嵌合溝33jに嵌合された金属製の台座部315(対向部材)が配置される。金属製の台座部315は、溝13jが延びる方向に沿って、上下方向に延びて配置される。金属製の台座部315は、障子20が閉鎖位置にある状態において、溝13jの内部に配置された加熱発泡材190cに対向して配置される。
このように構成される加熱発泡材190cは、火災等の際には、溝13jの開放された部分から下方側に発泡して、金属製の縦枠芯材130よりも室外側において、吊元側縦枠13と障子20との間を塞ぐ。また、加熱発泡材190cには、金属製の台座部315が対向して配置されるため、加熱発泡材190cは、火災等の際に、台座部315側に発泡して、障子20に配置される台座部315と吊元側縦枠13との間を塞ぐ。加熱発泡材190cは、火災時に台座部315側に発泡することで台座部315に当接する。これにより、加熱発泡材190cが発泡することで、加熱発泡材190cが配置された位置から台座部315が配置された位置までを、発泡した加熱発泡材190cで塞ぐことができる。更に、吊元側縦枠13の室外側の中空部13aには、上枠11及び戸先側縦枠14とは異なり、裏板13hが配置される。これにより、吊元側縦枠13が溶融した場合に、見込方向の外側において、金属製の裏板13hにより、加熱発泡材190cの発泡をくい止めて、見込方向の内側に向けて加熱発泡材190cを発泡させることができる。よって、枠体10と障子20との隙間を効果的に塞ぐことができ、建具1の見込方向の貫通を低減できる。
以上説明した上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を奏する。
建具1は、枠体10及び枠体10に開閉可能に取り付けられる障子20を備え、枠体10は、樹脂製の縦枠(吊元側縦枠13、戸先側縦枠14)と、縦枠(吊元側縦枠13、戸先側縦枠14)に接合される樹脂製の横枠(上枠11、下枠12)と、を有し、縦枠(吊元側縦枠13、戸先側縦枠14)及び横枠(上枠11、下枠12)の内部の少なくとも一部に配置される金属製の芯材(上枠芯材110、縦枠芯材130,140)と、芯材(上枠芯材110、縦枠芯材130,140)よりも室外側において、枠体10における障子20と対向する面に配置される加熱発泡材190a,190b,190cと、を備える。
これにより、加熱発泡材190a,190b,190cは、火災等の際には、溝13jの開放された部分から見付方向の内側に発泡して、芯材(上枠芯材110、縦枠芯材130,140)よりも室外側において、縦枠(吊元側縦枠13、戸先側縦枠14)と障子20との間又は上枠11と障子20との間を塞ぐ。これにより、火災等の際に、枠体10と障子20との間に隙間が形成されることを抑制できる。よって、防火性能を向上できる。
また、本実施形態では、枠体10は、芯材(上枠芯材110、縦枠芯材130,140)よりも室外側において縦枠(吊元側縦枠13、戸先側縦枠14)又は横枠(上枠11、下枠12)の長手方向に延びて形成される溝11j,13j,14jを有し、加熱発泡材190a,190b,190cは、溝11j,13j,14jにおける障子20と対向する面に配置される。
これにより、加熱発泡材190a,190b,190cを、溝11j,13j,14jにおける障子20と対向する面に配置するだけで、加熱発泡材190a,190b,190cを、枠体10における障子20に対向する面に容易に配置できる。
また、本実施形態では、障子の外縁を構成する樹脂製の框体30と、框体30に取り付けられ、障子20が閉鎖位置にある状態において、加熱発泡材190a,190b,190cに対向して配置される金属製のスライドプレート51又は金属製の台座部315と、を備える。そのため、加熱発泡材190a,190b,190cには、金属製のスライドプレート51又は金属製の台座部315が対向して配置されるため、加熱発泡材190a,190b,190cは、火災等の際に、スライドプレート51側又は金属製の台座部315側に発泡して、戸先側縦枠14と障子20との間を塞ぐ。これにより、火災等の際に、枠体10と障子20との間に隙間が形成されることを一層抑制できる。
また、本実施形態では、加熱発泡材190a,190b,190cは、火災時に台座部315側又はスライドプレート51側に発泡することで台座部315に当接する。これにより、加熱発泡材190a,190b,190cが発泡することで、加熱発泡材190a,190b,190cが配置された位置から台座部315又はスライドプレート51が配置された位置までを、発泡した加熱発泡材190a,190b,190cで塞ぐことができる。
また、本実施形態では、縦枠(吊元側縦枠13、戸先側縦枠14)は、障子20の吊元側縦框33とヒンジ15を介して連結される吊元側縦枠13を有し、建具1は、吊元側縦枠13の内側に形成される中空部13aに配置されヒンジ15を固定するネジ13iを締結するための裏板13hを備え、加熱発泡材190cは、吊元側縦枠13における障子20と対向する面に配置される。これにより、吊元側縦枠13が溶融しても、室外側において、金属製の裏板13hにより、加熱発泡材190cの発泡をくい止めて、室内側に向けて加熱発泡材190cを発泡させることができる。よって、枠体10と障子20との隙間を効果的に塞ぐことができ、建具1の見込方向の貫通を低減できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態の枠体10及び框体30は、何れも樹脂製であるが、枠体10及び框体30の見込方向室外側及び室内側の少なくとも何れか一方に、アルミ等の金属製のカバー部材を追加的に配置する構成としてもよい。即ち、樹脂製の枠及び樹脂製の框は、その内部、室内側又は室外側に金属部材を取り付けたものであってもよい。
上記実施形態では、加熱発泡材190a,190b,190cを枠体10の溝11j,13j,14jに配置したが、これに限定されない。溝を設けずに、枠体10における障子20と対向する面を平面状に形成して、平面状の枠体10の障子20と対向する面に加熱発泡材を配置してもよい。
また、上記実施形態においては、下枠12の溝12jには、加熱発泡材は設けられていない。しかし、これに限定されず、上述した上枠11と同様の構成を採用して、下枠12の室外側の中空部12aを構成する部分の上部に形成される溝12jに、加熱発泡材を設けてもよい。また、加熱発泡材を、上枠11の溝11j、下枠12の溝12j、吊元側縦枠13の溝13j及び戸先側縦枠14の溝14jのいずれか1つ以上の溝に設けてもよい。