JP2019085107A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】吸音材及びその接着層の発熱に起因する吸音材の剥離を抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部1とサイドウォール部2とビード部3とを備え、タイヤ内面4のトレッド部1に対応する領域にタイヤ周方向に沿って接着層5を介して帯状の吸音材6を接着した空気入りタイヤにおいて、タイヤ周上の少なくとも1箇所に吸音材6が途切れて形成された空気攪拌部8を設け、空気攪拌部8の吸音材6とは接触しない位置に電子デバイス9を設置する。【選択図】図9
Description
本発明は、タイヤ内面のトレッド部に対応する領域に帯状の吸音材を接着した空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、吸音材及びその接着層の発熱に起因する吸音材の剥離を抑制することを可能にした空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤにおいて、騒音を発生させる原因の一つにタイヤ内部に充填された空気の振動による空洞共鳴音がある。この空洞共鳴音は、タイヤを転動させたときにトレッド部が路面の凹凸によって振動し、トレッド部の振動がタイヤ内部の空気を振動させることによって生じるものである。
このような空洞共鳴現象による騒音を低減する手法として、タイヤとホイールのリムとの間に形成される空洞部内に吸音材を配設することが提案されている。より具体的には、タイヤ内面のトレッド部に対応する領域に帯状の吸音材を接着することが行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
しかしながら、タイヤ内面のトレッド部に対応する領域に帯状の吸音材を接着した場合、空気入りタイヤの走行に伴って吸音材及びその接着層が発熱するため、吸音材を固定するための接着層に軟化や劣化が生じることになる。そして、接着層に軟化や劣化が生じると、吸音材がタイヤ内面から剥離し易くなるという問題がある。
本発明の目的は、吸音材及びその接着層の発熱に起因する吸音材の剥離を抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を解決するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、タイヤ内面の前記トレッド部に対応する領域にタイヤ周方向に沿って接着層を介して帯状の吸音材を接着した空気入りタイヤにおいて、タイヤ周上の少なくとも1箇所に前記吸音材が途切れて形成された空気攪拌部を設け、前記空気攪拌部の前記吸音材とは接触しない位置に電子デバイスを設置したことを特徴とするものである。
本発明では、タイヤ内面のトレッド部に対応する領域にタイヤ周方向に沿って接着層を介して帯状の吸音材を接着した空気入りタイヤにおいて、タイヤ周上の少なくとも1箇所に吸音材が途切れて形成された空気攪拌部を設けているので、この空気攪拌部が空気入りタイヤの回転に伴って空洞部内の空気を攪拌するように機能する。そのため、空気入りタイヤの走行に伴って吸音材及びその接着層が発熱したとしても、その熱を空洞部内の空気全体に拡散し、吸音材を固定するための接着層に軟化や劣化が生じるのを抑制することができる。その結果、吸音材及びその接着層の発熱に起因する吸音材の剥離を抑制することができる。
本発明において、空気攪拌部はタイヤ周上の複数箇所に設けることが好ましく、特にタイヤ周上の3〜5箇所に設けることが好ましい。これにより、空気攪拌部による熱拡散効果を効果的に得ることができる。
空気攪拌部のタイヤ周方向長さは吸音材の高さの0.5倍〜10倍の範囲にあることが好ましい。これにより、空気攪拌部による熱拡散効果を効果的に得ることができる。空気攪拌部をタイヤ周上の複数箇所に設ける場合、空気攪拌部のタイヤ周方向長さを互いに異ならせることが好ましい。空気攪拌部が熱拡散効果を発揮するための最適なタイヤ周方向長さはタイヤの回転速度によって異なるため、複数の空気攪拌部のタイヤ周方向長さを互いに異ならせることにより、種々の回転速度において良好な熱拡散効果を得ることができる。
吸音材はタイヤ周方向に延在する単一の吸音材であり、その長手方向に直交する断面において少なくとも接着面に対応する範囲では均一な厚さを有し、その断面形状が長手方向に沿って一定であることが好ましい。これにより、接着面積当たりの吸音材の容量を最大限に大きくし、優れた騒音低減効果を得ることができる。また、このような形状を有する吸音材は加工が容易であるため製造コストも安価である。
リム組み時にタイヤ内に形成される空洞部の体積に対する吸音材の体積の比率は20%よりも大きいことが好ましい。このように吸音材の体積を大きくすることで優れた騒音低減効果を得ることができ、しかも大型の吸音材であっても良好な接着状態を長期間にわたって確保することができる。空洞部の体積は、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態でタイヤとリムとの間に形成される空洞部の体積である。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。但し、タイヤが新車装着タイヤの場合には、このタイヤが組まれた純正ホイールを用いて空洞部の体積を求めることとする。「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”であるが、タイヤが新車装着タイヤの場合には、車両に表示された空気圧とする。
吸音材の硬さは60N〜170Nであり、吸音材の引張り強度は60kPa〜180kPa以上であることが好ましい。このような物性を有する吸音材はタイヤのインフレートによる膨張や接地によるトレッド部の変形に起因して生じるせん断歪みに対する耐久性が優れている。吸音材の硬さは、JIS−K6400−2「軟質発泡材料−物理特性−第2部:硬さ及び圧縮応力−ひずみ特性の求め方」に準拠して測定されるものであって、そのD法(25%定圧縮して20秒後の力を求める方法)により測定されるものである。また、吸音材の引張り強度は、JIS−K6400−5「軟質発泡材料−物理特性−第5部:引張強さ、伸び及び引裂強さの求め方」に準拠して測定されるものである。
接着層は両面接着テープからなり、その引き剥がし粘着力が8N/20mm〜40N/20mmの範囲にあることが好ましい。これにより、吸音材の固定強度を良好に保ちつつ、吸音材の貼り付け作業及びタイヤ廃棄時の解体作業を容易に行うことが可能になる。両面接着テープの引き剥がし粘着力は、JIS−Z0237に準拠して測定されるものである。即ち、両面粘着シートを、厚さ25μmのPETフィルムを貼り合わせて裏打ちする。この裏打ちされた粘着シートを20mm×200mmの方形状にカットして試験片を作製する。この試験片から剥離ライナーを剥がし、露出した粘着面を、被着体としてのステンレス鋼(SUS:B304、表面仕上げBA)板に、2kgのローラーを一往復させて貼り付ける。これを23℃、RH50%の環境下に30分間保持した後、引張試験機を用い、JIS Z 0237に準拠して、23℃、RH50%の環境下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件にて、SUS板に対する180°引き剥がし粘着力を測定する。
空気攪拌部の吸音材とは接触しない位置には電子デバイスを設置することが好ましい。つまり、空気攪拌部には吸音材が存在しないため、その空気攪拌部に電子デバイスを設置することにより、質量アンバランスを補正することができ、しかも空気の攪拌により電子デバイスを冷却する効果を得ることができる。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。 図1及び図2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図1において、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
上記空気入りタイヤにおいて、タイヤ内面4のトレッド部1に対応する領域には、タイヤ周方向に沿って接着層5を介して帯状の吸音材6が接着されている。吸音材6は、連続気泡を有する多孔質材料から構成され、その多孔質構造に基づく所定の吸音特性を有している。吸音材6の多孔質材料としては発泡ポリウレタンを用いると良い。一方、接着層5としては、ペースト状接着剤や両面接着テープを用いることができる。
また、空気入りタイヤの空洞部7において、タイヤ周上の少なくとも1箇所には、吸音材6が途切れて形成された空気攪拌部8が形成されている。この空気攪拌部8は空洞部7内の空気を攪拌することを目的とするものであるため、空気攪拌部8に面する吸音材6の端面の面積が可及的に大きくなるように設定されている。好ましくは、図3に示すように、空気攪拌部8に面する吸音材6の端面はタイヤ内面4に対して直交するように形成されている。
図4及び図5は本発明の空気入りタイヤの内面に接着される吸音材6及び空気攪拌部8を示すものである。図4及び図5において、Tcはタイヤ周方向、Twはタイヤ幅方向である。図4において、空気攪拌部8はタイヤ周方向Tcに対して直交するようにタイヤ幅方向Twに延長し、その平面視形状が長方形をなしている。この場合、吸音材6の端面が空洞部7内の空気を掻き乱すように作用することで良好な攪拌効果(図中矢印参照)を得ることができる。一方、図5において、空気攪拌部8はタイヤ周方向Tcに対して傾斜しながらタイヤ幅方向Twに延長し、その平面視形状が平行四辺形をなしている。この場合、吸音材6の端面が空洞部7内の空気にタイヤ周方向Tcに対して傾斜する方向の流れを与えることで良好な攪拌効果(図中矢印参照)を得ることができる。
上述した空気入りタイヤでは、タイヤ内面4のトレッド部1に対応する領域にタイヤ周方向に沿って接着層5を介して帯状の吸音材6を接着するにあたって、タイヤ周上の少なくとも1箇所に吸音材6が途切れて形成された空気攪拌部8を設けているので、この空気攪拌部8が空気入りタイヤの回転に伴って空洞部7内の空気を攪拌するように機能する。そのため、空気入りタイヤの走行に伴って吸音材6及びその接着層5が発熱したとしても、その熱を空洞部7内の空気全体に拡散し、更にはホイールのリムに熱を拡散することができる。これにより、吸音材6を固定するための接着層5に軟化や劣化が生じるのを抑制することができる。その結果、吸音材6及びその接着層5の発熱に起因する吸音材6の剥離を抑制することができる。
空気攪拌部8はタイヤ周上の少なくとも1箇所に設ける必要があるが、タイヤ周上の複数箇所に設けるようにしても良い。特に、空気攪拌部8をタイヤ周上の3〜5箇所に設けることが好ましい。これにより、空気攪拌部8による熱拡散効果を効果的に得ることができる。空気攪拌部8のタイヤ周上の設置数が2箇所以下であると熱拡散効果を最適化することができず、逆に6箇所以上であると熱拡散効果が飽和し、製造コストの増大を招くだけである。また、タイヤユニフォミティの観点からは空気攪拌部8のタイヤ周上の設置数を奇数とするのが良い。空気攪拌部8をタイヤ周上の複数箇所に設ける場合、これら空気攪拌部8はタイヤ周方向に沿って等間隔で配置することが望ましい。
図6〜図9は本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図2に示す実施形態ではタイヤ周上の1箇所に空気攪拌部8を設けているが、図6に示す実施形態ではタイヤ周上の2箇所に空気攪拌部8を設け、図7に示す実施形態ではタイヤ周上の3箇所に空気攪拌部8を設け、図8に示す実施形態ではタイヤ周上の4箇所に空気攪拌部8を設けている。
図9に示す実施形態ではタイヤ周上の1箇所に空気攪拌部8を設けているが、その空気攪拌部8には電子デバイス9が設置されている。この電子デバイス9は空気攪拌部8においてタイヤ内面4に接着剤等により固定されている。電子デバイス9としては、例えば、タイヤ空気圧を検出するためのタイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)を挙げることができる。空気攪拌部8には吸音材6が存在しないため、空気攪拌部8に電子デバイス9を設置することにより、質量アンバランスを補正することができる。また、空気攪拌部8においては空気が拡散されるので、その部位に配置された電子デバイス9を効果的に冷却することができる。
上述のような各種の実施形態において、空気攪拌部8のタイヤ周方向長さLは吸音材6のタイヤ内面4からの高さHの0.5倍〜10倍の範囲にあることが好ましい(図3〜図5参照)。これにより、空気攪拌部8による熱拡散効果を効果的に得ることができる。ここで、空気攪拌部8のタイヤ周方向長さLが吸音材6の高さHの0.5倍より小さいと熱拡散効果が低下し、逆に10倍より大きいと吸音材6の減少に伴って吸音効果が低下する。特に、空気攪拌部8のタイヤ周方向長さLは吸音材6の高さHの1倍〜5倍(最も好ましくは1.2倍〜3倍)の範囲にあると良い。なお、空気攪拌部8のタイヤ周方向長さLはタイヤ内面4に沿って測定される長さである。
空気攪拌部8をタイヤ周上の複数箇所に設ける場合、これら空気攪拌部8のタイヤ周方向長さLを互いに異ならせると良い。空気攪拌部8が熱拡散効果を発揮するための最適なタイヤ周方向長さLはタイヤの回転速度によって異なる。例えば、高速回転ではタイヤ周方向長さLが十分に大きくないと良好な熱拡散効果が得られないが、低速回転ではタイヤ周方向長さLが小さくても十分な熱拡散効果が得られる。そのため、複数の空気攪拌部8のタイヤ周方向長さLを互いに異ならせることにより、種々の回転速度において良好な熱拡散効果を得ることができる。
上記空気入りタイヤにおいて、単一の吸音材6がタイヤ周方向に延在しており、吸音材6はその長手方向に直交する断面において少なくとも接着面に対応する範囲では均一な厚さを有し、その断面形状が長手方向に沿って一定であることが好ましい。特に、吸音材6の長手方向に直交する断面での断面形状は長方形(正方形を含む)であることが好ましいが、場合によっては、接着面側が狭くなるような逆台形にすることも可能である。これにより、接着面積当たりの吸音材6の容量を最大限に大きくし、優れた騒音低減効果を得ることができる。また、このような形状を有する吸音材6は加工が容易であるため製造コストも安価である。
上記空気入りタイヤをリム組みしたときタイヤ内面4とリムとの間には空洞部7が形成されるが、その空洞部7の体積に対する吸音材6の体積の比率は20%よりも大きいことが好ましい。このように吸音材6の体積を大きくすることで優れた騒音低減効果を得ることができ、しかも大型の吸音材6であっても良好な接着状態を長期間にわたって確保することができる。なお、吸音材6の幅はタイヤ接地幅の30%〜90%の範囲であることが好ましい。
吸音材6の硬さ(JIS−K6400−2)は60N〜170Nであり、吸音材6の引張り強度(JIS−K6400−5)は60kPa〜180kPaであることが好ましい。このような物性を有する吸音材6はせん断歪みに対する耐久性が優れている。吸音材6の硬さ又は引張り強度が小さ過ぎると吸音材6の耐久性が低下することになる。特に、吸音材6の硬さは、好ましくは70N〜160Nとし、より好ましくは80N〜140Nとするのが良い。また、吸音材6の引張り強度は、好ましくは75kPa〜165kPaとし、より好ましくは90kPa〜150kPaとするのが良い。
接着層5はその引き剥がし粘着力(JIS−Z0237:2009)が8N/20mm〜40N/20mmの範囲にあることが好ましい。これにより、吸音材6の固定強度を良好に保ちつつ、吸音材6の貼り付け作業及びタイヤ廃棄時の解体作業を容易に行うことが可能になる。つまり、接着層5の剥離力が弱過ぎると吸音材6の固定状態が不安定になり、逆に接着層5の剥離力が強過ぎると吸音材6の貼り付け作業において貼り付け位置を変更することが困難になり、タイヤ廃棄時には吸音材6を引き剥がすことが困難になる。特に、接着層5の引き剥がし粘着力は、好ましくは9N/20mm〜30N/20mm、より好ましくは10N/20mm〜25N/20mmとするのが良い。
タイヤサイズ215/45R17で、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、タイヤ内面のトレッド部に対応する領域にタイヤ周方向に沿って接着層を介して帯状の吸音材を接着した空気入りタイヤにおいて、吸音材の配置状態を種々異ならせた比較例1及び実施例1〜4のタイヤを製作した。
比較例1では、空気攪拌部を設けることなく帯状の吸音材をタイヤ周上の全域に配置した。
実施例1では、図2のようにタイヤ周上の1箇所に吸音材が途切れて形成された空気攪拌部を設け、その空気攪拌部のタイヤ周方向長さLを吸音材の高さHの3倍とした。また、空気攪拌部の平面視形状は図4のように長方形とした。
実施例2では、図7のようにタイヤ周上の3箇所に吸音材が途切れて形成された空気攪拌部を設け、その空気攪拌部のタイヤ周方向長さLを吸音材の高さHの3倍とした。また、空気攪拌部の平面視形状は図4のように長方形とした。
実施例3では、図7のようにタイヤ周上の3箇所に吸音材が途切れて形成された空気攪拌部を設け、その空気攪拌部のタイヤ周方向長さLを吸音材の高さHの3倍、4倍、5倍として互いに異ならせた。また、空気攪拌部の平面視形状は図4のように長方形とした。
実施例4では、図7のようにタイヤ周上の3箇所に吸音材が途切れて形成された空気攪拌部を設け、その空気攪拌部のタイヤ周方向長さLを吸音材の高さHの3倍とした。また、空気攪拌部の平面視形状は図5のように平行四辺形とした。
比較例1及び実施例1〜4において、以下の事項を共通にした。吸音材の長手方向に直交する断面における断面形状は長方形とし、その断面形状をタイヤ周方向に沿って一定とした。リム組み時にタイヤ内に形成される空洞部の体積に対する吸音材の体積の比率は30%とした。吸音材の硬さは80Nとし、吸音材の引張り強度は90kPaとした。接着層の引き剥がし粘着力は16N/20mmとした。
これら比較例1及び実施例1〜4の空気入りタイヤをそれぞれリムサイズ17×7JJのホイールに組み付け、空気圧150kPa、荷重5kN、速度150km/hの条件でドラム試験機にて100時間の走行試験を実施した後、吸音材の接着剥がれの有無を目視により確認した。また、耐接着剥がれ性の指標として、上記と同様の走行条件でドラム試験機にて走行試験を実施し、10時間毎に吸音材の接着剥がれの有無を確認し、接着剥がれが生じるまでの走行距離を求めた。耐接着剥がれ性の評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐接着剥がれ性が優れていることを意味する。その結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例1のタイヤでは100時間の走行試験後において吸音材の接着剥がれが顕著に発生していたが、実施例1〜4のタイヤでは100時間の走行試験後において吸音材の接着剥がれが全く認められなかった。
次に、吸音材の硬さ、吸音材の引張り強度、接着層の引き剥がし粘着力、空気攪拌部のタイヤ周方向長さLを異ならせたこと以外は実施例2と同じ構造を有する実施例5〜12のタイヤを用意した。
これら実施例5〜12のタイヤについて、上記と同様の方法により、100時間の走行試験後における吸音材の接着剥がれの有無と耐接着剥がれ性を評価した。その結果を表2に示す。
表2に示すように、吸音材の硬さ、吸音材の引張り強度、接着層の引き剥がし粘着力を変化させた実施例5〜8のタイヤでは、実施例2と同様に、100時間の走行後において吸音材の接着剥がれが全く認められなかった。また、実施例2及び実施例9〜12の対比からも明らかなように、空気攪拌部のタイヤ周方向長さLを適正化することで耐接着剥がれ性を効果的に改善可能であることが判る。
1 トレッド部
2 ビード部
3 サイドウォール部
4 タイヤ内面
5 接着層
6 吸音材
7 空洞部
8 空気攪拌部
9 電子デバイス
2 ビード部
3 サイドウォール部
4 タイヤ内面
5 接着層
6 吸音材
7 空洞部
8 空気攪拌部
9 電子デバイス
Claims (11)
- タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、タイヤ内面の前記トレッド部に対応する領域にタイヤ周方向に沿って接着層を介して帯状の吸音材を接着した空気入りタイヤにおいて、タイヤ周上の少なくとも1箇所に前記吸音材が途切れて形成された空気攪拌部を設け、前記空気攪拌部の前記吸音材とは接触しない位置に電子デバイスを設置したことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記空気攪拌部をタイヤ周上の複数箇所に設けたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記空気攪拌部をタイヤ周上の3〜5箇所に設けたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記空気攪拌部のタイヤ周方向長さを互いに異ならせたことを特徴とする請求項2又は3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記空気攪拌部のタイヤ周方向長さが前記吸音材の高さの0.5倍〜10倍の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記吸音材はタイヤ周方向に延在する単一の吸音材であり、その長手方向に直交する断面において少なくとも前記接着面に対応する範囲では均一な厚さを有し、その断面形状が長手方向に沿って一定であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- リム組み時にタイヤ内に形成される空洞部の体積に対する前記吸音材の体積の比率が20%よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記吸音材の硬さが60N〜170Nであり、前記吸音材の引張り強度が60kPa〜180kPaであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記接着層は両面接着テープからなり、その引き剥がし粘着力が8N/20mm〜40N/20mmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記吸音材が連続気泡を有する多孔質材料から構成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記多孔質材料が発泡ポリウレタンであることを特徴とする請求項10に記載の空気入りタイヤ。
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