以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
<システムの全体構成>
まず、実施の形態1に従う電力システムの全体構成について説明する。
図1は、実施の形態1に従う電力システムの全体構成を示す模式図である。図1を参照して、電力システムは、パワーコンディショナ2と、分電盤3と、太陽電池4と、蓄電池5と、系統電源6と、交流電力線7と、パワーコンディショナ8と、負荷群9とを含む。電力システムの一部は、たとえば、住宅やオフィスなどの家屋内に設置される。
系統電源6は、たとえば、商用電力系統であり、交流電力線7を介して単相3線式の交流電力を家庭に供給する。交流電力線7は、単相3線式の電力線であり、2つの電圧線と中性線とを含む。交流電力線7は、分電盤3を介して、パワーコンディショナ2,8および負荷群9に配線される。すなわち、交流電力線7は、パワーコンディショナ2,8、系統電源6および負荷群9を互いに接続するための電力線である。
より具体的には、交流電力線7は、系統電源6とスイッチSWaとを接続する配線71と、スイッチSWaと負荷群9とを接続する配線75と、配線71に接続される配線72と、配線75に接続される配線73,74とを含む。配線72は、パワーコンディショナ2の連系リレーRL1に接続される。配線73は、パワーコンディショナ2の自立リレーRL2に接続される。配線74は、パワーコンディショナ8に接続される。
分電盤3は、スイッチSWaと、スイッチSWbとを含む。スイッチSWaは配線71および配線75の間に設けられており、スイッチSWbは配線73上に設けられている。
負荷群9は、複数の電気機器で構成されている。電気機器は、たとえば、AC100V用の扇風機、掃除機、冷蔵庫、またはAC200V用のエアコンなどである。なお、電気機器は、これに限らず、テレビ、パソコン、電子レンジなどであってもよい。典型的には、負荷群9は、複数の電気機器で構成されているが、単一の電気機器で構成されていてもよい。
パワーコンディショナ2は、パワーコンディショナ2の動作を制御するための制御装置10と、直流電力と交流電力とを双方向に変換する双方向DC/AC変換器20と、双方向に直流電力の電圧変換が可能な双方向DC/DC変換器30と、連系リレーRL1と、自立リレーRL2とを含む。
連系リレーRL1は、パワーコンディショナ2が系統電源6と連系して負荷群9に交流電力を供給する(連系運転する)場合に閉成(ON)状態となる。自立リレーRL2は、パワーコンディショナ2が系統電源6から自立して負荷群9に交流電力を供給する(自立運転する)場合に閉成(ON)状態となる。典型的には、制御装置10は、連系リレーRL1および自立リレーRL2の開閉動作を制御する。
また、パワーコンディショナ2は、交流電力線7から交流電力を取り込んで蓄電池5に充電する一方で、蓄電池5からの直流電力を交流電力線7に供給(放電)することができる。なお、パワーコンディショナ2の詳細な構成については後述する。
蓄電池5は、再充電可能な電力貯蔵要素であり、代表的にリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池で構成される。蓄電池5は、複数の電池セルを直列接続して構成されている。なお、蓄電池5は、電気自動車、ハイブリッド車などに搭載されている蓄電池で構成されていてもよい。
パワーコンディショナ8は、DC/DC変換器84と、DC/AC変換器82とを含む。DC/DC変換器84は、太陽電池4とDC/AC変換器82との間に接続され、太陽電池4から受ける直流電力を電圧変換してDC/AC変換器82へ供給する。DC/AC変換器82は、DC/DC変換器84から受けた直流電力を交流電力に変換して、交流電力線7(配線74)に供給する。典型的には、DC/DC変換器84は、太陽電池4から最大の電力を取得できるような制御(いわゆる最大電力点追従制御)を行なう。
また、パワーコンディショナ8は、系統連系規定に定められた基準、あるいはJET(一般財団法人 電気安全環境研究所)の認証基準を充足しているものが採用される。そのため、パワーコンディショナ8は、連系運転時における系統電圧の電圧値や周波数の異常に対する保護機能を有している。具体的には、パワーコンディショナ8は、系統電圧の電圧値の上昇を検出すると出力を抑制または一時停止する機能を有している。また、パワーコンディショナ8は、系統電圧の周波数や位相の異常を検出すると出力を一時停止する機能を有している。
太陽電池4は、結晶型太陽電池、多結晶型太陽電池または薄膜型太陽電池などで構成される。なお、太陽電池4は、「発電装置」の一例である。発電装置は、風力、水力、潮力、波力、地熱などの自然エネルギーにより発電する発電装置、燃料電池、プラズマ発電装置など直流電力を発電するものであればよく、特に限定されるものではない。また、発電装置はこれらの組み合わせでもよい。
<システムの動作概要>
続いて、図1を参照しながら、実施の形態1に従う電力システムの動作概要について説明する。
(連系時の動作)
系統電源6が停電していない場合には、スイッチSWaは閉成(ON)状態、スイッチSWbは開放(OFF)状態となっている。典型的には、スイッチSWa,SWbの開閉動作は、パワーコンディショナ2の制御装置10によって制御される。なお、スイッチSWaおよびスイッチSWbの開閉動作は、系統電源6からの電力供給の有無に応じて自動的に切り替わるように構成されていてもよい。また、管理者などがスイッチSWaおよびスイッチSWbの開閉を切り替えてもよい。
パワーコンディショナ2は、連系リレーRL1をON状態(および自立リレーRL2をOFF状態)にして、系統電源6と連系される。パワーコンディショナ2は、系統電源6の交流電圧に同期して蓄電池5からの放電電流、蓄電池5への充電電流を制御して、蓄電池5から放電させたり、蓄電池5に充電したりすることが可能である。
また、パワーコンディショナ8も、系統電源6と連系される。パワーコンディショナ8は、太陽電池4の発電電力を交流電力線7(配線74)に最大出力できるように最大電力点追従制御を行なう。
(停電時の動作)
パワーコンディショナ2は、系統電源6の停電を検出した場合、スイッチSWaをOFF状態、スイッチSWbをON状態、連系リレーRL1をOFF状態、自立リレーRL2をON状態にする。これにより、パワーコンディショナ2、パワーコンディショナ8および負荷群9は、系統電源6から解列される。なお、パワーコンディショナ2、パワーコンディショナ8および負荷群9は、交流電力線7(配線73,74,75)を介して、互いに接続される。
図1中の電力システムでは、系統電源6が停電して、パワーコンディショナ2,8が系統電源6から解列された場合、交流電力線7に電力を供給可能な装置は、蓄電池5および太陽電池4となる。系統電源6が停電した場合には、典型的には、負荷群9への電力供給は一旦停止されることとなるが、パワーコンディショナ2が、連系運転から自立運転に切り替わり、自立運転をしているパワーコンディショナ2に対してパワーコンディショナ8が連系運転をすることにより負荷群9への電力供給が再開される。すなわち、系統電源6から解列された場合、パワーコンディショナ2は連系運転から自立運転に切り替わり、パワーコンディショナ8は連系運転のままとなる。なお、系統電源6が停電した場合において、パワーコンディショナ2が、瞬時に連系運転から自立運転に切り替わり、自立運転をしているパワーコンディショナ2に対してパワーコンディショナ8が連系運転をすることにより負荷群9への電力供給が継続されるような構成であってもよい。
パワーコンディショナ2は、自立運転時には定電圧制御を行なう。具体的には、パワーコンディショナ2は、系統電源6から供給されていた交流電圧と同一の周波数、同一の実効値を有する交流電圧を交流電力線7(配線73)に出力する。たとえば、系統電源6から単相3線式で200Vの交流電圧が供給されていた場合には、パワーコンディショナ2は、各相に100Vの交流電圧を交流電力線7に出力する。
パワーコンディショナ2が定電圧制御を行なうことにより、太陽電池4の発電電力が負荷群9の消費電力よりも大きい場合には、余剰電力がパワーコンディショナ2を介して蓄電池5に充電される。また、太陽電池4の発電電力が負荷群9の消費電力よりも小さい場合には、不足電力がパワーコンディショナ2を介して蓄電池5から放電される。このように、系統電源6が停電している場合であっても、パワーコンディショナ2が定電圧制御を行なうことにより、電力システムにおける電力の需給バランスを自動的にコントロールすることが可能となる。
また、従来、蓄電池用のパワーコンディショナ(本実施の形態では、パワーコンディショナ2)が自立運転しており、蓄電池が電源として機能している場合に、この蓄電池に他の電源(たとえば、太陽電池など)からの電力を充電することは想定されていなかった。
しかしながら、実施の形態1に従うパワーコンディショナ2は、双方向DC/AC変換器20を採用していることから、自立運転時において、蓄電池5から交流電力線7を介して負荷群9に電力を供給することが可能であるとともに、太陽電池4の発電電力で蓄電池5を充電することも可能である。
ここで、パワーコンディショナ8は、連系運転時では、最大電力点追従制御を行なっている。パワーコンディショナ8から配線74に出力される電力が大きくなり、負荷群9の消費電力を上回ると、その余剰電力が蓄電池5(パワーコンディショナ2)に流れ込んでくる。この場合、蓄電池5で充電可能な電力(充電能力)以上の電力が流れ込んでくると、パワーコンディショナ2の内部電圧が増大して異常状態となる。パワーコンディショナ2は、双方向DC/AC変換器20や双方向DC/DC変換器30を保護するため自立運転を停止する。パワーコンディショナ2が自立運転を停止すると、パワーコンディショナ8も連系運転ができなくなる。その結果、負荷群9への電力供給が停止してしまう。
そこで、パワーコンディショナ8が有している、系統電圧の異常に対する保護機能を利用する。たとえば、実施の形態1では、パワーコンディショナ2は、予め定められた電力値以上の電力が蓄電池5に流れ込んでいると判断した場合には、交流電力線7への出力電圧の実効値を109Vrmsまで増大させる。そうすると、パワーコンディショナ2に対して連系運転しているパワーコンディショナ8は、交流電力線7の電圧の異常を検出して、交流電力線7への出力電力を抑制する。これにより、蓄電池5に流れ込んでくる電力が低下するため、パワーコンディショナ2は自立運転を停止することなく、負荷群9への電力供給を維持することができる。
<パワーコンディショナ2の構成>
次に、パワーコンディショナ2の具体的な構成について説明する。
図2は、実施の形態1に従うパワーコンディショナ2の構成を示す模式図である。図2を参照して、パワーコンディショナ2は、制御装置10と、双方向DC/AC変換器20と、双方向DC/DC変換器30と、電流センサ41,42と、電圧センサ51,52と、リアクトルL1〜L3と、端子201〜205とを含む。なお、リアクトルL1〜L3は、双方向DC/AC変換器20に含まれる構成であってもよい。
以下では、基本的に、パワーコンディショナ2が自立運転を行なっている場合の構成について説明する。そのため、図2では、説明の便宜上、連系リレーRL1および自立リレーRL2が図示されていないが、連系リレーRL1がOFF状態、かつ自立リレーRL2がON状態であるものとする。また、端子201〜203は、配線73に接続されているものとする。
端子204および端子205には、直流バス150を介して蓄電池5からの直流電力が入力される、または、双方向DC/DC変換器30からの直流電力が入力される。直流バス150は、蓄電池5からの直流電力をパワーコンディショナ2に伝達したり、パワーコンディショナ2からの直流電力を蓄電池5に伝達したりする電力線である。直流バス150は、電力線対である正母線PLおよび負母線SLで構成される。
双方向DC/DC変換器30は、端子204および端子205を介して受けた直流電力を電圧変換して双方向DC/AC変換器20に供給する。また、双方向DC/DC変換器30は、双方向DC/AC変換器20から受けた直流電力を電圧変換して端子204、端子205および直流バス150を介して蓄電池5に供給する。
双方向DC/AC変換器20は、双方向DC/DC変換器30から受けた直流電力を単相3線式の交流電力に変換して、その交流電力を端子201〜203を介して交流電力線7(配線73)に供給する。また、双方向DC/AC変換器20は、交流電力線7から受けた交流電力を直流電力に変換して内部直流バス152を介して双方向DC/DC変換器30に供給する。
端子201には、電圧線Uが接続される。端子202には、中性線Oが接続される。端子203には、電圧線Vが接続される。たとえば、端子201と端子202との間(電圧線Uと中性線Oとの間)には、電圧が100Vの交流電力が出力される。端子203と端子202との間(電圧線Vと中性線Oとの間)には、電圧が100Vの交流電力が出力される。端子201と端子203との間(電圧線Uと電圧線Vとの間)には、電圧が200Vの交流電力が出力される。
本開示においては、電圧線Uと中性線Oとの間、すなわち第1相を、以後「U相」とも称して図示する。電圧線Vと中性線Oとの間、すなわち第2相を、以後「V相」とも称して図示する。
電流センサ41は、たとえば端子201およびリアクトルL1の間に設けられる。電流センサ41は、電圧線Uに流れる電流(以下「U線電流」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電流センサ41の検出結果には、U線電流の電流値Iuが含まれる。電流センサ42は、たとえば端子203およびリアクトルL3の間に設けられる。電流センサ42は、電圧線Vに流れる電流(以下「V線電流」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電流センサ42の検出結果には、V線電流の電流値Ivが含まれる。
電圧センサ51は、電圧線Uと中性線Oとの間に接続され、U相の電圧(以下、単に「U相電圧」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電圧センサ51の検出結果には、U相電圧の電圧値Vuが含まれる。電圧センサ52は、電圧線Vと中性線Oとの間に接続され、V相の電圧(以下、単に「V相電圧」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電圧センサ52の検出結果には、V相電圧の電圧値Vvが含まれる。
制御装置10は、パワーコンディショナ2の動作を制御する。制御装置10は、回路等のハードウェアで実現されてもよいし、図示しないCPU(Central Processing Unit)を含み、CPUが図示しないメモリに格納されたデータおよびプログラムを実行することによって実現される構成であってもよい。
制御装置10は、電流センサ41,42からそれぞれ受けた電流値Iu,Ivと電圧センサ51,52からそれぞれ受けた電圧値Vu,Vvとに基づいて、後述する制御方式に従って、双方向DC/AC変換器20および双方向DC/DC変換器30に動作指示を行なう。
典型的には、制御装置10は、自立運転時において、電圧値Vu,Vvに基づいて、U相およびV相への出力電圧が予め定められた電圧(たとえば、実効値が101Vrms)になるように双方向DC/AC変換器20に指示する。また、制御装置10は、自立運転時において、内部直流バス152の電圧値が一定になるように双方向DC/DC変換器30に指示する。双方向DC/DC変換器30および双方向DC/AC変換器20が上記指示に従って動作することにより、蓄電池5に余剰電力を充電したり、蓄電池5から不足電力を放電したりすることが可能となる。
まず、太陽電池4の発電電力が負荷群9の消費電力よりも大きい場合など、蓄電池5が吸収すべき余剰電力が発生している場合を考える。この場合には、双方向DC/AC変換器20には、配線73から電流が流れ込んでくる。この場合、双方向DC/DC変換器30および双方向DC/AC変換器20は、制御装置10の指示に従って、蓄電池5に余剰電力を充電するように動作する。
これに対して、太陽電池4の発電電力が負荷群9の消費電力よりも小さい場合など、蓄電池5が補うべき不足電力が発生している場合を考える。この場合には、双方向DC/AC変換器20から配線73側に電流が流れていく。この場合、双方向DC/DC変換器30および双方向DC/AC変換器20は、制御装置10の指示に従って、蓄電池5から不足電力を放電するように動作する。
このように、制御装置10は、双方向DC/AC変換器20および双方向DC/DC変換器30を上記のように動作させることにより、余剰電力が発生した場合には蓄電池5にその電力を充電させ、不足電力が発生した場合には蓄電池5からその電力を放電させることができる。
ただし、上記の<システムの動作概要>でも述べたように、パワーコンディショナ8からの出力電力が非常に大きく、蓄電池5の充電能力以上の電力が蓄電池5に流れ込んできた場合には、パワーコンディショナ2は自立運転を停止してしまう。そこで、パワーコンディショナ2の自立運転の停止を回避するためには、パワーコンディショナ8からの出力電力を調整する必要がある。
以下では、パワーコンディショナ2が自立運転している場合に、パワーコンディショナ8の出力電力によって当該自立運転が停止されることなく、負荷群9への電力供給を継続するための対応策について具体的に説明する。
実施の形態1では、パワーコンディショナ2の自立運転時に、蓄電池5に充電される電力が上限値に到達した場合に、パワーコンディショナ8の出力電力を抑制させる構成について説明する。なお、パワーコンディショナ8は、系統連系規程の基準に従って、系統電圧が上昇したことを検出した場合には、出力を抑制する機能を有しているものとする。
<制御装置10Aの構成および制御方式>
図3および図4を参照して、制御装置10Aの構成および制御方式について説明する。なお、以下では、系統電源6が停電しており、パワーコンディショナ2が自立運転し、パワーコンディショナ2に対してパワーコンディショナ8が連系運転しているものとする。
図3は、実施の形態1に従う制御装置10Aの構成を示す模式図である。図4は、実施の形態1に従う制御装置10Aの制御方式を説明するための図である。図4中の上のグラフは、出力電圧(U相またはV相)の時間推移を示している。図4中の下のグラフは、蓄電池5の充放電電力Psb(パワーコンディショナ2の出力電力)、太陽電池4の発電電力Ppv(パワーコンディショナ8の出力電力)、および負荷群9の消費電力Pldの時間推移を示している。
図3を参照して、制御装置10Aは、電力監視部11Aと、判定部12Aと、指示部13Aとを含む。制御装置10Aは、図2に示す制御装置10と対応するが、他の実施の形態との区別のため、便宜上「A」といった追加の符号を付している。これは、実施の形態2〜7においても同様である。
電力監視部11Aは、電流センサ41,42からそれぞれ受けた電流値Iu,Ivと、電圧センサ51,52からそれぞれ受けた電圧値Vu,Vvとに基づいて、蓄電池5の充放電電力Psbを監視する。図4を参照して、充放電電力Psbは、符号が正の場合には蓄電池5に充電される充電電力を示し、符号が負の場合には蓄電池5から放電される放電電力を示している。また、充放電電力Psbは、太陽電池4の発電電力Ppvから負荷群9の消費電力Pldを減算した電力となる。なお、ここでは、説明の容易化のため、電力変換に伴う電力損失は考慮しないものとする。
判定部12Aは、充放電電力Psbが基準電力値P1に到達したか否かを判定する。たとえば、基準電力値P1は、蓄電池5の充電状態(State of Charge:SOC)に基づいて定められる充放電電力の上限値から、予め定められた値を減算した値に設定される。なお、判定部12Aは、図示しない電圧センサにより検出された蓄電池5の充放電電圧に基づいて、蓄電池5のSOCを把握する。また、蓄電池5が、自身の充電状態に応じて充放電電力の上限値を通知可能に構成されている場合には、判定部12Aは、当該通知に基づいて基準電力値P1を設定してもよい。また、基準電力値P1は、ユーザにより任意に設定された値であってもよい。
充放電電力Psbが基準電力値P1に到達したと判定部12Aにより判定された場合、指示部13Aは、交流電力線7への出力電圧の実効値を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。以下、図4を参照しながら具体的に説明する。
図4を参照して、時刻が0の時点で、発電電力Ppvが5kw、消費電力Pldが4kw、充放電電力Psbが1kwであるとする。また、基準電力値P1は2kwであるとする。指示部13Aは、時刻が0〜時刻Ta2までの間、出力電圧の実効値を101Vrmsで維持するように双方向DC/AC変換器20に指示している。そのため、時刻Ta1において、消費電力Pldが4kWから徐々に減少し始めると、それに伴い充放電電力Psbは増加(充電電力が増加)していく。
そして、時刻Ta2において、充放電電力Psbが基準電力値(2kw)に到達すると、指示部13Aは、交流電力線7(配線73)への出力電圧の実効値を101Vrmsから109Vrmsに変化するように双方向DC/AC変換器20に指示する。時刻Ta3において、パワーコンディショナ8は、交流電力線7(配線74)の電圧の実効値が増大したことを検出して、交流電力線7(配線74)への出力電力(発電電力Ppv)を50%まで抑制し始める。
パワーコンディショナ8は、交流電力線7(配線74)の電圧の実効値が閾値Th1(たとえば、107rms)以上かつ閾値Th2(たとえば、115Vrms)未満である場合、交流電力線7への出力電力を抑制(たとえば、50%に抑制)するように構成されている。
そのため、指示部13Aは、パワーコンディショナ8に交流電力線7への出力電力を抑制させるために、107Vrms以上かつ115Vrms未満となるように、出力電圧の実効値を変化させる指示を双方向DC/AC変換器20に与える。典型的には、閾値Th1,Th2は、制御装置10のメモリに予め記憶されている。
なお、閾値Th1,Th2がメモリに記憶されていない場合であってもよい。この場合、指示部13Aは、充放電電力Psbが減少(放電電力が増加)し始める(すなわち、パワーコンディショナ8が出力電力の抑制を開始する)まで、交流電力線7への出力電圧の実効値を徐々に増大させるように双方向DC/AC変換器20に指示してもよい。
そして、時刻Ta4以降においては負荷群9の消費電力が2kwで落ち着くため、発電電力Ppvが2.5kw、充放電電力Psbが0.5kwとなる。
<処理手順>
実施の形態1に従う制御装置10Aの処理手順について説明する。
図5は、実施の形態1に従う制御装置10Aの処理手順を示すフローチャートである。なお、フローチャートの開始時点においては、パワーコンディショナ2は、系統電源6に対して連系運転しているものとする。
図5を参照して、制御装置10Aは、系統電源6が停電したか否かを判断する(ステップS10)。たとえば、制御装置10Aは、電圧センサ51,52から受ける電圧値を監視して停電を検出する。
系統電源6が停電していない場合には(ステップS10においてNO)、制御装置10AはステップS10の処理を繰り返す。これに対して、系統電源6が停電している場合には(ステップS10においてYES)、制御装置10Aは、パワーコンディショナ2を連系運転から自立運転に切り替える(ステップS12)。具体的には、制御装置10Aは、スイッチSWaをOFF、スイッチSWbをON、連系リレーRL1をOFF、自立リレーRL2をONにする。また、制御装置10Aは、系統電源6から供給されていた交流電圧と同一の周波数、同一の実効値(たとえば、101Vrms)を有する交流電圧を出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。さらに、制御装置10Aは、内部直流バス152の電圧値が一定になるように双方向DC/DC変換器30に指示する。なお、このとき、パワーコンディショナ8は、パワーコンディショナ2に対して連系運転を開始する。
次に、制御装置10Aは、充放電電力Psbが基準電力値P1に到達したか否かを判断する(ステップS14)。充放電電力Psbが基準電力値P1に到達していない場合には(ステップS14においてNO)、制御装置10AはステップS14の処理を繰り返す。これに対して、充放電電力Psbが基準電力値P1に到達した場合には(ステップS14においてYES)、制御装置10Aは、交流電力線7への出力電圧の実効値を変化(たとえば、109Vrmsに変化)させるように双方向DC/AC変換器20に指示する(ステップS16)。そして、処理は終了する。
その後、制御装置10Aは、充放電電力Psbが所定値以下に減少した(放電電力が増加)と判断した場合には、ステップS16で変化させた出力電圧の実効値を元の値(ここでは、101Vrms)に戻す処理を実行する。そして、制御装置10Aは、再びステップS14からの処理を実行する。なお、制御装置10Aは、ステップ16の処理を実行してから所定時間経過後に、出力電圧の実効値を元の値に戻す処理を実行してもよい。
実施の形態1によると、パワーコンディショナ8の出力を抑制することにより、充放電電力Psbは基準電力値P1以下になる。そのため、パワーコンディショナ2は自立運転を継続でき、パワーコンディショナ8もパワーコンディショナ2に対して連系運転を継続することができる。
[実施の形態2]
実施の形態2では、パワーコンディショナ2の自立運転時において、将来的に蓄電池5への充電電力が基準電力値P1に到達することが想定される場合に、パワーコンディショナ2が出力電圧の実効値を大幅に変化させる構成について説明する。実施の形態2では、パワーコンディショナ8は、系統連系規程の基準に従って、交流電力線7の電圧の実効値が大幅に変化したことを検出した場合には、交流電力線7への電力の出力を停止するように構成されているものとする。
なお、システムの全体構成、動作概要およびパワーコンディショナ2の構成については、実施の形態1のそれと同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。これは、以下の実施の形態3〜7においても同様である。
<制御装置10Bの構成および制御方式>
図6および図7を参照して、制御装置10Bの構成および制御方式について説明する。
図6は、実施の形態2に従う制御装置10Bの構成を示す模式図である。図7は、実施の形態2に従う制御装置10Bの制御方式を説明するための図である。図7中の上のグラフは、出力電圧(U相またはV相)の時間推移を示している。図7中の下のグラフは、充放電電力Psb(パワーコンディショナ2の出力電力)、発電電力Ppv(パワーコンディショナ8の出力電力)、および消費電力Pldの時間推移を示している。
図6を参照して、制御装置10Bは、電力監視部11Bと、判定部12Bと、指示部13Bと、算出部14Bとを含む。電力監視部11Bは、電力監視部11Aと実質的に同一である。
算出部14Bは、電力監視部11Aにより監視されている充放電電力Psbに基づいて、蓄電池5の充放電電力Psbの単位時間当たりの変化量ΔPsbを算出する。たとえば、算出部14Bは、時刻Tb1で消費電力Pldが減少(充放電電力Psbが増加)し始めてから最初のゼロクロス点の時刻Tb2から、次のゼロクロス点の時刻Tb3までの間に変化した充放電電力Psbの変化量ΔPsbを算出する(図7参照)。
判定部12Bは、充放電電力Psbの変化量ΔPsbと、現時刻(時刻Tb3)の充放電電力Psbとに基づいて、予め定められた時間Tx経過後(時刻Tb4)の充放電電力Psbが基準電力値P1(2kw)に到達しているか否かを予測して判定する(図7参照)。たとえば、予め定められた時間Txは、相電圧の半周期期間である(相電圧の周波数が50Hzの場合には、10msである)。なお、予め定められた時間Txは、パワーコンディショナ8が交流電力線7の電圧異常を検出して出力を停止させる時間よりも長い時間であればよい。
予め定められた時間Tx経過後に充放電電力Psbが基準電力値P1に到達すると判定部12Bにより判定された場合、指示部13Bは、交流電力線7への出力電圧の実効値を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
具体的には、指示部13Bは、時刻が0〜時刻Tb3までの間、出力電圧の実効値を101Vrmsで維持するように双方向DC/AC変換器20に指示している。そのため、時刻Tb1において、消費電力Pldが4kWから徐々に減少し始めると、それに伴い充放電電力Psbは増加(充電電力が増加)していく。
そして、時刻Tb3において、判定部12Bにより予め定められた時間Tx経過後(時刻Tb4)の充放電電力Psbが基準電力値P1(2kw)に到達していると判定されると、指示部13Bは、交流電力線7(配線73)への出力電圧の実効値を101Vrmsから115Vrmsに変化するように双方向DC/AC変換器20に指示する。そうすると、パワーコンディショナ8は、時刻Tb4において、交流電力線7(配線74)の電圧の実効値が大幅に増大したことを検出して、交流電力線7への電力(発電電力Ppv)の出力を停止させる。
ここで、交流電力線7の電圧の実効値が、予め定められた範囲外であることを検出した場合、パワーコンディショナ8は、交流電力線7への電力の出力を停止するように構成されている。たとえば、パワーコンディショナ8は、交流電力線7の電圧の実効値が115Vrms以上または85Vrms以下であることを検出した場合には、交流電力線7への電力の出力を一時的に停止する。
そのため、指示部13Bは、パワーコンディショナ8に交流電力線7への電力の出力を停止させるために、115Vrms以上または85Vrms以下になるように、出力電圧の実効値を変化させる指示を双方向DC/AC変換器20に与える。典型的には、予め定められた範囲は、制御装置10のメモリに予め記憶されている。
時刻Tb5以降においては、発電電力Ppvが0kwであり、負荷群9の消費電力が1kwで落ち着くため、充放電電力Psbは−1kw(放電電力が1kw)となる。
<処理手順>
実施の形態2に従う制御装置10Bの処理手順について説明する。
図8は、実施の形態2に従う制御装置10Bの処理手順を示すフローチャートである。なお、フローチャートの開始時点においては、パワーコンディショナ2は、系統電源6に対して連系運転しているものとする。
図8を参照して、ステップS20およびステップS22は、それぞれ図1のステップS10およびステップS12の処理と同じであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
制御装置10Bは、蓄電池5の充放電電力Psbの単位時間当たりの変化量ΔPsbを算出する(ステップS24)。たとえば、制御装置10Bは、交流電力線7への出力電圧の半周期(あるゼロクロス点から次のゼロクロスまでの時間)ごとに変化量ΔPsbを算出する。
制御装置10Bは、変化量ΔPsbに基づいて、現在の時刻から時間Tx後に充放電電力Psbが基準電力値P1に到達するか否かを判定する(ステップS26)。充放電電力Psbが基準電力値P1に到達しない場合には(ステップS26においてNO)、制御装置10BはステップS24からの処理を繰り返す。これに対して、充放電電力Psbが基準電力値P1に到達する場合には(ステップS26においてYES)、制御装置10Bは、交流電力線7への出力電圧の実効値を大幅に変化(たとえば、115Vrmsに変化)させるように双方向DC/AC変換器20に指示する(ステップS28)。そして、処理は終了する。
その後、制御装置10Bは、充放電電力Psbが所定値以下に減少した(放電電力が増加)と判断した場合には、ステップS28で変化させた出力電圧の実効値を元の値(ここでは、101Vrms)に戻す処理を実行する。そして、制御装置10Bは、再びステップS24からの処理を実行する。なお、制御装置10Bは、ステップ26の処理を実行してから所定時間経過後に、出力電圧の実効値を元の値に戻す処理を実行してもよい。
実施の形態2によると、将来的に充放電電力Psbが基準電力値P1に到達する可能性がある場合には、パワーコンディショナ8の出力を停止させることができる。そのため、負荷群9の消費電力の変化が大きい場合であっても、パワーコンディショナ2は自立運転を継続でき、パワーコンディショナ8もパワーコンディショナ2に対して連系運転を継続することができる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、パワーコンディショナ2の自立運転時において、将来的に蓄電池5への充電電力が基準電力値P1に到達することが想定される場合に、パワーコンディショナ2が出力電圧の周波数を変化させる構成について説明する。実施の形態3では、パワーコンディショナ8は、系統連系規程の基準に従って、交流電力線7の電圧の周波数が大幅に変化したこと検出した場合には、交流電力線7への電力の出力を停止するように構成されているものとする。
<制御装置10Cの構成および制御方式>
図9は、実施の形態3に従う制御装置10Cの構成を示す模式図である。図10は、実施の形態3に従う制御装置10Cの制御方式を説明するための図である。図10中の上のグラフは、出力電圧(U相またはV相)の時間推移を示している。図10中の下のグラフは、充放電電力Psb(パワーコンディショナ2の出力電力)、発電電力Ppv(パワーコンディショナ8の出力電力)、および消費電力Pldの時間推移を示している。
図9を参照して、制御装置10Cは、電力監視部11Cと、判定部12Cと、指示部13Cと、算出部14Cとを含む。電力監視部11C、判定部12Cおよび算出部14Cは、それぞれ電力監視部11B、判定部12Bおよび算出部14Bと実質的に同一である。
指示部13Cは、予め定められた時間Tx経過後に充放電電力Psbが基準電力値P1に到達すると判定部12Cにより判定された場合、交流電力線7への出力電圧の実効値を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
具体的には、図10を参照して、時刻Tb3において、判定部12Cにより予め定められた時間Tx経過後(時刻Tb4)の充放電電力Psbが基準電力値P1(2kw)に到達していると判定されると、指示部13Cは、交流電力線7への出力電圧の周波数を50Hzから53Hzに変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
パワーコンディショナ8は、時刻Tb4において、交流電力線7(配線74)の電圧の周波数が大幅に増大したことを検出して、交流電力線7への電力(発電電力Ppv)の出力を停止させる。具体的には、パワーコンディショナ8は、交流電力線7の電圧の周波数が予め定められた周波数範囲外であることを検出した場合、交流電力線7への電力の出力を停止するように構成されている。たとえば、予め定められた周波数範囲は、基本周波数の±3Hz未満である。そのため、交流電力線7の電圧の周波数が基本周波数(50Hz)よりも大きい周波数Fb(53Hz)以上、または基本周波数(50Hz)よりも小さい周波数Fs(47Hz)以下である場合、パワーコンディショナ8は、交流電力線7への電力の出力を一時的に停止する。
そこで、指示部13Cは、交流電力線7への出力電圧の周波数を予め定められた周波数範囲外(周波数Fb以上または周波数Fs以下)に変化させる指示を双方向DC/AC変換器20に与える。典型的には、予め定められた周波数範囲は、制御装置10のメモリに記憶されている。
<処理手順>
実施の形態3に従う制御装置10Cの処理手順は、図8中のステップS28に代えて以下の処理を実行したものに相当する。具体的には、制御装置10Cは、ステップS28の代わりに、周波数Fb以上または周波数Fs以下となるように、交流電力線7への出力電圧の周波数を変化させる指示を双方向DC/AC変換器20に行なう。そして、処理は終了する。
その後、制御装置10Cは、充放電電力Psbが所定値以下に減少した(放電電力が増加)と判断した場合には、当該変化させた周波数を予め定められた周波数範囲内(基本周波数の±3Hz未満)に戻す処理を実行する。そして、制御装置10Cは、再びステップS24からの処理を実行する。なお、制御装置10Cは、出力電圧の周波数を変化させる指示を行なってから所定時間経過後に、当該変化させた周波数を予め定められた周波数範囲内に戻す処理を実行してもよい。
実施の形態3は、実施の形態2と同様の利点を有する。また、実施の形態3によると、実施の形態2によりも、パワーコンディショナ8の出力を早く停止することができる可能性がある。
[実施の形態4]
実施の形態4では、パワーコンディショナ2の自立運転時において、将来的に蓄電池5への充電電力が基準電力値P1に到達することが想定される場合に、パワーコンディショナ2が出力電圧に位相跳躍を発生させる構成について説明する。実施の形態4では、実施の形態3と同様に、パワーコンディショナ8は、系統連系規程の基準に従って、交流電力線7の電圧の周波数が大幅に変化したこと検出した場合には、交流電力線7への電力の出力を停止するように構成されているものとする。
<制御装置10Dの構成および制御方式>
図11は、実施の形態4に従う制御装置10Dの構成を示す模式図である。図12は、実施の形態4に従う制御装置10Dの制御方式を説明するための図である。図13は、実施の形態4に従う制御装置10Dの制御方式の他の例を説明するための図である。
図11を参照して、制御装置10Dは、電力監視部11Dと、判定部12Dと、指示部13Dと、算出部14Dとを含む。電力監視部11D、判定部12Dおよび算出部14Dは、それぞれ電力監視部11B、判定部12Bおよび算出部14Bと実質的に同一である。
指示部13Dは、予め定められた時間Tx経過後に充放電電力Psbが基準電力値P1に到達すると判定部12Dにより判定された場合、交流電力線7への出力電圧に位相跳躍を発生させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
具体的には、図7の下のグラフを参照して、時刻Tb3において、判定部12Dにより予め定められた時間Tx経過後(時刻Tb4)の充放電電力Psbが基準電力値P1(2kw)に到達していると判定されると、指示部13Dは、図12に示すように、出力電圧のゼロクロス点付近で位相跳躍を発生させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。たとえば、指示部13Dは、出力電圧がゼロクロス点を通過したのち、出力電圧がゼロクロス前の位相の電圧になるように位相を跳躍させる。
パワーコンディショナ8は、ゼロクロス点間の時間に基づいて周波数を算出する。そのため、ゼロクロス点付近で位相跳躍が発生すると、図12に示すように、ゼロクロス点間の間隔が小さくなることから、パワーコンディショナ8は周波数異常を検出する。すなわち、パワーコンディショナ8は、交流電力線7(配線74)の電圧の周波数が大幅に小さくなったこと(47Hz以下)を検出するため、交流電力線7への電力(発電電力Ppv)の出力を停止させる。
なお、指示部13Dは、図13に示すように、出力電圧の半周期よりも短い時間内に、出力電圧の電圧値が0Vを境界として正および負を複数回行き来する電圧波形を出力するように双方向DC/AC変換器20に指示してもよい。
<処理手順>
実施の形態4に従う制御装置10Dの処理手順は、図8中のステップS28に代えて以下の処理を実行することにより実現される。具体的には、制御装置10Dは、ステップS28の代わりに、交流電力線7への出力電圧として、ゼロクロス点付近で位相跳躍が発生する電圧波形を出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。そして、処理は終了する。
実施の形態4は、実施の形態2と同様の効果を有する。また、実施の形態4によると、電圧や周波数を大きく変動させるのではなく、ゼロクロス点付近の交流電圧の電圧が小さいところで波形の乱れを発生させるため、負荷群9の動作に大きな影響を与えることもない。
[実施の形態5]
実施の形態5では、パワーコンディショナ2の自立運転時において、将来的に蓄電池5への充電電力が基準電力値P1に到達することが想定される場合に、パワーコンディショナ2が出力電圧の位相をシフトさせる構成について説明する。実施の形態5では、実施の形態3と同様に、パワーコンディショナ8は、系統連系規程の基準に従って、交流電力線7の電圧の周波数が大幅に変化したことを検出した場合には、交流電力線7への電力の出力を停止するように構成されているものとする。
<制御装置10Eの構成および制御方式>
図14は、実施の形態5に従う制御装置10Eの構成を示す模式図である。図15は、実施の形態5に従う制御装置10Eの制御方式を説明するための図である。
図14を参照して、制御装置10Eは、電力監視部11Eと、判定部12Eと、指示部13Eと、算出部14Eとを含む。電力監視部11E、判定部12E、算出部14Eは、それぞれ電力監視部11B、判定部12B、算出部14Bと実質的に同一である。
指示部13Eは、予め定められた時間経過後に充放電電力Psbが基準電力値P1に到達すると判定部12Eにより判定された場合、U相電圧およびV相電圧のうち少なくとも一方の位相をシフトさせるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
具体的には、図7の下グラフを参照して、時刻Tb3において、判定部12Eにより予め定められた時間Tx経過後(時刻Tb4)の充放電電力Psbが基準電力値P1(2kw)に到達していると判定されると、指示部13Eは、図15に示すように、U相電圧の位相をシフトさせるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
具体的には、図15を参照して、判定部12Eにより上記判定がされるまでは(正常範囲)、U相電圧およびV相電圧は、位相が180°ずれている。そして、時刻Tb3において、指示部13Eは、U相電圧の位相を予め定められた角度(たとえば、3°)だけシフトするように双方向DC/AC変換器20に指示する。そうすると、U−V間電圧のゼロクロス点間の時間(半周期)がT1からT2に変化することがわかる。すなわち、U−V間電圧の周波数が変化する。そのため、パワーコンディショナ8は、U−V間電圧の周波数が予め定められた周波数範囲外に変化したことを検出した場合には、交流電力線7への電力の出力を一時的に停止する。
なお、位相のシフト方式は、予め定められた角度だけシフトする方式に限られず、半周期ごとにU相電圧およびV相電圧の位相差が徐々に増加するように位相をシフトする方式であってもよい。まず、U相電圧とV相電圧の位相差が180°であるとする。最初の半周期でU相電圧の位相を1°シフトさせると位相差は181°になる。次の半周期でU相電圧の位相を−2°シフトさせると位相差は179°になる。次の半周期でU相電圧の位相を3°シフトさせると位相差は182°になる。次の半周期でU相電圧の位相を−4°シフトさせると位相差は178°になる。
このようにU相電圧の位相をシフトさせると、U相電圧とV相電圧との位相差は180°からあまりずれていないが、半周期前に対する位相シフト量は増加しているため、U−V間の電圧の周波数の変化も大きくなる。そのため、U相電圧とV相電圧との位相差を180°からあまりずらすことなく、パワーコンディショナ8から交流電力線7への電力の出力を一時的に停止させることができる。
なお、上記では、U相電圧の位相をシフトする構成について説明したが、V相電圧の位相をシフトする構成であってもよいし、U相電圧およびV相電圧の両方の位相をシフトする構成であってもよい。
<処理手順>
実施の形態5に従う制御装置10Eの処理手順は、図8中のステップS28に代えて以下の処理を実行することにより実現される。具体的には、制御装置10Eは、ステップS28の代わりに、U相およびV相への出力電圧のうち少なくとも一方の位相をシフトさせるように双方向DC/AC変換器20に指示する。そして、処理は終了する。
その後、制御装置10Eは、充放電電力Psbが所定値以下に減少した(放電電力が増加)と判断した場合には、位相シフトによりずれたU相およびV相の位相差を元の位相差(ここでは、180°)に戻す処理を実行する。そして、制御装置10Eは、再びステップS24からの処理を実行する。なお、制御装置10Eは、位相をシフトさせる指示を行なってから所定時間経過後に、元の位相差に戻す処理を実行してもよい。
実施の形態5は、実施の形態2と同様の効果を有する。また、実施の形態5では、U相電圧およびV相電圧の電圧および周波数には変化はない。そのため、U相およびV相に接続されている負荷の動作に影響を与えることはない。
[実施の形態6]
実施の形態6では、パワーコンディショナ2の自立運転時において、将来的に蓄電池5への充電電力が基準電力値P1に到達することが想定される場合に、パワーコンディショナ2が出力電圧の電圧波形を基本波に高調波を重畳した電圧波形にする構成について説明する。実施の形態6では、パワーコンディショナ8は、FFT変換を行なうことにより電圧波形の各次高調波成分を解析する機能を有しているものとする。そして、パワーコンディショナ8は、交流電力線7の電圧が高周波成分を有している場合、交流電力線7への電力の出力を停止するように構成されているものとする。
<制御装置10Fの構成および制御方式>
図16は、実施の形態6に従う制御装置10Fの構成を示す模式図である。図17は、実施の形態6に従う制御装置10Fの制御方式を説明するための図である。
図16を参照して、制御装置10Fは、電力監視部11Fと、判定部12Fと、指示部13Fと、算出部14Fとを含む。電力監視部11F、判定部12F、算出部14Fは、それぞれ電力監視部11B、判定部12B、算出部14Bと実質的に同一である。
指示部13Fは、予め定められた時間経過後に充放電電力Psbが基準電力値P1に到達すると判定部12Fにより判定された場合、交流電力線7への出力電圧の電圧波形を、基本波成分に高調波成分が重畳された電圧波形にするように双方向DC/AC変換器20に指示する。
具体的には、図7の下グラフを参照して、時刻Tb3において、判定部12Fにより予め定められた時間Tx経過後(時刻Tb4)の充放電電力Psbが基準電力値P1(2kw)に到達していると判定されると、指示部13Fは、図17に示すように、交流電力線7の出力電圧の電圧波形を、基本周波数(50Hzまたは60Hz)の基本波成分に予め定められた次数(たとえば、奇数)の高調波成分が重畳された電圧波形にするように双方向DC/AC変換器20に指示する。これにより、パワーコンディショナ8は、交流電力線7の電圧に高周波成分が存在することを検出して、交流電力線7への電力の出力を一時的に停止する。
なお、基本波成分に重畳される各次数の高調波成分は、基本周波数の基本波成分の3〜5%である。典型的には、高調波成分の重畳の前後で基本波成分の電圧値は維持される。または、重畳後の電圧波形の平均電圧値と、重畳前の基本波成分の電圧値とが同じになるように、重畳後の基本波成分の電圧値を定めてもよい。
<処理手順>
実施の形態6に従う制御装置10Fの処理手順は、図8中のステップS28に代えて以下の処理を実行することにより実現される。具体的には、制御装置10Fは、ステップS28の代わりに、交流電力線7の出力電圧の電圧波形を、基本周波数の基本波成分に予め定められた次数の高調波成分が重畳された電圧波形にするように双方向DC/AC変換器20に指示する。そして、処理は終了する。
その後、制御装置10Fは、充放電電力Psbが所定値以下に減少した(放電電力が増加)と判断した場合には、高調波成分が重畳された電圧波形を元の(高周波成分が重畳されていない)電圧波形に戻す処理を実行する。そして、制御装置10Fは、再びステップS24からの処理を実行する。なお、制御装置10Fは、高調波成分が重畳された電圧波形にする指示を行なってから所定時間経過後に、元の電圧波形に戻す処理を実行してもよい。
実施の形態6は、実施の形態2と同様の効果を有する。また、実施の形態6によると、基本波成分と比較して高調波成分が小さいため、負荷の動作に対する影響を小さくすることができる。
[実施の形態7]
実施の形態7では、パワーコンディショナ2の自立運転時において、パワーコンディショナ2が、出力電圧の極性を逆極性に一時的に変化させる構成について説明する。実施の形態7では、実施の形態3と同様に、パワーコンディショナ8は、系統連系規程の基準に従って、交流電力線7の電圧の周波数が大幅に変化したこと検出した場合には、交流電力線7への電力の出力を停止するように構成されているものとする。
<制御装置10Gの構成および制御方式>
図18は、実施の形態7に従う制御装置10Gの構成を示す模式図である。図19は、実施の形態7に従う制御装置10Gの制御方式を説明するための図である。
図18を参照して、制御装置10Gは、電力監視部11Gと、判定部12Gと、指示部13Gとを含む。電力監視部11Gは、電力監視部11Aと実質的に同一である。
判定部12Gは、充放電電力Psbが基準電力値P1よりも大きい基準電力値P2に到達したか否かを判定する。たとえば、基準電力値P2は、蓄電池5のSOCに基づいて設定される充放電電力の上限値である。
充放電電力Psbが基準電力値P2に到達したと判定部12Gにより判定された場合、指示部13Gは、交流電力線7への出力電圧を逆極性に変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。以下、図19を参照しながら具体的に説明する。
図19を参照して、時刻が0の時点で、発電電力Ppvが5kw、消費電力Pldが4kw、充放電電力Psbが1kwであるとする。また、基準電力値P2は2.5kwであるとする。指示部13Gは、時刻が0〜時刻Td2までの間、出力電圧の実効値を101Vrmsで維持するように双方向DC/AC変換器20に指示している。そのため、時刻Td1において、消費電力Pldが4kWから急激に減少し始めると、それに伴い充放電電力Psbは急激に増加(充電電力が急激に増加)していく。
そして、時刻Td2において充放電電力Psbが基準電力値P1(2kw)よりも大きい基準電力値P2(2.5kw)に到達すると、指示部13Gは、充放電電力Psbが基準電力値P2に到達した到達時刻Td2から予め定められた時間経過後までの間(時刻Td3までの間)、到達時刻Td2における出力電圧の極性(正)とは逆の極性(負)に出力電圧を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
上述したように、パワーコンディショナ8は、ゼロクロス点間の時間に基づいて周波数を算出する。そのため、図19に示すように、出力電圧の極性を一時的に逆極性に変化させると、ゼロクロス点間の間隔が小さくなることから、パワーコンディショナ8は周波数異常を検出する。すなわち、パワーコンディショナ8は、交流電力線7(配線74)の電圧の周波数が大幅に小さくなったこと(47Hz以下)を検出するため、交流電力線7への電力(発電電力Ppv)の出力を停止させる。
時刻Td4以降においては、発電電力Ppvが0kwになっており、負荷群9の消費電力が1kwで落ち着くため、充放電電力Psbは−1kwとなる。
<処理手順>
実施の形態7に従う制御装置10Gの処理手順について説明する。
図20は、実施の形態7に従う制御装置10Gの処理手順を示すフローチャートである。なお、フローチャートの開始時点においては、パワーコンディショナ2は、系統電源6に対して連系運転しているものとする。
図20を参照して、ステップS30およびステップS32は、それぞれ図5のステップS10およびステップS12の処理と同じであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
制御装置10Gは、充放電電力Psbが基準電力値P2に到達したか否かを判断する(ステップS34)。充放電電力Psbが基準電力値P2に到達していない場合には(ステップS34においてNO)、制御装置10GはステップS34の処理を繰り返す。これに対して、充放電電力Psbが基準電力値P2に到達した場合には(ステップS34においてYES)、制御装置10Gは、充放電電力Psbが基準電力値P2に到達した時刻Td2から時刻Td3までの間、時刻Td2における出力電圧の極性(正)とは逆の極性(負)に出力電圧を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する(ステップS36)。そして、処理は終了する。
実施の形態7によると、一時的に出力電圧を逆極性にすることにより、瞬時にパワーコンディショナ8に異常状態を認識させ、出力を停止させることができる。また、一般的に家電機器等の負荷は、少しの時間(半周期程度)であれば動作を維持することができる。そのため、負荷を継続して使用することも可能である。
[実施の形態8]
<システムの全体構成および動作概要>
実施の形態8に従う電力システムの全体構成について説明する。
図21は、実施の形態8に従う電力システムの全体構成を示す模式図である。実施の形態8に従う電力システムは、スイッチSWpを追加した点、およびパワーコンディショナ2Hの制御装置10HでスイッチSWpを開閉することが可能である点で、図1中の電力システムと異なる。これ以外の構成については同じであるため、その詳細な説明は繰り返さない。なお、スイッチSWpは、交流電力線7(配線74)上に設けられており、パワーコンディショナ2Hおよび負荷群9と、パワーコンディショナ8とを接続または遮断するための開閉器である。
図21を参照しながら、実施の形態8に従う電力システムの動作概要について説明する。連系時の動作は、上述した実施の形態1で説明した動作と同じである。停電時の動作については、パワーコンディショナ8の出力電力の抑制または停止方式が異なる。
具体的には、実施の形態1に従うパワーコンディショナ2は、基準電力値P1以上の電力が蓄電池5に流れ込んでいると判断した場合には、交流電力線7への出力電圧の実効値を増大させてパワーコンディショナ8の出力電力を抑制していた。実施の形態8に従うパワーコンディショナ2Hは、基準電力値P1以上の電力が蓄電池5に流れ込んでいると判断した場合には、スイッチSWpをOFF状態にして、パワーコンディショナ8からの出力電力が蓄電池5に流れ込まないようにする。これにより、パワーコンディショナ2Hは自立運転を停止することなく、負荷群9への電力供給を継続することができる。
<制御装置10Hの構成および制御方式>
図22および図23を参照して、制御装置10Hの構成および制御方式について説明する。図22は、実施の形態8に従う制御装置10Hの構成を示す模式図である。図23は、実施の形態8に従う制御装置10Hの制御方式を説明するための図である。
図22を参照して、制御装置10Hは、電力監視部11Hと、判定部12Hと、開閉器制御部15Hとを含む。電力監視部11Hおよび判定部12Hは、それぞれ電力監視部11Aおよび判定部12Aと実質的に同一である。
充放電電力Psbが基準電力値P1に到達したと判定部12Hにより判定された場合、開閉器制御部15Hは、スイッチSWpを開放(OFF)させる。以下、図23を参照しながら具体的に説明する。
図23を参照して、時刻Tが0の時点で、発電電力Ppvが5kw、消費電力Pldが4kw、充放電電力Psbが1kwであるとする。また、基準電力値P1は2kwであるとする。制御装置10H(指示部)は、常時、出力電圧の実効値を101Vrmsで維持するように双方向DC/AC変換器20に指示するとともに、内部直流バス152の電圧を一定にするように双方向DC/DC変換器30に指示している。そのため、時刻Te1において、消費電力Pldが4kWから徐々に減少し始めると、それに伴い充放電電力Psbは増加(充電方向に増加)していく。
時刻Te2において充放電電力Psbが基準電力値P1(2kw)に到達すると、開閉器制御部15Hは、スイッチSWpを開放させる。そうすると、パワーコンディショナ8は、パワーコンディショナ2Hおよび負荷群9と切り離される。なお、パワーコンディショナ8は、パワーコンディショナ2Hと連系運転できなくなるため、出力を停止する。
そして、時刻Te3以降においては、発電電力Ppvが0kwになっており、負荷群9の消費電力が2kwで落ち着くため、充放電電力Psbは2kwで落ち着く。
<処理手順>
実施の形態8に従う制御装置10Hの処理手順について説明する。
図24は、実施の形態8に従う制御装置10Hの処理手順を示すフローチャートである。なお、フローチャートの開始時点においては、パワーコンディショナ2Hは、系統電源6に対して連系運転しているものとする。
図24を参照して、ステップS40およびステップS42は、それぞれ図5のステップS10およびステップS12の処理と同じであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
制御装置10Hは、充放電電力Psbが基準電力値P1に到達したか否かを判断する(ステップS44)。充放電電力Psbが基準電力値P1に到達していない場合には(ステップS44においてNO)、制御装置10HはステップS44の処理を繰り返す。これに対して、充放電電力Psbが基準電力値P1に到達した場合には(ステップS44においてYES)、制御装置10Hは、スイッチSWpをOFFさせる(ステップS46)。そして、処理は終了する。
その後、制御装置10Hは、充放電電力Psbが所定値以下に減少した(放電電力が増加)と判断した場合には、スイッチSWpをONさせる。そして、制御装置10Hは、再びステップS44からの処理を実行する。なお、制御装置10Hは、ステップ46の処理を実行してから所定時間経過後に、スイッチSWpをONさせてもよい。
なお、実施の形態8において、制御装置10Hは、実施の形態2などのように、将来的に蓄電池5への充電電力が基準電力値P1に到達することが予測される場合に、スイッチSWpを開放させる構成であってもよい。
実施の形態8によると、パワーコンディショナ8の出力を停止させることにより、充放電電力Psbは基準電力値P1以下になる。そのため、パワーコンディショナ2Hは自立運転を停止することなく、負荷群9への電力供給を継続することができる。また、パワーコンディショナ8の電力の出力経路を遮断する開閉器を設けているため、より確実に早くパワーコンディショナ8からの出力を停止させることができる。
[実施の形態9]
<システムの全体構成および動作概要>
実施の形態9に従う電力システムの全体構成について説明する。
図25は、実施の形態9に従う電力システムの全体構成を示す模式図である。実施の形態9に従う電力システムは、スイッチSWldおよび電力調整用負荷92を追加した点、ならびにパワーコンディショナ2Iの制御装置10IでスイッチSWldを開閉することが可能である点で、図1中の電力システムと異なる。これ以外の構成については同じであるため、その詳細な説明は繰り返さない。なお、スイッチSWldは、パワーコンディショナ2I、パワーコンディショナ8および負荷群9と、電力調整用負荷92とを接続または遮断するための開閉器である。
図25を参照しながら、実施の形態9に従う電力システムの動作概要について説明する。連系時の動作は、上述した実施の形態1で説明した動作と同じである。停電時の動作については、パワーコンディショナ8の出力電力の抑制または停止方式が異なる。
具体的には、実施の形態9に従うパワーコンディショナ2Iは、基準電力値P1以上の余剰電力が蓄電池5に流れ込んでいると判断した場合には、スイッチSWldをON状態にして、電力調整用負荷92に余剰電力を吸収させる。これにより、パワーコンディショナ2Iは自立運転を停止することなく、負荷群9への電力供給を継続することができる。
<制御装置10Iの構成および制御方式>
図26および図27を参照して、制御装置10Iの構成および制御方式について説明する。図26は、実施の形態9に従う制御装置10Iの構成を示す模式図である。図27は、実施の形態9に従う制御装置10Iの制御方式を説明するための図である。
図26を参照して、制御装置10Iは、電力監視部11Iと、判定部12Iと、開閉器制御部15Iとを含む。電力監視部11Iおよび判定部12Iは、それぞれ電力監視部11Aおよび判定部12Aと実質的に同一である。
充放電電力Psbが基準電力値P1に到達したと判定部12Iにより判定された場合、開閉器制御部15Iは、スイッチSWldを閉成(ON)させる。以下、図27を参照しながら具体的に説明する。
図27を参照して、時刻が0の時点で、発電電力Ppvが5kw、消費電力Pldが4kw、充放電電力Psbが1kw、電力調整用負荷92の消費電力Pajが0kwであるとする。また、基準電力値P1は2kwであるとする。制御装置10I(指示部)は、常時、出力電圧の実効値を101Vrmsで維持するように双方向DC/AC変換器20に指示するとともに、内部直流バス152の電圧を一定にするように双方向DC/DC変換器30に指示している。そのため、時刻Tf1において、消費電力Pldが4kWから徐々に減少し始めると、それに伴い充放電電力Psbは増加(充電方向に増加)していく。
時刻Tf2において充放電電力Psbが基準電力値P1(2kw)に到達すると、開閉器制御部15Hは、スイッチSWldを閉成させる。そうすると、電力調整用負荷92がパワーコンディショナ2H、8および負荷群9に接続され、消費電力Pajが2.5kwまで増大していく。
そして、時刻Tf3以降においては、発電電力Ppvが5kw、消費電力Pajが2.5kwであり、負荷群9の消費電力Pldが2kwで落ち着くため、充放電電力Psbは0.5kwとなる。
<処理手順>
実施の形態9に従う制御装置10Iの処理手順は、図24中のステップS46に代えて以下の処理を実行することにより実現される。具体的には、制御装置10Iは、ステップS46の代わりに、スイッチSWldをONさせる。そして、処理は終了する。
その後、制御装置10Iは、充放電電力Psbが基準電力値P1から消費電力Pajを減算した値以下に減少(放電電力が増加)したと判断した場合には、スイッチSwldをOFFさせる。このとき、充放電電力Psbは基準電力値P1よりも小さくなっているため、制御装置10Iは、再びステップS44からの処理を実行する。
上述した実施の形態9では、電力調整用負荷92およびスイッチSWldがそれぞれ1つずつである構成について説明したが、当該構成に限られない。たとえば、複数の電力調整用負荷92と、これらにそれぞれ対応する複数のスイッチSWldとを設けていてもよい。制御装置10Iは、電力調整用負荷92に吸収させたい電力分だけスイッチSWldを閉成させる。たとえば、1つの電力調整用負荷92の消費電力が1kwであるとする。制御装置10Iは、3kwの余剰電力を電力調整用負荷92に吸収させたい場合には、3つのスイッチSWldを閉成して、3つの電力調整用負荷92をパワーコンディショナ2H、パワーコンディショナ8および負荷群9に接続させる。
なお、実施の形態9において、制御装置10Iは、実施の形態2などのように、将来的に蓄電池5への充電電力が基準電力値P1に到達することが予測される場合に、スイッチSWldを閉成させる構成であってもよい。
実施の形態9によると、パワーコンディショナ2Iは自立運転を継続でき、パワーコンディショナ8もパワーコンディショナ2Iに対して連系運転を継続することができる。また、パワーコンディショナ8の出力を抑制または停止させることがないため、太陽電池4の電力を有効に活用することができる。さらに、負荷群9の動作に対する影響もない。
[その他の実施の形態]
上述した実施の形態では、パワーコンディショナ2が、双方向DC/DC変換器30を備える構成について説明したが、当該構成に限られない。たとえば、パワーコンディショナ2が、双方向DC/DC変換器30を備えておらず、蓄電池5に双方向DC/AC変換器20が直接接続されている構成であってもよい。この場合、蓄電池5と双方向DC/AC変換器20と接続する直流バスの電圧は、蓄電池5の電池電圧で一定となる。
[まとめ]
本発明の実施の形態は次のように要約することができる。
(1) 蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2の制御装置10A〜10Gは、蓄電池5に充電される充電電力を監視する電力監視部11A〜11Gと、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2に対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8、および負荷群9にパワーコンディショナ2を接続する交流電力線7と、蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20に指示を与える指示部13A〜13Gとを備える。充電電力が予め定められた条件を満たした場合に、指示部13A〜13Gは、交流電力線7への出力電圧を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
上記構成によると、パワーコンディショナ8が通常有している系統電圧の異常に対する保護機能を利用して、パワーコンディショナ8の出力を抑制または停止させることができる。これにより、パワーコンディショナ2は自立運転を継続でき、パワーコンディショナ8もパワーコンディショナ2に対して連系運転を継続することができる。
(2) 充電電力が基準電力値P1に到達した場合、指示部13Aは、出力電圧の実効値を増大させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
上記構成によると、パワーコンディショナ8が系統電圧の電圧値の異常に対する保護機能を利用して、パワーコンディショナ8の出力を抑制させることができる。
(3) 交流電力線7の電圧の実効値が閾値Th1以上であって閾値Th1より大きい閾値Th2未満である場合、パワーコンディショナ8は、交流電力線7への出力電力を抑制するように構成されている。指示部13Aは、閾値Th1以上かつ閾値Th2未満となるように出力電圧の実効値を変化させる指示を双方向DC/AC変換器20に与える。
上記構成によると、より確実にパワーコンディショナ8の出力を抑制させることができる。
(4)制御装置10B〜10Fは、単位時間当たりの充電電力の変化量と、現在の充電電力とに基づいて、予め定められた時間Tx経過後の充電電力が基準電力値P1に到達しているか否かを判定する判定部12B〜12Fをさらに備える。予め定められた時間Tx経過後に充電電力が基準電力値P1に到達していると判定部12B〜12Fにより判定された場合、指示部13B〜13Fは、交流電力線7への出力電圧を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
上記構成によると、将来的に充電電力が基準電力値P1に到達するか否か予測することができるため、負荷群9の消費電力の変化が大きい場合であってもパワーコンディショナ2は自立運転を継続でき、パワーコンディショナ8もパワーコンディショナ2に対して連系運転を継続することができる。
(5) 指示部13Bは、出力電圧の実効値を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
上記構成によると、パワーコンディショナ8が系統電圧の電圧値の異常に対する保護機能を利用して、パワーコンディショナ8の出力を抑制または停止させることができる。
(6) 交流電力線7の電圧の実効値が予め定められた範囲外である場合、パワーコンディショナ8は、交流電力線7への電力の出力を停止するように構成されている。指示部13Bは、出力電圧の実効値を予め定められた範囲外に変化させる指示を双方向DC/AC変換器20に与える。
上記構成によると、より確実にパワーコンディショナ8の出力を抑制または停止させることができる。
(7) 指示部13Cは、出力電圧の周波数を予め定められた周波数範囲外に変化させる指示を双方向DC/AC変換器20に与える。
上記構成によると、パワーコンディショナ8による系統電圧の周波数の異常に対する保護機能を利用して、パワーコンディショナ8の出力を停止させることができる。
(8) 指示部13Dは、出力電圧のゼロクロス点付近で位相跳躍を発生させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
上記構成によると、負荷群9の動作に大きな影響を与えることなく、パワーコンディショナ8の出力を停止させることができる。
(9) 交流電力線7は、電圧線U,Vと中性線Oとを有する単相3線式電力線を含む。指示部13Eは、電圧線Uおよび中性線Oから構成されるU相への出力電圧、および電圧線Vおよび中性線Oから構成されるV相への出力電圧のうち少なくとも一方の位相をシフトさせるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
上記構成によると、U相およびV相に接続されている負荷の動作に影響を与えることなく、パワーコンディショナ8の出力を停止させることができる。
(10) 充電電力が基準電力値P1よりも大きい基準電力値P2に到達した場合、指示部13Gは、充電電力が基準電力値P2に到達した到達時刻から予め定められた時間Tx経過後までの間、到達時刻における出力電圧の極性とは逆の極性に出力電圧を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する。
上記構成によると、瞬時にパワーコンディショナ8に異常状態を認識させ、出力を停止させることができる。また、負荷群9の動作に大きな影響を与えることもない。
(11) 指示部13Fは、出力電圧の電圧波形を、基本周波数の基本波成分に予め定められた次数の高調波成分が重畳された電圧波形にするように双方向DC/AC変換器20に指示する。
上記構成によると、基本波成分と比較して高調波成分が小さいため、負荷の動作に対する影響を小さくして、パワーコンディショナ8の出力を停止させることができる。
(12) 蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2Hの制御装置10Hであって、蓄電池5に充電される充電電力を監視する電力監視部11Hと、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2Hに対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8と、負荷群9と、パワーコンディショナ2Hとを接続する交流電力線7に設けられたスイッチSWpを制御する開閉器制御部15Hとを備える。充電電力が基準電力値P1に到達した場合、開閉器制御部15Hは、スイッチSWpを開放させることにより、パワーコンディショナ2Hおよび負荷群9からパワーコンディショナ8を切り離す。
上記構成によると、パワーコンディショナ2Hは自立運転を停止することなく、負荷群9への電力供給を継続することができる。また、パワーコンディショナ8の電力の出力経路を遮断する開閉器を設けているため、より確実に早くパワーコンディショナ8からの出力を停止させることができる。
(13) 蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2Iの制御装置10Iであって、蓄電池5に充電される充電電力を監視する電力監視部11Iと、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2Iに対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8、負荷群9およびパワーコンディショナ2Iと、電力調整用負荷92とを接続または遮断するためのスイッチSWldを制御する開閉器制御部15Iとを備える。充電電力が基準電力値P1に到達した場合、開閉器制御部15Iは、スイッチSWldを閉成させることにより、パワーコンディショナ2I、パワーコンディショナ8および負荷群9と電力調整用負荷92とを接続させる。
上記構成によると、パワーコンディショナ2Iは自立運転を継続でき、パワーコンディショナ8もパワーコンディショナ2Iに対して連系運転を継続することができる。また、太陽電池4の電力を有効に活用することができ、負荷群9の動作に対する影響もない。
(14) 蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2であって、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2に対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8、および負荷群9にパワーコンディショナ2を接続する交流電力線7と、蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20と、制御装置10A〜10Gとを備える。制御装置10A〜10Gは、蓄電池5に充電される充電電力を監視する電力監視部11A〜11Gと、充電電力が予め定められた条件を満たした場合、交流電力線7への出力電圧を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する指示部13A〜13Gとを含む。
上記構成によると、パワーコンディショナ8が通常有している系統電圧の異常に対する保護機能を利用して、パワーコンディショナ8の出力を抑制または停止させることができる。これにより、パワーコンディショナ2は自立運転を継続でき、パワーコンディショナ8もパワーコンディショナ2に対して連系運転を継続することができる。
(15) 蓄電池5に接続されたパワーコンディショナ2と、太陽電池4に接続されたパワーコンディショナ8とを備える電力システムであって、パワーコンディショナ2は、系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されている。パワーコンディショナ8は、パワーコンディショナ2に対して連系運転を行なうように構成されている。パワーコンディショナ2は、パワーコンディショナ8、および負荷群9にパワーコンディショナ2を接続する交流電力線7と、蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20と、制御装置10A〜10Gとを含む。制御装置10A〜10Gは、蓄電池5に充電される充電電力を監視する電力監視部11A〜11Gと、充電電力が予め定められた条件を満たした場合、交流電力線7への出力電圧を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示する指示部13A〜13Gとを有する。
上記構成によると、パワーコンディショナ8が通常有している系統電圧の異常に対する保護機能を利用して、パワーコンディショナ8の出力を抑制または停止させることができる。これにより、パワーコンディショナ2は自立運転を継続でき、パワーコンディショナ8もパワーコンディショナ2に対して連系運転を継続することができる。
(16) 蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2の制御方法であって、蓄電池5に充電される充電電力を監視するステップと、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2に対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8、および負荷群9にパワーコンディショナ2を接続する交流電力線7と、蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20に指示を与えるステップとを含む。指示を与えるステップは、充電電力が予め定められた条件を満たした場合に、交流電力線7への出力電圧を変化させるように双方向DC/AC変換器20に指示することを含む。
上記構成によると、パワーコンディショナ8が通常有している系統電圧の異常に対する保護機能を利用して、パワーコンディショナ8の出力を抑制または停止させることができる。これにより、パワーコンディショナ2は自立運転を継続でき、パワーコンディショナ8もパワーコンディショナ2に対して連系運転を継続することができる。
(17) 蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2Hであって、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2Hに対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8、および負荷群9にパワーコンディショナ2Hを接続する交流電力線7と、蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20と、制御装置10Hとを備える。制御装置10Hは、蓄電池5に充電される充電電力を監視する電力監視部11Hと、交流電力線7に設けられたスイッチSWpを制御する開閉器制御部15Hとを含む。充電電力が基準電力値P1に到達した場合、開閉器制御部15Hは、スイッチSWpを開放させることにより、パワーコンディショナ2Hおよび負荷群9からパワーコンディショナ8を切り離す。
上記構成によると、パワーコンディショナ2Hは自立運転を停止することなく、負荷群9への電力供給を継続することができる。また、パワーコンディショナ8の電力の出力経路を遮断する開閉器を設けているため、より確実に早くパワーコンディショナ8からの出力を停止させることができる。
(18) 蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2Iであって、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2Iに対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8、および負荷群9にパワーコンディショナ2Iを接続する交流電力線7と、蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20と、制御装置10Iとを備える。制御装置10Iは、蓄電池5に充電される充電電力を監視する電力監視部11Iと、パワーコンディショナ8、負荷群9およびパワーコンディショナ2Iと、電力調整用負荷92とを接続または遮断するためのスイッチSWldを制御する開閉器制御部15Iとを含む。充電電力が基準電力値P1に到達した場合、開閉器制御部15Iは、スイッチSWldを閉成させることにより、パワーコンディショナ2I、パワーコンディショナ8および負荷群9と電力調整用負荷92とを接続させる。
上記構成によると、パワーコンディショナ2Iは自立運転を継続でき、パワーコンディショナ8もパワーコンディショナ2Iに対して連系運転を継続することができる。また、太陽電池4の電力を有効に活用することができ、負荷群9の動作に対する影響もない。
上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。
また、上述した実施の形態において、他の実施の形態で説明した処理や構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。