以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<システムの全体構成>
まず、本実施の形態に従う電力システムの全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態に従う電力システムの全体構成を示す模式図である。図1を参照して、電力システムは、パワーコンディショナ2と、分電盤3と、太陽電池4と、蓄電池5と、系統電源6と、交流電力線7と、パワーコンディショナ8と、負荷群9とを含む。電力システムの一部は、たとえば、住宅やオフィスなどの家屋内に設置される。
系統電源6は、たとえば、商用電力系統であり、交流電力線7を介して単相3線式の交流電力を家庭に供給する。交流電力線7は、単相3線式の電力線であり、2つの電圧線と中性線とを含む。交流電力線7は、分電盤3を介して、パワーコンディショナ2,8および負荷群9に配線される。すなわち、交流電力線7は、パワーコンディショナ2,8、系統電源6および負荷群9を互いに接続するための電力線である。
より具体的には、交流電力線7は、系統電源6とスイッチSWaとを接続する配線71と、スイッチSWaと負荷群9とを接続する配線75と、配線71に接続される配線72と、配線75に接続される配線73,74とを含む。配線72は、パワーコンディショナ2の連系リレーRL1に接続される。配線73は、パワーコンディショナ2の自立リレーRL2に接続される。配線74は、パワーコンディショナ8に接続される。
分電盤3は、スイッチSWaと、スイッチSWbとを含む。スイッチSWaは配線71および配線75の間に設けられており、スイッチSWbは配線73上に設けられている。
負荷群9は、複数の電気機器で構成されている。電気機器は、たとえば、AC100V用の扇風機、掃除機、冷蔵庫、またはAC200V用のエアコンなどである。なお、電気機器は、これに限らず、テレビ、パソコン、電子レンジなどであってもよい。典型的には、負荷群9は、複数の電気機器で構成されているが、単一の電気機器で構成されていてもよい。
パワーコンディショナ2は、パワーコンディショナ2の動作を制御するための制御装置10と、直流電力と交流電力とを双方向に変換する双方向DC/AC変換器20と、双方向に直流電力の電圧変換が可能な双方向DC/DC変換器30と、連系リレーRL1と、自立リレーRL2とを含む。
連系リレーRL1は、パワーコンディショナ2が系統電源6と連系して負荷群9に交流電力を供給する(連系運転する)場合に閉成(オン)状態となる。自立リレーRL2は、パワーコンディショナ2が系統電源6から自立して負荷群9に交流電力を供給する(自立運転する)場合に閉成(オン)状態となる。典型的には、制御装置10は、連系リレーRL1および自立リレーRL2の開閉動作を制御する。
また、パワーコンディショナ2は、交流電力線7から交流電力を取り込んで蓄電池5に充電する一方で、蓄電池5からの直流電力を交流電力線7に供給(放電)することができる。なお、パワーコンディショナ2の詳細な構成については後述する。
蓄電池5は、再充電可能な電力貯蔵要素であり、代表的にリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池で構成される。蓄電池5は、複数の電池セルを直列接続して構成されている。なお、蓄電池5は、電気自動車、ハイブリッド車などに搭載されている蓄電池で構成されていてもよい。
パワーコンディショナ8は、DC/DC変換器84と、DC/AC変換器82とを含む。DC/DC変換器84は、太陽電池4とDC/AC変換器82との間に接続され、太陽電池4から受ける直流電力を電圧変換してDC/AC変換器82へ供給する。DC/AC変換器82は、DC/DC変換器84から受けた直流電力を交流電力に変換して、交流電力線7(配線74)に供給する。典型的には、DC/DC変換器84は、太陽電池4から最大の電力を取得できるような制御(いわゆる最大電力点追従制御)を行なう。
また、パワーコンディショナ8は、系統連系規定に定められた基準、あるいはJET(一般財団法人 電気安全環境研究所)の認証基準を充足しているものが採用される。そのため、パワーコンディショナ8は、連系運転時における系統電圧の電圧値や周波数の異常に対する保護機能を有している。具体的には、パワーコンディショナ8は、系統電圧の電圧値の上昇を検出すると出力を抑制または一時停止する機能を有している。また、パワーコンディショナ8は、系統電圧の周波数や位相の異常を検出すると出力を一時停止する機能を有している。
太陽電池4は、結晶型太陽電池、多結晶型太陽電池または薄膜型太陽電池などで構成される。なお、太陽電池4は、「発電装置」の一例である。発電装置は、風力、水力、潮力、波力、地熱などの自然エネルギーにより発電する発電装置、燃料電池、プラズマ発電装置など直流電力を発電するものであればよく、特に限定されるものではない。また、発電装置はこれらの組み合わせでもよい。
<システムの動作概要>
続いて、図1を参照しながら、本実施の形態に従う電力システムの動作概要について説明する。
(連系時の動作)
系統電源6が停電していない場合には、スイッチSWaは閉成(オン)状態、スイッチSWbは開放(オフ)状態となっている。典型的には、スイッチSWa,SWbの開閉動作は、パワーコンディショナ2の制御装置10によって制御される。
パワーコンディショナ2は、連系リレーRL1をオン状態(および自立リレーRL2をオフ状態)にして、系統電源6と連系される。パワーコンディショナ2は、系統電源6の交流電圧に同期して蓄電池5からの放電電流、蓄電池5への充電電流を制御して、蓄電池5から放電させたり、蓄電池5に充電したりすることが可能である。
また、パワーコンディショナ8も、系統電源6と連系される。パワーコンディショナ8は、太陽電池4の発電電力を交流電力線7(配線74)に最大出力できるように最大電力点追従制御を行なう。
(停電時の動作)
パワーコンディショナ2は、系統電源6の停電を検出した場合、スイッチSWaをオフ状態、スイッチSWbをオン状態、連系リレーRL1をオフ状態、自立リレーRL2をオン状態にする。これにより、パワーコンディショナ2、パワーコンディショナ8および負荷群9は、系統電源6から解列される。なお、パワーコンディショナ2、パワーコンディショナ8および負荷群9は、交流電力線7(配線73,74,75)を介して、互いに接続される。
図1中の電力システムでは、系統電源6が停電して、パワーコンディショナ2,8が系統電源6から解列された場合、交流電力線7に電力を供給可能な装置は、蓄電池5および太陽電池4となる。系統電源6が停電した場合には、典型的には、負荷群9への電力供給は一旦停止されることとなるが、パワーコンディショナ2が、連系運転から自立運転に切り替わり、自立運転をしているパワーコンディショナ2に対してパワーコンディショナ8が連系運転をすることにより負荷群9への電力供給が再開される。すなわち、系統電源6から解列された場合、パワーコンディショナ2は連系運転から自立運転に切り替わり、パワーコンディショナ8は連系運転のままとなる。なお、系統電源6が停電した場合において、パワーコンディショナ2が、瞬時に連系運転から自立運転に切り替わり、自立運転をしているパワーコンディショナ2に対してパワーコンディショナ8が連系運転をすることにより負荷群9への電力供給が継続されるような構成であってもよい。
パワーコンディショナ2は、自立運転時には定電圧制御を行なう。典型的には、パワーコンディショナ2は、系統電源6から供給されていた交流電圧と同一の周波数、同一の実効値を有する交流電圧を交流電力線7(配線73)に出力する。たとえば、系統電源6から単相3線式で200Vの交流電圧が供給されていた場合には、パワーコンディショナ2は、各相に100Vの交流電圧を交流電力線7に出力する。
パワーコンディショナ2が後述する本実施の形態に従うスイッチング制御方式を用いて定電圧制御を行なうことにより、太陽電池4の発電電力が負荷群9の消費電力よりも大きい場合には、余剰電力がパワーコンディショナ2を介して蓄電池5に充電される。また、太陽電池4の発電電力が負荷群9の消費電力よりも小さい場合には、不足電力がパワーコンディショナ2を介して蓄電池5から放電される。このように、系統電源6が停電している場合であっても、パワーコンディショナ2が後述するスイッチング制御方式を用いて定電圧制御を行なうことにより、電力システムにおける電力の需給バランスを自動的にコントロールすることが可能となる。
また、従来、蓄電池用のパワーコンディショナ(本実施の形態では、パワーコンディショナ2)が自立運転しており、蓄電池が電源として機能している場合に、この蓄電池に他の電源(たとえば、太陽電池など)からの電力を充電することは想定されていなかった。
しかしながら、本実施の形態に従うパワーコンディショナ2は、後述するスイッチング制御方式に従って動作する双方向DC/AC変換器20を採用していることから、自立運転時において、蓄電池5から交流電力線7を介して負荷群9に電力を供給することが可能であるとともに、太陽電池4の発電電力で蓄電池5を充電することも可能である。
<パワーコンディショナ2の構成>
次に、パワーコンディショナ2の具体的な構成について説明する。
図2は、実施の形態に従うパワーコンディショナ2の構成を示す模式図である。図2を参照して、パワーコンディショナ2は、制御装置10と、双方向DC/AC変換器20と、双方向DC/DC変換器30と、電流センサ41,42と、電圧センサ51,52と、リアクトルL1〜L3と、端子201〜205とを含む。なお、リアクトルL1〜L3は、双方向DC/AC変換器20に含まれる構成であってもよい。
以下では、基本的に、パワーコンディショナ2が自立運転を行なっている場合の構成について説明する。そのため、図2では、説明の便宜上、連系リレーRL1および自立リレーRL2が図示されていないが、連系リレーRL1がオフ状態、かつ自立リレーRL2がオン状態であるものとする。また、端子201〜203は、配線73に接続されているものとする。
端子204および端子205には、直流バス150を介して蓄電池5からの直流電力が入力される、または、双方向DC/DC変換器30からの直流電力が入力される。直流バス150は、蓄電池5からの直流電力をパワーコンディショナ2に伝達したり、パワーコンディショナ2からの直流電力を蓄電池5に伝達したりする電力線である。直流バス150は、電力線対である正母線PLおよび負母線SLで構成される。
双方向DC/DC変換器30は、端子204および端子205を介して受けた直流電力を電圧変換して双方向DC/AC変換器20に供給する。また、双方向DC/DC変換器30は、双方向DC/AC変換器20から受けた直流電力を電圧変換して端子204、端子205および直流バス150を介して蓄電池5に供給する。
双方向DC/AC変換器20は、双方向DC/DC変換器30から受けた直流電力を単相3線式の交流電力に変換して、その交流電力を端子201〜203を介して交流電力線7(配線73)に供給する。また、双方向DC/AC変換器20は、交流電力線7から受けた交流電力を直流電力に変換して内部直流バス152を介して双方向DC/DC変換器30に供給する。
端子201には、電圧線Uが接続される。端子202には、中性線Oが接続される。端子203には、電圧線Vが接続される。たとえば、端子201と端子202との間(電圧線Uと中性線Oとの間)には、電圧が100Vの交流電力が出力される。端子203と端子202との間(電圧線Vと中性線Oとの間)には、電圧が100Vの交流電力が出力される。端子201と端子203との間(電圧線Uと電圧線Vとの間)には、電圧が200Vの交流電力が出力される。
本開示においては、電圧線Uと中性線Oとの間、すなわち第1相を、以後「U相」とも称して図示する。電圧線Vと中性線Oとの間、すなわち第2相を、以後「V相」とも称して図示する。
電流センサ41は、たとえば端子201およびリアクトルL1の間に設けられる。電流センサ41は、電圧線Uに流れる電流(以下「U線電流」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電流センサ41の検出結果には、U線電流の電流値Iuが含まれる。電流センサ42は、たとえば端子203およびリアクトルL3の間に設けられる。電流センサ42は、電圧線Vに流れる電流(以下「V線電流」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電流センサ42の検出結果には、V線電流の電流値Ivが含まれる。
電圧センサ51は、電圧線Uと中性線Oとの間に接続され、U相の電圧(以下、単に「U相電圧」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電圧センサ51の検出結果には、U相電圧の電圧値Vuが含まれる。電圧センサ52は、電圧線Vと中性線Oとの間に接続され、V相の電圧(以下、単に「V相電圧」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電圧センサ52の検出結果には、V相電圧の電圧値Vvが含まれる。
制御装置10は、パワーコンディショナ2の動作を制御する。制御装置10は、回路等のハードウェアで実現されてもよいし、図示しないCPU(Central Processing Unit)を含み、CPUが図示しないメモリに格納されたデータおよびプログラムを実行することによって実現される構成であってもよい。
制御装置10は、双方向DC/AC変換器20および双方向DC/DC変換器30に動作指示を行なう。具体的には、制御装置10は、自立運転時において、電圧値Vu,Vvに基づいて、後述するスイッチング制御方式を用いて、U相およびV相への出力電圧が予め定められた電圧(たとえば、実効値が101Vrms)になるように双方向DC/AC変換器20に指示する。また、制御装置10は、自立運転時において、内部直流バス152の電圧値が一定になるように双方向DC/DC変換器30に指示する。双方向DC/DC変換器30および双方向DC/AC変換器20が上記指示に従って動作することにより、蓄電池5に余剰電力を充電したり、蓄電池5から不足電力を放電したりすることが可能となる。
まず、太陽電池4の発電電力が負荷群9の消費電力よりも大きい場合など、蓄電池5が吸収すべき余剰電力が発生している場合を考える。この場合には、双方向DC/AC変換器20には、配線73から電流が流れ込んでくる。この場合、双方向DC/DC変換器30および双方向DC/AC変換器20は、制御装置10の指示に従って、蓄電池5に余剰電力を充電するように動作する。
これに対して、太陽電池4の発電電力が負荷群9の消費電力よりも小さい場合など、蓄電池5が補うべき不足電力が発生している場合を考える。この場合には、双方向DC/AC変換器20から配線73側に電流が流れていく。この場合、双方向DC/DC変換器30および双方向DC/AC変換器20は、制御装置10の指示に従って、蓄電池5から不足電力を放電するように動作する。
このように、制御装置10は、双方向DC/AC変換器20および双方向DC/DC変換器30を動作させることにより、余剰電力が発生した場合には蓄電池5にその電力を充電させ、不足電力が発生した場合には蓄電池5からその電力を放電させることができる。
なお、上記では、パワーコンディショナ2が、双方向DC/DC変換器30を備える構成について説明したが、当該構成に限られない。たとえば、パワーコンディショナ2が、双方向DC/DC変換器30を備えておらず、蓄電池5に双方向DC/AC変換器20が直接接続されている構成であってもよい。この場合、蓄電池5と双方向DC/AC変換器20と接続する直流バスの電圧は、蓄電池5の電池電圧で一定となる。
<制御装置10の構成>
図3は、本実施の形態に従う制御装置10の構成を示す模式図である。図3を参照して、制御装置10は、電圧入力部11と、停電検出部12と、開閉制御部13と、電圧制御部14とを含む。これらの機能は、主に、制御装置10AのCPUがメモリに格納されたプログラムを実行することなどによって実現される。なお、これらの構成の一部または全部はハードウェアで実現されていてもよい。
電圧入力部11は、交流電力線7の電圧値の入力を受け付ける。具体的には、連系運転時(連系リレーRL1がオン、自立リレーRL2がオフの場合)には、電圧入力部11は、配線72の電圧値の入力を受け付ける。自立運転時(連系リレーRL1がオフ、自立リレーRL2がオンの場合)には、電圧入力部11は、配線73の電圧値の入力を受け付ける。
さらに詳細には、電圧入力部11は、電圧センサ51により検出されたU相電圧の電圧値Vuと、電圧センサ52により検出されたV相電圧の電圧値Vvとの入力を受け付ける。電圧入力部11は、電圧値Vu,Vvを停電検出部12および電圧制御部14に送出する。なお、電圧入力部11は、常時、電圧センサ51,52からの検出結果の入力を受け付けている。そのため、電圧入力部11は、U相電圧の電圧波形(電圧値、周波数、位相など)およびV相電圧の電圧波形を把握することができる。
停電検出部12は、電圧値Vu,Vvを監視して、系統電源6の停電を検出する。たとえば、停電検出部12は、電圧値Vuまたは電圧値Vvが閾値電圧Vth以下の場合には系統電源6が停電していると判断する。停電検出部12は、検出結果を開閉制御部13および電圧制御部14に送出する。
開閉制御部13は、交流電力線7上に設けられたスイッチSWa,SWbの開閉動作を制御する。具体的には、停電検出部12により系統電源6の停電が検出された場合、開閉制御部13は、パワーコンディショナ2を系統電源6から解列するとともに、パワーコンディショナ2とパワーコンディショナ8と負荷群9とを互いに接続するようにスイッチSWa,SWbを開閉させる。すなわち、開閉制御部13は、スイッチSWaをオフにし、スイッチSWbをオンにする。
また、開閉制御部13は、連系リレーRL1および自立リレーRL2の開閉動作を制御するように構成されていてもよい。具体的には、系統電源6が停電していない場合には、開閉制御部13は、連系リレーRL1をオン、自立リレーRL2をオフにする。系統電源6が停電している場合には、開閉制御部13は、連系リレーRL1をオフ、自立リレーRL2をオンにする。
電圧制御部14は、交流電力線7の電圧値(電圧値Vu,Vv)に基づいて、双方向DC/AC変換器20から交流電力線7(U相およびV相)に出力される電圧を制御する。電圧制御部14は、双方向DC/AC変換器20からU相およびV相に出力される電圧を制御するためのスイッチング制御信号S1〜S6を生成する。
具体的には、電圧制御部14は、電圧センサ51により検出された電圧値VuとU相の電圧目標値Vu*との差から電圧偏差ΔVuを演算する。電圧制御部14は、フィードバック制御(たとえば、PI制御)演算に従って、電圧偏差ΔVuを補償する(ゼロに近づける)ように電圧指令値Vurを設定する。電圧制御部14は、搬送波信号(たとえば、三角波信号)と当該電圧指令値Vurとを比較して、その電圧値の大小関係に応じた2値信号からなる各トランジスタQ1,Q2のオンオフを制御するためのスイッチング制御信号S1,S2を生成する。
また、電圧制御部14は、制御周期であるスイッチング周期(1周期)のうち、トランジスタQ3がオンする期間と、トランジスタQ4がオンする期間とが同じになるようにスイッチング制御信号S3,S4を生成する。たとえば、スイッチング制御信号S3,S4のデューティー比は、50%である。
さらに、電圧制御部14は、電圧センサ52により検出された電圧値VvとV相の電圧目標値Vv*との差から電圧偏差ΔVvを演算する。電圧制御部14は、フィードバック制御演算に従って、電圧偏差ΔVvを補償するように電圧指令値Vvrを設定する。電圧制御部14は、搬送波信号と当該電圧指令値Vvrとを比較して、その電圧値の大小関係に応じた2値信号からなる各トランジスタQ5,Q6のオンオフを制御するためのスイッチング制御信号S5,S6を生成する。
なお、電圧制御部14は、以下に説明するようにスイッチング制御信号S1〜S6を生成してもよい。具体的には、電圧制御部14は、電圧センサ51により検出された電圧値Vuと電圧値Vvとの和(Vu+Vv)と、電圧線Uおよび電圧線V間の電圧目標値Vuv*との差から電圧偏差ΔVuvを演算する。電圧制御部14は、フィードバック制御演算に従って、電圧偏差ΔVuvを補償する(ゼロに近づける)ように電圧指令値Vuvrを設定する。電圧制御部14は、搬送波信号と当該電圧指令値Vuvrとを比較して、その電圧値の大小関係に応じた2値信号からなる各トランジスタQ1,Q2のオンオフを制御するためのスイッチング制御信号S1,S2を生成する。
また、電圧制御部14は、フィードバック制御演算に従って、電圧値Vuと電圧値Vvとの差を補償する(ゼロにする)ように電圧指令値Vоrを設定する。電圧制御部14は、搬送波信号と当該電圧指令値Vоrとを比較して、その電圧値の大小関係に応じた2値信号からなる各トランジスタQ3,Q4のオンオフを制御するためのスイッチング制御信号S3,S4を生成する。
さらに、電圧制御部14は、搬送波信号と電圧指令値Vuvrの逆符号の電圧指令値(すなわち、−Vuvr)とを比較して、その電圧値の大小関係に応じた2値信号からなる各トランジスタQ5,Q6のオンオフを制御するためのスイッチング制御信号S5,S6を生成する。
また、停電検出部12により系統電源6の停電が検出された場合、電圧制御部14は、予め定められた電圧を交流電力線7に出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。予め定められた電圧は、典型的には、系統電源6から供給されていた交流電圧と同一の周波数、同一の実効値を有する交流電圧であるが、当該交流電圧には限られない。たとえば、予め定められた電圧は、パワーコンディショナ8により交流電力線7(配線74)の電圧の異常が検出されないような交流電圧であればよい。
上述したように、パワーコンディショナ8は、連系運転時における系統電圧の電圧値や周波数の異常に対する保護機能を有しており、系統電圧の電圧値、周波数や位相の異常を検出すると出力を抑制または一時停止する。そこで、パワーコンディショナ2は、少なくとも、パワーコンディショナ8が交流電力線7(配線74)への出力電力を抑制(または停止)させたりすることがないように、交流電力線7に適切な交流電圧を出力する。
パワーコンディショナ8は、交流電力線7(配線74)の電圧の実効値が予め定められた範囲(たとえば、101Vrms±6Vrms)外である場合、交流電力線7への出力電力を抑制または停止するように構成されている。また、パワーコンディショナ8は、交流電力線7の電圧の周波数が予め定められた周波数範囲外であることを検出した場合、交流電力線7への電力の出力を停止するように構成されている。たとえば、予め定められた周波数範囲は、基本周波数が50Hzの場合には48.5Hz〜51Hzである。
したがって、予め定められた電圧は、その実効値が予め定められた範囲(101Vrms±6Vrms)内であり、かつその周波数が予め定められた周波数範囲(48.5Hz〜51Hz)内であればよい。典型的には、予め定められた電圧範囲および周波数範囲は、それぞれ制御装置10のメモリに記憶されている。
<電圧制御方式>
パワーコンディショナ2は、以下に示すスイッチング制御方式に従って動作する双方向DC/AC変換器20を備えている。そのため、パワーコンディショナ2は、系統電源6が停電している場合であっても、蓄電池5の充電時および放電時に応じてスイッチング制御方式を変更することなく、負荷群9に蓄電池5からの電力を放電するだけではなく、太陽電池4により発電された電力で蓄電池5を充電することが可能となる。ここでは、蓄電池5の充放電を適切に実行するために、電圧制御部14が行なう電圧制御方式について説明する。具体的には、双方向DC/AC変換器20に設けられている複数のスイッチング素子のオンオフ動作の制御方式について説明する。
(双方向DC/AC変換器20)
まず、双方向DC/AC変換器20の具体的な構成について説明する。
図4は、本実施の形態に従う双方向DC/AC変換器の構成を示す図である。図4を参照して、双方向DC/AC変換器20は、互いに並列接続されたレグ21、レグ22およびレグ23を含む。
レグ21は、上アーム(トランジスタQ1およびダイオードD1)と下アーム(トランジスタQ2およびダイオードD2)とを含む。レグ22は、上アーム(トランジスタQ3およびダイオードD3)と下アーム(トランジスタQ4およびダイオードD4)とを含む。レグ23は、上アーム(トランジスタQ5およびダイオードD5)と下アーム(トランジスタQ6およびダイオードD6)とを含む。
トランジスタQ1,Q2は、直流バス150(または内部直流バス152)を構成する正母線PLおよび負母線SLの間に直列に接続される。トランジスタQ1とトランジスタQ2との中間点は、リアクトルL1に接続される。
トランジスタQ3,Q4は、正母線PLおよび負母線SLの間に直列に接続される。トランジスタQ3とトランジスタQ4との中間点は、リアクトルL2に接続される。
トランジスタQ5,Q6は、正母線PLおよび負母線SLの間に直列に接続される。トランジスタQ5とトランジスタQ6との中間点は、リアクトルL3に接続される。
なお、トランジスタQ1〜Q6として、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。または、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)などの電力スイッチング素子が用いられてもよい。
トランジスタQ1〜Q6は、それぞれ制御装置10(電圧制御部14)からのスイッチング制御信号S1〜S6に応答してオン/オフする。トランジスタQ1〜Q6を所定のタイミングでオン/オフさせることにより、蓄電池5から供給される直流電力を単相3線式の交流電力に変換(または、交流電力線7から供給される交流電力を直流電力に変換)することができる。
(比較例1に従うスイッチング制御方式)
次に、電圧制御部14によるスイッチング制御方式と比較するために、比較例1に従うスイッチング制御方式について説明する。
図5および図6は、比較例1に従うスイッチング制御方式を説明するための図である。なお、ここでは、説明の容易化のため、U相電圧を制御するために設けられているトランジスタQ1〜Q4のスイッチング制御方式について説明する。また、電圧線Uの電位(以下「U線電位」と称する。)が中性線Oの電位(以下「O線電位」と称する。)よりも高く、O線電位が電圧線Vの電位(以下「V線電位」)よりも高い状態であるとする。これは、以下の図7および図8でも同様である。
図5に示すように、比較例1に従うスイッチング制御方式では、スイッチング周期中に、トランジスタQ1をオン状態、トランジスタQ2,Q3をオフ状態に固定しておき、トランジスタQ4のオン状態およびオフ状態を切り替えることにより、U相に交流電圧が印加される。ここで、電力を消費する負荷、および電力供給源として動作する発電用のパワーコンディショナ(たとえば、太陽電池用のパワーコンディショナ)がU相に接続されているとする。このような場合に、負荷の消費電力が、発電用のパワーコンディショナの出力電力よりも大きいときには、双方向DC/AC変換器20側から負荷側に電流が流れていく。
具体的には、図5(a)のように、トランジスタQ4がオン状態のときには、図5(a)中の矢印の方向に電流が流れていき、U相に蓄電池5の電圧(たとえば、380V)が印加される。一方、図5(b)のように、トランジスタQ4がオフ状態のときには、図5(b)中の矢印の方向に電流が流れていき、U相に蓄電池5の電圧が印加されない(すなわち、ゼロ電圧が印加される)。
そのため、スイッチング周期中において、U相電圧を増加させる(U相に正電圧が出力される)電圧印加期間(図5(a))と、U相電圧を低下させる(U相にゼロ電圧が出力される)還流期間(図5(b))とを調整することにより、U相電圧を目標電圧に設定することができる。
一方、負荷の消費電力が、発電用のパワーコンディショナの出力電力よりも小さいときには、図6に示すように、双方向DC/AC変換器20に電流が流れ込んでくる。そのため、この電流の向きの場合にも、U相電圧を目標電圧に維持する必要がある。
ここで、比較例1に従うスイッチング方式は、トランジスタQ4のオン状態およびオフ状態を切り替える方式である。たとえば、図6(a)中の矢印の方向に電流を流すことができれば、U相電圧を低下させることができる。しかし、トランジスタQ3はオフ状態であり、かつダイオードD3も図6(a)中の矢印の方向には電流を通過させないため、実際には図6(b)中の矢印の方向に電流が流れることになりU相電圧を増加させる。また、トランジスタQ4がオン状態のときにも、図6(b)中の矢印の方向に電流が流れるため、U相電圧を増加させる。すなわち、電流の向きが、双方向DC/AC変換器20に電流が流れ込んでくる向きの場合には、比較例1に従うスイッチング方式では、U相電圧を増加させる期間のみが存在し、U相電圧を低下させる期間が存在しないため、U相電圧を目標電圧に設定することはできないことになる。
(比較例2に従うスイッチング制御方式)
次に、比較例2に従うスイッチング制御方式について説明する。
図7および図8は、比較例2に従うスイッチング制御方式を説明するための図である。
比較例2に従うスイッチング制御方式は、外部(たとえば、制御装置など)からの指示により充電モードおよび放電モードに応じてスイッチング制御方式を変更する方式である。図7には放電モードのスイッチング制御方式が示されており、図8には充電モードのスイッチング制御方式が示されている。
放電モードの場合には、スイッチング周期中に、トランジスタQ1をオン状態、トランジスタQ2,Q3をオフ状態に固定しておき、トランジスタQ4のオン状態およびオフ状態を切り替える。すなわち、比較例2に従う放電モードのスイッチング制御方式は、比較例1に従うスイッチング制御方式と同じである。
そのため、負荷の消費電力が発電用のパワーコンディショナの出力電力よりも大きく、図7に示すように双方向DC/AC変換器20側から負荷側に電流が流れていく場合には、スイッチング周期中において、電圧印加期間(図7(a))と、還流期間(図7(b))とが含まれる。そのため、U相電圧を目標電圧に設定することができる。
一方、充電モードの場合には、スイッチング周期中に、トランジスタQ1,Q2,Q4をオフ状態に固定しておき、トランジスタQ3のオン状態およびオフ状態を切り替える。
ここで、負荷の消費電力が、発電用のパワーコンディショナの出力電力よりも小さく、図8に示すように負荷側から双方向DC/AC変換器20側に電流が流れて込んでくる場合を考える。この場合には、図8(a)のように、トランジスタQ3がオフ状態のときには、図8(a)中の矢印の方向に電流が流れていき、U相電圧を増加させる。一方、図8(b)のように、トランジスタQ3がオン状態のときには、図8(b)中の矢印の方向に電流が流れていき、U相電圧を低下させる。そのため、スイッチング周期中において、電圧印加期間(図8(a))と、還流期間(図8(b))とが含まれることから、U相電圧を目標電圧に設定することができる。
しかしながら、比較例2に従うスイッチング制御方式では、負荷変動や発電用のパワーコンディショナの出力変動が発生した場合には、U相電圧を目標電圧に維持することはできない。
具体的には、放電モードのスイッチング制御方式でスイッチングを実行しているときに(図7)、負荷の消費電力が発電用のパワーコンディショナの出力電力よりも小さくなった場合には、電流の向きが変化して双方向DC/AC変換器20に電流が流れ込んでくることになる。この場合には、スイッチング周期中に、電圧印加期間のみが存在し還流期間が存在しないことから、U相電圧を目標電圧に設定することはできない。
また、充電モードのスイッチング制御方式でスイッチングを実行しているときに(図8)、負荷の消費電力が発電用のパワーコンディショナの出力電力よりも大きくなった場合には、電流の向きが変化して双方向DC/AC変換器20から負荷側に電流が流れていくことになる。この場合にも、スイッチング周期中に、電圧印加期間のみが存在し還流期間が存在しないことから、U相電圧を目標電圧に設定することはできない。
(比較例3に従うスイッチング制御方式)
次に、比較例3に従うスイッチング制御方式について説明する。
比較例3に従うスイッチング制御方式は、上述した比較例2における充電モードのスイッチング制御方式および放電モードのスイッチング制御方式を、出力電圧の極性(正負)と、双方向DC/AC変換器20に流れる電流の向きとに応じて自動的に切り替える方式である。
具体的には、図7に示すように、制御装置は電流センサにより双方向DC/AC変換器20から負荷側に電流が流れていることを検出した場合には、放電モードのスイッチング制御方式を用いて各スイッチング素子をオンオフする。一方、図8に示すように、制御装置は電流センサにより負荷側から双方向DC/AC変換器20に電流が流れ込んでいることを検出した場合には、充電モードのスイッチング制御方式を用いて各スイッチング素子をオンオフする。これにより、U相電圧を目標電圧に設定することができる。
ただし、比較例3に従うスイッチング制御方式を用いる場合には、電流の向きを確実かつ精度よく検出する必要がある。しかしながら、一般的には、電圧や電流のゼロクロス点においては電流の向きの検出が難しい。そのため、放電モードおよび充電モードのスイッチング制御方式の切り替えのタイミングがずれることにより、電圧波形に乱れが生じてしまう可能性が懸念される。
(本実施の形態に従うスイッチング制御方式)
次に、図9および図10を参照して、本実施の形態に従う電圧制御部14が実行するスイッチング制御方式について説明する。
図9は、本実施の形態に従うスイッチング制御方式を説明するための時間波形図である。図10は、図9におけるスイッチング制御方式に従う各スイッチング素子のオンオフ状態を示す図である。具体的には、図10には、スイッチング制御周期(1周期)中の各期間における各スイッチング素子のオンオフ状態が示されている。
ここでは、説明の容易化のため、U線電位がO線電位よりも高く、O線電位がV線電位よりも高い状態であるとする。また、U相に対する電圧指令値Vurの方が、V相に対する電圧指令値Vvrよりも大きいものとする。さらに、電圧制御部14が出力するスイッチング制御信号S3,S4のデューティー比(トランジスタQ1,Q2のスイッチング周期に対するオン期間の割合)は、50%であるとする。
図9および図10を参照して、期間Paでは、スイッチング制御信号S1,S3,S6がH(論理ハイ)レベル、スイッチング制御信号S2,S4,S5がL(論理ロー)レベルとなっている。これらのスイッチング制御信号S1〜S6が電圧制御部14から出力されることにより、トランジスタQ1,Q3,Q6がオン状態となり、トランジスタQ2,Q4,Q5がオフ状態となる。そのため、期間Paは、U相には蓄電池5の電圧が印加(出力)されない期間(還流期間)であり、V相には蓄電池5の正電圧が印加される期間(電圧印加期間)となる。
期間Pbでは、スイッチング制御信号S1,S3,S5がHレベル、スイッチング制御信号S2,S4,S6がLレベルとなっている。そのため、期間Pbは、U相およびV相に蓄電池5の電圧が印加されない期間(還流期間)である。
期間Pcでは、スイッチング制御信号S2,S3,S5がHレベル、スイッチング制御信号S1,S4,S6がLレベルとなっている。そのため、期間Pcは、U相には蓄電池5の負電圧が印加される期間(逆電圧印加期間)であり、V相には蓄電池5の電圧が印加されない期間(還流期間)である。
期間Pdでは、スイッチング制御信号S1,S3,S5がHレベル、スイッチング制御信号S2,S4,S6がLレベルとなっている。そのため、期間Pdは、U相およびV相に蓄電池5の電圧が印加されない期間(還流期間)である。
期間Peでは、スイッチング制御信号S1,S3,S6がHレベル、スイッチング制御信号S2,S4,S5がLレベルとなっている。そのため、期間Peは、U相には蓄電池5の電圧が印加されない期間(還流期間)であり、V相には蓄電池5の正電圧が印加される期間(電圧印加期間)となる。
期間Pfでは、スイッチング制御信号S1,S4,S6がHレベル、スイッチング制御信号S2,S3,S5がLレベルとなっている。そのため、期間Pfは、U相には蓄電池5の正電圧が印加される期間(電圧印加期間)であり、V相には蓄電池5の電圧が印加されない期間(還流期間)である。
以上より、U相については、蓄電池5の充電時(充電される方向に電流が流れている場合)および蓄電池5の放電時(放電される方向に電流が流れている場合)のいずれの場合においても、スイッチング制御周期中に、U相電圧を増加させる電圧印加期間と、U相電圧を低下させる還流期間および逆電圧印加期間とを含んでいることがわかる。そのため、電圧印加期間と、還流期間および逆電圧印加期間とを調整することによりU相電圧を目標電圧に設定することができる。
また、V相についても、蓄電池5の充電時(充電される方向に電流が流れている場合)および蓄電池5の放電時(放電される方向に電流が流れている場合)のいずれの場合においても、スイッチング制御周期中に、V相電圧を増加させる電圧印加期間と、V相電圧を低下させる還流期間とを含んでいることがわかる。そのため、電圧印加期間と、還流期間とを調整することによりV相電圧を目標電圧に設定することができる。
このことから、本実施の形態に従うスイッチング制御方式では、蓄電池5が充電されているのか、それとも放電しているのかを気にすることなくU相およびV相の電圧を目標電圧に設定することができる。また、本実施の形態に従うスイッチング制御方式は、蓄電池5の充電時および放電時に応じてその制御方式を変更する必要がないシームレスなスイッチング制御方式である。そのため、スイッチング制御方式の切り替えタイミングがずれることにより生じる電圧波形の乱れなども防ぐことができる。
なお、上述したスイッチング制御方式は一例である。電圧制御部14は、蓄電池5の充電時および放電時において、U相およびV相の各々について、当該相の電圧を増加させる期間と、当該相の電圧を低下させる期間とが含まれるように、トランジスタQ1〜Q6のオンオフ動作を制御するように構成されていればよい。
具体的には、各相の電圧を増加させる期間は、電圧印加期間である。また、各相の電圧を低下させる期間は、還流期間または逆電圧印加期間である。各相における還流期間は、トランジスタQ3またはトランジスタQ4がオン状態でありかつU相に正電圧および負電圧が出力されない期間である。
さらに詳細には、U相における還流期間は、トランジスタQ1,Q3がオン状態でありかつトランジスタQ2,Q4がオフ状態である期間、または、トランジスタQ1,Q3がオフ状態でありかつトランジスタQ2,Q4がオン状態である期間である。V相における還流期間は、トランジスタQ3,Q5がオン状態でありかつトランジスタQ4,Q6がオフ状態である期間、または、トランジスタQ3,Q5がオン状態でありかつトランジスタQ4,Q6がオフ状態である期間である。
換言すると、電圧制御部14は、U相およびV相の各々について、スイッチング周期中に、電圧印加期間および逆電圧印加期間を含むか、電圧印加期間および還流期間を含むか、還流期間および逆電圧印加期間を含むように、トランジスタQ1〜Q6のオンオフ動作を制御すればよい。
<処理手順>
本実施の形態に従う制御装置10の処理手順について説明する。
図11は、本実施の形態に従う制御装置10の処理手順を示すフローチャートである。なお、フローチャートの開始時点においては、パワーコンディショナ2は、系統電源6に対して連系運転しているものとする。
図11を参照して、制御装置10は、系統電源6が停電したか否かを判断する(ステップS10)。たとえば、制御装置10は、電圧センサ51,52から受ける電圧値を監視して停電を検出する。
系統電源6が停電していない場合には(ステップS10においてNO)、制御装置10はステップS10の処理を繰り返す。これに対して、系統電源6が停電している場合には(ステップS10においてYES)、制御装置10は、系統電源6からパワーコンディショナ2から系統電源6を解列して、パワーコンディショナ2とパワーコンディショナ8と負荷群9とを互いに接続するように開閉器を開閉させる(ステップS12)。具体的には、制御装置10は、スイッチSWaをオフ、スイッチSWbをオン、連系リレーRL1をオフ、自立リレーRL2をオンにする。
次に、制御装置10は、上述した本実施の形態に従う電圧制御方式を用いて、予め定められた電圧を交流電力線7に出力する(ステップS14)。具体的には、制御装置10は、系統電源6から供給されていた交流電圧と同一の周波数、同一の実効値(たとえば、101Vrms)を有する交流電圧を出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。さらに、制御装置10は、内部直流バス152の電圧値が一定になるように双方向DC/DC変換器30に指示する。そして、処理は終了する。
<その他の実施の形態>
ここでは、上述した本実施の形態の変形例などを列挙する。
(開閉動作)
上述した実施の形態では、制御装置10(開閉制御部13)がスイッチSWaおよびスイッチSWbの開閉動作を制御する構成について説明したが、当該構成に限られない。スイッチSWaおよびスイッチSWbの開閉動作は、系統電源6からの電力供給の有無に応じて自動的に切り替わるように構成されていてもよい。たとえば、系統電源6からスイッチSWaに対して電力が供給されると、スイッチSWaはオンし、スイッチSWbはオフする。系統電源6からスイッチSWaに対して電力が供給されなくなると、スイッチSWaはオフ、スイッチSWbはオンする。また、管理者などがスイッチSWaおよびスイッチSWbの開閉を切り替えてもよい。
また、上述した実施の形態では、制御装置10が連系リレーRL1および自立リレーRL2の開閉動作を制御する構成について説明したが、当該構成に限られない。連系リレーRL1および自立リレーRL2の開閉動作は、系統電源6からの電力供給の有無に応じて自動的に切り替わるように構成されていてもよい。たとえば、系統電源6から連系リレーRL1に対して電力が供給されると、連系リレーはオン、自立リレーRL2はオフする。系統電源6から連系リレーRL1に対して電力が供給されなくなると、連系リレーRL1はオフ、自立リレーRL2はオンする。
(スイッチの設置)
上述した実施の形態では、スイッチSWaおよびスイッチSWbが分電盤3内に設けられている構成について説明したが、当該構成に限られない。たとえば、図12に示す位置にスイッチSWaを設けて、スイッチSWbは設けない構成であってもよい。
図12は、その他の実施の形態に従う電力システムの全体構成を示す図である。図12に示す電力システムは、図1に示す電力システムにおける分電盤3が分電盤3Aに置き換わったものである。
この場合、系統電源6が停電していないときには(連系運転時)、パワーコンディショナ2は、スイッチSWaをオン状態にし、連系リレーRL1をオン状態(および自立リレーRL2をオフ状態)にして、系統電源6と連系される。
また、系統電源6の停電したときには(自立運転時)、パワーコンディショナ2は、スイッチSWaをオフ状態、連系リレーRL1をオフ状態、自立リレーRL2をオン状態にする。これにより、パワーコンディショナ2、パワーコンディショナ8および負荷群9は、系統電源6から解列される。なお、パワーコンディショナ2、パワーコンディショナ8および負荷群9は、交流電力線7(配線73,74,75)を介して互いに接続される。
なお、図1および図12に示す構成以外の開閉器が交流電力線7に別に設けられるような構成であってもよい。すなわち、制御装置10(開閉制御部13)は、系統電源6が停電した場合に、パワーコンディショナ2を系統電源6から解列し、パワーコンディショナ2とパワーコンディショナ8と負荷群9とを互いに接続するように、交流電力線7上に設けられた1以上の開閉器を制御するように構成されていればよい。
(単相2線式の電圧制御方式)
上述した実施の形態では、パワーコンディショナ2が単相3線式の交流電力線に接続されている場合の電圧制御方式について説明した。しかしながら、蓄電池5に接続されるパワーコンディショナが、電圧線Uおよび電圧線Vの2線(すなわち中性線Oを除く)の交流電力線に接続されている構成で、自立運転する場合に上記の電圧制御方式を援用してもよい。
図13は、その他の実施の形態に従うパワーコンディショナ2Aの構成を示す図である。図13を参照して、パワーコンディショナ2Aは、制御装置10Aと、双方向DC/AC変換器20Aと、電圧センサ53と、リアクトルL1,L3と、端子201,203〜205とを含む。なお、パワーコンディショナ2Aは、双方向DC/DC変換器30や、電流センサ41,42を含む構成であってもよい。電圧センサ53は、電圧線Uと電圧線Vとの間に接続され、電圧線Uおよび電圧線Vの間のU−V間電圧を検出し、その検出結果を制御装置10Aに入力する。
制御装置10Aは、系統電源6の停電時に、交流電力線(U−V間)の電圧値に基づいて、蓄電池5と交流電力線との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20Aから交流電力線に出力される電圧を、予め定められた電圧に制御する。具体的には、U線電位がV線電位よりも高い状態であるとすると、制御装置10A(電圧制御部)は、蓄電池5の充電時および放電時において、スイッチング周期中に、U−V間電圧を増加させる期間(電圧印加期間)と、U−V間電圧を低下させる期間(還流期間または逆電圧印加期間)とが含まれるように、トランジスタQ1,Q2,Q5,Q6のオンオフ動作を制御する。
電圧印加期間は、トランジスタQ1,Q6がオン状態(かつトランジスタQ2,Q5がオフ状態)である期間である。逆電圧印加期間は、トランジスタQ2,Q5がオン状態(かつトランジスタQ1,Q6がオフ状態)である期間である。
また、還流期間は、トランジスタQ1,Q5がオン状態(かつトランジスタQ2,Q6がオフ状態)である期間、またはトランジスタQ2,Q6がオン状態(かつトランジスタQ1,Q5がオフ状態)である期間である。
(その他)
上述した実施の形態における電圧制御方式は、上述した電力システム以外のシステム構成であっても適用することが可能である。たとえば、当該電圧制御方式は、自立運転しているパワーコンディショナ2に負荷群9が接続されず、連系運転しているパワーコンディショナ8のみが接続されているシステム構成で適用されてもよい。また、当該電圧制御方式は、自立運転しているパワーコンディショナ2にパワーコンディショナ8が接続されず、負荷群9のみが接続されているシステム構成で適用されてもよい。
また、上記の(単相2線式の電圧制御方式)では、交流電力線が単相2線式である構成について説明した。しかしながら、図14に示すように、この単相2線式の電圧制御方式を用いて出力される単相2線式の交流電力をトランスにより単相3線式の交流電力に変換してもよい。
図14は、単相2線式の交流電力を単相3線式の交流電力に変換するトランスの構成を説明するための図である。図14を参照して、トランス25は、パワーコンディショナ2Aの双方向DC/AC変換器20Aから上記の単相2線式の電圧制御方式を用いて出力された単相2線式の交流電力(たとえば、AC200V)を、単相3線式の交流電力(たとえば、AC100V/200V)に変換する。そして、当該変換された単相3線式の交流電力が、交流電力線7(電圧線U,V、中性線O)に出力される。
[まとめ]
本発明の実施の形態は次のように要約することができる。
(1) 電圧線U,Vと中性線Oとを有する交流電力線7および蓄電池5に接続され、系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2であって、蓄電池5と交流電力線7との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20と、制御装置10とを備える。双方向DC/AC変換器20は、電圧線Uに接続されるレグ21と、中性線Oに接続されるレグ22と、電圧線Vに接続されるレグ23とを含む。レグ21、レグ22およびレグ23は、それぞれ直列接続されたトランジスタQ1,Q2、トランジスタQ3,Q4、およびトランジスタQ5,Q6を有する。制御装置10は、電圧線Uおよび中性線Oから構成されるU相の電圧値Vuと、電圧線Vおよび中性線Oから構成されるV相の電圧値Vvとを受ける電圧入力部11と、系統電源6の停電時に、電圧値Vuおよび電圧値Vvに基づいて、双方向DC/AC変換器20からU相およびV相にそれぞれ出力される電圧を、予め定められた電圧に制御する電圧制御部14とを含む。電圧制御部14は、蓄電池5の充電時および放電時において、U相およびV相の各々について、スイッチング周期中に、当該相の電圧を増加させる期間と、当該相の電圧を低下させる期間とが含まれるように、トランジスタQ1〜Q6のオンオフ動作を制御する。
上記構成によると、パワーコンディショナ2に負荷が接続されて蓄電池5から放電される場合であっても、電力供給源が接続されて蓄電池5に充電される場合であっても、予め定められた電圧を維持することが可能となる。
(2) U相およびV相の各々について、当該相の電圧を増加させる期間は、当該相に正電圧が出力される期間を含む。当該相の電圧を低下させる期間は、レグ22におけるトランジスタQ3またはトランジスタQ4がオン状態でありかつ当該相に正電圧および負電圧が出力されない還流期間を含む。
上記構成によると、還流期間を含むことにより電圧が急激に変化させることなく予め定められた電圧を維持することが可能となるため、負荷に対する電圧ノイズを低減することが可能となる。
(3) U相における還流期間は、トランジスタQ1,Q3がオン状態でありかつトランジスタQ2,Q4がオフ状態である期間、または、トランジスタQ2,Q4がオン状態でありかつトランジスタQ1,Q3がオフ状態である期間を含む。V相における還流期間は、トランジスタQ3,Q5がオン状態でありかつトランジスタQ4,Q6がオフ状態である期間、または、トランジスタQ4,Q6がオン状態でありかつトランジスタQ3,Q5がオフ状態である期間を含む。
上記構成によると、還流期間を含むことにより電圧が急激に変化させることなく予め定められた電圧を維持することが可能となるため、負荷に対する電圧ノイズを低減することが可能となる。
(4) 電圧線U,Vと中性線Oとを有する交流電力線7および蓄電池5に接続され、系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2の制御装置10であって、電圧線Uおよび中性線Oから構成されるU相の電圧値Vuと、電圧線Vおよび中性線Oから構成されるV相の電圧値Vvとを受ける電圧入力部11と、系統電源6の停電時に、電圧値Vu,Vvに基づいて、蓄電池5と交流電力線7との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20からU相およびV相にそれぞれ出力される電圧を、予め定められた電圧に制御する電圧制御部14とを備える。双方向DC/AC変換器20は、電圧線Uに接続されるレグ21と、中性線Oに接続されるレグ22と、電圧線Vに接続されるレグ23とを含む。レグ21、レグ22およびレグ23は、それぞれ直列接続されたトランジスタQ1,Q2、トランジスタQ3,Q4、およびトランジスタQ5,Q6を有する。電圧制御部14は、蓄電池5の充電時および放電時において、U相およびV相の各々について、スイッチング周期中に、当該相の電圧を増加させる期間と、当該相の電圧を低下させる期間とが含まれるように、トランジスタQ1〜Q6のオンオフ動作を制御する。
上記構成によると、パワーコンディショナ2に負荷が接続されて蓄電池5から放電される場合であっても、電力供給源が接続されて蓄電池5に充電される場合であっても、予め定められた電圧を維持することが可能となる。
(5) 電圧線U,Vを有する交流電力線および蓄電池5に接続され、系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2Aであって、蓄電池5と交流電力線との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20Aと、制御装置10Aとを備える。双方向DC/AC変換器20Aは、電圧線Uに接続されるレグ21と、電圧線Vに接続されるレグ22とを含む。レグ21およびレグ23は、それぞれ直列接続されたトランジスタQ1,Q2、およびトランジスタQ5,Q6を有する。制御装置10Aは、交流電力線の電圧値を受ける電圧入力部と、系統電源6の停電時に、電圧値に基づいて、蓄電池5と交流電力線との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20Aから交流電力線に出力される電圧を、予め定められた電圧に制御する電圧制御部とを備える。電圧制御部は、蓄電池5の充電時および放電時において、スイッチング周期中に、交流電力線の電圧を増加させる期間と、交流電力線の電圧を低下させる期間とが含まれるように、トランジスタQ1,Q2,Q5,Q6のオンオフ動作を制御する。
上記構成によると、パワーコンディショナ2Aに負荷が接続されて蓄電池5から放電される場合であっても、電力供給源が接続されて蓄電池5に充電される場合であっても、予め定められた電圧を維持することが可能となる。
上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。
また、上述した実施の形態において、他の実施の形態で説明した処理や構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。