以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。なお、既に説明した部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」(「シート」という場合もある)とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
まず、本発明の実施形態に従う通信システム構成について、図1〜図6を参照して説明する。
図1は携帯型通信端末装置とマルチファンクションプリンタ(MFP)とアクセスポイント(AP)を含む無線通信システムの構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、通信装置の一例としてMFPを使って説明する。
図1に示す携帯型通信端末装置200は無線LAN(WLAN)通信部を有する装置、具体的には、スマートフォン等の個人情報端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等が含まれる。MFP300は、携帯型通信端末装置200と無線通信可能であり、印刷機能の他、読取機能(スキャナ)やFAX機能、電話機能等を有している。アクセスポイント(AP)400はWLAN通信部を有し、アクセスポイントへの接続を許可した装置同士の通信を中継することで無線インフラモードの通信を提供する。
携帯型通信端末装置200とMFP300とは各々が有するWLAN通信部によって、アクセスポイント400を介した無線インフラモードの無線通信を行っても良いし、Wi−Fi DirectなどのP2P通信を行っても良い。なお、携帯型通信端末装置200及びMFP300は、後述するようにWLAN経由で複数の印刷サービスに対応した処理を実行可能である。
図2は携帯型通信端末装置200の外観を示す図である。この図では、スマートフォンを例にした外観となっている。スマートフォンとは、携帯電話の機能の他に、カメラ、ウェブブラウザ、電子メール機能等を搭載した多機能型の携帯電話のことである。
図2において、WLANユニット201はWLAN通信を行うためのユニットであり、例えばIEEE802.11n技術仕様に準拠したWLANシステムにおけるデータ(パケット)通信が可能である。また、WLANユニット201を用いた無線通信では、Wi−Fi Direct(WFD)をベースにした通信、ソフトウェアAPモード、無線インフラモードによる通信などが可能である。表示部202は、例えば、LCD表示機構を備えたディスプレイである。操作部203はタッチパネル方式の操作機構を備えており、ユーザによる操作を検知する。例えば、表示部202がボタンアイコンやソフトウェアキーボードの表示を行い、ユーザがそれらの箇所に触れることによって操作イベントを検知する方法が代表的である。電源キー204は電源のオン及びオフをする際に用いるハードキーである。
図3はMFP300の外観を示す斜視図である。
図3において、原稿台301はスキャナ(読取部)で読取らせる原稿を載せるガラス状の透明な台である。原稿蓋302はそのスキャナで読取を行う際に原稿を押さえたり、原稿の画像読取の際に原稿を照射する光源からの光が外部に漏れないようにしたりするための蓋である。挿入口303は様々なサイズの記録媒体(例えば、印刷用紙)をセット可能な挿入口である。挿入口303にセットされた印刷用紙は一枚ずつ印刷部に搬送され、印刷部で印刷を行って排出口304から排出される。操作部305は、文字入力キー、カーソルキー、決定キー、取消キー等のキーと、LEDやLCDなどから構成され、ユーザによりMFPとしての各種機能の起動や各種設定を行うことができる。また、操作部305はタッチパネルで構成されてもよい。WLANアンテナ306は、WLAN通信のための埋込み型アンテナである。
図4はMFPの操作部の画面表示の一例を模式的に示した図である。
図4(a)は、MFP300の電源がオンされ、印刷やスキャン等の動作をしていない状態(アイドル状態)を示すホーム画面である。そのホーム画面から、キー操作やタッチパネル操作により、コピーやスキャン、インターネット通信を利用したクラウド機能のメニュー表示や各種設定、機能実行が可能である。図4(a)に示したホーム画面からキー操作やタッチパネルの操作によってシームレスにホーム画面とは異なる機能を表示することができる。
図4(b)はホーム画面とは異なる画面の一例であり、プリントやフォト機能の実行やLAN設定の変更が実行可能な画面であり、図4(c)は、図4(b)に示す画面において、LAN設定を選択した際に表示される画面である。この画面から無線インフラモードの有効/無効設定や、WFDモードの有効/無効設定など各種のLAN設定変更が実行できる。
図5は携帯型通信端末装置の構成を示すブロック図である。携帯型通信端末装置200は、装置自身の主制御を行うメインボード501とWLAN通信を行うWLANユニット517とを有する。
メインボード501において、システム制御部としての役目を果たすCPU502は、携帯型通信端末装置200の全体を制御する。以降に示す携帯型通信端末装置200の処理はCPU502の制御によって実行される。ROM503は、CPU502が実行する制御プログラムや組込オペレーティングシステム(OS)プログラム等を記憶する。ここでは、ROM503に記憶されている各制御プログラムは、ROM503に記憶されている組込OSの管理下でスケジューリングやタスクスイッチ等のソフトウェア制御を行う。
RAM504はSRAM等で構成され、プログラム制御変数等のデータを記憶し、ユーザが登録した設定値や携帯型通信端末装置200の管理データ等のデータを記憶し、各種ワーク用バッファ領域が設けられている。画像メモリ505はDRAM等のメモリで構成され、WLANユニット517を介して受信した画像データや、データ蓄積部513から読出した画像データをCPU502で処理するために一時的に記憶する。
不揮発性メモリ512はフラッシュメモリ等のメモリで構成され、電源がオフされてもデータを記憶し続ける。尚、上記のようなメモリ構成はこれに限定されるものではない。例えば、画像メモリ505とRAM504を共有させてもよいし、データ蓄積部513にデータのバックアップ等を行ってもよい。また、ここでは、画像メモリ505にDRAMを用いているが、ハードディスクや不揮発性メモリ等の他の記憶媒体を使用しても良い。
データ変換部506は、種々の形式のデータの解析や、色変換、画像変換等のデータ変換を行う。電話部507は、電話回線の制御を行い、スピーカ部514を介して入出力される音声データを処理することで電話による通信を実現している。操作部203に対応する操作部508は、ユーザ操作により生成される信号を制御する。GPS(全球測位システム)509は、携帯型通信端末装置200の現在の緯度や経度等の位置情報を取得する。表示部510は、表示部202に表示される内容を電子的に制御しており、各種入力操作や、MFP300の動作状況、ステータス状況の表示等を行うことができる。
カメラ部511は、レンズを介して入力された画像を電子的に記録して符号化する機能を有している。カメラ部511で撮影された画像はデータ蓄積部513に保存される。スピーカ部514は電話機能のための音声を入力または出力する機能や、その他、アラーム通知等の機能を実現する。電源部515は、携帯可能な電池であり、装置内への電力供給制御を行う。電源状態には、電池に残量が無い電池切れ状態、電源キー205を押下していない電源オフ状態、通常起動している起動状態、起動しているが省電力になっている省電力状態がある。
携帯型通信端末装置200はWLANで無線通信することができる。これにより、携帯型通信端末装置200は、MFP等の他デバイスとのデータ通信を行う。WLANユニット517ではデータをパケットに変換し、他デバイスにパケット送信を行う。逆に、外部デバイスからのパケットを、元のデータに復元してCPU502に対して送信する。WLANユニット517はバスケーブル516介してメインボード501に接続されている。WLANユニット517はIEEE802.11n規格に準拠した通信を実現するためのユニットである。
メインボード501内の各種構成要素503〜515とWLANユニット517は、CPU502が管理するシステムバス518を介して、相互に接続されている。
図6はMFPの構成を示すブロック図である。MFP300は、装置自身の主制御を行うメインボード601とWLAN通信を行うWLANユニット616とモデム619とを有する。WLANユニット616とモデム619は通信ユニットの一種であり、WLANユニット616は無線通信に対応し、モデム619は有線通信に対応している。
メインボード601において、システム制御部としての役目を果たすCPU602は、MFP300の全体を制御する。以降に示すMFP300の処理は、CPU602の制御によって実行される。ROM603は、CPU602が実行する制御プログラムや組込オペレーティングシステム(OS)プログラム等を記憶する。ここでは、ROM603に記憶されている各制御プログラムは、ROM603に記憶されている組込OSの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ等のソフトウェア制御を行う。RAM604はSRAM等で構成され、プログラム制御変数等のデータを記憶し、ユーザが登録した設定値やMFP300の管理データ等のデータを記憶し、各種ワーク用バッファ領域が設けられている。
不揮発性メモリ605はフラッシュメモリ等のメモリで構成され、電源がオフされてもデータを記憶し続ける。画像メモリ606はDRAM等のメモリで構成され、WLANユニット616を介して受信した画像データや、符号復号化処理部611で処理した画像データなどを蓄積する。また、携帯型通信端末装置200のメモリ構成と同様に、このようなメモリ構成はこれに限定されるものではない。データ変換部608は、種々の形式のデータの解析や、画像データから印刷データへの変換等を行う。
読取制御部607は、読取部609(例えば、CIS(密着型イメージセンサ))を制御して、原稿の画像を光学的に読取り、これを交電変換して生成された画像信号を画像データとして出力する。このとき2値化処理や中間調処理等の各種画像処理を施してから出力しても良い。
操作部610は、図4での操作部305に対応する。符号復号化処理部611は、MFP300で扱う画像データ(JPEG、PNG等)の符号復号化処理や、拡大縮小処理を行う。給紙部613は印刷用紙を保持し、印刷制御部614からの制御で給紙部613から印刷用紙の給紙を行うことができる。特に、給紙部613は、複数種類の印刷用紙を一つのMFP内に保持するために、複数の給紙部を備えても良い。この場合、印刷制御部614により、どの給紙部から給紙を行うかの制御を行う。
印刷制御部614は、印刷に用いられる画像データに対し、スムージング処理や印刷濃度補正処理、色補正等の各種画像処理を施してから印刷部612に出力する。印刷部612は、例えば、インクタンクから供給されるインクを記録ヘッドから吐出させて画像を印刷するインクジェット方式のプリンタエンジンである。また、印刷制御部614は印刷部612の情報を定期的に読出してRAM604の情報を更新する役割も果たす。具体的には、インクタンクの残量や記録ヘッドの状態等のステータス情報を更新する。
WLANユニット616は、携帯型通信端末装置200に搭載されたWLANユニット517と同等の機能を有したユニットであり、バスケーブル615を介してメインボード601に接続されている。なお、携帯型通信端末装置200とMFP300はWFDをベースにした通信が可能であり、ソフトウェアアクセスポイント(ソフトウェアAP)機能を有している。
FAX制御部617は、モデム619を介してファクシミリ送受信の制御を行う。
メインボード601内の各種構成要素602〜614、617、及び、WLANユニット616とモデム619は、CPU602が管理するシステムバス618を介して、相互に接続されている。
次に、上記構成の無線通信システムにおいて実行する通信制御について図7〜図11を参照して説明する。
図7はMFP300のROM603に格納されたWLANユニット616を制御するモジュールの構成を示すブロック図である。
WLAN制御部701は、WLANユニット616の制御全体を司るモジュールであり、無線IFの起動および停止、その他諸々の制御を行う。STA機能部702は、MFP300がインフラモード有効時に、IEEE802.11n規格に準拠したSTA動作をするための機能を有する。AP機能部703は、MFP300がP2Pモード有効時に、WFDのグループオーナー(GO)として動作したり、IEEE802.11n規格に準拠したAP動作をするための機能を有する。チャネル幅選択部704は、WLANユニット616に対してチャネル幅20MHzモード、或いは、チャネル幅20/40MHzモードのいずれで動作するかを選択する。
ここで、チャネル幅20MHzモードとは、通信相手によらずチャネル幅を20MHzに固定して通信するモードである。チャネル幅20/40MHzモードとは、通信相手によって20MHz或いは40MHzのチャネル幅を自動選択して通信するモードである。つまり、通信相手が高速通信な可能なチャネル幅40MHzの通信をサポートしている場合はチャネル幅40MHzで通信し、チャネル幅40MHzの通信をサポートしていない場合はチャネル幅20MHzで通信するモードである。
また、アクセスポイント(AP)400は、20MHzのチャネル幅のみ対応しているステーション(STA)とは20MHzのチャネル幅で接続し、40MHzのチャネル幅に対応しているSTAとは40MHzのチャネル幅で接続するように構成されている。従って、MFP300がチャネル幅20MHzモードを選択した場合、アクセスポイント400と20MHzのチャネル幅で接続する。一方、MFP300がチャネル幅20/40MHzモードを選択した場合、アクセスポイント400と40MHzのチャネル幅で接続する。つまり、40MHzのチャネル幅を用いた通信速度は、20MHzのチャネル幅を用いた通信速度よりも速い。
図8は、通信モードとチャネル幅との設定可能な組み合わせを示す図である。図8において、最左欄は通信モードの設定番号を示しており、この実施形態では1〜4の設定がある。
ここで、通信モード設定1は、無線インフラモード、P2Pモードともに無効に設定されたパターン、例えば、ネットワークを使用しないLAN無効設定の状態である。
通信モード設定2は、無線インフラモードが有効、P2Pモードが無効に設定されたパターンである。例えば、LAN無効状態から、無線インフラモードで無線アクセスポイントとのセットアップを行い、無線アクセスポイントと接続完了した時の無線設定を保存する。この場合、チャネル幅20/40MHzモードが設定され、アクセスポイント400側の機能や設定により、20MHz又は40MHzのチャネル幅で通信がなされる。
通信モード設定3は、無線インフラモードが無効、P2Pモードが有効に設定されたパターン、例えば、LAN無効状態から、図4(c)に示した操作部の画面で、P2Pモードを無効設定から有効設定に切り替えると通信モード設定3で保存される。この場合、チャネル幅20MHzモードが設定され、P2P接続の携帯型通信端末装置200と20MHzのチャネル幅で通信する。
通信モード設定4は、無線インフラモード、P2Pモードともに有効に設定されたパターンである。この場合、チャネル幅20MHzモードが設定され、インフラ接続のアクセスポイント400やP2P接続の携帯型通信端末装置200と、20MHzのチャネル幅で通信する。
ここで、図8のようにチャネル幅を設定する理由について説明する。上述したようにIEEE802.11n規格では、OBSSスキャンが規定されている。そして、40MHzモードで動作するSTA(本実施形態ではMFP300)は、定期的にOBSSスキャンを実行する。つまり、40MHzのチャネル幅で動作する通信は、定期的なOBSSスキャン(定期的なネットワーク検出処理)を伴う。一方、20MHzのチャネル幅で動作する通信は、定期的なOBSSスキャン(定期的なネットワーク検出処理)を伴わない。
MFP300は、OBSSスキャンを実行する場合、AP400に対して一定期間不在である旨を通知する。そのため、MFP300によるOBSSスキャンに起因して、AP400がMFP300と一定期間通信できなくても、AP400は、MFP300との無線接続が切断されたといった誤認識をしない。
以上の理由により、通信モード設定2では、チャネル幅が20/40MHzモードに設定されることで可能な限り高速通信を実行できる。
一方、MFP300がOBSSスキャンを実行している間、P2P通信で接続されている相手装置側の通信が不可能となる。そのため、MFP300が無線インフラモードでAP400と接続され、かつ、P2Pモードで携帯型通信端末装置200と接続されていたとしても、MFP300がOBSSスキャンを実行中は携帯型通信端末装置200がMFP300にデータを送信できない。そのため、パケット損失などが発生するおそれがある。
また、MFP300は、OBSSスキャンを実行する際に、P2Pモードにて接続されている携帯型通信端末装置200に一定期間不在である旨を通知できない。その結果、携帯型通信端末装置200は、MFP300がネットワーク上から不在になったと誤認識し、P2P接続を切断してしまうおそれもある。
以上の理由により、通信モード設定4ではチャネル幅を20MHzに固定することでMFP300はOBSSスキャンを実行する必要がなくなり、上述したパケット損失などの課題の発生を軽減できる。
なお、通信モード3に関して、本実施形態では、20MHz固定としているが、20/40MHzモードに設定されても良い。
図9はMFPで実行される無線インフラのセットアップを示すフローチャートである。これらのセットアップはCPU602がROM603に格納された制御プログラムをRAM604に読出して展開し実行することにより達成される。
まず、ステップS901で、MFP300の操作部305から無線インフラのセットアップが操作されると、ステップS902で無線IFを起動する。そして、ステップS903ではWLANユニット616にチャネル幅20/40MHzモードを設定する。
次に、ステップS904では、MFP300は、操作部305にセットアップ方法(プッシュボタン、手動)を提示し、ユーザによりいずれかの方法を選択させることで、セットアップを開始する。そして、ステップS905では、ユーザが選択した方法に従って無線インフラのセットアップを実行する。ここで、プッシュボタンが選択された場合は、アクセスポイント(AP)400のボタンとMFP300のキーとを所定の時間内に押下することで、双方の接続パラメータが交換されセットアップが実行される。一方、手動の場合は、アクセスポイント検索を行い、リストアップされた一覧から所望のアクセスポイントを選択し、パスフレーズ等の接続パラメータを入力することで無線インフラのセットアップが実行される。
以上の操作によりセットアップが完了し、ステップS906ではMFP300とアクセスポイント(AP)400との接続を確立する。そして、ステップS907では不揮発性メモリ605にインフラ接続に必要なパラメータを保存する。
その後、ステップS908では、P2Pモードが有効になっているか否かを調べる。図8を参照して説明したように、通信モード設定3と4ではP2Pモードは有効であり、通信モード設定1と2ではP2Pモードは無効である。
ここで、P2Pモードが有効になっていない場合は、無線インフラのセットアップはそのまま終了する。これに対して、P2Pモードが有効になっている場合、処理はステップS909に進み、一旦、無線インフラ接続を停止し、さらにステップS910では無線IFを停止させる。そして、ステップS911で無線IFを再起動する。その後、セットアップの処理はステップS912に進む。
以上のように、ステップS909〜ステップS911において、一旦、無線インフラ接続を停止して無線IFを再起動しているのは、MFP300に実装している無線チップの制約上、チャネル幅のモードを動的に変更できないためである。つまり、ステップS903でチャネル幅20/40MHzモードに設定しているため、インフラモードとP2Pモードとを並行して動作させるためには、一旦、無線IFを停止、再起動した上で、チャネル幅20MHzモードを設定し直す必要があるからである。
なお、本発明はこれに限定されるものではない。このような無線チップの制約がなければ、ステップS909〜ステップS911は不要であり、ステップS908においてP2Pモードが有効になっていると判定されたなら、処理はステップS912に進むことができる。
そして、ステップS912ではWLANユニット616にチャネル幅20MHzモードを設定し、ステップS913でアクセスポイント(AP)400との無線インフラ接続を確立する。その後、ステップS914でP2Pモードを起動し、携帯型通信端末装置200からの接続を待ち受ける。
以上のセットアップにより、インフラモードを有効にしたとき、P2Pが無効であればチャネル幅20/40MHzモードでアクセスポイントと接続し、P2Pが有効であればチャネル幅20MHzモードでアクセスポイントや携帯型通信端末装置と接続する。つまり、CPU602は、通信モードに従って、少なくとも20MHzのチャネル幅と定期的なネットワーク検出処理を実行する40MHzのチャネル幅を含む選択肢から、無線通信のためのチャネル幅を、選択する。なお、チャネル幅の選択肢として20MHzと20MHz/40MHzを本実施形態では記載しているが、他の選択肢があっても良い。
図10は、P2Pモードを無効から有効に設定変更したときの、MFPの内部動作を示すフローチャートである。なお、この動作はCPU602がROM603に格納された制御プログラムをRAM604に読出して展開し実行することにより達成される。
まず、ステップS1001で、図4(c)に示した操作部305の画面からP2Pモードを無効設定から有効設定に切り替える指示が実行されると、ステップS1002では無線インフラ設定が有効であるか、或いは、無効であるかを調べる。ここで、無線インフラが無効であると判断された場合は、MFP300はLAN無効状態であるので、処理はステップS1008に進み、無線IFを起動する。続いて、ステップS1009でチャネル幅20MHzモードに設定し、ステップS1010でP2Pモードを起動する。これに対して、無線インフラが有効であると判断された場合は、チャネル幅を設定し直すため、処理はステップS1003に進み、一旦、無線インフラ接続を停止し、さらにステップS1004では無線IFを停止する。
その後、ステップS1005において無線IFを再起動し、さらにステップS1006でチャネル幅20MHzモードに設定する。そして、ステップS1007では無線インフラを再接続する。続いて、ステップS1010でP2Pモードを起動し、携帯型通信端末装置200からの接続を待ち受ける。
以上の処理フローにおいても、ステップS1003〜S1005は無線チップの制約によるものであり、図9で説明したように、本発明はこれに限定されるものではない。
以上の動作により、P2Pモードが有効になる場合は、チャネル幅20MHzモードでアクセスポイントや携帯型通信端末装置と接続する。
図11は、P2Pモードを有効から無効に設定変更したときの、MFPの内部動作を示すフローチャートである。
まずステップS1101では、図4(c)に示した操作部305の画面からP2Pモードを有効設定から無効設定に切り替える指示が実行されると、ステップS1102ではP2Pモードによる動作を停止する。その後、ステップS1103ではインフラモードが有効か否かを調べる。ここで、無線インフラが無効であると判断された場合、MFP300はLAN無効状態となるので、処理はそのまま終了する。これに対して、無線インフラが有効であると判断された場合は、チャネル幅を設定し直すため、処理はステップS1104に進み、無線インフラ接続を停止し、さらにステップS1105では無線IFを停止する。
そして、ステップS1106で無線IFを再起動し、ステップS1107でチャネル幅20/40MHzモードに設定する。そして、ステップS1108で無線インフラを再接続する。
以上の処理フローにおいても、ステップS1104〜S1106は無線チップの制約によるものであり、図9で説明したように、本発明はこれに限定されるものではない。
以上のフローにより、インフラモード単独で動作する場合は、チャネル幅20/40MHzモードでアクセスポイントと接続する。
従って以上説明した実施形態に従えば、MFPでインフラモードとP2Pモードの両方の動作が有効である場合やP2Pモードの動作が有効である場合には、チャネル幅20MHzモードでアクセスポイントや携帯型通信端末装置と接続する。一方、P2Pモードの動作が無効でありインフラモードだけが有効である場合にはチャネル幅20/40MHzモードでアクセスポイントと接続する。
このようにMFPは、通信モードに従って、無線通信のチャネル幅を適切に変更することができるので、インフラモードのみで動作するときには、通信相手が高速通信に対応した装置であれば、チャネル幅40MHzでの高速通信が可能になる。これにより、通信相手から大容量の画像データを送信して画像を印刷する場合には短時間でのデータ通信が可能になる。
また、インフラモードとP2Pモードとの同時動作、あるいはP2Pモードだけの動作の場合は、チャネル幅が固定される。これにより、通信途中でチャネル幅が切り替わることがないので、チャネル切り替えに伴うパケット損失のない安定した通信が実現できる。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。