JP2019082379A - かぶり厚検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大掛かりな足場設置等を行わなくても大型の鉄筋コンクリート構造物のかぶり厚を検査することが可能なかぶり厚検査装置を提供する。【解決手段】かぶり厚検査装置10は、小型無人航空機1と、小型無人航空機1の桁下面に対向する側に設けられた移動機構2と、小型無人航空機1の移動機構2側に設けられたかぶり厚測定センサ3と、かぶり厚測定センサ3を桁下面に向けて付勢する付勢力を付与する付勢機構4とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道構造物、道路構造物などを含む構造物(以下、単に「構造物」と称する)のうち、鉄道橋梁などの大型の構造物を含む鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋のかぶり厚を検査するかぶり厚検査装置に関するものである。
鉄筋コンクリートにおける鉄筋からコンクリート表面までの最短距離を示すかぶり厚は、鉄筋を酸化などから守る役割を果たしており、これが不足すると鉄筋の劣化を促進し、鉄筋コンクリートの強度を著しく低下させる場合がある。
このような理由から、コンクリート構造物では設計基準に定められたかぶり厚が適切に確保されている必要があるが、施工不良などの原因から、必要なかぶり厚が確保されていない構造物が存在する可能性がある。このため、鉄筋コンクリート構造物におけるかぶり厚を測定して適切に検査する必要がある。
従来行われているかぶり厚の検査手法としてはつり検査がある。この手法は、鉄筋コンクリートの表面から実際にコンクリートを剥がして鉄筋を露出させた上でかぶり厚を測定する手法である。もっとも確実な方法であるが、コンクリートの表面を破壊する必要がある。
コンクリート表面を破壊せずに検査する非破壊検査手法としては、電磁波レーダー法と呼ばれる検査手法がある(例えば特許文献1参照)。この手法は、コンクリート中に送信された電磁波が、性状の異なる物質の境界面で反射されることを利用したもので、コンクリート表面に装置を押し付けて電磁波を送信し、反射された電磁波を受信することで鉄筋や空洞を探知し、かぶり厚を測定する。
もう一つの非破壊検査手法として、電磁誘導法と呼ばれる検査手法がある(例えば特許文献2参照)。この手法は、励磁コイルに交流電流を流すことで交流磁場を発生させた試験プローブをコンクリート表面に押し付けると、磁場内に磁性体である鉄筋が存在すると電流が流れてさらに磁場が形成される。この磁場の変化を検知・解析することで鉄筋位置やかぶり厚を計測する。
特開2010−107259号公報 特開2003−106806号公報 特開2017−166922号公報
しかしながら、上述した従来のかぶり厚検査手法は、いずれも検査対象である鉄筋コンクリート構造物に近づいて、表面を破壊したり、検査機器を押し付けたりして検査を行う必要がある。このため、人が近づける構造物であれば容易に検査できるが、大型構造物の中には高所など作業員の接近が困難な場所があり、大掛かりな足場設置等を行わないと検査が難しい。
例えば、コンクリート橋梁の主桁下面のかぶり厚や高架橋の床版裏コンクリートのかぶり厚は、橋梁自体の事故やコンクリート片の落下等を未然に防止する観点からこれら構造物の健全性を適切に管理する必要があるが、これら鉄筋コンクリート構造物のかぶり厚を検査するには大掛かりな足場設置が不可欠である。
そこで、本発明は、大掛かりな足場設置等を行わなくても大型の鉄筋コンクリート構造物のかぶり厚を検査することが可能なかぶり厚検査装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋のかぶり厚を検査するかぶり厚検査装置は、小型無人航空機と、小型無人航空機の構造物の表面に対向する側に設けられた移動機構と、小型無人航空機の移動機構側に設けられたかぶり厚測定センサと、かぶり厚測定センサを構造物の表面に向けて付勢する付勢力を付与する付勢機構とを有することを特徴とする。
ここで、かぶり厚測定センサは構造物の表面に接触する接触面を有し、この接触面は円滑面に形成された構成とすることができる。また、移動機構は無限軌道または車輪を有する構成とすることができる。さらに、かぶり厚測定センサの付勢力に沿った方向の変位を検出する検出機構を有する構成とすることができる。
さらに、かぶり厚測定センサの構造物の表面に沿った移動軌跡をこの表面に記録する記録部を有する構成とすることができ、加えて、移動軌跡を検出する軌跡センサを有し、移動機構は軌跡センサの検出結果に基づいて小型無人航空機を移動させる構成とすることもできる。
そして、かぶり厚測定センサを取り囲む電磁波遮蔽部を有する構成とすることができる。
このように構成された本発明のかぶり厚検査装置は、小型無人航空機の構造物の表面に対向する側に設けられた移動機構と、小型無人航空機の移動機構側に設けられたかぶり厚測定センサと、かぶり厚測定センサを構造物の表面に向けて付勢する付勢力を付与する付勢機構とを有する。
このようにすることで、例えば構造物の下面であれば、小型無人航空機を浮上させて移動機構を下面に密着させることで、かぶり厚測定センサをこの下面に接触させることができ、作業員が近付けないような箇所でも、大掛かりな足場設置等を行うことなく鉄筋コンクリート構造物のかぶり厚を検査することができる。
ここで、かぶり厚測定センサは構造物の表面に接触する接触面を有し、この接触面は円滑面に形成されているので、構造物の表面に凹凸があった場合でも柔軟に追従することができる。また、移動機構は無限軌道または車輪を有することで、簡単に構成することができる。さらに、かぶり厚測定センサの付勢力に沿った方向の変位を検出する検出機構を有することで、構造物の表面の凹凸も検出することができる。
さらに、かぶり厚測定センサの構造物の表面に沿った移動軌跡をこの表面に記録する記録部を有することで、検査位置を正確に把握することができる。加えて、移動軌跡を検出する軌跡センサを有し、移動機構は軌跡センサの検出結果に基づいて小型無人航空機を移動させることで、小型無人航空機の移動も正確に制御することができる。
そして、かぶり厚測定センサを取り囲む電磁波遮蔽部を有することで、かぶり厚測定センサによる検査を正確に行うことができる。
本実施の形態であるかぶり厚検査装置の構成を示す斜視図である。 本実施の形態であるかぶり厚検査装置の構成を示す側面図である。 本実施の形態であるかぶり厚検査装置の構成を示す上面図である。 本実施の形態であるかぶり厚検査装置の構成を示す正面図である。 かぶり厚測定センサの構成を示す概略側面図である。 電磁誘導法の原理を説明するための図である。 鉄筋のかぶり厚を測定する手法を説明するための図である。 本実施の形態であるかぶり厚検査装置によるかぶり厚測定動作を説明するための図である。 本実施の形態であるかぶり厚検査装置を含むかぶり厚測定システムの概略構成を示すブロック図である。 本実施の形態であるかぶり厚検査装置を用いたかぶり厚測定手法を説明するための図である。 本実施の形態であるかぶり厚検査装置を用いたかぶり厚測定手法を説明するための図である。 本実施の形態であるかぶり厚検査装置を用いたかぶり厚測定手法を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のかぶり厚検査装置10の全体構成を説明するための斜視図、図2は同側面図、図3は同上面図、図4は同正面図である。まず、かぶり厚検査装置10の概要について説明する。
このかぶり厚検査装置10は、上述した電磁誘導法を用いて鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋のかぶり厚を測定するかぶり厚測定センサ3を搭載した小型無人航空機1を利用した装置である。電磁誘導法によるかぶり厚測定は、鉄筋コンクリート構造物に対して非破壊検査を行える点で有利である。
そして、小型無人航空機1を利用することで、足場のない高所箇所や作業員が近付きにくい箇所の検査が行えるようになる。例えば橋梁、建築物又は擁壁等の構造物の下面や側面などの表面に対して検査を行うことができる。以下では、図8に示すように、構造物である橋梁のコンクリート桁Mの桁下面M1を検査対象の表面として説明を行う。
本実施の形態のかぶり厚検査装置10は、図1〜図4に示すように、小型無人航空機1と、小型無人航空機1の桁下面M1に対向させる側に設けられた移動機構2と、同じく移動機構2側に設けられたかぶり厚測定センサ3とによって主に構成される。
小型無人航空機1は、本体部11と、飛行手段となる複数のプロペラ12と、飛行制御部13とを備えている。本実施の形態の本体部11は、幅方向(図3において上下方向)に架設された一対の横梁部11aと、これら横梁部11aを長さ方向(図2において左右方向)に連結する支持部11bと、この支持部11bの下部に連結された脚部11cとを有する。
プロペラ12は、本体部11の一対の横梁部11aの左右にそれぞれ一対、合計4箇所に設けられている。プロペラ12はモータ部121の駆動によって回転し、モータ部121には、図略の駆動電源部から電力が供給される。駆動電源部は、バッテリーの他にコンバータなどを備えている。
飛行制御部13は、個々のプロペラ12の回転数を制御することで、この小型無人航空機1の浮上や進行などの飛行を制御する。飛行制御部13はジャイロ等を有し、このジャイロ等により小型無人航空機1の姿勢を検出して飛行制御に利用する。また、本実施の形態である小型無人航空機1はGPSアンテナ14を有し、このGPSアンテナ14を介して受信したGPS通信衛星37(図8及び図9参照)からの情報にも基づいて飛行制御部13は小型無人航空機1の姿勢制御及び飛行制御を行う。さらに、飛行制御部13は無線通信部13aを有し(図9参照)、後述する地上側に配置された地上側制御装置30(図9参照)との間で無線通信を行い、種々の情報の送受信を行う。
飛行制御部13に予め航路などの飛行データを記憶させておくこともできるが、上述した地上側制御装置30を介して地上から操作することもできる。飛行制御部13では、プロペラ12の回転数などの制御に加えて、移動機構2の制御も行われる。
小型無人航空機1の前端部(図2において左端部)には、構造物の表面(本実施の形態では桁下面M1)を観察するためのカメラ15が設けられている。このカメラ15により撮像された画像は、飛行制御部13を介して地上側制御装置30に送信される。
移動機構2は、小型無人航空機1の上面側の図1及び図4において左右両端にそれぞれ設けられている。移動機構2は、無限軌道であるベルト21と、このベルト21が架け回された4個のプーリ22と、これらプーリ22のうち一つの(図2において右端)プーリ22に設けられ、このプーリ22を回転駆動させるモータ及びギアボックス(いずれも図略)とを有する。
そして、ベルト21の表面が桁下面M1に接触した状態でプーリ22が回転駆動されることで、このプーリ22に架け回されているベルト21が移動し、これにより小型無人航空機1をベルト21の長さ方向に沿って移動させることができる。この際、回転センサ等によってプーリ22の回転量を計測することで、小型無人航空機1の移動距離のデータを得ることができる。
ベルト21の表面は、摩擦係数が高くなるように形成されている。すなわち、小型無人航空機1の浮力で桁下面M1に押し付けられたかぶり厚検査装置10を、ベルト21の回転駆動で走行させようとすれば、ある程度の摩擦抵抗が必要になる。ベルト21の表面は、ゴム、微細な吸盤構造、超微細毛構造(ファンデルワールス力利用)など、吸着性能の高い構造にすることができる。
次に、図1〜図4及び図5を参照して、かぶり厚測定センサ3の詳細について説明する。
かぶり厚測定センサ3は、図5に最もよく示すように、外形略直方体状に形成され、構造物の表面である桁下面M1に接触する接触面である図5における上面3aの端部3bが曲線状に面取り形成されることで、この上面3aが円滑面に形成されている。
かぶり厚測定センサ3は、上述したように電磁誘導法によるかぶり厚測定可能なセンサ3である。図6及び図7を参照して、電磁誘導法の原理及びかぶり厚測定手法について説明する。
図6に示すように、かぶり厚測定センサ3内には励磁コイル3c及び検出コイル3dが内蔵されており、励磁コイル3cには小型無人航空機1の駆動電源部から励磁電流が供給される。この励磁電流が励磁コイル3cに供給されると、図6の上下方向に沿って磁束が発生し、この磁束Hの電磁誘導により鉄筋Fに電流が発生し、さらに、この誘導電流によっても磁束Hが発生する。そして、鉄筋Fの誘導電流に基づく磁束Hを検出コイル3dにより検出し、検出信号として取り出す。
このため、かぶり厚測定センサ3に内蔵された励磁コイル3c及び検出コイル3dは、上面3aが桁下面M1に接触した状態で最も効率良くコンクリート桁M内の鉄筋Fからの磁束Hが検出できるように、その位置及び大きさ等が設定されている。
図7に示すように、コンクリート桁Mの桁下面M1にかぶり厚測定センサ3の上面3aを接触させ、この状態で励磁コイル3cに励磁電流を供給すると、鉄筋Fからの磁束Hに基づいて検出コイル3dにより検出される検出信号は、図中模式的に矢印で示すように、かぶり厚が厚い(h>h)ほど小さくなる。従って、この検出信号に基づいて鉄筋Fのかぶり厚h、hを測定、検出することができる。また、図7の左右方向にかぶり厚測定センサ3を走査すれば、検出信号が最も大きい場所が鉄筋Fの直下であるので、鉄筋Fの位置も検出することができる。
図5に戻って、かぶり厚測定センサ3は、付勢機構でもある付勢部4により小型無人航空機1の支持部11b上に固定、支持されている。付勢部4は、円筒状のゴム等の弾性部材からなる支持筒4aと、この支持筒4a内に収納されたスプリング等の付勢部材4bとを有し、これら支持筒4a及び付勢部材4bによりかぶり厚測定センサ3を下方から支持するとともに、このかぶり厚測定センサ3を桁下面M1に向けて付勢する付勢力を付与している。
かぶり厚測定センサ3と支持部11bとの間には変位計5が介在されている。この変位計5は、付勢部4によるかぶり厚測定センサ3の桁下面M1への付勢力に沿った変位を検出する。変位計5による測定結果(変位結果)は、飛行制御部13を介して地上側制御装置30に送信される。
また、かぶり厚測定センサ3の側面には、記録部であるマーカー6が取り付けられている。マーカー6の先端6a、つまりマーキングを行う部位は、かぶり厚測定センサ3の上面3aが桁下面M1に接触した状態で、同様に桁下面M1に接触して、小型無人航空機1の移動に伴い、かぶり厚測定センサ3の桁下面M1に沿った移動軌跡を記録する。
さらに、かぶり厚測定センサ3の側方を取り囲むように、電磁波を遮蔽する物質(例えばフェライト)により形成された中空筒状の電磁波遮蔽部7が設けられている。この電磁波遮蔽部7は、その上端部7aがかぶり厚測定センサ3の上面3aよりやや低くなるように、すなわち、かぶり厚測定センサ3によるかぶり厚測定のためにその上面3aが桁下面M1に接触している際にもこの桁下面M1に接触しないように、その高さが設定されている。なお、電磁波遮蔽部7は、図示を簡略化するために図3及び図5においてのみ図示している。
さらに、図12に示すように、小型無人航空機1の横梁部11aの一端部(図示例では左端部)には、マーカー6により記録された移動軌跡を検出する軌跡センサ8が設けられている。軌跡センサ8により移動軌跡を検出する手法は周知のものから適宜選択されれば良く、一例として、小型カメラによりマーカー6によるマーキングを色で識別するような手法が好適に挙げられる。軌跡センサ8による移動軌跡の検出結果は、飛行制御部13を介して地上側制御装置30に送信される。
次に、本実施の形態であるかぶり厚検査装置10を含むかぶり厚検査システムについて、図8及び図9を参照して説明する。
本実施の形態であるかぶり厚検査システムは、かぶり厚検査装置10と地上に配置された地上側制御装置30とを有する。地上側制御装置30は、かぶり厚検査装置10の飛行制御部13の無線通信部13aと無線通信が可能な無線通信部31と、かぶり厚検査装置10による測定結果等を受信して管理する地上側制御部32と、測定結果等が格納される記憶部33と、かぶり厚検査装置10等が撮像した画像や測定結果を表示する表示部34とを有する。
また、地上側制御装置30にはビデオカメラ35が接続され、ビデオカメラ35による撮像結果は入力インタフェース(I/O)36を介して地上側制御部32に入力され、適宜表示部34に表示される。ビデオカメラ35は、かぶり厚検査装置10の位置を把握するためのカメラであり、このため、小型無人航空機1の好適な位置にトラッキングターゲット(図略)が設けられ、ビデオカメラ35はこのトラッキングターゲットを追跡することが好ましい。
次に、本実施の形態であるかぶり厚検査システムを使用したかぶり厚検査方法について、図8〜図12を参照して説明する。
まず、図8に示すように、検査対象とする橋梁のコンクリート桁Mの桁下面M1に向けてかぶり厚検査装置10を浮上させる。
小型無人航空機1のプロペラ12の回転駆動によって得られる浮力でかぶり厚検査装置10を桁下面M1に押し付けると、移動機構2のベルト21が桁下面M1に接触して、かぶり厚検査装置10は安定した姿勢となる。
飛行中のかぶり厚検査装置10と地上側制御装置30とは、無線W1,W2によって交信した状態となっている。地上側制御装置30からは、小型無人航空機1の操縦信号、測定開始指示信号などが無線W1で送信される。
本実施の形態であるかぶり厚検査システムが検査をするコンクリート桁Mにおいて、検査対象となる鉄筋Fは、図10に示すように、桁Mの長手方向(図中左右方向)に延在する鉄筋である。そこで、本実施の形態であるかぶり厚検査システムでは、桁Mを横断する方向(図10において下から上)に小型無人航空機1を移動させて、この移動軌跡に沿ってかぶり厚測定センサ3により桁下面M1から鉄筋Fのかぶり厚を検査する。
地上側制御装置30からは、桁下面M1の検査開始位置へかぶり厚測定センサ3が到達するように操縦信号を無線W1で送信するとともに、ビデオカメラ35により小型無人航空機1に設けられたトラッキングターゲットを撮影することで実際の小型無人航空機1の位置を把握し、実際に検査開始位置へ到達するように操縦信号を調整する。
小型無人航空機1の飛行制御部13は、地上側制御装置30からの操縦信号、及びGPS通信衛星37(図8、図9参照)から受信した情報に基づいて、かぶり厚測定センサ3が検査開始位置に到達するようにプロペラ12及びベルト21の回転数を制御する。また、飛行制御部13は、カメラ15により撮像された桁下面M1の画像を無線W2で地上側制御装置30に送信し、地上側制御装置30は、このカメラ15の画像を確認しながら、小型無人航空機1の位置制御及び検査位置の確認、決定を行う。
検査位置は、ベルト21の走行方向(つまり桁Mを横断する方向)に間隔を置いた位置になる。このベルト21の走行方向に沿ってマーカー6がマーキングすることで移動軌跡である測線Lが記録される。図11に示す検査位置Pにおいて、飛行制御部13はかぶり厚測定センサ3によるかぶり厚測定結果、すなわちかぶり厚及び鉄筋径を取得し、検査開始位置からの走行距離及び検査を行った時刻とともに無線W2で地上側制御装置30に送信する。
検査開始位置は、コンクリート桁Mにおける鉄筋Fの配筋計画等から定めることができ、個々の検査位置は、ベルト21の回転量を指定する信号を地上側制御装置30から送信することで設定することができる。また、上述した走行距離も実際のベルト21の回転量に基づいて測定することができる。このように位置データを収集することで、実際の移動距離を正確に把握することができる。
地上側制御装置30に送信された各種データは、記憶部33に一時的に格納されるとともに、適宜表示部34に表示される。
コンクリート桁Mの桁下面M1全体のかぶり厚検査を行うには、まず、図12(a)に示すように、桁Mを横断する方向(図中下から上)に小型無人航空機1を移動させてかぶり厚測定センサ3による検査を行う。この時、マーカー6により測線Lが桁下面M1に記録される。次いで、図12(b)に示すように、軌跡センサ8により測線Lを検出し、この測線Lから所定距離だけ離れた検査位置において、同様にかぶり厚測定センサ3による検査を行う。そして、図12(c)に示すように、グリッド状に配置された測定位置においてかぶり厚測定センサ3による検査を行う。この際、測線Lの間隔は、軌跡センサ8の設置位置により調整可能である。
このように構成された本実施の形態であるかぶり厚検査装置10は、小型無人航空機1の桁下面M1に対向する側に設けられた移動機構2と、小型無人航空機1の移動機構2側に設けられたかぶり厚測定センサ3と、かぶり厚測定センサ3を桁下面M1に向けて付勢する付勢力を付与する付勢部4とを有する。
このようにすることで、例えば桁下面M1のような構造物の下面であれば、小型無人航空機1を浮上させて移動機構2を下面に密着させることで、かぶり厚測定センサ3をこの下面に接触させることができ、作業員が近付けないような箇所でも、大掛かりな足場設置等を行うことなく鉄筋コンクリート構造物のかぶり厚を検査することができる。
特に、本実施の形態であるかぶり厚検査装置10では、付勢部4によりかぶり厚測定センサ3を桁下面M1に向けて付勢する付勢力を付与しているので、桁下面M1に不陸や浮き等の凹凸があった場合でも、この桁下面M1の凹凸に追従してかぶり厚測定センサ3を桁下面M1に接触させ続けることができ、かぶり厚測定センサ3による検査を円滑、正確かつ確実に行うことができる。
ここで、かぶり厚測定センサ3は桁下面M1に接触する接触面3aを有し、この接触面3aは円滑面に形成されているので、桁下面M1に凹凸があった場合でも柔軟に追従することができる。また、移動機構2は無限軌道であるベルト21を有するので、簡単に構成することができる。さらに、かぶり厚測定センサ3の付勢力に沿った方向の変位を検出する変位計5を有することで、桁下面M1の凹凸も検出することができる。
さらに、かぶり厚測定センサ3の桁下面M1に沿った移動軌跡をこの表面に記録するマーカー6を有することで、検査位置を正確に把握することができる。加えて、移動軌跡を検出する軌跡センサ8を有し、移動機構2は軌跡センサ8の検出結果に基づいて小型無人航空機1を移動させることで、小型無人航空機1の移動も正確に制御することができる。
そして、かぶり厚測定センサ3を取り囲む電磁波遮蔽部7を有することで、かぶり厚測定センサ3による検査を正確に行うことができる。すなわち、上述したように、かぶり厚測定センサ3は鉄筋Fからの磁束Hを検出してかぶり厚を測定しているので、小型無人航空機1が金属等の磁性体からなる場合、鉄筋F以外の磁性体からの磁束がノイズとなってかぶり厚測定センサ3の測定結果に影響する可能性がある。本実施の形態であるかぶり厚検査装置10では、電磁波遮蔽部7によりかかるノイズを低減させることができる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、上述した実施の形態であるかぶり厚検査装置10では無限軌道タイプの移動機構2について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば車輪を有する移動機構2であっても小型無人航空機を構造物の表面に沿って移動させることができる。
また、前記実施の形態では、橋梁の桁下面M1の検査を例に説明したが、これに限定されるものではなく、高層建築物などの鉄筋コンクリート構造物の高所箇所を検査する場合にも、かぶり厚検査装置10を適用することができる。さらに、橋脚の側面、擁壁や建物などの壁面の検査を行う場合には、移動機構が設けられた胴体部の上半部が起立する構造の小型無人航空機を使用することで、本発明を適用することができるようになる。
1 小型無人航空機
2 移動機構
3 かぶり厚測定センサ
3a 上面(接触面)
4 付勢部(付勢機構)
5 変位計(検出機構)
6 マーカー(記録部)
7 電磁波遮蔽部
8 軌跡センサ
10 かぶり厚検査装置
F 鉄筋
M コンクリート桁(鉄筋コンクリート構造物)
M1 桁下面(表面)

Claims (7)

  1. 鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋のかぶり厚を検査するかぶり厚検査装置であって、
    小型無人航空機と、
    前記小型無人航空機の前記構造物の表面に対向する側に設けられた移動機構と、
    前記小型無人航空機の前記移動機構側に設けられたかぶり厚測定センサと、
    前記かぶり厚測定センサを前記構造物の前記表面に向けて付勢する付勢力を付与する付勢機構とを有することを特徴とするかぶり厚検査装置。
  2. 前記かぶり厚測定センサは前記構造物の前記表面に接触する接触面を有し、この接触面は円滑面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のかぶり厚検査装置。
  3. 前記移動機構は無限軌道または車輪を有することを特徴とする請求項1または2に記載のかぶり厚検査装置。
  4. 前記かぶり厚測定センサの前記付勢力に沿った方向の変位を検出する検出機構を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のかぶり厚検査装置。
  5. 前記かぶり厚測定センサの前記構造物の前記表面に沿った移動軌跡をこの表面に記録する記録部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のかぶり厚検査装置。
  6. 前記移動軌跡を検出する軌跡センサを有し、前記移動機構は前記軌跡センサの検出結果に基づいて前記小型無人航空機を移動させることを特徴とする請求項5に記載のかぶり厚検査装置。
  7. 前記かぶり厚測定センサを取り囲む電磁波遮蔽部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のかぶり厚検査装置。
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