JP2019082040A - 汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法 - Google Patents
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(1) 地上から下端部に掘削刃を備えた掘削ロッドで、水または掘削液を注入して掘削しながら前記汚染土層の杭穴壁を練り付けて、前記掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通したならば上部杭穴を形成して、一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げる。
(2) 前記掘削ロッド使って前記(1)の工程と同時に、あるいは別の手段を使って、前記上部杭穴内の汚染土を含んだ掘削残土を地上に排出する。
(3) 前記掘削ロッドまたは他の掘削ロッドの先端側を前記上部杭穴内に挿入して、掘削液や水などを前記杭穴内に注入して前記汚染土層の杭穴壁を練り付けながら、さらに下方に向けて掘削する。
(4) 前記掘削ロッドにより所定の深さまで掘削をして杭穴を構築して、前記掘削ロッドを地上に引き上げる。
(5) 前記掘削ロッドを地上に引き上げながら、あるいは前記掘削ロッドを地上に引き上げた後に、前記杭穴内に水硬性材料を投入すると共に構造物を埋設して基礎杭を構築する。
(1) 不透水系地層の上に汚染土層が形成された地盤で、掘削ロッドの掘削刃が、前記汚染土層を貫通して、前記不透水系地層に至ったならば、上部杭穴を形成して、一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記上部杭穴内の掘削残土を前記上部杭穴から排出する。
(1) 予め現場敷地内または近接敷地に、釜場ピットを形成する。
(2) 上部杭穴を形成したならば、前記上部杭穴内の掘削残土を地上に排出すると共に、前記釜場ピット内に移動する。
(3) 前記釜場ピット内に不溶化材料を投入して、前記掘削残土に不溶化処理を施しマッドケーキとして、前記マッドケーキを前記釜場ピットから排出する。
事前調査では、通常の法定の内容で行う。例えば、現場敷地内を所定の範囲(例えば8m角)のグリッドに分けて、ボーリング調査をして、通常基準値以上の汚染物質が含まれている平面と深さの情報を入手する。汚染範囲に認定して、特に、鉛(Pb)、砒素(As)、シアン(CN)、フッ素(F)などの土壌溶出量や土壌含有量を確認する。
また、掘削ヘッド5のヘッド本体6の下端(または上端)に吐出口を備えてある(図示していない)。地上11のプラントや貯水層から水や掘削液(ベントナイト液)などを掘削ロッド(単位ロッド)1内の液路に供給して、吐出口から杭穴20内に注入できるようになっている。
また、掘削ヘッド5は、掘削ロッド1の同じ回転方向で(掘削腕8は同じ揺動方向で)、ストッパーを操作して、掘削腕8、8の揺動角度を軸部掘削モード(揺動角度小)と拡底部掘削モード(揺動角度大)とを切り替えることができるようになっている。したがって、杭穴20の軸部22(小径)と拡底部23(大径)との掘削ができるようになっている。なお、掘削腕8の揺動方向(掘削ロッド1の回転方向)を切り替えて、揺動方向により揺動角度を変えることもできる(図示していない)。また、2種類の掘削径を切替ることが望ましいが、他の構造の掘削ヘッド5とすることもできる(図示していない)。
地面11付近には、汚染土層12があり、地面11から汚染土層12を貫通して(図1(c))、シルト層13に至り多少シルト層13内を掘削した時点で(地面11から深さH0+α)、いったん掘削ロッド1の回転を停止して(図1(d))、掘削ロッド1(掘削ヘッド5も)を地面11上に引き上げ、上部杭穴21の掘削を完了する(図1(e))。すなわち、下部杭穴21の底21aはシルト層13内に位置する。
上部杭穴21の掘削に際して、掘削ヘッド5のヘッド本体6の下端の吐出口から水を注水する。これにより、上部杭穴21の杭穴壁は練り付けドラム2などで泥土が練り付けられ、杭穴壁(汚染土層12の端面12a)には泥土による膜ができて、杭穴壁(汚染土層12の端面12a)から汚染土層12内の水分が上部杭穴21内にしみ出ることを防止できる。
また、引き上げた掘削ロッド1の下部(掘削ヘッド5部分など)で、汚染土層の掘削に関わった部分を、地面11上で、清掃あるいは洗浄することもできる。
この状態で、上部杭穴21内から汚染土はほぼ排出されている。
この現場の掘削土(汚染土)で、どのくらいの水を注入し、どのくらいの分量の不溶化セメントを注入すれば、最適な(比重、排出に必要な硬さ・まとまりや強度など)マッドケーキ(不溶化残土)となるか、まとまった(かたまった)マッドケーキ(不溶化残土)から汚染物質の溶出は無いかなどを、予め試験により確認しておくことが望ましい。
掘削土は、掘削ロッドの練り付けドラムや撹拌バーにより充分に撹拌され、注入した水分量が管理されているので、上記試験結果に基づき必要な量の不溶化セメントと水を釜場ピット内の掘削土に投入して撹拌混合する。さらにこの実際に形成したマッドケーキ(不溶化残土)から一部を試料として取り出し、汚染物質の溶出は無いかどうかを確認をする。
前記予めの試験結果が出る前に現場の施工が行われる場合もあり、この場合には、試験結果が出るまでは、やや多めの不溶化セメントを投入しておくことが望ましい。
安全が確認されたマッドケーキ(不溶化残土)は、通常の方法により(ダンプなどにより)、汚染土を含む産業廃棄物として処理する。
なお、不溶化セメントは事前調査の結論に応じて、含有汚染物質に対応して、市販の材料を使用する。
あるいは、杭穴20の軸部22が支持層15に達したならば(深さH1)、引き続き支持層15内を同じ軸部径で掘削して、所定の深さ(H2)まで掘削したならば(図示していない)、掘削ロッド1を拡大掘削モードにして、掘削ヘッド5の掘削腕8、8を大きな揺動角度で揺動させると、掘削腕8、8は大きな揺動角度を維持して軸部径より大径で、軸部径の杭穴の杭壁を削ぐように拡大して所定の深さ(H1付近〜H2)に杭穴20の拡底部23を形成する(図2(d))。所定の深さまで杭穴20の拡底部23を掘削したならば、同様に杭穴20の底24(杭穴20の拡底部23の底24)に掘削ヘッド5を位置させる(図2(d))。
杭穴20の底24(杭穴20の拡底部23の底24)から掘削ヘッド5の吐出口からセメントミルクを杭穴20(拡底部23)内に注入する。このセメントミルクに使用するセメントは不溶化セメントを使用したもので、地上から供給する(以下、同じ)。通常、セメントミルクは水や掘削泥土より比重が大きいので、セメントミルク28は杭穴20の底24から溜まり、水や掘削泥土と置換され、水や掘削泥土は上方に上がり、杭穴20の開口(地面11上)で徐々にあふれるので、これを地面11上で回収する。
続いて、掘削ヘッド5の吐出口からセメントミルクを杭穴20の軸部22内に注入しながら(図2(e))、掘削ロッド(掘削ヘッド)を地上に引き上げる(図示していない)。したがって、水や掘削泥土は掘削ヘッド5とともに地面11に向けて上昇する。同様に地面11上にあふれた水や掘削泥土を地上11で回収し、掘削ロッド1(掘削ヘッド5)を地面11上に引き上げ、杭穴20内はセメントミルク28で満たされた状態になり、杭穴20の掘削が完了する(図2(f))。なお、上部杭穴21は、杭穴の軸部22に含められている。
この状態で、汚染土層12の深さ(高さ。上部杭穴21付近)で、汚染土層12の杭穴壁(端面21a)は前記のように練り付けられており、汚染土層12から杭穴20内(セメントミルク28内)へ、汚染土層の汚染物質を含んだ水分が入り込むことを防止できる。
また、この場合、注入するセメントミルク28は、基礎杭に必要とされる荷重(支持力)に応じて、通常の基礎杭の構築で使用する材料を、選択して使用することができる(図示していない)。
また、上記既製杭31(節杭32、ストレート杭33、33)の下降に伴い、杭穴20内のセメントミルク28は杭穴20の開口(地面11付近)からあふれるので、通常の方法により地上であふれたセメントミルク28を回収して処理する。
既製杭31の先端が杭穴20の底24付近(拡底部23内)に至った状態で、地面11付近で既製杭31の全体を保持し、セメントミルク28が固化した状態で、この発明の基礎杭40を構築する(図3(c))。
この状態で、汚染土層12を杭穴20(上部杭穴21)で貫通した部分には、固化したセメントミルクで円柱状の蓋がされた状態となるので、前記端面12a泥土の膜と併せて、汚染土層12から杭穴20内(固化セメントミルク内)へ、汚染土層12の汚染物質を含んだ水分が混入するおそれはない。
また、同時にこのセメントミルク28固化強度が所定の条件を満たしていることを確認することもできる。
また、杭穴20の掘削が完了した状態で(図2(d))、杭穴20内の水の成分を採取して(主に地上11付近や、汚染土層12の深さ付近)、この水を分析して、汚染物質が全く混入されていなければ、その後投入するセメントミルクは、不溶化セメントを用いることなく、この工法に使用される通常のセメントを使用することもできる。また、特定の汚染物質用の中和剤を混入することもできる。
また、汚染土層の端面からの杭穴内に浸み出しのおそれがある場合には、水に、汚染土層12の汚染物質を中和(例えば、化学的に)できる成分や、不溶化剤(汚染土の汚染成分を含めて全体を水に溶けないような半固体にさせることができる)を混ぜた水を使うこともできる、
(3) また、前記実施形態において、下部杭穴21からの掘削土(汚染土を含む)を重機などで排出して、釜場ピットに移動したが、練り付け機能と排土機能(スパイラルなど)を備えた掘削ロッドを使用すれば(図示していない)、掘削土の全部または一部をこの掘削ロッドを使って、地面1上に排出することもできる。
2 練り付けドラム(掘削ロッド)
3 練り付け手段(練り付けドラム)
4 撹拌手段(撹拌バー)
5 掘削ヘッド(掘削ロッド)
6 ヘッド本体(掘削ヘッド)
7 固定掘削刃(掘削ヘッド)
8 掘削腕(掘削ヘッド)
9 移動掘削刃(掘削ヘッド)
11 地面
12 汚染土層
12a 汚染土層の端面(杭穴壁)
13 シルト層
14 中間層
15 支持層
20 杭穴
21 上部杭穴
21a 上部杭穴の底
22 杭穴の軸部
23 杭穴の拡底部
24 杭穴の底
28 セメントミルク
31 既製杭
32 節杭(既製杭)
33 ストレート杭(既製杭)
35 上部杭穴の掘削土
36 釜場ピット
40 基礎杭
Claims (4)
- 地表付近に汚染土層を有する地盤に基礎杭を構築するに際し、以下のようにして掘削することを特徴とする汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法。
(1) 地上から下端部に掘削刃を備えた掘削ロッドで、水または掘削液を注入して掘削しながら前記汚染土層の杭穴壁を練り付けて、前記掘削ロッドの前記掘削刃が、前記汚染土層を貫通したならば上部杭穴を形成して、一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げる。
(2) 前記掘削ロッド使って前記(1)の工程と同時に、あるいは別の手段を使って、前記上部杭穴内の汚染土を含んだ掘削残土を地上に排出する。
(3) 前記掘削ロッドまたは他の掘削ロッドの先端側を前記上部杭穴内に挿入して、掘削液や水などを前記杭穴内に注入して前記汚染土層の杭穴壁を練り付けながら、さらに下方に向けて掘削する。
(4) 前記掘削ロッドにより所定の深さまで掘削をして杭穴を構築して、前記掘削ロッドを地上に引き上げる。
(5) 前記掘削ロッドを地上に引き上げながら、あるいは前記掘削ロッドを地上に引き上げた後に、前記杭穴内に水硬性材料を投入すると共に構造物を埋設して基礎杭を構築する。 - 以下のようにして掘削することを特徴とする請求項1記載の汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法。
(1) 不透水系地層の上に汚染土層が形成された地盤で、掘削ロッドの掘削刃が、前記汚染土層を貫通して、前記不透水系地層に至ったならば、上部杭穴を形成して、一旦掘削を停止して、前記掘削ロッドを地上に引き上げ、前記上部杭穴内の掘削残土を前記上部杭穴から排出する。 - 以下のようにして掘削することを特徴とする請求項1記載の汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法。
(1) 予め現場敷地内または近接敷地に、釜場ピットを形成する。
(2) 上部杭穴を形成したならば、前記上部杭穴内の掘削残土を地上に排出すると共に、前記釜場ピット内に移動する。
(3) 前記釜場ピット内に不溶化材料を投入して、前記掘削残土に不溶化処理を施しマッドケーキとして、前記マッドケーキを前記釜場ピットから排出する。 - 掘削ロッドは、掘削ヘッドの直上に練り付けドラムを形成した請求項1記載の汚染土層を含む地盤での基礎杭の構築方法。
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