JP2019081375A - 積層フィルムの製造方法、積層フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

積層フィルムの製造方法、積層フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2019081375A
JP2019081375A JP2019019496A JP2019019496A JP2019081375A JP 2019081375 A JP2019081375 A JP 2019081375A JP 2019019496 A JP2019019496 A JP 2019019496A JP 2019019496 A JP2019019496 A JP 2019019496A JP 2019081375 A JP2019081375 A JP 2019081375A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
coating
laminated film
cyclic olefin
laminated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019019496A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6611292B2 (ja
Inventor
竜太 竹上
Ryuta Takegami
竜太 竹上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2019019496A priority Critical patent/JP6611292B2/ja
Publication of JP2019081375A publication Critical patent/JP2019081375A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6611292B2 publication Critical patent/JP6611292B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

【課題】環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成する場合であっても、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性が優れる積層フィルムを製造できる積層フィルムの製造方法の提供。【解決手段】基材フィルムと、基材フィルムの少なくとも一方の面に積層される被膜層とを有し、基材フィルムの主バインダーが環状オレフィンポリマー等であり、未延伸の基材フィルムに対して被膜層形成用の水系塗布液を塗布するインラインコート工程と、インラインの状態を維持して未延伸の基材フィルムを搬送しながら延伸する延伸工程と、延伸温度よりも高く、かつ、基材フィルムのガラス転移温度Tgよりも高い熱固定温度で、基材フィルム両端部を保持しながら熱処理を行う熱固定工程とを含む、積層フィルムの製造方法;積層フィルム;透明導電フィルム;位相差フィルム;有機エレクトロルミネッセンス素子。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルムの製造方法、積層フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。具体的には、本発明は環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成する場合であっても、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性が優れる積層フィルムを製造できる積層フィルムの製造方法に関する。また、本発明は、この積層フィルムの製造方法で製造された積層フィルム、ならびに、この積層フィルムを有する透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子にも関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、タッチパネル等の用途が拡大している。このようなデバイスでは支持体や保護フィルムや位相差フィルム等に、各種の樹脂フィルムが用いられている。中でも、環状オレフィン系フィルム(環状オレフィンポリマーフィルムまたは環状オレフィンコポリマーフィルム)は、耐熱性が高く、吸水率が低いために、寸法安定性に優れるため好ましく用いられている。また、環状オレフィンポリマーフィルムまたは環状オレフィンコポリマーフィルムは、低光弾性係数であるために複屈折を低く抑えることができるため、光学特性にも優れた素材である。
ところで、環状オレフィン系フィルムは、極性基がない、もしくはポリエステル系フィルム等と比較して極性基が極めて少ない非極性なフィルムであるため、環状オレフィン系フィルム自体には接着性があまりない。そのため、環状オレフィンポリマーフィルムまたは環状オレフィンコポリマーフィルムに易接着層などの被膜層を積層し、その被膜層を介して他のフィルムと貼り合わせることが行われている。
通常、被膜層は、オフラインコート法またはインラインコート法で形成される。特に環境負荷低減と、コスト優位な点から、水系塗布材料のインラインコート法を用いることが検討されている。
例えば、特許文献1には、脂環式構造含有重合体又はアクリル重合体を含む樹脂からなる層を表面に有する基材フィルムの表面に、(A)ポリウレタン、(B)エポキシ化合物、(C)一級アミン及び二級アミンの一方又は両方、並びに、(D)前述の(B)エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して1.4当量〜2.7当量の、三級アミン、イミダゾール化合物およびイミダゾリン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類の化合物を含む樹脂を塗布し、硬化させることを含む、複層フィルムの製造方法が記載されている。特許文献1によれば、このような構成により、脂環式構造含有重合体又はアクリル重合体を含む樹脂からなる層を有する基材フィルムを備えた複層フィルムであって、偏光子との接着力が高く、且つ、高湿度環境であってもその接着力が低下し難い複層フィルムを提供することができると記載されている。また、特許文献1には、塗布した樹脂を硬化させるのと同時に、基材フィルムを延伸することや、水系ウレタン樹脂を用いることも記載されている。
一方、環状オレフィン系フィルムに対し、溶剤系塗布液を塗布して乾燥させた後に、諸特性の改善の観点から、延伸および熱固定を行うことが知られている。
例えば、特許文献2には、平均配向角β1が、この工程における延伸終了位置における幅方向に対して10〜80°の範囲にある光学フィルムBを得る工程と、光学フィルムB上に、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミド−イミド、及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーの溶液を塗布してなる塗膜を乾燥させる工程とを含み、平均配向角βが幅方向に対して10〜80°の範囲にあり、且つ、Nz係数の値が1.3以上又は−0.3以下である長尺の光学補償フィルムの製造方法が記載されている。また、特許文献2には、斜め延伸を、予熱ゾーン、延伸ゾーンおよび固定ゾーンを備え、延伸ゾーンがフィルム走行方向が変化せずに直線状になっているテンター延伸機を用いて行うことも記載されている。
特許文献3には、基体フィルムシートの少なくとも一方の面に、酸化剤を塗布して酸化剤層を形成し、単量体を供給して酸化剤と接触させて、基材フィルムシートの表面に導電性ポリマー層を形成後、フィルムシートを延伸する帯電防止性フィルムシートの製造方法が記載されている。
環状オレフィン系フィルムに用いられる環状オレフィンは、他の主バインダーに混合されて用いられることもある。例えば、特許文献4には、光学フィルム以外の用途で、ポリエステルフィルムにシクロオレフィン共重合体を含有させた不透明二軸延伸ポリエステルフィルムが知られている。
特許文献4には、70〜270℃のガラス転移温度を有するシクロオレフィン共重合体を2〜60重量%含有する少なくとも1層のポリエステル層から成る不透明二軸延伸ポリエステルフィルムであって、少なくともフィルムの片面に接着促進性を有する不透明二軸延伸ポリエステルフィルムが記載されている。また、特許文献4には、上記フィルムの製造方法であって、フィルムの各層に対応した溶融物をフラット−フィルム−ダイ(スロットダイ)より押出し及び/又は共押出しし、引出した溶融フィルムを1つ以上のロールによって冷却固化させ、二軸延伸し、熱固定し、押出しと熱固定の間に塗布および/または熱固定後にコロナ又は火炎処理を所望の表面に行なうフィルムの製造方法も記載されている。
特開2012−206343号公報 特開2011−197683号公報 特開2006−224517号公報 特表2004−504459号公報
本発明者が環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成したところ、環状オレフィン系フィルムと被膜層の密着性が不足する課題があることを見出すに至った。
本発明が解決しようとする課題は、環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成する場合であっても、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性(初期の密着性)が優れる積層フィルムを製造できる積層フィルムの製造方法を提供することにある。
ここで、水系塗布材料のインラインコート法を用いる特許文献1には、熱固定に関する記載がなかった。
溶剤系塗布液を乾燥させてから延伸および熱固定をしている特許文献2および3には熱固定温度が延伸温度よりも高いことは示唆されていなかった。例えば、特許文献2には、予熱温度Tg〜Tg+30℃、延伸温度Tg〜Tg+20℃、熱固定温度Tg〜Tg+15℃に制御することが記載されているが、熱固定温度が延伸温度よりも高いことは示唆されておらず、また、密着性向上に関する記載もなかった。特許文献3には、延伸温度Tg−30℃〜Tg+30℃、熱固定温度Tg−20℃〜Tg℃に制御することが記載されているが、熱固定温度が延伸温度よりも高いことは示唆されていなかった。
このような状況のもとで上記の課題を解決するために本発明者が鋭意検討を行った結果、環状オレフィンポリマーフィルムの上に水系塗布材料を用いてインラインコート法を用いる際に、延伸温度よりも高く、かつ、環状オレフィンポリマーフィルムのガラス転移温度Tgよりも高い温度で、熱固定を行うことにより、環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成する場合であっても、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性が優れる積層フィルムを製造できる積層フィルムの製造方法を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、特許文献4は、内装品の表面被覆材、表面保護材、包装フィルム、ホットスタンピングホイル又はラベル用フィルムや、積層部材、受像紙、プリンタ供給紙または磁気記録カード用途の不透明二軸延伸ポリエステルフィルムに関する文献であり、環状オレフィン系フィルムの優れた透明性などの光学特性を活かすにはシクロオレフィン共重合体の含有量が少な過ぎであった。さらに、本発明の構成で環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成して得られる積層フィルムよりも、特許文献4に記載の方法で得られた不透明二軸延伸ポリエステルフィルムは基材フィルムと被膜層との間の密着性が劣り、また、耐湿熱性にも劣るものであった。
具体的に、本発明および本発明の好ましい態様は、以下の構成を有する。
[1] 基材フィルムと、基材フィルムの少なくとも一方の面に積層される被膜層とを有する積層フィルムの製造方法であって、
基材フィルムの主バインダーが環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーであり、
搬送されている未延伸の基材フィルムに対して被膜層形成用の水系塗布液を塗布するインラインコート工程と、
インラインコート工程の後にインラインの状態を維持して未延伸の基材フィルムを搬送しながら延伸する延伸工程と、
延伸工程の後に延伸温度よりも高く、かつ、基材フィルムのガラス転移温度Tgよりも高い熱固定温度で、幅が10%以内の拡大または縮小の範囲となるように基材フィルム両端部を保持しながら熱処理を行う熱固定工程とを含む、積層フィルムの製造方法。
[2] [1]に記載の積層フィルムの製造方法は、熱固定温度が、基材フィルムのガラス転移温度Tgよりも高く、Tg+10℃以下であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の積層フィルムの製造方法は、インラインコート工程での被膜層形成用の水系塗布液のwet塗布量が、10ml/m2以下であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法は、被膜層の主バインダーのガラス転移温度Tg(2)が、基材フィルムのガラス転移温度Tgに対して、50℃以上低いことが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法は、被膜層のSP値が、9〜11(cal/cm31/2であることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法は、被膜層の主バインダーが、ウレタン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーであることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法は、延伸温度が、基材フィルムのガラス転移温度Tg以上であることが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法で製造された積層フィルム。
[9] [8]に記載の積層フィルムを有する透明導電フィルム。
[10] [8]に記載の積層フィルムを有する位相差フィルム。
[11] [8]に記載の積層フィルムを有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明によれば、環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成する場合であっても、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性が優れる積層フィルムを製造できる積層フィルムの製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の積層フィルムの一例を示す断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[積層フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルムの製造方法は、基材フィルムと、基材フィルムの少なくとも一方の面に積層される被膜層とを有する積層フィルムの製造方法であって、
基材フィルムの主バインダーが環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーであり、
搬送されている未延伸の基材フィルムに対して被膜層形成用の水系塗布液を塗布するインラインコート工程と、
インラインコート工程の後にインラインの状態を維持して未延伸の基材フィルムを搬送しながら延伸する延伸工程と、
延伸工程の後に延伸温度よりも高く、かつ、基材フィルムのガラス転移温度Tgよりも高い熱固定温度で、幅が10%以内の拡大または縮小の範囲となるように基材フィルム両端部を保持しながら熱処理を行う熱固定工程とを含む。
このような構成により、本発明の積層フィルムの製造方法によれば、環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成する場合であっても、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性が優れる積層フィルムを製造できる。いかなる理論に拘泥するものでもないが、インラインコート工程の後に延伸を行い、さらに特定の温度範囲で熱固定を行うことにより、環状オレフィン系フィルムがエントロピー緩和し、幅が10%以内の拡大または縮小の範囲となるように保持されているので膜厚方向に隣接する被膜層と混合すると推測される。そのため、環状オレフィン系フィルムと被膜層の密着性に極めて優れる積層フィルムを作製できると本発明者は推測している。ただし、現時点で混合層が存在することを完全に特定することが不可能またはおよそ実際的ではない程度に困難であるため、プロダクトバイプロセスクレームによって積層フィルムを記載している。
なお、本発明の積層フィルムの製造方法で製造される積層フィルムは、初期の環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性に優れることに加え、さらに湿熱経時後の環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性にも優れることが好ましい。
以下、本発明の好ましい態様について説明する。
<基材フィルム>
本発明の積層フィルムの製造方法では、基材フィルムの主バインダーが環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーである。
主バインダーが環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーであるフィルムとは、バインダー成分として環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーを、60質量%を超えて含むフィルムのことを言う。基材フィルムがバインダー成分として環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーを60質量%を超えて含むことにより、透明性に優れ、基材フィルムと被膜層との間の密着性が優れ、また、耐湿熱性(基材フィルムと被膜層との間の湿熱経時後の密着性)にも優れる積層フィルムを得ることができる。基材フィルムのバインダー成分の環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーの比率は高いほど好ましい。基材フィルムは、バインダー成分として環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーを、80質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましい。
本発明では、環状オレフィンポリマーが有機基を含有していても非含有であってもよいが、有機基を含有していることが、環状オレフィンポリマー層と被覆層の密着性の観点から好ましい。環状オレフィンポリマーが含有できる有機基としては、以下の有機基を挙げることができる。
有機基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら有機基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。また、上記有機基としては、特許第5009512号公報の段落0037に記載されたものを例示することができる。
中でも、カルボキシ基、カルボキシアルキル基(アルキル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましい。)、カルボキシアリール基(アリール基の炭素数は6〜20であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜10であることが更に好ましい。)が好ましい。
環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーの原料となるノルボルネン樹脂(ノルボルネン単位)として、以下に記載する飽和ノルボルネン樹脂−Aと飽和ノルボルネン樹脂−Bを好ましい例として挙げることができる。これらの主バインダーが飽和ノルボルネン樹脂である基材フィルムは、いずれも後述の溶液製膜法、溶融製膜法により製膜することができるが、主バインダーが飽和ノルボルネン樹脂−Aである基材フィルムは溶融製膜法により製膜することがより好ましく、主バインダーが飽和ノルボルネン樹脂−Bである基材フィルムは溶融および溶液製膜法により製膜することがより好ましい。
(飽和ノルボルネン樹脂−A)
飽和ノルボルネン樹脂−Aとして、(1)ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体に対して、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加のようなポリマー変性を行ない、その後さらに水素添加して得られた樹脂、(2)ノルボルネン系モノマーを付加型重合させて得られた樹脂、(3)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノマーとを付加型共重合させて得られた樹脂などを挙げることができる。重合方法および水素添加方法は、常法により行なうことができる。
ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体(例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等)、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体(例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等);シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物;シクロペンタジエンの3〜4量体(例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン)等が挙げられる。これらのノルボルネン系モノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(飽和ノルボルネン樹脂−B)
飽和ノルボルネン樹脂−Bとして、下記一般式(1)〜(3)で表わされるものを挙げることができる。これらのうち、下記一般式(1)で表されるものが特に好ましい。
Figure 2019081375
一般式(1)〜(3)中、R1〜R12は、各々独立に水素原子または1価の置換基(好ましくは有機基)を示し、これらのうち少なくとも1つは極性基であることが好ましい。これらの飽和ノルボルネン樹脂の質量平均分子量は、通常5,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは8,000〜200,000である。
上記の置換基としては、特許第5009512号公報の段落[0036]に記載されたものを例示することができる。また、上記の極性基としては、特許第5009512号公報の段落[0037]に記載されたものを例示することができる。
飽和ノルボルネン樹脂としては、例えば、特開昭60−168708号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開平2−133413号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−240517号公報、特公昭57−8815号公報などに記載されている樹脂などを挙げることができる。
これらの樹脂の中でも、ノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素添加して得られる水添重合体が特に好ましい。
飽和ノルボルネン樹脂として、下記一般式(5)で表わされる少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導体を単独で、あるいは、テトラシクロドデセン誘導体と、これと共重合可能な不飽和環状化合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水素添加して得られる水添重合体を用いることもできる。
Figure 2019081375
一般式(5)中、R13〜R16は、各々独立に水素原子または1価の置換基(好ましくは有機基)を示し、これらのうち少なくとも1つは極性基であることが好ましい。ここでいう置換基と極性基の具体例と好ましい範囲については、一般式(1)〜(4)について説明したのと同一である。
上記一般式(5)で表わされるテトラシクロドデセン誘導体において、R13〜R16のうち少なくとも1つが極性基であることにより、他の材料との密着性、耐熱性などに優れた偏光フィルムを得ることができる。さらに、この極性基が−(CH2nCOOR(ここで、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、nは0〜10の整数を示す。)で表わされる基であることが、最終的に得られる水添重合体(偏光フィルムの基材)が高いガラス転移温度を有するものとなるので好ましい。特に、この−(CH2nCOORで表わされる極性置換基は、一般式(5)のテトラシクロドデセン誘導体の1分子あたりに1個含有されることが吸水率を低下させる点から好ましい。上記極性置換基において、Rで示される炭化水素基の炭素数が多くなるほど得られる水添重合体の吸湿性が小さくなる点では好ましいが、得られる水添重合体のガラス転移温度とのバランスの点から、炭化水素基は、炭素数1〜4の鎖状アルキル基または炭素数5以上の(多)環状アルキル基であることが好ましく、特にメチル基、エチル基、シクロヘキシル基であることが好ましい。
さらに、−(CH2nCOORで表わされる基が結合した炭素原子に、炭素数1〜10の炭化水素基が置換基として結合されている一般式(5)のテトラシクロドデセン誘導体は、得られる水添重合体の吸湿性が低いものとなるので好ましい。特に、この置換基がメチル基またはエチル基である一般式(5)のテトラシクロドデセン誘導体は、その合成が容易な点で好ましい。具体的には、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エンが好ましい。これらのテトラシクロドデセン誘導体、およびこれと共重合可能な不飽和環状化合物の混合物は、例えば特開平4−77520号公報第4頁右上欄12行〜第6頁右下欄第6行に記載された方法によってメタセシス重合、水素添加することができる。
これらのノルボルネン系樹脂は、クロロホルム中、30℃で測定される固有粘度(ηinh)が、0.1〜1.5dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜1.2dl/gである。また、水添重合体の水素添加率は、60MHz、1H−NMR(nuclear magnetic resonance、核磁気共鳴)で測定した値が50%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは98%以上である。水素添加率が高いほど、得られる飽和ノルボルネンフィルムは、熱や光に対する安定性が優れたものとなる。水添重合体中に含まれるゲル含有量は5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下である。
(その他の開環重合可能なシクロオレフィン類)
本発明においては、ノルボルネン系モノマー以外の環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーの原料として、開環重合可能な他のシクロオレフィン類を併用することができる。このようなシクロオレフィンの具体例としては、例えば、シクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンなどのごとき反応性の二重結合を1個有する化合物が例示される。これらの開環重合可能なシクロオレフィン類の含有量は、上記ノルボルネン系モノマーに対して0モル%〜50モル%であることが好ましく、0.1モル%〜30モル%であることがより好ましく、0.3モル%〜10モル%であることが特に好ましい。
環状オレフィン系樹脂は、エチレン単位とノルボルネン単位を含む環状オレフィンコポリマー(環状オレフィン共重合体)であってもよい。エチレン単位は、−CH2CH2−で表される繰り返し単位である。エチレン単位が、上述したノルボルネン単位とビニル重合することによって、環状オレフィンコポリマーが得られる。ノルボルネン単位とエチレン単位の共重合モル比率が、80:20〜20:80であることが好ましく、80:20〜50:50であることが好ましく、80:20〜60:40であることがより好ましい。
なお、環状オレフィンコポリマーは、エチレン単位とノルボルネン単位以外にも他の共重合可能なビニルモノマーからなる繰り返し単位を少量含有していてもよい。他のビニルモノマーとしては、具体的に、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンのような炭素数3〜18のα−オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、シクロオクテンのようなシクロオレフィン等を挙げることができる。このようなビニルモノマーは単独であるいは2種類以上組み合わせて用いてもよく、またその繰り返し単位が全体の10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
また、環状オレフィン系樹脂には付加重合型と開環重合型があり、いずれを用いてもよい。開環重合型の環状オレフィン系樹脂としては、例えば、WO2009/041377号、WO2008/108199号、WO2007/001020号、WO2006/112304号、特開2008−037932、WO2007/043573号、WO2007/010830号、特許5233280号、WO2007/001020号、特開2007−063356号公報、特開2009−210756号公報、特開2008−158088号公報、特開2001−356213号公報、特開2004−212848号公報、特開2003−014901号公報、特開2000−219752号公報、特開2005−008698号公報、WO2007/135887号、特開2012−056322号公報、特開平7−197623号公報、特開2006−215333号公報、特開2006−235085号公報、特開2005−173072号公報、特許4292993号、特開2004−258188号公報、特開2003−136635号公報、特開2003−236915号公報、特開平10−130402号公報、特開平9−263627号公報、特開平4−361230号公報、特開平4−363312号公報、特開平4−170425号公報、特開平3−223328号公報等に記載の開環重合型の環状オレフィン系樹脂が挙げられる。
また、付加重合型の環状オレフィン系樹脂としては、例えば、WO2009/139293号、WO2006/030797号、特許4493660号、特開2007−232874号公報、特開2007−009010号公報、WO2013/179781号、WO2012/114608号、WO2008/078812号、特開平11−142645号公報、特開平10−287713号公報、特許5220616号、特開平11−142645号公報、特開平10−258025号公報、特開2001−026682号公報、特開平5−025337号公報、特開平3−273043号公報等に記載の付加重合型の環状オレフィン系樹脂が挙げられる。
(その他添加剤)
環状オレフィン系樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤を挙げることができる。特に、環状オレフィン系樹脂が各種デバイスの表面に設置される場合には、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤、アクリルニトリル系紫外線吸収剤などを用いることができる。
基材フィルムとして用いられる環状オレフィン系フィルム、あるいは、基材フィルムの主バインダーとして用いられる環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、ZEONOR 1420R(日本ゼオン(株)製)、ARTON R−5000、ARTON D4540(いずれもJSR(株)製)、TOPAS 6013、TOPAS 6015、TOPAS 6017(いずれもポリプラスチック(株)製)などが挙げられる。
(基材フィルムのガラス転移温度Tg)
基材フィルムのガラス転移温度Tgは、60〜200℃であることが好ましく、100〜180℃であることがより好ましく、130〜180℃であることが特に好ましい。
基材フィルムの主バインダーとして用いられる環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーのガラス転移温度の好ましい範囲も、基材フィルムのガラス転移温度Tgの好ましい範囲と同様である。
なお、基材フィルムのガラス転移温度Tgは、例えば、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry;DSC)により測定することができる。本明細書の実施例で使用した基材フィルムのガラス転移温度Tgは、具体的にはTA Instruments製 2920型DSCを使用し、JIS(Japanese Industrial Standards)規格K−7121−1987に従って求めた値である。
(基材フィルムの厚み)
インラインコート前の未延伸の基材フィルムの厚みとしては、40〜200μmが好ましく、40〜160μmがより好ましく、60〜100μmがさらに好ましい。
延伸後の基材フィルムの厚みとしては、20〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましく、30〜50μmがさらに好ましい。
<被膜層>
本発明の積層フィルムの製造方法では、被膜層形成用の水系塗布液を用いて、被膜層を形成する。
本明細書中、水系塗布材料とは、水系塗布液に溶解または分散できる材料のことを言う。
本明細書中、水系塗布液とは、水を含む塗布液のことを言い、溶媒が水系溶媒である塗布液や、分散媒が水系分散媒である塗布液が含まれる。
水系溶媒や水系分散媒としては、水や、水と極性溶媒の混合物などを挙げることができ、本発明では水を用いることが好ましい。
(被膜層の主バインダー)
被膜層の主バインダーとしては、例えば、オレフィン系ポリマー、アクリル系ポリマー、変性シリコーン系ポリマー、エステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、スチレンブタジエンゴム、ポリ塩化ビニリデン等から選ばれる樹脂が挙げられる。
本発明の積層フィルムの製造方法は、密着性の観点から、被膜層の主バインダーが、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマーであることが好ましく、ウレタン系ポリマーであることが特に好ましい。
本発明に用いることができるオレフィン系ポリマーはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを主鎖骨格に持つ樹脂である。主鎖の具体例としてはエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−無水マレイン酸および/または−(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸および/または−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などが挙げられる。商業的に入手できるオレフィン系ポリマーとしては、例えば、アローベースSE−1010、SE−1013N、SD−1010、TC−4010、TD−4010(以上ユニチカ(株)製)、ハイテックS3148、S3121、S8512(以上東邦化学(株)製)、ケミパールS−120、S−75N、V100、EV210H(以上三井化学(株)製)、などを挙げることができる。その中でも、本発明ではアローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製を用いることが好ましい。
本発明に用いることができるアクリル系ポリマーは、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリルモノマーが重合したポリマーであり、必要に応じてアクリル酸、メタクリル酸などが共重合したものであってもよい。商業的に入手できるアクリル系ポリマーの例としては、AS−563A(ダイセルフアインケム(株)製)、ジュリマーET410、ジュリマーSEK301、ジュリマーFC30(日本純薬(株)製)、ボンロン PS001(三井化学社製、水分散アクリル)、エポクロス WS700(日本触媒社製、オキサゾリン基含有、水溶性アクリル)などを挙げることができる。
本発明に用いることができる変性シリコーン系ポリマーとしては、アクリルとシリコーンとの複合樹脂が挙げられる。商業的に入手できる変性シリコーン系ポリマーの具体例として、セラネートWSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)とH7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)などを挙げることができる。
本発明に用いることができるエステル系ポリマー(ポリエステル樹脂)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステルがある。商業的に入手できるポリエステル樹脂としては、バイロナールMD1400、MD1480、MD1245、MD1500(東洋紡(株)製)、プラスコートZ−221、Z−561、Z−730、RZ−142、Z−687(互応化学工業(株)製)などが挙げられる。
ウレタン系ポリマーとは、ウレタン結合を繰り返し単位の主鎖に有するポリマーのことを言う。またこの構造を有する共重合体でもよく、これらを総称してウレタン系ポリマーと以下称する。ウレタン系ポリマーは、通常ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られる。ポリイソシアネートとしては、TDI(トルエンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、NDI(ナフタレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)等がある。ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール等がある。また、イソシアネートとしては、ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られたポリウレタンポリマーに鎖延長処理をして分子量を増大させたポリマーも使用することができる。以上に述べたポリイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長処理については、例えば「ポリウレタンハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社、昭和62年発行)において記載されている。
本発明に用いることができるウレタン系ポリマー(ポリウレタン樹脂)は、カーボネート系、エーテル系、エステル系のウレタン系ポリマーを好ましく用いることができ、特に、密着性の観点から、自己架橋型のポリウレタン樹脂が好ましい。商業的に入手できる、ウレタン系ポリマーとしては、スーパーフレックス830、460、870、420、420NS(第一工業製薬(株)製ポリウレタン)、ハイドランAP−40F、WLS−202、HW−140SF(大日本インキ化学工業(株)製ポリウレタン)、オレスターUD500、UD350(三井化学(株)製ポリウレタン)、タケラックW−615、W−6010、W−6020、W−6061、W−405、W−5030、W−5661、W−512A−6、W−635、WPB−6601が挙げられ、特に自己架橋型のWS−6021、WS−5000、WS−5100、WS−4000、WSA−5920、WF−764(三井武田ケミカル(株)製)が挙げられる。
本発明に用いることができるスチレンブタジエンゴムとしては、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチルが含まれる。商業的に入手できるスチレンブタジエンゴムとしては、NIPOL LX415、NIPOL LX407、NIPOL V1004、NIPOL MH8101、SX1105(日本ゼオン(株)製)等が挙げられる。
本発明に用いることができるポリ塩化ビニリデンとしては、公知のポリ塩化ビニリデンを用いることができる。商業的に入手できるポリ塩化ビニリデンとしては、サランラテックス L509(旭化成社製、塩化ビニリデンバインダー)等が挙げられる。
水系塗布液が水系分散液である場合、水系分散液を得るための方法は特に限定されない。たとえば、特開2003−119328号公報などに例示されているように、既述の各成分を、好ましくは密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法を採用することができる。この方法によれば、不揮発性水性化助剤を実質的に添加しなくとも良好に水系分散液とすることができる。
水系塗布液における樹脂固形分濃度は特に限定されないが、コーティングのしやすさや、被膜層形成用の水系塗布液のWet塗布量と被膜層のDry膜厚の調整しやすさなどの点から、水系塗布液全質量に対して、1〜60質量%が好ましく、2〜50質量%がより好ましく、3〜30質量%がさらに好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法は、被膜層の主バインダーのガラス転移温度Tg(2)が、基材フィルムのガラス転移温度Tgに対して、50℃以上低いことが密着性を高める観点から好ましく、50〜200℃低いことがより好ましく、70〜150℃低いことが特に好ましい。被膜層の主バインダーのガラス転移温度Tg(2)が、基材フィルムのガラス転移温度Tgに対して、50℃以上低いことで密着性が高める理由としては、混合層が形成されやすくなるためと推定される。
なお、被膜層のガラス転移温度Tg(2)は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。本明細書の実施例で使用した被膜層のガラス転移温度Tg(2)は、具体的にはTA Instruments製 2920型DSCを使用し、JIS(Japanese Industrial Standards)規格K−7121−1987に従って求めた値である。
本発明の積層フィルムの製造方法は、被膜層のSP(Solubility Parameter)値が、8〜13(cal/cm31/2であることが好ましく、9〜13(cal/cm31/2であることがより好ましく、9〜12(cal/cm31/2であることが特に好ましく、9〜11(cal/cm31/2であることがより特に好ましい。SP値が、9〜11(cal/cm31/2であると、環状オレフィンポリマーとの密着性が向上する。被膜層の主バインダーとしては、ウレタン系ポリマー(SP値が約10.0(cal/cm31/2)、アクリル系ポリマー(SP値が約9.5(cal/cm31/2)が密着性に優れる観点から好ましい。
(不揮発性水性化助剤)
本発明において、インラインコート法での生産性(すなわち、製膜速度)を高めるために、被膜層形成用の水系塗布液が界面活性剤や乳化剤などの不揮発性水性化助剤を含有することが好ましい。適切な不揮発性水性化助剤を選択することで、より効果的に生産性と諸性能を両立することができる。
ここで不揮発性水性化助剤とは、樹脂の分散や安定化に寄与する不揮発性の化合物のことを意味する。不揮発性水性化助剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、反応性界面活性剤、水溶性高分子などが挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、乳化剤類も含まれる。特に、アニオン性界面活性剤が好ましい。市販のアニオン性界面活性剤としては、例えば、ラピゾールA−90(日油(株)製)などを好ましく用いることができる。
界面活性剤などの不揮発性水性化助剤の添加量は、水系塗布液に対して、1〜1000ppm(parts per million)であることが好ましく、より好ましくは、5〜500ppmであり、特に好ましくは、10〜200ppmである。
<未延伸の基材フィルムの製造方法>
本発明に用いる基材フィルム(未延伸の基材フィルム)は、以下のような方法により製造することができる。基材フィルムを製造する場合、まず、基材フィルム形成用の樹脂混合物は、乾燥工程において乾燥させられることが好ましい。乾燥工程は、樹脂混合物を乾燥させることで加熱する工程であり、乾燥の温度は、80〜120℃がより好ましく、さらに好ましくは90〜120℃であり、さらに好ましくは100〜110℃である。
その後、樹脂混合物は、単軸あるいは2軸の押出し機に投入され、そこで加熱溶融されることが好ましい。この場合の加熱溶融の温度は、220℃以上300℃以下が好ましく、より好ましくは240〜290℃、さらに好ましくは250〜280℃である。混練雰囲気は、空気中、真空中、不活性気流中いずれでも良いが、より好ましくは、ポリマーの熱劣化を抑制できる、不活性気流中である。溶融時間は1〜30分であることが好ましく、1〜20分であることがより好ましく、3〜15分であることがさらに好ましい。その後、溶融された樹脂混合物は、ダイから柔らかいシート状に吐出されることが好ましい。
ダイから吐出される樹脂混合物は、メルト配管を通し、ギアポンプ、濾過器を通すことが好ましい。またメルト配管中にスタチックミキサーを設け、樹脂と添加物等の混合を促すことも好ましい。
ダイから吐出される樹脂混合物は、キャスティングロール上に押し出され、冷却固化されて、製膜される。このようにして得られたフィルムは、未延伸の基材フィルムとなる。
キャスティングロールの温度はTg−20〜Tg℃が好ましく、より好ましくはTg−10〜Tg℃、さらに好ましくはTg−10〜Tg−5℃である。この時、メルトと冷却ドラムの密着を向上させ平面性を向上させるため、静電印加法、エアナイフ法、冷却ドラム上への水被覆等の等を用いることも好ましい。さらに冷却を効率的に行なうため、冷却ドラム上から冷風を吹きつけても良い。
<インラインコート>
本発明の積層フィルムの製造方法は、搬送されている未延伸の基材フィルムに対して被膜層形成用の水系塗布液を塗布するインラインコート工程を含む。
インラインコート法とは、樹脂の押出し工程、インラインコート(塗布)工程、延伸工程等の一連の製膜工程において、フィルムの巻き取りを行わずに連続して製膜を行う製法である。インラインコート法は、製膜工程において、途中でフィルムを巻き取ってから別途塗布を行うオフラインコート法と区別される。
インラインコート法では、インラインコート(塗布)工程の後に、延伸工程が設けられる。延伸工程が複数工程設けられている場合、延伸工程は、インラインコート工程の前に延伸工程が設けられていても良い。ただし、インラインコート法では、インラインコート工程の後には、必ず1回は延伸工程が設けられる。例えば、インラインコート工程の後に縦延伸工程を設け、その後に横延伸工程を設けても良いし、縦延伸工程の後にインラインコート工程を設け、その後に横延伸工程を設けても良い。なお、縦延伸工程の前に横延伸工程を設けても良く、各々の延伸工程は複数工程ずつ設けられても良い。
被膜層は、延伸工程の前や延伸工程の間の工程において、塗布によりフィルムの表面に形成される。延伸工程の間の工程において、インラインコート工程が設けられる場合は少なくとも1工程の延伸工程が、インラインコート工程の後に設けられる。
インラインコート、縦延伸の順や、インラインコート、横延伸の順でインラインコート工程および延伸工程が行われる。
縦および横に延伸する前にインラインコート工程を設ける場合は、インラインコート、縦延伸、横延伸の順や、インラインコート、横延伸、縦延伸の順のように逐次で行なってもよく、インラインコート工程の後に同時に2方向に延伸しても良い。また、多段で延伸することも好ましい。
本発明では、インラインコート、横延伸の順でインラインコート工程および延伸工程が行われることが好ましい。
搬送されている未延伸の基材フィルムに対して、被膜層形成用の水系塗布液として水溶液もしくは水系分散液(ラテックス)を塗布することが好ましい。塗布方法としては、特に制限はなく、バーコーター塗布、スライドコーター塗布等の公知の方法を用いることができ、バーコーター塗布が好ましい。
未延伸の基材フィルムに対して被膜層形成用の水系塗布液を塗布する領域は未延伸の基材フィルム全体であっても、基材フィルム面内の一部であってもよい。未延伸の基材フィルムに対して被膜層形成用の水系塗布液を塗布する領域が基材フィルム面内の一部であることが、テンタークリップが、塗布液によって汚染されることを防ぐ観点から好ましい。例えば、未延伸の基材フィルムの両端の5〜20%が未塗布部分になり、幅方向中央の40〜90%が塗布部となるように、中央幅の部分に被膜層形成用の水系塗布液を塗布することが好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法は、インラインコート工程での被膜層形成用の水系塗布液のwet塗布量が10ml/m2以下であることが、延伸ゾーンにおいて塗布部分と未塗布部分に温度差が生じにくくなり、延伸ムラの発生を抑制できるため、密着性を改善できる観点から好ましい。インラインコート工程での被膜層形成用の水系塗布液のwet塗布量は9ml/m2以下であることがより好ましく、1〜8ml/m2であることが特に好ましい。
被膜層は、基材フィルム上に塗布液を塗布した後、乾燥させることによって形成されるが、本発明ではインラインコート後に特に乾燥工程を設けずに、延伸工程または熱固定工程での加熱により乾燥が行われてもよい。被膜層を2層構造とする場合は、第2層目を塗布した後に乾燥させることが好ましい。
<延伸>
本発明の積層フィルムの製造方法は、インラインコート工程の後にインラインの状態を維持して未延伸の基材フィルムを搬送しながら延伸する延伸工程を含む。
延伸方向に制限はないが、少なくとも横方向に延伸することが好ましく、横方向のみに延伸することがより好ましい。なお、本明細書中、横方向とはフィルム搬送方向に直交する方向を意味する。また、縦方向とは、フィルム搬送方向を意味する。
フィルムは、縦延伸機に送られ、縦に延伸されてもよい。
テンターなどの横延伸機の左右のクリップなどの把持部材で両端を把持されて、巻取機側へ搬送しながら横に延伸されることが好ましい。
横延伸を行う場合、横延伸はテンターを用いて行なうのが好ましい。テンターでは、基材フィルムの両端を把持部材で把持しながら熱処理ゾーンを搬送しながら、把持部材を幅方向に拡げることで横延伸を行うことができる。
本発明の積層フィルムの製造方法は、延伸温度が、基材フィルムのガラス転移温度Tg以上であることがフィルムの厚みムラの観点から好ましい。好ましい延伸温度は、Tg〜Tg+100℃、より好ましくはTg〜Tg+10℃、さらに好ましくはTg+1〜Tg+10℃、特に好ましくはTg+2〜Tg+7℃、より特に好ましくはTg+3〜Tg+5℃である。延伸倍率は1.3〜5.5倍が好ましく、より好ましくは1.5〜3倍、さらに好ましくは1.8〜2.5倍である。
延伸工程の前には、基材フィルムの予熱工程を設けても良い。予熱温度の好ましい範囲は、延伸温度の好ましい範囲と同様である。このような予熱は、加熱ロールと接触させてもよく、放射熱源(IR(infrared heater)ヒーター、ハロゲンヒーター等)を用いても良く、熱風を吹き込んでも良い。
<熱固定>
本発明の積層フィルムの製造方法は、延伸工程の後に延伸温度よりも高く、かつ、基材フィルムのガラス転移温度Tgよりも高い熱固定温度で、幅が10%以内の拡大または縮小の範囲となるように基材フィルム両端部を保持しながら熱処理を行う熱固定工程を含む。
熱固定温度が、延伸温度よりも1℃以上高いことが好ましく、延伸温度よりも1〜10℃高いことがより好ましく、延伸温度よりも2〜5℃高いことが特に好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法は、熱固定温度が、基材フィルムのガラス転移温度Tgよりも高く、Tg+10℃以下であることが好ましい。熱固定温度が、基材フィルムのガラス転移温度Tg+1℃以上、Tg+10℃以下であることがより好ましく、Tg+3℃以上、Tg+8℃以下であることが特に好ましい。熱固定温度がTg+1℃以上だと、延伸時に破断し難く、積層フィルムを作製しやすい。また、熱固定温度がTg+10℃以下だと、密着性をより改善することができる。
本発明における熱固定は、上記ポリエステルやポリアミドフィルムの熱固定とは目的が異なる。ポリエステルフィルムやポリアミドフィルムでのインラインコート法は、結晶化温度よりも高い温度(例えばTg+150℃)にて熱固定を行い、結晶化度を高め、フィルム性能の向上を行う。本発明の積層フィルムの基材フィルムの主バインダーに用いられる環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーは、そこまで高い温度で、熱固定を行わないことが好ましく、上述のとおりTg+10℃以下の範囲で熱固定を行うことが密着性をより改善する観点から好ましい。
熱固定では、幅が10%以内(好ましくは5%以内、より好ましくは3%以内)の拡大または縮小の範囲となるように基材フィルム両端部を保持しながら熱処理を行う。
「幅が10%以内の拡大または縮小の範囲となるように」基材フィルム両端部を保持するとは、基材フィルム両端の把持部材の間隔を積極的に変動させないことを意味し、本発明の趣旨に反しない限りにおいて延伸装置の振動などに起因する微小な幅の変動は許容される。
本発明では、延伸工程の後に連続してインラインで熱固定工程を行ってもよく、オフラインで例えばフィルムを切り出した後に4辺を固定してバッチ式で熱固定工程を行ってもよい。本発明では、延伸工程の後に連続してインラインで熱固定工程を行うことが製造コストの観点から好ましい。特に、横延伸に引き続き、テンター内で把持部材に把持した状態で行なうのが好ましく、把持部材の間隔は横延伸終了時の幅で行なっても、さらに拡げても、あるいは幅を縮めて行なっても良い。
熱固定に引き続き、熱緩和処理を行なってもよい。
横緩和はテンターの把持部材の幅を縮めることで実施できる。また、縦緩和は、テンターの隣接する把持部材の間隔を狭めることで実施できる。これは隣接する把持部材間をパンタグラフ状に連結し、このパンタグラフを縮めることで達成できる。また、テンターから取り出した後に、低張力で搬送しながら熱処理し緩和することもできる。
<巻き取り>
熱固定後の積層フィルム(好ましくはテンターから出てきた積層フィルム)は、把持部材で把持していた両端がトリミングされ、両端にナーリング加工(型押し加工)が施された後、巻き取られることが好ましい。トリミング後の積層フィルムの好ましい幅は0.8〜10m、より好ましくは1〜6m、さらに好ましくは1.5〜4mである。
積層フィルムの厚みは30〜300μmが好ましく、より好ましくは40〜280μm、さらに好ましくは45〜260μmである。このような厚みの調整は、押出し機の吐出量の調整、あるいは製膜速度の調整(冷却ロールの速度、これに連動する延伸速度等の調整)により達成できる。
トリミングされたフィルムの縁部分などの再生用フィルムは、樹脂混合物として回収されリサイクルされることが好ましい。再生用フィルムは、次ロットの積層フィルムのフィルム原料となり、上述した各工程に戻り順次製造工程が繰り返されてもよい。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、積層フィルムの製造方法で製造された積層フィルムである。
図1に示すように、本発明は、基材フィルム1と、基材フィルム1の少なくとも一方の面に積層される被膜層2とを含む積層フィルム3に関する。本発明の積層フィルム3は、基材フィルム1の上に被膜層2が本発明の基材フィルムの製造方法により形成されることにより得ることができる。
被膜層は、被膜層形成用の水系塗布液を基材フィルム上に塗布し、延伸することで形成される。
基材フィルムは、被膜層に含有される化合物を含有しても良い。通常、基材フィルムが被膜層に含有される化合物を含有していることは、積層フィルムがリサイクルされ、再利用されていることを示す。
積層フィルムの被膜層の表面には、さらに剥離層が形成されていても良い。被膜層を物理的および化学的に保護するために、被膜層の表面に剥離層を設けておき、使用する際に剥離層を剥離して被膜層を露出させたうえで、他の部材を積層させることができる。
剥離層としては、例えば、各種プラスチックフィルムにシリコーン等の剥離剤を塗布して剥離剤層を形成したもの、ポリプロピレンフィルム単体などが挙げられ、通常の粘着シート用の剥離シートとして用いられているものを利用することができる。
さらに、積層フィルムの被膜層の表面には、他の機能層を設けても良い。例えば、ハードコート層、反射防止層、防汚層、耐電層、バリア層等の機能層を積層することができる。これにより、本発明の積層フィルムは、様々な用途に用いることができる。
(被膜層)
被膜層は、基材フィルムの表面に形成される層構造のものをいう。被膜層は、基材フィルムと他の機能層を接着する易接着層として機能することが好ましい。
被膜層のDry膜厚は、10〜1000nmであることが好ましい。被膜層のDry膜厚は、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましい。また、被膜層の厚みは、300nm以下であることが密着性を高める観点から好ましく、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。被膜層は2層以上の構造としても良く、2層以上の構造とする場合は、その合計厚さが上記範囲内となることが好ましい。被膜層の厚みを上記範囲内とすることにより、密着性に優れ、かつ、積層フィルムの機能性を損なわない被膜層を得ることができる。
[透明導電フィルム]
本発明の透明導電フィルムは、本発明の積層フィルムを有する。
本発明の積層フィルムは、透明導電フィルムに用いることができる。透明導電フィルムは、導電層と、透明樹脂フィルムとして積層フィルムを有する。導電層は層状に形成されてもよいが、間欠部を有するように形成されることが好ましい。間欠部とは、導電層が設けられていない部分をいい、間欠部の外周は導電層により囲まれていることが好ましい。本発明では、間欠部を有するように導電層が形成されることを、パターン状やメッシュ状に導電層が形成されるともいう。導電層としては、例えば、特開2013−1009号公報、特開2012−216550号公報、特開2012−151095号公報、特開2012−25158号公報、特開2011−253546号公報、特開2011−197754号公報、特開2011−34806号公報、特開2010−198799号公報、特開2009−277466号公報、特開2012−216550号公報、特開2012−151095号公報、国際公開2010/140275号パンフレット、国際公開2010/114056号パンフレットに記載された導電層を例示することができる。
本発明で用いる導電層は、銀と親水性樹脂を含むことがより好ましい。水溶性樹脂としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。これらの中で特に好ましいのが、ゼラチンである。
本発明で用いる導電層には、ハロゲン化銀写真感光材料を用いることが特に好ましい。ハロゲン化銀写真感光材料を用いる場合、導電層の製造方法には、ハロゲン化銀写真感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部をこの感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部をこの感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面積のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面積の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することができる、なお、拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報の各明細書に記載された技術を適用することができる。
本発明において導電層となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有してもよい。銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本発明では、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
銀塩乳剤層の上には、保護層を設けてもよい。本発明において保護層とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する銀塩乳剤層上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。例えば、保護層に関しては、特開2008−250233号公報等の記載を参照することができる。
さらに、本発明では、下塗り層や帯電防止層といった他の機能層を設けてもよい。下塗り層としては、特開2008−250233号公報の段落[0021]〜[0023]のものを適用できる。また、帯電防止層としては、特開2008−250233号公報の段落[0012]、[0014]〜[0020]のものを適用できる。
なお、上述した透明導電フィルムは、タッチパネル用途に好適であり、例えば、特開2009−176608の段落[0073]〜[0075]の記載に従い、タッチパネルを作製することができる。
[位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムは、本発明の積層フィルムを有する。
本発明の積層フィルムは、液晶表示装置の光学補償をするため等の位相差フィルムとして用いることができる。具体的には、積層フィルムを支持体とし、支持体上に光学異方性層を形成させた位相差フィルムが挙げられる。
光学異方性層は、公知の光学異方性層を用いることができ、例えば位相差フィルムにハードコート層を積層する場合を含めて、特開2012−215704号公報、特開2013−231955号公報に記載の光学異方性層やハードコート層などが挙げられる。
[有機エレクトロルミネッセンス素子]
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、本発明の積層フィルムを有する。
本発明の積層フィルムは、有機エレクトロルミネッセンス素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。本発明の積層フィルムを有機エレクトロルミネッセンス素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
[実施例及び比較例で使用した材料]
実施例及び比較例で使用した材料は以下のとおりである。
<基材フィルムの主バインダー>
(環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマー)
・Zeonor 1420R:
日本ゼオン(株)製、環状オレフィンポリマー(有機基を非含有)、Tg=137℃
・ARTON R−5000:
JSR(株)製、環状オレフィンポリマー(メチルエステル基を含有)、Tg=137℃
・TOPAS 6013:
ポリプラスチック(株)製、環状オレフィンコポリマー(有機基を非含有)、Tg=137℃
・TOPAS 6015:
ポリプラスチック(株)製、環状オレフィンコポリマー(有機基を非含有)、Tg=158℃
・TOPAS 6017:
ポリプラスチック(株)製、環状オレフィンコポリマー(有機基を非含有)、Tg=178℃
なお、樹脂のTgは、TA Instruments製 2920型DSCを使用し、JIS規格K−7121−1987に従って測定した。
<被膜層の主バインダー>
・水分散ウレタン:
オレスター UD350(三井化学社製、ポリエーテルウレタン、固形分38質量%、Tg(2)=33℃、SP値=10.5(cal/cm31/2
・水分散オレフィン:
アローベース SE1010(ユニチカ社製、酸変性オレフィン、固形分20質量%、Tg(2)=−35℃、SP値=8.5(cal/cm31/2
・水分散アクリル:
ボンロン PS001(三井化学社製、アクリル、固形分50質量%、Tg(2)=23℃、SP値=9.0(cal/cm31/2
・水溶性アクリル:
エポクロス WS700(日本触媒社製、オキサゾリン基含有アクリル、固形分25質量%、Tg(2)=50℃、SP値=9.5(cal/cm31/2
・水分散ポリエステル:
バイロナール MD1500(東洋紡社製、ポリエステル、固形分30質量%、Tg(2)=77℃、SP値=11.3(cal/cm31/2
・水分散SBR(スチレンブタジエンゴムの略称):
NIPOL SX1105(日本ゼオン社製、スチレン−ブタジエン共重合体、固形分45質量%、Tg(2)=0℃、SP値=8.7(cal/cm31/2
・水分散PVDC(polyvinylidene chloride;ポリ塩化ビニリデン):
サランラテックス L509(旭化成社製、塩化ビニリデンバインダー、固形分50質量%、Tg(2)=−39℃、SP値=12.2(cal/cm31/2
被膜層の主バインダーのTg(2)は、TA Instruments製 2920型DSCを使用し、JIS(Japanese Industrial Standards)規格K−7121−1987に従って測定した。
また、SP値は、沖津法(沖津 俊直、日本接着学会誌、vol.29, No.5, 204−211(1993))に従って求めた。SP値の慣用的な単位である(cal/cm31/2とSI単位系の(MPa)1/2の換算式は、1(cal/cm31/2≒2.05(MPa)1/2である。
なお、混合物としてのSP値の値は、下記式を用いて、その質量比から求めることが可能である。
混合物としてのSP値=W1・SP1+W2・SP2
(W1:混合物1の質量比、W2:混合物2の質量比、SP1:混合物1のSP値、SP2:混合物2のSP値)
[実施例1]
<被膜層形成用の水系塗布液の作製>
下記表1に記載の被膜層の主バインダーに、蒸留水を添加することで、固形分濃度3質量%に調製した。
次に、調製した液に、界面活性剤(ラピゾールA−90、日油(株)製、固形分:80質量%)を、被膜層形成用の水系塗布液に対して、0.01質量%添加し、実施例1に使用する被膜層形成用の水系塗布液を作製した。
<積層フィルムの作製>
(押出成形)
下記表1に記載の環状オレフィンポリマーを、100℃において2時間以上乾燥し、2軸混練押し出し機を用いて、280℃で溶融押し出しした。このとき押し出し機とダイの間にスクリーンフィルター、ギアポンプ、リーフディスクフィルターをこの順に配置し、これらをメルト配管で連結し、幅1000mm、リップギャップ1mmのTダイから押し出し、Tg、Tg−5℃、Tg−10℃に設定した3連のキャストロール上にキャストし、幅900mm、厚み80μmの未延伸の基材フィルムを得た。
(インラインコート・延伸・熱固定)
搬送されている上記未延伸の基材フィルムに対し、以下の方法で、インラインコート工程、延伸工程および熱固定工程を施し、膜厚40μmの積層フィルムを得た。
(a)インラインコート
搬送されている未延伸の基材フィルムの上に、両端50mmが未塗布部分になるように、中央幅800mmの部分に、上記被膜層形成用の水系塗布液を5ml/m2の塗布量で、バーコーターを用いて、塗布した。
(b)横延伸
インラインコート工程の後にインラインの状態を維持して未延伸の基材フィルムに対し、テンターを用いて搬送しながら下記条件にて横延伸した。
<条件>
予熱温度:142℃
延伸温度:142℃
延伸倍率:2.0倍
(c)熱固定
延伸工程の後に続いて、延伸フィルムをテンタークリップで端部を把持して幅が一定(3%以内の拡大または縮小の範囲)となるように基材フィルム両端部を保持しながら、下記条件にて熱処理して、熱固定を行った。
熱固定温度:143℃
熱固定時間:30秒
なお、予熱温度、延伸温度および熱固定温度は、放射温度計を用いて、被膜層形成用の水系塗布液が塗布されている部分を、幅方向に5点で測定した値の平均値である。
(巻き取り)
熱固定の後、両端を150mmずつトリミングし、張力25kg/mで巻き取り、幅は1500mm、巻長は2000mのフィルムロールを得た。
得られたフィルムロールを実施例1の積層フィルムとした。
<評価>
(被膜層のDry膜厚)
打点式膜厚計を用いて、実施例1で得られた積層フィルムの被膜層のDry膜厚を測定した。
得られた結果を下記表1に記載した。
(初期の密着性:ピール強度(基材フィルム/被膜層))
実施例1の積層フィルムを100mm巾×150mm長にカットして、サンプル片を1枚準備した。このサンプル片の被膜層側の上に、100mm巾×150mm長にカットしたEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)シート(Hangzhou First PV Material Co., Ltd製のEVAシート:F806)、100mm巾×150mm長にカットしたPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム(帝人(株)製、テオネックスQ51)の順に配置した。真空ラミネータ(日清紡(株)製の真空ラミネート機PVL0505S)を用いて、120℃で5分間の真空引き後、10分間加圧して、サンプル片の一端から100mmの部分はEVAシートと未接着で、残りの50mmの部分にEVAシートが接着された評価用試料を得た。
得られた評価用試料を巾15mmにカットした後、PENフィルム側のEVA未接着部分を180度に曲げ、テンシロン(ORIENTEC製、RTC−1210A)の上クリップに、積層フィルム側を下クリップに挟み、剥離角度180°、引っ張り速度30mm/分で引っ張り試験を行ながら、積層フィルムの基材フィルムと被膜層の界面に、カッターで切れ込みを入れることで、基材フィルムと被膜層間のピール強度を測定した。ピール強度の測定は、25℃、相対湿度60%の環境下で行った。
得られた結果を下記表1に記載した。
(湿熱経時後の密着性:ピール強度(基材フィルム/被膜層))
実施例1の積層フィルムを、120℃、相対湿度100%、30時間の湿熱試験を行った後、100mm巾×150mm長にカットし、サンプル片を1枚準備した。
その後、上記と同じ方法で、基材フィルムと被膜層間の湿熱経時後のピール強度を測定した。
得られた結果を下記表1に記載した。
[実施例2〜8]
熱固定温度を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして各実施例の積層フィルムを作製した。得られた各実施例のフィルムの評価を実施例1と同様に行った。得られた結果を下記表1に記載した。
[実施例9〜13]
インラインコートでの被膜層形成用の水系塗布液のWet塗布量を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして各実施例の積層フィルムを作製した。得られた各実施例のフィルムの評価を実施例1と同様に行った。得られた結果を下記表1に記載した。
[実施例14〜18]
実施例1で調製した被膜層形成用の水系塗布液の固形分濃度を下記表1に記載の被膜層のDry膜厚になるように変更した被膜層形成用の水系塗布液をそれぞれ調製した。得られた被膜層形成用の水系塗布液を変更した以外は実施例1と同様にして、下記表1に記載の被膜層のDry膜厚の各実施例の積層フィルムを作製した。得られた各実施例のフィルムの評価を実施例1と同様に行った。得られた結果を下記表1に記載した。
[実施例19〜24]
実施例1で調製した被膜層形成用の水系塗布液の主バインダーを下記表1に記載のとおりに変更した被膜層形成用の水系塗布液をそれぞれ調製した。得られた被膜層形成用の水系塗布液を変更した以外は実施例1と同様にして、各実施例の積層フィルムを作製した。得られた各実施例のフィルムの評価を実施例1と同様に行った。得られた結果を下記表1に記載した。
[実施例25〜28]
基材フィルムの主バインダーを下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして各実施例の積層フィルムを作製した。得られた各実施例のフィルムの評価を実施例1と同様に行った。得られた結果を下記表1に記載した。
[比較例1〜5]
延伸工程での予熱温度および延伸温度、ならびに熱固定温度を下記表2に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして各比較例の積層フィルムを作製した。得られた各比較例のフィルムの評価を実施例1と同様に行った。得られた結果を下記表2に記載した。
[比較例6〜7]
インラインコートでの被膜層形成用の水系塗布液のWet塗布量、および熱固定温度を下記表2に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして各比較例の積層フィルムを作製した。得られた各比較例のフィルムの評価を実施例1と同様に行った。得られた結果を下記表2に記載した。
[比較例8〜13]
実施例1で調製した被膜層形成用の水系塗布液の主バインダーを下記表2に記載のとおりに変更した被膜層形成用の水系塗布液をそれぞれ調製した。得られた被膜層形成用の水系塗布液、および熱固定温度を下記表2に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、各比較例の積層フィルムを作製した。得られた各比較例のフィルムの評価を実施例1と同様に行った。得られた結果を下記表2に記載した。
[比較例14]
熱固定を行う代わりに、自由端で下記表2に記載の温度で熱処理した以外は実施例1と同様にして比較例14の積層フィルムを作製した。得られた比較例14のフィルムの評価を実施例1と同様に行った。得られた結果を下記表2に記載した。
Figure 2019081375
Figure 2019081375
上記表1および表2より、本発明の積層フィルムの製造方法によれば、環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成する場合であっても、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性が優れる積層フィルムを提供できることがわかった。なお、各実施例の積層フィルムは、湿熱経時後の環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性も優れていた。
一方、比較例1〜13より、熱固定温度が本発明で規定する下限値を下回る場合は、環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成すると、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性が悪いことがわかった。
比較例14より、幅が10%以内の拡大または縮小の範囲となるように基材フィルム両端部を保持して熱固定をせずに、自由端で熱処理した場合は、環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成すると、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性が悪いことがわかった。
なお、Wet塗布量依存性を示した実施例9〜13と、膜厚依存性を示した実施例14〜18との比較により、水系塗布液のWet塗布量が密着性の改善に寄与する効果があることが示唆されていることがわかった。
本発明によれば、環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成する場合であっても、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性が優れる積層フィルムを提供できる。さらに、本発明によれば、環状オレフィン系フィルムの上に水系塗布材料を用いて被膜層を形成する場合であっても、環状オレフィン系フィルムと被膜層との間の密着性が優れる積層フィルムを、インラインコート法で形成することができるため、テンター延伸に用いやすく、環境に良く、積層フィルムの製造にかかるコストを抑えることができる。そのため、本発明は産業上の利用可能性が高い。
1 基材フィルム
2 被膜層
3 積層フィルム

Claims (11)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に積層される被膜層とを有する積層フィルムの製造方法であって、
    前記基材フィルムの主バインダーが環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーであり、
    搬送されている未延伸の基材フィルムに対して被膜層形成用の水系塗布液を塗布するインラインコート工程と、
    前記インラインコート工程の後にインラインの状態を維持して前記未延伸の基材フィルムを搬送しながら延伸する延伸工程と、
    前記延伸工程の後に延伸温度よりも高く、かつ、前記基材フィルムのガラス転移温度Tgよりも高い熱固定温度で、幅が10%以内の拡大または縮小の範囲となるように基材フィルム両端部を保持しながら熱処理を行う熱固定工程とを含む、積層フィルムの製造方法。
  2. 前記熱固定温度が、前記基材フィルムのガラス転移温度Tgよりも高く、Tg+10℃以下である請求項1に記載の積層フィルムの製造方法。
  3. 前記インラインコート工程での前記被膜層形成用の水系塗布液のwet塗布量が、10ml/m2以下である請求項1または2に記載の積層フィルムの製造方法。
  4. 前記被膜層の主バインダーのガラス転移温度Tg(2)が、前記基材フィルムのガラス転移温度Tgに対して、50℃以上低い請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法。
  5. 前記被膜層のSP値が、9〜11(cal/cm31/2である請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法。
  6. 前記被膜層の主バインダーが、ウレタン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーである請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法。
  7. 前記延伸温度が、前記基材フィルムのガラス転移温度Tg以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法で製造された積層フィルム。
  9. 請求項8に記載の積層フィルムを有する透明導電フィルム。
  10. 請求項8に記載の積層フィルムを有する位相差フィルム。
  11. 請求項8に記載の積層フィルムを有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
JP2019019496A 2019-02-06 2019-02-06 積層フィルムの製造方法、積層フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子 Active JP6611292B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019019496A JP6611292B2 (ja) 2019-02-06 2019-02-06 積層フィルムの製造方法、積層フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019019496A JP6611292B2 (ja) 2019-02-06 2019-02-06 積層フィルムの製造方法、積層フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015146300A Division JP6504955B2 (ja) 2015-07-24 2015-07-24 積層フィルムの製造方法、積層フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019081375A true JP2019081375A (ja) 2019-05-30
JP6611292B2 JP6611292B2 (ja) 2019-11-27

Family

ID=66670929

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019019496A Active JP6611292B2 (ja) 2019-02-06 2019-02-06 積層フィルムの製造方法、積層フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6611292B2 (ja)

Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001294735A (ja) * 2000-03-13 2001-10-23 Mitsubishi Polyester Film Gmbh 乳白色二軸延伸ポリエステルフィルム
JP2004067984A (ja) * 2002-06-11 2004-03-04 Sekisui Chem Co Ltd 樹脂組成物、光学フィルム及び偏光板
JP2004167687A (ja) * 2002-11-15 2004-06-17 Polyplastics Co 環状オレフィン系樹脂成形品表面への金属複合方法及び金属複合化環状オレフィン系樹脂成形品
JP2005077853A (ja) * 2003-09-01 2005-03-24 Nitto Denko Corp 複合複屈折部材
JP2007010882A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Sekisui Chem Co Ltd 位相差フィルムの製造方法
JP2008189899A (ja) * 2006-07-12 2008-08-21 Jsr Corp 位相差フィルムおよびその用途ならびに製造方法
JP2008273057A (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Fujifilm Corp シクロオレフィン樹脂フィルム、およびこれらを用いた偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、液晶表示装置
JP2009265499A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Jsr Corp 光学用透明樹脂フィルムおよびその製造方法、並びにそれを含有してなる偏光板及び液晶パネル
JP2011000869A (ja) * 2009-06-22 2011-01-06 Mitsubishi Plastics Inc ガスバリア性多層フィルム及びそれを利用した深絞り包装体用底材
JP2012171329A (ja) * 2011-02-24 2012-09-10 Teijin Dupont Films Japan Ltd 二軸配向ポリエステルフィルムロールおよびその製造方法
JP2012206343A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Nippon Zeon Co Ltd 複層フィルム、複層フィルムの製造方法、偏光板保護フィルム及び偏光板
JP2013202979A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Konica Minolta Inc 斜め延伸フィルムの製造方法および製造装置
JP2014174267A (ja) * 2013-03-07 2014-09-22 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光性積層フィルムの製造方法及び偏光板の製造方法

Patent Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001294735A (ja) * 2000-03-13 2001-10-23 Mitsubishi Polyester Film Gmbh 乳白色二軸延伸ポリエステルフィルム
JP2004067984A (ja) * 2002-06-11 2004-03-04 Sekisui Chem Co Ltd 樹脂組成物、光学フィルム及び偏光板
JP2004167687A (ja) * 2002-11-15 2004-06-17 Polyplastics Co 環状オレフィン系樹脂成形品表面への金属複合方法及び金属複合化環状オレフィン系樹脂成形品
JP2005077853A (ja) * 2003-09-01 2005-03-24 Nitto Denko Corp 複合複屈折部材
JP2007010882A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Sekisui Chem Co Ltd 位相差フィルムの製造方法
JP2008189899A (ja) * 2006-07-12 2008-08-21 Jsr Corp 位相差フィルムおよびその用途ならびに製造方法
JP2008273057A (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Fujifilm Corp シクロオレフィン樹脂フィルム、およびこれらを用いた偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、液晶表示装置
JP2009265499A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Jsr Corp 光学用透明樹脂フィルムおよびその製造方法、並びにそれを含有してなる偏光板及び液晶パネル
JP2011000869A (ja) * 2009-06-22 2011-01-06 Mitsubishi Plastics Inc ガスバリア性多層フィルム及びそれを利用した深絞り包装体用底材
JP2012171329A (ja) * 2011-02-24 2012-09-10 Teijin Dupont Films Japan Ltd 二軸配向ポリエステルフィルムロールおよびその製造方法
JP2012206343A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Nippon Zeon Co Ltd 複層フィルム、複層フィルムの製造方法、偏光板保護フィルム及び偏光板
JP2013202979A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Konica Minolta Inc 斜め延伸フィルムの製造方法および製造装置
JP2014174267A (ja) * 2013-03-07 2014-09-22 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光性積層フィルムの製造方法及び偏光板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6611292B2 (ja) 2019-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102339860B1 (ko) 유기 el 표시 장치용 광학 필름, 유기 el 표시 장치용 편광 필름, 유기 el 표시 장치용 점착제층 구비 편광 필름, 및 유기 el 표시 장치
JP3297450B2 (ja) 液晶ディスプレイ用偏光フィルム
JP2004070296A (ja) 偏光板保護シートおよび偏光板
JP6097236B2 (ja) 環状オレフィン系フィルム、光学フィルム、導電性フィルム、プリンテッドエレクトロニクス用基材フィルム、バリアフィルム、タッチパネル、偏光板および表示装置
JP5005927B2 (ja) 光学用積層ポリエステルフィルム
US20060109403A1 (en) Optical film, polarizing plate, liquid crystal cell, liquid crystal display device, image display device and method of manufacturing an optical film
JP2017111432A (ja) 円偏光板およびそれを用いたフレキシブルな画像表示装置
JP2016136181A (ja) 位相差層付偏光板および画像表示装置
EP2216382A1 (en) Masking film with improved wetting properties
TW201136999A (en) Polarizing plate
JP5573708B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2015184664A (ja) ポリエステル樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルムの製造方法、偏光板、画像表示装置、ハードコートフィルム、タッチパネル用センサーフィルム、ガラス飛散防止フィルム、およびタッチパネル
TWI679118B (zh) 積層膜及積層膜的製造方法
JP5573707B2 (ja) 位相差フィルムの製造方法
JP2002103410A (ja) 高分子シートの製造方法および高分子シート
JP6611292B2 (ja) 積層フィルムの製造方法、積層フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子
US20090274898A1 (en) Process for producing optical functional film, optical functional film, polarizing plate, optical element and image display device
JP6504955B2 (ja) 積層フィルムの製造方法、積層フィルム、透明導電フィルム、位相差フィルムおよび有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2023118963A (ja) 易接着層付位相差フィルム、位相差層付偏光板、および易接着層付位相差フィルムの製造方法
JP2001324616A (ja) 液晶ディスプレイ用偏光フィルムの製造方法
JP2007333946A (ja) 偏光板のリワーク方法、偏光板、および画像表示装置
WO2022070729A1 (ja) 位相差フィルム及びその製造方法
JP5410770B2 (ja) 偏光子外面保護フィルム、偏光板及び液晶表示素子
TWI782064B (zh) 保護膜層合體及機能性薄膜
JP6965509B2 (ja) フィルム巻層体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190207

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191023

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191025

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6611292

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250