JP2019081127A - 盛土構造、吸着層の性能維持方法、及び重金属の漏洩抑制方法 - Google Patents

盛土構造、吸着層の性能維持方法、及び重金属の漏洩抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吸着層工法により重金属を含む土壌の封じ込めを行う際の経時的な吸着層の性能低下を抑制できる盛土構造、吸着層の性能維持方法、及び重金属の漏洩抑制方法を提供する。【解決手段】盛土構造10は、重金属を含む土壌から形成された盛土層1と、盛土層1の下方に設けられた、重金属吸着剤を含む吸着層2と、盛土層1と吸着層2との間に設けられた、吸着層2のアルカリ化を防止するアルカリ化防止層3と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、盛土構造、吸着層の性能維持方法、及び重金属の漏洩抑制方法に関する。
地盤掘削時に発生する湧水や土壌には、基準値以上の重金属等が含まれることがある。近年、このような湧水や、土壌への雨水の浸透によって生じる浸潤水に含まれる重金属による周辺環境の汚染への対策が求められている。
重金属を含む土壌を産業廃棄物として処理した場合、処理場の不足が懸念される。そのため、重金属を含む土壌は、浄化処理を行ってから処理土として再利用するか、封じ込めを行った上で利用することが推奨されている。このような土壌は、例えば、道路等の盛土に利用される。
封じ込めを行う際には、雨水が土壌に浸透すること、及び土壌に浸透した水によって溶出した重金属が環境中に漏洩すること、を防止する対策が行われる。雨水の浸透への対策として、例えば、土壌をベントナイトや遮水シートで被覆する方法がある。重金属の漏洩への対策として、例えば、吸着層工法がある。吸着層工法では、重金属を含む土壌から形成した盛土層の下部に、重金属吸着剤を含む吸着層を設ける。盛土層から浸出した水は吸着層を通るため、吸着層通過時に水中の重金属が重金属吸着剤に吸着され、不溶化される(例えば特許文献1)。
特開2012−110852号公報
重金属吸着剤は、アルカリ性環境に長時間晒されると吸着性能が低下することがある。そのため、路盤の下に封じ込めを行う場合には、コンクリートに起因する吸着層のアルカリ化、及びそれに伴う重金属吸着剤の性能の低下が懸念される。土壌をベントナイトで被覆する場合には、ベントナイトに起因する吸着層のアルカリ化、及びそれに伴う重金属吸着剤の性能の低下が懸念される。
吸着層は、土壌中の重金属を吸着するのに充分な量の重金属吸着剤を含有させて設けられるが、重金属吸着剤の性能が低下すると、吸着層の重金属許容量が低下し、長期的な封じ込めの安全性が損なわれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、吸着層工法により重金属を含む土壌の封じ込めを行う際の経時的な吸着層の性能低下を抑制できる盛土構造、吸着層の性能維持方法、及び重金属の漏洩抑制方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]重金属を含む土壌から形成された盛土層と、
前記盛土層の下方に設けられた、重金属吸着剤を含む吸着層と、
前記盛土層と前記吸着層との間に設けられた、前記吸着層のアルカリ化を防止するアルカリ化防止層と、
を備える、盛土構造。
[2]前記盛土層、前記吸着層及び前記アルカリ化防止層を被覆する、アルカリ性遮水剤を含む遮水層と、
前記吸着層及び前記アルカリ化防止層と前記遮水層との間に設けられた遮水シートと、
をさらに備える[1]の盛土構造。
[3]重金属を含む土壌から形成された盛土層と、前記盛土層の下方に設けられた、重金属吸着剤を含む吸着層との間に、前記吸着層のアルカリ化を防止するアルカリ化防止層を設ける、吸着層の性能維持方法。
[4]前記盛土層、前記吸着層及び前記アルカリ化防止層を、アルカリ性遮水剤を含む遮水層で被覆し、
前記吸着層及び前記アルカリ化防止層と前記遮水層との間に遮水シートを設ける[3]の吸着層の性能維持方法。
[5]重金属を含む土壌から形成された盛土層の下方に、重金属吸着剤を含む吸着層を設け、前記盛土層から溶出する重金属を前記重金属吸着剤に吸着させる、重金属の漏洩抑制方法において、
前記盛土層と前記吸着層との間に、前記吸着層のアルカリ化を防止するアルカリ化防止層を設ける、重金属の漏洩抑制方法。
[6]前記盛土層、前記吸着層及び前記アルカリ化防止層を、アルカリ性遮水剤を含む遮水層で被覆し、
前記吸着層及び前記アルカリ化防止層と前記遮水層との間に遮水シートを設ける[5]の重金属の漏洩抑制方法。
本発明によれば、吸着層工法により重金属を含む土壌の封じ込めを行う際の経時的な吸着層の性能低下を抑制できる盛土構造、吸着層の性能維持方法、及び重金属の漏洩抑制方法を提供できる。
実施形態に係る盛土構造を示す模式断面図である。 実施形態に係る盛土構造の変形例を示す模式断面図である。 実施形態に係る盛土構造の変形例を示す模式断面図である。 アカガネイトによるセレン酸イオンの吸着処理後の溶存セレン濃度と、pHの関係を示すグラフである。
以下、本発明について、添付の図面を参照し、実施形態を示して説明する。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る盛土構造を示す模式断面図である。
本実施形態の盛土構造10は、盛土層1と、吸着層2と、アルカリ化防止層3と、遮水層4と、遮水シート5と、覆土層6と、舗装7と、を備える。
吸着層2は、盛土層1の下方に、地面Gに接して設けられている。アルカリ化防止層3は、盛土層1と吸着層2との間に設けられている。すなわち、盛土構造10の下側(地面G側)から、吸着層2、アルカリ化防止層3、盛土層1がこの順に積層している。
吸着層2、アルカリ化防止層3、盛土層1それぞれの幅方向の断面は、下方に向かうに従って幅広となる台形状である。吸着層2の上面とアルカリ化防止層3の下面とは接しており、吸着層2の上面の幅とアルカリ化防止層3の下端の幅とは同じとされている。また、アルカリ化防止層3の上面と盛土層1の下面とは接しており、アルカリ化防止層3の上面の幅と盛土層1の下面の幅とは同じとされている。吸着層2、アルカリ化防止層3及び盛土層1の全体での断面も台形状となっている。
遮水層4は、盛土層1の上面及び側面、吸着層2の側面、及びアルカリ化防止層3の側面を被覆している。
遮水シート5は、吸着層2及びアルカリ化防止層3と遮水層4との間に配置され、アルカリ化防止層3及び吸着層2それぞれの側面全体を覆っている。また、遮水シート5は、アルカリ化防止層3の側面の上縁の位置で遮水層4側に屈曲して遮水層4内に入り込んでいる。また、遮水シートは、吸着層2の側面の下縁の位置で吸着層2の中心側に屈曲し、吸着層2の下面の外縁部を覆っている。また、遮水シート5は、吸着層2の下面の外縁よりも中心側の位置で吸着層2側に屈曲して吸着層2内に入り込んでいる。
覆土層6は、遮水層4の上面及び側面を被覆している。これにより、遮水層4を保護したり、表面を緑化できるようになっている。
舗装7は、覆土層6の上面に設けられている。
盛土層1は、重金属を含む土壌から形成されている。
重金属としては、セレン、ヒ素、鉛等が挙げられる。土壌に含まれる重金属は1種でもよく2種以上でもよい。土壌中の重金属は、単体として存在していてよいし、化合物として存在していてもよい。
重金属を含む土壌としては、例えば、地盤掘削時や山岳掘削時に発生する掘削土が挙げられる。
土壌中の重金属の含有量は、従来、吸着層工法による封じ込めの対象となっている土壌(要対策土)における重金属の含有量と同様であってよい。
吸着層2は、重金属吸着剤を含む。
重金属吸着剤は、盛土層1から溶出した重金属(重金属を含むイオン)を吸着し、不溶化する。重金属吸着剤は、盛土層1を形成する土壌に含まれる重金属に応じたものが使用される。吸着層2に含まれる重金属吸着剤は1種でもよく2種以上でもよい。
重金属吸着剤には、アルカリ性環境下で吸着性能が低下するものがある。アルカリ性環境は、例えば、pHが8以上の水分が存在する環境である。
例えば舗装7がコンクリート舗装であると、コンクリートに起因して、盛土層1に浸透した水がアルカリ性を示す。遮水層4がベントナイト等の粘土を含むと、粘土に起因して、盛土層1に浸透した水がアルカリ性を示す。このようなアルカリ性の水が盛土層1から流下し、吸着層2に浸透すると、吸着層2がアルカリ性環境となる(アルカリ化する)。
盛土構造10は、盛土層1と吸着層2との間にアルカリ化防止層3を備えるため、盛土層1から流下する水がアルカリ性であっても、吸着層2がアルカリ化せず、重金属吸着剤の吸着性能が維持される。したがって、アルカリ性環境下で吸着性能が低下する重金属吸着剤を用いる場合に、本発明の有用性が高い。
アルカリ性環境下で吸着性能が低下する重金属吸着剤としては、イオン結合を利用して重金属を含むイオンを吸着する吸着剤が挙げられる。このような吸着剤の場合、高アルカリ性環境になるほど重金属を含むイオンの吸着性能が低下する。
アルカリ性環境下で吸着性能が低下する重金属吸着剤の一例として、アカガネイトが挙げられる。アカガネイト(赤金鉱)(Akaganeite)は、化学組成β−Fe3+(O(OH,Cl))で表される酸化鉄鉱物である。その結晶系は単斜晶系で、空間群I2/m、単位格子:a=10.600,b=3.0339,c=10.513,β=90.24°という結晶学的データが学術論文“Post J E, Buchwald V F, American Mineralogist, 76 (1991) p.272-277, Crystal structure refinement of akaganeite”に記載されている。この論文で明らかにされたアカガネイトの結晶構造には塩化物イオンを保持するトンネル構造が存在し、そのトンネルの壁から中心に向けて水酸基が差し出されていることも記載されている。
アカガネイトは、無機化合物の陰イオンを吸着する。無機化合物としては、例えば、セレン、ヒ素、クロム、フッ素、硫黄、リン等の無機元素を含む無機化合物が挙げられる。具体的には、セレン、ヒ素、クロムそれぞれのオキソ酸、フッ化水素酸(フッ酸)、硫酸、リン酸等が挙げられる。
無機化合物の陰イオンを含む水がアカガネイトに接触すると、この水に含まれる陰イオンがアカガネイトの上記トンネル構造にトラップされて吸着すると考えられる。この吸着によって上記トンネル構造に予め存在する塩化物イオンが上記陰イオンに置換されて脱離する。
アカガネイトは、セレンのオキソ酸に対して強い吸着力を示す。そのため、重金属がセレンを含む場合は、重金属吸着剤がアカガネイトを含むことが好ましい。
吸着層2中の重金属吸着剤の含有量は、盛土層1から溶出する重金属を全て吸着するのに必要な量以上であればよい。必要な量は、重金属吸着剤の種類、対象物質濃度により異なり、通常、溶出試験を行い、重金属合有度からの重金属溶出量を推定した上で決定される。
一例を挙げると、重金属吸着剤のセレン吸着量が2g/kg、盛土層1の土壌からのセレン溶出量が0.5mg/kg、盛土層1の単位面積当たりの土壌量が15t/mである場合、単位面積当たりの吸着剤の必要量は、3,750g/mとなる。吸着層2の厚さが0.3m、安全率を1.2倍とした場合、重金属吸着剤の含有量は、1.5kg/m3とされる。
吸着層2は、重金属吸着剤のみからなるものであってもよく、重金属吸着剤以外の他の材料をさらにを含むものであってもよい。他の材料としては、要対策土に該当しない土壌等が挙げられる。
アルカリ化防止層3は、吸着層2のアルカリ化(アルカリ性環境になること)を防止する層である。
アルカリ化防止層3が設けられていることで、上述のように、吸着層2のアルカリ化による重金属吸着剤の性能低下を抑制できる。また、アルカリ化防止層3にも、吸着層2と同様に、盛土層1から溶出した重金属を不溶化させる効果があるため、吸着層2への重金属の接触量を減少させ、飽和を遅らせることができる。結果として、吸着層2の性能を長く維持できる。
アルカリ化防止層3としては、例えば、アルカリ化抑制剤を含む層が挙げられる。
アルカリ化抑制剤としては、土壌の酸性化を促進するもののうち、吸着剤に優先して結合する硫酸塩や燐酸塩が主成分でないものが好ましい。このようなアルカリ化抑制剤としては、例えば、火山灰土壌等の酸性土壌、塩化鉄、塩化アルミニウム、ピートモスが挙げられる。アルカリ化防止層3に含まれるアルカリ化抑制剤は1種でもよく2種以上でもよい。
アルカリ化抑制剤を含む層は、アルカリ化抑制剤のみからなるものであってもよく、アルカリ化抑制剤以外の他の材料をさらにを含むものであってもよい。他の材料としては、要対策土に該当しない土壌等が挙げられる。
アルカリ化防止層3は、アルカリ化抑制剤と土壌とを一定の割合で混合した材料から形成されることが好ましい。ここでの一定の割合とは、吸着層2の最適pHを考慮した割合である。
吸着層2の最適pHは、重金属吸着剤の種類によって決まる。例えば重金属吸着剤が、アルカリ性環境下で吸着性能が低下するものである場合、吸着層2の最適pHは4〜7である。吸着層2のpHは、アルカリ化防止層3から流下する水のpHである。
遮水層4は、アルカリ性遮水剤粘土を含む。
アルカリ性遮水剤としては、粘土、セメント系遮水剤等が挙げられる。粘土としては、厚さ0.5mの層としたときの透水係数が1×10−8cm/s以下の粘性土が用いられ、例えばベントナイトが挙げられる。遮水層4に含まれるアルカリ化抑制剤は1種でもよく2種以上でもよい。
遮水層4は、アルカリ性遮水剤のみからなるものであってもよく、アルカリ性遮水剤以外の他の材料を含むものであってもよい。
遮水層4の遮水性能は、従来の吸着層工法における遮水層の遮水性能と同様であってよい。
遮水シート5としては、合成ゴム系(合成樹脂系)、アスファルト系、ベントナイト系等が挙げられる。
遮水シート5の厚さは、例えば1.5mm以上であってよい。
遮水シート5の遮水性能は、透水係数の値として、1×10−9cm/s以下が好ましい。
覆土層6は、従来の吸着層工法に用いられている覆土層と同様であってよい。例えば、要対策土に該当しない土壌等によって覆土層6を形成できる。
舗装7としては、例えばアスファルト舗装、コンクリート舗装等が挙げられる。
盛土構造10は、例えば以下の手順で施工できる。
地面G上に、吸着層2の外縁となる位置をまたぐように遮水シート5を配置し、その上に、重金属吸着剤を含む材料を配置し、吸着層2を形成する。次いで、吸着層2の上に、アルカリ化抑制剤を含む材料を配置し、アルカリ化防止層3を形成する。この際、アルカリ化防止層3を構成する材料と吸着層2を構成する材料とが一部混合されてもよい。次いで、アルカリ化防止層3の上に、重金属を含む土壌を盛土し、盛土層1を形成する。次いで、遮水シート5の吸着層2の外側に出ている部分で吸着層2及びアルカリ化防止層3それぞれの側面を覆い、その状態で、盛土層1、吸着層2及びアルカリ化防止層3を、粘土を含む材料で覆い、遮水層4を形成する。次いで、遮水層4を、要対策土に該当しない土壌で覆い、覆土層6を形成する。その後、覆土層6の上に舗装7を形成する。
盛土構造10の作用について説明する。
盛土層1に雨水が浸透すると、土壌から重金属が溶出し、重金属を含む水が盛土層1から流下し、アルカリ化防止層3を経て吸着層2に到達する。重金属を含む水は、アルカリ化防止層3を通過する際に酸性化され、これによって重金属の一部が不溶化する。不溶化した重金属はそのままアルカリ化防止層3にとどまる。不溶化せず、酸性化した水に溶解したままアルカリ化防止層3を通過した重金属は吸着層2で吸着され、不溶化する。結果、重金属が盛土構造10の外部に漏洩することが防止される。
盛土構造10にあっては、盛土層1と吸着層2との間にアルカリ化防止層3が設けられているため、吸着層2の性能を長期に渡って維持できる。
すなわち、盛土層1から流下する水がアルカリ性であっても、アルカリ化防止層3で酸性化されるため、この水が吸着層2に浸透したときに、吸着層2がアルカリ化しない。そのため、重金属吸着剤がアルカリ性環境に晒されることによる重金属吸着剤の性能低下を抑制できる。
また、アルカリ化防止層3は、吸着層2と同様に、盛土層1から溶出した重金属を不溶化させる効果がある。したがって、吸着層2への重金属の接触量を減少させ、飽和を遅らせることができる。
吸着層2の性能を長期に渡って維持できることから、重金属の盛土構造10の外部への漏洩を長期に渡って防止できる。
また、盛土構造10にあっては、盛土層1、吸着層2及びアルカリ化防止層3が遮水層4で覆われているため、雨水の盛土層1への浸透が抑制され、重金属を含む水が多量に吸着層2に流入することが抑制され、さらに盛土層1に浸透した水が盛土層1の側面やアルカリ化防止層3の側面、吸着層2の側面から流出することが抑制されている。そのため、盛土層1に浸透した水が必ず、アルカリ化防止層3及び吸着層2を通過するようになっている。
また、盛土構造10にあっては、遮水シート5によって、吸着層2及びアルカリ化防止層3と遮水層4とが接触しないようになっている。これにより、遮水層4の粘土に起因して吸着層2がアルカリ性環境になること、及び遮水層4の遮水性能が低下することが抑制されている。アルカリ化防止層3が遮水層4に接触すると、中和により遮水性能が低下することが懸念される。
特に、遮水シート5が、吸着層2の側面の下縁の位置で吸着層2の中心側に屈曲し、吸着層2の下面の外縁部を覆い、吸着層2の下面の外縁よりも中心側の位置で吸着層2側に屈曲して吸着層2内に入り込んでいることで、盛土層1に浸透した水が遮水シート5と吸着層2、アルカリ化防止層3の隙間から地面Gに流出することを抑制し、必ずアルカリ化防止層3を通過する効果が得られる。
遮水シート5が、アルカリ化防止層3の側面の上縁の位置で遮水層4側に屈曲して遮水層4内に入り込んでいることで、盛土層1に浸透した水が遮水シート5と遮水層4の隙間から流出することを抑制する効果が得られる。
続いて、上述した実施形態の変形例について説明する。
図2、図3はそれぞれ、上記実施形態の変形例に係る盛土構造の模式断面図である。以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
図2に示す盛土構造20は、平坦な場所ではなく谷状の場所に設けられている(谷埋め盛土構造である)点、吸着層2の下方の地中に排水流路8が設けられている点、及び盛土層1の外縁に沿って排水溝9が設けられている点で上述した実施形態と相違している。排水流路8は、谷状の地面Gを構成する傾斜面と平坦面との境界付近に設けられている。
図3に示す盛土構造20は、平坦な場所ではなく傾斜した場所(天然の傾斜面、法面等)に設けられている点、吸着層2の下方の地中に排水流路8が設けられている点、及び盛土層1の傾斜面上方側の外縁に沿って排水溝9が設けられている点で上述した実施形態と相違している。
以上、本発明について、実施形態を示して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
(アカガネイトの合成)
0.2mol/Lの塩化鉄(III)水溶液1Lに、0.4mol/Lの水酸化ナトリウム1Lを添加して、5分間穏やかに撹拌しながら、約pH2の水溶液(Fe3+:OH=約1:2)中でアカガネイトを生成した。次いで、生成したアカガネイトが含まれた懸濁液に、水酸化ナトリウムをさらに添加し、pH4〜5に調整し、5分間穏やかに撹拌しながら、アカガネイト同士を凝集させた。凝集したアカガネイトを濾過で回収し、乾燥した粘土状のアカガネイトの塊を得た。この塊を乳鉢で砕いて粉体としたアカガネイトを以下の実験に用いた。
塩化鉄(III)として投入した鉄イオンの全てがアカガネイトになった場合の収率をモル基準で100%であるとした場合、収率95%でアカガネイトを回収して得た。
合成したアカガネイトをX線回折装置(XRD)で分析したところ、アカガネイトを示すピークが確認された。
(試験例1)
セレン酸ナトリウムを1.152mg/Lで含む水溶液(pH7程度)を調製した。上記合成で得たアカガネイトを用いて、以下の実験手順を行った。
調製したセレン酸ナトリウムの水溶液を複数に分け、上記で合成したアカガネイトを0.2(w/w)%で各水溶液に添加した。続いて、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いて、各水溶液のpHを2〜10に調整し、アカガネイトにセレン酸イオンを吸着させた。約20℃で数分間穏やかに撹拌した後、各水溶液の上澄み液の溶存セレン濃度を、JIS K0102:2013年の「67.セレンの水素化合物発生ICP発光分光分析法」によって測定した。
上記実験の結果を図4のグラフに示す。図4において、破線は水溶液中の溶存セレンの初期濃度(1.152mg/L)を表し、縦軸は水溶液中の溶存セレン濃度を表し、横軸はpH調整後の各水溶液のpHを表す。
図4の結果から、p8未満、特にpH4〜7の範囲においてアカガネイトによるセレン酸イオンの吸着が優れていること、pH8以上であるとその吸着量が減ること、が明らかである。
1 盛土層
2 吸着層
3 アルカリ化防止層
4 遮水層
5 遮水シート
6 覆土層
7 舗装
10 盛土構造
G 地面

Claims (6)

  1. 重金属を含む土壌から形成された盛土層と、
    前記盛土層の下方に設けられた、重金属吸着剤を含む吸着層と、
    前記盛土層と前記吸着層との間に設けられた、前記吸着層のアルカリ化を防止するアルカリ化防止層と、
    を備える、盛土構造。
  2. 前記盛土層、前記吸着層及び前記アルカリ化防止層を被覆する、アルカリ性遮水剤を含む遮水層と、
    前記吸着層及び前記アルカリ化防止層と前記遮水層との間に設けられた遮水シートと、
    をさらに備える請求項1に記載の盛土構造。
  3. 重金属を含む土壌から形成された盛土層と、前記盛土層の下方に設けられた、重金属吸着剤を含む吸着層との間に、前記吸着層のアルカリ化を防止するアルカリ化防止層を設ける、吸着層の性能維持方法。
  4. 前記盛土層、前記吸着層及び前記アルカリ化防止層を、アルカリ性遮水剤を含む遮水層で被覆し、
    前記吸着層及び前記アルカリ化防止層と前記遮水層との間に遮水シートを設ける請求項3に記載の吸着層の性能維持方法。
  5. 重金属を含む土壌から形成された盛土層の下方に、重金属吸着剤を含む吸着層を設け、前記盛土層から溶出する重金属を前記重金属吸着剤に吸着させる、重金属の漏洩抑制方法において、
    前記盛土層と前記吸着層との間に、前記吸着層のアルカリ化を防止するアルカリ化防止層を設ける、重金属の漏洩抑制方法。
  6. 前記盛土層、前記吸着層及び前記アルカリ化防止層を、アルカリ性遮水剤を含む遮水層で被覆し、
    前記吸着層及び前記アルカリ化防止層と前記遮水層との間に遮水シートを設ける請求項5に記載の重金属の漏洩抑制方法。
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