JP2019080001A - 封止用樹脂シート及び電気・電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルや電気・電子部品を実装した基板を外部雰囲気から保護する材料として、また、MEMS等の中空部分を必要とする電子部品の封止材料として有用な、使用時に樹脂ダレ等を生じず、また中空空間を確実に維持することができる、形状保持性に優れた封止用樹脂シート、及びそのような封止用樹脂シートを用いて製造された高品質で高い信頼性を備えた電気・電子部品を提供する。【解決手段】(A)軟化点70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)ジシアンジアミドを含む硬化剤、(D)硬化促進剤、(E)無機充填剤、及び(F)有機ベントナイトを含み、前記(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂と前記(B)成分の液状エポキシ樹脂との質量比(A):(B)が60:40〜90:10であり、かつ前記(E)成分の無機充填剤の質量平均粒子径が1〜50μmであり、該(E)成分の無機充填剤の含有量が組成物全体の50〜80質量%であるエポキシ樹脂組成物をシート状に成形してなることを特徴とする封止用樹脂シート。【選択図】なし

Description

本発明は、封止用樹脂シート及び電気・電子部品に関する。
近年、電子部品の形状やサイズが多様化し、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等に代表される中空が必要な装置も増えてきている。従来、MEMSは、セラミックや金属、あるいはシリコンウエハやガラスウエハを加工したキャップで封止する方法が一般的であったが、最近のMEMSの小型化・軽量化・薄型化に伴い、また低コスト化を図るため、樹脂による封止が検討されてきている。しかし、樹脂による封止は、従来のセラミック等の無機材料による封止に比べ、気密性の確保や中空の空間維持が難しいうえ、硬化収縮により発生する応力がMEMS素子に悪影響を及ぼすおそれがある。また、封止材として液状の熱硬化性樹脂を用いた場合、加熱時に粘度が低下して樹脂ダレが生じることがある。
さらに、サイズの多様化や使用条件が厳しくなるにつれて、部品を実装した回路基板の保護の為に樹脂や樹脂シートによる保護が必要とされてきている。他方、コイル製品においては巻き線の表面や端子を樹脂被覆によって保護することが行われている。
このような問題に対し、樹脂からなるケースや封止枠等を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、当該方法では、ケースや封止枠等を使用するため、装置高さが高くなってしまう。また、構造が複雑であるため、生産性も低い。
また、中空の空間維持のため、支持フィルム状に特定の成分からなる樹脂層を設けた熱硬化型フィルムを用いる方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法は、ケース等を使用する方法に比べ、MEMSの小型化・軽量化・薄型化に対応しやすく、かつ製造も容易である。しかし、支持フィルムを必要とするため、コスト高や生産性の低下につながる。また、薄肉化の面でも制約がある。支持フィルムを不要とすることができれば、これらの問題を解消できる。このため、支持フィルムを必要とせず、それ自体でシート(またはフィルム)形状を維持することができ、MEMS等の中空を必要とする部品において信頼性の高い封止が可能な樹脂封止材料が求められている。
このような要求に対し、特定のエポキシ樹脂成分にフッ素系界面活性剤を含む樹脂シートが提案されている(特許文献4)。
特開2012−35337号公報 特開2009−285810号公報 特開2010−251397号公報 特開2016−17121号公報
特許文献4に記載の樹脂シートは、樹脂ダレが少なく中空空間を維持できる優れた封止性能を有している。しかし、この封止シートでも表面に多数の部品を実装した基板の封止を行う場合には、空間への埋め込み性は不十分であり、樹脂ダレが無くより封止性に優れた樹脂シートの開発が必要であった。また、コイル面や端子の保護シートとして使用した場合に、巻き線間のボイドや空隙が無く、十分な被覆を行うことのできるものではなかった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、コイルや電気・電子部品を実装した基板を外部雰囲気から保護する材料として、また、MEMS等の中空部分を必要とする電子部品の封止材料として有用な、使用時に樹脂ダレ等を生じず、また中空空間を確実に維持することができる、形状保持性に優れた封止用樹脂シート、及びそのような封止用樹脂シートを用いて製造された高品質で高い信頼性を備えた電気・電子部品を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、エポキシ樹脂として、軟化点70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂と、液状エポキシ樹脂を使用し、更に、これらのエポキシ樹脂成分に、特定の硬化剤と、有機ベントナイトとを併用することにより、形状保持性に優れた封止用樹脂シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供する。
[1](A)軟化点70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)ジシアンジアミドを含む硬化剤、(D)硬化促進剤、(E)無機充填剤、及び(F)有機ベントナイトを含み、前記(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂と前記(B)成分の液状エポキシ樹脂との質量比(A):(B)が60:40〜90:10であり、かつ前記(E)成分の無機充填剤の質量平均粒子径が1〜50μmであり、該(E)成分の無機充填剤の含有量が組成物全体の50〜80質量%であるエポキシ樹脂組成物をシート状に成形してなることを特徴とする封止用樹脂シート。
[2]前記(F)成分の有機ベントナイトの含有量が(E)成分の無機充填剤を除く組成物全体に対して0.5〜8.0質量%であることを特徴とする上記[1]に記載の封止用樹脂シート。
[3]前記(B)成分の液状エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むことを特徴とする上記[1]または[2]に記載の封止用樹脂シート。
[4]下記方法で求められる形状保持率(S)が、10%以下であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の封止用樹脂シート。
形状保持率(S):基板上に20mm×20mm×1mmの封止用樹脂シート試料を温度40℃、圧力5kPaで圧着させた後、垂直に保持し、100℃で120分間加熱硬化させる。硬化後、前記試料の上端から3mmの箇所の平均厚さ(A)と、下端から3mmの箇所の平均厚さ(B)を求め、次式より算出する。
S(%)=[(B−A)/B]×100
[5]100℃における溶融粘度が20Pa・s以上であることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の封止用樹脂シート。
[6]上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の封止用樹脂シートにより封止されてなる電気・電子部品。
本発明によれば、コイルや電気・電子部品を実装した基板を外部雰囲気から保護する材料として、また、MEMS等の中空部分を必要とする電子部品の封止材料として有用な、使用時に樹脂ダレ等を生じず、また中空空間を確実に維持することができる、形状保持性に優れた封止用樹脂シート、及びそのような封止用樹脂シートを用いて製造された高品質で高い信頼性を備えた電気・電子部品を提供することができる。
本発明の実施例及び比較例で得られた封止用樹脂シートの特性評価の方法を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の封止用樹脂シートは、(A)軟化点70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)ジシアンジアミドを含む硬化剤、(D)硬化促進剤、(E)無機充填剤、及び(F)有機ベントナイトを含み、前記(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂と前記(B)成分の液状エポキシ樹脂との質量比(A):(B)が60:40〜90:10であり、かつ前記(E)成分の無機充填剤の質量平均粒子径が1〜50μmであり、該(E)成分の無機充填剤の含有量が組成物全体の50〜80質量%であるエポキシ樹脂組成物をシート状に成形してなることを特徴とする。
まず、本発明で用いるエポキシ樹脂組成物の各成分について説明する。
本発明においては、エポキシ樹脂成分として、(A)軟化点70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂(以下、単に固形状多官能エポキシ樹脂ともいう)と、(B)液状エポキシ樹脂を併用する。(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂は、常温(25℃)で固形状のエポキシ樹脂であり、(B)成分の液状エポキシ樹脂は、常温(25℃)で液状のエポキシ樹脂である。
(B)成分の液状エポキシ樹脂と、(A)成分の軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂とを組み合わせて用いることで、すなわち融点の異なる2種類のエポキシ樹脂を用いることで、室温(17〜28℃)で固形状、かつ高温で液状の挙動を示すエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂は、軟化点が70℃以下であり、好ましくは65℃以下である。(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂の軟化点が70℃を超えると、成形時に割れまたは欠けが発生するおそれがある。なお、(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂の軟化点が低すぎると、成形自体が困難となるおそれがあることから、(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂の軟化点は40℃以上が好ましい。
なお、(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂の軟化点は、下記の方法で測定した値である。JIS K2207に基づいて、規定の環に試料を充填し、水浴またはグリセリン浴中で水平に支え、試料の中央に規定の球を置いて浴温を毎分5℃の速さで上昇させ、球を包み込んだ試料が環台の底板に接触した時に読み取った温度である。
また、(A)成分のエポキシ当量は、好ましくは160〜9,200、より好ましくは300〜1,000である。
(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂としては、軟化点が70℃以下であれば特に限定されず用いることができ、例えば、ビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂の混合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の混合物、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の混合物等を例示することができる。
ビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂の混合物としては、例えば、下記一般式(1)で表されるビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂を含む混合物が挙げられる。

(式中、mは1〜4の整数を示す。)
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の混合物としては、例えば、下記一般式(2)で表されるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含む混合物が挙げられる。

(式中、nは1〜10の整数を示す。)
(A)成分の軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂としては、市販品を使用することができ、具体例として、日本化薬(株)製の「NC−3000(軟化点57℃)」、「NC−3000H(軟化点70℃)」、DIC(株)製の「EPICLON N−660(軟化点67℃)」、三菱化学(株)製「jer(登録商標)1001(軟化点64℃)」、新日鉄住金化学(株)製「YDF−2001」(軟化点50〜60℃)等が挙げられる。これらの固形状多官能エポキシ樹脂は、1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ樹脂組成物中の(A)成分の配合量は、成形特性の観点から、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは12〜35質量%である。
(B)成分の液状エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する常温(25℃)で液状のものであれば、分子構造等に特に制限されることなく使用することができる。その具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ヘキサヒドロ無水フタル酸型エポキシ樹脂、テトラヒドロ無水フタル酸型エポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、ジアミノジフェニルメタン型グリシジルアミン、アミノフェノール型グリシジルアミン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールプロパン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの液状エポキシ樹脂は、1種を使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(B)成分の液状エポキシ樹脂としては、なかでもビスフェノール型の液状エポキシ樹脂が好ましく、特に、ビスフェノールA型の液状エポキシ樹脂が好ましい。
(B)成分として好適なビスフェノールA型の液状エポキシ樹脂の市販品を具体的に例示すると、例えば、jer(登録商標)828(三菱化学(株)製、商品名)、EPICLON850(DIC(株)製、商品名)等が挙げられる。
また、(B)成分のエポキシ当量は、好ましくは100〜1,000、より好ましくは150〜300である。
本発明においては、上記(A)成分及び(B)成分を、質量比で(A):(B)が60:40〜90:10の範囲となるように使用する。(A)成分の割合が前記範囲に満たないと、常温でべたつきやすくなり取り扱い得るシートに成形することが困難になるうえ、形状保持性が低下する。すなわち、使用時に粘度が低下して樹脂ダレや樹脂のはみ出しが生じ、また中空封止材として使用した場合に中空空間を維持できなくなる。また、(A)成分の割合が前記範囲を超えると、常温での柔軟性を損ない、取り扱い時に割れやすくなる等、使用時の取り扱いが難しくなる。このような観点から、(A)成分と(B)成分の質量比(A):(B)は、65:35〜85:15の範囲であることが好ましく、70:30〜80:20の範囲であることがより好ましい。
本発明で用いる(C)成分の硬化剤は、潜在性硬化剤として知られる、下記構造式(I)で表されるジシアンジアミドを含むものである。
ジシアンジアミドは特に制限は無く、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として各種用途に使用されるものであれば使用することができる。
市販品としては、例えば、DICY(日本カーバイド工業(株)製、商品名、平均粒径100〜200μm)等が挙げられる。
(C)成分の硬化剤中に含まれるジシアンジアミドの含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、ジシアンジアミド以外の、エポキシ樹脂の硬化剤として一般に知られる硬化剤、例えば、フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤等を併用してもよい。
併用可能なフェノール樹脂系硬化剤としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドを反応させて得られるフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、これらのノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化またはブチル化した変性ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールアルカン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂等が挙げられる。
併用可能な酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物等が挙げられる。
併用可能なアミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、m−キシレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン;1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシ)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等の脂環式ポリアミン;N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等のピペラジン型ポリアミン;ジアミノフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5,3',5'−テトラメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン等が挙げられる。
上記フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤等は、いずれも1種を使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(C)成分の硬化剤の配合量は、ジシアンジアミドと併用する硬化剤の有無、またその種類等にもよるが、一般には、上記(A)成分及び(B)成分のエポキシ樹脂の合計量100質量部に対し、0.5〜15質量部程度であり、好ましくは1〜10質量部である。
本発明で用いる(D)成分の硬化促進剤は、前記(A)成分及び(B)成分のエポキシ樹脂と、(C)成分のジシアンジアミドを含む硬化剤の硬化反応を促進するものであれば、特に制限されることなく使用することができる。具体例としては、イミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキシ)メチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール塩酸塩、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等のジアザビシクロ化合物及びこれらの塩;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族アミン類;フェニルジメチルウレア、メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、トリレンビス(ジメチルウレア)等の芳香族ジメチルウレア類;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等の有機ホスフィン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン等のテトラ−またはトリフェニルボロン塩等が挙げられる。これらは1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(D)成分の硬化促進剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分のエポキシ樹脂の合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲が好ましい。配合量が0.1質量部以上であると硬化性の促進効果が得られ、10質量部以下であると保存安定性を高めることができる。
なお、本発明においては、(C)成分の硬化剤としてジシアンジアミドを単独で使用する場合、(D)成分の硬化促進剤として、イミダゾール類、三級アミン類、芳香族アミン類、芳香族ジメチルウレア類を使用することが好ましい。これは、ジシアンジアミドの硬化温度が160〜180℃と高く、イミダゾール類、三級アミン類、芳香族アミン類、芳香族ジメチルウレア類を使用することにより、より低温(例えば、160℃未満の温度)で硬化させることが可能になるからである。特に、MEMS等においては、それらを構成する部材が高温下では誤作動を起こす可能性があることから、低温硬化を可能とするイミダゾール類、三級アミン類、芳香族アミン類、芳香族ジメチルウレア類の使用が好ましい。また、組成物及び封止用樹脂シートの保存安定性を高める観点からは、イミダゾール類、芳香族ジメチルウレア類の使用が好ましい。
本発明で用いられる(E)成分の無機充填剤は、封止用樹脂シートのシート性とチキソトロピー性の維持に大きく寄与する成分であり、この種の樹脂組成物に一般に使用されているものであれば、特に制限されることなく使用することができる。ここで、「シート性」とは、常温(25℃)において適度な柔軟性があり、割れにくく、取り扱いやすく、かつ均一な厚さを有することをいう。無機充填剤の具体例としては、例えば、溶融シリカ、球状シリカ、結晶シリカ、破砕シリカ、合成シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム等の酸化物粉末、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物粉末、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物粉末等が挙げられる。これらの無機充填剤は、1種を使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(E)成分の無機充填剤としては、球状シリカが好ましく、例えばデンカ(株)製の「FB−950(質量平均粒子径:25μm)」などが好適である。
(E)成分の無機充填剤は、質量平均粒子径が1〜50μmであり、1〜30μmであることが好ましい。また、最大粒径が100μm以下であることが好ましい。
無機充填剤の質量平均粒子径が1μm未満では混合装置の種類により混合状態にバラツキが生ずるおそれがある。また、最大粒径が100μm以下であるとMEMS等の小型電子部品を中空封止するための薄いシートの成形性を高めることができる。
ここで、無機充填剤の質量平均粒子径は、溶融シリカ等の球状粒子の場合、レーザ回折散乱方式(例えば、(株)島津製作所製、装置名:SALD−3100)により測定された値である。また、試料の入った懸濁液を入れた沈降管内に、液面から一定の深さに秤量皿を設け、そこに堆積する粒子重量の経時変化から粒度分布を算出する沈降天秤法により求めることができる。いずれの方法も、質量平均粒子径は、測定された粒度分布において積算体積が50%になる粒径(d50)である。
(E)成分の無機充填剤の配合量は、50〜80質量%である。50質量%未満では良好な形状保持性が得られず、80質量%を超えるとシート表面にクラックやワレ等が発生するおそれがある。
本発明で用いられる(F)成分の有機ベントナイトは、粘土鉱物であるモンモリロナイトの結晶表面を、トリアルキルベンジルアンモニウム、ジメチルジアルキルアンモニウム、トリメチルアルキルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩で変性させた複合体からなるものである。この有機ベントナイトは、有機溶剤に懸濁すると膨潤して増粘し、分散液に剪断力をかけると薄片状結晶が流れに対して平行に配列するために粘性が低下し、分散液を再び静止状態にすると薄片状結晶の端面に存在している水酸基の水素結合により会合し、薄片状結晶同士がネットワークを形成するために粘性が増加する性質を有する。このような有機ベントナイトを配合することにより、本発明で用いる樹脂組成物に良好な成形性を付与することができる。
(F)成分の有機ベントナイトは、分散時の平均粒径が0.5μm以下となるものが好ましく、0.3μm以下となるものがより好ましい。分散時の平均粒径が0.5μm以下であれば、良好な含浸性を維持しつつ、良好な厚塗り性を得ることができる。
なお、(F)成分の分散時の平均粒径は、有機溶剤に分散させたときの平均粒径(メジアン径d50)をいい、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置により求めることができる。
(F)成分の有機ベントナイトの市販品としては、例えば、エスベン、エスベンC、エスベンE、エスベンW、エスベンP、エスベンWX、エスベンN−400、エスベンNX、エスベンNX80、エスベンNO12S、エスベンNEZ、エスベンNO12、エスベンNE、エスベンNZ、エスベンNZ70、オルガナイト、オルガナイトD、オルガナイトT(以上、(株)ホージュン製、商品名);ルーセンタイトSAN、ルーセンタイトSTN、ルーセンタイトSEN、ルーセンタイトSPN、ソマシフME−100、ソマシフMAE、ソマシフMTE、ソマシフMEE、ソマシフMPE(以上、コープケミカル(株)、商品名);クニピアF、クニピアG、クニピアG4(以上、クニミネ工業(株)製、商品名);チクソゲルVZ、クレイトンHT、クレイトン40(以上、ロックウッド アディティブス社製、商品名)等が挙げられる。有機ベントナイトは、1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(F)成分の配合量は、(E)成分の無機充填剤を除く組成物全体に対して好ましくは0.5〜8.0質量%の範囲であり、より好ましくは0.5〜6.0質量%の範囲であり、更に好ましくは1.0〜5.0質量%の範囲である。配合量が0.5質量%未満では、良好な形状保持性が得られない。すなわち使用(硬化)時に粘度が低下して樹脂ダレや樹脂のはみ出しが生じ、また中空封止材として使用した場合に中空空間の維持ができなくなる。逆に8.0質量%を超えると、混練時の粘度が高くなりすぎ、混練が出来なくなる。
本発明で用いられるエポキシ樹脂組成物には、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、合成ゴム、フェノキシ樹脂、変性ポリアミド樹脂等のエラストマー類、希釈剤、消泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤等の添加剤を必要に応じて配合することができる。
エポキシ樹脂組成物を調製するにあたっては、(A)軟化点70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)ジシアンジアミドを含む硬化剤、(D)硬化促進剤、(E)無機充填剤、(F)有機ベントナイト、並びに前述した必要に応じて配合される各種成分を、プラネタリミキサー、二軸混合機、遊星撹拌機等の混合機を用いて50〜100℃程度の温度で十分に混練し、必要に応じて脱泡処理する。
本発明の封止用樹脂シートは、上記エポキシ樹脂組成物の混練物を、30℃以下に冷却した後、プレス成形機にて、50〜100℃程度の温度、0.5〜1.5MPa程度の圧力でシート状にプレス成形することにより得られる。
本発明の封止用樹脂シートは、100℃での溶融粘度が、20Pa・s以上であることが好ましく、25〜70Pa・sであることがより好ましい。100℃での溶融粘度が20Pa・s以上であると、封止用樹脂シートの形状保持性を優れたものとすることができる。
なお、溶融粘度は、パラレルプレート型レオメーター(例えば、TA Instruments社製)を用いて温度50℃から120℃まで昇温速度10℃/分で昇温させて測定した際の100℃における溶融粘度である。測定時の角周波数は50.0rad/sである。
本発明の封止用樹脂シートの形状保持率は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
なお、上記形状保持率は下記方法で求めることができる。
形状保持率(S):基板上に20mm×20mm×1mmの封止用樹脂シート試料を温度40℃、圧力5kPaで圧着させた後、垂直に保持し、100℃で120分間加熱硬化させる。硬化後、前記試料の上端から3mmの箇所の平均厚さ(A)と、下端から3mmの箇所の平均厚さ(B)を求め、次式より算出する。
S(%)=[(B−A)/B]×100
また、本発明の封止用樹脂シートの厚さは、通常、20μm〜2mmであり、好ましくは30μm〜1mmである。MEMS等の小型の電子部品を中空封止する場合は、50〜100μmが好ましい。封止用樹脂シートの厚さが20μm未満では、充填剤を配合する観点から、厚みのばらつきが生じることが懸念される。逆に、厚さが2mmを超えると、成形性が低下するうえ、常温(25℃)での取り扱い性が低下する。
本発明の封止用樹脂シートは、任意の形状に、例えば、平面形状として、円形、三角形、四角形、五角形等に加工した後、被着体、例えばコイル等の電気部品、あるいは中空封止すべきMEMS等の電子部品に接着させた後、80〜150℃で10分〜8時間、好ましくは90〜120℃で1〜3時間加熱して硬化させることにより、樹脂封止されたコイル装置や、MEMS等の電気・電子部品が得られる。
本発明の封止用樹脂シートは、常温(25℃)での取り扱い性が良好で、かつ使用(加熱)時の形状保持性に優れるため、コイル等の電気・電子部品を外部雰囲気から保護する材料として、また、MEMS等の中空部分を必要とする電子部品の封止材料として有用である。
本発明の封止用樹脂シートを用いて、基板上に素子を中空封止する電子部品の例としては、MEMSの他、水晶振動子、圧電振動子等の各種振動子;加速度センサー、角速度センサー等の各種センサー類;表面弾性波フィルタ等の表面弾性波装置等が挙げられる。
なお、本発明の封止用樹脂シートは、半導体チップ、ダイオード、サイリスタ、トランジスタ等の中空封止の必要のない一般的な半導体素子の封止材料としても使用することができる。
次に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において使用した材料は表1に示した通りである。また、「部」は特に断らない限り「質量部」を意味する。
(実施例1)
(A)成分の軟化点70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂として、固形状多官能エポキシ樹脂(1)70.6部、(B)成分の液状エポキシ樹脂29.4部を均一に混合した後、(C)成分の硬化剤として、ジシアンジアミド3.4部、(D)成分の硬化促進剤4.8部、(E)成分の無機充填剤として、無機充填剤(1)30.2部、無機充填剤(2)250.0部、及び(F)成分の有機ベントナイトとして、有機ベントナイト(1)3.8部とともに、プラネタリーミキサに仕込み、80℃で1時間撹拌混合した。この混合物をプラネタリーミキサから取り出し、30℃以下にまで冷却し、塊状のエポキシ樹脂組成物を得た。得られた塊状のエポキシ樹脂組成物を温度80℃、圧力1.0MPaの条件で真空プレスにて成形し、厚さ約1mmの封止用樹脂シートを作製した。
(実施例2〜9、及び比較例1〜5)
組成を表2に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製し、さらに、得られた樹脂組成物を用いて封止用樹脂シートを作製した。なお、(F)成分の有機ベントナイト及び増粘剤を使用しない比較例1では、エポキシ樹脂のみを予め混合した後、他の成分とともにプラネタリーミキサに仕込み、加熱混合した。また、表2中空欄は配合なしを表す。
上記各実施例及び比較例で得られたエポキシ樹脂組成物並びに封止用樹脂シートについて、下記に示す方法で各種特性を評価した。その結果を表2に併せ示す。なお、下記(4)〜(6)の特性評価は、厚さ約1mmの封止用樹脂シートについて行った。各実施例及び比較例は同様に作製したものである。
(1)成形特性(硬化前)
製造された封止用樹脂シートを目視にて観察した。評価は、無機充填剤等による細かな凹凸が形成されず、かつエポキシ樹脂組成物が流れ出ずに所望の形状に形成されているものを「○」、表面に無機充填剤等による細かな凹凸が一部形成され、かつエポキシ樹脂組成物が流れ出さずに所望の形状に形成されているものを「△」、無機充填剤等による細かな凹凸が発性し、シート表面にクラック、ワレ等発生しているものを「×」で示した。
(2)溶融粘度(100℃)
パラレルプレート型レオメーター(TA Instruments社製)を用いて温度50℃から120℃まで昇温速度10℃/分で昇温させて測定し、100℃における溶融粘度を求めた。測定は、角周波数50.0rad/sで行った。
(3)ゲル化時間
JIS C 2161 7.5.1に規定されるゲル化時間A法に準拠して、150℃の熱盤上で1.5gのエポキシ樹脂組成物を直径約40〜50mmの円盤状に広げ、金属製のへらを用いて60回/分の速度でかき混ぜ、エポキシ樹脂組成物が増粘し、最終的にゲル状になってかき混ぜられなくなるまでの時間を測定した。
(4)樹脂シート厚さ
作製直後の封止用樹脂シートの厚さをマイクロメータにより測定した。測定は、各実施例及び比較例とも合計10枚のシートについて行い(1枚当たり、5ヶ所で測定)、その平均値を算出した。
(5)硬化後のシート厚さ・ばらつき(形状保持性I)
形状保持性を評価するために、厚さ1mmの封止用樹脂シートから20mm角の試料シートを切り出し、FR−4基板上に温度40℃、圧力5kPaで圧着させた後、垂直に保持して、100℃で120分間加熱硬化させた(図1(a))。図1において、12は基板、14は試料シートを示す。硬化後、試料シート14の上端から3mmの箇所の厚さ(上端部厚Aと表記)と、下端から3mmの箇所の厚さ(下端部厚Bと表記)を測定(それぞれ、中央部及び両端部の3ヶ所で測定し、その平均値を算出した。さらに、各実施例及び比較例について10回ずつ測定し、その平均値を算出)するとともに、その測定値から、上端部厚Aと下端部厚Bとの差(B−A)、標準偏差σ、及び次式から形状保持率Sを算出した(図1(b))。
なお、形状保持率Sが10%以下であると、形状保持性が良好であるとみなすことができる。
S(%)=[(B−A)/B]×100
(6)加熱後の中空部の断面形状(形状保持性II)
MEMS等の中空封止用途で使用した際の樹脂シートの中空部への耐落ち込み性を評価するために、感光性ポリイミドを用いて基板上に凹状のパターンを複数形成し、その上に封止用樹脂シートを温度40℃、圧力5kPaで圧着させた後、100℃で2時間加熱して硬化させた。その後、得られたシート付き基板を断面研磨して、中空部の断面形状を目視により観察した。樹脂シートのパターン凹部への落ち込みがなく、かつ剥がれも認められず、凹部は略直方体の形状を維持している場合を「良好」と評価した。
(7)加熱後の凹凸面の断面形状(凹凸追随性)
部品を実装した基板面上に封止用樹脂シートを載せ、真空中100℃で2時間加熱して硬化させた。その後、基板を断面研磨して、封止面の密着性を目視により観察した。接着面にボイドや空隙が無く、部品が角まで完全に封止されているものを「良好」と評価した。
表2から明らかなように、本発明の実施例にかかる封止用樹脂シートは、加熱時の形状保持性が良好で、これを用いて、MEMS素子等に対して中空封止が可能であることが確認された。また、基板断面形状(凹凸形状)に対する追従性が良好で、これを用いてコイル等の封止が可能であることを確認された。
本発明の成形用樹脂シートは、常温での取り扱い性に優れ、かつ加熱時の形状保持性にも優れている。したがって、コイルや電気・電子部品を実装した基板を外部雰囲気から保護する材料として、また、MEMS等の中空部分を必要とする電子部品の封止材料として有用である。
12 基板
14 試料シート
A 試料シート14の上端から3mmの箇所の厚さ(上端部厚)
B 試料シート14の下端から3mmの箇所の厚さ(下端部厚)

Claims (6)

  1. (A)軟化点70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)ジシアンジアミドを含む硬化剤、(D)硬化促進剤、(E)無機充填剤、及び(F)有機ベントナイトを含み、
    前記(A)成分の固形状多官能エポキシ樹脂と前記(B)成分の液状エポキシ樹脂との質量比(A):(B)が60:40〜90:10であり、かつ前記(E)成分の無機充填剤の質量平均粒子径が1〜50μmであり、該(E)成分の無機充填剤の含有量が組成物全体の50〜80質量%であるエポキシ樹脂組成物をシート状に成形してなることを特徴とする封止用樹脂シート。
  2. 前記(F)成分の有機ベントナイトの含有量が(E)成分の無機充填剤を除く組成物全体に対して0.5〜8.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の封止用樹脂シート。
  3. 前記(B)成分の液状エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の封止用樹脂シート。
  4. 下記方法で求められる形状保持率(S)が、10%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の封止用樹脂シート。
    形状保持率(S):基板上に20mm×20mm×1mmの封止用樹脂シート試料を温度40℃、圧力5kPaで圧着させた後、垂直に保持し、100℃で120分間加熱硬化させる。硬化後、前記試料の上端から3mmの箇所の平均厚さ(A)と、下端から3mmの箇所の平均厚さ(B)を求め、次式より算出する。
    S(%)=[(B−A)/B]×100
  5. 100℃における溶融粘度が20Pa・s以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の封止用樹脂シート。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の封止用樹脂シートにより封止されてなる電気・電子部品。
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