JP2019079053A - 偏光子保護フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

偏光子保護フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示装置や有機ELディスプレイ等の画像表示装置の薄型化に対応可能(即ち、十分な機械的強度を有する)であり、且つ虹状の色斑による視認性の悪化が抑制された、偏光子保護フィルム、偏光板および画像表示装置を提供することである。【解決手段】ポリエステルフィルム及びその一方の面上に光学機能層を有する偏光子保護フィルムであって、前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向はMD方向と略平行であり、前記ポリエステルフィルムの面内複屈折ΔNxyが0.06以上0.20以下であり、前記ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率が1.580以上1.630以下である、偏光子保護フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光子保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置や有機ELディスプレイ等の画像表示装置に関する。詳しくは、視認性が良好で、薄型化に適した偏光子保護フィルム、偏光板及び画像表示装置(液晶表示装置や有機ELディスプレイ等)に関する。
液晶表示装置(LCD)に使用される偏光板は、通常ポリビニルアルコール(PVA)などにヨウ素を染着させた偏光子を2枚の偏光子保護フィルムで挟んだ構成となっていて、偏光子保護フィルムとしては通常トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが用いられている。近年、LCDの薄型化、コストダウンに伴い、偏光板の薄層化が求められるようになっている。しかし、このために保護フィルムとして用いられているTACフィルムの厚みを薄くすると、充分な機械強度を得ることが出来ず、また透湿性が悪化するという問題が発生する。また、TACフィルムは非常に高価であり、安価な代替素材が強く求められている。
ポリエステルフィルムは、TACフィルムに比べ耐久性に優れるが、TACフィルムと異なり複屈折性を有するため、これを偏光子保護フィルムとして用いた場合、光学的歪みにより画質が低下するという問題があった。すなわち、複屈折性を有するポリエステルフィルムは所定の光学異方性(リタデーション)を有することから、偏光子保護フィルムとして用いた場合、斜め方向から観察すると虹状の色斑が生じ、画質が低下する。そのため、特許文献1では、ポリエステルフィルムの面内リタデーションを特定の範囲に制御することで虹状の色斑への対策がなされている。
WO2011−162198
しかしながら、市場においては、液晶表示装置等の画像表示装置の一層の薄型が求められており、偏光子保護フィルムの薄膜化が進んだ場合、虹斑を十分に抑制するだけのリタデーションを確保することが困難であった。
さらに、フィルムの厚みが薄くなることで加工に必要な機械的強度が不足するため、薄膜化の要望へ対応することが難しいこともあった。
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、液晶表示装置や有機ELディスプレイ等の画像表示装置の薄型化に対応可能(即ち、十分な機械的強度を有する)であり、且つ虹状の色斑による視認性の悪化が抑制された、偏光子保護フィルム、偏光板および画像表示装置(液晶表示装置や有機ELディスプレイ等)を提供することである。
代表的な本発明は以下の通りである。
項1.
ポリエステルフィルム及びその一方の面上に光学機能層を有する偏光子保護フィルムであって、
前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向はMD方向と略平行であり、
前記ポリエステルフィルムの面内複屈折ΔNxyが0.06以上0.20以下であり、
前記ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率が1.580以上1.630以下である、偏光子保護フィルム。
項2.
前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向及び進相軸方向の直角形引裂き法による引裂き強度のうち小さいほうの値が250N/mm以上である項1に記載の偏光子保護フィルム。
項3.
前記ポリエステルフィルムのNZ係数が1.5以上2.5以下である項1又は2に記載の偏光子保護フィルム。
項4.
前記ポリエステルフィルムのリタデーションが1500nm以上30000nm以下である項1〜3のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
項5.
前記ポリエステルフィルムの厚みが25〜60μmである項1〜4のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
項6.
ポリエステルフィルムの遅相軸方向とMD方向のなす角度が3度以内である項1〜5のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
項7.
ポリエステルフィルムと光学機能層との間に易接着層を有し、
前記易接着層の屈折率が、前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率及び前記光学機能層の屈折率よりも大きい場合、又は、
前記易接着層の屈折率が、前記ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率及び前記光学機能層の屈折率よりも小さい場合、
前記易接着層の厚みが3〜30nmである、項1〜6のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
項8.
ポリエステルフィルムと光学機能層との間に易接着層を有し、
前記易接着層の屈折率が、前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率よりも大きく、前記光学機能層の屈折率よりも小さい場合、又は、
前記易接着層の屈折率が、前記ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率よりも小さく、前記光学機能層の屈折率よりも大きい場合、
前記易接着層の厚みが65〜125nmである、項1〜6のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
項9.
ポリエステルフィルムと光学機能層との間に易接着層を有し、
前記易接着層の屈折率が、前記ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率と前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率との間に存在する、項1〜6のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
項10.
偏光子の少なくとも一方の面に 項1〜9のいずれかに記載の偏光子保護フィルムが積層された偏光板。
項11.
偏光子の片面に、項1〜9のいずれかに記載の偏光子保護フィルムが積層され、偏光子のもう一方の面にはフィルムが積層されていない偏光板。
項12.
偏光子の片面に、項1〜9のいずれかに記載の偏光子保護フィルムが積層され、偏光子のもう一方の面に1/4波長板が積層された偏光板。
項13.
項10〜12のいずれかに記載の偏光板を含む画像表示装置。
項14.
項10又は11に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
項15.
項10〜12のいずれかに記載の偏光板を含む有機ELディスプレイ。
項16.
項10〜12のいずれかに記載の偏光板を含むQLEDディスプレイ。
本発明の偏光子保護フィルム、偏光板及び画像表示装置(液晶表示装置や有機ELディスプレイ等)は、いずれの観察角度においても虹状の色斑(以下、虹斑と同じ)がない良好な視認性を確保することができる。また、本発明の偏光板および偏光子保護フィルムは、薄膜化に適した機械強度を備えており、良好な加工特性を確保することができる。
1.偏光子保護フィルム
本発明の偏光子保護フィルムは、ポリエステルフィルム及びその一方の面上に光学機能層を有する偏光子保護フィルムであって、前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向はMD方向と略平行であり、前記ポリエステルフィルムの面内複屈折ΔNxyが0.06以上0.20以下であり、前記ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率が1.580以上1.630以下である。
本発明の偏光子保護フィルムとして用いるポリエステルフィルムの遅相軸は、虹状の色斑を抑制する観点からMD方向(製膜時の走行方向)に略平行であることが好ましい。ここで略平行であるとは、ポリエステルフィルムの遅相軸方向とMD方向(製膜時の走行方向)とのなす角度が、好ましくは10度以内、より好ましくは7度以内、さらにより好ましくは5度以内、特に好ましくは3度以内、最も好ましくは2度以内であることを意味する。
遅相軸の方向は、分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)を用いて求めることができる。
本明細書において、MD方向は、フィルム製膜時の走行方向のことであり、縦方向と呼ぶこともある。また、TD方向とは、フィルム製膜時の幅方向のことであり、横方向と呼ぶこともある。
偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた偏光板を用いて画像表示装置(液晶表示装置や有機ELディスプレイ等)を工業的に生産する場合、偏光子の吸収軸とポリエステルフィルムの遅相軸の方向は、通常互いに垂直になるように配置される。これは、次のような事情による。偏光子であるポリビニルアルコールフィルムは、MD一軸延伸をして製造される。よって、偏光子として使用するポリビニルアルコールフィルムは、通常延伸方向に長いフィルムであり、MD方向に吸収軸を有する。一方、その保護フィルムであるポリエステルフィルムは、通常、多くの場合、MD延伸した後、TD延伸をして製造されるため、ポリエステルフィルムの配向主軸方向(遅相軸方向)はTD方向となる。これらのフィルムは、製造効率の観点から通常互いの長手方向が平行になるように、ロールツーロールで貼り合わせられ、偏光板が製造される。そうすると、ポリエステルフィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸は通常垂直方向となる。
一方、本発明においては、ポリエステルフィルムをMD方向に強く延伸することにより、ポリエステルフィルムの配向主軸方向(遅相軸方向)はMD方向となる。このポリエステルフィルムと、MD一軸延伸して製造された偏光子を長手方向が平行となるようにロールツーロールで積層して偏光板を製造すると、偏光子の吸収軸とポリエステルフィルムの遅相軸の方向は平行となる。驚くべきことに、本発明者らは、偏光子の吸収軸とポリエステルフィルムの遅相軸が平行な状態で積層された場合のほうが、偏光子の吸収軸とポリエステルフィルムの遅相軸が垂直な状態で積層された場合よりも、虹斑抑制効果に優れることを発見した。
虹斑抑制効果に優れた偏光板を、工業的に有利なロールツーロール法で生産性よく製造するため、ポリエステルフィルムをMD方向に強く延伸し、MD方向と遅相軸方向が略平行な関係を有するポリエステルフィルムが好ましい。
本発明の偏光子保護フィルムに用いるポリエステルフィルムの面内複屈折ΔNxyは、好ましくは0.06以上0.20以下、より好ましくは0.07以上0.19以下、さらに好ましくは0.08以上0.18以下である。ΔNxyが0.06未満だと斜め方向から観察した際に虹状の色斑が観察されやすくなる。また、ΔNxyが0.20より大きいフィルムでは虹状の色斑は生じなくなるが、完全な一軸性(一軸対称)に近づくため、配向方向と平行な方向の機械的強度が著しく低下する。
面内複屈折ΔNxyは、遅相軸方向の屈折率(nx)と進相軸方向の屈折率(ny)の差の絶対値のことである。なお、屈折率の測定波長は589nmである。
本発明の偏光子保護フィルムに用いる、遅相軸方向がMD方向と略平行な関係を有するポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率(ny)は、好ましくは1.580以上1.630以下、より好ましくは1.584以上1.625以下、さらに好ましくは1.588以上1.620以下である。進相軸方向の屈折率(ny)が1.580未満だと完全な一軸性(一軸対称)に近づくため、配向方向と平行な方向の機械的強度(引裂き強度)が著しく低下する。また、進相軸方向の屈折率(ny)が1.630より大きいフィルムでは斜め方向から観察した際に虹状の色斑が観察されやすくなる。
本発明の偏光子保護フィルムに用いるポリエステルフィルムの遅相軸方向及び進相軸方向の直角形引裂き法による引裂き強度のうち小さいほうの値は、好ましくは250N/mm以上、より好ましくは280N/mm以上、さらに好ましくは300N/mm以上である。ΔNxyの値が高いフィルムでは、遅相軸方向の引裂き強度の値が、進相軸方向よりも小さくなる傾向にある。250N/mm未満では容易にフィルムが裂けてしまい、製膜時、加工時の安定性が低下する。一方、引裂き強度が高ければ高いほど製膜時、加工時の安定性は増すが、二軸性(二軸対称性)が高くなり虹状の色斑が生じてしまうため、虹状の色斑が生じない範囲で上記引裂き強度を高くすることが好ましく、現実的には500N/mm以下が好ましい。
なお、引裂き強度は、直角形引裂き法(JIS K-7128−3)に従って測定を行い、フィルム厚み当たりの引裂き強度(N/mm)を求める。
本発明の偏光子保護フィルムに用いるポリエステルフィルムのNZ係数は、好ましくは1.5以上2.5以下、より好ましくは1.6以上2.3以下、さらに好ましくは1.7以上2.1以下である。NZ係数が小さいほど観察角度による虹状の色斑が生じにくくなる。そして、完全な一軸性(一軸対称)フィルムではNZ係数は1.0となるが、完全な一軸性(一軸対称)フィルムに近づくにつれ配向方向と平行な方向の機械的強度が低下する傾向にある。
NZ係数は次のようにして求めることができる。分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)を用いてフィルムの配向主軸方向(遅相軸方向)を求め、配向主軸方向とこれに直交する方向(進相軸方向)の二軸の屈折率(遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、但しnx>ny)、及び厚さ方向の屈折率(nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって求める。こうして求めたnx、ny、nzを、|nx−nz|/|nx−ny|で表される式に代入して、NZ係数を求めることができる。なお、屈折率の測定波長は589nmである。
虹斑をより低減する観点から、偏光子保護フィルムに用いられるポリエステルフィルムは、1500〜30000nmのリタデーションを有することが好ましい。リタデーションの下限値は2500nmが好ましく、次に好ましい下限値は3000nmである。
一方、リタデーションの上限は30000nmである。それ以上のリタデーションを有するポリエステルフィルムを用いたとしても更なる視認性の改善効果は実質的に得られないばかりか、フィルムの厚みも相当に厚くなり、工業材料としての取り扱い性が低下するので好ましくない。リタデーションの好ましい上限値は8000nm、より好ましい上限値は6000nm、更に好ましい上限値は5500nmである。
なお、複屈折は、2軸方向の屈折率を測定して求めることもできるし、KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社)といった市販の自動複屈折測定装置を用いて求めることもできる。なお、屈折率の測定波長は589nmである。
本発明の偏光子保護フィルムに用いられるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを用いることができるが、他の共重合成分を含んでも構わない。これらの樹脂は透明性に優れるとともに、熱的、機械的特性にも優れており、延伸加工によって容易に面内複屈折を制御することができる。特に、ポリエチレンテレフタレートは固有複屈折が大きく、比較的容易に大きな面内複屈折が得られるので、最も好適な素材である。
また、ヨウ素色素などの光学機能性色素の劣化を抑制することを目的として、本発明の偏光子保護フィルムは、波長380nmの光線透過率が20%以下であることが望ましい。380nmの光線透過率は15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。前記光線透過率が20%以下であれば、光学機能性色素の紫外線による変質を抑制することができる。なお、本発明における透過率は、フィルムの平面に対して垂直方法に測定したものであり、分光光度計(例えば、日立U−3500型)を用いて測定することができる。
本発明の偏光子保護フィルムの波長380nmの透過率を20%以下にするためには、紫外線吸収剤の種類、濃度、及びフィルムの厚みを適宜調節することが望ましい。本発明で使用される紫外線吸収剤は公知の物質である。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系等、及びその組み合わせが挙げられるが本発明の規定する吸光度の範囲であれば特に限定されない。しかし、耐久性の観点からはベンゾトアゾール系、環状イミノエステル系が特に好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、より紫外線吸収効果を改善することができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤としては例えば2−[2'−ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,2'−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノールなどが挙げられる。環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては例えば2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンなどが挙げられる。しかし特にこれらに限定されるものではない。
また、紫外線吸収剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、触媒以外の各種の添加剤を含有させることも好ましい様態である。添加剤として、例えば、無機粒子、耐熱性高分子粒子、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、帯電防止剤、耐光剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、ゲル化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。また、高い透明性を奏するためにはポリエステルフィルムに実質的に粒子を含有しないことも好ましい。「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。
本発明の偏光子保護フィルムには、後述するように、写り込み防止やギラツキ抑制、キズ抑制などを目的として、種々のハードコートを表面に塗布することも好ましい様態である。
さらに、本発明において、ポリエステルフィルムには、偏光子や種々のハードコート層との接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
本発明においては、偏光子や光学機能層との接着性を改良のために、本発明のフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする易接着層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。本発明の易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、ポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
易接着層は、ポリエステルフィルム製造工程中の任意の工程において、塗布液をフィルム面の少なくとも一方に塗布した後、100〜150℃で乾燥させることで得ることができる。最終的な易接着層の塗布量は、0.05〜0.20g/mに管理することが好ましい。塗布量が0.05g/m未満であると、得られる偏光子との接着性が不十分となる場合がある。一方、塗布量が0.20g/mを超えると、耐ブロッキング性が低下する場合がある。ポリエステルフィルムの両面に易接着層を設ける場合は、両面の易接着層の塗布量は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して上記範囲内で設定することができる。
易接着層には易滑性を付与するために粒子を添加することが好ましい。微粒子の平均粒径は2μm以下の粒子を用いることが好ましい。粒子の平均粒径が2μmを超えると、粒子が被覆層から脱落しやすくなる。易接着層に含有させる粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー、リン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。これらは、単独で易接着層に添加されてもよく、2種以上を組合せて添加することもできる。
また、塗布液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
ポリエステルフィルムは、一般的なポリエステルフィルムの製造方法に従って製造することができる。例えば、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、縦方向及び横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもかまわないが、二軸延伸フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた場合、フィルム面の真上から観察しても虹状の色斑が見られないが、斜め方向から観察した時に虹状の色斑が観察される場合があるので注意が必要である。
この現象は、二軸延伸フィルムが、走行方向、幅方向、厚さ方向で異なる屈折率を有する屈折率楕円体からなり、フィルム内部での光の透過方向によりリタデーションがゼロになる(屈折率楕円体が真円に見える)方向が存在するためである。従って、表示画面を斜め方向の特定の方向から観察すると、リタデーションがゼロになる点を生じる場合があり、その点を中心として虹状の色斑が同心円状に生じることとなる。そして、フィルム面の真上(法線方向)から虹状の色斑が見える位置までの角度をθとすると、この角度θは、フィルム面内の複屈折が大きいほど大きくなり、虹状の色斑は見え難くなる。二軸延伸フィルムでは角度θが小さくなる傾向があるため、一軸延伸フィルムのほうが虹状の色斑は見え難くなり好ましい。
しかしながら、完全な一軸性(一軸対称)フィルムでは配向方向と平行な方向の機械的強度が著しく低下するので好ましくない。本発明は、実質的に虹状の色斑を生じない範囲、または表示画面に求められる視野角範囲において虹状の色斑を生じない範囲で、二軸性(二軸対称性)を有していることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの製膜条件は、逐次二軸延伸でも同時二軸延伸でもよいが、一般的な逐次二軸延伸では縦延伸はロール延伸となるため、フィルムにキズがつきやすい。したがって、延伸時のキズ防止の観点から、ロールを介さない同時二軸延伸のほうが好ましい。製膜条件を具体的に説明すると、縦延伸温度、横延伸温度は80〜150℃が好ましく、特に好ましくは90〜140℃である。縦延伸倍率は5.5〜7.5倍が好ましく、より好ましくは6.0倍〜7.0倍であり、特に好ましくは6.5倍〜7.0倍である。また、横延伸倍率は1.5〜3.0倍が好ましく、特に好ましくは1.8〜2.8倍である。遅相軸の方向、ΔNxy、進相軸方向の屈折率の値、NZ係数および引裂き強度を上記範囲に制御するためには、縦延伸倍率と横延伸倍率のそれぞれの倍率を制御することが好ましい。縦横の延伸倍率の差が小さすぎるとΔNxyを高くすることが難しくなり好ましくない。また、延伸温度を低く設定することもΔNxyを高くする上では好ましい対応である。
進相軸方向の屈折率の値を前述の範囲とし、引裂き強度を高くするためには、完全な一軸性フィルムよりも、ΔNxyが本願で規定する範囲を満たす条件下で、適度に二軸性が付与されていることが好ましい。
続く熱処理においては、処理温度は100〜250℃が好ましく、特に好ましくは180〜245℃である。
前述のように、ΔNxy、NZ係数を特定範囲に制御する為には、延伸倍率や延伸温度、を適宜設定することにより行なうことができる。例えば、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど高いΔNxyを得やすくなる。逆に、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど低いΔNxyを得やすくなる。また、ΔNxy、NZ係数の制御に加えて、加工に必要な物性等を勘案して最終的な製膜条件を設定する必要がある。
本発明の偏光子保護フィルムとして用いるポリエステルフィルムの厚みは任意であるが、15〜200μmの範囲が好ましく、より好ましくは15〜150μmの範囲である。15μmを下回る厚みのフィルムでは、フィルムの力学特性の低下が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下する傾向にある。特に好ましい厚みの下限は25μmである。一方、偏光子保護フィルムの厚みの上限は、200μmを超えると偏光板の厚みが厚くなりすぎてしまい好ましくない。偏光子保護フィルムとしての実用性の観点からは厚みの上限は150μmが好ましく、より好ましい厚みの上限は80μmであり、特に好ましい厚みの上限は60μmである。上記厚み範囲においてもΔNxy、NZ係数と引裂き強度を本発明の範囲に制御するために、フィルム基材として用いるポリエステルはポリエチレンタレフタレートが好適である。
また、本発明におけるポリエステルフィルムに紫外線吸収剤を配合する方法としては、公知の方法を組み合わせて採用し得るが、例えば予め混練押出機を用い、乾燥させた紫外線吸収剤とポリマー原料とをブレンドしマスターバッチを作製しておき、フィルム製膜時に所定の該マスターバッチとポリマー原料を混合する方法などによって配合することができる。
この時マスターバッチの紫外線吸収剤濃度は紫外線吸収剤を均一に分散させ、且つ経済的に配合するために5〜30質量%の濃度にするのが好ましい。マスターバッチを作製する条件としては混練押出機を用い、押し出し温度はポリエステル原料の融点以上、290℃以下の温度で1〜15分間で押し出すのが好ましい。290℃以上では紫外線吸収剤の減量が大きく、また、マスターバッチの粘度低下が大きくなる。押し出し時間1分以下では紫外線吸収剤の均一な混合が困難となる。この時、必要に応じて安定剤、色調調整剤、帯電防止剤を添加しても良い。
また、本発明ではフィルムを少なくとも3層以上の多層構造とし、フィルムの中間層に紫外線吸収剤を添加することが好ましい。中間層に紫外線吸収剤を含む3層構造のフィルムは、具体的には次のように作製することができる。外層用としてポリエステルのペレット単独、中間層用として紫外線吸収剤を含有したマスターバッチとポリエステルのペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2台以上の押出機、3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、両外層を構成するフィルム層、中間層を構成するフィルム層を積層し、口金から3層のシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。なお、発明では、光学欠点の原因となる、原料のポリエステル中に含まれている異物を除去するため、溶融押し出しの際に高精度濾過を行うことが好ましい。溶融樹脂の高精度濾過に用いる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超えると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。
2.光学機能層
光学機能層は、ハードコート層、反射防止層、低反射層及び防眩層からなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。反射防止層と防眩層との組み合わせ、低反射層と防眩層との組み合わせも好ましい態様の一つである。
(ハードコート層)
ハードコート層は、硬度及び透明性を有する層であれば良く、通常、紫外線又は電子線で代表的には硬化させる電離放射線硬化性樹脂、熱で硬化させる熱硬化性樹脂等の各種の硬化性樹脂の硬化樹脂層として形成されたものが利用される。これら硬化性樹脂に、適宜柔軟性、その他物性等を付加する為に、熱可塑性樹脂等も適宜添加してもよい。硬化性樹脂のなかでも、代表的であり且つ優れた硬質塗膜が得られる点で好ましいのが電離放射線硬化性樹脂である。
上記電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知の樹脂を適宜採用すれば良い。なお、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性二重結合を有するラジカル重合性化合物、エポキシ化合物等の様なカチオン重合性化合物等が代表的に用いられ、これら化合物はモノマー、オリゴマー、プレポリマー等としてこれらを単独で、或いは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。代表的な化合物は、ラジカル重合性化合物である各種(メタ)アクリレート系化合物である。(メタ)アクリレート系化合物の中で、比較的低分子量で用いる化合物としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー;或いは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー等も適宜用いられる。(メタ)アクリレートとは、アクリレート或いはメタクリレートを意味する。
電離放射線硬化性樹脂を電子線で硬化させる場合、光重合開始剤は不要であるが、紫外線で硬化させる場合は、公知の光重合開始剤を用いる。例えば、ラジカル重合系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることができる。カチオン重合系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合して用いることができる。
ハードコート層の厚みは、適宜の厚さとすればよく、例えば0.1〜100μmであるが、通常は1〜30μmとする。また、ハードコート層は公知の各種塗工法を適宜採用して形成することができる。
電離放射線硬化性樹脂には、適宜物性調整等の為に、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等も適宜添加することができる。熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、各々、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
ハードコート層に耐光性を付与し、日光等に含まれる紫外線による変色、強度劣化、亀裂発生等を防止する為には、電離放射線硬化性樹脂中に紫外線吸収剤を添加することも好ましい。紫外線吸収剤を添加する場合、該紫外線吸収剤によってハードコート層の硬化が阻害されることを確実に防ぐ為、電離放射線硬化性樹脂は電子線で硬化させることが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等の有機系紫外線吸収剤、或いは粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の無機系紫外線吸収剤等、公知の物の中から選択して用いれば良い。紫外線吸収剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物中に0.01〜5質量%程度である。耐光性をより向上させる為に、紫外線吸収剤と併用して、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を添加するのが好ましい。なお、電子線照射は加速電圧70kV〜1MV、照射線量5〜100kGy(0.5〜10Mrad)程度である。
ハードコート層用組成物中に帯電防止剤を含有させてもよい。帯電防止剤としては従来公知のものを用いることができ、例えば、第4級アンモニウム塩等のカチオン性帯電防止剤や、スズドープ酸化インジウム(ITO)等の微粒子や、導電性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤を用いる場合、その含有量は、全固形分の合計質量に対して1〜30質量%であることが好ましい。
ハードコート層上に更に低屈折率層を有することが好ましい。低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子を含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子を含有するフッ素系樹脂、4)シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機薄膜等のいずれかで構成される。
また、シリカは、中空シリカ微粒子であることが好ましく、このような中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。これらの低屈折率層は、その屈折率が1.47以下、特に1.42以下であることが好ましい。また、低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は10nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体を用いることができる。重合性化合物としては特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。
(防眩層)
防眩層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良く、一般的に、樹脂中に防眩剤を分散した層として形成される。防眩剤としては、無機系又は有機系の微粒子が用いられる。これら微粒子の形状は、真球状、楕円状等である。微粒子は、好ましくは透明性のものが良い。この様な微粒子は、例えば、無機系微粒子としてはシリカビーズ、有機系微粒子としては樹脂ビーズが挙げられる。樹脂ビーズとしては、例えば、スチレンビーズ、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリルースチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒドビーズなどが挙げられる。微粒子は、通常、樹脂分100質量部に対し、2〜30質量部、好ましくは10〜25質量部程度添加することができる。
防眩剤を分散保持する上記樹脂は、ハードコート層と同じ様に、なるべく硬度が高い方が好ましい。よって、上記樹脂として、例えば、上記ハードコート層で述べた電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂等を用いることができる。
防眩層の厚みは、適宜の厚さとすればよく、通常は1〜20μm程度とする。防眩層は公知の各種塗工法を適宜採用して形成することができる。なお、防眩層を形成する為の塗液中には、防眩剤の沈殿を防ぐ為に、シリカ等の公知の沈降防止剤を適宜添加することが好ましい。
(反射防止層)
反射防止層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良い。一般に、反射防止層は少なくとも低屈折率層からなり、更に低屈折率層と(該低屈折率層より屈折率が高い)高屈折率層とを交互に隣接積層し且つ表面側を低屈折率層とした多層の層からなる。低屈折率層及び高屈折率層の各厚みは、用途に応じた適宜厚みとすれば良く、隣接積層時は各々0.1μm前後、低屈折率層単独時は0.1〜1μm程度であることが好ましい。
低屈折率層としては、シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質を樹脂中に含有させた層、フッ素系樹脂等の低屈折率樹脂の層、低屈折率物質を低屈折率樹脂中に含有させた層、シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質からなる層を薄膜形成法(例えば、蒸着、スパッタ、CVD、等の物理的又は化学的気相成長法)で形成した薄膜、酸化ケイ素のゾル液から酸化ケイ素ゲル膜を形成するゾルゲル法で形成した膜、或いは、低屈折率物質として空隙含有微粒子を樹脂中に含有させた層等が挙げられる。
上記空隙含有微粒子とは、内部に気体を含む微粒子、気体を含む多孔質構造の微粒子等のことであり、微粒子固体部分の本来の屈折率に対して、該気体による空隙によって微粒子全体としては、見かけ上屈折率が低下した微粒子を意味する。この様な空隙含有微粒子としては、特開2001−233611号公報に開示のシリカ微粒子等が挙げられる。また、空隙含有微粒子としては、シリカの様な無機物以外に、特開2002−805031号公報等に開示の中空ポリマー微粒子も挙げられる。空隙含有微粒子の粒径は、例えば5〜300nm程度である。
高屈折率層としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の高屈折率物質を樹脂中に含有させた層、フッ素非含有樹脂等の高屈折率樹脂の層、高屈折率物質を高屈折率樹脂中に含有させた層、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の高屈折率物質からなる層を薄膜形成法(例えば、蒸着、スパッタ、CVD、等の物理的乃至は化学的気相成長法)で形成した薄膜等が挙げられる。
ポリエステルフィルムと光学機能層との間に易接着層を有することが好ましい。易接着層の好ましい厚みは、干渉縞の発生を防止する観点から、ポリエステルフィルムの屈折率、光学機能層の屈折率及び易接着層の屈折率との関係で、以下のように適宜選択することができる。
(1)易接着層の屈折率が、ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率及び光学機能層の屈折率よりも大きい場合、又は、易接着層の屈折率が、ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率及び上記光学機能層の屈折率よりも小さい場合、易接着層の厚みは、3〜30nmであることが好ましい。
(2)易接着層の屈折率が、ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率よりも大きく、光学機能層の屈折率よりも小さい場合、又は、易接着層の屈折率が、ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率よりも小さく、光学機能層の屈折率よりも大きい場合、易接着層の厚みは、65〜125nmであることが好ましい。
(3)易接着層の屈折率が、ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率と遅相軸方向の屈折率との間に存在する場合、易接着層の厚みは、干渉縞の防止の観点からは特に限定されない。なお、上記プライマー層と上記光透過性基材との界面での反射量を減じて干渉縞を弱めるとの観点から、易接着層の屈折率は、ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率と遅相軸方向の屈折率の平均に近いほど好ましい。
易接着層層は、上記(1)の場合においては厚みが3〜30nmであることが好ましい。3nm未満であると、上記ポリエステル基材とハードコート層との密着性が不充分となることがあり、30nmを超えると、干渉縞防止性が不充分となることがある。上記(1)の場合における易接着層の厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は20nmである。
また、易接着層は、上記(2)の場合においては、厚みが65〜125nmであることが好ましい。この範囲を外れると、干渉縞防止性が不充分となることがある。上記(2)の場合における易接着層の厚みのより好ましい下限は70nm、より好ましい上限は110nmである。
また、易接着層は、上記(3)の場合においては、厚みは特に限定されず任意に設定すればよいが、好ましい下限は3nm、好ましい上限は125nmである。
なお、易接着層の厚みは、例えば、易接着層の断面を、電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察することにより、任意の10点を測定して得られた平均値(nm)である。非常に薄い厚みの場合は、高倍率観察したものを写真として記録し、更に拡大することで測定する。拡大した場合、層界面ラインが、境界線として明確に分かる程度に非常に細い線であったものが、太い線になる。その場合は、太い線幅を2等分した中心部分を境界線として測定する。
易接着層を構成する材料としては、光学機能層やポリエステルフィルムとの密着性を有すれば特に限定されない。易接着層の屈折率は、通常、1.47〜1.63程度である。なお、光学機能層の屈折率は、上記(1)及び(2)での干渉による効果が最も発揮されるので、易接着層とポリエステルフィルム及び光学機能層との屈折率の差が近いほど好ましく、(3)においては、界面の増加を抑制するとの観点から、易接着層の屈折率に近いほど好ましい。
易接着層やハードコート層は、高屈折率微粒子や低屈折率微粒子を含有させて屈折率を調整した組成物を用いて形成することができる。
上記高屈折率微粒子としては、例えば、屈折率が1.50〜2.80の金属酸化物微粒子等が好適に用いられる。上記金属酸化物微粒子としては、具体的には、例えば、酸化チタン(TiO、屈折率:2.71)、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率:2.10)、酸化セリウム(CeO、屈折率:2.20)、酸化錫(SnO、屈折率:2.00)、アンチモン錫酸化物(ATO、屈折率:1.75〜1.95)、インジウム錫酸化物(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、燐錫化合物(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、酸化アンチモン(Sb、屈折率:2.04)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO、屈折率:1.90〜2.00)及びアンチモン酸亜鉛(ZnSb、屈折率:1.90〜2.00)等が挙げられる。帯電防止性の付与の観点からは、酸化錫(SnO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、燐錫化合物(PTO)、酸化アンチモン(Sb)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)及びアンチモン酸亜鉛(ZnSb)が好ましい。
また、上記低屈折率微粒子としては、例えば、屈折率が1.20〜1.45のものが好適に用いられる。このような低屈折率微粒子としては、従来公知の低屈折率層に用いられている微粒子を用いることができ、例えば、上述した中空シリカ微粒子や、LiF(屈折率1.39)、MgF(フッ化マグネシウム、屈折率1.38)、AlF(屈折率1.38)、NaAlF(氷晶石、屈折率1.33)及びNaMgF(屈折率1.36)等の金属フッ化物微粒子が挙げられる。
3.偏光板
偏光板は、PVAなどにヨウ素を染着させた偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムが積層された構成を有する。本発明の偏光板は、偏光板を構成する偏光子保護フィルムの少なくとも1つとして、上述した特定のポリエステルフィルムを有する本発明の偏光子保護フィルムを用いることが好ましい。ポリエステルフィルムの光学機能層が積層される面とは反対側の面に偏光子が積層されることが好ましい。
好ましい一態様としては、偏光子の片面に前述した特定のポリエステルフィルムを有する本発明の偏光子保護フィルムが積層されており、偏光子のもう一方の面にはTACフィルムやノルボルネンフィルムやアクリルフィルム等の複屈折のない偏光子保護フィルム又は光学補償フィルムが積層されている。また、別の好ましい一態様としては、偏光子の片面に前述した特定のポリエステルフィルムを含む本発明の偏光子保護フィルムが積層されており、偏光子のもう一方の面にはフィルムが積層されていない(偏光子のもう一方の面には単体として独立した状態のフィルムが偏光子に貼り付けられていない)。なお、上記別の好ましい一態様において、偏光子の特定のポリエステルフィルムが積層された面とは反対面に塗布層(ハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層、耐湿層(有機物からなるものであっても、無機物からなるものであってもよい)、もしくはこれらの機能を組み合わせた層)が設けられていてもよい。
本発明の偏光板は、前述したように、偏光子の吸収軸とポリエステルフィルムの遅相軸が略平行な関係に積層されることが好ましい。ここで、略平行とは、若干のズレを許容することを意図している。偏光子の吸収軸とポリエステルフィルムの遅相軸とのなす角度が、好ましくは10度以内、より好ましくは7度以内、さらにより好ましくは5度以内、特に好ましくは3度以内、最も好ましくは2度以内である。
4.画像表示装置
画像表示装置には、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、QLEDディスプレイ等、画像表示装置の内部に偏光板を含むものが含まれる。
5.液晶表示装置
一般に、液晶パネルは、バックライト光源に対向する側から画像を表示する側(視認側)に向かう順に、後面モジュール、液晶セルおよび前面モジュールから構成されている。後面モジュールおよび前面モジュールは、一般に、透明基板と、その液晶セル側表面に形成された透明導電膜と、その反対側に配置された偏光板とから構成されている。ここで、偏光板は、後面モジュールでは、バックライト光源に対向する側に配置され、前面モジュールでは、画像を表示する側(視認側)に配置されている。
液晶表示装置は少なくとも、バックライト光源と、2つの偏光板の間に配された液晶セルとを構成部材とする。また、これら以外の他の構成、例えばカラーフィルター、レンズフィルム、拡散シート、反射防止フィルムなどを適宜有しても構わない。
特定のポリエステルフィルムを有する本発明の偏光子保護フィルムの配置は特に限定されないが、入射光側(光源側)に配される偏光板と、液晶セルと、出射光側(視認側)に配される偏光板とを配された液晶表示装置の場合、入射光側に配される偏光板の入射光側の偏光子保護フィルム及び/又は出射光側に配される偏光板の射出光側の偏光子保護フィルムが当該特定のポリエステルフィルムを有する本発明の偏光子保護フィルムであることが好ましい。特に好ましい態様は、入射光側に配される偏光板の入射光側の偏光子保護フィルムを当該特定のポリエステルフィルムとする態様である。上記以外の位置にポリエステルフィルムを配する場合は、液晶セルの偏光特性を変化させてしまう場合がある。偏光特性が必要とされる箇所には本発明の偏光子保護フィルムを用いることは好ましくない為、このような特定の位置の偏光板の保護フィルムとして使用されることが好ましい。
通常、VAモード又はIPSモードの液晶表示装置の場合、液晶セルよりも視認側に設置された偏光子の吸収軸は、表示画面に対して左右方向(水平方向)である。
バックライトの構成としては、導光板や反射板などを構成部材とするエッジライト方式であっても、直下型方式であっても構わない。
液晶表示装置のバックライト光源としては、白色発光ダイオード(白色LED)を用いることが好ましい。本発明において、白色LEDとは、蛍光体方式、すなわち化合物半導体を使用した青色光、もしくは紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子のことである。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系の黄色蛍光体やテルビウム・アルミニウム・ガーネット系の黄色蛍光体等がある。なかでも、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードは、連続的で幅広い発光スペクトルを有しているとともに発光効率にも優れる。ここで、連続的で幅広い発光スペクトルとは、可視光領域において発光スペクトルが連続しており、少なくとも450〜650nmの波長領域において発光スペクトルの強度がゼロになることがなく連続した幅広い発光スペクトルのことである。可視光領域とは、例えば、400〜760nmの波長領域であり、360〜760nm、400〜830nm、又は360〜830nmであり得る。また、本発明の方法により消費電力の小さい白色LEDを広汎に利用可能になるので、省エネルギー化の効果も奏することが可能となる。
また、バックライト光源としては、400nm以上495nm未満(B領域)、495nm以上600nm未満(G領域)、及び600nm以上780nm以下(R領域)の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有する白色光源も好ましい。例えば、量子ドット技術を利用した白色光源、励起光によりR(赤)、G(緑)の領域にそれぞれ発光ピークを有する蛍光体と青色LEDを用いた蛍光体方式の白色LED光源、3波長方式の白色LED光源、赤色レーザーを組み合わせた白色LED光源、その他、例えば組成式がKSiF:Mn4+であるフッ化物蛍光体(「KSF」ともいう)等と青色LEDを用いた白色LED光源等が挙げられる。これらの白色光源は、広色域対応の液晶表示装置のバックライト光源として注目されているものであり、いずれも従来から使用されてきた青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードからなる光源と比較してピークの半値幅が狭い。これらの白色光源からなるバックライト光源を使用した場合、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードからなるバックライト光源の場合と比較して、リタデーションを有するポリエステルフィルムを偏光板の構成部材である偏光子保護フィルムを用いると虹斑は発生しやすい傾向にあるが、本発明の偏光子保護フィルムであれば有意に虹斑を抑制することができる。
6.有機ELディスプレイ及びQLEDディスプレイ
有機EL素子は、当該技術分野において知られる有機EL素子を適宜選択して使用することができる。有機EL素子の使用は、広視野角、高コントラスト、及び高速応答である点で好ましい。有機EL素子は、典型的には、透明基板上に透明電極である陽極、有機発光層、及び金属電極である陰極をこの順で積層した構造を有する発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)である。有機ELセルは、陽極と陰極との間に電圧が印加されたときに、陽極から注入されたホール(正孔)と陰極から注入された電子とが有機発光層中で再結合することによって発光する。
前記透明基板としては、任意の透明基板を採用し得る。例えば、透明基板は、ガラス基板、セラミックス基板、半導体基板、金属基板、及びプラスチック基板から成る群より選択され得る。具体的なプラスチック基板としては、従来から使用される透明樹脂フィルムを挙げることができる。透明基板は、必要に応じて、表面処理層が設けられていても良い。表面処理層としては、例えば、透湿防止層、ガスバリア層、ハードコート層、アンダーコート層等を挙げることができる。
陽極及び陰極を構成する材料は、金属、酸化金属、合金、電気伝導性化合物、これらの混合物等を挙げることができる。陽極を構成するより具体的な材料としては、金、銀、クロム、ニッケル、ヨウ化銅、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、酸化亜鉛等の導電性透明材料が挙げられる。陰極を構成するより具体的な材料としては、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、セシウム、銀、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、及びリチウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
陽極及び陰極の厚みは、陽極及び陰極を構成する材料に応じて、任意に設定することができる。陽極の厚みは、例えば、10nm〜200nm、好ましくは10nm〜100nmの範囲から適宜設定することができる。陰極の厚みは、例えば、10nm〜1000nmであり、好ましくは10nm〜200nmの範囲から適宜設定することができる。
有機発光層は、電圧印加時に、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。上記有機発光層は、有機発光材料を含み、単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。積層構造の場合、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。上記有機発光層の厚みは、任意であり、例えば、3nm〜3μmの範囲で適宜設定することができる。
有機発光層に使用される有機発光材料は、任意の発光材料から適宜選択することができる。具体的には、4,4’−(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等のオレフィン系発光材料;9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン、9,10−ビス(9,9−ジメチルフルオレニル)アントラセン、9,10−(4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル)アントラセン、9,10’−ビス(2−ビフェニリル)−9,9’−ビスアントラセン、9,10、9’、10’−テトラフェニル−2,2’−ビアントリル、1,4−ビス(9−フェニル−10−アントラセン)ベンゼン等のアントラセン系発光材料;2,7,2’,7’−テトラキス(2,2−ジフェニルビニル)スピロビフルオレン等のスピロ系発光材料;4,4’−ジカルバゾルビフェニル、1,3−ジカルバゾリルベンゼン等のカルバゾール系発光材料;1,3,5−トリピレニンベンゼン等のピレン系発光材料等から成る群から適宜選択することができる。
有機EL素子は、上記基材上の陽極、有機発光層、及び陰極で構成される有機EL素子を外気から遮断するために、有機EL素子を覆うように形成される封止部材を備えていても良い。封止部材を備えることにより、外気中の水分及び酸素によって有機発光層の発光特性の劣化を防止することができる。
有機EL素子は、任意の部材(例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、及び/又は電子輸送層)を任意の適切な位置に更に備えていても良い。
画像表示セルとして有機ELセルを用いる場合、その視認側に偏光板を有することが好ましい。有機発光層の厚みが10nm程度と薄いために、外光が金属電極で反射して再び視認側へ出射され、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える場合がある。このような外光の鏡面反射を遮蔽するために、有機ELセルの視認側には、偏光板を設け、更に有機ELセルと前記偏光板との間に1/4波長板を設けることが好ましい。偏光板としては、前述した偏光板を用いることができ、偏光子の視認側に本発明のポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムが積層されていることが好ましい。また、偏光子の有機EL素子側の保護フィルムの代わりに、1/4波長板を偏光子に積層する態様も好ましい。
これらの視認側偏光板と1/4波長板との組合せにより円偏光板を構成することにより、有機ELセルの金属電極で鏡面反射した外光が、円偏光板で遮蔽されるため、画像表示装置の視認性の低下を抑制することができる。また。1/4波長板の有機EL素子側又は偏光子側に、さらに1/2波長板等を積層してもよい。好ましくは、1/4波長板の有機EL素子側に、1/2波長板等を互いの光軸に傾きを設けて積層したものであり、特開平10−68816や特開2017−97379に開示されている。
また、QLEDディスプレイは、電気を加えたとき量子ドットが自ら発光することを利用している点で有機ELと類似しており、次世代ディスプレイとして注目されているものである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
(1)フィルムの遅相軸方向の評価
フィルムの遅相軸方向の評価は、分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)で測定した。
(2)ΔNxy及びリタデーション(Re)
リタデーションとは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|nx−ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)を用いて、フィルムの遅相軸方向を求め、遅相軸方向が測定用サンプル長辺と平行になるように、4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(遅相軸方向の屈折率:nx,面内で遅相軸方向と直交する方向の屈折率(即ち進相軸方向の屈折率):ny)、及び厚さ方向の屈折率(nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって求め、前記二軸の屈折率差の絶対値(|nx−ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
(3)NZ係数
(2)でアッベ屈折率計によって測定したnx、ny、nzの値を|nx−nz|/|nx−ny|に代入してNZ係数を求めた。
(4)屈折率
エリプソメーター(UVISEL 堀場製作所社製)を用いて測定した。
(5−1)虹斑観察(液晶表示装置)
MD方向に一軸延伸して製造されたヨウ素とポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子のロールと、各実施例で得られたPETフィルムロールを、互いにMD方向が平行になるようにロールツーロールで貼り合せた。また、前記偏光子のもう一方の面に、TACフィルムのロール(富士フイルム(株)社製、厚み40μm)を、同様にロールツーロールで貼り合せ、PETフィルム/偏光子/TACフィルムからなる偏光板を作成した。
市販のIPS型液晶表示装置(液晶テレビ。バックライト光源として連続的な発光スペクトルを有する白色LEDを有する。)から、光源側偏光板及び視認側偏光板を剥がして取り除き、代わりに、上記で作成した偏光板を光源側偏光板及び視認側偏光板として液晶セルに貼り合せた。なお、その際、ポリエステルフィルムが、光源側偏光板の偏光子を起点として光源側の位置、視認側偏光板の偏光子を起点として視認側の位置に配置されるよう、光源側偏光板、視認側偏光板を液晶セルに貼り合せた。また、市販の液晶表示装置に元々貼り合されていた偏光板の吸収軸の方向と合致するように、上記で作成した偏光板を貼り合せた。すなわち、視認側偏光板は吸収軸が水平方向となるように、光源側偏光板は透過軸が水平方向となるように、上記で作成した偏光板を貼り合せた。
液晶表示装置の偏光板の正面、及び斜め方向から目視観察し、虹斑の発生有無について、以下のように判定した。
○ : いずれの方向からも観察しても虹斑は観察されない。
△ : 斜め方向から観察した時に、角度によっては薄い虹斑が観察できる。
× : 斜め方向から観察した時に、明確に虹斑が観察できる。
(5−2)虹斑観察(有機ELディスプレイ)
MD方向に一軸延伸して製造されたヨウ素とポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子のロールと、各実施例で得られたPETフィルムロールを、互いにMD方向が平行になるようにロールツーロールで貼り合せた。また、前記偏光子のもう一方の面に、1/4波長板のロールを、同様にロールツーロールで貼り合せ、PETフィルム/偏光子/(1/4波長板)からなる偏光板を作成した。
市販の有機ELディスプレイ(LG社製有機ELテレビ C6P 55インチ)から、円偏光板(有機EL素子より視認側に配置された円偏光板)を除去し、代わりに、上述して得られた偏光板をPETフィルムが視認側に配置されるよう、有機ELディスプレイ内に配置した。有機ELでディスプレイの正面、及び斜め方向から目視観察し、虹斑の発生有無について、以下のように判定した。
○ : いずれの方向からも観察しても虹斑は観察されない。
△ : 斜め方向から観察した時に、角度によっては薄い虹斑が観察できる。
× : 斜め方向から観察した時に、明確に虹斑が観察できる。
(6)引裂き強度
島津製作所製オートグラフ(AG−X plus)を用いて、直角形引裂き法(JIS K-7128−3)に従い、各フィルムについてフィルム厚み当たりの引裂き強度(N/mm)を測定した。フィルムの配向主軸(遅相軸)方向に対して平行と垂直の2方向(すなわち遅相軸方向、進相軸方向の2方向)について引裂き強度を測定し、小さいほうの数値を引裂き強度として表1に記載した。なお、配向主軸方向(遅相軸方向)の測定は分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)で測定した。
(7)製膜性
製膜開始1時間後をスタートとし、そこから1時間の破断回数を比較し、製膜性について以下のように判定した。
○ : 破断回数が3回未満
△ : 破断回数が3回以上6回未満
× : 破断回数が6回以上
(8)キズの評価方法
製膜開始1時間後のフィルムを欠点検査装置で検査し、レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、OLS4100)で測定したキズ部分の最大高さSzが0.6μm以上のキズの個数について以下のように判定した。
○ : キズの個数が3個/m未満
△ : キズの個数が3個/m以上6個/m未満
× : キズの個数が6個/m以上
(製造例1−ポリエステルA)
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部およびエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は0.62dl/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。(以後、PET(A)と略す。)
(製造例2−ポリエステルB)
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)10質量部、粒子を含有しないPET(A)(固有粘度が0.62dl/g)90質量部を混合し、混練押出機を用い、紫外線吸収剤含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
(実施例1)
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレット90質量部と紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレット10質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層II層用)に供給し、また、PET(A)を常法により乾燥して押出機1(外層I層および外層III用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、I層、II層、III層の厚さの比は10:80:10となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
次いで、この未延伸PETフィルムの両面に、ポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部とからなる易接着層用樹脂組成物を均一に塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。
この塗布層を形成した未延伸フィルムを同時二軸延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、走行方向に6.5倍、幅方向に2.2倍延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、膜厚100nmの易接着層(屈折率1.56)を両面に有する、フィルム厚み約40μmの二軸配向PETフィルムを得た。
次に、光学機能層として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を、MIBK溶媒に30質量%溶解させ、光重合開始剤(Irg184、BASF社製)を固形分に対して5質量%添加した光学機能層用組成物を、バーコーターにより、乾燥後の膜厚が5μmとなるように、前記一方の易接着層の上に塗工し塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜を70℃で1分間加熱して、溶剤を除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、固定化し、屈折率1.53の光学機能層を有する偏光子保護フィルム1を得た。
これをロール状に巻き取りフィルムロール(MD方向のフィルム長さが500mのフィルムロール)とした。得られたフィルムの遅相軸は走行方向から3°以内であった。
(実施例2)
未延伸フィルムの厚みを変更し、走行方向に6.0倍、幅方向に2.2倍延伸した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み約40μmの偏光子保護フィルム2を得た。
偏光子保護フィルム2は、膜厚100nmの易接着層(屈折率1.56)をポリエステルフィルムの両面に有し、一方の易接着層の上に屈折率1.53の光学機能層が積層された構成を有する。
これをロール状に巻き取り、フィルムロール(MD方向のフィルム長さが500mのフィルムロール)とした。得られたフィルムの遅相軸は走行方向から3°以内であった。
(実施例3)
実施例1と同様に未延伸フィルムを作り、逐次二軸延伸機にて、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に6.5倍延伸した後、フィルムの両面にポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部とからなる易接着層用樹脂組成物を均一に塗布・乾燥し、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に2.2倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、フィルム厚み約40μmの二軸配向PETフィルムを得た。得られた二軸配向PETフィルムは、膜厚100nmの易接着層(屈折率1.56)をポリエステルフィルムの両面に有する。
次に、光学機能層として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を、MIBK溶媒に30質量%溶解させ、光重合開始剤(Irg184、BASF社製)を固形分に対して5質量%添加した光学機能層用組成物を、バーコーターにより、乾燥後の膜厚が5μmとなるように、前記一方の易接着層の上に塗工し塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜を70℃で1分間加熱して、溶剤を除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、固定化し、屈折率1.53の光学機能層を有する偏光子保護フィルム3を得た。
これをロール状に巻き取り、フィルムロール(MD方向のフィルム長さが500mのフィルムロール)とした。得られたフィルムの遅相軸は走行方向から5°以内であった。
(比較例1)
未延伸フィルムの厚みを変更し、走行方向に1.0倍、幅方向に4.0倍延伸した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み約40μmの偏光子保護フィルム4を得た。
偏光子保護フィルム4は、膜厚100nmの易接着層(屈折率1.56)をポリエステルフィルムの両面に有し、一方の易接着層の上に屈折率1.53の光学機能層が積層された構成を有する。
これをロール状に巻き取り、フィルムロールとした。得られたフィルムの遅相軸は幅方向から4°以内であった。得られたフィルムはΔNxy、NZ係数ともに満足するものであったが、遅相軸が幅方向であるため、斜め方向から観察したときに角度によっては薄い虹状の色斑が観察された。また、引裂き強度が低く容易に裂けてしまった。
なお、比較例1で得られたフィルムを偏光子と貼り合せてロールツーロールで偏光板を製造したときは、他の例よりも、幅方向に比較例1のフィルムが割れることが多かった。
(比較例2)
未延伸フィルムの厚みを変更し、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に4.0倍延伸した後、フィルムの両面にポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部とからなる易接着層用樹脂組成物を均一に塗布・乾燥し、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に1.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、フィルム厚み約40μmの一軸配向PETフィルムを得た。
得られた一軸配向PETフィルムは、膜厚100nmの易接着層(屈折率1.56)をポリエステルフィルムの両面に有する。
次に、光学機能層として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を、MIBK溶媒に30質量%溶解させ、光重合開始剤(Irg184、BASF社製)を固形分に対して5質量%添加した光学機能層用組成物を、バーコーターにより、乾燥後の膜厚が5μmとなるように、前記一方の易接着層の上に塗工し塗膜を形成した。次いで、形成し
た塗膜を70℃で1分間加熱して、溶剤を除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、固定化し、屈折率1.53の光学機能層を有する偏光子保護フィルム5を得た。
これをロール状に巻き取り、フィルムロールとした。得られたフィルムの遅相軸は走行方向から8°以内であった。得られたフィルムは虹状の色斑は観察されなかったが、引裂き強度が低く容易に裂けてしまった。
(比較例3)
未延伸フィルムの厚みを変更し、走行方向に4.5倍、幅方向に2.4倍延伸した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み約40μmの偏光子保護フィルム6を得た。
偏光子保護フィルム6は、膜厚100nmの易接着層(屈折率1.56)をポリエステルフィルムの両面に有し、一方の易接着層の上に屈折率1.53の光学機能層が積層された構成を有する。
これをロール状に巻き取り、フィルムロール(MD方向のフィルム長さが500mのフィルムロール)とした。得られたフィルムの遅相軸は走行方向から8°以内であった。得られたフィルムはΔNxyが低くNZ係数が高く、斜め方向から観察したときに虹状の色斑が観察された。
(比較例4)
未延伸フィルムの厚みを変更し、逐次二軸延伸機にて、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に2.2倍延伸した後、フィルムの両面にポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部とからなる易接着層用樹脂組成物を均一に塗布・乾燥し、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に5.5倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、フィルム厚み約40μmの二軸配向PETフィルムを得た。
得られた二軸配向PETフィルムは、膜厚100nmの易接着層(屈折率1.56)をポリエステルフィルムの両面に有する。
次に、光学機能層として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を、MIBK溶媒に30質量%溶解させ、光重合開始剤(Irg184、BASF社製)を固形分に対して5質量%添加した光学機能層用組成物を、バーコーターにより、乾燥後の膜厚が5μmとなるように、前記一方の易接着層の上に塗工し塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜を70℃で1分間加熱して、溶剤を除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、固定化し、屈折率1.53の光学機能層を有する偏光子保護フィルム7を得た。
これをロール状に巻き取り、フィルムロール(MD方向のフィルム長さが500mのフィルムロール)とした。得られたフィルムの遅相軸は幅方向から6°以内であった。得られたフィルムの遅相軸方向は幅方向であるため、斜め方向から観察したときに虹状の色斑が観察された。
実施例1〜3及び比較例1〜4のポリエステルフィルムについて虹斑観察及び引裂き強度を測定した結果を以下の表1に示す。
表1に示されるように、実施例1〜3のフィルムを用いて虹斑観察を行ったところ、正面、斜め方向のいずれから観察した場合も虹斑は観察されなかった。一方、比較例1のフィルムについては、斜めから観察した場合に部分的に薄い虹斑が観察された。また、比較例2のフィルムは、虹斑は観察されなかったものの引裂き強度が低く製膜が不安定であった。また、比較例3〜4のフィルムは、斜めから観察した際に明らかな虹斑が観られた。
また、前述の(5−1)虹斑観察の項目において、偏光子にTACフィルムは積層せずにPETフィルムだけ積層させたPETフィルム/偏光子からなる偏光板を用いたこと以外は同様にして液晶表示装置を製造し、虹斑観察を同様に行ったところ、表1で示す虹斑観察結果と同じ結果が得られた。
また、前記(5−1)虹斑観察(液晶表示装置)において、市販のISP型液晶表示装置を、市販のVA型液晶表示装置(液晶テレビ。バックライト光源として連続的な発光スペクトルを有する白色LEDを有する。また、視認側偏光板の吸収軸は水平方向、光源側偏光板の透過軸は水平方向であった。)に代えた以外は同様にして液晶表示装置を作成して虹斑観察を行ったところ、表1の結果で示す虹斑観察(液晶表示装置)の結果と同じであった。
本発明の偏光子保護フィルム、偏光板および画像表示装置を用いることで、虹状の色斑により視認性を低下させること無く、LCDの薄型化、低コスト化に寄与することが可能となり、産業上の利用可能性は極めて高い。

Claims (16)

  1. ポリエステルフィルム及びその一方の面上に光学機能層を有する偏光子保護フィルムであって、
    前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向はMD方向と略平行であり、
    前記ポリエステルフィルムの面内複屈折ΔNxyが0.06以上0.20以下であり、
    前記ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率が1.580以上1.630以下である、偏光子保護フィルム。
  2. 前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向及び進相軸方向の直角形引裂き法による引裂き強度のうち小さいほうの値が250N/mm以上である請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
  3. 前記ポリエステルフィルムのNZ係数が1.5以上2.5以下である請求項1又は2に記載の偏光子保護フィルム。
  4. 前記ポリエステルフィルムのリタデーションが1500nm以上30000nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  5. 前記ポリエステルフィルムの厚みが25〜60μmである請求項1〜4のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  6. ポリエステルフィルムの遅相軸方向とMD方向のなす角度が3度以内である請求項1〜5のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  7. ポリエステルフィルムと光学機能層との間に易接着層を有し、
    前記易接着層の屈折率が、前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率及び前記光学機能層の屈折率よりも大きい場合、又は、
    前記易接着層の屈折率が、前記ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率及び前記光学機能層の屈折率よりも小さい場合、
    前記易接着層の厚みが3〜30nmである、請求項1〜6のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  8. ポリエステルフィルムと光学機能層との間に易接着層を有し、
    前記易接着層の屈折率が、前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率よりも大きく、前記光学機能層の屈折率よりも小さい場合、又は、
    前記易接着層の屈折率が、前記ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率よりも小さく、前記光学機能層の屈折率よりも大きい場合、
    前記易接着層の厚みが65〜125nmである、請求項1〜6のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  9. ポリエステルフィルムと光学機能層との間に易接着層を有し、
    前記易接着層の屈折率が、前記ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率と前記ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率との間に存在する、請求項1〜6のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  10. 偏光子の少なくとも一方の面に 請求項1〜9のいずれかに記載の偏光子保護フィルムが積層された偏光板。
  11. 偏光子の片面に、請求項1〜9のいずれかに記載の偏光子保護フィルムが積層され、偏光子のもう一方の面にはフィルムが積層されていない偏光板。
  12. 偏光子の片面に、請求項1〜9のいずれかに記載の偏光子保護フィルムが積層され、偏光子のもう一方の面に1/4波長板が積層された偏光板。
  13. 請求項10〜12のいずれかに記載の偏光板を含む画像表示装置。
  14. 請求項10又は11に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
  15. 請求項10〜12のいずれかに記載の偏光板を含む有機ELディスプレイ。
  16. 請求項10〜12のいずれかに記載の偏光板を含むQLEDディスプレイ。
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