JP2019077597A - 二酸化チタン凝集粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、外部から応力が付加された場合に、二酸化チタン粉末の粒子径が微細化されつつも極端な微細化が防止されることで優れた分散性を有し、また、適度なBET比表面積を有する二酸化チタン凝集粉末及びその製造方法を提供する。【解決手段】BET比表面積が3m2/g〜40m2/gの範囲の二酸化チタン凝集粉末であり、前記二酸化チタン凝集粉末を構成する二酸化チタン凝集体の一部が、焼結しており、25℃、pH7の水に入れて超音波強度40Wで180秒間超音波分散処理させた場合の、累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)/前記超音波分散処理させる前の累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)が、0.05〜0.13の範囲である二酸化チタン凝集粉末。【選択図】なし
Description
本発明は、触媒担体、紫外線照射により有機物分解やセルフクリーニング効果を示す光触媒材料、化粧品や樹脂組成物に配合する紫外線吸収材、シリコーン樹脂等に配合する熱安定剤として使用でき、また、有機物で表面修飾されることで、トナーの帯電性を制御するための外添剤等、多方面に用いられている二酸化チタン凝集粉末、例えば、気相法で製造された酸化チタン粉末を用いて、特に、その凝集性を改善して多孔質性を保持した、部分的に焼結された凝集体構造を有する二酸化チタン凝集粉末に関する。
従来、四塩化チタンの燃焼加水分解により製造される、いわゆる気相法で製造される酸化チタン粉末は、その一次粒子径が小さいこと、かつ他の方法で製造された酸化チタン粉末よりも凝集性が少ない等の特徴により、独自な用途に使用されている。具体例としては、化粧品に紫外線吸収特性を付与する紫外線吸収剤、トナーの電荷調整剤、シリコーン樹脂の耐熱性向上剤等、樹脂の補強材、増粘性改質剤等が挙げられる。さらに、近年では、酸化チタンの紫外線吸収特性を用いて有機物を分解する、いわゆる光触媒材料としても使用されている。
光触媒や化粧品への添加剤に好適な気相法で製造された酸化チタン粉末として、例えば、レーザー式粒度分析法によって測定される平均粒径が5〜200μmの範囲内であり、TiO2としての純度が99.5質量%以上であり、Fe、Ni、Cr、Al及びZrがそれぞれ20質量ppm以下、Siが40質量ppm以下、Clが0.05質量%以下、及びSが50質量ppm以下であることを特徴とする酸化チタンが提案されている(特許文献1)。
気相法で製造された酸化チタン粉末は、その表面に存在する水酸基同士が水素結合を形成することにより、それらが樹脂や液体に分散した際に、粒子同士で緩い凝集体、いわゆる3次元的ネットワーク構造を有することから、優れたチキソトロピー性を示す。
チキソトロピー性は、気相法で製造された粉体特有の特性であり、湿式法で製造された粉体と一線を画す大きな特性の一つとなっている。しかし、その一方で、かさ密度が低くハンドリング性が悪い、樹脂中への食い込み性が悪い、粉体との混合において粉塵が生じてしまう、樹脂中に混合する際、増粘性が高くより多量の粉末を混合することが困難である等の問題を有している。また、種々の材料への添加、混合において、その凝集力が弱いことから、負荷する分散力が弱くても、凝集体が崩れてしまい、増粘性を示す一方で、適正な凝集径を維持することが難しく、凝集体の構造維持性が十分ではないといった問題もある。
気相法で製造される酸化チタン粉末は、アナターゼ型結晶とルチル型結晶の混合晶であり、主成分はアナターゼ型結晶である。アナターゼ型結晶は、紫外線照射により有機物を分解する光触媒効果が高い。気相法で製造される酸化チタン粉末の代表例である、商品名「AEROXID(登録商標) TiO2 P25」(日本アエロジル社製)は、光触媒効果を評価する際の比較標準物質としても利用されている。この光触媒活性は、照射する光の波長及び強度、分解対象物質の種類等によって、異なる場合もあり、分解対象物質や使用する光の波長及び強度によっては、ルチル型結晶構造を有する酸化チタン粉末の割合が高い方が、光触媒活性に優れている高い場合もある。従って、気相法で製造された酸化チタン粉末について、アナターゼ型結晶の割合とルチル型結晶の割合を調整することが求められる場合もある。
酸化チタン粉末の結晶構造を制御する方法としては、アナターゼ型結晶相を高温、長時間、熱処理することによりルチル型結晶に転移する技術が、一般的に知られている。しかし、十分な割合のルチル型結晶を得るための熱処理条件では、同時に酸化チタン粉末の焼結も進んでしまい、気相法で製造された酸化チタン粉末の有する高分散性が損なわれるという問題があった。
上記事情に鑑み、本発明は、外部から応力が付加された場合に、二酸化チタン粉末の粒子径が微細化されつつも極端な微細化が防止されることで優れた分散性を有し、また、適度なBET比表面積を有する二酸化チタン凝集粉末及びその製造方法を提供することを目的とする。
(1)BET比表面積が3m2/g〜40m2/gの範囲の二酸化チタン凝集粉末であり、
前記二酸化チタン凝集粉末を構成する二酸化チタン凝集体の一部が、焼結しており、25℃、pH7の水に入れて超音波強度40Wで180秒間超音波分散処理させた場合の、累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)/前記超音波分散処理させる前の累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)が、0.05〜0.13の範囲である二酸化チタン凝集粉末。
(2)前記超音波分散処理させた場合の累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)が、3.0〜30μmの範囲である(1)に記載の二酸化チタン凝集粉末。
(3)ルチル型二酸化チタン凝集粉末の質量:アナターゼ型二酸化チタン凝集粉末の質量が、60:40〜100:0の範囲である(1)または(2)に記載の二酸化チタン凝集粉末。
(4)チタン以外の金属とチタン以外の金属の化合物と二酸化チタンとの合計に対する二酸化チタンの含有量が99.0質量%超である(1)乃至(3)のいずれかに記載の二酸化チタン凝集粉末。
(5)二酸化ケイ素及び/または酸化アルミニウムが、合計1.0〜8.0質量%含まれる(1)乃至(3)のいずれかに記載の二酸化チタン凝集粉末。
(6)気相法で製造された酸化チタン粉末を用意する工程と、
用意された前記酸化チタン粉末を、目開きが0.3〜2.0mmの篩を通過させる篩別工程と、
前記篩を通過させた前記酸化チタン粉末を、1100〜1600℃、10秒以下にて熱処理する熱処理工程と、
を含む二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
(7)篩別工程前に、さらに、流動性改善剤を前記酸化チタン粉末に添加する(6)に記載の二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
(8)前記流動性改善剤が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、有機物で表面処理された二酸化ケイ素及び/または有機物で表面処理された酸化アルミニウムであり、前記酸化チタン粉末中に、合計1.0〜8.0質量%添加する(7)に記載の二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
(9)前記流動性改善剤が、アルキルカルボン酸、アルキルスルホン酸またはそれらの金属塩であり、前記酸化チタン粉末中に、合計0.2〜8.0質量%添加する(7)に記載の二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
(10)(1)乃至(5)のいずれかに記載の二酸化チタン凝集粉末の表面が、有機物で処理された、表面処理二酸化チタン凝集粉末。
前記二酸化チタン凝集粉末を構成する二酸化チタン凝集体の一部が、焼結しており、25℃、pH7の水に入れて超音波強度40Wで180秒間超音波分散処理させた場合の、累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)/前記超音波分散処理させる前の累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)が、0.05〜0.13の範囲である二酸化チタン凝集粉末。
(2)前記超音波分散処理させた場合の累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)が、3.0〜30μmの範囲である(1)に記載の二酸化チタン凝集粉末。
(3)ルチル型二酸化チタン凝集粉末の質量:アナターゼ型二酸化チタン凝集粉末の質量が、60:40〜100:0の範囲である(1)または(2)に記載の二酸化チタン凝集粉末。
(4)チタン以外の金属とチタン以外の金属の化合物と二酸化チタンとの合計に対する二酸化チタンの含有量が99.0質量%超である(1)乃至(3)のいずれかに記載の二酸化チタン凝集粉末。
(5)二酸化ケイ素及び/または酸化アルミニウムが、合計1.0〜8.0質量%含まれる(1)乃至(3)のいずれかに記載の二酸化チタン凝集粉末。
(6)気相法で製造された酸化チタン粉末を用意する工程と、
用意された前記酸化チタン粉末を、目開きが0.3〜2.0mmの篩を通過させる篩別工程と、
前記篩を通過させた前記酸化チタン粉末を、1100〜1600℃、10秒以下にて熱処理する熱処理工程と、
を含む二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
(7)篩別工程前に、さらに、流動性改善剤を前記酸化チタン粉末に添加する(6)に記載の二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
(8)前記流動性改善剤が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、有機物で表面処理された二酸化ケイ素及び/または有機物で表面処理された酸化アルミニウムであり、前記酸化チタン粉末中に、合計1.0〜8.0質量%添加する(7)に記載の二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
(9)前記流動性改善剤が、アルキルカルボン酸、アルキルスルホン酸またはそれらの金属塩であり、前記酸化チタン粉末中に、合計0.2〜8.0質量%添加する(7)に記載の二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
(10)(1)乃至(5)のいずれかに記載の二酸化チタン凝集粉末の表面が、有機物で処理された、表面処理二酸化チタン凝集粉末。
本発明の二酸化チタン凝集粉末によれば、BET比表面積が3m2/g〜40m2/gであり、二酸化チタン凝集粉末を構成する二酸化チタン凝集体の一部が焼結しており、25℃、pH7の水に入れて超音波強度40Wで180秒間超音波分散処理させた場合の、累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)/前記超音波分散処理させる前の累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)が、0.05〜0.13であることにより、外部から応力が付加された場合に、二酸化チタン粉末の粒子径が微細化されつつも極端な微細化が防止されることで優れた分散性を有し、また、高いBET比表面積を有することができる。
本発明の二酸化チタン凝集粉末の製造方法によれば、気相法で製造された酸化チタン粉末を、目開きが0.3〜2.0mmの篩を通過させた後に、1100〜1600℃の高温下、10秒以下の極短時間の熱処理を行うことにより、二酸化チタン凝集粉末の凝集粒子界面を部分的に焼結させるので、凝集体構造が維持されており、これにより凝集体内部に保有している気泡が保持されて、BET比表面積が3m2/g〜40m2/gと多孔質な二酸化チタン凝集粉末を得ることができる。また、二酸化チタン凝集粉末の凝集粒子界面を部分的に焼結させるので、二酸化チタン凝集粉末を溶媒中に分散して超音波等にて応力を付加した場合に、二酸化チタン粉末の粒子径が微細化されつつも極端な微細化が防止されて、優れた分散性を有する二酸化チタン凝集粉末を得ることができる。
本発明の二酸化チタン凝集粉末の製造方法によれば、ルチル型結晶の割合を増大させることができる。
まず、本発明の二酸化チタン凝集粉末について、以下、詳細に説明する。本発明の二酸化チタン凝集粉末は、気相法で製造された酸化チタン粉末を原料にして得ることができる。
本発明の二酸化チタン凝集粉末は、BET比表面積が3m2/g〜40m2/gであり、二酸化チタン凝集粉末を構成する二酸化チタン凝集体の一部が焼結しており、25℃、pH7の水に入れて超音波強度40Wで180秒間超音波分散処理させた場合の、累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)(以下、「二酸化チタン凝集粉末のD50」ということがある。)/前記超音波分散処理させる前の二酸化チタン凝集粉末のD50が、0.05〜0.13である。
二酸化チタン凝集粉末は、BET比表面積が3m2/g〜40m2/gであることにより、二酸化チタン凝集体の一部が焼結されつつ、粒子径の極端な微細化が防止された二酸化チタン凝集粉末とすることができる。二酸化チタン凝集粉末のBET比表面積は3m2/g〜40m2/gであれば、特に限定されないが、その下限値は、粒子径の極端な微細化をより確実に防止して、溶媒や樹脂等に対する優れた分散性をより確実に得る点から、5m2/g以上が好ましく、7m2/g以上が特に好ましい。一方で、その上限値は、二酸化チタン凝集体の一部がより確実に焼結された態様とする点から40以下m2/gが好ましく、35以下m2/gが特に好ましい。
上記超音波分散処理させた場合の二酸化チタン凝集粉末のD50/上記超音波分散処理させる前の二酸化チタン凝集粉末のD50の値が、0.05〜0.13であることにより、超音波分散処理後における粒子径の極端な微細化が防止された二酸化チタン凝集粉末とすることができ、溶媒や樹脂等に対する優れた分散性と凝集体の構造維持性を両立させることができる。
25℃、pH7の水に入れて超音波強度40Wで180秒間超音波分散処理させた場合の、二酸化チタン凝集粉末のD50は、特に限定されないが、溶媒や樹脂等に対する優れた分散性をより確実に得る点から、3.0〜30μmが好ましく、4.0〜25μmがより好ましく、5.0〜20μmが特に好ましい。
本発明の二酸化チタン凝集粉末は、25℃、pH7の水に入れて超音波強度40Wで180秒間超音波分散処理させた後の二酸化チタン凝集粉末のD50と、上記超音波分散処理前の二酸化チタン凝集粉末のD50の比を測定することにより、二酸化チタン凝集粉末の分散性と凝集体の構造維持性を判断することができる。従来の気相法で製造された酸化チタン粉末は、水に分散した時に凝集して数ミクロン程度のD50値を示すが、これに、40Wで180秒間の超音波分散処理行うことにより、その凝集構造がほぐれ、一般に、超音波分散処理後のD50値は超音波分散処理前の半分程度になる。
これに対し、本発明の二酸化チタン凝集粉末は、上記超音波分散処理前のD50値は70〜200μm程度であるが、上記超音波分散処理後は、その凝集体のほぐれ割合が従来の気相法で製造された酸化チタン粉末とは異なり、上記超音波分散処理後のD50が、例えば、3.0〜30μm程度の範囲に変わり、樹脂、溶媒等への分散性が改善される。すなわち、弱い外部からの応力(例えば、撹拌力)でも、容易に、本発明の二酸化チタン凝集粉末の凝集構造がほどけるが、一方で、本発明の二酸化チタン凝集粉末は一部焼結しているので、極端な微細化はされず、上記超音波処理後のD50値は適当な範囲となる。
なお、分散性は別法として、水中に分散させた分散液を静置し、所定時間経過後にその分散液の濁度を測定することでも評価できる。分散性に優れた粉末は所定時間経過後も粉末が水溶液中に分散しており、高い濁度を示す。一方、分散性に劣る粉末は一般に沈降速度が速い為、所定時間経過後分散液の透明度が増す傾向にある。
本発明の、二酸化チタン凝集体の一部が焼結している二酸化チタン凝集粉末では、ルチル型二酸化チタン凝集粉末の質量:アナターゼ型二酸化チタン凝集粉末の質量は、60:40〜100:0が好ましく、80:20〜100:0が特に好ましい。本発明の二酸化チタン凝集粉末では、二酸化チタン凝集体の一部を焼結させるための熱処理を行うことにより、ルチル型結晶の二酸化チタン凝集粉末の割合を増加させることができる。より具体的には、上記熱処理前では、ルチル型二酸化チタン凝集粉末の質量:アナターゼ型二酸化チタン凝集粉末の質量は、15:85程度の割合であったものを、上記熱処理により、上記範囲とすることができる。
本発明の二酸化チタン凝集粉末の二酸化チタンの含有量は、特に限定されないが、例えば、二酸化チタンからなる二酸化チタン凝集粉末(二酸化チタンの含有量100質量%)であり、チタン以外の金属を含む不可避不純物が含まれ得ることを考慮すると、チタン以外の金属とチタン以外の金属の化合物と二酸化チタンとの合計に対する二酸化チタンの含有量は、99.0質量%超が好ましく、99.5〜100質量%が特に好ましい。
本発明の二酸化チタン凝集粉末では、上記した二酸化チタンからなる二酸化チタン凝集粉末に代えて、必要に応じて、二酸化ケイ素及び/または酸化アルミニウムを1.0〜8.0質量%、好ましくは3.0〜6.0質量%含む二酸化チタン凝集粉末とすることもできる。上記した二酸化ケイ素、酸化アルミニウムは、例えば、上記熱処理前に、二酸化チタン凝集粉末の原料である酸化チタン粉末に添加、混合する。二酸化ケイ素、酸化アルミニウムを添加すると、ルチル型結晶の割合をより高めることができるので、所定のルチル型結晶化率の二酸化チタン凝集粉末を得る場合、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムが無添加である場合と比較して、上記熱処理の温度を大幅に低下させることが可能となり、結果、部分焼結の状態の制御がより容易になる。二酸化ケイ素、酸化アルミニウムの粉末が酸化チタン粉末の流動性改善剤として作用し、酸化チタン粉末がより分散した状態で篩を通過し、短時間での熱処理の均一化に、より効果的に作用しているためと予想される。二酸化ケイ素、酸化アルミニウムの添加量が1.0質量%以下であると、熱処理時におけるルチル型結晶化率向上に関して大きな効果が見られにくい。一方、8.0質量%以上では大きな効果の差異は認められない。
使用する二酸化ケイ素、酸化アルミニウムは、本発明の二酸化チタン凝集粉末の原料である酸化チタン粉末と同様に、気相法で製造された粉末が好ましい。気相法で製造された製品は粒子間の凝集力が湿式法で製造された製品と比較して弱い傾向にあるので、湿式法で製造された製品と比較してより分散性に優れ、酸化チタン粉末の流動性改善剤としてより効果的に作用することが可能となるためと考えられる。
また、二酸化ケイ素、酸化アルミナは、表面処理されていないものでもよく、有機物等で表面処理されたものでもよい。有機物で表面処理された二酸化ケイ素、酸化アルミナの具体的な例としては、日本アエロジル社製、AEROSIL(登録商標) R972、R974、RX200、RY200、AEROXIDE(登録商標) C805等が挙げられる。
二酸化ケイ素、酸化アルミナと酸化チタンとの混合方法は、特に限定されず、一般的な混合方法で混合することができる。具体的な例としては、ターブラーミキサー、ヘンシェルミキサー等を用いることができ、その他、ジューサーミキサーで撹拌、混合してもよい。
また、本発明の二酸化チタン凝集粉末では、必要に応じて、有機系添加剤を0.2〜8.0質量%、好ましくは1.0〜5.0質量%添加して熱処理を行うことで製造することもできる。上記した有機系添加剤は、例えば、上記熱処理前に、二酸化チタン凝集粉末の原料である酸化チタン粉末に添加、混合する。有機系添加剤を添加すると、ルチル型結晶の割合をより高めることができるので、所定のルチル型結晶化率の二酸化チタン凝集粉末を得る場合、有機系添加剤が無添加である場合と比較して、上記熱処理の温度を大幅に低下させることが可能となり、結果、部分焼結の状態の制御がより容易になる。有機系添加剤の粉末が酸化チタン粉末の流動性改善剤として作用し、酸化チタン粉末がより分散した状態で篩を通過し、短時間での熱処理の均一化に、より効果的に作用しているためと予想される。有機系添加剤の添加量が0.2質量%以下であると、熱処理時におけるルチル型結晶化率向上に関して大きな効果が見られにくい。一方、8.0質量%以上では大きな効果の差異は認められない。
有機系添加剤としては、例えば、ポリマー可塑剤、流動性改善剤等として用いられている有機酸またはその金属塩が挙げられる。具体的な例としては、ステアリン酸、オクチル酸等のアルキルカルボン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オクチル酸カルシウム等のアルキルカルボン酸の金属塩、オクチルスルホン酸等のアルキルスルホン酸、オクチルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸の金属塩等が挙げられる。
上記有機系添加物と酸化チタンとの混合方法は、特に限定されず、一般的な混合方法で混合することができる。具体的な例としては、ターブラーミキサー、ヘンシェルミキサー等を用いることができ、その他、ジューサーミキサーで撹拌、混合してもよい。
本発明の二酸化チタン凝集粉末は、表面処理されていないものでもよく、有機物等で表面処理されたものでもよい。表面処理剤としては、例えば、ヘキサメチレンジシラザン、ジメチルジクロロシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシトリメトキシシラン等の有機ケイ素化合物が挙げられる。
本発明の二酸化チタン凝集粉末は、一次粒子または二次粒子が凝集した粒子間に間隙を有し、該間隙が相互に連結した多孔性を示す多孔性の凝集粉末である。従って、例えば、湿式法で製造された酸化チタン粉末と比較して、同じBET比表面積を有していても、本発明の二酸化チタン凝集粉末の方が、より乾式法で製造された粉末に近い挙動を示す。従って、例えば、沈降速度の測定を行うと沈降速度が同程度の他の方法で製造された二酸化チタン粉末よりも遅い、すなわち、高い分散性を示しながら、一方で、気相法で製造された粉体特有の粉塵が舞いやすいという問題点を改善できる。また、本発明の二酸化チタン凝集粉末は、外部から応力が付加された場合に、二酸化チタン凝集粉末の粒子径が微細化されつつも極端な微細化が防止されることで優れた分散性と凝集体の構造維持特性を両立し、適度なBET比表面積を有することができる。
次に、本発明の二酸化チタン凝集粉末の製造方法を説明する。
本発明の二酸化チタン凝集粉末の製造方法は、気相法で製造された酸化チタン粉末を用意する工程(工程1)と、用意された前記酸化チタン粉末を、目開きが0.3〜2.0mmの篩を通過させる篩別工程(工程2)と、前記篩を通過させた前記酸化チタン粉末を、1100〜1600℃、10秒以下にて熱処理する熱処理工程(工程3)と、を含む。
工程1について
出発物質である気相法で製造された酸化チタン粉末は、BET比表面積が、例えば、40m2/g〜100m2/gであり、粒子径は、特に限定されない。気相法で製造された酸化チタン粉末は、アナターゼ型結晶とルチル型結晶の混晶であり、主成分はアナターゼ型結晶であり、その混合割合は、一般的に80質量%以上である。
出発物質である気相法で製造された酸化チタン粉末は、BET比表面積が、例えば、40m2/g〜100m2/gであり、粒子径は、特に限定されない。気相法で製造された酸化チタン粉末は、アナターゼ型結晶とルチル型結晶の混晶であり、主成分はアナターゼ型結晶であり、その混合割合は、一般的に80質量%以上である。
工程2について
次に、気相法で製造された酸化チタン粉末を目開き0.3〜2.0mm、好ましくは0.5〜1.4mmの篩を通す篩別工程を行う。篩の目開きが2.0mm超では、気相法で製造された酸化チタン粉末の部分焼結が十分ではなく、また、アナターゼ型結晶からルチル型結晶へ効率的に変化しない。この理由は定かではないが、後述する熱処理工程は、10秒以下と極短時間で行うので、気相法で製造された酸化チタン粉末の凝集をできるだけほどいた状態としないと、気相法で製造された酸化チタン粉末全体への熱処理の均一化が難しいためと考えられる。一方で、篩の目開きが0.3mm未満では、篩の目詰まりや気相法で製造された酸化チタン粉末の供給時の圧力損失が高くなる。例えば、縦型管状炉で酸化チタン粉末の自由落下による熱処理を目開き0.3mm未満の篩で行うと、上昇気流により粉が吹き出してしまう等の不具合が生じ、実質的に十分な収率で熱処理した粉末を得るのは困難となる。
次に、気相法で製造された酸化チタン粉末を目開き0.3〜2.0mm、好ましくは0.5〜1.4mmの篩を通す篩別工程を行う。篩の目開きが2.0mm超では、気相法で製造された酸化チタン粉末の部分焼結が十分ではなく、また、アナターゼ型結晶からルチル型結晶へ効率的に変化しない。この理由は定かではないが、後述する熱処理工程は、10秒以下と極短時間で行うので、気相法で製造された酸化チタン粉末の凝集をできるだけほどいた状態としないと、気相法で製造された酸化チタン粉末全体への熱処理の均一化が難しいためと考えられる。一方で、篩の目開きが0.3mm未満では、篩の目詰まりや気相法で製造された酸化チタン粉末の供給時の圧力損失が高くなる。例えば、縦型管状炉で酸化チタン粉末の自由落下による熱処理を目開き0.3mm未満の篩で行うと、上昇気流により粉が吹き出してしまう等の不具合が生じ、実質的に十分な収率で熱処理した粉末を得るのは困難となる。
工程3について
篩を通過させた酸化チタン粉末を、1100〜1600℃、10秒以下にて熱処理する。篩を通過させた酸化チタン粉末を、1100〜1600℃、10秒以下にて熱処理することにより、篩を通過させた酸化チタン粉末を部分的に焼結させることができ、かつルチル型結晶の存在割合を高めることができる。
篩を通過させた酸化チタン粉末を、1100〜1600℃、10秒以下にて熱処理する。篩を通過させた酸化チタン粉末を、1100〜1600℃、10秒以下にて熱処理することにより、篩を通過させた酸化チタン粉末を部分的に焼結させることができ、かつルチル型結晶の存在割合を高めることができる。
熱処理温度は1100〜1600℃であり、好ましくは1150〜1500℃である。熱処理温度が1100℃未満であると、10秒以下の熱処理時間内での粉末の焼結、及びアナターゼ型結晶からルチル型結晶への変化は不十分である。一方、熱処理温度が1600℃超であると粉末の焼結が進み過ぎて粒子の成長が大きくなって、十分な多孔性が得られない。
熱処理時間の上限値は10秒であり、5秒以下が好ましい。10秒超では、焼結が進み過ぎて多孔性が得られない。また、熱処理時間の下限値は、特に限定されないが、確実に一部焼結体とする点から0.1秒以上が好ましく、0.2秒以上が特に好ましい。熱処理時間としては1秒程度(例えば、0.5〜1.5秒)が特に好ましい。
熱処理装置は、特に限定されないが、10秒以下の熱処理時間とする点から、管状炉が好ましい。管状炉以外の熱処理装置(例えば、マッフル炉)は、坩堝中に粉末を充填して焼成するので、10秒以下という短時間の熱処理では、粉末が置かれた場所により温度分布が生じてしまい、均一な熱処理を行うことが難しい傾向にある。従って、篩を通過させた酸化チタン粉末を、管状炉中を通過させる熱処理が好ましい。管状炉は、特に限定されず、縦型、横型いずれの形式でも使用可能である。縦型の場合は、上部から自然落下、または下部から空気あるいは窒素等に粉末を同伴させて熱処理することが可能である。横型の場合は炉心管の一方端から粉末を上記気体に同伴させて熱処理を行うことが可能である。
また、必要に応じて、工程2である篩別工程前に、さらに、上記流動性改善剤を酸化チタン粉末に添加、混合してもよい。
次に、本発明の実施例を記載するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
試料の特性は以下の方法にて評価した。
〔凝集粒子径〕
粒度分布測定装置(MICROTRAC社製、MT3300EX2)を用いて測定を行った。分散液として、25℃、pH7の水を用い、試料を分散液に添加後、超音波処理前、及び超音波強度40Wで180秒間の超音波処理後のD50を凝集粒子径とした。
〔凝集粒子径〕
粒度分布測定装置(MICROTRAC社製、MT3300EX2)を用いて測定を行った。分散液として、25℃、pH7の水を用い、試料を分散液に添加後、超音波処理前、及び超音波強度40Wで180秒間の超音波処理後のD50を凝集粒子径とした。
〔結晶構造〕
島津製作所社製(XRD−6100)を用い、Cu管球にて、X線回折により結晶構造を確認した。ルチル型結晶とアナターゼ型結晶の含有割合は、両結晶の最強回折線(ルチル型(110面)、アナターゼ型(101面))の回折線強度の比より求めた。
島津製作所社製(XRD−6100)を用い、Cu管球にて、X線回折により結晶構造を確認した。ルチル型結晶とアナターゼ型結晶の含有割合は、両結晶の最強回折線(ルチル型(110面)、アナターゼ型(101面))の回折線強度の比より求めた。
[BET比表面積]
「JIS Z8830:2013 ガス吸収による粉体(固体)の比表面積の測定方法」に準じて,BET比表面積を測定した。
「JIS Z8830:2013 ガス吸収による粉体(固体)の比表面積の測定方法」に準じて,BET比表面積を測定した。
〔分散度合〕
試料について0.5質量%の水分散液を作製し、300W、180秒間の超音波分散処理後、得られた分散液を容積15mlの沈降管に移し、4時間静置後、沈降管中央部の濁度を目視にて観察した。濁度が高い程、試料である粉末の沈降が少なく高い分散性を示しており、透明度が高い程、試料である粉末の沈降が早く低い分散性を示していると判断できる。具体的には、以下のように評価した。
○:白濁
△:白濁するも透明性若干あり
×:透明
試料について0.5質量%の水分散液を作製し、300W、180秒間の超音波分散処理後、得られた分散液を容積15mlの沈降管に移し、4時間静置後、沈降管中央部の濁度を目視にて観察した。濁度が高い程、試料である粉末の沈降が少なく高い分散性を示しており、透明度が高い程、試料である粉末の沈降が早く低い分散性を示していると判断できる。具体的には、以下のように評価した。
○:白濁
△:白濁するも透明性若干あり
×:透明
〔実施例1〕
縦型に設置した管状炉(オガワ精機社製、MT3300EX2)を1200℃に設定し、その上部に目開き0.5mmの篩を設置した。気相法で製造された二酸化チタン粉末(原料)としてAEROXIDE(登録商標) TiO2 P25を、篩を振動機で振動させながら篩上部から該篩を介して管状炉へ供給した。目視にてAEROXID(登録商標) TiO2 P25の管状炉下部までの落下時間を測定したところ、0.5秒以上1.0秒未満であった。得られた試料(二酸化チタン凝集粉末)の測定結果を表1に示す。
縦型に設置した管状炉(オガワ精機社製、MT3300EX2)を1200℃に設定し、その上部に目開き0.5mmの篩を設置した。気相法で製造された二酸化チタン粉末(原料)としてAEROXIDE(登録商標) TiO2 P25を、篩を振動機で振動させながら篩上部から該篩を介して管状炉へ供給した。目視にてAEROXID(登録商標) TiO2 P25の管状炉下部までの落下時間を測定したところ、0.5秒以上1.0秒未満であった。得られた試料(二酸化チタン凝集粉末)の測定結果を表1に示す。
[実施例2]
篩の目開きと熱処理温度を表1の通り変更した以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表1に示す。
[実施例3]
原料を表1のものに変更した以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表1に示す。
篩の目開きと熱処理温度を表1の通り変更した以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表1に示す。
[実施例3]
原料を表1のものに変更した以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表1に示す。
[実施例4]
市販のジューサーミキサーにAEROXIDE(登録商標) TiO2 P25を30g供給し、次いで、表面処理酸化ケイ素粉末としてAEROSIL(登録商標) R972を1.5g添加し、30秒間の撹拌を3回繰り返し、表面処理酸化ケイ素が混合された二酸化チタン粉末を作製した。得られた表面処理酸化ケイ素が混合された二酸化チタン粉末を用いて、篩の目開きと熱処理温度を表1の通り変更した以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表1に示す。
[実施例5、6、7]
表1に記載の流動性改善剤を表1の記載量添加し、熱処理温度を表1の通り変更した以外は、実施例4と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表1に示す。
市販のジューサーミキサーにAEROXIDE(登録商標) TiO2 P25を30g供給し、次いで、表面処理酸化ケイ素粉末としてAEROSIL(登録商標) R972を1.5g添加し、30秒間の撹拌を3回繰り返し、表面処理酸化ケイ素が混合された二酸化チタン粉末を作製した。得られた表面処理酸化ケイ素が混合された二酸化チタン粉末を用いて、篩の目開きと熱処理温度を表1の通り変更した以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表1に示す。
[実施例5、6、7]
表1に記載の流動性改善剤を表1の記載量添加し、熱処理温度を表1の通り変更した以外は、実施例4と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表1に示す。
[実施例8]
原料を表1のものに変更した。また、実施例8では、実施例1に記載された管状炉下部に原料供給ラインを設置し、その中に目開き1.0mmのフィルターを入れ、1250℃に設定された管状炉にラインを通じて、エアーポンプによりポンプ搬送して、管状炉下部より原料の導入を行った。管状炉上部から粉が吹き出すまでの時間は5秒であった。得られた試料の測定結果を表1に示す。
原料を表1のものに変更した。また、実施例8では、実施例1に記載された管状炉下部に原料供給ラインを設置し、その中に目開き1.0mmのフィルターを入れ、1250℃に設定された管状炉にラインを通じて、エアーポンプによりポンプ搬送して、管状炉下部より原料の導入を行った。管状炉上部から粉が吹き出すまでの時間は5秒であった。得られた試料の測定結果を表1に示す。
〔比較例1〜7〕
原料として表2に示す気相法で製造された酸化チタン粉末を用い、篩の目開き、熱処理温度及び/または熱処理時間を変えて、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表2に示す。なお、表2中、篩の目開き、熱処理温度、熱処理時間における「−」は、処理なしを意味する。
原料として表2に示す気相法で製造された酸化チタン粉末を用い、篩の目開き、熱処理温度及び/または熱処理時間を変えて、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表2に示す。なお、表2中、篩の目開き、熱処理温度、熱処理時間における「−」は、処理なしを意味する。
〔比較例8〜9〕
気相法以外の製造法で製造された酸化チタンである、テイカ社製MT−100WP、石原産業社製CR−ELを用いた以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表2に示す。
気相法以外の製造法で製造された酸化チタンである、テイカ社製MT−100WP、石原産業社製CR−ELを用いた以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた試料の測定結果を表2に示す。
なお、比較例1、5〜7では、ルチル型の割合が34質量%以下と著しく低く、二酸化チタン凝集体の一部焼結のための熱処理が不十分なので、分散性は測定しなかった。
表1から、BET比表面積が3m2/g〜40m2/g、超音波強度40Wで180秒間の超音波処理後におけるD50/超音波強度40Wで180秒間の超音波処理前におけるD50が0.05〜0.13である実施例では、分散性が優れていた。また、実施例では、ルチル型結晶の二酸化チタン凝集粉末が70質量%以上得られた。また、気相法で製造された酸化チタン粉末を目開きが0.3〜2.0mmの篩を通過させる篩別工程と、篩を通過させた酸化チタン粉末を、1100〜1600℃、10秒以下にて熱処理する熱処理工程とを行った実施例では、分散性に優れている二酸化チタン凝集粉末を得ることができた。
一方で、表2から、BET比表面積が3m2/g〜40m2/g、且つ超音波強度40Wで180秒間の超音波処理後におけるD50/超音波強度40Wで180秒間の超音波処理前におけるD50が0.05〜0.13を満たさない比較例では、優れた分散性を得られなかった。また、気相法で製造された酸化チタン粉末を目開きが0.3〜2.0mmの篩を通過させる篩別工程と、篩を通過させた酸化チタン粉末を、1100〜1600℃、10秒以下にて熱処理する熱処理工程のいずれかを満たさない比較例では、所定のルチル化割合を有しかつ分散性に優れている二酸化チタン凝集粉末を得ることができなかった。
Claims (10)
- BET比表面積が3m2/g〜40m2/gの範囲の二酸化チタン凝集粉末であり、
前記二酸化チタン凝集粉末を構成する二酸化チタン凝集体の一部が、焼結しており、25℃、pH7の水に入れて超音波強度40Wで180秒間超音波分散処理させた場合の、累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)/前記超音波分散処理させる前の累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)が、0.05〜0.13の範囲である二酸化チタン凝集粉末。 - 前記超音波分散処理させた場合の累積体積百分率が50体積%の前記二酸化チタン凝集粉末の粒子径(D50)が、3.0〜30μmの範囲である請求項1に記載の二酸化チタン凝集粉末。
- ルチル型二酸化チタン凝集粉末の質量:アナターゼ型二酸化チタン凝集粉末の質量が、60:40〜100:0の範囲である請求項1または2に記載の二酸化チタン凝集粉末。
- チタン以外の金属とチタン以外の金属の化合物と二酸化チタンとの合計に対する二酸化チタンの含有量が99.0質量%超である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二酸化チタン凝集粉末。
- 二酸化ケイ素及び/または酸化アルミニウムが、合計1.0〜8.0質量%含まれる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二酸化チタン凝集粉末。
- 気相法で製造された酸化チタン粉末を用意する工程と、
用意された前記酸化チタン粉末を、目開きが0.3〜2.0mmの篩を通過させる篩別工程と、
前記篩を通過させた前記酸化チタン粉末を、1100〜1600℃、10秒以下にて熱処理する熱処理工程と、
を含む二酸化チタン凝集粉末の製造方法。 - 篩別工程前に、さらに、流動性改善剤を前記酸化チタン粉末に添加する請求項6に記載の二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
- 前記流動性改善剤が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、有機物で表面処理された二酸化ケイ素及び/または有機物で表面処理された酸化アルミニウムであり、前記酸化チタン粉末中に、合計1.0〜8.0質量%添加する請求項7に記載の二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
- 前記流動性改善剤が、アルキルカルボン酸、アルキルスルホン酸またはそれらの金属塩であり、前記酸化チタン粉末中に、合計0.2〜8.0質量%添加する請求項7に記載の二酸化チタン凝集粉末の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二酸化チタン凝集粉末の表面が、有機物で処理された、表面処理二酸化チタン凝集粉末。
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