JP2019076882A - ガス分離膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス透過性及び選択性の両特性に優れ、更に機械的強度にも優れたガス分離膜を提供すること。【解決手段】芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合構造を有する高分子化合物を含有するガス分離膜であって、該高分子化合物が両末端にカルボキシル基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体、又は両末端にアミノ基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体を含むガス分離膜。【選択図】なし
Description
本発明は、混合ガスから一種又は複数種のガス成分を分離するために使用されるガス分離膜に関する。
高分子化合物は、一般にその化合物特有のガス透過性を有しているため、その性質に基づいて、特定の高分子化合物から成る膜によって、所望のガス成分を選択的に透過させ分離することが可能である。このようなガス分離膜は、例えば、天然ガスやバイオガスのような二酸化炭素とメタンの混合ガスから二酸化炭素を除去する用途等に用いられる。また地球温暖化対策の観点から、火力発電所や製鉄所のような大規模な二酸化炭素発生源において、ガス分離膜を用いて二酸化炭素を選択的に窒素等から分離除去する方法が検討されている。更に近年では石油化学産業において、ポリプロピレンの製造過程で発生するプロピレンと窒素の混合ガスからガス分離膜を用いてプロピレンを選択的に捕集する方法が試みられている。
ガス分離膜の分離特性と機械物性の両立を目的として、ガス透過性は高いが薄膜形成能に劣るゴム状高分子と、ガス透過性は低いが薄膜形成能に優れるガラス状高分子とのブロック共重合体をガス分離膜として用いる方法が知られている。このようなブロック共重合体で薄膜を形成すると、通常ハードセグメントであるガラス状高分子の「海」にソフトセグメントであるゴム状高分子がミクロ相分離し、直径数nm乃至数百nmの球状の「島」を形成する「海島構造」を取ることが知られている。
特許文献1には、ガラス状高分子としてポリアミドイミドを、ゴム状高分子としてジメチルシロキサンを使用した例が、特許文献2には、ガラス状高分子としてポリイミドを、ゴム状高分子としてジメチルシロキサンを使用した例が挙げられている。しかしながら、ジメチルシロキサンは高温高湿下で加水分解されるためガス分離膜の用途や使用環境が限定されてしまうことに加え、ジメチルシロキサンのガス透過性は一般的には非常に高いものの例えば二酸化炭素と窒素の選択的透過性の値は10程度と決して高くないため分離特性が不十分である。
更にガス分離膜はガスの透過量を増やすことを目的として薄膜で用いられることが多いため、ガス分離膜に送入されるガスの高圧に長時間耐え得るだけの高い機械強度が要求される。
更にガス分離膜はガスの透過量を増やすことを目的として薄膜で用いられることが多いため、ガス分離膜に送入されるガスの高圧に長時間耐え得るだけの高い機械強度が要求される。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ガスの透過性と選択性に優れ、機械強度にも優れ、かつ形成が容易なガス分離膜を提供することを目的とするものである。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定構造のポリアミド樹脂と脂肪族樹脂、好ましくは特定構造のゴム状の脂肪族樹脂との重縮構造を有する高分子化合物体を含むガス分離膜が、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、
(1)芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合構造を有する高分子化合物を含有するガス分離膜であって、該高分子化合物が両末端にカルボキシル基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体、又は両末端にアミノ基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体を含むガス分離膜、
(2)芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合構造を有する高分子化合物が、両末端にカルボキシル基を有するフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体と多官能エポキシ樹脂との反応物、又は両末端にアミノ基を有するフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体と多官能エポキシ樹脂との反応物を含む前項(1)に記載のガス分離膜、
(3)前項(1)又は(2)に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有するブタジエン・アクリロニトリルゴム(CTBN)であるガス分離膜、
(4)前項(1)又は(2)に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有するブタジエンゴム(CTB)であるガス分離膜、
(5)前項(1)又は(2)に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有する水素添加ブタジエン・アクリロニトリルゴムであるガス分離膜、
(6)前項(1)又は(2)に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有する水素添加ブタジエンゴムであるガス分離膜、及び
(7)前項(1)乃至(6)のいずれか一項に記載のガス分離膜であって、芳香族ポリアミド樹脂が下記式(1)
(1)芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合構造を有する高分子化合物を含有するガス分離膜であって、該高分子化合物が両末端にカルボキシル基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体、又は両末端にアミノ基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体を含むガス分離膜、
(2)芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合構造を有する高分子化合物が、両末端にカルボキシル基を有するフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体と多官能エポキシ樹脂との反応物、又は両末端にアミノ基を有するフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体と多官能エポキシ樹脂との反応物を含む前項(1)に記載のガス分離膜、
(3)前項(1)又は(2)に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有するブタジエン・アクリロニトリルゴム(CTBN)であるガス分離膜、
(4)前項(1)又は(2)に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有するブタジエンゴム(CTB)であるガス分離膜、
(5)前項(1)又は(2)に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有する水素添加ブタジエン・アクリロニトリルゴムであるガス分離膜、
(6)前項(1)又は(2)に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有する水素添加ブタジエンゴムであるガス分離膜、及び
(7)前項(1)乃至(6)のいずれか一項に記載のガス分離膜であって、芳香族ポリアミド樹脂が下記式(1)
(式(1)中、m及びnは平均繰り返し数であって、0.1≦n/(m+n)≦1、かつ0<m+n≦200の関係を満たす正数を表す。Ar1は二価の芳香族基を、Ar2はフェノール性水酸基を有する二価の芳香族基を、Ar3は二価の芳香族基をそれぞれ表す。)で表される繰り返し単位を有するガス分離膜、
に関する。
に関する。
本発明によれば、炭酸ガスやプロピレンガスの透過性が高く、即ち炭酸/窒素混合ガスやプロピレン/窒素混合ガスの分離性が高く、機械強度にも優れ、かつ形成が容易なガス分離膜を得ることが出来る。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明のガス分離膜は、芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合構造を有する高分子化合物を含有し、該高分子化合物が両末端にカルボキシル基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体、又は両末端にアミノ基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体を含むことを特徴とする。
以下に本発明の各構成について説明する。
本発明のガス分離膜は、芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合構造を有する高分子化合物を含有し、該高分子化合物が両末端にカルボキシル基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体、又は両末端にアミノ基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体を含むことを特徴とする。
以下に本発明の各構成について説明する。
(芳香族ポリアミド樹脂)
本発明における芳香族ポリアミド樹脂は、その構造中に芳香環を有し、かつ両末端がカルボキシル基又は両末端がアミノ基のポリアミド樹脂であり、該芳香族ポリアミド樹脂は芳香族ジアミン類と芳香族ジカルボン酸類の何れかを過剰量(両者が等モルでない量)用いて従来公知の方法で合成することが出来る。
本発明における芳香族ポリアミド樹脂は、その構造中に芳香環を有し、かつ両末端がカルボキシル基又は両末端がアミノ基のポリアミド樹脂であり、該芳香族ポリアミド樹脂は芳香族ジアミン類と芳香族ジカルボン酸類の何れかを過剰量(両者が等モルでない量)用いて従来公知の方法で合成することが出来る。
芳香族ポリアミド樹脂の合成に用いられる芳香族ジアミンの具体例としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン及びm−トリレンジアミン等のフェニレンジアミン類;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル等のジアミノジフェニルエーテル類;3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル及び3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル等のジアミノジフェニルチオエーテル類;4,4’−ジアミノベンゾフェノン及び3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン類;4,4’−ジアミノジフェニルスルフォキサイド及び4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等のジアミノジフェニルスルホン類;ベンチジン、3,3’−ジメチルベンチジン及び3,3’−ジメトキシベンチジン等のベンチジン類;3,3’−ジアミノビフェニル;p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン及びo−キシリレンジアミン等のキシリレンジアミン類並びに4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジアミノジフェニルメタン類;3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−ジベンゾチオフェン、2,8−ジアミノ−3,7−ジメチル−ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノ−2,6−ジメチル−ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノ−2,8−ジエチル−ジベンゾチオフェンなどのジアミノ−ジベンゾチオフェン類;2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−[4−アミノフェノキシ]フェニル]スルフォン、9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ビストリフルオロメチル−5,5’−ジアミノビフェニルのジアミン、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、2,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、3,3’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビストリフルオロメチル−5,5’−ジアミノビフェニル、ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニルなどが挙げられる。
芳香族ポリアミド樹脂の合成に用いられる芳香族ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−オキシ二安息香酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−メチレン二安息香酸、4,4’−メチレン二安息香酸、4,4’−チオ二安息香酸、3,3’−カルボニル二安息香酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルフォニル二安息香酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び1,2−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、トリフルオロメチルベンゼンジカルボン酸、ビストリフルオロメチルベンゼンジカルボン酸等が挙げられ、特にイソフタル酸が好ましい。また芳香族ポリアミド樹脂にフェノール性水酸基を付与したい場合は、芳香族ポリアミド樹脂を合成する際に、前記の芳香族ジカルボン酸類の代りに、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒドロキシイソフタル酸及び2−ヒドロキシテレフタル酸等のフェノール性水酸基含有芳香族ジカルボン酸のいずれか若しくは複数を用いるか、又は前記の芳香族ジカルボン酸類に前記のフェノール性水酸基含有芳香族ジカルボン酸を併用すればよい。フェノール性水酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂(本明細書においては、「フェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂」とも記載する)を合成する際の芳香族ジカルボン酸全体に占めるフェノール性水酸基含有芳香族ジカルボン酸の割合は、通常1乃至50モル%、好ましくは1乃至40モル%である。
芳香族ポリアミド樹脂の両末端がカルボキシル基となるかアミノ基となるかは、芳香族ポリアミドを合成する際に用いる芳香族ジカルボン酸類と芳香族ジアミン類のモル比に依存する。具体的には、芳香族ジカルボン酸類の総モル数が芳香族ジアミン類の総モル数よりも多い場合は、芳香族ポリアミド樹脂の両末端はカルボキシル基となり、芳香族ジカルボン酸類の総モル数がジアミンの総モル数よりも少ない場合は、芳香族ポリアミド樹脂の両末端はアミノ基となる。また、芳香族ジカルボン酸類の総モル数と芳香族ジアミン類の総モル数が近いほど重量平均分子量の大きい長鎖の芳香族ポリアミド樹脂となり、芳香族ジカルボン酸類の総モル数と芳香族ジアミン類の総モル数が離れるほど重量平均分子量の小さい短鎖の芳香族ポリアミド樹脂となる。芳香族ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、1,000乃至100,000が好ましく、1,500乃至80,000がより好ましい。重量平均分子量が低すぎると、ブロックコポリマーの重量平均分子量も下がり、膜形成能が低下する。高すぎると樹脂ワニスの粘度が高くなり過ぎ、作業性に問題を生じる。尚、本発明における平均分子量とは、GPCの測定結果に基づいて、ポリスチレン換算で算出した平均分子量を意味する。
本発明における芳香族ポリアミド樹脂としては、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリアミド樹脂が好ましい。
式(1)中、m及びnは平均繰り返し数であって、0.1≦n/(m+n)≦1、かつ0<m+n≦200の関係を満たす正数を表す。
式(1)におけるn/(n+m)の値が0.1以上であることにより、後述する(B)多官能エポキシ樹脂と成分(A)中のフェノール性水酸基との架橋反応が十分に進行し、耐熱性や機械強度等に優れた硬化物が得られる。また、m+nが200以下であることにより、溶剤溶解性が高くなり、成分(A)の生産性やドープ液としての作業性が向上する。
式(1)におけるn/(n+m)の値が0.1以上であることにより、後述する(B)多官能エポキシ樹脂と成分(A)中のフェノール性水酸基との架橋反応が十分に進行し、耐熱性や機械強度等に優れた硬化物が得られる。また、m+nが200以下であることにより、溶剤溶解性が高くなり、成分(A)の生産性やドープ液としての作業性が向上する。
式(1)中、Ar1は二価の芳香族基を、Ar2はフェノール性水酸基を有する二価の芳香族基を、Ar3は二価の芳香族基をそれぞれ表す。尚、本明細書において「二価の芳香族基」とは、その構造中に少なくとも一つ以上の芳香族基を有する化合物の芳香環から水素原子を二個除いた残基を意味し、例えばジフェニルエーテルにおいて酸素を挟んで両側に位置する別々のベンゼン環から、それぞれ一つずつ水素原子を除いた構造も本明細書でいう「二価の芳香族基」の範疇に含まれる。
式(1)におけるAr1の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−オキシ二安息香酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−メチレン二安息香酸、4,4’−メチレン二安息香酸、4,4’−チオ二安息香酸、3,3’−カルボニル二安息香酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルフォニル二安息香酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び1,2−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、トリフルオロメチルベンゼンジカルボン酸、ビストリフルオロメチルベンゼンジカルボン酸等のジカルボン酸類から二個のカルボキシル基を除いた残基が挙げられ、イソフタル酸、テレフタル酸の残基が好ましい。
式(1)におけるAr2の具体例としては、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒドロキシイソフタル酸及び2−ヒドロキシテレフタル酸等のフェノール性水酸基を有するジカルボン酸類から二個のカルボキシル基を除いた残基が挙げられ、5−ヒドロキシイソフタル酸の残基が好ましい。
式(1)におけるAr3の具体例としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン及びm−トリレンジアミン等のフェニレンジアミン類;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル等のジアミノジフェニルエーテル類;3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル及び3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル等のジアミノジフェニルチオエーテル類;4,4’−ジアミノベンゾフェノン及び3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン類;4,4’−ジアミノジフェニルスルフォキサイド及び4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等のジアミノジフェニルスルホン類;ベンチジン、3,3’−ジメチルベンチジン及び3,3’−ジメトキシベンチジン等のベンチジン類;3,3’−ジアミノビフェニル;p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン及びo−キシリレンジアミン等のキシリレンジアミン類並びに4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジアミノジフェニルメタン類;3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−ジベンゾチオフェン、2,8−ジアミノ−3,7−ジメチル−ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノ−2,6−ジメチル−ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノ−2,8−ジエチル−ジベンゾチオフェンなどのジアミノ−ジベンゾチオフェン類;2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−[4−アミノフェノキシ]フェニル]スルフォン、9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ビストリフルオロメチル−5,5’−ジアミノビフェニルのジアミン、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、2,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、3,3’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビストリフルオロメチル−5,5’−ジアミノビフェニル、ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニルなどの芳香族ジアミン類から二個のアミノ基を除いた残基が挙げられる。
(脂肪族樹脂)
本発明における脂肪族樹脂は脂肪族鎖を主鎖とし、かつ両末端にカルボキシル基若しくは両末端にアミノ基を有する樹脂であれば特に限定されない。脂肪族樹脂の主鎖の水素原子は置換基で置換されていてもよく、また主鎖は変性されていても構わないが、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ブタジエン共重合体、水素化ブタジエン・アクリロニトリル共重合体又は水素化ブタジエン共重合体を主鎖とする脂肪族樹脂が好ましい。これらの脂肪族樹脂の数平均分子量は通常200乃至10,000であり、好ましくは500乃至5,000である。
本発明における脂肪族樹脂は脂肪族鎖を主鎖とし、かつ両末端にカルボキシル基若しくは両末端にアミノ基を有する樹脂であれば特に限定されない。脂肪族樹脂の主鎖の水素原子は置換基で置換されていてもよく、また主鎖は変性されていても構わないが、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ブタジエン共重合体、水素化ブタジエン・アクリロニトリル共重合体又は水素化ブタジエン共重合体を主鎖とする脂肪族樹脂が好ましい。これらの脂肪族樹脂の数平均分子量は通常200乃至10,000であり、好ましくは500乃至5,000である。
(ブロック共重合体)
本発明におけるブロック共重合体は、前記した芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合物である。
ブロック共重合体は、両末端にカルボキシル基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂を併用して、又は両末端にアミノ基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂を併用して、特開2003−342366号公報に記載の方法に準じて合成することが出来るが、上記の方法で予め合成した芳香族ポリアミド樹脂溶媒に、両末端がカルボキシル基もしくはアミノ基である脂肪族樹脂を加えて縮合反応させる合成方法が効率的である。
両末端基がアミノ基の芳香族ポリアミド樹脂を合成した場合は、合成後の樹脂溶液中に両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂を加えて、また両末端基がカルボキシル基の芳香族ポリアミド樹脂を合成した場合は、合成後の樹脂溶液中に両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂を加えて、芳香族ポリアミド樹脂の末端と脂肪族樹脂の末端を縮合反応させることにより、本発明におけるブロック共重合体を得ることが出来る。ブロック共重合体の精製は定法に従って行う。
本発明におけるブロック共重合体は、前記した芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合物である。
ブロック共重合体は、両末端にカルボキシル基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂を併用して、又は両末端にアミノ基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂を併用して、特開2003−342366号公報に記載の方法に準じて合成することが出来るが、上記の方法で予め合成した芳香族ポリアミド樹脂溶媒に、両末端がカルボキシル基もしくはアミノ基である脂肪族樹脂を加えて縮合反応させる合成方法が効率的である。
両末端基がアミノ基の芳香族ポリアミド樹脂を合成した場合は、合成後の樹脂溶液中に両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂を加えて、また両末端基がカルボキシル基の芳香族ポリアミド樹脂を合成した場合は、合成後の樹脂溶液中に両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂を加えて、芳香族ポリアミド樹脂の末端と脂肪族樹脂の末端を縮合反応させることにより、本発明におけるブロック共重合体を得ることが出来る。ブロック共重合体の精製は定法に従って行う。
上記のブロック共重合体がフェノール性水酸基を有する場合、即ちフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂を用いて合成したブロック共重合体の場合には、ブロック共重合体の有するフェノール性水酸基を多官能エポキシ樹脂と反応させることにより、高分子鎖間が架橋されてガス分離膜の機械強度が向上すると共に、耐溶剤溶解性が向上する。フェノール性水酸基を有する共重合体との反応に用いられる多官能エポキシ樹脂としては芳香族環を有する含むものが好ましい。より具体的には、ベンゼン環、ビフェニル環又はナフタレン環のような芳香族環を有し、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものが好ましい。前記の条件を満たす多官能エポキシ樹脂の具体例としては、ノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。エポキシ樹脂の使用量は、ブロック共重合体中のフェノール性水酸基1当量に対してエポキシ基が0.1乃至1当量となる量が好ましく、0.2乃至1当量となる量がより好ましい。尚、エポキシ樹脂によるブロック共重合体の架橋は、ガス分離膜が機械強度や耐溶剤溶解性の要求されない用途に用いられる場合は、必ずしも行わなくてもよい。
エポキシ樹脂を使用する場合、硬化促進剤を用いることは架橋反応を速やかに行う上で好ましい。該硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール及び1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100質量部に対して0.1乃至5.0質量部が必要に応じ用いられる。
本発明のガス分離膜は、上述のブロック共重合体を含む高分子化合物を含有する。ガス分離膜の原料となる高分子化合物(及び本発明の効果を損なわない範囲で必要により高分子化合物に添加される任意成分)からガス分離膜を作製する方法は特に限定されないが、前記の原料を有機溶剤に溶解して得られた溶液から有機溶剤を蒸発させることを利用してガス分離膜を作製する湿式成膜法が一般的であり、該方法により均質な膜や緻密層と多孔質層とを有する非対称膜を容易に得ることができる。
ガス分離膜を作製する際に用いられる有機溶剤の具体例としては、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等のラクトン類、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等が挙げられ、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド及びはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶剤やγ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等のラクトン類が好ましい。これらの好ましい有機溶剤を用いることにより、所望の膜厚を有する均質な膜や水系凝固液を使用した非対称膜を容易に作成することができる。有機溶剤溶液中におけるガス分離膜の原料の含有量は通常10乃至90質量%、好ましくは20乃至80質量%である。
均質な膜は、例えば、前述の有機溶剤溶液を、ガラス等の基板にスピンコーター、アプリケーター等を用いて湿式被覆し、空気、窒素またはアルゴン等の乾燥気体中で加熱することにより溶剤を蒸発させた後、基板から剥離させることで得られる。こうして得られる均質膜の厚さは5μm乃至1mmであることが好ましく、10乃至200μmであることがより好ましい。前記の厚さの均質膜は作製が容易な上に破れ難く、更にはガスが透過し易い。
非対称膜において、緻密層はガスの種類によって透過速度が異なるため、混合ガスから特定の種類のガスのみを透過する気体分離機能を有する。一方で、多孔質層は、膜形状を保持する為の支持体としての役割を有する。
本発明のガス分離膜に使用する非対称膜は、平膜状、中空糸状のいずれの形状であってもよい。
本発明のガス分離膜に使用する非対称膜は、平膜状、中空糸状のいずれの形状であってもよい。
緻密層の厚さは10nm乃至10μmであることが好ましく、30nm乃至1μmであることがより好ましい。前記の厚さの緻密層は作製が容易であり、更にはガスが透過し易い
多孔質層の厚さは、平膜状では、5μm乃至2mmであることが好ましく、10乃至500μmであることがより好ましい。前記の厚さの多孔質層は作製が容易であり、更にはガスが透過し易い。中空糸状の形状における内径は、通常10μm乃至4mmであり、20μm乃至1mmであることが好ましい。また、中空糸状の形状における外径は、通常30μm乃至8mmであり、50μm乃至1.5mmであることが好ましい。中空糸状とする場合は、外側に緻密層を設けることが好ましい。内径が10μm未満で外径が30μm未満の中空糸は製造し難く、内径が1mmを超え外径が8mmを超える中空糸は気体分離膜として実用的でない。
非対称膜を製造する際の凝固液としては、水、または水と有機溶剤の混合溶媒が好適に使用される。混合溶媒中の水の含有量は、通常40質量%以上、好ましくは50質量%以上であり、有機溶媒としては、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン及びジエチルケトン等のケトン類が挙げられる。凝固液で処理した膜は、加熱処理で乾燥させた後に用いることが好ましい。
特に、非対称膜作製にあたっては、吐出口から凝固浴までの距離を変更することにより、また、中空糸状に吐出する場合は、吐出口の内側に乾燥空気、水系凝固液などを共に吐出することにより、所望の緻密層を形成できる。また、凝固浴の有機溶媒種を変更することにより、所望の孔径、孔径分布、厚さを有する多孔質層を形成することができる。
作製したガス分離膜の表面欠陥を修復することを目的として、シリコーン樹脂を分離膜表面にコーティングしてもよい。コーティング方法としては、スピンコーティング、アプリケーターによるコーティング、浸漬コーティングなど、公知のコーティング法を使用することができる。
シリコーン樹脂としては、一般的なジメチルシリコーン、フェニル基含有シリコーン、ビニル基含有シリコーン、Si−H基含有シリコーン、トリフルオロプロピル基含有シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アミノ基含有シリコーン、エポキシ基含有シリコーン、メタクリル基含有シリコーン、アクリル基含有シリコーンなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の記載における「部」は質量部を意味する。
合成例1(芳香族ポリアミド樹脂1の合成)
温度計、環流冷却器、滴下ロート、窒素導入装置、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、イソフタル酸10.12部(0.0609モル)、5−ヒドロキシイソフタル酸1.86部(0.0102モル)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル15.96部(0.0797モル)、及び塩化リチウム1.52部を仕込み、乾燥窒素を流しながらN−メチル−2−ピロリドン179.4部とピリジン18.0部を加え、攪拌しながら反応器内が95℃になるまで徐々に加熱し、固形分を溶解させた。その後、反応器内を95℃に維持して撹拌を継続しながら亜リン酸トリフェニル39.0部を2時間掛けて滴下し、滴下終了後さらに2時間反応させて芳香族ポリアミド樹脂1を含む樹脂溶液を得た。
温度計、環流冷却器、滴下ロート、窒素導入装置、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、イソフタル酸10.12部(0.0609モル)、5−ヒドロキシイソフタル酸1.86部(0.0102モル)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル15.96部(0.0797モル)、及び塩化リチウム1.52部を仕込み、乾燥窒素を流しながらN−メチル−2−ピロリドン179.4部とピリジン18.0部を加え、攪拌しながら反応器内が95℃になるまで徐々に加熱し、固形分を溶解させた。その後、反応器内を95℃に維持して撹拌を継続しながら亜リン酸トリフェニル39.0部を2時間掛けて滴下し、滴下終了後さらに2時間反応させて芳香族ポリアミド樹脂1を含む樹脂溶液を得た。
合成例2(ブロック共重合体1の合成)
カルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリル共重合体(HYCAR CTBN 1300×8 BF Goodrich社製 カルボキシル当量=0.052EPHR)25.2部をN−メチル−2−ピロリドン25.2部に溶解させた溶液全量を、合成例1で得られた芳香族ポリアミド樹脂1を含む樹脂溶液に、液温を95℃に維持して撹拌を継続しながら1時間掛けて滴下し、さらに2時間反応させてブロック共重合体1を含む樹脂溶液を得た。前記で得られた樹脂溶液を50℃以下まで冷却した後、攪拌を継続しながらメタノール126部を加えた。その後10℃以下まで冷却してイオン交換水50部を30分間かけて滴下し、更に10℃以下で1時間攪拌してブロック共重合体1の分散スラリーを得た。得られた分散スラリーを更にメタノールと水で還流、洗浄して精製した後、乾燥させてブロック共重合体1を46部得た。得られたブロック共重合体のフェノール性水酸基当量は4960g/eq.であった。
カルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリル共重合体(HYCAR CTBN 1300×8 BF Goodrich社製 カルボキシル当量=0.052EPHR)25.2部をN−メチル−2−ピロリドン25.2部に溶解させた溶液全量を、合成例1で得られた芳香族ポリアミド樹脂1を含む樹脂溶液に、液温を95℃に維持して撹拌を継続しながら1時間掛けて滴下し、さらに2時間反応させてブロック共重合体1を含む樹脂溶液を得た。前記で得られた樹脂溶液を50℃以下まで冷却した後、攪拌を継続しながらメタノール126部を加えた。その後10℃以下まで冷却してイオン交換水50部を30分間かけて滴下し、更に10℃以下で1時間攪拌してブロック共重合体1の分散スラリーを得た。得られた分散スラリーを更にメタノールと水で還流、洗浄して精製した後、乾燥させてブロック共重合体1を46部得た。得られたブロック共重合体のフェノール性水酸基当量は4960g/eq.であった。
合成例3(芳香族ポリアミド樹脂2の合成)
イソフタル酸の使用量を11.10部(0.0669モル)に、5−ヒドロキシイソフタル酸の使用量を2.04部(0.0112モル)にそれぞれ変更した以外は合成例1に準じて芳香族ポリアミド樹脂2を含む樹脂溶液を得た。前記で得られた樹脂溶液を50℃以下に冷却した後、メタノール3L中に滴下して芳香族ポリアミド樹脂2を析出させた。この析出物を更にメタノールと水で還流、洗浄して精製した後、乾燥させて芳香族ポリアミド樹脂2を23.9部得た。得られた芳香族ポリアミド樹脂のフェノール性水酸基当量は2,345g/eq.であった。
イソフタル酸の使用量を11.10部(0.0669モル)に、5−ヒドロキシイソフタル酸の使用量を2.04部(0.0112モル)にそれぞれ変更した以外は合成例1に準じて芳香族ポリアミド樹脂2を含む樹脂溶液を得た。前記で得られた樹脂溶液を50℃以下に冷却した後、メタノール3L中に滴下して芳香族ポリアミド樹脂2を析出させた。この析出物を更にメタノールと水で還流、洗浄して精製した後、乾燥させて芳香族ポリアミド樹脂2を23.9部得た。得られた芳香族ポリアミド樹脂のフェノール性水酸基当量は2,345g/eq.であった。
実施例1(本発明のガス分離膜の作製)
合成例2で得られたブロック共重合体1をN−メチルピロリドン(NMP)に溶解して10質量%の溶液を調製した。この溶液を平滑なガラス板に流延し、アプリケーターを用いて一定の厚さに引き伸ばした。その後120℃で20時間真空乾燥し、ガラス板から引きはがして厚さ25μmの本発明のガス分離膜1を得た。島津製作所製のオートグラフAGS−Xを用いて、JIS C 2318に準じた測定方法でガス分離膜1の機械強度を測定したところ、引張強度は28MPaであった。
合成例2で得られたブロック共重合体1をN−メチルピロリドン(NMP)に溶解して10質量%の溶液を調製した。この溶液を平滑なガラス板に流延し、アプリケーターを用いて一定の厚さに引き伸ばした。その後120℃で20時間真空乾燥し、ガラス板から引きはがして厚さ25μmの本発明のガス分離膜1を得た。島津製作所製のオートグラフAGS−Xを用いて、JIS C 2318に準じた測定方法でガス分離膜1の機械強度を測定したところ、引張強度は28MPaであった。
実施例2(本発明のガス分離膜の作製)
合成例2で得られたブロック共重合体1 10部にビスフェノール型エポキシ樹脂0.4部及び硬化促進剤として2−エチル−4−イミダゾール0.04部を加え、NMP30部中に溶解した。実施例1と同じ方法でガラス板上に製膜した後、更に175℃で1時間加熱してからガラス板から引きはがしてブロック共重合体がエポキシ樹脂によって架橋された厚さ25μmの本発明のガス分離膜2を得た。島津製作所製のオートグラフAGS−Xを用いて、JIS C 2318に準じた測定方法でガス分離膜2の機械強度を測定したところ、引張強度は36MPaであった。
合成例2で得られたブロック共重合体1 10部にビスフェノール型エポキシ樹脂0.4部及び硬化促進剤として2−エチル−4−イミダゾール0.04部を加え、NMP30部中に溶解した。実施例1と同じ方法でガラス板上に製膜した後、更に175℃で1時間加熱してからガラス板から引きはがしてブロック共重合体がエポキシ樹脂によって架橋された厚さ25μmの本発明のガス分離膜2を得た。島津製作所製のオートグラフAGS−Xを用いて、JIS C 2318に準じた測定方法でガス分離膜2の機械強度を測定したところ、引張強度は36MPaであった。
比較例1(比較用のガス分離膜の作製)
合成例2で得られたブロック共重合体1の代りに合成例3で得られた芳香族ポリアミド樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして比較用のガス分離膜1を得た。
合成例2で得られたブロック共重合体1の代りに合成例3で得られた芳香族ポリアミド樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして比較用のガス分離膜1を得た。
(ガス透過係数及び分離性能の測定及び評価方法)
実施例1、2及び比較例1で得られた本発明のガス分離膜1、2及び比較用のガス分離膜1を、7cm2の膜面積でステンレス製のセルにそれぞれ配置し、試験気体として、水素ガス(H2)、炭酸ガス(CO2)、酸素ガス(O2)、窒素ガス(N2)、メタンガス(CH4)、プロピレンガス(C3H6)を用い、JIS K7126−1:2006「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法」の第1部に記載の差圧法に準拠した方法で、各気体の23℃におけるガス透過係数及び分離性能(二種類のガスの透過係数の比)を測定及び評価した。結果を表1に示した。表1中、ガス透過係数の単位は×10−11cm3・cm/(m2・day・atm)である。
実施例1、2及び比較例1で得られた本発明のガス分離膜1、2及び比較用のガス分離膜1を、7cm2の膜面積でステンレス製のセルにそれぞれ配置し、試験気体として、水素ガス(H2)、炭酸ガス(CO2)、酸素ガス(O2)、窒素ガス(N2)、メタンガス(CH4)、プロピレンガス(C3H6)を用い、JIS K7126−1:2006「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法」の第1部に記載の差圧法に準拠した方法で、各気体の23℃におけるガス透過係数及び分離性能(二種類のガスの透過係数の比)を測定及び評価した。結果を表1に示した。表1中、ガス透過係数の単位は×10−11cm3・cm/(m2・day・atm)である。
表1の結果より、芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合構造を有する高分子化合物を含む本発明のガス分離膜は、芳香族ポリアミド樹脂のみを含む比較用のガス分離膜よりもいずれの気体に対しても格段に高い透過性及び分離性能を示した。また、前記の高分子化合物と多官能エポキシ樹脂との反応物を含むガス分離膜では、ガス分離膜の機械強度が格段に向上した。
Claims (7)
- 芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合構造を有する高分子化合物を含有するガス分離膜であって、該高分子化合物が両末端にカルボキシル基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体、又は両末端にアミノ基を有する芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体を含むガス分離膜。
- 芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族樹脂との縮合構造を有する高分子化合物が、両末端にカルボキシル基を有するフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂と両末端にアミノ基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体と多官能エポキシ樹脂との反応物、又は両末端にアミノ基を有するフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂と両末端にカルボキシル基を有する脂肪族樹脂との縮合物であるブロック共重合体と多官能エポキシ樹脂との反応物を含む請求項1に記載のガス分離膜。
- 請求項1又は2に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有するブタジエン・アクリロニトリルゴム(CTBN)であるガス分離膜。
- 請求項1又は2に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有するブタジエンゴム(CTB)であるガス分離膜。
- 請求項1又は2に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有する水素添加ブタジエン・アクリロニトリルゴムであるガス分離膜。
- 請求項1又は2に記載のガス分離膜であって、脂肪族樹脂が両末端にカルボキシル基又はアミノ基を有する水素添加ブタジエンゴムであるガス分離膜。
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