JP2019075438A - 半導体レーザ素子及び半導体レーザ素子の製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子及び半導体レーザ素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低いエネルギでレーザ発振させ、且つ、シングルモード動作を可能とする。【解決手段】半導体レーザ素子1は、シリコンにより形成された基板6と、IV−VI族半導体により形成されたアンダークラッド11、活性層12及びトップクラッド13がこの順に積層されたレーザ構造7を有する。レーザ構造7は、出射方向Aに延びるキャビティ2と、出射方向Aに沿ってキャビティ2を挟むように設けられた反射端部3及び出射端部4が設けられたレーザ構造7と、を備える。反射端部3には、トップクラッド13から活性層12を介してアンダークラッド11に至る第1溝部と、第1溝部の間に配置された壁部と、が設けられる。出射端部4には、トップクラッド13から活性層12を介してアンダークラッド11に至る第2溝部と、壁部と、が設けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体レーザ素子及び半導体レーザ素子の製造方法に関する。
半導体レーザ素子には、中赤外光の波長帯域(波長:3μm以上20μm以下)のレーザ光を出射するものがある。このような半導体レーザ素子は、ppbオーダの希薄ガス分析、同位体分析及び医療応用に利用される。当該半導体レーザ素子には、例えば、量子井戸のサブバンド間遷移を用いる量子カスケードレーザ及びバンド間遷移IV−VI族半導体レーザ等がある。
特表2012−509583号公報
ところで、典型的な端面発光型の半導体レーザ素子(例えば特許文献1)は、キャビティ長さが300μm以上である。また、中赤外光領域のレーザ光を出射する量子カスケードレーザは、キャビティ長さが1mm程度である。
このような半導体レーザ素子にあっては、低いエネルギでレーザ発振させ、且つ、シングルモード動作を可能とすることが望まれている。レーザ発振させるためのエネルギは、例えば、半導体レーザ素子が備えるキャビティ長の影響を受ける。具体的には、キャビティ長が長くなると、レーザ発振させるためのエネルギが大きくなり、キャビティ長が短くなると、レーザ発振させるためのエネルギが小さくなる傾向にある。
そこで、本発明は、低いエネルギでレーザ発振させ、且つ、シングルモード動作を可能とする半導体レーザ素子及び半導体レーザ素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る半導体レーザ素子は、シリコンにより形成された基板と、基板上に設けられると共にIV−VI族半導体により形成されたアンダークラッド、活性層及びトップクラッドがこの順に積層された積層構造を有し、積層構造には、所定方向に延びるキャビティ部と、所定方向に沿ってキャビティ部を挟むように設けられた反射端部及び出射端部と、が設けられた端面発光レーザ部と、を備え、反射端部には、トップクラッドから活性層を介してアンダークラッドに至る少なくとも2個の第1溝部と、第1溝部の間に配置された少なくとも1個の第1壁部と、が設けられ、出射端部には、トップクラッドから活性層を介してアンダークラッドに至る少なくとも1個の第2溝部と、1個の第2壁部と、が設けられる。
この半導体レーザ素子は、積層構造を有し、当該積層構造にキャビティ部と反射端部出射端部とを設けた端面発光型のレーザ素子である。このような構成によれば、キャビティ部の長さを短くすることが可能になる。従って、活性層面積が低減するので、レーザ発振の閾値を下げることができる。さらに、キャビティ部の長さを短くすることで、キャビティ内に生じ得るレーザ光のモード数が少なくなる。従って、容易にシングルモード動作をさせることができる。よって、半導体レーザ素子は、低いエネルギでレーザ発振させ、且つ、シングルモード動作を行うことができる。
一形態において、基板は、基体と、基体の表面上に設けられるアンダークラッドと接合するバッファ層と、を有してもよい。この構成によれば、基板とアンダークラッドとの格子不整合による格子欠陥と熱膨張係数差によるクラックの発生を低減することができる。
一形態において、バッファ層は、第1の層と第2の層とが交互に積層され、第1の層は、カルシウム、ストロンチウム、及びユウロピウムの何れか一つを含んで形成され、第2の層は、IV−VI族半導体により形成されてもよい。この構成によれば、基板とアンダークラッドとの格子不整合による格子欠陥と熱膨張係数差によるクラックの発生を抑えつつ、さらに基板とアンダークラッドとの間の導通を確保することができる。
一形態において、半導体レーザ素子は、トップクラッドに設けられた第1電極と、基板に設けられた第2電極と、をさらに備え、第1電極と第2電極との間には、電圧が印加されて、トップクラッドと基板との間に流れる電流によって活性層が励起されてもよい。この構成によれば、半導体レーザ素子を電流注入型のレーザ素子とすることができる。
一形態において、基板は、p型シリコンにより形成され、バッファ層は、n型IV−VI族半導体により形成されてもよい。この構成によれば、基板とアンダークラッドとの間の電気抵抗値を低減できる。そうすると、電流注入型のレーザ素子において、レーザ発振に要するエネルギをさらに下げることができる。
本発明の別の形態に係る半導体レーザ素子の製造方法は、シリコンにより形成された基板を準備する第1の工程と、基板上にIV−VI族半導体により形成されたアンダークラッド、活性層及びトップクラッドがこの順に積層された積層構造を形成する第2の工程と、積層構造に対して、所定方向に延びるキャビティ部と、所定方向に沿ってキャビティ部を挟むように設けられた反射端部及び出射端部と、を形成する第3の工程と、を有し、第3の工程は、トップクラッドから活性層を介してアンダークラッドに至る少なくとも2個の第1溝部と、第1溝部の間に配置された少なくとも1個の第1壁部と、を有する反射端部を形成する工程と、トップクラッドから活性層を介してアンダークラッドに至る少なくとも1個の第2溝部と、1個の第2壁部と、を有する出射端部を形成する工程と、を含んでもよい。
この製造方法によれば、低いエネルギでレーザ発振させ、且つ、シングルモード動作を行うことが可能な半導体レーザ素子を得ることができる。
別の形態において、第1の工程は、基体を準備する工程と、基体の表面にアンダークラッドと接合するバッファ層を設ける工程と、を有してもよい。この工程によれば、基板とアンダークラッドとの間の格子不整合による格子欠陥と熱膨張係数差によるクラックの発生を低減することができる。
別の形態において、バッファ層を設ける工程では、カルシウム、ストロンチウム、及びユウロピウムの何れか一つを含む第1の層と、IV−VI族半導体により形成される第2の層と、を交互に積層させてもよい。この工程によれば、基板とアンダークラッドとの格子不整合による格子欠陥と熱膨張係数差によるクラックの発生を低減しつつ、さらに基板とアンダークラッドとの間の導通を確保することができる。
別の形態において、バッファ層を設ける工程は、カルシウム、ストロンチウム、及びユウロピウムの何れか一つを含む材料と、IV−VI族半導体を含む材料と、を並行して基体に蒸着させてもよい。この工程によっても、基板とアンダークラッドとの格子不整合による格子欠陥と熱膨張係数差によるクラックの発生を低減しつつ、さらに基板とアンダークラッドとの間の導通を確保することができる。
本発明によれば、低いエネルギでレーザ発振させ、且つ、シングルモード動作を可能とする半導体レーザ素子及び半導体レーザ素子の製造方法が提供される。
図1は、実施形態に係る半導体レーザ素子を示す斜視図である。 図2は、バンド構造を示す図である。 図3の(a)部は反射端部を拡大して示す斜視図であり、図3の(b)部は出射端部を拡大して示す斜視図である。 図4は、反射率を示すグラフである。 図5は、半導体レーザ素子の主要な製造工程を示すフロー図である。 図6は、実験例1に係る半導体レーザ素子の発光スペクトルを示すグラフである。 図7は、実験例2に係る量子効率を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示されるように、実施形態に係る半導体レーザ素子1は、いわゆる端面発光型のレーザ素子である。半導体レーザ素子1は、出射端面1aからレーザ光Lを出射する。半導体レーザ素子1は、IV−IV族半導体により構成されたレーザである。出射されるレーザ光Lは、中赤外光の波長帯域(波長:3μm以上20μm以下)を有する。例えば、IV−VI族半導体レーザ素子に利用される半導体には、PbSrS/PbS、PbCaS/PbS(波長:3μm以上4μm以下)、PbSrSe/PbSe(波長:4μm以上7μm以下)、PbEuTe/PbTe、PbCaTe/PbTe(波長4μm以上6μm以下)、及びPbSnTe(波長6μm以上)などがある。
半導体レーザ素子1は、電流注入型のレーザ素子である。なお、半導体レーザ素子1は、光励起型とすることもできる。例えば、光ファイバレーザやAlGaAs/GaAs等の近赤外半導体レーザを直径30μm程度に集光し、半導体レーザ素子1に照射することにより励起してもよい。
半導体レーザ素子1は、複数の半導体層が積層された構造を有する。そして、半導体レーザ素子1は、レーザ光Lの出射方向A(所定方向)に延びている。半導体レーザ素子1は、キャビティ2(キャビティ部)と、反射端部3と、出射端部4と、を有する。レーザ光は、キャビティ2内を出射方向Aに沿って反射端部3と出射端部4との間で往復し、増幅される。そして、往復するレーザ光Lの一部は、出射端部4から出射される。
半導体レーザ素子1の長手方向における長さは、例えば30μm程度である。このような長さの半導体レーザ素子1は、レーザ発振に要するエネルギの閾値を低減することができる。また、半導体レーザ素子1は、長手方向における長さによって、共振波長が決まる。長さが大きくなるに従って、高調波の数が増える傾向にある。従って、30μm程度である半導体レーザ素子1は、高調波の数を低減できるので、シングルモード動作に適している。
半導体レーザ素子1は、基板6と、レーザ構造7(端面発光レーザ部)と、を有する。
基板6は、基体8と、バッファ9(バッファ層)と、を有する。基体8は、p型シリコン(111)により形成される。シリコンの熱伝導率は、150W/mK程度であり、IV−IV族半導体の熱伝導率に対して約100倍である。従って、レーザ構造7(具体的には活性層12)において生じた熱を効率よく外部に排出できるので、室温付近での良好なレーザスペクトルを得ることができる。基体8は、主面8aと裏面8bとを有する。主面8aには、バッファ9が形成される。この主面8aは、<111>面に対して1度以上5度以下の傾斜した面である。裏面8bには、第2電極9Bが設けられる。
バッファ9は、基体8とレーザ構造7との間に設けられる。バッファ9は、シリコンによる基体8と、レーザ構造7との格子不整合による格子欠陥と熱膨張係数差によるクラックの発生を調整するものである。また、バッファ9は、基体8とレーザ構造7との間の導電性を確保する。つまり、バッファ9は、導電性を有する。バッファ9は、複数の第1の層9aと第2の層9bとが積層された構成を有する。このような層は、短周期超格子初期層ということもできる。第1の層9aは、例えば、カルシウム、ストロンチウム、ユウロピウムのいずれかからなる。第2の層9bは、レーザ構造7と同じ材料からなる。第1の層9a及び第2の層9bの厚さは、それぞれ10nm程度である。バッファ9は、例えば、エピタキシャル成長により形成してもよい。
なお、バッファ9は、短周期超格子初期層に限定されない。例えば、カルシウム、ストロンチウム或いはユウロピウムとIV−VI族半導体を並行して蒸着することにより、金属元素過剰状態として形成してもよい。このようなバッファ9も、エピタキシャル成長により良好な結果を得ることができる。
バッファ9は、n型CaTe/PbTe短周期超格子やn型PbTeであってもよい。CaTe/PbTe短周期超格子バッファ層がn型である場合、基板6とレーザ構造7との接合界面、より詳細には基板6とバッファ9との接合界面の電気抵抗を低減することができる。従って、n型CaTe/PbTe短周期超格子によるバッファ9を備える半導体レーザ素子によれば、電流注入型において低電圧駆動を可能とすることができる。図2の(a)部は、p型シリコンとn型PbTeとのヘテロ接合によるバンド構造を示す。p型Siとn型CaTe/PbTe短周期超格子とのヘテロ接合によるバンド構造も同様である。このヘテロ接合によれば、n型PbTeの伝導帯の最低エネルギ(E)が、p型シリコンの価電子帯の最大エネルギ(E)よりも小さくなる。従って、p型シリコンの価電子帯中の電子をn型PbTe中へ容易に流すことができ、接合界面における電気抵抗が小さくなる。
図2の(b)部は、p型シリコンとp型PbTeとのヘテロ接合によるバンド構造を示す。このヘテロ接合によれば、正孔に対してPbTeのバンドギャップが障壁として働く。従って、図2の(a)部に示される構成よりも接合界面における抵抗が大きくなる。p型シリコンとp型CaTe/PbTe短周期超格子のヘテロ接合においても同様である。さらに、図2の(c)部は、n型シリコンとn型PbTeとのヘテロ接合によるバンド構造を示す。このヘテロ接合によれば、n型PbTeの伝導帯の最低エネルギ(E)が、n型シリコンの価電子帯の最大エネルギ(E)よりもより小さいため、界面には大きなポテンシャルのスパイクが生じる。従って、図2の(c)部に示され構成は、図2の(a)の構成よりも接合界面における抵抗が大きくなる。
また、シリコン基板上へのIV−VI族半導体のエピタキシャル成長には、シリコンと格子定数が近いフッ化カルシウムを用いてもよい。この場合、フッ化カルシウムは絶縁体であるので、電流注入型のレーザ素子ではなく、光励起型のレーザ素子として構成できる。
レーザ構造7は、アンダークラッド11と、活性層12と、トップクラッド13と、を有する。これらの層群は、基板6側からこの順に積み重なっている。具体的には、基板6のバッファ9上にアンダークラッド11が設けられる。アンダークラッド11上に活性層12が設けられる。そして、活性層12上にトップクラッド13が設けられる。
活性層12は、例えば、厚さが0.7μmであり、PbSにより形成される。PbSのバンドギャップは、室温(25℃)において410meVであり、液体窒素温度(−196℃)において300meVである。従って、この活性層12によれば、波長が3μm以上4μm以下の領域であるレーザ光が得られる。なお、活性層12は、PbSrS/PbSにより形成された多重量子井戸構造を採用してもよい。この構造によれば、波長を2.5μmまで短波長化することができる。活性層12は、分離閉じ込め型(SCH)を採用してもよい。この構造によれば、レーザ発振のための閾値をさらに低減することができると共に、発振波長を制御することができる。なお、活性層12の材料として、PbCaTe/PbTe、PbSrSe/PbSeやPbSnTe等のIV−VI族鉛塩半導体を用いてもよい。これらの材料によれば、波長2.5μm以上30μm以下までの広い波長領域のレーザの低閾値及びシングルモード動作が可能になる。
トップクラッド13は、例えば、厚さが0.7μmであり、PbSrSにより形成される。また、トップクラッド13には、ストライプ構造を設ける。ストライプ構造は、例えば、幅が3μmであり、出射方向Aに沿った長さが26μmである。また、半導体レーザ素子1は、電流注入駆動型であるので、アンダークラッド11とトップクラッド13とによりpn接合を形成する。上記のとおり、アンダークラッド11を、n型半導体とした場合には、トップクラッド13としてp型半導体を採用する。
既に述べたように、レーザ構造7は、キャビティ2と、反射端部3と、出射端部4と、を有する。反射端部3及び出射端部4は、出射方向Aに沿ってキャビティ2を挟むように設けられる。
図3の(a)部に示されるように、反射端部3は、活性層12におけるレーザ光Lを反射する。反射端部3は、第1溝部14と、壁部16(第1壁部)と、第2溝部17と、を有する。つまり、反射端部3は、互いに異なる屈折率を有する層が交互に配置された構成により、レーザ光Lを反射する。反射端部3における反射率は、例えば、90%以上に設定される。この反射率は、交互に配置される溝部と壁部の繰り返し数に基づく。つまり、溝部と壁部の繰り返し数が多くなるほど、反射率は大きくなる。
例えば、図4は、波長と反射率との関係を示すグラフである。グラフG3a、G3b、G3cは、溝部と壁部との構成が異なる場合の反射特性を示す。PbSと空気との界面における光反射率は、35%程度である。例えば、グラフG3aに示されるように、溝部が一つである場合には、溝両端面における反射光の干渉効果により波長:2μm以上4μm以下の領域において反射率は0.70程度になる。溝部が一つであり、さらに厚みが0.2μmである壁部を一つ有する場合(実施形態における出射端面1aに相当)には、グラフG3bに示されるように、反射率は0.90以上に増加する。さらに、溝部が2つであり、さらに壁部を一つ有する場合(実施形態における反射端部3に相当)には、グラフG3cに示されるように、反射率は最大で0.98程度である。つまり、多層膜ミラーの層数を増やすことにより、端面における反射率を大幅に増加させることが可能である。従って、短い活性層長さや低い光利得においてもレーザ動作が可能となる。
第1溝部14、壁部16及び第2溝部17は、レーザ光Lの波長に応じた構成を有する。まず、第1溝部14及び第2溝部17の屈折率は、1である。一方、壁部16(PbS)の屈折率は、4程度である。また、第1溝部14及び第2溝部17の溝幅D1は、レーザ光Lの波長に対応する。具体的には、溝幅D1は、λ/4nを満たす。ここで、λは波長であり、nは屈折率である。例えば、レーザ光Lの波長λが3.2μmであるとき、溝幅D1は、0.8μm(3.2/4×1)である。一方、壁部16の厚みD2も、同様に、レーザ光Lの波長に対応する。具体的には、厚みD2は、λ/4nを満たす。例えば、レーザ光Lの波長λが3.2μmであるとき、厚みD2は、0.2μm(3.2/4×4)である。第1溝部14及び第2溝部17は、例えば、深さが2μmである。第1溝部14、及び第2溝部17は、例えば、収束イオンビーム(FIB)加工や、ドライエッチングにより形成される。
図3の(b)部に示されるように、出射端部4は、活性層12におけるレーザ光Lの一部を反射する。さらに、出射端部4は、活性層12におけるレーザ光Lの一部を透過する。つまり、出射端部4は、反射端部3よりも低い反射率を有する。具体的には、出射端部4は、第3溝部18と、壁部19(第2壁部)と、を有する。この構成は、図4に示されるグラフG3bに対応する。従って、出射端部4の反射率は、最大で0.93程度であり、中赤外光領域において出射端部4の反射率は、反射端部3の反射率を下回る。なお、第3溝部18の溝幅D1は、第1溝部14と同じである。また、壁部19の厚みD2は、壁部16と同じである。
上記の構成を有する半導体レーザ素子1は、活性層(PbS)の屈折率が4であるので、3.2μm(388meV)のレーザ光の導波路内での半波長は0.4μmである。従って、キャビティ2内には半波長に換算して50個程度の定在波が生じる。49個あるいは51個の定在波に対する光子エネルギーは、388meVから8meVだけ異なる。従って、それぞれ波長3.14μm及び3.26μmに対応する。レーザの利得領域の幅に基づけば、この半導体レーザ素子1では1種類の定在波のみ増強されシングルモード動作する。半導体レーザ素子1の動作温度を室温から液体窒素温度まで変化させることにより、波長3μm以上4μmまでのシングルモード動作を実現できる。
<製造方法>
次に、図5に示される半導体レーザ素子1の製造方法について説明する。まず、基板6を準備する(第1の工程S10)。具体的には、基体となるシリコン基板を準備し(S11)、基体8の主面8aにバッファ9を設ける(S12)。バッファ層を設ける工程(S12)では、カルシウム、ストロンチウム、及びユウロピウムの何れか一つを含む第1の層と、IV−VI族半導体により形成される第2の層と、を交互に積層させる。
なお、バッファ層を設ける工程(S12)では、カルシウム、ストロンチウム、及びユウロピウムの何れか一つを含む材料と、IV−VI族半導体を含む材料と、を同時に基体8に蒸着させてもよい。
続いて、基板6上にレーザ構造7を設ける(第2の工程S20)。具体的には、基板6のバッファ9上にアンダークラッド11を設けた(S21)後に、アンダークラッド11上に活性層12を設ける(S22)。さらに、活性層12上にトップクラッド13を設ける(S23)。そして、トップクラッド13にストライプ構造を設ける(S24)。
続いて、レーザ構造7にキャビティ2、反射端部3及び出射端部4を設ける(第3の工程S30)。具体的には、レーザ構造7の一方の前端部側において、第3溝部18を設ける。この第3溝部18は、トップクラッド13から活性層12を介してアンダークラッド11に至るように形成される。この工程により、出射端部4が設けられる。また、レーザ構造7の一方の後端部側において、第1溝部14及び第2溝部17を設ける。これらの第1溝部14及び第2溝部17も、トップクラッド13から活性層12を介してアンダークラッド11に至るように形成される。この工程により、反射端部3が設けられる。
以上の工程により、半導体レーザ素子1が得られる。
ところで、典型的な端面発光半導体レーザのキャビティ長は300μm程度であり、中赤外域で動作する量子カスケードレーザでは、低い光利得をカバーするため1mm以上のキャビティ長を使用する場合が多い。これらのレーザにおいてシングルモード動作させるには、分布帰還型レーザ構造やブラッグ反射型(DBR)レーザ構造が採用されている。一方、外部共振器型面発光レーザでは、上下のミラー間隔を100μm以下に抑えることにより、シングルモード動作が実現されている。
本願発明者らは鋭意検討を重ねた結果、端面発光レーザにおいても、端面での光の反射率を90%以上に高めることによりレーザのキャビティ長を30μm未満に抑えることが原理的に可能であり、それによりキャビティ内に立ち得る光のモード数を低減すればシングルモード動作させることができることを見出した。さらに、キャビティ長を低減することによる活性層面積の低減によるレーザ発振の低閾値化が可能となることが見出した。
本実施形態に係る半導体レーザ素子1は、積層構造を有し、当該積層構造にキャビティ2と反射端部3と出射端部4とを設けた端面発光型のレーザである。このような構成によれば、キャビティ2の長さを短くすることが可能になる。従って、活性層12の面積が低減するので、レーザ発振の閾値を下げることができる。さらに、キャビティ2の長さを短くすることで、キャビティ2に生じ得るレーザ光のモード数が少なくなる。従って、容易にシングルモード動作をさせることができる。よって、半導体レーザ素子1は、低いエネルギでレーザ発振させ、且つ、シングルモード動作を行うことができる。
基板6は、基体8と、基体8の主面8aに設けられ、アンダークラッド11と接合するバッファ9と、を有する。この構成によれば、基板6とアンダークラッド11との格子不整合による格子欠陥と熱膨張係数差によるクラックの発生を低減することができる。
バッファ9は、第1の層9aと第2の層9bとが交互に積層され、第1の層9aは、カルシウム、ストロンチウム、及びユウロピウムの何れか一つにより形成され、第2の層9bは、IV−VI族半導体により形成される。この構成によれば、基板6とアンダークラッド11との格子不整合による格子欠陥と熱膨張係数差によるクラックの発生を低減しつつ、さらに基板6とアンダークラッド11との間の導通を確保することができる。
半導体レーザ素子1は、トップクラッド13に設けられた第1電極9Aと、基板6に設けられた第2電極9Bと、をさらに備える。第1電極9Aと第2電極9Bとの間には、電圧が印加されて、トップクラッド13と基板6との間に流れる電流によって活性層12が励起される。この構成によれば、半導体レーザ素子1を電流注入型の素子とすることができる。
基板は、p型シリコンにより形成され、アンダークラッド11は、n型IV−VI族半導体により形成される。この構成によれば、基板6とアンダークラッド11との間の電気抵抗値を低減できる。そうすると、電流注入型の半導体レーザ素子1において、レーザ発振の閾値をさらに下げることができる。
<実験例1>
図6は、半導体レーザ素子1をパルス光励起によって発振させた場合のレーザ光の発光スペクトルを示す。図5に示されるように、半導体レーザ素子1を室温まで各温度に応じたパルス動作させ得ることがわかった。
<実験例2>
図7は、量子効率を示すグラフである。横軸は励起光のエネルギを示す。縦軸は出射されるレーザ光のエネルギを示す。実験例2では、半導体レーザ素子1を所定の温度に設定し、その状態において励起光のエネルギを変化させながら出射されるレーザ光のエネルギを測定した。その結果、温度が低下するほどに、レーザ光のエネルギが大きくなることがわかった。つまり、同じエネルギを有する励起光であっても、半導体レーザ素子1の温度が低いほど出射されるレーザ光のエネルギが上昇することがわかった。つまり、量子効率が大きくなることがわかった。なお、破線は量子効率1に相当する値である。
1…半導体レーザ素子、1a…出射端面、2…キャビティ、3…反射端部、4…出射端部、6…基板、7…レーザ構造、8…基体、8a…主面、8b…裏面、9…バッファ、9a…第1の層、9b…第2の層、9A…第1電極、9B…第2電極、11…アンダークラッド、12…活性層、13…トップクラッド、14…第1溝部、16…壁部、17…第2溝部、18…第3溝部、19…壁部、A…出射方向、L…レーザ光、D1…溝幅、D2…厚み。

Claims (9)

  1. シリコンにより形成された基板と、
    前記基板上に設けられると共にIV−VI族半導体により形成されたアンダークラッド、活性層及びトップクラッドがこの順に積層された積層構造を有し、前記積層構造には、所定方向に延びるキャビティ部と、前記所定方向に沿って前記キャビティ部を挟むように設けられた反射端部及び出射端部と、が設けられた端面発光レーザ部と、を備え、
    前記反射端部には、前記トップクラッドから前記活性層を介して前記アンダークラッドに至る少なくとも2個の第1溝部と、前記第1溝部の間に配置された少なくとも1個の第1壁部と、が設けられ、
    前記出射端部には、前記トップクラッドから前記活性層を介して前記アンダークラッドに至る少なくとも1個の第2溝部と、1個の第2壁部と、が設けられる、半導体レーザ素子。
  2. 前記基板は、基体と、前記基体の表面上に設けられるアンダークラッドと接合するバッファ層と、を有する、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記バッファ層は、第1の層と第2の層とが交互に積層され、
    前記第1の層は、カルシウム、ストロンチウム、及びユウロピウムの何れか一つを含んで形成され、
    前記第2の層は、IV−VI族半導体により形成される、請求項2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記トップクラッドに設けられた第1電極と、
    前記基板に設けられた第2電極と、をさらに備え、
    前記第1電極と前記第2電極との間には、電圧が印加されて、前記トップクラッドと前記基板との間に流れる電流によって前記活性層が励起される、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記基板は、基体と、前記基体の表面上に設けられると共に前記アンダークラッドと接合するバッファ層と、を有し、
    前記基板は、p型シリコンにより形成され、
    前記バッファ層は、n型IV−VI族半導体により形成される、請求項4に記載の半導体レーザ素子。
  6. シリコンにより形成された基板を準備する第1の工程と、
    前記基板上にIV−VI族半導体により形成されたアンダークラッド、活性層及びトップクラッドがこの順に積層された積層構造を形成する第2の工程と、
    前記積層構造に対して、所定方向に延びるキャビティ部と、前記所定方向に沿って前記キャビティ部を挟むように設けられた反射端部及び出射端部と、を形成する第3の工程と、を有し、
    前記第3の工程は、
    前記トップクラッドから前記活性層を介して前記アンダークラッドに至る少なくとも2個の第1溝部と、前記第1溝部の間に配置された少なくとも1個の第1壁部と、を有する前記反射端部を形成する工程と、
    前記トップクラッドから前記活性層を介して前記アンダークラッドに至る少なくとも1個の第2溝部と、1個の第2壁部と、を有する前記出射端部を形成する工程と、を含む、半導体レーザ素子の製造方法。
  7. 前記第1の工程は、
    基体を準備する工程と、
    前記基体の表面に前記アンダークラッドと接合するバッファ層を設ける工程と、を有する、請求項6に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
  8. 前記バッファ層を設ける工程では、カルシウム、ストロンチウム、及びユウロピウムの何れか一つを含む第1の層と、IV−VI族半導体により形成される第2の層と、を交互に積層させる、請求項7に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
  9. 前記バッファ層を設ける工程は、カルシウム、ストロンチウム、及びユウロピウムの何れか一つを含む材料と、IV−VI族半導体を含む材料と、を並行して前記基体に蒸着させる、請求項7に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
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