JP6581419B2 - 分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子 - Google Patents

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Description

本発明は、分布帰還型(DFB)横マルチモード半導体レーザ素子に関する。
DFB半導体レーザ素子は、例えば、下記特許文献1及び特許文献2に記載されている。DFB半導体レーザ素子は、下部クラッド層と、下部クラッド層上に形成された活性層と、活性層上に形成された上部クラッド層と、下部クラッド層又は上部クラッド層に設けられた回折格子層とを備えており、回折格子層により規定される波長のレーザ光が活性層から出射されるものである。
レーザ光の横断面の幅方向(活性層の幅方向)に沿ったレーザ光の強度分布は、導波モードとして、水平横モードを示している。水平横モードにおける基本モードは、強度分布のピーク位置が、活性層の幅方向の中心に位置するが、活性層の幅方向の寸法が、基本モードの強度分布長よりも長い場合、複数のモードのレーザ光が、活性層内に存在し、複数の強度分布ピークを有する横マルチモードとなる。
なお、横モード、すなわち、導波モードは、波動方程式と境界条件を同時に満たす解が単一となる場合(カットオフ条件)に、シングルモードとなり、複数となる場合に、マルチモードとなる。水平横モードが、シングルモードの半導体レーザ素子としては、特許文献3に記載のものが知られており、共振器幅の狭い半導体レーザ素子が開示されている。
レーザ光の横断面の厚み方向(活性層の厚み方向)に沿ったレーザ光の強度分布は、レーザ光の強度分布は垂直横モードを示している。垂直横モードにおいては、レーザ光の強度分布のピーク位置が1つに設定するように、活性層の厚みを設定することができる。
レーザ素子の共振器長方向(活性層の共振器長方向)、すなわち光の進行方向の共振モードは、縦モードである。ファブリペローレーザ素子においては、縦モードにおいて、共振条件を満たす基本モードの波長と、その整数倍の波長が複数存在するため、縦マルチモードの発振が生じ、複数の波長を有するレーザ光が活性層から出力される。また、特許文献4に開示のように、DFB半導体レーザにおいては、活性層において発生したレーザ光の中で、特定の波長成分を有するものを、回折格子層により選択し、縦モードにおいて、シングルモード発振を行わせることが可能である。
上述のDFB横マルチモード半導体レーザ素子は、例えば、レーザ加工機におけるレーザ媒質の励起光源や、光ピックアップなどに用いられている。
特許3204474号公報 特許3707846号公報 特開昭63−222487号公報 特開2000−357841号公報
しかしながら、上述のDFB横マルチモード半導体レーザ素子においては、出力及び波長安定性が高くなるが、駆動電流のダイナミックレンジを広くしても、縦モードにおいて、選択した波長のレーザ光が出力されることが期待される。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、縦モードにおいて、選択した波長のレーザ光を出力可能な駆動電流のダイナミックレンジを広くすることが可能なDFB横マルチモード半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、第1の発明に係る1W〜10Wのレーザ出力が可能で、発光幅が10μm以上の分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子は、活性層と、前記活性層を挟むクラッド層と、前記活性層において発生したレーザ光に重なる回折格子層とを備え、前記回折格子層と前記活性層との間の結合係数κ=2.0〜2.5(cm −1 )であり、共振器長をLとした場合に、κL=0.8〜1.0であり、前記活性層において発生する光の利得スペクトルのピーク値に相当するエネルギーバンドギャップをEp、前記回折格子層の選択する選択スペクトルのピーク値に相当するエネルギーバンドギャップをEDFB、とした場合、0℃において、Ep−6.4meV≦EDFB≦Ep、を満たすことを特徴とする。
また、エネルギーバンドギャップを波長に換算した場合、第2の発明に係る1W〜10Wのレーザ出力が可能で、発光幅が10μm以上の分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子は、活性層と、前記活性層を挟むクラッド層と、前記活性層において発生したレーザ光に重なる回折格子層と、を備え、前記回折格子層と前記活性層との間の結合係数κ=2.0〜2.5(cm −1 )であり、共振器長をLとした場合に、κL=0.8〜1.0であり、前記活性層において発生する光の利得スペクトルのピーク値の波長をλp、前記回折格子層の選択する選択スペクトルのピーク値の波長をλDFB、とした場合、0℃において、λp≦λDFB≦λp+5nmを満たすことを特徴とする。
また、第3の発明では、0℃において、Ep−6.4meV=E DFB の場合を除く。第4の発明では、λ DFB =λp+5nmの場合を除く。第5の発明では、活性層はInGaAsであり、クラッド層はAlGaAsである。
上述の条件の場合、駆動電流を大きく変化させた場合においても、レーザ光のスペクトル内において、DFBに基づく発振が生じつつも、ファブリペローに基づく発振が大きく抑制され、単一波長のレーザ光を出力することができる。すなわち、駆動電流のダイナミックレンジを広くすることができる。
本発明の分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子によれば、選択した波長のレーザ光を出力可能な駆動電流のダイナミックレンジを広くすることができる。
半導体レーザ装置の斜視図である。 DFB半導体レーザ素子の斜視図である。 DFB半導体レーザ素子の縦断面図である。 回折格子層の縦断面図である。 半導体レーザ素子を励起用LD(レーザダイオード)として用いたレーザ装置のブロック図である。 波長(nm)と光出力(dB)の関係を示すグラフである。 LD温度−8℃において、光出力(W)と波長(nm)の関係を示すグラフ(A)、LD温度0℃において、光出力(W)と波長(nm)の関係を示すグラフ(B)、LD温度10℃において、光出力(W)と波長(nm)の関係を示すグラフ(C)である。 DFBのレーザ発振のみが行われた光出力(W)と温度の条件を示す図表である。 LD温度−8℃、光出力6Wにおけるレーザ光の波長(nm)と光出力(a.u.)の関係を示すグラフ(A)、LD温度0℃、光出力6Wにおけるレーザ光の波長(nm)と光出力(a.u.)の関係を示すグラフ(B)、LD温度10℃、光出力7Wにおけるレーザ光の波長(nm)と光出力(a.u.)の関係を示すグラフ(C)である。 LD温度−8℃において、λpとλDFBの関係を示す図表である。 LD温度0℃において、λpとλDFBの関係を示す図表である。 LD温度10℃において、λpとλDFBの関係を示す図表である。 波長λとエネルギーバンドギャップEgを示す図表である。 レーザ素子に供給する電流(A)と光出力(W)との関係を示すグラフである。 波長(nm)と光出力(dB)との関係を示すグラフである。 モード利得Γgと光子エネルギーとの関係を示すグラフである。 モード利得Γgと光子エネルギーとの関係を示すグラフである。 各種関係式を示す図表である。
以下、実施の形態に係る分布帰還型(Distributed Feedback(DFB))横マルチモード半導体レーザ素子について説明する。なお、同一要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、半導体レーザ装置の斜視図である。
半導体レーザ装置100は、上面に段差を有するベース30と、ベース30の下段面上に固定されたサブマウント20と、サブマウント20上に導電性のペースト等で下面が固定されたDFB半導体レーザ素子(以下、半導体レーザ素子10)とを備えている。ベース30の上段面と、半導体レーザ素子10の上部電極E1との間には、複数のワイヤWが接続されている。ベース30は、上段面導体部材31と下段面導体部材32とからなり、上段面導体部材31と下段面導体部材32との間には、セラミックの絶縁体が設けられている。
共振器長を規定する上部電極E1の長さは4mm、上部電極E1の幅(発光幅)は100μmである。
図2は、半導体レーザ素子の斜視図である。
半導体レーザ素子10は、基板1と、基板1上に形成された下部クラッド層2と、下部クラッド層2上に形成された活性層3と、活性層3上に形成された上部クラッド層4(4a,4b)と、上部クラッド層4に設けられた回折格子層GRと、上部クラッド層4上に形成されたコンタクト層5と、コンタクト層5上に形成された上部電極E1とを備えている。なお、基板1の下面には、金などの導電性ペーストなどで下部電極が形成される。
上部クラッド層4は、第1上部クラッド層4aと、第2上部クラッド層4bとからなり、回折格子層GRは、これらの間に挟まれている。回折格子層GRは、ストライプ状の凹凸構造を備えており、第2上部クラッド層4bは、凹凸構造の凹部内に埋め込まれる。上部クラッド層4と、回折格子層GRとは、屈折率が異なっており、共振器長方向に沿って、屈折率の異なる領域が交互に存在することとなる。
また、回折格子層GRは、上部クラッド層4に設けたのと同様に、下部クラッド層2に設けることとしてもよい。これらのクラッド層は上下を反転すれば、等価だからである。なお、上部クラッド層と下部クラッド層とでは、導電型が異なる。下部クラッド層2に回折格子層を設ける場合、下部クラッド層2は、上部クラッド層4と同様に2つに分割することができる。
図3は、半導体レーザ素子の縦断面図である。
この図は、より詳細な構造を示しており、半導体レーザ素子10は、活性層3と下部クラッド層2との間に、外側から順番に、第1光ガイド層3G1、第1傾斜組成層3C1、隣接光ガイド層3g1を備えており、活性層3と第1上部クラッド層4aとの間に、外側から順番に、第2光ガイド層3G2、第2組成傾斜層3C2、隣接光ガイド層3gを備えている。なお、活性層3に隣接する隣接光ガイド層3g1,3g2は、基板1に近い方が厚く、また、組成傾斜層3C1,3C2は、Al組成が、活性層3に近づくにしたがって、徐々に減少する層である。また、同図では、基板1の裏面側に下部電極E2を示してある。
なお、上記の各層の材料/厚みは、以下の通りである。
Figure 0006581419
なお、不純物濃度の好適範囲は、上記濃度の1/10倍〜10倍であり、各層の厚みは、例示的には、±50%程度の誤差を含んだ場合においても、動作し、この場合にも、レーザ光が十分に発光する。また、回折格子層におけるAlの組成は、0%よりも大きく10%以下であることが好ましい。なぜならば、回折格子作製工程において当該面は一旦大気曝露され、活性の高いAlが10%より多く含まれる場合、著しい自然酸化によるデバイス特性悪化が誘発されるためである。Alが含まれた場合には、再成長の加熱過程における、回折格子の形状変化が抑制されるという利点がある。コンタクト層、上部クラッド層、回折格子層のP型不純物はZn、基板、下部クラッド層、第1光ガイド層、第1組成傾斜層のN型不純物はSiを用いることができる。また、P型とN型の導電型を入れ替えても、レーザ素子は動作する。
また、第2光ガイド層3G2(AlGa1−XAs:X=0.25)と活性層3との間には隣接光ガイド層3g2(AlGa1−XAs:X=0.18)と、これらの間の組成を有する組成傾斜層3C2(AlGa1−XAs:X=0.25〜0.18)を挿入することができ、第1光ガイド層3G1(AlGa1−XAs:X=0.25)と活性層3との間には、隣接光ガイド層3g1(AlGa1−XAs:X=0.18)と、これらの間の組成を有する組成傾斜層3C1(AlGa1−XAs:X=0.25〜0.18)を挿入することができるが、これらの層は省略することもできる。全ての光ガイド層は、活性層よりもエネルギーバンドギャップが大きく設定されるが、活性層に近い方の光ガイド層のエネルギーバンドギャップは、遠い方よりも小さく設定される(すなわち、Al組成比Xが小さい)。
なお、各層におけるAl組成について詳説すれば、クラッド層のAl組成は、回折格子層のAl組成とは異なり、屈折率が異なる。AlGa1−XAsにおいては、Alの組成比Xが高いほど、エネルギーバンドギャップは大きくなり、屈折率は小さくなる。クラッド層におけるAl組成は、例えば、P側の上部クラッド層においてX=0.45、N側の下部クラッド層においてX=0.33(33%)に設定され、活性層に近い方の光ガイド層のAl組成は、例えば、共にX=0.15(15%)に設定され、活性層から遠い方の光ガイド層3G1,3G2のAl組成は、例えば、共にX=0.25(25%)に設定される。回折格子層以外の各層のAl組成比Xは、±0.05(=5%)の誤差を含んでも動作することができる。
なお、形成方法は、MOCVD(有機金属気相成長)法を用いることができる。Alを含む場合はTMA(トリメチルアルミニウム)、Gaを含む場合はTMG(トリメチルガリウム)、Asを含む場合にはアルシンを原料として用いることができる。AlGaAsの成長温度は700℃前後であり、これらの材料の成長方法は良く知られている。
上述の構造の製法の一例としては、N型GaAs基板上に、N型Al0.33Ga0.67Asクラッド層、InGaAs量子井戸層を含むAlGaAs系アンドープ光ガイド層、P型Al0.45Ga0.55As第1クラッド層(約40nm)、P型Al0.1Ga0.9As回折格子層(約50nm)を順次成長する。次に、干渉露光法と、ウェットエッチングによって回折格子を作製する。回折格子の周期Λは、λp≦λDFB≦λp+5nmの範囲となるよう設定する。結合係数は構造によって一義的に決まり、当該構造であれば、κ=2.0〜2.5(cm−1)の範囲となる。次に、回折格子が切られたウェハを表面処理し、速やかに結晶成長炉に導入し、p型Al0.45Ga0.55As第2クラッド層と、p型GaAsコンタクト層を成長する。完成したレーザ結晶には、電極を形成する。電極の幅は100μmであり、共振器長4mmに劈開されたウェハの出射面と反射面には、それぞれ所望の反射率を有する誘電体多層膜を形成し、半導体レーザ素子は、ジャンクションダウン型でサブマウントに半田付けすることができる。
図4は、回折格子層GRの縦断面図である。これは、共振器長と厚み方向を含む平面で回折格子層GRを切った断面である。
このように回折格子層GRは、閃亜鉛鉱型構造のIII−V族化合物半導体からなり、幅方向に沿って延びた複数の凸部及び凹部からなる凹凸構造を有しており、なお、凹凸構造は、エッチングによって形成することができるが、エッチングによって凹部が回折格子層を構成するAlGaAs層の底面に到達しないようにする。
図5は、半導体レーザ装置100を励起用LDとして用いたレーザ装置のブロック図である。
励起用LDとしての半導体レーザ装置100から出射されたレーザ光は、YAG結晶などのレーザ媒質101に入射し、レーザ媒質101を励起する。レーザ媒質101に種光を入射させた場合や、励起用のレーザ光自身により、レーザ媒質101を挟む反射ミラー102、102間を往復するレーザ光が増幅され、反射率の低い方の反射ミラー103からレーザ光が出射する。出射したレーザ光は、反射ミラー104、反射ミラー105を介して、一次元又は二次元のガルバノメータなどの走査装置106に入力され、対物レンズとしてのfθレンズ107を介して、テーブル108上の対象物109に入射する。励起光の波長は、本例では、976nmである。
図6は、波長(nm)と光出力(dB)の関係を示すグラフである。
このグラフは、半導体レーザ素子の活性層において発生したレーザ光の利得スペクトルを示しており、波長λp=976nmの位置にスペクトルのピークが位置する。回折格子層の選択する波長λDFBは、ピーク波長λp以上、λp+5(nm)以下に設定する。
すなわち、活性層3において発生する光の利得スペクトルのピーク値の波長をλp、回折格子層GRの選択する選択スペクトルのピーク値の波長をλDFBとした場合、λp≦λDFB≦λp+5nmを満たす。
上述の条件の場合、駆動電流を大きく変化させた場合においても、レーザ光のスペクトル内において、DFBに基づく発振が生じつつも、ファブリペローに基づく発振が大きく抑制され、単一波長のレーザ光を出力することができる。すなわち、駆動電流のダイナミックレンジを広くすることができる。
以下、詳説する。
図7は、LD(レーザダイオード)温度−8℃において、光出力(W)と波長(nm)の関係を示すグラフ(A)、LD温度0℃において、光出力(W)と波長(nm)の関係を示すグラフ(B)、LD温度10℃において、光出力(W)と波長(nm)の関係を示すグラフ(C)である。なお、構成要素の材料は上述の通りである。
また、共振器内部に周期Λ、次数mの回折格子が刻設されている場合、回折格子層で選択される波長は、λDFB=(2ΛNeff )/mとなる。Neff は、導波モードに対応する等価屈折率であり、上付き添え字の0は基底モードを意味する。
なお、図10は、LD温度−8℃において、λpとλDFBの関係を示す図表、図11は、LD温度0℃において、λpとλDFBの関係を示す図表、図12はLD温度10℃において、λpとλDFBの関係を示す図表、図13は波長λとエネルギーバンドギャップEgを示す図表である。
図7(A)に示すように、LD温度−8℃において、光出力7Wから9Wにおいて選択した波長による発振が得られた。
図7(C)及び図12に示すように、LD温度10℃において、光出力1Wから4Wにおいて選択した波長による発振が得られた。
図7(B)及び図11に示すように、LD温度0℃において、光出力1Wから9Wにおいて選択した波長による発振が得られた。このときのΔλの最大値は、5.0nmであり、LD発振時の利得関係をλDFB=λp+5nmとすることでDFB発振範囲を最大にすることができる。
具体的には、図13に示すように、273K=0℃、光出力1Wにおけるλp=969.1nm、λDFB=974.1nmであり、回折格子層内の屈折率の周期Λは432.4nmに設定した。
図7(A)に示すように、LD温度−8℃の場合、回折格子層の選択したレーザ光(DFB)が波長973.7nmから975.1nmの範囲で分布する一方で、活性層で発生したそのもののレーザ光(ファブリペローの発振:FP)が、波長967.4nmから972nmの範囲において、分布する。すなわち、駆動電流を大きく変化させると、複数のピーク波長のレーザ光(DFB、FP)が、半導体レーザ素子から出力される。
図7(C)に示すように、LD温度10℃の場合、回折格子層の選択したレーザ光(DFB)が波長974.8nmから976.2nmの範囲で分布する一方で、活性層で発生したそのもののレーザ光(ファブリペローの発振:FP)が、波長970.7nmから981.5nmの範囲において、分布する。すなわち、駆動電流を大きく変化させると、複数のピーク波長のレーザ光(DFB、FP)が、半導体レーザ素子から出力される。
図7(B)に示すように、LD温度0℃の場合、回折格子層の選択したレーザ光(DFB)のみが波長974.1nmから975.5nmの範囲で分布するが、活性層で発生したそのもののレーザ光(ファブリペローの発振:FP)は、光出力が1W〜9Wの範囲内において、観察されない。すなわち、駆動電流を大きく変化させても、選択したピーク波長のレーザ光のみが、半導体レーザ素子から出力される。
図8は、DFBのレーザ発振のみが行われた光出力(W)と温度の条件を示す図表である。DFBに基づく単一のピーク波長のレーザ光のみが出力された場合は、丸印を記載し、そうでない場合には×印を記載してある。
図7(A)、図8、図10に示すように、265K(−8℃)においては、光出力を7W〜9Wまで変化させても、DFBに基づく単一のピーク波長のレーザ光のみしか出力されなかった。図7(B)、図8、図11に示すように、273K(0℃)においては、光出力を1W〜9Wまで変化させても、DFBに基づく単一のピーク波長のレーザ光のみしか出力されなかった。図7(C)、図8、図12に示すように、283K(10℃)においては、光出力を少なくとも1W〜4Wまで変化させても、DFBに基づく単一のピーク波長のレーザ光のみしか出力されなかった。303K(20℃)においては、光出力を1W〜3Wまで変化させても、DFBに基づく単一のピーク波長のレーザ光のみしか出力されなかった。313K(30℃)においては、光出力を1Wにおいては、DFBに基づく単一のピーク波長のレーザ光のみしか出力されなかった。その他の光出力(駆動電流)の場合には、FPや他のモードの発振が観察された。
なお、波長をλ、光出力をIとした場合、図7の各データを結ぶ関数λ=f(I)は、以下の式で与えられる。
図7(A)のFPのデータ(−8℃)を結ぶ直線近似式は、λ=0.8296I+967.15、相関係数Rの2乗は。R=0.9666である。
図7(A)のDFBのデータ(−8℃)を結ぶ直線近似式は、λ=0.27I+972.6、相関係数Rの2乗は。R=0.961である。
図7(B)のDFBのデータ(0℃)を結ぶ直線近似式は、λ=0.175I+973.84、相関係数Rの2乗は。R=0.9643である。
図7(A)と図7(C)のFPのデータから推測される図7(B)のFP(0℃)の直線近似式は、λ=1.1I+968である。
図7(C)のFPのデータ(10℃)を結ぶ直線近似式は、λ=1.4I+968.87、相関係数Rの2乗は。R=0.9983である。
図7(C)のDFBのデータ(10℃)を結ぶ直線近似式は、λ=0.1648I+974.57、相関係数Rの2乗は。R=0.9343である。
図9は、LD温度−8℃、光出力6Wにおけるレーザ光の波長(nm)と光出力(a.u.)の関係を示すグラフ(A)、LD温度0℃、光出力6Wにおけるレーザ光の波長(nm)と光出力(a.u.)の関係を示すグラフ(B)、LD温度10℃、光出力7Wにおけるレーザ光の波長(nm)と光出力(a.u.)の関係を示すグラフ(C)である。
LD温度0℃、光出力6Wでは、単一のピークのレーザ光を出力され、LD温度−8℃、光出力6W及びLD温度10℃、光出力7Wでは、2つのピークのレーザ光を出力されていることが分かる。
なお、0nm≦Δλ≦5nmの範囲外の場合のデメリットは、以下の通りである。すなわち、ファイバーレーザ励起や固体レーザ励起用として、波長安定化した上述のDFB半導体レーザを用いる場合、スペクトルサブモードがあると、スペクトルサブモードの光出力は励起光として寄与しない(吸収スペクトルピークから外れている)ため、励起効率を低下させる原因となる。さらに、スペクトルサブモードによる励起光モードの干渉により、励起後光出力が不安定になる。
図14は、レーザ素子に供給する電流(A)と光出力(W)との関係を示すグラフである。
駆動電流を増加させると、レーザ光の光出力は直線的に増加することがわかる。同図において、電流の値が小さい場合(A)、中程度の場合(B)、大きい場合(C)について、スペクトルを観察すると以下の通りとなった。
図15は、波長(nm)と光出力(dB)との関係を示すグラフである。
このグラフは、半導体レーザ素子の活性層において発生したレーザ光の利得スペクトル(グラフ中のGAIN)と、回折格子層において選択される波長の選択スペクトルを主として含む発光スペクトル(グラフ中のDFB)を示している。
図15における(A)、(B)、(C)のグラフは、それぞれ、図14の小駆動電流領域(A)、中駆動電流領域(B)、高駆動電流領域(C)におけるスペクトルを示している。なお、駆動電流が増加するほど、半導体レーザ素子の温度は上昇する。
(A)のグラフにおいては、λp≦λDFB≦λp+5nmの関係を満たしており、回折格子層の選択した波長(λDFB)のみで発振していることがわかる。該当の駆動電流において、図7(B)と同様のグラフが得られた。具体的には、λDFB=λp+2.5である。
さらに温度が上昇した(B)のグラフにおいては、λp=λDFBの関係となっており、回折格子層の選択した波長(λDFB)のみで発振していることがわかる。該当の駆動電流において、図7(B)と同様のグラフが得られる。
さらに温度が上昇した(C)のグラフにおいてλDFB<λpの関係となっており、回折格子層で選択される波長に起因して発生したスペクトルの他に、活性層で発生したレーザ光のスペクトル、すなわち、ファブリペローの発振スペクトル(グラフ内においてFP)も同時に発生している。すなわち、温度が(A)と(B)の条件においては、ファブリペロー発振に基づくレーザ光の出力は抑制される。
上述のように、実施形態に係るDFB横マルチモード半導体レーザ素子においては、回折格子層の選択する波長λDFBとピーク波長λpとの関係は、0℃において、λp≦λDFB≦λp+5nmを満たしている。この場合、温度の上昇に伴って、利得ピーク波長は、0.3nm/Kで増加し、回折格子層の選択するバンド端波長は0.07nm/Kで増加する。したがって、回折格子層の選択する波長λDFBが、利得スペクトルのピーク波長λpよりも、+5nm以下の範囲で、大きい場合には、それぞれのピーク位置が近接するため、安定した出力が得られるが、λp+5nmよりも増加した場合には、分布帰還及びファブリペローの双方に起因したスペクトルが同時に発生する。
また、横マルチモードのレーザ光が発生し、スペクトルがブロードに拡がるためには、活性層3の電流が流れる領域の幅が、10μm以上を満たしていることが必要である。
上述の波長の関係は、半導体のエネルギーバンドギャップに換算して、説明することができる。
すなわち、上述の波長をエネルギーバンドギャップに換算し、図3を参照すると、上述のDFB横マルチモード半導体レーザ素子は、活性層3と、活性層3を挟むクラッド層2、4と、活性層3において発生したレーザ光に重なり、このレーザ光が入射する回折格子層GRとを備え、活性層3において発生する光の利得スペクトルのピーク値に相当するエネルギーバンドギャップをEp、回折格子層GRの選択する選択スペクトルのピーク値に相当するエネルギーバンドギャップをEDFBとした場合、0℃において、Ep−6.4meV≦EDFB≦Epを満たすことを特徴とする。
図16は、モード利得Γgと光子エネルギーとの関係を示すグラフであり、マルチモードファブリペローレーザの利得スペクトルを示している。
ファブリペロー型半導体レーザの発振条件は、式(3−1)(図18参照)で表される。ここで、RおよびRは、それぞれ前後のファセットミラーのパワー反射率、Γgはモード利得、αintは半導体レーザ素子内を導波路とした場合の導波路内光伝播損失の係数、Lは共振器長である。発振の閾値前後の利得スペクトルを概念的に示している。図中の閾値利得の式は式(3−1)を変形したものである。
駆動電流を増加させて、活性層内で発生するレーザ光の出力が増加すると、光子エネルギーが増加し、閾値利得Epを超えた場合には、レーザ発振が行われ、複数のエネルギーを有する光子(マルチ縦モード)のレーザ光が発生する。
ファブリペロー型半導体レーザの発振条件は、基本的に、マルチモード、シングルモードに依存しない。活性層内に電流を注入し、利得が損失を上回ったとき(図16に示す閾値利得の式において、左辺>右辺となったとき)、利得スペクトルの頂上のEpを中心に発振が開始する。Epで発振が開始すると、その近傍のキャリア消費によって利得スペクトルがくぼむ、いわゆるスペクトルホールバーニングが発生する。これによって、Epの上下の光子エネルギー点の利得が相対的に高くなり、Ep±ΔE(ΔEは適当な定数)での発振が開始する。この現象が連続的に発生することによって、誘導放出光の光子エネルギーは複数の輝線で構成される幅を持ったスペクトルとなる。重要な点は、ファブリペロー型半導体レーザでは、利得スペクトルの頂上付近の振る舞いが発振特性を支配するという点である。
図17は、モード利得Γgと光子エネルギーとの関係を示すグラフであり、横マルチモードDFBレーザの利得スペクトルを示している。
DFBレーザの発振条件は、式(3−2)(図18参照)で表される。ここで、rおよびrは、それぞれ前後のファセットミラーの反射係数であり、RおよびRとはそれぞれ式(3−3)及び式(3−4)(図18参照)のような関係にある。mは回折格子の次数、Λは回折格子の周期である。
式(3−2)において、r、rは、活性層と回折格子との結合係数κに比例し、ブラッグ条件からのずれΔに反比例する関数であり、κ=0のとき両者ともに0となる。γは、利得gと結合係数κによって、γ=−i(g/4−κ1/2で関係付けられる関数である。回折格子が存在しない、つまりΛ=∞、κ=0の場合、式(3−2)は式(3−1)に一致する。
DFB型レーザの場合の式は、ファブリペロー型と類似の形となるが、r、rが結合係数κだけでなく、ブラッグ条件からのずれΔと利得gにも依存する点、および実効的なiγがg以外にκとΔにも依存する点でファブリペロー型レーザとは違ってくる。これは、DFBレーザの場合、図16の利得スペクトルの頂上付近だけが発振に影響する訳ではなく、条件によっては、その裾部分も重要になることを示している。
さらに、横マルチモード型のDFBレーザ素子においては、その広い注入面積に由来して、注入キャリアの空間的不均一が生じ、局所的な高注入域が発生する。これによって、利得スペクトルピークに対し、一桁程度低いモード利得のポイント(この点をEDFBとする。)においても、DFBモードの発振条件が得られるようになる。図17は、当該機構の概念図を示している。
図17では、DFBレーザの閾値利得Th(DFB)のポイントが、ファブリペローレーザの閾値利得Th(FP)よりも低くなっている様子を示している。
活性層のバンドギャップエネルギーによって決まるEpよりも、高いエネルギー(EDFB (+))であっても、低いエネルギー(EDFB (−))であっても、回折格子層の屈折率周期Λの設計により、発振モードを調整することが原理的には可能であるが、DFBモード発振が優勢となる領域を広く得るためには、低いエネルギー(EDFB (−))に設定することが好ましい。当該機構は、励起キャリアの遷移が、低エネルギー側への遷移を選択しやすいことに由来するものである。
1Wから10Wまでの光出力全領域において、DFBモード優勢状態を維持するためには、上述の波長の関係をエネルギーの関係にすればよく、この場合、EDFBは、E−6.4(meV)≦EDFB≦Eを満たすことが望ましい。この有効範囲は、注入キャリアのエネルギー状態と、活性層のバンドギャップエネルギーの相対関係に着目した範囲であるため、材料や発振波長に依存するものではない。また、800nm帯や可視域など他の波長帯でもこの範囲に設定すれば広いダイナミックレンジを得ることが可能となる。なお、λDFB及びEDFBは、回折格子層の周期Λを変更することで、調整することができる。
なお、上述の半導体レーザ素子においては、スペクトルのピークの先端は、複数のピークに割れている。これは、レーザ光の感じる回折格子幅が、波長によって、わずかに異なるためである。
上述の半導体レーザ素子においては、出力レベルは10Wであるが、できる限り広い出力領域(例えば、閾値付近から10Wまで)で単一波長であることが望ましい。単一波長について説明を加えると、一般に、単一波長といえば、線幅サブpmオーダーを指す場合が多い(例えば、通信用レーザ等)。このようなレーザは発光幅が数μmの、いわゆるシングルモード分布帰還型レーザであり、回折格子層のカットオフ条件に従い、1つの空間モードのみのレーザ光が出射される。シングルモード分布帰還型レーザにおいては、基底モードのみのレーザ光であるため、波長は1つだけになるが、マルチモード(ブロードアリア)のDFBレーザ素子の場合、多数の空間モードが存在するため、波長は、それらの線形結合で表示されることとなり、厳密な単一波長にはならない。マルチモードDFBレーザ素子における単一波長性とは、(1)線幅サブnmオーダーで、かつ(2)駆動条件変化による素子温度変化に伴う波長シフト量が0.07nm/K程度である特性を指す。
なお、上述の半導体レーザ素子においては、10W以上の最大出力と、広い出力領域における単一波長性の両立が期待される。これまで出力4Wから6Wまでは単一波長であったが、その他の出力域では多波長化していたものが、1W〜9Wまで当該範囲が拡大した。なお、半導体レーザ素子は、InGaAs/AlGaAs系材料からなり、発光幅が100μm、素子長が4mmという大型のレーザデバイスが好ましい。
以上、説明したように、AlGaAs系材料で構成される回折格子層の周期Λと、構成材料の等価屈折率Neff で決まるDFB発振波長λDFB(=(2ΛNeff )/m)が、量子井戸層のバンドギャップによって決まる発振利得ピークλpよりも長波長側になるようΛが設定されている。なお、次数mについて、原理的には小さいほうが結合係数は高く、余分な放射モードが発生しないため良いとされているが、対応波長と装置の微細加工能力とのバランスを考慮し、作りやすい次数を選択することが現実的である。本実施例ではm=3を採用した。また、結合係数κは、共振器長L大であるために、従来のDFBレーザよりも大幅に小さく設定されている。κL=0.8〜1.0、κ=2.0〜2.5(cm−1)となる。一般的なDFBレーザではκ=20(cm−1)程度である。
なお、マルチモードレーザ(横マルチモードで発振)について説明をしておく。半導体レーザにおいて、電流注入領域と、非注入領域とでは、層構造および電流注入によって、屈折率(正確には、等価屈折率)に差が生じる。半導体レーザは、活性層を挟むクラッド層を、単純な3層スラブ構造、すなわち、屈折率の大きな層が、屈折率の小さな層で挟まれた構造に近似できる。リッジ構造がある場合、非注入領域は、上側の低屈折率層が削られた形となる。結果的に、空気(屈折率は1)、高屈折率層、低屈折率層という3段構造となり、削り込みがない場合、つまり電流注入領域に比べて、空気層が入る分、等価屈折率は小さくなる。エピタキシャル結晶成長方向をx軸、発光幅Wに平行な方向をy軸、共振器長Lに平行な方向をz軸と定義すると、上記3層スラブリッジ構造においては、y軸方向に、低等価屈折率域、高等価屈折率域、低等価屈折率域という縦型3層構造が形成されることとなる。これは、3層スラブ構造だけではなく、より複雑な構造に対しても拡張できるものである。
また、電流を注入すると、注入キャリアプラズマ効果による注入域の屈折率低下と、発熱による注入域の屈折率上昇が生じる。実際には、後者の寄与が1桁程度大きくなるため、電流注入領域は屈折率が高くなる。リッジ構造が形成されていない場合においても、電流注入域の等価屈折率は大きくなるため、y軸方向に対して、等価屈折率が低、高、低という並びが同じように形成される。このy軸3層構造において、波動方程式と境界条件を同時に満たす解が導波モードとなる。
中心の高屈折率層の幅が数μmと狭く、かつ、周辺層との等価屈折率差が十分にあり、結果的に、2つの条件を満たす解が単一となる場合のみがシングルモード発振となり(=カットオフ条件)、このような条件で作製されたレーザを、y軸方向に関連しているという「横」を頭文字として、横シングルモードレーザと呼ぶ。そして、解が2つ以上存在する場合は、すべて横マルチモードレーザに分類される。なお、リッジ幅が狭い場合でも、掘り込みが浅く、十分な等価屈折率差が得られなければマルチモード化し、リッジ幅が広くても、掘り込みが深ければ、カットオフ条件内に入り、シングルモード化し得ることを示すものである。
以上の内容に基づき、本発明にかかる横マルチモードレーザを改めて定義すると、発光幅が10μm以上で、上記カットオフ条件を十分に逸脱している半導体レーザであり、当該条件を満たしていれば、リッジ構造が形成されていても構わない。さらに、10Wクラスの光出力を得るためには、発光幅は50μmから200μmの範囲が望ましい。
以上、説明したように、273K=0℃において、実施形態の分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子は、λp≦λDFB≦λp+5nmを満たす場合には、ファブリペロー(FP)発振が抑制される。
すなわち、λDFB=λpの場合(図15(B))においては、ファブリペロー発振に基づくレーザ光の出力は確認されず、回折格子層の選択したレーザ光波長のみの発振のみが観察された。
λDFB=λp+α(α=2.5)の場合(図15(A))においては、ファブリペロー発振に基づくレーザ光の出力は確認されず、回折格子層の選択したレーザ光波長のみの発振のみが観察された。
λDFB=λp+α(α=5nm)の場合(図7(B)においては、ファブリペロー発振に基づくレーザ光の出力は確認されず、回折格子層の選択したレーザ光波長のみの発振のみが観察された。
その他、0℃(=273K)において、α=0nm、α=0.19nm、α=1.29nm、α=2.0nm、α=3.14nm、α=3.89nmとした場合にも、回折格子層の選択したレーザ光波長のみの発振のみが観察された。
なお、図11において、光出力1W〜6W、0℃におけるΔλ=0.2〜5.0nmの範囲において、DFBのみの発振が選択的に観察されたが、光出力が6.25Wの場合、Δλ=0の場合にも、DFBのみの発振が選択的に観察された。なお、光出力を増加させて、Δλ<0となる場合には、スペクトル線幅が広がる場合があるという理由から除くこととした。
また、0℃におけるΔλ=0〜5.0nmを達成するためには、0℃で光出力1WにおけるλpとλDFBの初期値をλp=969.1nm、λDFB0=974.1nmとすると、前者は活性層の組成(エネルギーバンドギャップ)によって決定することができ、後者は回折格子層の周期によって決定することができる。λp=λp+0.3nm/K、λDFB=λDFB0+0.07nm/Kであるから、駆動電流の増加によって、温度が若干上昇する。したがって、なお、上述の条件が満たされるLD温度とは、レーザ素子の環境温度、すなわち、図1に示した半導体レーザ素子の配置されるサブマウント20の温度であり、かかる温度を上述の説明における温度とした。
また、0℃で光出力1Wにおける初期値λp=969.1nm、λDFB0=974.1nmの相対関係が、上述のΔλの条件から外れる場合には、DFBとFPの同時発振がおこる可能性があるという点で、条件に適合した場合よりも劣ることになる。
1…基板、2…下部クラッド層、3…活性層、4…上部クラッド層、5…コンタクト層。

Claims (5)

  1. 1W〜10Wのレーザ出力が可能で、発光幅が10μm以上の分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子において、
    活性層と、
    前記活性層を挟むクラッド層と、
    前記活性層において発生したレーザ光に重なる回折格子層と、
    を備え、
    前記回折格子層と前記活性層との間の結合係数κ=2.0〜2.5(cm −1 )であり、共振器長をLとした場合に、κL=0.8〜1.0であり、
    前記活性層において発生する光の利得スペクトルのピーク値に相当するエネルギーバンドギャップをEp、
    前記回折格子層の選択する選択スペクトルのピーク値に相当するエネルギーバンドギャップをEDFB
    とした場合、0℃において、
    Ep−6.4meV≦EDFB≦Ep、
    を満たすことを特徴とする分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子。
  2. 1W〜10Wのレーザ出力が可能で、発光幅が10μm以上の分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子において、
    活性層と、
    前記活性層を挟むクラッド層と、
    前記活性層において発生したレーザ光に重なる回折格子層と、
    を備え、
    前記回折格子層と前記活性層との間の結合係数κ=2.0〜2.5(cm −1 )であり、共振器長をLとした場合に、κL=0.8〜1.0であり、
    前記活性層において発生する光の利得スペクトルのピーク値の波長をλp、
    前記回折格子層の選択する選択スペクトルのピーク値の波長をλDFB
    とした場合、0℃において、
    λp≦λDFB≦λp+5nm、
    を満たすことを特徴とする分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子。
  3. 0℃において、Ep−6.4meV=E DFB の場合を除く、
    請求項1に記載の分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子。
  4. 0℃において、λ DFB =λp+5nmの場合を除く、
    請求項2に記載の分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子。
  5. 前記活性層はInGaAsであり、
    前記クラッド層はAlGaAsである、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分布帰還型横マルチモード半導体レーザ素子。
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