JP2019075433A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体装置の性能を向上させることができる技術を提供する。【解決手段】半導体装置は、第1電極を備える。第1電極の上方に配置されている第1導電型の第1化合物半導体である第1層を備える。第1層の上面に接しているとともに開口部を備えている炭素導入層であって、第1導電型の第1化合物半導体に炭素が注入されている層であり、第1層よりも抵抗が高い層である炭素導入層を備える。炭素導入層の上面に接している第1導電型の第1化合物半導体であるチャネル層を備える。開口部に配置されている炭素が注入されていない第1導電型の第1化合物半導体である開口部半導体層を備える。チャネル層および開口部の上方に配置されているゲート電極であって、ゲート電極を上方から見たときにゲート電極が配置されている領域が開口部を含んでいる、ゲート電極を備える。チャネル層の上方に配置されている第2電極を備える。【選択図】図1
Description
本明細書が開示する技術は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
窒化ガリウム(GaN)は、シリコンよりも絶縁破壊電界が高いため、次世代パワーデバイス用半導体として期待されている。また図9に示すように、開口部を備えたアパーチャ構造の縦型トランジスタ100が知られている。縦型トランジスタ100は、ドレイン電極110、ドレイン層111、ドリフト層112、P型GaN層113、開口部113a、AlGaN層116、ゲート絶縁膜117、ゲート電極121、絶縁層122、ソース電極123、P型ボディ電極124、を備える。ドレイン層111およびドリフト層112は、N型GaNである。アパーチャ構造とは、ドリフト層112とは逆導電型のP型GaN層113に開口部113aを形成することで、縦方向電流経路を形成する構造である。また、関連する技術が非特許文献1に開示されている。
M.Kanechika et al., "A Vertical Insulated Gate AlGaN/GaN Heterojunction Field-Effect Transistor", Japanese Journal of Applied Physics Letters, Vol.46, L503-505, 2007
窒化ガリウムの場合、シリコンやシリコンカーバイドとは異なり、アクセプタであるMgなどの不純物をイオン注入しても、P型GaN層を形成することができない。従って、図9に示す縦型トランジスタ100において、開口部113aを備えたP型GaN層113を形成するには、P型GaN層113を成長させてからリソグラフィおよびドライエッチングによって開口部113aを開口し、その上にN型のGaNをエピタキシャル法で再成長させる必要がある。N型のGaNを再成長させると、開口部113a部分に段差が形成されてしまうが、この段差を平坦化することが困難である。また、開口部113aを形成するためにリソグラフィおよびドライエッチングが必要となるため、製造コストが上昇してしまう。
本明細書が開示する半導体装置は、第1電極を備える。第1電極の上方に配置されている第1導電型の第1化合物半導体である第1層を備える。第1層の上面に接しているとともに開口部を備えている炭素導入層であって、第1導電型の第1化合物半導体に炭素が注入されている層であり、第1層よりも抵抗が高い層である炭素導入層を備える。炭素導入層の上面に接している第1導電型の第1化合物半導体であるチャネル層を備える。開口部に配置されている炭素が注入されていない第1導電型の第1化合物半導体である開口部半導体層であって、下面が炭素導入層の下面と同一平面内であり、側面が炭素導入層の側面およびチャネル層の側面と接しており、上面がチャネル層の上面と同一平面内である、開口部半導体層を備える。チャネル層および開口部の上方に配置されているゲート電極であって、ゲート電極を上方から見たときにゲート電極が配置されている領域が開口部を含んでいる、ゲート電極を備える。チャネル層の上方に配置されている第2電極を備える。
リソグラフィおよびドライエッチングを行うことなく、炭素を注入することで、開口部を備えた炭素導入層を形成することができる。炭素導入層は第1層よりも抵抗が高いため、開口部によって縦方向電流経路を形成することができる。これにより、アパーチャ構造を備えた半導体装置を、低コストで形成することが可能となる。また、開口部に段差が形成されることがないため、半導体装置の性能を向上させることが可能となる。
チャネル層および開口部の上方に配置されているとともに、ゲート電極の下面に接している第2導電型の第1化合物半導体層である第2層をさらに備えていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
第1化合物半導体とは異なる第2化合物半導体であるバリア層であって、チャネル層の上面および開口部半導体層の上面とヘテロ接合しているとともに、第2層の下面と接しているバリア層をさらに備えていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
チャネル層および開口部の上方に配置されているとともに、ゲート電極の下面に接しているゲート絶縁膜をさらに備えていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
第1化合物半導体とは異なる第2化合物半導体であるバリア層であって、チャネル層の上面および開口部半導体層の上面とヘテロ接合しているとともに、ゲート絶縁膜の下面と接しているバリア層をさらに備えていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
炭素のドーズ量は5×1015/cm2以下であってもよい。
本明細書が開示する半導体装置の製造方法は、第1導電型の第1化合物半導体である第1層に開口部を備えている炭素導入層を形成する炭素導入層形成工程であって、炭素導入層は、第1導電型の第1化合物半導体に第1導電型の第1化合物半導体の抵抗値を上昇させる炭素を注入することで形成される層であり、開口部には炭素が注入されていない第1導電型の第1化合物半導体が配置されている、炭素導入層形成工程を備える。第1層の上方にゲート電極を形成するゲート電極形成工程であって、ゲート電極を上方から見たときにゲート電極が配置されている領域が開口部を含んでいる、ゲート電極形成工程を備える。第1層の下方に第1電極を形成する第1電極形成工程を備える。第1層の上方であってゲート電極が配置されている領域外に第2電極を形成する第2電極形成工程を備える。
炭素導入層形成工程は、第1化合物半導体とは異なる第2化合物半導体であるバリア層であって、第1層の上面にヘテロ接合するバリア層を形成するバリア層形成工程を備えていてもよい。炭素導入層形成工程は、バリア層の表面から炭素をイオン注入するイオン注入工程であって、開口部に対応する領域には炭素を注入せず、第1層の上面から所定深さまでの領域の炭素濃度よりも所定深さよりも深い領域の炭素濃度の方が高くなる条件で炭素を注入する、イオン注入工程を備えていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
炭素導入層形成工程は、第1層の表面から炭素をイオン注入するイオン注入工程であって、開口部に対応する領域には炭素を注入せず、第1層の上面から所定深さまでの領域に炭素が存在するように炭素を注入する、イオン注入工程を備えていてもよい。炭素導入層形成工程は、第1層の表面に接する第1導電型の第1化合物半導体層であるチャネル層を形成するチャネル層形成工程を備えていてもよい。炭素導入層形成工程は、第1化合物半導体とは異なる第2化合物半導体であるバリア層であって、チャネル層の上面にヘテロ接合するバリア層を形成するバリア層形成工程を備えていてもよい。
ゲート電極形成工程は、バリア層の上面に接する第2導電型の第1化合物半導体層である第2層を形成する第2層形成工程を備えていてもよい。ゲート電極は第2層の上面に接するように形成されていてもよい。
ゲート電極形成工程は、バリア層の上面に接するゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程を備えていてもよい。ゲート電極はゲート絶縁膜の上面に接するように形成されていてもよい。
図1に、実施例1に係るトランジスタ1の断面図を示す。トランジスタ1は、ドレイン電極10、ドレイン層11、ドリフト層12、炭素導入層13、開口部13a、開口部半導体層14、チャネル層15、AlGaN層16、P型層20、ゲート電極21、絶縁層22、ソース電極23、を備える。
ドレイン電極10の上面には、N型のドレイン層11が接している。ドレイン層11は高濃度にN型不純物を含有するGaNにより形成されており、ドレイン電極10とオーミック接触している。ドレイン層11の上面には、N型のドリフト層12が接している。ドリフト層12は、低濃度にN型不純物を含有するGaNにより形成されている。
ドリフト層12の上面には、炭素導入層13が接している。炭素導入層13はN型のGaNに炭素が注入されている層である。炭素導入層13は、極めて抵抗が高い層である。炭素導入層13は、P型のGaNではない。本実施例では、炭素導入層13の炭素のドーズ量は、5×1015/cm2以下である。炭素導入層13は、開口部13aを備えている。炭素導入層13の上面には、N型のGaNであるチャネル層15が接している。チャネル層15は、低濃度にN型不純物を含有するGaNにより形成されている。
開口部13aの内部には、炭素が注入されていないN型のGaNである開口部半導体層14が配置されている。開口部半導体層14の下面は、炭素導入層13の下面13bと同一平面内である。開口部半導体層14の側面は、炭素導入層13の側面およびチャネル層15の側面と接している。開口部半導体層14の上面とチャネル層15の上面とは、図1に示す平面P1において同一平面内である。開口部半導体層14は、縦方向電流経路として機能する。よって、いわゆるアパーチャ構造が形成されている。
チャネル層15の上面および開口部半導体層14の上面には、AlGaN層16がヘテロ接合している。AlGaN層16は、InxAlyGa1−x−yNにより形成されている。上記の変数x及びyは、0≦x≦1、0≦y≦1、及び、0≦1−x−y≦1の関係を満たす。AlGaN層16の上面には、P型層20が接している。P型層20は、P型のGaNまたはP型のInaAlbGa1−a−bNでもよい。
P型層20の上面には、ゲート電極21が接している。ゲート電極21は、チャネル層15および開口部13aの上方に配置されている。すなわち、ゲート電極21を上方(図1のz軸方向)から見たときに、ゲート電極21が配置されている領域R1が、開口部13aが形成されている領域R2を含んでいる。ゲート電極21は、P型層20にオーミック接触している。チャネル層15の上方であってAlGaN層16の上面には、絶縁層22およびソース電極23が接している。
(トランジスタの動作)
トランジスタ1は、ノーマリオフ型のHEMT(High Electron Mobility Transistor)である。HEMTであるため、高速動作が可能である。ゲート電極21の電位がしきい値未満である状態では、P型層20からその下側のAlGaN層16に空乏層が広がっている。空乏層の下端は、AlGaN層16とチャネル層15とのヘテロ接合界面まで達している。このため、この状態では、P型層20の直下のヘテロ接合界面には、2次元電子ガス層が形成されていない。空乏層によって、ソース電極23側と開口部半導体層14側とに2次元電子ガス層が分離されている。これは、ゲート電極21およびP型層20を上方(図1のz軸方向)から見たときに、ゲート電極21およびP型層20が配置されている領域R1が、開口部13aが形成されている領域R2を含んでいるためである。この状態では、ソース電極23とドレイン電極10の間に電圧が印加されても、電流が流れない。
トランジスタ1は、ノーマリオフ型のHEMT(High Electron Mobility Transistor)である。HEMTであるため、高速動作が可能である。ゲート電極21の電位がしきい値未満である状態では、P型層20からその下側のAlGaN層16に空乏層が広がっている。空乏層の下端は、AlGaN層16とチャネル層15とのヘテロ接合界面まで達している。このため、この状態では、P型層20の直下のヘテロ接合界面には、2次元電子ガス層が形成されていない。空乏層によって、ソース電極23側と開口部半導体層14側とに2次元電子ガス層が分離されている。これは、ゲート電極21およびP型層20を上方(図1のz軸方向)から見たときに、ゲート電極21およびP型層20が配置されている領域R1が、開口部13aが形成されている領域R2を含んでいるためである。この状態では、ソース電極23とドレイン電極10の間に電圧が印加されても、電流が流れない。
ゲート電極21の電位をしきい値以上に上昇させると、空乏層がP型層20側に退避し、P型層20の直下のヘテロ接合界面に2次元電子ガス層が形成される。すなわち、ヘテロ接合界面の全体に2次元電子ガス層が形成された状態となる。このため、ソース電極23とドレイン電極10の間に電圧が印加されると、
ソース電極23から、AlGaN層16、2次元電子ガス層、開口部半導体層14、ドリフト層12、ドレイン層11を介して、ドレイン電極10に向かって電子が流れる。すなわち、トランジスタ1がオンする。
ソース電極23から、AlGaN層16、2次元電子ガス層、開口部半導体層14、ドリフト層12、ドレイン層11を介して、ドレイン電極10に向かって電子が流れる。すなわち、トランジスタ1がオンする。
(トランジスタの製造方法)
図2〜図5を参照して、トランジスタ1の製造方法について説明する。図2のフローチャートのステップS1において、ドレイン層11上にドリフト層12をエピタキシャル成長させる、ドリフト層成長工程を行う。
図2〜図5を参照して、トランジスタ1の製造方法について説明する。図2のフローチャートのステップS1において、ドレイン層11上にドリフト層12をエピタキシャル成長させる、ドリフト層成長工程を行う。
次に、炭素導入層形成工程を行う。炭素導入層形成工程は、バリア層形成工程とイオン注入工程を備えている。ステップS2において、ドリフト層12上に、AlGaN層16をエピタキシャル成長させるバリア層形成工程を行う。これにより、図3に示す構造が形成される。
ステップS3において、イオン注入工程を行う。これにより、図4に示す構造が形成される。イオン注入工程では、開口部13aに相当する領域をマスクした状態で、AlGaN層16の表面から炭素をイオン注入する。イオン注入は、ドリフト層12の上面から所定深さD1までの領域の炭素濃度よりも、所定深さD1よりも深い領域の炭素濃度の方が高くなる条件で行われる。換言すると、上面から所定深さD1までの領域には炭素がほとんど存在しないような条件で行われる。これは、加速エネルギーを高めることで可能である。本実施例では、ドーズ量1×1015/cm2、チルト7度の条件でイオン注入を行った。これにより、開口部13aを備えている炭素導入層13を形成することができる。また、開口部に対応する領域には、炭素が注入されていない開口部半導体層14が形成される。また、ドリフト層12の上面から所定深さD1までの領域には、炭素がほとんど注入されない。この領域が、自己整合的にチャネル層15となる。よって、チャネル層15となるGaN層をエピタキシャル法で再成長させる必要がないため、工程の簡略化が可能となる。
ステップS4において、P型層形成工程を行う。P型層形成工程では、AlGaN層16の上面に、P型のGaN層をエピタキシャル成長させる。そして、周知のリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて、P型層20をパターニングする。
ステップS5において、P型層20の上面にゲート電極21を形成するゲート電極形成工程を行う。これにより、図5に示す構造が形成される。ゲート電極21およびP型層20を上方(図5のz軸方向)から見たときに、ゲート電極21およびP型層20が配置されている領域は、開口部13aを含んでいる。
ステップS6において、ソース電極23を形成するソース電極形成工程を行う。この工程では、ドリフト層12の上方であってゲート電極21が配置されている領域外に、絶縁層22およびソース電極23が形成される。ソース電極23は、P型層20およびゲート電極21とは絶縁された状態で、AlGaN層16に接続している。
ステップS7において、ドレイン層11の下面にドレイン電極10を形成するドレイン電極形成工程を行う。これにより、図1に示すトランジスタ1が完成する。
(効果)
本実施例に係るトランジスタ1では、リソグラフィおよびドライエッチングを行うことなく、炭素を注入することで、開口部13aを備えた炭素導入層13を形成することができる。炭素導入層13は極めて抵抗が高い層であるため、開口部13aによって縦方向電流経路を形成することができる。これにより、リソグラフィおよびドライエッチングを用いて開口部を形成する技術に比して、アパーチャ構造を備えたトランジスタを、低コストで形成することが可能となる。また、ドライエッチングを用いて開口部を開口する技術に比して、開口部13aに段差が形成されることがないため、トランジスタの性能を向上させることが可能となる。
本実施例に係るトランジスタ1では、リソグラフィおよびドライエッチングを行うことなく、炭素を注入することで、開口部13aを備えた炭素導入層13を形成することができる。炭素導入層13は極めて抵抗が高い層であるため、開口部13aによって縦方向電流経路を形成することができる。これにより、リソグラフィおよびドライエッチングを用いて開口部を形成する技術に比して、アパーチャ構造を備えたトランジスタを、低コストで形成することが可能となる。また、ドライエッチングを用いて開口部を開口する技術に比して、開口部13aに段差が形成されることがないため、トランジスタの性能を向上させることが可能となる。
MgをGaNにイオン注入することで、図9のP型GaN層113を形成する技術も研究されている。しかし、Mgを注入されたGaNはP型にならない。また、第1の問題として、Mg注入層の上にGaNを再成長させる場合、再成長層にMgが拡散したり混入してしまう。また第2の問題として、Mgのイオン注入時に、GaN結晶表面に大きな格子ダメージが与えられてしまう。よってトランジスタの特性が劣化してしまう。一方、本実施例に係るトランジスタ1では、炭素をイオン注入する。炭素注入層の上にGaNを再成長させても、再成長層に炭素が拡散したり混入することがない。また、炭素の原子量は12.01であり、Mgの原子量24.31よりも軽い。よって、炭素のイオン注入では、Mgの注入に比して、GaN結晶表面に与えられる格子ダメージを抑制することが可能となる。よって、トランジスタの特性劣化を防止することができる。
本実施例に係るトランジスタ1では、ゲート絶縁膜に代えてP型層20を配置している。これによる3つの効果を説明する。第1の効果として、耐圧を確保することが可能となる。図9の縦型トランジスタ100のように、開口部113aをP型GaN層113で形成する場合には、開口部113aにPN接合が存在する。P型GaN層113から空乏層が延びるため、耐圧を確保することができる。しかし本実施例に係るトランジスタ1では、開口部13aを炭素導入層13で形成している。炭素導入層13は高抵抗層であるため、炭素導入層13からは空乏層が延びない。そこで、ゲート電極21下面にP型層20を配置することで、P型層20から空乏層を延ばすことができるため、耐圧を確保することができる。第2の効果として、ゲート絶縁膜を無くすことができる。ゲート絶縁膜が最も高電界に弱い部分であるが、ゲート絶縁膜そのものを無くすことができるため、耐圧を高めることができる。第3の効果として、ゲート電圧のしきい値変動を抑制することができる。ゲート酸化膜が存在する場合には、ゲート酸化膜とAlGaN層16などの半導体層との間に界面準位が存在するため、界面準位に電子が捕獲され、しきい値が変動してしまう。しかし、本実施例に係るトランジスタ1では、ゲート酸化膜を無くすことができるため、界面準位を無くすことができるためである。
図6に、実施例2に係るトランジスタ1aの断面図を示す。実施例2のトランジスタ1aは、実施例1のトランジスタ1に対して、P型層20がゲート絶縁膜25に置き換わった構造を備えている。実施例2のトランジスタ1aのその他の構造は、実施例1のトランジスタ1と同様であるため、説明を省略する。
実施例2のトランジスタ1aの動作は、実施例1のトランジスタ1の動作の説明において、「P型層」を「ゲート絶縁膜」と読み替えればよい。また実施例2のトランジスタ1aの製造方法は、図2のフローチャートのステップS4およびS5において、「P型層」を「ゲート絶縁膜」と読み替えればよい。
実施例2に係るトランジスタ1aでは、ゲート電極21がゲート絶縁膜25によって絶縁されている。従って、ゲート電極21とソース電極23の間、またはゲート電極21とドレイン電極10との間で、電流が流れてしまうことを防止することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
(変形例1)
炭素導入層形成工程は、様々なバリエーションがある。例えば、炭素導入層形成工程は、イオン注入工程、チャネル層成長工程、バリア層形成工程を備えていてもよい。具体的に説明する。ドリフト層成長工程を行った後に、図7に示すように、ドリフト層12の表面から炭素をイオン注入する、イオン注入工程を行う。イオン注入は、ドリフト層12の上面から所定深さD2までの領域に炭素が存在する条件で行われる。本変形例では、加速エネルギー60keV、ドーズ量1×1015/cm2、チルト7度の条件でイオン注入を行った。これにより、開口部13aを備えている炭素導入層13を形成することができる。また、開口部に対応する領域には、炭素が注入されていない開口部半導体層14が形成される。
炭素導入層形成工程は、様々なバリエーションがある。例えば、炭素導入層形成工程は、イオン注入工程、チャネル層成長工程、バリア層形成工程を備えていてもよい。具体的に説明する。ドリフト層成長工程を行った後に、図7に示すように、ドリフト層12の表面から炭素をイオン注入する、イオン注入工程を行う。イオン注入は、ドリフト層12の上面から所定深さD2までの領域に炭素が存在する条件で行われる。本変形例では、加速エネルギー60keV、ドーズ量1×1015/cm2、チルト7度の条件でイオン注入を行った。これにより、開口部13aを備えている炭素導入層13を形成することができる。また、開口部に対応する領域には、炭素が注入されていない開口部半導体層14が形成される。
次に、炭素導入層13および開口部半導体層14上にチャネル層15aをエピタキシャル成長させる、チャネル層成長工程を行う。チャネル層15aは、低濃度にN型不純物を含有するGaNである。次に、チャネル層15a上にAlGaN層16をエピタキシャル成長させる、バリア層形成工程を行う。これにより、図8に示す構造が形成される。以降は、実施例1で説明したステップS4以降の工程を行えばよい。
(その他の変形例)
AlGaN層16は省略することができる。この場合、2次元電子ガス層が形成されないため、トランジスタの動作速度が低下するが、基本的な特性は変わらない。
AlGaN層16は省略することができる。この場合、2次元電子ガス層が形成されないため、トランジスタの動作速度が低下するが、基本的な特性は変わらない。
チャネル層15にシリコンを注入してもよい。これにより、オン抵抗を低下させることができる。なお、シリコン濃度が高くなるほど空乏層が広がりにくくなる。よってシリコン濃度は、空乏層が十分に延びて耐圧が確保できる観点から決定すればよい。
注入する不純物は炭素に限られない。GaNを高抵抗にすることができる特性や、再成長層に拡散しにくい特性を有する元素であればよい。例えばAl、Znなどの元素でもよい。
ドレイン電極10は、第1電極の一例である。N型GaNは、第1導電型の第1化合物半導体の一例である。ドリフト層12は、第1層の一例である。ソース電極23は、第2電極の一例である。P型層20は、第2層の一例である。AlGaN層16は、バリア層の一例である。
1:トランジスタ、10:ドレイン電極、11:ドレイン層、12:ドリフト層、13:炭素導入層、13a:開口部、14:開口部半導体層、15:チャネル層、16:AlGaN層、20:P型層、21:ゲート電極、23:ソース電極
Claims (12)
- 第1電極と、
前記第1電極の上方に配置されている第1導電型の第1化合物半導体である第1層と、
前記第1層の上面に接しているとともに開口部を備えている炭素導入層であって、第1導電型の第1化合物半導体に炭素が注入されている層であり、前記第1層よりも抵抗が高い層である前記炭素導入層と、
前記炭素導入層の上面に接している第1導電型の第1化合物半導体であるチャネル層と、
前記開口部に配置されている前記炭素が注入されていない第1導電型の第1化合物半導体である開口部半導体層であって、下面が前記炭素導入層の下面と同一平面内であり、側面が前記炭素導入層の側面および前記チャネル層の側面と接しており、上面が前記チャネル層の上面と同一平面内である、前記開口部半導体層と、
前記チャネル層および前記開口部の上方に配置されているゲート電極であって、前記ゲート電極を上方から見たときに前記ゲート電極が配置されている領域が前記開口部を含んでいる、前記ゲート電極と、
前記チャネル層の上方に配置されている第2電極と、
を備える半導体装置。 - 前記チャネル層および前記開口部の上方に配置されているとともに、前記ゲート電極の下面に接している第2導電型の第1化合物半導体層である第2層をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第1化合物半導体とは異なる第2化合物半導体であるバリア層であって、前記チャネル層の上面および前記開口部半導体層の上面とヘテロ接合しているとともに、前記第2層の下面と接している前記バリア層をさらに備える、請求項2に記載の半導体装置。
- 前記チャネル層および前記開口部の上方に配置されているとともに、前記ゲート電極の下面に接しているゲート絶縁膜をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第1化合物半導体とは異なる第2化合物半導体であるバリア層であって、前記チャネル層の上面および前記開口部半導体層の上面とヘテロ接合しているとともに、前記ゲート絶縁膜の下面と接している前記バリア層をさらに備える、請求項4に記載の半導体装置。
- 前記炭素のドーズ量は5×1015/cm2以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載の半導体装置。
- 第1導電型の第1化合物半導体である第1層に開口部を備えている炭素導入層を形成する炭素導入層形成工程であって、前記炭素導入層は第1導電型の第1化合物半導体に炭素を注入することで形成される層であり、前記開口部には前記炭素が注入されていない第1導電型の第1化合物半導体が配置されている、前記炭素導入層形成工程と、
前記第1層の上方にゲート電極を形成するゲート電極形成工程であって、前記ゲート電極を上方から見たときに前記ゲート電極が配置されている領域が前記開口部を含んでいる、前記ゲート電極形成工程と、
前記第1層の下方に第1電極を形成する第1電極形成工程と、
前記第1層の上方であって前記ゲート電極が配置されている領域外に第2電極を形成する第2電極形成工程と、
を備えた半導体装置の製造方法。 - 前記炭素導入層形成工程は、
前記第1化合物半導体とは異なる第2化合物半導体であるバリア層であって、前記第1層の上面にヘテロ接合する前記バリア層を形成するバリア層形成工程と、
前記バリア層の表面から前記炭素をイオン注入するイオン注入工程であって、前記開口部に対応する領域には前記炭素を注入せず、前記第1層の上面から所定深さまでの領域の炭素濃度よりも前記所定深さよりも深い領域の炭素濃度の方が高くなる条件で前記炭素を注入する、前記イオン注入工程と、
を備える、請求項7に記載の製造方法。 - 前記炭素導入層形成工程は、
前記第1層の表面から前記炭素をイオン注入するイオン注入工程であって、前記開口部に対応する領域には前記炭素を注入せず、前記第1層の上面から所定深さまでの領域に前記炭素が存在するように前記炭素を注入する、前記イオン注入工程と、
前記第1層の表面に接する第1導電型の第1化合物半導体層であるチャネル層を形成するチャネル層形成工程と、
前記第1化合物半導体とは異なる第2化合物半導体であるバリア層であって、前記チャネル層の上面にヘテロ接合する前記バリア層を形成するバリア層形成工程と、
を備える、請求項7に記載の製造方法。 - 前記ゲート電極形成工程は、前記バリア層の上面に接する第2導電型の第1化合物半導体層である第2層を形成する第2層形成工程を備え、
前記ゲート電極は前記第2層の上面に接するように形成される、請求項8または9に記載の製造方法。 - 前記ゲート電極形成工程は、前記バリア層の上面に接するゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程を備え、
前記ゲート電極は前記ゲート絶縁膜の上面に接するように形成される、請求項8または9に記載の製造方法。 - 前記炭素のドーズ量は5×1015/cm2以下である、請求項7〜11の何れか1項に記載の製造方法。
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