JP2019074391A - 質量分析用データ処理装置及び質量分析用データ処理方法 - Google Patents

質量分析用データ処理装置及び質量分析用データ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】定量分析の対象となる定量対象化合物のスクリーニング結果を、定量対象化合物の定量イオンの抽出イオンクロマトグラムと対応させて確認可能とする。【解決手段】定量対象化合物の定量イオンの抽出イオンクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成部と、定量イオンに対して設定された所定の基準値の強度の、定量対象化合物を含む標準試料の濃度に対する高さに相当する基準値ライン強度を設定するスクリーニング条件設定部と、抽出イオンクロマトグラムを表示した画面上に基準値ライン強度に対応する基準値強度ラインを重畳して表示するための画像データを作成する画像データ作成部と、抽出イオンクロマトグラムが生成されている定量対象化合物の定量イオンの強度が基準値ライン強度を超えたか否かをスクリーニングし、定量イオンの強度が基準値を超えた場合にその旨を報知するスクリーニング部を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、質量分析用データ処理装置及び質量分析用データ処理方法に関する。
従来、既知の成分の定量分析、および未知の成分の定性分析する手法として、クロマトグラフ質量分析が知られている。クロマトグラフ質量分析は、クロマトグラフィー法を用いて時間的に分離した成分を順次にイオン化し、さらに質量分析器によってイオンを質量電荷比[m/z]に応じて分離して検出器で検出する分析方法である。このような分析を行う質量分析装置は、経過時間(保持時間)にともなって検出される各成分の質量スペクトルをデータ処理するためのデータ処理装置を備える。
このデータ処理装置は、例えば定性分析においては、まず、未知の成分のイオンの総量にあたる信号強度を保持時間にともなってプロットした全イオン電流クロマトグラム(Total Ion Current Chromatogram:以下、TICCと称す)を作成する。次いで、データ処理装置は、TICC上のピークをサーチし、検出したピーク位置におけるマススペクトルを抽出する。さらに、データ処理装置は、抽出したマススペクトルをライブラリーのスペクトルと比較することによって、このクロマトピークの試料成分を同定する。
一方、定量分析においては、データ処理装置は、マススペクトルのデータであるマススペクトルデータから、既知の成分のイオンの信号強度を保持時間にともなってプロットした抽出イオンクロマトグラム(Extracted Ion Chromatogram:以下、「EIC」とも称する)を作成し、このEICから求めたピーク面積を検量線に当てはめることによって、既知の成分を定量する。
特許文献1には、イオンを質量分析する質量分析部と、質量分析部より質量選択的に排出されたイオンを検出する検出部と、検出対象物質に由来するイオンの強度が所定の闇値を超える場合に検出対象物質が存在すると判定するデータ処理部と、データ処理部による判定を出力する出力部とを備えた危険物探知装置が開示されている。また、特許文献1には、出力部は、検出対象物質の存在を表示する表示部であること、及び、出力部は、検出対象物質が存在するとデータ処理部が判定した場合にアラームを鳴らすことが開示されている。このような技術によれば、試料中における、検出すべきイオンに対応する物質の存在の有無を判定できる。そして、物質の存在が認められた場合に、詳細な再検査等を行うことが可能となる。
特開2008−262922号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、定量分析の対象となる定量対象化合物の定量イオンの強度が所定の基準値(閾値)を超えているか否かの情報を、定量対象化合物の定量イオンの抽出イオンクロマトグラムと対応させて確認することができなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、定量分析の対象となる定量対象化合物の強度が所定の基準値(閾値)を超えているか否かの情報を、定量対象化合物の定量イオンの抽出イオンクロマトグラムと対応させて確認できるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一側面を反映した質量分析用データ処理装置は、クロマトグラフによって保持時間に応じて分離した試料成分を順次質量分析して得られたデータに基づいて、試料成分の同定及び定量を行うための質量分析用データ処理装置であって、定量分析の対象となる定量対象化合物の定量イオンの抽出イオンクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成部と、定量イオンに対して設定された所定の基準値の強度の、定量対象化合物を含む標準試料の濃度に対する高さに相当する基準値ライン強度を設定するスクリーニング条件設定部と、抽出イオンクロマトグラムを表示した画面上に基準値ライン強度に対応する基準値強度ラインを重畳して表示するための画像データを作成する画像データ作成部と、抽出イオンクロマトグラムが生成されている定量対象化合物の定量イオンのピーク強度が基準値ライン強度を超えたか否かをスクリーニングするとともに、定量イオンの強度が基準値を超えた場合にその旨を報知するスクリーニング部と、を備える。
また本発明の一側面を反映した質量分析用データ処理方法は、上記質量分析用データ処理装置における質量分析用データ処理方法である。
このような本発明によれば、定量分析の対象となる定量対象化合物の強度が所定の基準値(閾値)を超えているか否かの情報を、定量対象化合物の定量イオンの抽出イオンクロマトグラムと対応させて確認できるようになる。
本発明の一実施形態に係る質量分析装置の概略を示す構成図である。 本発明の一実施形態に係る質量分析用データ処理装置において処理するデータの構成を説明するための図である。 マススペクトルの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る表示部の画面の表示領域の構成例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る質量分析用データ処理装置による質量分析用データ処理のメイン処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る質量分析用データ処理のメイン処理において実行されるスクリーニングの手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る質量分析用データ処理のメイン処理において実行されるスクリーニングの手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の質量分析用データ処理装置及び質量分析用データ処理方法の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1の実施の形態]
<質量分析装置>
図1は、本発明の一実施形態の質量分析装置の概略を示す構成図である。図1に示す第1の実施の形態に係る質量分析装置1は、クロマトグラフで分離した試料成分を順次に質量分析するものであって、試料分離部101及び質量分析部102と共に、第1の実施の形態の質量分析用データ処理装置1aを備える。以下、質量分析装置1が備えるこれらの構成要素の詳細を説明する。
(試料分離部)
試料分離部101は、分析対象となる混合物試料を成分毎に分離するクロマトグラフの一例である。この試料分離部101は、分析対象となる混合物試料を導入するための試料導入部101aと、試料導入部101aから導入された試料を成分毎に分離するためのカラム101bとを備える。カラム101bは、試料導入部101aから導入された試料を通過させる固定相が充填されたものである。固定相を通過する速度に応じて時間的に分離された成分は、各成分に固有の保持時間[RT:Retention Time]で質量分析部102に供給される。
なお、本実施形態では、試料分離部101として、例えば、ガスクロマトグラフを用いる例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。例えば、液体クロマトグラフや他のクロマトグラフを用いてもよい。
(質量分析部)
質量分析部102は、試料分離部101で分離され、時間差を持って供給される各成分を順次にイオン化し、イオン化した各成分のイオンをさらに質量電荷比[m/z]に応じて分離して検出する。質量分析部102は、イオン化部102aと質量分離部102bと検出器102cとを備える。
イオン化部102aは、試料分離部101から供給された成分を、順次にイオン化する。イオン化部102aでは、試料分離部101から供給された成分の分子イオンと、分子イオンが開裂した複数のフラグメントイオンとが生成される。
質量分離部102bは、イオン化部102aから供給された各イオンを質量電荷比[m/z]毎に分離し、特定の質量電荷比[m/z]のイオンのみを通過させ検出器102cに到達させる。この質量分離部102bにおいては、検出器102cに到達させるイオンの質量電荷比[m/z]をスキャンさせることにより、各イオンを質量電荷比[m/z]毎に順次に検出器102cに到達させる処理が、一定時間ごとに繰り返し行われる。質量分離部102bには、イオン化部102aとの組み合わせによって適宜の方式のものが用いられる。
検出器102cは、質量分離部102bにおいて質量電荷比[m/z]に応じて分離されたイオンの信号強度[I]を検出する。そして、検出器102cは、得られた信号強度[I]を質量電荷比[m/z]のスキャンに対応させて取り出すことにより、スキャン毎にマススペクトル信号を得る。検出器102cが得たマススペクトル信号は、質量分析用データ処理装置1aに供給される。
(質量分析用データ処理装置)
質量分析用データ処理装置1aは、試料に含まれる化合物が定量分析の対象となる定量対象化合物であることを同定するための定性分析を行うとともに、定量対象化合物の濃度が所定の基準値を超えるか否かを確認するスクリーニングを行う。そして、スクリーニングの結果、定量対象化合物の濃度が所定の基準値濃度を超えたことが検知された場合には、その旨を、音声等でユーザーに報知する。本実施形態の質量分析用データ処理装置1aは、例えば、未知の試料中における爆発物や汚染物質等の含有量(濃度)が、許容範囲内の量、すなわち、基準値以下の量であるか否かを判定することを要する装置等に適用することができる。
質量分析用データ処理装置1aは、入出力制御部10、記憶部11、マススペクトル抽出部12、クロマトグラム作成部13、スクリーニング条件設定部14、スクリーニング部15、同定部16、画像データ作成部17、スピーカー18、操作部19及び表示部20を備える。
入出力制御部10は、予め設定されたプログラム、及び、ユーザーによる操作部19からの操作にしたがって、他の各部における動作のタイミングを制御し、該制御によって質量分析データ処理を実行する。この入出力制御部10は、質量分析用データ処理装置1aを構成する他の各部と、質量分析部102の検出器102cとに接続される。
記憶部11には、検出器102cで検出された質量スペクトル信号を保持時間[RT]に関連付けたデータが記憶される。
ここで、図2を参照して、質量分析用データ処理装置1aに記憶されるデータの構成例について説明する。図2は、質量分析用データ処理装置1aに記憶されるデータの構成例を示す説明図である。図2の横軸は時間であり、縦軸は信号強度[I]である。
入出力制御部10には、前述した繰り返し行われるスキャン毎に検出器102cで検出されたマススペクトル信号が、保持時間[RT]にしたがって順に入力される。そして、記憶部11には、以降に説明するクロマトグラム作成部13で作成される質量電荷比[m/z]毎のクロマトグラム(EIC:抽出イオンクロマトグラム)が記憶される。EICは、保持時間[RT]に対する特定質量電荷比のイオンの信号強度[I]を示すグラフであり、図2中に破線で示される。なお、図2においては、説明を簡略化するため、4箇所の質量電荷比[m/z]に対応する4つのEICのみを示した。
EICは、保持時間[RT]に対して設定された保持時間範囲[Tw]中の所定の抽出時間位置[tp]にピークを有する。
さらに、記憶部11には、既知の物質のマススペクトルを化合物名及び構造式と紐づけたデータが、ライブラリーとして予め格納される。ここで、図3を参照して、マススペクトルの例について説明する。図3は、マススペクトルの一例を示す説明図である。図3の横軸は質量電荷比[m/z]であり、縦軸は信号強度[I]である。図3に示すマススペクトルは、m/z 200に強いマススペクトル成分を有し、m/z 77及びm/z 106に、比較的強いマススペクトル成分を有する。なお、記憶部11にライブラリーとして格納するデータ(以下、「ライブラリーデータ」とも称する)として、NIST(National Institute of Standards and Technology)ライブラリーに格納されたデータと同一のものを使用してもよい。
マススペクトル抽出部12は、記憶部11に記憶されているデータに基づいて、検出器102cで検出された信号強度[I]を保持時間[RT]毎に積算した全イオン電流クロマトグラム(TICC:図2参照)を作成する。
そして、マススペクトル抽出部12は、作成したTICCに基づいて、通常の自動ピーク検出(いわゆるピークサーチ)プログラムに従って、TICCに基づく一連のスペクトル抽出を実施する。マススペクトル抽出部12は、上述の自動ピーク検出によって、TICC上の各ピークに該当する保持時間[RT]毎のマススペクトルを抽出してマススペクトルデータを生成する。
クロマトグラム作成部13は、マススペクトル抽出部12で生成されたマススペクトルデータから、EICを作成する。
スクリーニング条件設定部14は、定量対象化合物の濃度が基準値を超えているか否かを判定するスクリーニングにおいて使用される条件である、スクリーニング条件を、以下の手順で作成する。
(1)定量対象化合物を含む標準試料を測定する。
(2)予め設定された定量条件と、(1)で行った標準試料の測定結果を用いて、標準試料の定性分析を行う。
(3)(2)で行った標準試料の定性分析の結果得られた実測値と、定量条件に基づいて行った定量分析の測定値とを用いて、スクリーニング条件を作成する。なお、スクリーニング条件設定部14によるスクリーニング条件の作成処理の詳細については、質量分析用データ処理装置1aにより行われるメイン処理の手順を示す図5を参照して詳述する。
スクリーニング条件設定部14が参照する定量条件は、予め定量条件設定ファイル(不図示)としてユーザーによって作成される。定量条件設定ファイルに設定される定量条件は、例えば以下の項目で構成される。
・化合物名
・保持時間[RT]
・定量イオンの質量電荷比[m/z]
・基準値
・ピーク検出時間範囲
「化合物名」には、定量対象化合物の名称が設定される。「保持時間[RT]」には、定量対象化合物の保持時間[RT]が分単位で設定される。「定量イオンの質量電荷比[m/z]」には、定量対象化合物の定量イオンの質量電荷比[m/z]が設定される。「基準値」には、スクリーニング部15が定量対象化合物のスクリーニングを行う際に用いる閾値としての基準濃度がppmの単位で設定される。
ピーク検出時間範囲は、定量対象化合物のピークの検出を行う時間であるピーク検出時間を規定する設定値であり、保持時間[RT]±(ピーク検出範囲÷2)で表される。例えば、保持時間[RT]が3分であり、ピーク検出範囲が0.5分(30秒)である場合、ピーク検出時間範囲は2分45秒〜3分15秒の間となる。ピーク検出範囲には、任意の時間を設定することができる。
上記各項目を含む定量条件設定ファイルは、記憶部11に記憶される。
スクリーニング条件設定部14は、スクリーニング条件として、以下の各項目を作成する。
・化合物名
・保持時間[RT]の実測値
・定量イオンの質量電荷比[m/z]
・ピーク検出時間範囲
・ピーク強度
・標準物質濃度
・基準値
・基準値ライン強度
「化合物名」、「定量イオンの質量電荷比[m/z]」、「基準値」、及び、「ピーク検出時間範囲」は、定量条件に設定された各設定値を流用することができる。
「保持時間の実測値」及び「ピーク強度」には、上記(3)で行われた定性分析の結果得られた実測値が設定される。「標準物質濃度」には、標準試料の濃度が設定される。
「基準値ライン強度」は、基準値の強度の、標準試料の濃度に対する高さとして示される値であり、基準値ライン強度は、標準物質濃度、ピーク強度及び基準値の情報を用いて、下記の式(1)によって算出することができる。
基準値ライン強度=ピーク強度×基準値/標準物質濃度…式(1)
なお、ここで求める基準値ライン強度は、標準試料の測定結果に基づいて算出されるものであり、標準試料にはノイズ成分が含まれている。それゆえ、ここで算出する基準値ライン強度も、ノイズ成分も含んだものとする。
スクリーニング条件設定部14で設定された上記各項目よりなるスクリーニング条件は、例えばスクリーニング条件設定ファイル(不図示)として記憶部11に記憶される。
スクリーニング部15は、スクリーニング条件設定部14で作成されたスクリーニング条件に基づいて、定量対象化合物の濃度が所定の基準値ライン強度を超えるか否かを判定するスクリーニングを行う。そして、スクリーニング部15は、スクリーニングの結果を、スクリーニングの結果が格納されるリストである、スクリーニング結果リスト(不図示)に反映させる。また、スクリーニング部15は、スクリーニングにより、定量対象化合物の濃度が基準値ライン強度を超えたことを検知した場合には、その旨をスクリーン結果リストに記載するとともに、スピーカー18から報知、及び/又は、表示部20の画面を介してユーザーに報知する。
同定部16は、クロマトグラム作成部13でEICが作成されている測定中の化合物が、定量対象化合物であるか否かの判定を行う。具体的には、同定部16は、ピーク検出開始時間が訪れた化合物を対象としてピークサーチを行い、ピーク検出終了時間までの間にピークを検出できた場合に、測定中の化合物が定量対象化合物であると同定する。ピーク検出開始時間は、定量条件に設定された「ピーク検出時間範囲」の開始時間であり、保持時間[RT]−(ピーク検出範囲÷2)で表される。ピーク検出終了時間は、「ピーク検出時間範囲」の終了時間であり、保持時間[RT]+(ピーク検出範囲÷2)で表される。
なお、本実施形態では、同定部16が、ピーク検出時間範囲内でピークが検出されるか否かの情報のみに基づいて化合物の同定を行う例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、同定部16が化合物の同定を行う条件として、ピークサーチの結果検出されたピークのトップ位置の保持時間[RT]が予め設定されたRT許容誤差内に入っているか否かの情報を用いてもよい。この場合、同定部16は、ピークのトップ位置の保持時間[RT]がRT許容誤差内に入っている場合に測定中の化合物を定量対象化合物であると同定し、RT許容誤差内に入っていなかった場合に、測定中の化合物は定量対象化合物でない(定量対象化合物不検出)と判定する。
または、同定部16が化合物の同定を行う条件として、化合物の定量イオンの強度に対する参照イオンの強度の比を示すI/Q比の情報を用いてもよい。この場合、同定部16は、測定されたI/Q比(実測I/Q比)と、定量条件に設定されているI/Q比(設定I/Q比)とを比較し、比較の結果得られた両I/Q比の差が、予め設定された許容誤差の範囲に収まっている場合に、測定中の化合物が定量対象化合物であると同定する。実測I/Q比と設定I/Q比との誤差が許容誤差の範囲外であった場合には、測定中の化合物は定量対象化合物でない(定量対象化合物不検出)と判定する。
または、同定部16が化合物の同定を行う条件として、マススペクトル抽出部12で作成されたマススペクトルと、ライブラリーサーチでヒットした化合物のマススペクトルとを比較して求めたスペクトル類似度の情報を用いてもよい。この場合、同定部16は、マススペクトルとライブラリーデータとの類似度が所定の閾値以上である場合に、測定中の化合物が定量対象化合物であると同定する。マススペクトルとライブラリーデータとの類似度が所定の閾値未満である場合には、測定中の化合物は定量対象化合物でない(定量対象化合物不検出)と判定する。
なお、同定部16が化合物の同定に使用可能な条件として挙げた上記各条件は、それぞれ単独で用いられてもよく、上記条件のうちの幾つか、あるいはすべて併用されてもよい。本実施形態で同定部16によって用いられるピーク検出時間範囲の情報に加えて、RT許容誤差の情報、スペクトル類似度の情報、及び/又は、I/Q比の情報を用いることにより、同定部16による化合物同定の精度をより高めることができる。
画像データ作成部17は、マススペクトル抽出部12で生成されたTICCと、同定部16によってピーク検出時間範囲でのピークサーチが行われている化合物のEICと、スクリーニング結果リストに格納された各情報とを、表示部20に表示するための画像データに変換する。また、画像データ作成部17は、スクリーニング条件設定部14でスクリーニング条件に設定された基準値ライン強度の情報に基づいて、スクリーニング結果が表示される画像中に表示する基準値強度ラインを生成する。
画像データ作成部17で生成された各画像データは、表示部20の画面を分割した各領域に、それぞれ画像として表示される。なお、画像データ作成部17で生成された画像データによる画像の、表示部20の画面での表示は、質量分析用データ処理装置1aがデータを分析すると同時に、リアルタイムで(時間的に並行して)行われる。表示部20の画面の表示領域の構成例については、次の図4を参照して詳述する。
操作部19は、質量分析用データ処理装置1aにおいて実行するデータ処理に関する各種設定を入力する。データ処理に関する各種設定とは、例えばクロマトグラム作成部13においてクロマトグラムを作成する保持時間範囲[Tw]の設定等である。この操作部19は、例えばキーボード、マウス等で構成されてもよい。
表示部20は、画像データ作成部17で作成された画像データに基づいて画像を表示する。なお、操作部19と表示部20とを、ユーザーのタッチ入力が可能なタッチパネルとして、互いに一体に形成してもよい。
<表示部の画面の表示領域の構成例>
次に、図4を参照して、表示部20の画面の表示領域の構成例について説明する。図4は、表示部20の画面の表示領域の構成例を示す説明図である。
図4に示すように、表示部20の画面の表示領域は、クロマトグラム表示領域Ar1、及び、スクリーニング条件及びスクリーニング結果表示領域Ar2で構成される。クロマトグラム表示領域Ar1は、さらに、TICC表示領域Ar11及びEIC表示領域Ar12を含む。
TICC表示領域Ar11には、マススペクトル抽出部12で作成された、測定中のTICCが表示される。EIC表示領域Ar12には、測定開始からの経過時間が、定量条件として設定されたピーク検出開始時間を超えた化合物のEIC、すなわち、スクリーニング部15によって、ピーク検出時間範囲におけるピークサーチが行われているEICが表示される。スクリーニング部15によってピーク検出時間範囲におけるピークサーチが行われている化合物が複数存在する場合には、EIC表示領域Ar12に複数のEICが表示される。
図4に示す例では、EIC表示領域Ar12の上段には、質量電荷比[m/z]が“129”の化合物CのEICが表示され、下段には、質量電荷比[m/z]が“57”の化合物DのEICが表示されている。また、EIC表示領域Ar12の各領域には、基準値強度ラインL1及びL2がEICに重畳して、それぞれ破線で表示されている。この基準値強度ラインL1及びL2は、スクリーニング条件に設定された基準値ライン強度の情報に基づいて、画像データ作成部17によって生成される。
図4に示す例では、質量電荷比[m/z]が“129”の化合物Cの濃度が、基準値強度ラインL1を超えている。よって、スクリーニング部15の制御に基づいて、スピーカー18(図1参照)から警告音が放音される。
スクリーニング条件及びスクリーニング結果表示領域Ar2には、スクリーニング条件設定部14で設定されたスクリーニング条件、及び、スクリーニング部15により実施されたスクリーニングの結果を示すスクリーニング結果リストの情報が記載される。具体的には、以下の項目が表示される。
・化合物名
・保持時間[RT](分)
・定量イオンの質量電荷比[m/z](図においては「定量イオン」と表記)
・ピーク検出時間範囲(分)
・標準物質濃度(ppm)
・ピーク強度(ピークの高さ)
・基準値(ppm)
・基準値ライン強度
・検出結果
「化合物名」には、標準試料に含まれる化合物の名称が記載される。図4に示す例では、標準試料に化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dが含まれるため、これらの4つの化合物の名称が記載されている。
「保持時間[RT](分)」には、スクリーニング条件設定部14で実施された定性分析の結果得られた保持時間[RT]の実測値が記載される。「定量イオンの質量電荷比[m/z]」、「ピーク検出時間範囲(分)」、「標準物質濃度(ppm)」、「基準値(ppm)」、「基準値ライン強度」には、スクリーニング条件設定ファイルに記載された値が記載される。
「検出結果」には、スクリーニング部15によるスクリーニングの結果が記載される。具体的には、スクリーニング部15によるスクリーニングの結果、定量対象化合物の濃度が基準値を超えた場合には、“D.”が記載され、基準値以下であった場合には“N.D.”と記載される。図4に示す例では、化合物B及び化合物Cにおいて、基準値以上の濃度が検出されたことが示されている。
<質量分析用データ処理装置による質量分析用データ処理手法>
次に、図5〜図7を参照して、本実施形態に係る質量分析用データ処理装置1aによる質量分析用データ処理手法について説明する。図5は、本実施形態に係る質量分析用データ処理装置1aによる質量分析用データ処理のメイン処理の手順を示すフローチャートである。図6及び図7は、質量分析用データ処理のメイン処理において実行されるスクリーニングの手順を示すフローチャートである。
まず、ユーザーによって定量条件が設定され、定量条件設定ファイルが作成される(ステップS1)。定量条件設定ファイルに設定される定量条件は、上述したように、「化合物名」、「保持時間[RT]」、「定量イオンの質量電荷比[m/z]」、「基準値」及び「ピーク検出時間範囲」の各項目で構成される。
次いで、スクリーニング条件設定部14によって、定量対象化合物を含む標準試料が測定される(ステップS2)。本実施形態では、ステップS2において、スクリーニング条件設定部14は、既知の単一の濃度の対象成分を含む1つの標準試料のみを測定する。これにより、標準試料の測定にかかる時間及び手間を、従来と比較して大幅に短縮することができる。なお、この後のステップで行われる定量分析の精度を、より高くする目的においては、ステップS2で測定が行われる標準試料中として、定量分対象化合物の濃度が高い標準試料を使用することが望ましい。
次いで、スクリーニング条件設定部14は、ステップS2の測定により得られた標準試料測定結果と、ステップS1で作成された定量条件設定ファイルに記載された定量条件とに基づいて、標準試料の定性分析を行う(ステップS3)。
なお、ステップS3の定性分析においては、標準試料に含まれる各定量対象化合物の保持時間[RT]の情報、及び、ピーク強度の情報も取得される。これらの情報を取得するにあたり、スクリーニング条件設定部14は、まず、クロマトグラム作成部13によって生成された、標準試料に含まれる各定量対象化合物のEICを対象として、ピークの検出を行う。次いで、スクリーニング条件設定部14は、検出したピークの情報から、保持時間[RT]の実測値及びピーク強度を取得する。
次いで、スクリーニング条件設定部14は、ステップS3の定性分析の結果得られた各実測値と、定量条件設定ファイルに設定された定量条件の設定値とを用いて、スクリーニング条件を設定する(ステップS4)。
ステップS4で設定されるスクリーニング条件は、上述したように、「化合物名」、「保持時間[RT]の実測値」、「定量イオンの質量電荷比[m/z]」、「ピーク検出時間範囲」、「ピーク強度」、「標準物質濃度」、「基準値」及び「基準値ライン強度」の各項目で構成される。
「化合物名」、「定量イオンの質量電荷比[m/z]」、「基準値」、及び、「ピーク検出時間範囲」は、定量条件設定ファイルに設定された各設定値を流用することができる。また、「保持時間の実測値」及び「ピーク強度」には、ステップS3で行われた定性分析の結果得られた各実測値が設定される。「標準物質濃度」には、標準試料の濃度が設定される。また、「基準値ライン強度」は、上述の式(1)を用いて求めることができる。
次いで、スクリーニング部15は、ステップS4で設定されたスクリーニング条件を用いて、定量対象化合物のスクリーニングを行う(ステップS5)。ステップS5でスクリーニング部15がスクリーニングを行うことにより、スクリーニング結果及び定量対象化合物の測定結果の情報が得られる。
<スクリーニング部15によるスクリーニング手法>
次に、図6及び図7を参照して、図5のステップS5で実行されるスクリーニングの処理内容について説明する。
まず、ユーザーによって表示部20に表示される測定モニターが起動される(ステップS11)。ステップS11の処理後、3つの処理(第1サブ処理〜第3サブ処理)が並行して実行される。このため、ステップS11には、3つの処理が同時に実行開始されることを表すフォークノードFnが接続される。
図6の左側に示す第1サブ処理では、質量分析部102(図1参照)による定量対象化合物の測定が行われ、この測定結果が記憶部11に記憶される。具体的には、マススペクトル抽出部12は、記憶部11から読み出したデータに基づくTICCからマススペクトルを抽出し、この抽出したマススペクトルのマススペクトルデータを取得する(ステップS12)。ステップS12でマススペクトル抽出部12が取得したマススペクトルデータは、クロマトグラム作成部13に供給される。
次いで、マススペクトル抽出部12は、質量分析部102による測定が終了したか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13で、測定が終了していないと判定された場合(ステップS13がNO判定の場合)、マススペクトル抽出部12は、再びステップS12の処理を行う。一方、ステップS13で、測定が終了したと判定された場合(ステップS13がYES判定の場合)、他の全ての処理が終了するまで待機することを示す図6の下側にあるジョインノードJnに移る。ジョインノードJnは、複数の処理を1つに結合することを表す。
図6の中央に示す第2サブ処理では、定量対象化合物のスクリーニングが行われる。具体的には、まず、ステップS12でマススペクトル抽出部12によって抽出されたマススペクトルデータを用いて、クロマトグラム作成部13がEICを作成し、作成したEICで測定モニターの表示を更新する(ステップS15)。ステップS15で測定モニターに表示される(表示が更新される)EICは、ピーク検出開始時間が訪れたことによりピークの検出が行われているEICであり、該EICを抽出する処理の手順については、後述の図7を参照して詳述する。
次いで、スクリーニング部15は、ステップS15でその表示が更新されたEICから抽出したピークの強度と、基準値ライン強度とを比較する(ステップS16)。次いで、スクリーニング部15は、EICから抽出したピークの強度は基準値ライン強度よりも大きいか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17で、ピーク強度が基準値ライン強度よりも大きいと判定された場合(ステップS17がYES判定の場合)、スクリーニング部15は、EICが表示されている定量対象化合物の濃度が基準値を超えた旨を、スピーカー18からの放音等によってユーザーに報知する(ステップS18)。次いで、スクリーニング部15は、スクリーニング結果リストに書き込まれているスクリーニング結果の内容を更新する(ステップS19)。
次いで、スクリーニング部15は、定量対象化合物の測定が終了したか否かの判定を行う(ステップS20)。ステップS20で、測定が終了していないと判定された場合(ステップS20がNO判定の場合)、スクリーニング部15は、処理をステップS15に戻す。一方、ステップS20で、測定は終了したと判定された場合(ステップS20がYES判定の場合)、ジョインノードJnに移る。
一方、ステップS17で、ピーク強度が基準値ライン強度以下であると判定された場合(ステップS17がNO判定の場合)、スクリーニング部15は、処理をステップS20に移す。
図6の右側に示す第3サブ処理では、定量対象化合物のEICを測定モニター上に表示する処理及び測定モニターから削除する処理と、第2サブ処理で得られたスクリーニング結果をスクリーニング結果リストに反映させる(スクリーニング結果を更新する)処理とが行われる。具体的には、まず、スクリーニング部15は、測定モニター上にEICを表示していない定量対象化合物が存在するか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21で、EICを表示していない定量対象化合物は存在しないと判定された場合(ステップS21がNO判定の場合)、ジョインノードJnに移る。
一方、ステップS21で、EICを表示していない定量対象化合物が存在すると判定された場合(ステップS21がYES判定の場合)、スクリーニング部15は、スクリーニング条件に基づいて、ピーク検出開始時間と、測定開始からの経過時間とを比較する(ステップS22)。次いで、スクリーニング部15は、ピーク検出開始時間が、測定開始からの経過時間以上であるか否かを判定する(ステップS23)。
ピーク検出開始時間は、定量条件に設定された「ピーク検出時間範囲」の開始時間であり、上述のように、保持時間[RT]−(ピーク検出範囲÷2)で表される。つまり、ステップS23では、ステップS21でまだEICを表示していないと判定された化合物が、測定開始からの経過時刻がピーク検出時間範囲内に入った化合物であるか否か、すなわち、EICを測定モニター上に表示すべきEICであるか否かを判定している。
ステップS23で、ピーク検出開始時間が、測定開始からの経過時間以上であると判定された場合(ステップS23がYES判定の場合)、スクリーニング部15は、定量対象化合物の定量イオンのEICを、測定モニターのEIC表示領域Ar12(図4参照)に追加する制御を行う(ステップS24)。ステップS24の制御が行われることにより、画像データ作成部17によって、定量対象化合物の定量イオンのEICが、測定モニターのEIC表示領域Ar12中に新たに描画される。次いで、スクリーニング部15は、スクリーニング結果リストに、EICを描画中の化合物の化合物情報を追加する(ステップS25)。
次いで、スクリーニング部15は、定量対象化合物の測定が終了したか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26で、測定が終了していないと判定された場合(ステップS26がNO判定の場合)、スクリーニング部15は、処理をステップS21に戻す。一方、ステップS26で、測定は終了したと判定された場合(ステップS26がYES判定の場合)、ジョインノードJnに移る。
ステップS23で、ピーク検出開始時間が、測定開始からの経過時間未満であると判定された場合(ステップS23がNO判定の場合)、スクリーニング部15は、図7のステップS31の処理を行う。図7のステップS31では、ピーク検出終了時間と、測定開始からの経過時間とを比較することが行われる。ピーク検出終了時間は、上述のように、「ピーク検出時間範囲」の終了時間であり、保持時間[RT]+(ピーク検出範囲÷2)で表される。
次いで、スクリーニング部15は、ピーク検出開始時間が、測定開始からの経過時間以下であるか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32で、ピーク検出開始時間が、測定開始からの経過時間以下であると判定された場合(ステップS32がYES判定の場合)、スクリーニング部15は、測定モニターのEIC表示領域Ar12に表示中のEICを削除する制御を行う(ステップS33)。次いで、スクリーニング部15は、スクリーニングを行って得た結果の情報で、測定モニターのスクリーニング条件及びスクリーニング結果表示領域Ar2の各項目の値を更新する(ステップS34)。ステップS34の処理後、スクリーニング部15は、処理を図6のステップS26に移す。
そして、第1〜第3サブ処理のいずれもが終了してジョインノードJnに移った場合に、質量分析用データ処理装置1aのメイン処理が終了し、測定モニターの表示が終了される(ステップS14)。
<各種効果>
上記実施形態では、スクリーニング条件設定部14によって、定量対象化合物を含む標準試料の濃度に対する基準値の高さに相当する基準値ライン強度が設定される。そして、画像データ作成部17によって、定量対象化合物の定量イオンの抽出イオンクロマトグラムを表示した画面上に、基準値ライン強度に対応する基準値強度ラインを重畳して表示するための画像データが作成される。それゆえ、上記実施形態によれば、定量対象化合物の定量イオンの強度が所定の基準値(閾値)を超えているか否かの情報を、定量対象化合物の定量イオンの抽出イオンクロマトグラムと対応させて確認することができる。
また、上記実施形態では、抽出イオンクロマトグラムの定量イオンの強度が基準値を超えた場合にその旨をスクリーニング部15がスピーカー18等を介してユーザーに報知する。それゆえ、本実施形態によれば、ユーザーは、定量イオンの強度が基準値を超えたことを即時に把握することができる。
また、上記実施形態では、スクリーニング条件設定部14は、基準値ライン強度の設定を行うに際して、既知の単一の濃度の対象成分を含む1つの標準試料のみを測定する。それゆえ、本実施形態によれば、従来のように、複数濃度の対象成分を含む複数の標準試料を測定する必要がなくなるため、標準試料の測定に要する手間及び時間を節減することができる。また、定量条件を詳細にわたって細かく設定する必要がなくなるため、定量条件設定画面を別途開く手間を要することなく、簡易に定量対象化合物のスクリーニングを実施することができる。
また、上記実施形態では、スクリーニング部15が、定量対象化合物に対して予め設定された、定量対象化合物の保持時間[RT]を中心とする所定の時間幅を有するピーク検出時間範囲において、定量対象化合物の定量イオンのピークサーチを行う。そして、画像データ作成部17が、スクリーニング部15で定量イオンのピークサーチが行われている抽出イオンクロマトグラムを画面(のEIC表示領域Ar12)に表示させるための画像データを作成する。それゆえ、本実施形態によれば、ユーザーは、スクリーニング部15で定量イオンのピークサーチが行われている化合物の抽出イオンクロマトグラムのみを、表示部20の画面上で効率的に確認することができる。
また、上記実施形態では、同定部16が、ピーク検出時間範囲内で定量対象化合物の定量イオンのピークを検出した場合に、ピークが検出された化合物を定量対象化合物と同定する。それゆえ、本実施形態によれば、その強度が基準値を超えているか否かを判断したい化合物の同定が、簡易に行われる。
また、条規実施形態では、同定部16は、ピーク検出時間範囲内で定量対象化合物の定量イオンのピークを検出したか否かの情報に加えて、実測I/Q比と設定I/Q比との差分が所定の誤差範囲内にあるか否かの情報も用いて、定量対象化合物の同定を行うことができる。それゆえ、本実施形態によれば、定量対象化合物の同定精度を、より向上させることができる。
なお、本発明は上述した各実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、定量対象化合物の定量イオンの強度が基準値ライン強度を超えた場合に、その旨をスクリーニング部15がスピーカー18等を介してユーザーに報知する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ユーザーに報知するだけでなく、あるいは、ユーザーに対する報知処理に換えて、質量分析装置が接続された質量分析対象装置の動作を強制的に停止させる制御等を行ってもよい。これにより、例えば、工程分析の過程において、基準値を超える汚染物質又は残留物質等が検出された場合に、装置の動作を迅速に停止させることが可能となる。
また、例えば、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、図1中に実線で示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1…質量分析装置、1a…質量分析用データ処理装置、10…入出力制御部、11…記憶部、12…マススペクトル抽出部、13…クロマトグラム作成部、14…スクリーニング条件設定部、15…スクリーニング部、16…同定部、17…画像データ作成部、18…スピーカー、19…操作部、20…表示部、102…質量分析部、Ar1…クロマトグラム表示領域、Ar11…TICC表示領域、Ar12…EIC表示領域、Ar2…スクリーニング結果表示領域、L1…基準値強度ライン

Claims (6)

  1. クロマトグラフによって保持時間に応じて分離した試料成分を順次質量分析して得られたデータに基づいて、前記試料成分の同定及び定量を行うための質量分析用データ処理装置であって、
    定量対象化合物の定量イオンの抽出イオンクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成部と、
    前記定量イオンに対して設定された所定の基準値の強度の、前記定量対象化合物を含む標準試料の濃度に対する高さに相当する基準値ライン強度を設定するスクリーニング条件設定部と、
    前記抽出イオンクロマトグラムを表示した画面上に前記基準値ライン強度に対応する基準値強度ラインを重畳して表示するための画像データを作成する画像データ作成部と、
    前記抽出イオンクロマトグラムが生成されている前記定量対象化合物の定量イオンの強度が前記基準値ライン強度を超えたか否かをスクリーニングするとともに、前記定量イオンの強度が前記基準値を超えた場合にその旨を報知するスクリーニング部と、を備える
    質量分析用データ処理装置。
  2. 前記スクリーニング条件設定部は、既知の単一の濃度の対象成分を含む1つの標準試料を測定し、前記標準試料の測定結果を用いて前記基準値ライン強度の設定を行う
    請求項1に記載の質量分析用データ処理装置。
  3. 前記スクリーニング部は、前記定量対象化合物に対して予め設定された、前記定量対象化合物の保持時間を中心とする前後所定の時間幅を含むピーク検出時間範囲において、前記定量対象化合物の定量イオンのピークサーチを行い、
    前記画像データ作成部は、前記スクリーニング部で前記定量イオンのピークサーチが行われている抽出イオンクロマトグラムを前記画面に表示させるための画像データを作成する
    請求項1又は2に記載の質量分析用データ処理装置。
  4. 前記試料成分が前記定量対象化合物であることを同定する同定部をさらに備え、
    前記同定部は、前記ピーク検出時間範囲内で前記定量対象化合物の定量イオンのピークを検出した場合に、前記ピークが検出された化合物を前記定量対象化合物と同定する
    請求項3に記載の質量分析用データ処理装置。
  5. 前記同定部は、前記定量対象化合物の定量イオンの強度に対する参照イオンの強度の比を示すI/Q比の実測値である実測I/Q比と、前記定量対象化合物の定量を行うための定量条件に設定されたI/Q比である設定I/Q比とを比較し、
    前記比較の結果得られる両I/Q比の差が予め設定された許容誤差の範囲に収まっている場合、及び/又は、前記ピーク検出時間範囲内で前記定量対象化合物の定量イオンのピークを検出した場合に、測定中の化合物が定量対象化合物であると同定する
    請求項4に記載の質量分析用データ処理装置。
  6. クロマトグラフによって保持時間に応じて分離した試料成分を順次質量分析して得られたデータに基づいて、前記試料成分の同定及び定量を行うための質量分析用データ処理方法であって、
    定量対象化合物の定量イオンの抽出イオンクロマトグラムを作成することと、
    前記定量イオンに対して設定された所定の基準値の強度の、前記定量対象化合物を含む標準試料の濃度に対する高さに相当する基準値ライン強度を設定することと、
    前記抽出イオンクロマトグラムを表示した画面上に前記基準値ライン強度に対応する基準値強度ラインを重畳して表示するための画像データを作成することと、 前記抽出イオンクロマトグラムが生成されている前記定量対象化合物の定量イオンの強度が前記基準値ライン強度を超えたか否かをスクリーニングするとともに、前記定量イオンの強度が前記基準値を超えた場合にその旨を報知することと、を含む
    質量分析用データ処理方法。
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