JP2019074042A - 容量可変圧縮機 - Google Patents

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洋介 大庭
上田 元彦
Motohiko Ueda
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Yasutane Hijikata
康種 土方
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Abstract

【課題】外部制御機器からの容量制御のための信号を用いることなく、単独で省動力運転ができるようにする。【解決手段】吐出室15の吐出圧力に応じた信号を出力する吐出圧力検出部80と、吐出圧力に対する目標吸入圧力の関係を規定した目標吸入圧力情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された目標吸入圧力情報に基づいて吐出圧力検出部により検出された吐出圧力に対応する目標吸入圧力を特定し、吸入圧力が目標吸入圧力となるよう弁体駆動部を制御する圧縮機制御部81と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、圧縮容量が変化する容量可変圧縮機に関するものである。
従来、特許文献1に記載された内部可変式の可変容量型圧縮機がある。この圧縮機は、ハウジングに区画されたクランク室と、クランク室に連通したシリンダ室と、クランク室内に配置された斜板と、シリンダ室に配置されたピストンと、を有している。
この圧縮機は、クランク室の圧力と圧縮機の吸入圧力との差圧に応じて斜板の傾斜角が機械的に自動調整されることで、ピストンのストロークが変化して圧縮容量が変化する構成となっている。
この圧縮機は、圧縮機の吸入ポートとクランク室とを連通する連通路に設けられた弁体を有し、吸入圧力が一定となるように弁体が連通路を開閉することで、圧縮機を適切な容量に制御している。
また、このような可変容量型の圧縮機として、特許文献2に記載された外部可変式の可変容量型圧縮機もある。この圧縮機は、エアコンECU等の外部制御機器からの信号に応じて吐出容量を変化させるソレノイドバルブを有している。
この圧縮機は、通常モードからエコノミーモードに切り替わると、エアコンECUからの容量制御のための信号に応じて吸入圧力がより大きくなるようソレノイドバルブが制御される。これにより、吐出容量がより小さくなり省力化を図ることが可能となっている。
この圧縮機では、例えば、外気温度の高いときには、吐出容量の多い通常モードで動作し、外気温度がそれほど高くないときには、吐出容量の少ないエコノミーモードで動作するようにモードを切り替えることにより、省力化を図ることができる。
特開平8−177735号公報 特開2009−56840号公報
上記特許文献1に記載された内部可変式の可変容量型圧縮機は、外部制御機器からの信号に応じて動作するソレノイドバルブを有しておらず、エアコンECU等の外部制御機器による制御が不要となっている。このため、構成が簡素であり低コストを実現することができることから、低価格の車両に適している。
一方、特許文献2に記載された外部可変式の可変容量型圧縮機は、エコノミーモードで動作することが可能となっているだけでなく、エアコンECU等の外部制御機器による制御が可能である。
この外部可変式の可変容量型圧縮機は、例えば、外部制御機器が、外気温を検出する外気温センサや車両用空調システムに用いられる蒸発器の温度を検出する温度センサなど、各種センサの検出値を用いてソレノイドバルブをきめ細かく制御することが可能であることから、高機能の空調制御を行うことが可能であり、高価格の車両に適している。
上記特許文献1に記載された圧縮機は、吸入圧力を一定とするように弁体が連通路を開閉する構成となっており、上記特許文献2に記載された圧縮機のようなエコノミーモードに対応することができないため、省力化を図るのは困難である。
したがって、内部可変式の可変容量型圧縮機を搭載している車両において、エコノミーモードによって省力化を図るためには、搭載する圧縮機を外部可変式の可変容量型圧縮機に変更した上で、エアコンECU等の外部制御機器のソフトおよび外部制御機器との配線を変更し、さらに、各種センサを追加する必要も生じるため、コストが高くなるといった問題がある。さらに、圧縮機の変更に伴って大幅な開発工数の増加が生じるといった問題もある。
本発明は上記問題に鑑みたもので、外部制御機器からの容量制御のための信号を用いることなく、単独で省動力運転ができるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、圧縮容量が変化する容量可変圧縮機であって、流体を吸入する吸入室(14)、流体を圧縮するクランク室(110)および圧縮された流体を吐出する吐出室(15)を有する圧縮機ハウジング(10)と、吸入室の吸入圧力に応じて吐出室とクランク室とを連通する連通路(785)を開閉する弁体(700)および弁体を駆動する弁体駆動部(750)と、を有し、吸入室の吸入圧力が所定の圧力となるように弁体が連通路を開閉することで圧縮容量を制御する容量制御弁(70)と、吐出室の吐出圧力に応じた信号を出力する吐出圧力検出部(80)と、吐出圧力に対する目標吸入圧力の関係を規定した目標吸入圧力情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された目標吸入圧力情報に基づいて吐出圧力検出部により検出された吐出圧力に対応する目標吸入圧力を特定し、吸入圧力が目標吸入圧力となるよう弁体駆動部を制御する圧縮機制御部(81)と、を備えている。
このような構成によれば、圧縮機制御部は、記憶部に記憶された目標吸入圧力情報に基づいて吐出圧力検出部により検出された吐出圧力に対応する目標吸入圧力を特定し、吸入圧力が目標吸入圧力となるよう弁体駆動部を制御するので、外部制御機器からの容量制御のための信号を用いることなく、単独で省動力運転することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態の容量可変圧縮機を用いた冷凍サイクルの構成図である。 第1実施形態の容量可変圧縮機の概略断面図である。 第1実施形態の容量可変圧縮機の制御系の全体構成を表した図である。 第1実施形態の容量可変圧縮機における目標吸入圧力と吐出圧力の関係を表した図である。 圧縮機制御部のフローチャートである。 電磁弁コイルが非通電状態のときの容量制御弁の動きを示した図である。 電磁弁コイルが通電状態のときの容量制御弁の動きを示した図である。 比較例としての従来の容量可変圧縮機の制御系の全体構成を表した図である。 容量可変圧縮機の制御系の全体構成の変形例を表した図である。 容量可変圧縮機の制御系の全体構成の変形例を表した図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る容量可変圧縮機について、図1〜図8を用いて説明する。図1に示すように、容量可変圧縮機1は、凝縮器20、膨張弁21、蒸発器23などを含む冷凍サイクル用循環管路に配置されている。
図2に示すように、本容量可変圧縮機1は、圧縮機ハウジング10の内部の流体の圧力バランスによって傾斜角度が変化する斜板60を有し、この斜板60の傾斜角度が変化することにより吐出容量が変化する内部可変式の可変容量型圧縮機として構成されている。本容量可変圧縮機は、車両空調装置等に用いられる。
容量可変圧縮機1は、圧縮機ハウジング10、ピストン30、ピストンロッド31、シャフト40、電磁クラッチ50、斜板60および容量制御弁70を備えている。圧縮機ハウジング10は、ピストン30、ピストンロッド31、シャフト40、斜板60および電磁弁コイル750を収納している。
圧縮機ハウジング10の内部には、クランク室110と、該クランク室110と連通する複数個のシリンダ室120とが形成されている。シリンダ室120の各々にはピストン30が軸線方向に摺動自在に嵌合しており、各ピストン30のクランク室110側にはピストンロッド31の一端が連結されている。
圧縮機ハウジング10はシャフト40を回転可能に支持している。シャフト40は、電磁クラッチ50のプーリ52に掛け渡された図示されていない駆動ベルトにより図示されていないエンジンと駆動連結され、エンジンによって回転駆動される。シャフト40はクランク室110内において斜板60を公知の連繋機構により取り付け角度変更可能に連結されている。
ピストンロッド31には、球状のシュー61を収納するためのシュー受部32が形成されている。シュー61は、斜板60の回転を各ピストン30の往復運動に変換する変換機構として機能する。各ピストン30は、ピストンロッド31およびシュー61を介して斜板60に連結されることで、斜板60の傾斜角度に応じたストロークでシリンダ室120内部の往復運動が可能となっている。
斜板60が傾斜状態にてシャフト40により回転駆動されることにより、各シリンダ室120のピストン30が斜板60の傾斜角に応じたストロークをもって往復運動し、その傾斜角がクランク室圧力Pcと各シリンダ室120の吸入圧力(コンプレッサ吸入圧力)Psとの差圧に応じて自動調整される。
具体的には、容量可変圧縮機1は、クランク室圧力Pcが上昇すると、斜板60の傾斜角が減少してピストン30のストロークが低減し、これにより吐出容量が低減する。また、容量可変圧縮機1は、クランク室圧力Pcが低下すると、斜板60の傾斜角が増大してピストン30のストロークが増大し、これにより吐出容量が増大する。また、容量可変圧縮機1は、クランク室圧力Pcが吸入圧力Psに実質的に等しい圧力になるとフルロード運転状態になる。
クランク室圧力Pcは、シリンダ室120とピストン30との間より漏れる流体の流量により決まる。各シリンダ室120には、吸入弁12を有する吸入室14と、吐出弁13を有する吐出室15とが形成されている。なお、吸入弁12および吐出弁13は、各々一方向弁により構成されている。
各シリンダ室120の吸入室14は、吸入通路16を介して吸入ポート17と連通し、吐出室15は吐出通路18を介して吐出ポート19と連通している。
本実施形態の容量可変圧縮機1は、吐出ポート19から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ80を有している。吐出圧力センサ80は、吐出ポート19から吐出される流体の吐出圧力に応じた信号を後述する圧縮機制御部81に出力する。
このような容量可変圧縮機では、外気温センサより入力される信号等に基づいて容量制御弁70を制御する。しかし、外気温センサは、容量可変圧縮機1から離れた位置に配置する必要があり、容量可変圧縮機1に外気温センサを配置するのは困難である。
本実施形態の容量可変圧縮機1では、外気温と相関関係を有している吐出圧力を吐出圧力センサ80により検出し、吐出圧力センサ80により検出された吐出圧力に基づいて容量制御弁70を制御する。
圧縮機ハウジング10には、容量制御弁70を固定するための弁受け入れ孔Aが形成されている。この弁受け入れ孔Aには、容量制御弁70の弁ハウジング71が挿入装着されている。
容量制御弁70は、弁ハウジング71、ベローズ720、ロッド710、弁体700、可動体760、コイルばね730、電磁弁コイル750、コイルばね770、を有している。弁ハウジング71には、吸入圧力室782、吐出圧力室780、クランク圧力室781およびコイル収納室783が形成されている。
吸入圧力室782は、圧縮機ハウジング10の吸入室14と吸入圧力通路111を介して接続されている。吐出圧力室780は、圧縮機ハウジング10の吐出室15と吐出圧力通路112を介して接続されている。クランク圧力室781は、圧縮機ハウジング10のクランク室110と通路113を介して接続されるとともに連通路785を介して吐出圧力室780と接続されている。
吸入圧力室782には、蛇腹状を成すベローズ720が配置されている。ベローズ720の両端は塞がれている。ベローズ720は、その内部が真空となっており、内部の気密が保持されている。ベローズ720は、一端がロッド710側の一端と接続されており、他端が、吸入圧力室782におけるロッド710と反対側の面に接着されている。
ベローズ720は、吸入圧力室782の吸入圧力Psに応じてロッド710の軸方向に伸縮する。具体的には、吸入圧力室782は、吸入圧力室782の圧力が低下すると、膨張してロッド710の軸方向の長さが短くなり、吸入圧力室782の圧力が上昇すると、収縮してロッド710の軸方向の長さが長くなる。
吸入圧力室782、吐出圧力室780およびクランク圧力室781は、互いに連通しており、この連通している部分に棒状を成すロッド710が配置されている。
ロッド710は、径の小さな小径部710aと、この小径部より径の大きな大径部710bを有している。小径部710aは、吸入圧力室782と吐出圧力室780との間の連通している部分と、吐出圧力室780とクランク圧力室781との間の連通路785とに挿通されている。
小径部710aの端部は、ベローズ720に一端と接続されており、大径部710bの端部は、可動体760と接続されている。ロッド710のうち、小径部710aと大径部710bの境界に弁体700が形成されている。弁体700は、吐出圧力室780とクランク圧力室781との間を連通する連通路785の開度を調整する開閉弁として機能する。弁体700は、吐出圧力室780における連通路785との境界に配置されている。
ロッド710の軸方向の移動に伴って弁体700が連通路785から開離すると連通路785が開いた状態となり、ロッド710の軸方向の移動に伴って弁体700が連通路785に当接すると連通路785が閉じた状態となる。
可動体760は、可動鉄片として構成されており、円環状の電磁弁コイル750の内部に配置されている。
コイル収納室783には、可動体760とともにロッド710を吸引する吸引力を生じさせるコイルばね770と、電磁力によって可動体760とともにロッド710をロッド710側へ付勢する電磁弁コイル750が配置されている。
電磁弁コイル750への通電または非通電により可動体760がロッド710の軸方向に移動する。この可動体760の移動に合わせて、弁体700が吐出圧力室780とクランク圧力室781との間の連通路785の開閉を行う。
次に、容量制御弁70の作動について説明する。
電磁弁コイル750が非通電状態の場合、吸入圧力室782の流体の吸入圧力Psによりロッド710に形成された弁体700が連通路785を閉じる方向に付勢される。一方、ベローズ720の伸長力によりロッド710に形成された弁体700が連通路785を開く方向に付勢される。
すなわち、電磁弁コイル750が非通電状態の場合、吸入圧力室782の流体の吸入圧力Psによる付勢力と、ベローズ720の伸長力のバランスが釣り合って弁体700が連通路785を開弁した状態となる。
また、電磁弁コイル750が通電状態になると、さらに、弁体700が連通路785を閉じる方向に、電磁弁コイル750による電磁力が加わる。すなわち、弁体700が連通路785を閉じる方向に、吸入圧力室782の流体の吸入圧力Psによる付勢力と電磁弁コイル750による電磁力が加わる。
したがって、電磁弁コイル750が非通電状態の場合と比較して、さらに、弁体700が連通路785を塞ぐ方向に付勢され、弁体700が連通路785を閉弁した状態となる。
図3は、本実施形態の容量可変圧縮機1の制御系の全体構成を表した図である。容量可変圧縮機1は、吐出圧力センサ80、圧縮機制御部81、電磁弁駆動回路82、電磁弁コイル750および電磁クラッチコイル51を有している。吐出圧力センサ80、圧縮機制御部81、電磁弁コイル750および電磁クラッチコイル51は、それぞれ圧縮機ハウジング10に固定され容量可変圧縮機1と一体となっている。本実施形態では、圧縮機制御部81と電磁弁コイル750とが一体として構成されている。
圧縮機制御部81は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。圧縮機制御部81は、電磁弁駆動回路82を有している。圧縮機制御部81のメモリは記憶部に相当する。
電磁弁駆動回路82は、電磁弁コイル750を駆動する駆動回路である。電磁弁駆動回路82は、複数のトランジスタを有し、圧縮機制御部81より入力される信号に応じたPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、このPWM信号に応じた電流を電磁弁コイル750に供給する。
電磁弁コイル750にPWM信号に応じた電流が流れると、円環状の電磁弁コイル750の内部に配置された可動体760が電磁力により牽引され、可動体760に連結された弁体700が連通路785を開弁する。
エアコンECU90は、外気温センサ等の各種センサから入力される信号に基づいて車両のヒータコアを迂回して流れる空気の風量と蒸発器で冷却された冷気の風量との割合を調整する不図示のエアミックスドアの制御等を行う。
電磁クラッチ50は、電磁クラッチコイル51に通電することにより発生する電磁力を利用してプーリ52とシャフト40との間の動力伝達を制御するものである。
容量可変圧縮機1の圧縮機制御部81等の電気回路および電磁クラッチコイル51は、それぞれバッテリ91からリレー92を介して並列に接続されている。なお、リレー92は、エアコンECU90からの制御信号によって制御される。
エアコンECU90からの制御信号によってリレー92がオンすると容量可変圧縮機1の圧縮機制御部81等の電気回路および電磁クラッチコイル51にバッテリ91から電力が供給される。すなわち、バッテリ91から電磁クラッチコイル51に電源供給されているときにバッテリ91から圧縮機制御部81に電源供給される。また、バッテリ91から電磁クラッチコイル51に電源供給されていないときにはバッテリ91から圧縮機制御部81にも電源供給されない。
このように、エアコンECU90から出力される電磁クラッチコイル51への電力供給を制御する信号を用いて圧縮機制御部81等の電気回路および電磁クラッチコイル51への電力供給を制御している。
次に、本容量可変圧縮機1における吐出圧力と目標吸入圧力の関係について図4を参照して説明する。図4は、容量可変圧縮機1における目標吸入圧力と吐出圧力の関係を表している。縦軸は目標吸入圧力、横軸は吐出圧力となっている。なお、吐出圧力は外気温度が高くなるにつれて高くなる特性を有している。
外気温度が高い夏場は、吐出圧力も高くなる。この場合、クールダウン性を確保するため、大量の冷たい空気を車室内に吹き出す必要がある。すなわち、外気温度が高い夏場にクールダウン性を確保するためには、吐出圧力の高い領域で、吸入圧力を低くする必要がある。
また、外気温度が低い冬場には、吐出圧力も低くなる。この場合、窓の曇りを防止するため、冷たい空気を車室内に吹き出す必要がある。すなわち、外気温度が低い冬場に防曇性を確保するためには、吐出圧力の低い領域で、吸入圧力を低くする必要がある。また、外気温度が低い冬場には、フロスト防止のため、吸入圧力をあまり低くすることができない。すなわち、吐出圧力の低い領域で、吸入圧力を低く設定しすぎると蒸発器23の表面に氷が付着してしまうため、吐出圧力の低い領域では、フロストが発生しない程度で吸入圧力を低く設定する必要がある。
しかし、外気温がそれほど高くない春や秋には、冷たい空気を出す必要がない。このため、本容量可変圧縮機1では、外気温が高い領域と低い領域の間の中間領域では、電磁弁コイル750への通電を行い、外気温が高い領域および低い領域と比較して吐出圧力をより大きくする省動力運転を実施する。なお、外気温が高い領域と低い領域の間の中間領域では、快適性を確保できる範囲で、吸入圧力を高く設定するのが好ましい。
したがって、吐出圧力がPd1未満の場合と、吐出圧力がPd2以上の場合には、目標吸入圧力は低く設定されており、吐出圧力がPd1以上で、かつ、Pd2未満の場合には、目標吸入圧力はより高く設定されている。
なお、吐出圧力がPd1未満の場合は、目標吸入圧力は、吐出圧力が上昇するにつれて徐々に上昇する。また、吐出圧力がPd1以上になると、目標吸入圧力は、吐出圧力が上昇するにつれてより大きな傾斜で徐々に上昇し、その後、一定となる。さらに、吐出圧力が上昇すると、目標吸入圧力は、吐出圧力が上昇するにつれて徐々に低下する。そして、吐出圧力がPd2以上になると、目標吸入圧力は、吐出圧力が上昇するにつれてより小さな傾斜で徐々に低下する。
本実施形態の容量可変圧縮機1は、従来の内部可変式の可変容量型圧縮機のように吸入圧力が一定となるように制御するのではなく、圧縮機制御部81が、吐出圧力センサ80により検出された吐出圧力が中間領域となった際には、図4に示したように、吸入圧力がより高い圧力となるよう容量制御弁70の電磁弁コイル750を制御する。このように、吸入圧力がより高い圧力となるように制御することで、吐出容量の少ない省動力運転を実現する。
本実施形態の圧縮機制御部81のメモリには、図4に示した吐出圧力に対する目標吸入圧力の関係を規定した目標吸入圧力情報が記憶されている。圧縮機制御部81は、メモリに記憶された目標吸入圧力情報に基づいて電磁弁コイル750に流す電流値を特定し、特定した電流値が電磁弁コイル750に流れるよう制御する。
次に、この制御について図5のフローチャートに従って説明する。圧縮機制御部81は、バッテリ91からの通電が開始されると、図5に示す処理を周期的に実施する。
まず、S100にて圧縮機制御部81は、吐出圧力Pdを特定する。吐出圧力Pdは、吐出圧力センサ80から出力される信号に基づいて特定することができる。
次に、S102にて圧縮機制御部81は、吐出圧力Pdに応じた目標吸入圧力Psを算出する。具体的には、圧縮機制御部81のメモリに記憶された目標吸入圧力情報に基づいて吐出圧力検出部により検出された吐出圧力に対応する目標吸入圧力を特定する。
次に、S104にて圧縮機制御部81は、目標吸入圧力に応じたソレノイド電流が電磁弁コイル750に流れるよう電磁弁駆動回路82に指示する。
ここで、容量制御弁70の電磁弁コイル750が非通電状態の場合、図6に示すように、吸入圧力室782の流体の吸入圧力Psによりロッド710に形成された弁体700が連通路785を閉じる方向に付勢される。一方、ベローズ720の伸長力によりロッド710に形成された弁体700が連通路785を開く方向に付勢される。すなわち、電磁弁コイル750が非通電状態の場合、吸入圧力室782の流体の吸入圧力Psによる付勢力と、ベローズ720の伸長力のバランスが釣り合って弁体700が連通路785を開弁した状態となる。これにより、吐出圧力室780からクランク圧力室781への流体の流入が増加し、吸入圧力Psは上昇する。
また、容量制御弁70の電磁弁コイル750が通電状態になると、図7に示すように、さらに、弁体700が連通路785を閉じる方向に、電磁弁コイル750による電磁力が加わる。すなわち、弁体700が連通路785を閉じる方向に、吸入圧力室782の流体の吸入圧力Psによる付勢力と電磁弁コイル750による電磁力が加わる。
したがって、電磁弁コイル750が非通電状態の場合と比較して、さらに、弁体700が連通路785を閉弁する方向に付勢され、弁体700が連通路785を閉弁した状態となる。これにより、吐出圧力室780からクランク圧力室781への流体の流入が制限され、吸入圧力Psは低下する。
このように、圧縮機制御部81は、目標吸入圧力に応じたソレノイド電流が電磁弁コイル750に流れるよう電磁弁駆動回路82に指示する。なお、この圧縮機制御部81の指示に応じて電磁弁駆動回路82から電磁弁コイル750に目標吸入圧力に応じたソレノイド電流が供給される。
圧縮機制御部81は、上記処理を繰り返し実施し、図4に示したような、吐出圧力Pdに応じて吸入圧力Psを連続的または段階的に変化させるよう電磁弁駆動回路82を制御する。このような処理を実施することで、吐出容量の少ない省動力運転を実現することができる。
図8は、電磁弁コイル駆動回路900を有するエアコンECU90により電磁弁コイル950を駆動する従来の外部可変式の可変容量型圧縮機の構成を表している。このような可変容量型圧縮機では、エアコンECU90と電磁弁コイル910との間を接続するケーブル93が設けられ、このケーブル93を介してエアコンECU90から電磁弁コイル950に容量制御のための信号が入力されている。
したがって、エアコンECU90が、外気温センサや車両用空調システムに用いられる蒸発器の温度を検出する温度センサなど、各種センサの検出値を用いてソレノイドバルブをきめ細かく制御することが可能であるが、コストが高くなってしまう。
これに対し、本実施形態の内部可変式の可変容量型圧縮機は、外部制御機器からの容量制御のための信号を用いることなく、単独で省動力運転ができるため、低コストを実現することができる。
以上、説明したように、本容量可変圧縮機1は、圧縮容量が変化する容量可変圧縮機であって、流体を吸入する吸入室14、流体を圧縮するクランク室110および圧縮された流体を吐出する吐出室15を有する圧縮機ハウジング10を備えている。また、吸入室14の吸入圧力に応じて吐出室15とクランク室110とを連通する連通路785を開閉する弁体700および弁体700を駆動する弁体駆動部750と、を有する容量制御弁70を備えている。容量制御弁70は、吸入室14の吸入圧力が所定の圧力となるように弁体700が連通路785を開閉することで圧縮容量を制御する。また、吐出室15の吐出圧力に応じた信号を出力する吐出圧力検出部80と、吐出圧力に対する目標吸入圧力の関係を規定した目標吸入圧力情報を記憶する記憶部と、を備えている。さらに、記憶部に記憶された目標吸入圧力情報に基づいて吐出圧力検出部により検出された吐出圧力に対応する目標吸入圧力を特定し、吸入圧力が目標吸入圧力となるよう弁体駆動部を制御する圧縮機制御部81を備えている。
このような構成によれば、圧縮機制御部81は、記憶部に記憶された目標吸入圧力情報に基づいて吐出圧力検出部80により検出された吐出圧力に対応する目標吸入圧力を特定し、吸入圧力が目標吸入圧力となるよう弁体駆動部750を制御する。したがって、外部制御機器からの容量制御のための信号を用いることなく、単独で省動力運転することができる。
また、弁体駆動部750は、弁体700と連結された可動体760と、該可動体760を電磁力により駆動する電磁弁コイル750と、を有している。そして、圧縮機制御部は、吸入圧力が目標吸入圧力となるよう電磁弁コイル750に流れる電流を制御する。
このように、弁体駆動部750は、可動体760と電磁弁コイル750と、を有し、圧縮機制御部は、吸入圧力が目標吸入圧力となるよう電磁弁コイル750に流れる電流を制御するよう構成することができる。
また、本容量可変圧縮機1は、クランク室110に配置されたシャフト40の動力伝達を制御する電磁クラッチコイル51と、バッテリ91に接続されたリレー92と、を備えている。また、圧縮機制御部81は、リレー92に対して電磁クラッチコイル51と並列に接続されており、リレー92を介してバッテリ91から電磁クラッチコイル51に電源供給されているときにバッテリ91から圧縮機制御部81に電源供給される。
したがって、バッテリ91から圧縮機制御部81への電力供給を制御するための信号を必要とすることなく、電磁クラッチコイル51と連動するようにバッテリ91から圧縮機制御部81への電力供給を制御することができる。
また、圧縮機制御部81は、電磁弁コイル750と一体となっている。このように、圧縮機制御部81と電磁弁コイル750は一体されているので、圧縮機制御部81と電磁弁コイル750とを別体として構成する場合と比較して低コストを実現することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る容量可変圧縮機について、図9を用いて説明する。上記第1実施形態では、圧縮機制御部81と電磁弁コイル750とが一体として構成されている。これに対し、本実施形態では、圧縮機制御部81と電磁弁コイル750とが別体として構成されている。また、圧縮機制御部81の電磁弁駆動回路82は、電磁弁コイル750を駆動するとともに電磁クラッチコイル51を駆動する。
電磁弁駆動回路82は、圧縮機制御部81より入力される信号に応じて異なる2つのPWM信号を生成し、これらのPWM信号に応じた電流を電磁弁コイル750および電磁クラッチコイル51にそれぞれ供給する。
電磁弁駆動回路82は、各PWM信号のデューティー比を変化させることで、電磁弁コイル750と電磁クラッチコイル51への供給電流を変化させることができ、電磁弁コイル750の開度と、電磁クラッチ50の伝達トルクを調整することが可能となっている。
なお、本実施形態では、電磁弁駆動回路82から電磁弁コイル750および電磁クラッチコイル51にPWM信号に応じた電流を供給するよう構成したが、電磁クラッチコイル51に対しては、バッテリ91の直流電圧に応じた直流電流を供給するよう構成することもできる。
また、電磁弁駆動回路82がレベル信号を出力し、このレベル信号に応じた電流が電磁弁コイル750に供給されるよう構成することもできる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る容量可変圧縮機について、図10を用いて説明する。本実施形態の容量可変圧縮機は、圧縮機制御部81と電磁クラッチコイル51とが一体として構成されており、圧縮機制御部81の電磁弁駆動回路82は、電磁弁コイル750を駆動するとともに電磁クラッチコイル51を駆動する。
電磁弁駆動回路82は、圧縮機制御部81より入力される信号に応じて異なる2つのPWM信号を生成し、これらのPWM信号に応じた電流を電磁弁コイル750および電磁クラッチコイル51にそれぞれ供給する。
電磁弁駆動回路82は、各PWM信号のデューティー比を変化させることで、電磁弁コイル750と電磁クラッチコイル51への供給電流を変化させることができ、電磁弁コイル750の開度と、電磁クラッチ50の伝達トルクを調整することが可能となっている。
このように、圧縮機制御部81と電磁クラッチコイル51とを一体として構成することにより、圧縮機制御部81と電磁クラッチコイル51とを別体として構成する場合と比較して低コストを実現することができる。
なお、本実施形態では、電磁弁駆動回路82から電磁弁コイル750および電磁クラッチコイル51にPWM信号に応じた電流を供給するよう構成したが、電磁クラッチコイル51に対しては、バッテリ91の直流電圧に応じた直流電流を供給するよう構成することもできる。
また、電磁弁駆動回路82がレベル信号を出力し、このレベル信号に応じた電流が電磁弁コイル750に供給されるよう構成することもできる。
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、弁体として弁体700を用いたが、弁体の種類としては、例えば、ボール弁を用いることもできる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、本容量可変圧縮機1は、圧縮容量が変化する容量可変圧縮機であって、流体を吸入する吸入室、流体を圧縮するクランク室および圧縮された流体を吐出する吐出室を有する圧縮機ハウジングを備えている。また、吸入室の吸入圧力に応じて吐出室とクランク室とを連通する連通路を開閉する弁体および弁体を駆動する弁体駆動部と、を有する容量制御弁を備えている。容量制御弁は、吸入室の吸入圧力が所定の圧力となるように弁体が連通路を開閉することで圧縮容量を制御するまた、吐出室の吐出圧力に応じた信号を出力する吐出圧力検出部と、吐出圧力に対する目標吸入圧力の関係を規定した目標吸入圧力情報を記憶する記憶部と、を備えている。さらに、記憶部に記憶された目標吸入圧力情報に基づいて吐出圧力検出部により検出された吐出圧力に対応する目標吸入圧力を特定し、吸入圧力が目標吸入圧力となるよう弁体駆動部を制御する圧縮機制御部を備えている。
また、第2の観点によれば、弁体駆動部は、弁体と連結された可動体と、該可動体を電磁力により駆動する電磁弁コイルと、を有している。そして、圧縮機制御部は、吸入圧力が目標吸入圧力となるよう電磁弁コイルに流れる電流を制御する。
このように、弁体駆動部は、可動体と電磁弁コイルと、を有し、圧縮機制御部は、吸入圧力が目標吸入圧力となるよう電磁弁コイルに流れる電流を制御するよう構成することができる。
また、第3の観点によれば、本容量可変圧縮機1は、クランク室に配置されたシャフトの動力伝達を制御する電磁クラッチコイルと、バッテリに接続されたリレーと、を備えている。また、圧縮機制御部は、リレーに対して電磁クラッチコイルと並列に接続されており、リレーを介してバッテリから電磁クラッチコイルに電源供給されているときにバッテリから圧縮機制御部81に電源供給される。
したがって、例えば、外部制御機器からバッテリから圧縮機制御部への電力供給を制御するための信号を出力させることなく、電磁クラッチコイルと連動するようにバッテリから圧縮機制御部への電力供給を制御することができる。
また、第4の観点によれば、圧縮機制御部は、前記電磁弁コイルと一体となっていることである。
このように、圧縮機制御部と電磁弁コイルとを一体として構成することにより、圧縮機制御部と電磁弁コイルとを別体として構成する場合と比較して低コストを実現することができる。
また、第5の観点によれば、圧縮機制御部は、前記電磁クラッチコイルと一体となっていることである。
このように、圧縮機制御部と電磁クラッチコイルとを一体として構成することにより、圧縮機制御部と電磁クラッチコイルとを別体として構成する場合と比較して低コストを実現することができる。
1 容量可変圧縮機
10 圧縮機ハウジング
110 クランク室
14 吸入室
15 吐出室
40 シャフト
60 斜板
50 電磁クラッチ
70 容量制御弁
80 吐出圧力センサ
81 圧縮機制御部
91 バッテリ
700 弁体
760 可動体
750 電磁弁コイル
785 連通路

Claims (5)

  1. 圧縮容量が変化する容量可変圧縮機であって、
    流体を吸入する吸入室(14)、前記流体を圧縮するクランク室(110)および圧縮された前記流体を吐出する吐出室(15)を有する圧縮機ハウジング(10)と、
    前記吸入室の吸入圧力に応じて前記吐出室と前記クランク室とを連通する連通路(785)を開閉する弁体(700)および前記弁体を駆動する弁体駆動部(750)と、を有し、前記吸入室の吸入圧力が第1の圧力となるように前記弁体が前記連通路を開閉することで前記圧縮容量を制御する容量制御弁(70)と、
    前記吐出室の吐出圧力に応じた信号を出力する吐出圧力検出部(80)と、
    前記吐出圧力に対する目標吸入圧力の関係を規定した目標吸入圧力情報を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された前記目標吸入圧力情報に基づいて前記吐出圧力検出部により検出された前記吐出圧力に対応する目標吸入圧力を特定し、前記吸入圧力が前記目標吸入圧力となるよう前記弁体駆動部を制御する圧縮機制御部(81)と、を備えた容量可変圧縮機。
  2. 前記弁体駆動部は、前記弁体と連結された可動体(760)と、該可動体を電磁力により駆動する電磁弁コイル(750)と、を有し、
    前記圧縮機制御部は、前記吸入圧力が前記目標吸入圧力となるよう前記電磁弁コイルに流れる電流を制御する請求項1に記載の容量可変圧縮機。
  3. 前記クランク室に配置されたシャフト(40)の動力伝達を制御する電磁クラッチコイル(51)と、
    バッテリ(91)に接続されたリレー(92)と、を備え、
    前記圧縮機制御部は、前記リレーに対して前記電磁クラッチコイルと並列に接続されており、前記リレーを介して前記バッテリから前記電磁クラッチコイルに電源供給されているときに前記バッテリから前記圧縮機制御部に電源供給される請求項1または2に記載の容量可変圧縮機。
  4. 前記圧縮機制御部は、前記電磁弁コイルと一体となっている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の容量可変圧縮機。
  5. 前記圧縮機制御部は、前記電磁クラッチコイルと一体となっている請求項3に記載の容量可変圧縮機。
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